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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2014年 11月 20日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2014年11月29日(土)開店
かもめブックス:約41坪(うち半分が書店、その他はカフェ、ギャラリー)
東京都新宿区矢来町123 第一矢来ビル 1F
栗田帳合。弊社へのご発注は人文書数点。神楽坂の文鳥堂書店本店が今春(2014年4月5日)閉店したのを惜しんで、なんと校正・校閲の専門会社である鴎来堂さんが同じ場所で本屋を開業されます。町の本屋さんの閉店がごくありふれた風景となっている昨今、眼を瞠る試みです。聞くところによると某チェーンのベテラン書店員さんがこちらに移籍されるとのことで、むしろ版元営業マン界隈ではその方が抜ける本屋さんの今後が心配になったりしているようです(それだけ信頼感のある方だという意味です)。

同店のプレスリリースによれば「書店従来の新刊を優遇した売場作りとは異なる〈レコメンド/感動を伝える〉〈リマインド/感動を想起させる〉を意識した売場を作っていきます」とのこと。2015年には同ビル2Fにコミック専門フロアを開店予定だとか。また本屋に併設されているカフェ「WEEKENDERS COFFEE All Right」では生ビールや毎月入れ替わる地ビールも提供されるとのことで、トークイベントやフードイベントの開催が可能となるスペースとして宣伝されています。また、書店内のギャラリー「ondo kagurazaka」では「本の刊行に合わせた展示やカフェでのイベントと連動した企画展示の開催が可能」とのことです。

開店までの作業の様子は同店のブログに詳しいです。ご苦労されている反面、じつに楽しそうです。


2014年12月5日(金)開店
喜久屋書店仙台店:490坪
宮城県仙台市青葉区中央4-1-1 イービーンズ 5・6F
トーハン帳合。弊社へのご発注は人文書数点。イービーンズには3Fおよび5~7Fにジュンク堂書店仙台本店(トーハン帳合)が入っていましたが先月10月29日に閉店(ジュンク堂ウェブサイトのお知らせはこちら。「河北新報」10月11日付報道はこちら)。震災以後、ジュンク堂は仙台ロフト店、イービーンズの仙台本店、そしてLABI仙台の地下1Fに仙台TR店の3店舗を展開し、いくらなんでも多すぎるのではと版元を内心ヒヤヒヤさせていましたが、結果的に残念ながら2店舗は撤退し(仙台ロフト店は本店の少し前の8月31日に閉店)、仙台TR店(トーハン帳合)を残すのみとなりました。DNP傘下のCHIグループ(丸善CHIホールディングス)としては同じく仙台駅前の商圏に丸善仙台アエル店(日販帳合)が営業中です。そうして今後は、イービーンズの8Fで営業していた、グループ外ながら兄弟関係と言っていいであろう喜久屋書店漫画館仙台店(300坪)をジュンク堂が退店した5・6Fに移し、総合書店としてオープンするというわけです。

つまり、大きく見れば単なるジュンク堂の撤退ではなく、他チェーンで後を継ぐ、というわけでしょうか。ジュンク堂が撤退した仙台ロフトの7Fには現在はやはりDNP傘下の文教堂JOY(animega B's Hobby)仙台ロフト店が開店しています。・・・とはいえ、正直に言えば夏から秋にかけて連続でジュンク堂が仙台から撤退したことに対しての出版界の第一印象はあまりよくないようです。出店から閉店まで、経営の意図がさほど伝わってこないのです。もう少し丁寧に経緯を対外的に説明されてもよかったのではないでしょうか。現場で働く皆さんにとっても、こういう目まぐるしい動きはいささか戸惑うところがあったかもしれないと想像しています。

DNP傘下の株式会社文教堂グループホールディングスでは先月末に文教堂書店渋谷店を閉店させています。駅前のお店なので不採算店とは思えませんでしたが、実際はどうなのでしょう。ネームバリューがある好立地の書店さんでも整理されていく時代になったというべきなのか、それともごく当たり前に、様々な事情次第で本屋さんがなくなっていく、その日常的一例にすぎないのか、あるいは書店激戦区ではいよいよお店が淘汰されていくということなのか。

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品切につき出品できませんでしたが、今月は京都造形芸術大学の「D&DEPARTMENT KYOTO」分の発注がありました。トーハン帳合で、2014年11月29日(土)開店予定。紀伊國屋書店京都営業部さんが商品調達のサポートをされているようですね。そういえば同店の発注があったトーハン京都支店からは国会図書館関西館での原装保存用の既刊書籍の発注も同時期にありました。

国会図書館が今春(2014年4月24日)発表した「原装のまま保存するための複本の収集を開始しました」というお知らせによると、「当館では、我が国の出版文化を後世に伝承することを目的として、出版文化史上、あるいは造本・装丁上意義があり、将来に示唆を与えると考えられる国内刊行図書を、函・カバー等の外装を含めた原装のままで保存するため、複本としての収集を開始しました。これらは、日本書籍出版協会及び日本印刷産業連合会が毎年主催する「造本装幀コンクール」出品作品のうち、同コンクール事務局からご寄贈いただけたもの、または、当館において購入したものです。なお、これらの資料は、原則として、公共的性格を有する各種展示会への貸出しでのみご利用いただくことができます」と。

この「「造本装幀コンクール」出品作品のうち」という文言が気になります。コンクール出品作品からしか保存対象を選ばないのかどうか気になったので、本件を国会図書館東京本館に問い合わせたところ、「コンクール出品作品」のみから選択するとのご回答でした。コンクールに出品されない本の中にもたくさん素晴らしい造本の書籍はあるというのに、いったい血税を使ってこの選択方法しかないのはいかがなものか、彼らの言う「出版文化史」はコンクールの中にしかないとでも言うのか、と天を仰いだ今日この頃です。

国会図書館にも色々事情はあるのでしょうし、予算や人員の限界もあるのでしょう。しかし、たとえばつい先日発売された『アイデア(367)日本オルタナ文学誌 1945-1969 戦後・活字・韻律』(誠文堂新光社、2014年11月号)で、郡淳一郎さんが戦後日本出版史における「社内装丁・編集装丁」の系譜を辿ったような作業は、「コンクールから選抜する」作業とはほとんど無縁のもので、郡さんのような探究例を国会図書館は見逃すべきではありません。あえて申し上げますが、国史や正史の一部として「出版文化史」なるものがあるのではないことは自明です。雑多で多様で、時として相矛盾する細部を有する文化史への接近は容易ならざるものです。

国会図書館さんの今後のますますの努力に期待しつつ、今回は、コンクール出品作のみから選択するという方法には明らかな瑕疵があるように思う(要するに手抜きに見える)、と一出版人として苦言を呈する次第です。

by urag | 2014-11-20 17:07 | 販売情報 | Comments(0)


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