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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2005年 09月 26日

今週の注目新刊(第21回:05年9月25日)

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笑いと哲学の微妙な関係――25のコメディーと古典朗読つき哲学饗宴
山内志朗(1957-)著
哲学書房、05年8月刊、本体2400円、46判上製254頁、ISBN4-88679-152-2

■帯文より:笑いの種子を前菜においしく哲学を食す。笑いとはエネルゲイアである。哲学もまた。微笑、含笑、大爆笑。生きること、為すこと、考えることの根に笑いが触れて、おのずから心が養われる。このときすでに、哲学が始まっているのだ。笑いは、魂の養分。

●シリーズ「魂の本性(コレクション・ヌース)」の第三弾。2003年6月から2004年5月まで25回にわたって「中日新聞」に連載された「哲学つまみ食い」を加筆したもの。内容は古今東西の思想家の諸著作からテーマを借りて、哲学の諸相や学問の根幹を平易な言葉で講釈したもので、本編はオヤジギャグ満載のエッセイ(これが連載された部分)、それに続いて(今回加筆された)「原典を読んでみよう」という関連原典の引用、「ちょっとひとこと」という補足的コメント、「てびきになる書物」という参考文献一覧が付されています。

●そのオヤジギャグの濃さたるや、世代によって好悪が分かれるところかもしれませんが、ごくごく気楽に読める本なので、通勤通学途中の読書に最適です。ふだんは哲学や現代思想の本など絶対に手に取らないという読者も、本書を読めばいつの間にかかなりディープな場所にまで連れて行かれることうけあい。個人的には、エックハルトと引きこもりというテーマをもっと山内先生に詳しく聞いてみたい気がしました。


ピーク・オイル――石油争乱と21世紀経済の行方
リンダ・マクウェイグ著、益岡賢訳
作品社、05年9月刊、本体2400円、46判上製386頁、ISBN4-86182-050-2

■帯文より:ピーク・オイルとは、世界の石油産出が、あと数年でピークに達することを意味する。以後、産出量は減少し、安価な石油の時代は終焉を迎える。巨大石油企業の思惑、欧米、中国、OPEC諸国の駆け引き、代替エネルギー開発、地球温暖化問題など、エネルギー問題の歴史を未来を多角的に論じた衝撃の書。

●いわゆる「世界資源戦争」に関する類書は近年増えてきましたが、本書も恐い本です。私が小学生だった70年代には、石油はあと数十年で枯渇するとはっきり教えられていました。しかしその後、代替エネルギーの開発は「石油以後」の時代を生むほどには進んでいないし、なんとなくまだまだ石油に頼れるような世の中のゆるんだ空気というものがありました。

●実際のところ、真相はかなり深刻。昨今、原油価格高騰のニュースをよく耳にしますが、それを単に政治的もしくは経済的次元にかかわる一時的現象と切り捨てるのはまずかろうと思います。いよいよ「ピーク・オイル」の前兆が黒い影となって一般市民の目にも見えるようになってきたと言ってもいいのかも知れません。今後ますます私たちの生活を脅かすようになる石油資源問題。本書は意識ある市民の必読書になるでしょう。

以上です。(H)

by urag | 2005-09-26 22:19 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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