2016年 04月 14日
弊社で好評直販中の、哲学書房さんの「哲学」「ビオス」「羅独辞典」について、1点ずつご紹介しております。「羅独辞典」「哲学」0号、同2号に続いては同4号のご紹介です。同3号『視線の権利』(J・デリダ著、M-F・プリサール写真、鈴村和成訳、1988年7月)は絶版。 ![]() 季刊哲学 ars combinatoria 4号 AIの哲学――回路・汎智学・脳梁 哲学書房 1988年8月30日 本体1,900円 A5判並製246頁 ISBN4-88679-025-9 C1010 目次: 【延長する脳】 吉本隆明+養老孟司「イメージが脳梁を渡る――倫理と明晰さと論理について」 pp.196-221 【特別インタヴュー】 堤清二「回路を、一部閉ざす」 pp.54-62 荒俣宏「薔薇十字と叡智の交換可能主義」 pp.63-69 渡辺格「「生命界言語」の探求――バイオコンピュータのアルゴリズム発見の前提として」 pp.158-169 【本邦初訳原典】 ライムンドゥス・ルルス「アルス ブレウィス」山内志朗訳 pp.70-93 トマス・ホッブズ「計算ないし論理学――『哲学の原理』第一部「物体論」より」伊豆蔵好美訳 pp.94-109 G・W・ライプニッツ「普遍的記号言語――ゲルハルト版『ライプニッツ哲学著作集』第七巻より」山内志朗訳 pp.110-121 J・A・コメニウス「最新言語教授法」田中寿紀訳 pp.122-133 【コネクショニズムと計算】 甘利俊一+佐伯胖+黒崎政男「コグニティヴサイエンスは何を問うか――コネクショニズムと計算主義の対立を超えて」 pp.8-39 J・A・フォーダー+Z・W・ピリシン「コネクショニズム批判――あるいは認知のアーキテクチャー」黒崎政男訳 pp.40-53 中川祐志「人工知能における知識と計算」 pp.149-157 J・マッカーシー+P・ヘイズ「人工知能(AI)の観点から見た哲学的諸問題」三浦謙訳 pp.134-148 【AIと哲学】 廣松渉「AI問題についての偶感――完璧なロボットには意識は無用なのでは?」 pp.170-186 山崎正一「AIの意味論的考察――禅は具体的な真実を求める」 pp.187-193 【存在と眠り】 丹生谷貴志「サハラと〈存在〉の一義性――ブレッソン/スコトゥス1――中世への途上3」 pp.222-241 井辻朱美「眠り男の森」 pp.242-245 編集後記:●―何ごとかを「知る」とはどういうことか、認識する、過ちを犯す、信じる、合理的であると感じる・・・等々と言うことによって示される事態とは何であるのか。考えることを始めてしまった脳が、自らの発端に捩れ込むようにして問いつづけてきた問いの歴史を、さながら映画の齣落としよろしく、目をみはるスピードをもって確かめ直そうとする試みであるようにそれは見える。いまそれをかりにコグニティヴサイエンスと呼んでおくことにする(ここで、チューリングマシンの停止問題、脳を呑み込む脳、という連想の誘惑に抗うことは、とてもむずかしい)。 ●―ニューロンのネットワークの複合体として脳は、開かれたシステムをなしている。深い論理的な思考に不向きで、ことがらのパターン的な把握や浅い推論に適しているらしい。このニューロンのネットワークに示唆を得たP・D・Pモデルは、古典的ノイマン型直列型のそれが、ルルスやライプニッツの(大陸合理論の)「思考とは計算である」とする思想の嫡出子と目されるのに対して、ロックやヒュームの(イギリス経験論の)観念連合の哲学と結びつけられもして、コグニティヴサイエンスの関心の焦点をなしている。近世の哲学が反芻されて、やがて経験的感性が受容した世界を、先験的形式によって構成するカントのあの超越論的統覚に至ろうとするのだろうか。超越論的である、とは、メタレベルから見下すことが不可能であること、思考自体を縛るシステムをあばくこと、ではなかったろうか。 ●―もとより「脳」とは、いわば世界の外の観察者によって記述されたものである。誤りを犯し、価値ある判断をなし、ためらい、近似的な答えをもって満足する「意識」や「心」は、現に今ある刺激系をも包み込んだ動的平衡系である身体として、他の存在者とともに世界に内属する存在者にとっての世界の状態にほかならない。知覚といい、認識といい、思考といわれる状態は、あえて「脳」という機能系に即していえば、この存在者の、求心的ですなわち遠心的(なループをなす)神経細胞の興奮のパターン、いわばニューロダイナミクスというほかはない。 ●―それにしても、宇宙とのオンラインのネットワークを生きる、ルルスやコメニウスのパンゾフィーの実践はなんと小気味良いことか。ライプニッツから中世に遡り、同時代性を確かめなおして今日のコグニティヴサイエンスに戻ったこの雑誌は、次号で、無限、集合、紙をめぐって、カントールを訪ねる。あるいはその前に急遽、リヨタールの「時間・今日」という臨時増刊号が割って入ることになるかもしれない。 ●―インタヴューのための時間を作って下さった方々、ご執筆いただいた方々に、御礼と、(臨時増刊号「視線の権利」に押されて)刊行が少しく遅れてしまったことについてのおわび、を申しあげる。(N) 補足1:欧文号数は「vol.II-4」。すなわち第2年次第4巻。 補足2:当号掲載のテクストはその後、以下の通り哲学書房の単行本に収録されている。 井辻朱美「眠り男の森」→『風街物語』哲学書房、1988年。 マッカーシー+ヘイズ「人工知能(AI)の観点から見た哲学的諸問題」→『人工知能になぜ哲学が必要か』哲学書房、1990年。 +++ 月曜社では哲学書房(2016年1月31日廃業)さんから引き取った一部の出版物の在庫品を、直販にて読者の皆様にお分けいたしております。「季刊ビオス2号」以外はすべて、新本および美本はなく、返本在庫であることをあらかじめお断りいたします。「読めればいい」というお客様にのみお分けいたします。いずれも数に限りがございますことにご留意いただけたら幸いです。 季刊哲学0号=悪循環 (本体1,500円) 季刊哲学2号=ドゥンス・スコトゥス (本体1,900円) 季刊哲学4号=AIの哲学 (本体1,900円) 季刊哲学6号=生け捕りキーワード'89 (本体1,900円) 季刊哲学7号=アナロギアと神 (本体1,900円) 季刊哲学9号=神秘主義 (本体1,900円) 季刊哲学10号=唯脳論と無脳論 (本体1,900円) 季刊哲学11号=オッカム (本体1,900円) 季刊哲学12号=電子聖書 (本体2,816円) 季刊ビオス1号=生きているとはどういうことか (本体2,136円) 季刊ビオス2号=この私、とは何か (本体2,136円) 羅独-独羅学術語彙辞典 (本体24,272円) ※哲学書房「目録」はこちら。 ※「季刊哲学12号」には5.25インチのプロッピーディスクが付属していますが、四半世紀前の古いものであるうえ、動作確認も行っておりませんので、実際に使用できるかどうかは保証の限りではございません。また、同号にはフロッピー版「ハイパーバイブル」の申込書も付いていますが、現在は頒布終了しております。 なお、上記商品は取次経由での書店への出荷は行っておりません。ご注文は直接小社までお寄せ下さい。郵便振替にて書籍代と送料を「前金」で頂戴しております(郵便振替口座番号:00180-0-67966 口座名義:有限会社月曜社)。送料については小社にご確認下さい。後払いや着払いや代金引換は、現在取り扱っておりません。 小社のメールアドレス、電話番号、FAX番号、所在地はすべて小社ウェブサイトに記載してあります。 +++ 弊社で引き取っていない単行本を含めた哲学書房の出版物を取り揃えた回顧フェアが以下の通り都内3店舗で行われていますので、こちらもぜひご利用ください。哲学書房さんはすでに廃業されておられるため、同フェア開催店での販売が店頭販売の最後の機会となります。なお、「季刊哲学第12号」に限っては、フェアでは展開されておらず、弊社直販のみの扱いとなります。 【三店舗でのフェアの再延長が決まりました!】 ◎哲学書房を《ひらく》――編集者・中野幹隆が遺したもの 売れ筋ベスト5: 山内志朗『笑いと哲学の微妙な関係』 養老孟司『脳の中の過程』 郡司ペギオ幸夫『生命理論』 バタイユ『エロティシズムの歴史』 稲垣良典ほか『季刊哲学11号=オッカム』 ◆ジュンク堂書店立川高島屋店(2月26日オープン) 場所:6Fフェア棚 期間:2月26日(金)~4月25日(月) 住所:立川市曙町2-39-3 立川高島屋6F 営業時間:10:00~21:00 電話:042-512-9910 ◆ジュンク堂書店池袋本店 場所:4F人文書売場 期間:3月1日(火)~4月25日(月) 住所:豊島区南池袋2-15-5 営業時間:月~土10:00~23:00/日祝10:00~22:00 電話:03-5956-6111 ◆丸善丸の内本店 場所:3F人文書売場(Gゾーン) 期間:3月1日(火)~4月30日(土) 住所:千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾショップ&レストラン1~4F 営業時間:9:00~21:00 電話:03-5288-8881 +++
by urag
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