2014年 10月 19日
平等の方法 ジャック・ランシエール著 市田良彦・上尾真道・信友建志・箱田徹訳 航思社 2014年10月 本体3,400円 四六判並製392頁 ISBN978-4-906738-08-3 帯文より:世界で最も注目される思想家が、みずからの思想を平易なことばで語るロング・インタビュー。2012年までの全著作の自著解説。「分け前なき者」の分け前をめぐる政治思想と、映画や文学、アートなど「感覚的なものの分割」をめぐる美学思想は、いかに形成され、いかに分けられないものとなったか。ランシエール思想、待望の入門書! ★発売済(2014年10月10日取次搬入済)。原書は、La méthode de l'égalité(Bayard, 2012)です。ローラン・ジャンピエールとドール・ザビュニャンによるインタヴュー本で、「生成過程」「いくつもの線」「閾」「現在」の四部構成です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。巻末には事項索引と人名索引があり、人名索引は人物小辞典を兼ねています。カヴァーはランシエールの顔の大写しで、背にちょうど左目が来るので、棚にあるとどうしてもつい眼が合ってしまいます。これは良い戦略かも。デザインは前田晃伸さんによるものです。ランシエールはインタヴューにかなりざっくばらんに答えていて、学生時代や教員時代の様々なエピソードや自身の著書の話など、同時代の知識人たちとの違いや温度差、影響関係が如実に表れた、非常に興味深い内容となっています。訳者のお一人である市田さんによる驚嘆すべき『ランシエール――新〈音楽の哲学〉』(白水社、2007年)は別格として、ランシエール自身によるランシエール入門として出色の一冊ではないでしょうか。本書はまた、ランシエールの視点から見た現代思想史の貴重な証言集でもあると言えるかもしれません。 インパクトが強い本書のカヴァーは、陳列方法によっていっそう強力になる気がします。たとえば私の手元には偶然2冊の『平等の方法』があるのですが、平積みを少しズラすと眼眼眼・・・になります。これをもっとたくさんの冊数でやったら・・・と想像すると・・・ 時間のヒダ、空間のシワ…[時間地図]の試み――杉浦康平ダイアグラム・コレクション 杉浦康平著 鹿島出版会 2014年9月 本体3,500円 A4変型判並製104頁 ISBN978-4-30604606-1 カバーソデ紹介文より:地図の歴史を塗り替えた伝説のダイアグラム「時間地図」「時間軸変形地球儀」――。東京が、日本列島が、そして地球が容赦なく歪み、引っ張られ、凹んでいく。移動速度の変化が引き起こし、文化の振る舞いが映し出された「時間のヒダ、空間のシワ」を可視化する・・・。時間を軸にして、これまでに見慣れた空間地図や地球儀を変形する試み。多視点から解析して生みだされたデータ群を再構成し、新しい視点を加え図像化する。数々の伝説的なヴィジュアル・デザインを生み出した杉浦康平が、1960年代から挑戦しつづけた「ダイアグラムデザイン」、「時間地図」群の全貌・・・。初期ダイアグラム群を共作した松岡正剛との対談をはじめ、多木浩二によるエッセイ、かつて時間地図の編集・制作にかかわった、村山恒夫・赤崎正一らによる寄稿・インタビュー、後半では、建築家・白井宏昌やhclab.の若手クリエーターが、時間地図のデジタライズによって、〈スギウラ時間地図〉の試みを解読する・・・。 目次 記号と記号のかなた――杉浦康平についての覚え書き(多木浩二) 時間地図とは何か――「多にして一」という発想法(インタビュー:杉浦康平×赤崎正一) ダイアグラム・コレクション 足跡としての、時間地図(対談:松岡正剛×杉浦康平) 紙の「マルチメディア」実験――『百科年鑑』生誕クロニクル(村山恒夫) 新しい時間地図を生みだす――〈スギウラ時間地図〉の試み(杉浦康平) ダイアグラム・コレクション 時間地図のモデル化に挑む――時間のヒダ、空間のシワを可視化する(杉浦康平) 建築家にとっての時間地図(白井宏昌) デジタイズされた時間地図の再解釈と展開(hclab.+白井宏昌) 時間地図のかなたへ・・・(杉浦康平) 収録図版データ 執筆者紹介 ★発売済。杉浦康平さんによる独創的なダイアグラムの数々を1冊で振り返ることができる新刊です。版元紹介文に曰く「空間や都市にまつわる膨大な事象やデータを図解し、一枚の平面に落とし込んだダイアグラムと時間地図の全貌」。世界を別の視点から見直すことを可能にしてくれる時間地図の数々は、それを見る者が以前に持っていた世界像を変容させ、知を鮮やかに刷新していくインパクトを秘めています。一般的なダイアグラムは学生の教科書にも利用されていますが、たいがいそれらは機能的なものです。杉浦さんが作成したきたものは機能的であるだけでなく美的でもあり、見る者の想像力の膨らませ方がより豊かになる気がします。 ★巻頭には次のような特記があります。「本書は、図版に描かれた文字が確実に読みとれるように、高精細印刷を施しています。ルーペを用い詳細に読みとってみてください」。こだわりが半端じゃありません。また、本書には赤青セロファンの眼鏡で見ると立体的に見えるステレオ図も収録されていて、杉浦ファンとしてはロングセラーの名作『立体で見る[星の本]』(福音館書店、1986年)を引っ張り出して付録の眼鏡を使うと良いと思われます。 なぜ生物時計は、あなたの生き方まで操っているのか? ティル・レネベルク著 渡会圭子訳 インターシフト発行 合同出版発売 2014年10月 本体2,200円 46判上製320頁 ISBN978-4-7726-9542-8 帯文より:そのズレがあなたの人生を狂わせる。自分本来のリズムとのズレ。恋人や家族のリズムとのズレ。社会のリズムとのズレ。英国医療協会、年間ベストブック。 ★発売済。原題は、Internal Time: Chronotypes, Social Jet Lag, and Why You're So Tired(内部時間:クロノタイプ、社会的時差ぼけ、なぜあなたはとても疲れているのか)で、2010年にケルンのDuMont Buchverlagからドイツ語訳が出たあと、2年後の2012年にHarvard University Pressから英語版が刊行されています。著者のティル・レネベルク(Till Roenneberg, 1953-)は、ミュンヘンのルートヴィヒ-マクシミリアンズ大学医療心理学研究所教授で、時間生物学センターの主任、欧州生物リズム学会の会長をおつとめです。ポピュラー・サイエンスの分野で次々にヒット作を出版してきたインターシフトさんですが、今回の新刊もやっぱり面白いです。面白いという以上に、色々と考えさせられます。一人ひとりの生活、睡眠、労働の質の向上だけでなく、よりよい社会を考える上で、体内時計=生物時計の研究が絶対に欠かせないのだということに気づかされます。 ★クロノタイプとは、「個人が一日の中で示す活動の時間的志向性」(21頁)で、「いわゆる朝型・夜型」(同)のこと。個人にとって最適な「寝る」タイミングを決めているのもこのクロノタイプです。生物学的時間(内部時間)を刻むこのクロノタイプが社会的時間(外部時間)を刻む自分の仕事のサイクルとずれていると「社会的時差ぼけ」が起きてしまうようです。社会的時差ぼけというのは「仕事のある日と休みの日の睡眠中央時刻の差」(190頁)のことで、自分の体にとって自然な睡眠サイクルと仕事時間との関係が齟齬をきたしていると、慢性的な健康障害に見舞われます。よく考えてみれば当たり前のように思えますが、ほとんどの現代人はさほど意識していないかもしれません。本書を読んでいると、生物時計の研究がいっそう進んでいるはずの未来社会は、個々人の持つ体内時計の違いというものに対しいっそう寛容で柔軟な体制になっているかもしれないな、と想像させます。 ◎作品社さんの新刊より 『プラグマティズム古典集成――パース、ジェイムズ、デューイ』チャールズ・サンダース・パース+ウィリアム・ジェイムズ+ジョン・デューイ著、植木豊編訳、作品社、2014年10月、本体4,200円、46判上製660頁、ISBN978-4-86182-501-9 『ノワール』ロバート・クーヴァー著、上岡伸雄訳、作品社、2014年10月、本体2,400円、46判上製248頁 ISBN978-4-86182-499-9 ★『プラグマティズム古典集成』は発売済。帯文は以下の通り。「20世紀初頭、プラグマティズム運動は何と闘ったのか? 混迷する21世紀を打開する思想となりえるのか? 日本で初めて最重要論文を1冊に編纂。画期的な基本文献集。本邦初訳を含む、全17論文を新訳」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。初訳なのは、デューイ「アメリカにおけるプラグマティズムの展開」(1925年)、同「真理に関する提要問答」(1910年)で、さらに部分訳しか出版されていなかった論文の新訳として、パース「プラグマティシズムの問題点」(1905年)、同「プラグマティズム」(1907年草稿)、デューイ「自由についての哲学上の諸学説」(1928年)が収められています。また、付録として編訳者の植木さんによる解題「プラグマティズムの百年後」、パース、ジェイムズ、デューイの略歴、掲載論文の出典および先行翻訳一覧、プラグマティズム文献案内が続き、巻末には事項索引と人名索引を完備。 ★数多くの入門書や個々の著作集は存在していたものの、原典によってプラグマティズムの古典を集成したアンソロジーは、本書以前では『世界思想教養全集(14)プラグマティズム』(河出書房新社、1963年;『世界の思想(14)』1966年)や『世界の名著(48)パース/ジェイムズ/デューイ』(中央公論社、1968年)があった程度でした。今回の『古典集成』ではプラグマティズムに分類される古典を集めるというよりはプラグマティズムという新語自体の生成と展開に焦点を絞って原典を集めている点が画期的で、歴史的経緯を追いたい方にはぜひとも必要な論文集でした。編訳者の植木さんはボブ・ジェソップやジョン・アーリに師事して社会理論を専門に研究されてきた方で、現在ご自身の著作『プラグマティスト社会理論』をご執筆中であるほか、東京大学出版会から近刊予定の『ジョン・デューイ著作集』(!)の第16巻「政治」の共訳を手掛けられておられるとのことです。 ★近頃、ローティの大著『プラグマティズムの帰結』(ちくま学芸文庫、2014年6月)が文庫化されましたし、コーネル・ウェストの『哲学を回避するアメリカ知識人――プラグマティズムの系譜』(未來社、2014年9月)も発売されたばかりです。昨年はヒラリー・パトナム『プラグマティズム――限りなき探究』(晃洋書房、2013年2月)が刊行され、シャンタル・ムフ編『脱構築とプラグマティズム――来たるべき民主主義』の新装版も出ました(法政大学出版局、2013年12月)。ここに東大の『ジョン・デューイ著作集』が加わるとなると、売場もますます盛り上がりそうですね。 ★『ノワール』は発売済(2014年10月16日取次搬入済)。帯文に曰く「“夜を連れて”現われたベール姿の魔性の女(ファム・ファタール)「未亡人」とは何者か!? 彼女に調査を依頼された街の大立者「ミスター・ビッグ」の正体は!? そして「君」と名指される探偵フィリップ・M・ノワールの運命は!? ポストモダン文学の巨人による、フィルム・ノワール/ハードボイルド探偵小説の、アイロニカルで周到なパロディ!」。訳者の上岡さんによるクーヴァー(Robert Coover, 1932-)の翻訳は斎藤兆史さんとの共訳『老ピノッキオ、ヴェネツィアに帰る』(作品社、2012年)に続く2作目です。 ★訳者あとがきで上岡さんは本書をこう解説しておられます。「『ノワール』は、ジャンル〔フィルム・ノワールやハードボイルド探偵小説〕をユーモラスにいじったメタフィクションであり、環境や役柄を捺しつけられて生きる人間のカリカチュアでもある。物語の時系列的な流れを分断し、過去と現在が複雑に入り組むあたりは、ポストモダン作家クーヴァーらしい構造(語りの過去形と現在形に注意して読んでいただきたい)。パズルを当てはめていくような面白味、あるいはコンピュータでハイパーリンクされた小説を読むような現代性がある。〔・・・〕彼の作品としてはわかりやすく、ご落成が高いので、クーヴァー初心者にもぜひお薦めしたい一冊だ」とのことです。 ★作品社さんではクーヴァーの続刊として、上岡さんの訳で『ゴースト・タウン』(原著2000年)や、越川芳明さんの訳で『ある夜の映画館』(原著1987年)の刊行が予定されています。ちなみに越川さん訳の『ユニヴァーサル野球協会』は白水uブックスで今年1月に再刊されています。クーヴァーと同様にポストモダン文学に分類されるトマス・ピンチョンの全小説作品を2010年より全12巻で新訳改訳してきた新潮社では先月『重力の虹』の佐藤良明さんの新訳上下巻でシリーズが完結しましたし、アメリカ文学棚のポストモダン・コーナーが再び賑やかになりつつあることを想像しています。 ◎2014年10月文庫新刊より 『快楽について』ロレンツォ・ヴァッラ著、近藤恒一訳、岩波文庫、1,200円 『現代哲学』バートランド・ラッセル著、高村夏輝訳、ちくま学芸文庫、1,600円 『解釈としての社会批判』マイケル・ウォルツァー著、大川正彦+川本隆史訳、ちくま学芸文庫、1,200円 『精神と自然――ワイル講演録』ヘルマン・ワイル著、ピーター・ペジック編、岡村浩訳、ちくま学芸文庫、1,600円 『生きがい喪失の悩み』ヴィクトール・E・フランクル著訳、中村友太郎訳、講談社学術文庫、本体880円 『三国志演義(二)』井波律子訳、講談社学術文庫、本体1,700円 ★まず岩波文庫『快楽について』は原著刊行が1431年。原題は「真の善と偽りの善について」です。もともと第1巻のみ「快楽論」として『原典イタリア・ルネサンス人文主義』(池上俊一監修、名古屋大学出版会、2010年)に訳出されていたものが全3巻全訳となって文庫化されたものです。イタリア・ルネサンスを彩る知の星座のひとつがこれで日本人にも近づきやすくなりました。訳者の近藤さんはこれまで岩波文庫でペトラルカやカンパネッラの訳書を上梓しているほか、単行本ではエウジェニオ・ガレンの著書を数冊訳しておられます。ヴァッラは今春『「コンスタンティヌスの寄進状」を論ず』(高橋薫訳、水声社、2014年4月)が訳されているほか、『快楽について』と並ぶ主著のひとつ「自由意志について」(1439年)の翻訳が『ルネサンスの人間論――原典翻訳集』(佐藤三夫編訳、有信堂、1984年、109-143頁)に収録されています。 ★なお、来月(2014年11月)14日発売の岩波文庫新刊では、ケストナー『人生処方詩集』小松太郎訳、コセリウ『言語変化という問題――共時態、通時態、歴史』田中克彦訳、『マラルメ詩集』渡辺守章訳などが予告されています。言語学を勉強していれば誰しもコセリウの名前には突き当たるとはいえ、なかなか渋い選択です。おそらく『うつりゆくこそことばなれ――サンクロニー・ディアクロニー・ヒストリア』(田中克彦・かめいたかし訳、クロノス、1981年)の文庫化ではないかと思われます。また、『マラルメ詩集』は岩波文庫では鈴木信太郎訳(1963年)以来の新訳でこれは待望の新刊と言えそうです。「エロディアード」「半獣神の午後」の異本を徹底的に読み込み、詳細に注解する、と宣伝されています。 ★次にちくま学芸文庫です。ラッセル『現代哲学』はかの有名な、An Outline of Philosophy(1927年)の初訳本です。先週、私はプルードンの『貧困の哲学(上)』(平凡社ライブラリー)について「まさかまさかの本邦初訳」と書きましたが、ラッセルの本書も負けず劣らずまさかの本邦初訳です。後代への影響力を考えれば、とっくの昔に訳されていてもおかしくありませんでした。翻訳大国であるはずの日本でもまだまだ未訳の古典はあるようです。訳題候補として「哲学概論」(出版社サイド)や「哲学のアウトライン」(訳者)が出ていたそうですが、書名を決めることは存外に難しいものですね。「同時代の科学的成果に正面から取り組んで世界観を作ろうとしていること、そしてクオリア問題などまさに現代哲学の課題に通じる議論が展開されていることを踏まえて、『現代哲学』と題することにした」と訳者解説に書かれています。本書は『哲学入門』『論理的原子論の哲学』に続く高村さんによるラッセルの翻訳第3弾。底本であるラウトレッジ・クラシックス版(2009年)に収録されているジョン・G・スレイターによる解説も一緒に訳出されています。 ★『解釈としての社会批判』は、Interpretation and Social Criticism(Harvard University Press, 1987)の全訳で、風行社より1996年に刊行されたものの文庫化です。文庫化にあたって、共訳者の大川さんが長めの文庫版解題「足・耳・口の力、約束の想い起こし――ウォルツァー『解釈としての社会批判』のもうひとつの読みかた」が追加され、もう一人の訳者の川本さんはご自身による訳者あとがきに短い「文庫版への追記」を加えられています。ウォルツァーの著作が文庫になるのは本書が初めてです。 ★『精神と自然』は、Mind and Nature: Sellected Writings on Philosophy, Mathematics, and Physics(Peter Pesic ed., Princeton University Press, 2009)の全訳で、アメリカでワイルが行った講演を中心に9篇を収めたもの。文庫オリジナルの新刊です。ワイルの文庫本としては『空間・時間・物質』(上下巻、内山龍雄訳、ちくま学芸文庫、2007年)がありましたが現在は品切。同文庫の「マス&サイエンス」シリーズはすぐに読むかどうかに関係なく買っておかないと品切になったあとにひどく悔やむことになるので要注意です。巻頭にペジックによる「はじめに」が置かれ、あとは年代順に「電気と重力」1921年、「形而上学的質問に対するアインシュタインとワイルの2通の手紙」1922年、「宇宙の時間関係性――固有時間、経験された時間、形而上学的時間」1927年、「開かれた時間――科学の形而上学的意味についての三つの講演」1932年(I:神と宇宙、II:因果律、III:無限)、「精神と自然」1934年(I:感覚と主観、II:世界と意識、III:科学と諸概念と理論の構成的性格、IV:相対性、V:量子物理学における主体と対象)、「プリンストン大学創立200周年記念会議での講演」1946年、「人間と科学の基礎」1949年頃、「知識の統一性」1954年、「洞察と反省」1955年、の9篇です。 ★ちくま学芸文庫の来月(11月)10日発売の新刊には、サティ『卵のように軽やかに――サティによるサティ』岩佐鉄男・秋山邦晴編訳、ヴェイユ『工場日記』田辺保訳、などが予告されています。前者は筑摩叢書(1992年)からのスイッチで、後者はかつて講談社学術文庫で刊行されていたものの再刊かと思います。『工場日記』はなぜか長期品切だっただけに再度の文庫化は妥当ですね。 ★最後に講談社学術文庫です。『生きがい喪失の悩み』は、Das Leiden am sinnlosen Leben(Herder, 1977)の翻訳で、講演録をまとめたものです。親本はエンデルレ書店から1982年に『生きがい喪失の悩み――現代の精神療法』として刊行されています。古書店であまり見かけない本でしたから文庫化は嬉しいです。再刊にあたって「学術文庫版への訳者あとがき」と諸富祥彦(明治大学教授)さんによる解説「フランクル――絶望に効く心理学」が加えられています。訳者の中村さんは「原本の刊行から30ね二条が経過しているので、時代状況の変化にあわせて、いくつかの精神医学用語などの訳語を変更したほか、より分かりやすい表現への改訂にも尽力しました」とのことです。 ★『三国志演義(二)』は第31回から第60回までを収録。孔明の登場や「長坂の戦い」「赤壁の戦い」など、物語前半の山場となる場面を収めています。第三巻は来月10日発売予定です。
by urag
| 2014-10-19 23:54
| 本のコンシェルジュ
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