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2005年 07月 03日
今週はなんだか岩波さんの本を複数取り上げています。私事ですが十数年前、大学生の時に岩波の入社試験に応募したことがあります。岩波が公募を再開した最初の年だったような記憶があります。見事に筆記で落ちました。 *** 基盤としての情動――フラクタル感情論理の構想 ルック・チオンピ(1929-)著 山岸洋+野間俊一+菅原圭悟+松本雅彦訳 学樹書院 本体5000円 4-906502-29-6 ●『感情論理』(原82年、訳94年、学樹書院)に続く、日本語訳第二弾がついに出ました。帯文には「『感情論理』の発表から20余年を経て、大胆な構想のもとに結実した精神の科学の新たなパラダイム」とあります。精神医学、心理学、哲学、教育学、システム理論、オートポイエーシスといった諸領域を横断するチオンピの最新成果です。ちなみに『感情論理』は品切重版未定だそうで。 現出の本質(上・下) ミシェル・アンリ(1922-2002)著 北村晋+阿部文彦訳 法政大学出版局 本体各6600円 4-588-00813-7 4-588-00814-5 ●版元の紹介文を抜粋します。「現代フランスの現象学を代表するミシェル・アンリの主著、待望の完訳。ハイデガーによる形而上学批判の影響のもとに新たな現象学的存在論を展開し、古代ギリシアからハイデガーに至る西洋哲学を「存在論的一元論」として批判的に捉え直すとともに、アンリ独自の「内在」概念の内に根源的な現出の本質を見出し、その具体的な啓示を「情感性」として規定する試み。「遅れて正当な評価」を得たレヴィナス思想と同様に、「いぜんとして知られざる傑作」(ティエット)、「長きにわたって孤立無援」(ジャニコー)の書として評されてきた、現象学の現出論的展開の古典的名著」。ティエットというのは誰でしょうね。ひょっとしてグザヴィエ・ティリエットのことかな。 フィヒテ全集(15)現代の根本特徴/幸いなる生への導き フィヒテ著 柴田隆行+量義治訳 晢書房 本体8000円 4-915922-44-8 ●以下は既刊情報です。 1995年01月「第6巻:自然法論:知識学の原理による自然法の基礎/カントの『永遠平和のために』論評」藤沢賢一郎ほか訳(ISBN:4-915922-35-9) 1995年01月「第19巻:ベルリン大学哲学講義(1):知識学概要/意識の事実/知識学」藤沢賢一郎訳(ISBN:4-915922-48-0) 1997年02月「第4巻:初期知識学」隈元忠敬ほか訳(ISBN:4-915922-33-2) 1997年09月「第2巻:初期政治論」井戸慶治+田村一郎訳(ISBN:4-915922-31-6) 1998年10月「第22巻:教育論・大学論・学者論」 隈元忠敬ほか訳(ISBN:4-915922-51-0) 1999年10月「第7巻:イェーナ時代後期の知識学」鈴木琢真+千田義光+藤沢賢一郎訳(ISBN:4-915922-36-7) 2000年09月「第9巻:道徳論の体系」忽那敬三+高田純+藤沢賢一郎訳(ISBN:4-915922-38-3) 2001年07月「第20巻:ベルリン大学哲学講義(2)」隈元忠敬訳(ISBN:4-915922-49-9) 2002年06月「第23巻:ベルリン大学哲学講義(3):知識学1811年/知識学1813年春の講義/知識学1814年/関連書簡・日記」隈元忠敬訳(ISBN:4-915922-52-9) 2004年12月「第13巻:一八〇四年の「知識学」」山口祐弘訳(ISBN:4-915922-42-1) マルクス・コレクション(1)デモクリトスの自然哲学とエピクロスの自然哲学の差異/ヘーゲル法哲学批判序説/ユダヤ人問題によせて/経済学・哲学草稿 カール・マルクス著 中山 元+三島 憲一+徳永 恂+村岡 晋一訳 筑摩書房 本体3000円 4-480-40111-3 ●全7巻。既刊情報は以下の通りです。 2005年01月「第4巻:資本論第1巻(上)」今村仁司+三島憲一+鈴木直訳(ISBN:4480401148) 2005年01月「第5巻:資本論第1巻(下)」今村仁司+三島憲一+鈴木直訳(ISBN:4480401156) 2005年03月「第3巻:ルイ・ボナパルトのブリュメ-ル一八日/経済学批判要綱「序説」「資本制生産に先行する諸形態」/経済学批判「序言」/資本論第一巻初版第一章」横張誠+木前利秋+今村仁司訳(ISBN:448040113X) 西田幾多郎――永遠に読み返される哲学 河出書房新社 本体1500円 4-309-74002-2 ●没後60年ということで西田幾多郎(1870-1945)がますます見直されつつあるようです。小泉義之と檜垣立哉の対談「西田から「哲学」を再開するために」のほか、「はじめての読者のための西田哲学入門」と銘打ち、上田閑照、小林敏明、藤沢周、合田正人、などの論考およびエッセイ、田中小実昌の小説「なやまない」を収録。西田自身の論考「知と愛」「場所」「私と汝」などを抄録アンソロジーで併録しています。 ちょうど岩波書店でも、「新版 西田幾多郎全集」の第17巻「日記 I」が発売され、さらに、「岩波全書セレクション」という復刊シリーズで、『哲学の根本問題――行為の世界』4-00-021861-1、『哲学の根本問題続編――弁証法的世界』4-00-021862-Xなどが刊行されはじめています。 ギーター・サール――バガヴァッドギーターの神髄/インド思想入門 A.ヴィディヤーランカール著 長谷川澄夫訳 東方出版 本体2000円 4-88591-947-9 ●帯には「サンスクリットの原典で読む神の歌150篇」とあり、ガンジーの言葉「ギーターによって常に私は平安を得た」という言葉を紹介しています。原典併記らしいです。 対訳 地球憲法第九条 チャールズ・M・オーバビー著 国弘正雄訳 たちばな出版 本体2000円 4-8133-1885-1 ●「日本国憲法第9条」の英訳版です。「世界平和のための名誉ある73語」と銘打たれています。97年刊の増補版。 法 守中高明著 岩波書店 本体1300円 4-00-027010-9 ●第II期「思考のフロンティア」全13巻からの1冊。法の起源、法と暴力、法と倫理などの問題系をめぐり、ベンヤミン、デリダ、アガンベンなどの思考を通して、法を生きるわれわれの正義のありかを考える論考とのことです。 メディア危機 金子勝(1952-)+アンドリュー・デウィット著 日本放送出版協会 本体920円 4-14-091031-3 ●版元の紹介文によれば「歪んだ戦争報道、根拠薄弱な経済回復論、全てを善悪に還元するお粗末な二分法…迷走する日米の報道を徹底批判。不正確な情報を見抜くためのリテラシー獲得法や、この不透明な時代において客観的かつ批判的な思考をいかに養うかという普遍的な問題にまで論及する」とのこと。NHK問題には触れてるのかな? ルネサンスの工学者たち――レオナルド・ダ・ヴィンチの方法試論 ベルトラン・ジル(1920-80)著 山田慶児訳 以文社 本体4700円 4-7531-0241-6 ●版元の紹介文によれば、「ギリシア・ビサンツ・ローマ・アラブを経てイタリア・ルネサンスに至る技術の壮大な歴史を、写本と残されたデッサンから克明に跡付けた貴重な研究」。 思想としての日本近代建築 八束はじめ(1948-)著 岩波書店 本体4000円 4-00-023407-2 ●建築と国家の「近代」をめぐって、政治学、歴史学、文学等の文献を渉猟しつつ検証。基本書ということで。 *** 以上です。(H)
by urag
| 2005-07-03 00:03
| 本のコンシェルジュ
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