2018年 05月 27日
![]() 『ツァラトゥストラ』ニーチェ著、手塚富雄訳、中公文庫、2018年5月、本体1,500円、文庫判768頁、ISBN978-4-12-206593-2 『ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉 エッセンシャル版』ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著、白取春彦訳、ディスカヴァー・トゥエンティワン、2018年5月、本体1,000円、文庫判224頁、ISBN978-4-7993-2269-7 『ヨーロッパ中世象徴史』ミシェル・パストゥロー著、篠田勝英訳、白水社、2018年5月、本体7,500円、A5判上製436頁、ISBN978-4-560-09639-0 ★3点の再刊書に注目。新組新版、縮約版、復刊とさまざま。まず『ツァラトゥストラ』は読みにくい箇所もあった旧版を新組にして一新、巻末に三島由紀夫と訳者の対談「ニーチェと現代」(1966年の『世界の名著』第1回配本である第46巻「ニーチェ」に付属する月報に所載)が新たに加わっています。手塚訳はこの著作の揺るぎない名訳であり、これからも長く愛読されるに違いありません。帯表4での予告によれば中公文庫の「プレミアム」シリーズではパスカルの『パンセ』やデュルケームの『自殺論』の新版が続刊予定とのことです。 ★『ヴィトゲンシュタイン 世界が変わる言葉 エッセンシャル版』は『超訳 ヴィトゲンシュタインの言葉』(2014年8月刊)の縮約文庫版。ヴィトゲンシュタインの文庫本では『論理哲学論考』『青色本』『講義』などがありますが、本書の場合はぜひ哲学を敬遠してきた読者に、とっかかりとしてお薦めしたい一冊。文庫判のハンディさがやはり良いです。 ★『ヨーロッパ中世象徴史』は2008年刊で古書価がなかなか低くならないいわば「定番書」の復刊。今回の復刊本も早めに購入しておかないと遠からず品切になるであろう予感がします。原書は『Une histoire symbolique du Moyen Âge occidental』(Seuil, 2004)。パストゥロー(Michel Pastoureau, 1947-)はフランスの歴史家で中世や紋章学が専門。かのレヴィ=ストロースのはとこでもあります。本書以外にも長らく品切になっている書目はどんどん文庫化されると良いなと願うばかりです。 +++ ★次に最近出会った新刊を列記します。 『歩く、見る、待つ――ペドロ・コスタ映画論講義』土田環編訳、ソリレス書店、2018年5月、本体1,800円、四六判並製184頁、ISBN978-4-9084350-0-3 『人形論』金森修著、平凡社、2018年5月、本体3,200円、A5判上製312頁、ISBN978-4-582-20646-3 『聴竹居――日本人の理想の住まい』松隈章著、古川泰造写真、平凡社、2018年5月、本体9,800円、B5変判上製264頁、ISBN978-4-582-54463-3 『プロパガンダの文学――日中戦争下の表現者たち』五味渕典嗣著、共和国、2018年5月、本体4,200円、四六判上製448頁、ISBN978-4-907986-45-2 『クルアーン入門』松山洋平編、作品社、2015年5月、本体2,700円、46判並製528頁、ISBN978-4-86182-699-3 『現代思想2018年6月臨時増刊号 総特集=明治維新の光と影――150年目の問い』青土社、2018年5月、本体1,300円、A5判並製198頁、ISBN978-4-7917-1365-3 『文藝別冊 追悼石牟礼道子――さよなら、不知火海の言魂』河出書房新社編集部編、河出書房新社、2018年5月、本体1,300円、A5判並製224頁、ISBN978-4-309-97941-0 ★『歩く、見る、待つ』は副題にある通り、ポルトガルの映画監督ペドロ・コスタ(Pedro Costa, 1959-)による2004年、2010~2012年に行われた来日講義をまとめたもの。目次は以下の通りです。 序 私たちの糧となる言葉との出会い(諏訪敦彦) 講義Ⅰ(2010年7月28日、東京造形大学) 講義Ⅱ(2011年11月30日、東京造形大学) 講義Ⅲ(2012年12月5日、桑沢デザイン研究所) 講義Ⅳ(2004年3月12日~14日、映画美学校) 監督プロフィール&フィルモグラフィ 編者あとがき 言葉の切り開く像(土田環) ★講義Ⅰでの学生との質疑応答の中で監督はこう述べています。「映画を撮る時に、ドキュメンタリーであるのかフィクションであるのかを問うよりも、具体的にはどのように撮ればよいのかと考えてみることの方がより実り多いものになるのではないでしょうか。朝に目覚めて、身支度をする光景を撮影するとします。鏡を見ながら、顔を洗うか髭を剃ろうかとしていて、ふと目を足下に落とす。足が床に着いているという、ただそのことに初めて気づく。この一連の流れはフィクションでもドキュメンタリーでもありません。単に、誰も気づかず、これまで撮られたことのないことがらであるに過ぎません。しかし、そこには幾千、幾万もの物語が紡がれる可能性が秘められているのではないか。映画というメディアはとうの昔に死んでいると唱える人もいますが、私に言わせれば映画はまだまだ先史時代にあるようなものです。つまり、足が床に着いているその事実は、いまだに映画には撮られていない。そこには世界の歴史というものが、手垢のつかない状態で残されているのではないでしょうか。/こうした問いかけは、文学のなかでなされてきたことです。マルセル・プルーストの『失われたときを求めて』という作品は、先ほど私が言ったことを探求するものだったと思います。その試みを前にして、ブレッソンも小津もゴダールも、実際にはまだ映画が撮れていないのです。私は楽観的なのかもしれません。だからこそ、足を床に着けてみる。そのことによって開かれるいくつもの物語があることをもう少し考えてみたいのです」(26~27頁)。なんという繊細で力強い発言でしょうか。 ★『人形論』は2016年に逝去された、科学哲学研究の第一人者・金森修さんの遺作。帯文に曰く「祓除の土偶や天児(あまがつ)から、ビスクドールやゴシックドール、さらには究極のフェティッシュであるラヴドール、果てはロボットやレプリカントまで、広汎豊穣な人形ワールドを〈人形三角錐〉という独自の概念枠で俯瞰」と。第一章「人形の〈三角錐〉」において金森さんはこう書いておられます。「人形史をごく大雑把に見渡した中で、多彩極まりない人形ワールドを概念的に横切る一種の基底のようなものが存在するという仮説が浮上してくる。それは呪術、愛玩、鑑賞という三つの概念である。〔…それらを〕三頂点とする〈人形三角形〉に三次元的な成分を組み込み、物質性という共通項を一つの頂点とする〈人形三角錐〉を作る」(48~49頁)。また、金森さんは本書について「一種の〈亜人論〉を構成する」(9頁)とも述べています。『ゴーレムの生命論』(平凡社新書、2010年)とともにこの分野の基礎文献となるだろう一冊で、巻末の、雑誌や洋書、映像資料を含む文献一覧をもとに本書を中心としたフェアや「人形棚」が構想できそうです。 ★『聴竹居』は建築家の藤井厚二が京都・大山崎町の天王山の麓に1928年(昭和3年)、5回目となる自邸として建てた木造平屋建ての実験住宅「聴竹居(ちょうちくきょ)」を、180点の写真と図、詳細な実測図360点を添え日英併記で全貌を詳しく紹介した、重厚な大型本。3年前に「コロナ・ブックス」シリーズで発売された同名の公式ガイドブックに続く、いわば「コンプリートブック」です。重要文化財として昨年指定されたその美しさには圧倒されるばかりです。藤井による調度品や、聴竹居の後に手掛けた注文住宅「八木邸」についても紹介。4篇の解説――藤森照信「〈モダニズム〉の原点」、深澤直人「聴竹居――行為に相即する家」、堀部安嗣「聴竹居が伝えるもの」、松隈章「「聴竹居」の歩み」を併載。 ★『プロパガンダの文学』は巻頭の「はじめに」によれば「日中戦争の同時代に戦争や戦場を主題としたテクストを取り上げ、戦時下における〈戦争の書きかた〉について論じるもの」(13頁)で、その目的は「日中戦争期の日本帝国の側から見た戦争・文学・プロパガンダの関係を問うことにある」(40頁)とのこと。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。著者の五味渕典嗣(ごみぶち・のりつぐ:1973-)さんは大妻女子大学文学部教授。ご専門は近現代日本語文学・文化研究です。本書のあとがきにおいて五味渕さんはこう綴っておられます。「着々と準備されつつある次なる戦争に向けて、反戦の論理をいかにアップデートさせていくかは喫緊の課題であろう」(442-443頁)。誰がこの言葉を笑い飛ばせるでしょうか。 ★『クルアーン入門』は「クルアーンの定義と構成」「クルアーン解釈の前提」「クルアーン解釈の方法」「トピックから探るクルアーンの思想」の四部構成。「クルアーンはどのような構造を持つ聖典であり、どのように読まれ、解釈されるのか〔…〕読者がクルアーンをみずから読み解いていくための「ツール」を提供することを目指した」(まえがき、3頁)とあります。附録として「術語集」「固有名詞のアラビア語読みと標準日本語表記対応表」「クルアーンの章名日本語訳一覧」を収録。『日亜対訳 クルアーン』(2014年)を始め、イスラーム関連の書籍を続々と出版されている作品社さんならではの入門書となっています。 ★『現代思想2018年6月臨時増刊号 総特集=明治維新の光と影』は副題にある通り明治維新150年を記念した総特集号。姜尚中さん、成田龍一さん、須田努さんによる討議「光と影/光は影――明治維新150年:重層化する歴史像」をはじめ、酒井直樹さんやキャロル・グラックへのインタヴュー、大澤真幸さんのエッセイなど、歴史を問い直し、現代人の立ち位置を見直す様々な視点が提出されています。「西郷どん」コーナーを作っている書店さんには併売をお薦めしたいです。 ★『文藝別冊 追悼石牟礼道子』は石牟礼さんへの愛を感じる追悼号。赤坂真理さんの寄稿「石牟礼道子という謎に動かされたい」での言葉を借りれば、石牟礼さんの文学世界と読者との「もやい始め」ともなる一冊です。赤坂さんは石牟礼文学を宮澤賢治やジブリアニメの世界に近いものと指摘されています。志村ふくみさんは「あるとき、襤褸裂のような織物が突然荘厳され光の射す瞬間を石牟礼さんは描き切って下さった」と表現されています(「えにし まぼろしふかくして」11頁、初出「三田文學」2015年秋季号)。坂口恭平さんの「みっちんの歌」が印象的です。「みっちんは歌だ。だから、肉体そのものとなって、口を開き、体を振動させ、声帯を鳴らせば、いつでもみっちんが途端にあらわれでてくる。これからも死ぬまでずっと歌をうたっていこう、そうすれば何も消えることはなく、ささやかな風と同じように今もこの現実に漂い続けることができる」(34頁)。 +++ ★最後に先月の新刊で言及できていなかった書目を列記します。 『アメリカのユートピア――二重権力と国民皆兵制』フレドリック・ジェイムソンほか著、スラヴォイ・ジジェク編、田尻芳樹/小澤央訳、書肆心水、2018年4月、本体3,500円、四六判上製384頁、ISBN978-4-906917-78-5 『戦争経済大国』斎藤貴男著、河出書房新社、2018年4月、本体1,800円、46判変形上製320頁、ISBN978-4-309-24857-8 『ブーレーズ/ケージ往復書簡 1949-1982』J=J・ナティエ/R・ピアンチコフスキ編、笠羽映子訳、みすず書房、2018年4月、本体6,200円、A5判上製336頁、ISBN978-4-622-08685-7 『ギリシア神話シンボル事典』ソニア・ダルトゥ著、武藤剛史訳、文庫クセジュ、2018年4月、本体1,200円、新書判172頁、ISBN978-4-560-51019-3 『早稲田文学 2018年初夏号』早稲田文学会発行、筑摩書房発売、2018年4月、本体1,900円、B5変判並製400頁、ISBN978-4-480-99314-4 ★『アメリカのユートピア』は『An American Utopia: Dual Power and the Universal Army』(Verso, 2016)の訳書。100頁を超えるジェイムソンによる表題作論文を中心に、SF作家キム・スタンリー・ロビンソンによる短編小説や、ジョディ・ディーン、サロジ・ギリ、アゴン・ハムザ、柄谷行人、フランク・ルーダ、アルベルト・トスカーノ、キャシー・ウィークス、スラヴォイ・ジジェクらによるジェムソンへの応答論文が掲載されています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ジジェクは序言でこう述べています。「ジェイムソンの『アメリカのユートピア』は、解放された社会に関する左翼のスタンダードな観念を根底的に問い直す。その際、社会の共産主義的な再編のモデルとして、とりわけ、国民皆兵制を唱え、羨望と敵意を共産主義社会の中心的問題として完全に認定し、仕事と快楽の分割を乗り越えるという夢を拒絶する。社会を変えるには、解放された社会に関する夢を変えることから始めるべきだという格言に従ったジェイムソンのテクストは、グローバル資本主義へのありうる、また想像可能なオルターナティヴに関する討論を引き起こす理想的な位置にある」(9頁)。 ★訳者あとがきで田尻さんはジェイムソン論文についてこう解説しています。「本論文の核になる新しい視点は「二重権力」という概念である。公式の政府と並行して統治が成立するこの状態こそ、共産主義と社会民主主義の失効の中で資本主義を抜け出す第三の道なのだとジェイムソンは言う。二重権力が目指すのは、金融の国営化、公教育と医療の無料化をはじめとする伝統的な左翼の目標である。そして現代社会において二重権力の候補となりうるものとして労働組合、郵便局、専門職、宗教を否定した後に持ち出してくるのが軍隊なのだ。資金不足であるとはいえ、すでに軍隊は医療国営化に類するものを実現しているではないか。軍隊を再国営化することで様々な社会主義的施策を実現してゆくことができるのではないか。〔…〕つまるところ徴兵制再導入は、やはりユートピア的提案と言うほかないのであって、彼はそれを提案すること自体によって現代におけるユートピア的ヴィジョンを再活性化しようとしているのだ」(366~367頁)。第六章の柄谷さんの論文「日本のユートピア」では『憲法の無意識』(岩波新書、2016年)と共通する論点を見出すことができます。 ★『戦争経済大国』は帯文に曰く「構想10年、この国最大のタブーを暴き、これまでの戦後論を塗り替える画期的労作」と。巻頭の「「平和憲法」の陰で――はしがきに代えて」で斎藤さんは次のように書いておられます。「本書の眼目は、そもそも過去の高度経済成長自体が、甚だしい無理の産物であった実態を審らかにすることにある。/甚だしい無理とは「戦争」だった。戦後の日本経済は、平和憲法を前面に掲げながら、その実、常にアメリカの戦争に加担することから得られた果実によって成長してきたと言って過言でない。復興の足掛かりは朝鮮戦争による直接特需だったし、それが一過性に終らなかったのは、ベトナム戦争に伴う間接特需、および列島を挙げて米軍の兵站基地あるいは最前線基地に提供した見返りとしての、北米市場の開放のためであった」(6頁)。「一応は反戦を掲げてはいた労働組合や市民運動が間接特需の恩恵をよくよく承知していたせいもあったのか、私の実感では、この点、高度経済成長以降の日本社会にとっては、きわめて大きなタブーであり続けてきたのではないか」(同)。 ★さらにこうも書かれています。「直接の戦闘行為に手を染めたか染めなかったかの間には、もちろん天と地ほどの差がありはする。ではあるにせよ、他国の人々の不幸に乗じて儲けたことには変わりがないではないか。/私たちが今なすべきことは、危機的状況への対処だけでなく、戦後の高度成長時代を改めて掘り下げ、もっと言えば批判的に検証して、せめて教訓にしていくことだと考える」(7頁)。あとがきではすでに本書の続編が構想されていることが明かされています。その続編では湾岸戦争から現在にいたる、戦争と日本経済の関連が分析されるようです。 ★『ブーレーズ/ケージ往復書簡』は『Pierre Boulez – John Cage, Correspondance et documents』(Paul Sacher Stiftung, 2002)で、1990年に刊行されたものの改訂新版の翻訳です。全部で50通収められた手紙は中盤以降では両者ともに母国語でのみ書くようになっており、訳者のご苦労が偲ばれます。カヴァー表4の紹介文に曰く「現代音楽の最前線や二人の交友、共感、距離感、決裂にいたる様子が、ここに初めて明らかになる」と。巻頭には改訂新版の責任者であるロベール・ピアンチコフスキによる「前置き」とそれに続く論考が置かれ、巻末には初版の共編者であるナティエの論文と登場人物を簡潔に紹介する人名録が配されています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。 ★『ギリシア神話シンボル事典』は『Lexique des symboles de la mythologie grecque』(PUF, 2017)の訳書。カヴァー表4の紹介文に曰く「多神教、神人同形論といったギリシア神話の世界観の理解を助ける145のシンボルを集めて解説」したもの。基本的に読む辞典であり、図版がないのは、同シリーズのミシェル・フイエ『キリスト教シンボル事典』(文庫クセジュ、2006年;原著2004年)と同様ですが、その分コンパクトにまとまっています。両書とも、武藤剛史さんがお訳しになっています。 <iframe width="560" height="315" src="https://www.youtube.com/embed/7iMxe1ucjpY" frameborder="0" allow="autoplay; encrypted-media" allowfullscreen></iframe> ★『早稲田文学 2018年初夏号』の特集は「戦時下上海の日本語総合雑誌『大陸』再発見」。編集協力は秦剛(しん・ごう:1968-)さんと大塚英志さん。特に大塚さんの論考「可東みの助の運命――戦時下の編集的人間とその生き方」が興味深いです。「戦時下の「宣伝戦」に於いて実は最も新しいメディア技術は「編集」であった〔…〕。「国家報道」すなわち戦時下のプロパガンダという禁断の技術の実践を標榜した報道技術研究会が「宣伝」の理論化を戦時下に進め、戦後の宣伝技術の出発点となった〔…〕。「編集」とは多メディア間の総合芸術と主張され〔…〕プロパガンダのために多メディア間で感覚的素材を「時間的・空間的に配置・構成・綜合」する技術が「編集」である。そういう「編集論」がみの助とそう遠くない人々の間で語られていたことは注意していい」(235~236頁)。上記引用からは省略したものの、ここではかの報研(報道技術研究会:1940-1945)編による唯一の理論書『宣伝技術』(生活社、1943年)所収の一章、大久保和雄による「編集技術」の一節が引かれており、社会工学と編集技術の原理的な交差が目を惹きます。ちなみに川本健二さんの論文「対外宣伝グラフ雑誌『FRONT』における「立体性」――日本の戦時下における報道写真と構成主義の一つの展開として」(『表現文化研究』第10巻第2号、神戸大学表現文化研究会、2011年)によれば「大久保和雄は、原弘らと同様、東京府立工芸学校印刷科を卒業して日本宣伝協会などに勤務し、報道についての研究をしていた」(154頁)とあります。 ★同誌で連載開始となった、ジャン・リカルドゥー「新訳・評注 言葉と小説」(芳川泰久訳、渡部直己評注)は第1回「エクリチュールと小説――変化する現実、現実の変異体〔ヴァリアント〕」を掲載(303~338頁)。上段に訳文、下段に評注、見開左端に訳注が配置されています。原典は『Problèmes du Nouveau roman』(Seuil, 1967)で、やはり紀伊國屋書店「現代文芸評論叢書」で1969年に刊行された野村英夫訳『言葉と小説――ヌーヴォー・ロマンの諸問題』の新訳です。 +++
by urag
| 2018-05-27 23:16
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