月刊誌「
文學界」7月号に掲載された、福田和也さんのエッセイ「不本意な覚醒――ヴィットリーニのファシズム、ユンガーとナチズム」では、小社刊行の『
追悼の政治』が、法政大学出版会さんの『ユンガー=シュミット往復書簡』や、岩波文庫のヴィットリーニ著『シチリアでの会話』とともに紹介され、論評されています。特に「総動員」を参照しながら、ユンガーとナチズムの間の距離に鋭い疑義を差し挟んでおられます。
同誌では、内田樹さんの連載「私家版・ユダヤ人文化論」の第7回「ある冒険的反ユダヤ主義者の肖像」(ブランショへの言及あり)や、先ごろ来日したピエール・ギヨタをめぐる宇野邦一さんのエッセイ「試みのギヨタ」なども読めます。また、「私の読書遍歴」のコーナーでは私の敬愛する舞踏家笠井叡さんがインタビューに答えておられます。
さらに、松浦寿輝さん、星野智幸さん、陣野俊史さんによる鼎談「村上龍『半島を出よ』を読み解く」があり、山田詠美さんのインタビュー「短編小説の技術」も掲載されています。そのほか、諸先生方による連載も大小盛りだくさんですが、一読して気分が悪くなるような酷い文章も中にはあって、その書き手さんは近年ものすごいスピードで単行本やら編著やら新書やら訳書を出し続けているたいへん生産的な方ですが、折々の毒舌が読む者をなんともいたたまれなくさせます。
さて、「文學界」はいいとして、『追悼の政治』については、「
電網山賊」さんが
6月4日のエントリーで触れてくださっています。戦争を知らない世代にとってユンガーを読むことがどのようなものであるのか、そこに「電網山賊」さんの真摯な問い掛けの根幹があるように拝読しました。「電脳山賊」さん、ご購読ありがとうございました。
ユンガー関連の続報ですが、小社刊行予定のユンガー著『労働者』の翻訳作業は着々と進んでいます。まだしばらく先にはなりますが、必ず皆様のお手元にお届けします。(H)