★『ギリシア デフォルト宣言』は、Against the Troika: Crisis and Austerity in the Eurozone(Verso, 2015)の翻訳。UNCTADのブレーンを務める経済学者のフラスベックと、ギリシア現与党(急進左派連合)の議員で、ロンドン大学の経済学部の教授を務めるラパヴィツァスの共著で、ギリシアにおける経済破綻の構造と国民投票の背景である、ユーロ圏の危機(欧州通貨同盟の問題点)を知る上で、たいへん勉強になります。全12章構成で、オスカー・ラフォンテーヌの緒言、ポール・メーソンの序文、アルベルト・ガルソン・エスピノサのあとがきが併録されています。「ギリシアの現在は世界の明日の姿だ」という帯文が胸に刺さります。ちなみに河出書房新社さんからは、星野智幸さんの注目作『呪文』が9月10日取次搬入で発売済になっています。手触りに特徴があるカヴァーに金箔で書名が刷られていて美しいです。内容については先日も言及しましたが実に重くて、美麗な装丁とのギャップが怖いくらいです。「いや、これは小説の世界であって現実には・・・」と言いかけてそのあとの言葉が出てこない怖さ。