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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2016年 01月 27日

備忘録(17)

◆2016年1月27日13時現在。
1週間前から配信されている某店の「緊急事態」宣言が意味不明と話題に。引当率の低下は、取次や版元が年末年始営業してないから、という以上の特別な理由があるとは思えないのですが、なぜこんなボンヤリしたことを言い始めたのか。常に数字の理由を分析しているはずの某店にしてはやや雑なアクションです。帳合取次への当てつけなのか、直取キャンペーンへの新たな誘導なのか、色々と憶測を呼んでいます。ますます某店への版元の視線は冷やかになってきました。どんなにプレッシャーを掛けたって、取次も版元も365日24時間営業にはなりっこない。ブラックな要求なのかと思われても良いことはないはずです。

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◆1月28日17時現在。
「新文化」1月28日付記事「東京地裁、栗田出版販売の再生計画を認可」によれば「1月23日、東京地裁が認可して同25日付で確定証明書を発行」と。続けて「これにより2月1日に大阪屋の100%出資会社である㈱栗田に栗田出版販売の事業を譲渡、それと同時に社名を栗田出版販売に変更する。また、4月に栗田と大阪屋が統合することが正式に決まった」とも。返品問題の決着はいかに。

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◆1月28日18時現在。
さて、2015年のおさらい。「サイゾーpremium」12月30日~31日の記事「2015年出版流通業界10大ニュース」。「【前編】『火花』のヒットでも太刀打ちできない本屋の苦しい実態」「【後編】2016年もアマゾンからの容赦無い圧力は続くのか」。個人的な感想を言うと、3位の「新潮社が図書館の貸出猶予を検討=無料貸本屋問題」と9位の「TSUTAYA図書館問題」は逆な方が良い感じです。

まず前編から気になる部分を抜き出してみます。

書店B・・・書籍の新規出店在庫の支払いが2~3年後に始まる。その支払いを補うために、別の店を出すことがこの業界ではまかり通っている。もし、ジュンク堂書店がそうであるならば、もはや自転車操業といえるのではないだろうか。それはジュンク堂書店のような大型店のビジネスモデルが破たんしたことを意味するともいえる。だとするならば、この出店ラッシュの行きつく先は、出版界の大カタストロフィなのではないだろうか。
出版社A・・・ジュンク堂書店のような大型店が潰れてしまうと、連鎖倒産する中小出版社はかなり出るだろう。事実、新宿店が閉店したときに、かなりの在庫が返ってきて、取次からの入金が減った。大日本印刷が潰さないとは思うが、万が一にも潰れたら、相当大きなダメージを業界に与えるのは確かだ。

老舗版元営業幹部だというAさんの話は大げさなものではありません。ジュンク堂が万が一にも破綻すれば、その巨大なてのひらがなぎ払う中小版元の数は相当数にのぼるはずです。なぜなら、ジュンク堂こそが中小版元の小ロット本の受け皿になっているからです。ジュンク堂が仕入れない本は他チェーンではなおさら扱われませんから、まさに中小版元は「ジュンク堂と共に生き、ジュンク堂と共に死ぬ」運命です。ジュンク堂は一店舗ごとの規模が大きいので、閉店するだけでもAさんが言う通り入金に影響を及ぼし、場合によっては単月で赤字が出ることすらあります。

つづいて後編から。

書店B・・・アマゾンとの関係が深くなればなるほど、アマゾンに搾取されることを出版社は考えないのだろうか? 年間契約しかり、直取引しかり。いま売れるからといって、これから先もずっと売れ続けるわけはない。いずれ頭打ちが来る。それはそんなに遠くはないだろう。年間契約を止めた版元に聞いたら、アマゾンは相当な仕打ちを出版社にしたらしい。検索結果などでのお薦め商品にあえて表示しない、カート落ちもほったらかし、あげくはアマゾンの倉庫から商品を一斉に返品してくる、などなど。そうした前例をつくりながらアマゾンは、「いまうちとの年間契約を止めたら売上が10%は落ちる」と出版社に圧力をかけているとも聞いた。さすがに売上が10%も落ちると出版社も厳しい。年間契約のアマゾンへの支払い報奨が上がったとしても、10%ダウンよりはまし、と契約を更新してしまうようだ。
出版社A・・・うちは、直取引はしていないし、これからもする気はない。66%とか、他にも70%近い正味を持ちかけられている版元もあると聞く。ただ、その条件が未来永劫続くはずもない。おそらく単年度更新で、新たに低い条件を提示してくるのだろう。うちが契約しないのは、そのためだ。だが、直取引している出版社は確実に増えているのも一方で事実だろう。出版社のアマゾン依存はますます深まっていくおそれがある。出版社にとっても、売上を上げる選択肢がなくなっているのが原因だ。むしろ、アマゾンがそういうプレシャーを出版社にかけてくる会社だと割り切って、今から有利な条件でアマゾンと契約しようと考える出版社もある。実際、取次だって成績が悪ければ、歩戻し交渉してくるのだから、交渉相手が取次から手ごわいアマゾンに変わったともいえるだろう。

今日開催されたという説明会では、予想にたがわず直取引の慫慂だったそうで、今後も積極的に取次外しを進めようということでしょうけれど、相当数の版元が強い警戒心やアレルギーを持っているのも事実なので、先方の目論見は完遂しえないように思われます。いずれにせよ、2016年はいっそう激しい変動がありうるのでしょう。

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◆1月29日14時現在。
2月8日(月)?

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◆1月29日15時現在。
おさらい。「新文化」1月26日付記事「大洋図書、日販に帳合変更へ」に曰く「大洋図書は同社FC店舗188店について、日販と取引きすることを決めた。これまでは太洋社と取引きしていたが、2月1日付で帳合変更することになった」と。

おさらい。「出版状況クロニクル92(2015年12月1日~12月31日)」に曰く「ちょうど1年前の本クロニクル80で、「正念場の1年もまた出版物売上の下げ止まりはまったく見られず、出版業界全体がさらに奈落の底へと沈み始めている。15年はその解体の年として記録されることになろう」と書いた。それはこの異常な高返品率、栗田出版販売の破産に表出したことになる」と。

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by urag | 2016-01-27 13:02 | 雑談 | Comments(0)


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