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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2005年 08月 22日

アガンベン『涜神』:9月末刊行予定

瀆神

という表記が正しいのですが、上記がきちんと表示されていない方はごめんなさい。やっているほうもうまくいかなくて困っています。

先月(2005年7月)にアガンベンさんの『バートルビー』を刊行し、ご好評をいただいておりますが、月曜社の次の新刊もアガンベンさんの著書を刊行します。原書が今年3月に刊行されたばかりの小著で、『涜神』といいます。著者ご本人の計らいで、刊行前からゲラを見せていただいていたので、訳者の先生方に取り組んでいただいていました。読者の皆様にはアガンベンさんの最新成果を早くもご覧いただくことになります。

書名:涜神
著者:ジョルジョ・アガンベン
訳者:上村忠男+堤康徳
発行:月曜社
予価:本体1800円+税
判型:全書判(B6変形判)上製144頁帯付カバー装
ISBN:4-901477-19-6
分野:哲学思想

原書:"Profanazioni", Giorgio Agamben, 2005, Roma, Nottetempo.

内容:力を我々の手に取り戻すために。
「仕上げたばかりのこの小さな書物において、わたしは自分自身にとってたいへん重要な主題について、可能なかぎり明確に述べたのです」とアガンベンは語る。資本主義という宗教の土台にある〈神聖を汚すことのできないもの〉を侵犯せよ。権力の諸装置を無力化し、権力が剥奪していた空間を人々の〈共通の使用〉へと返還せよ。涜神こそは来たるべき世代の政治的課題なのだ。

目次:
ゲニウス
魔術と幸福
審判の日
助手たち
パロディ
欲求すること
スペキエス的な存在
身振りとしての作者
涜神礼賛
映画史上最も美しい六分間
訳者あとがき

ジョルジョ・アガンベン(Giorgio AGAMBEN):
1942年ローマ生まれ。ヴェネツィア建築大学(IUAV)美学教授。イタリア現代を代表する哲学者。著書に、1970年『中味のない人間』(岡田温司・岡部宗吉・多賀健太郎訳、人文書院、2002年)、1977年『スタンツェ』(岡田温司訳、ありな書房、1998年)、1993年『バートルビー』(高桑和巳訳、月曜社、2005年)、1995年『ホモ・サケル』(高桑和巳訳、以文社、2003年)、1996年『人権の彼方に』(高桑和巳訳、以文社、2000年)、1998年『アウシュヴィッツの残りのもの』(上村忠男・廣石正和訳、月曜社、2001年)、2000年『残りの時』(上村忠男訳、岩波書店、2005年)、2002年『開かれ』(岡田温司・多賀健太郎訳、平凡社、2004年)などがある。論文集『思考の潜勢力』(伊語版2005年)は月曜社より刊行予定。

上村忠男(うえむら・ただお):
1941年生まれ。思想史家。著書:『ヴィーコの懐疑』(みすず書房、1988年)、『クリオの手鏡』(平凡社、1989年)、『歴史家と母たち』(未来社、1994年)、『ヘテロトピアの思考』(未来社、1996年)、『バロック人ヴィーコ』(みすず書房、1998年)、『歴史的理性の批判のために』(岩波書店、2002年)、『超越と横断』(未来社、2002年)、『グラムシ 獄舎の思想』(青土社、2005年)。訳書:ヴィーコ『学問の方法』(共訳、岩波文庫、1987年)、アントニオ・グラムシ『新編・現代の君主』(青木書店、1994年)、G・C・スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』(共訳、月曜社、2003年)、カルロ・ギンズブルグ『歴史を逆なでに読む』(みすず書房、2003年)、G・C・スピヴァク『ある学問の死』(共訳、みすず書房、2004年)など多数。

堤康徳(つつみ・やすのり):
1958年生まれ。東京外国語大学大学院修士課程修了。イタリア文学専攻。慶応義塾大学、東京外国語大学非常勤講師。著書:『サッカーファンのためのイタリア語』(アルダ・ナンニーニとの共著、白水社、2002年)。訳書:カルロ・ギンズブルグ『裁判官と歴史家』(上村忠男との共訳、平凡社、1992年)、アンドレーア・デ・カルロ『夢の終着駅』(東京書籍、1993年)、ピエル・ヴィットーリオ・トンデッリ『ぼくたちの自由を求めて』(東京書籍、1994年)、アーダ・ゴベッティ『パルチザン日記』(平凡社、1995年)、アントニオ・タブッキ『黒い天使』(青土社、1998年)、マヌエル・プイグ『グレタ・ガルボの眼』青土社、1999年)、イタロ・ズヴェーヴォ『トリエステの謝肉祭』(白水社、2002年)など。

***

内容紹介にある、「仕上げたばかりのこの小さな書物において、わたしは自分自身にとってたいへん重要な主題について、可能なかぎり明確に述べたのです」という言葉は、月曜社編集部に昨年届いたアガンベンさんからの私信に書かれていた言葉です。その言葉通り、小著ながら、濃密で繊細なエッセイ集となっています。

2001年の年末にアガンベンさんが初来日した折、東京外語大での講演の席上で、東浩紀さんの質問に答えてアガンベンさんはこう言いました。「哲学にとって重要なことは〈資本主義機械〉を中断することです」。まさに本書『涜神』においては、そのことが詳しく書かれているのです。

『涜神』とほとんど同時に、岩波書店さんから『残りの時』が上村忠男さんの訳で刊行されます。上村さんには『涜神』も共訳で手がけていただいています。上村さんの訳でアガンベンの著書が二冊同時に出るのです。上村さんご自身の最新著『グラムシ 獄舎の思想』もまもなく青土社から刊行されるはずです。これは『現代思想』の連載に加筆修正されたものです。

『涜神』は、全書判といって、平凡社さんの東洋文庫と同じサイズの本になります。天地は新書とほぼ同じですが、左右が少し新書より広い。手のひらにしっくりくる本にしたいと思っています。(H)

by urag | 2005-08-22 23:16 | 近刊情報 | Comments(0)


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