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2014年 06月 05日

国際カンファレンス「デリダ・トゥデイ」第4回の様子

★西山雄二さん(訳書:デリダ『条件なき大学』、共訳:『ブランショ政治論集』)
★宮﨑裕助さん(訳書:ド・マン『盲目と洞察』)
2014年5月28日~31日に、ニューヨークのフォーダム大学にて開催された国際カンファレンス「Derrida Today」第4回の様子を、参加された四名の研究者の皆さんが報告されています。西山雄二(首都大学東京)、宮﨑裕助(新潟大学)、亀井大輔(立命館大学)、吉松覚(京都大学大学院・日本学術振興会)の四氏がそれぞれリポートを書かれており、脱構築研究会のウェブサイトで公開されています。西山さんと宮崎さんはカンファレンスの掉尾を飾る講演、ドゥポール大学(De Paul University)の哲学教授マイケル・ナース(Michael Naas)さんによる「デリダ最盛期(Derrida Floruit)」が素晴らしかったと特記されています。ナースは周知の通りデリダの著書の数々の英訳やデリダ論などで国際的に知られている研究者ですが、日本ではまだ訳書はありません。デリダが死去した10月8日の一週間後に最新著『The End of the World and Other Teachable Moments: Jacques Derrida's Final Seminar』がフォーダム大学出版から刊行される予定です。

なお、フォーダム大学出版の編集長を務められていたヘレン・ターター(Helen Tartar, 1951-2014)さんが今年3月3日にコロラド州デンバーの交通事故により62歳で亡くなられたことは、英米の多くの人文系編集者や研究者にとって大きな衝撃を与えたようです。ターターさんの名前をスタンフォード大学出版やフォーダム大学出版が刊行する人文社会系(特に批評理論系)書籍の謝辞で見かけたことのある日本の読者は、それなりの人数がいらっしゃることでしょう。スタンフォードからフォーダムに十年ほど前に移籍されたのは私はてっきりヘンドハントだと当時思っていたのですが、スタンフォードの組織改変によるものだったらしいことを今さら知って驚きました。人員整理による人文系編集者の退職は、90年代以降日本でもアメリカでも顕著になっていた現象かもしれません。フォーダム大学出版のディレクターFred Nachbaurさんによる3月5日の記事「Fordham University Press Mourns Loss of Editorial Director」や、スタンフォード大学に現在在籍されている評論家Cynthia Havenさんによる3月15日付の記事「“A profound intellectual joy”: In memoriam, legendary editor Helen Tartar」、イェール大学ドイツ文学客員教授のHenry Sussmanさんによる3月7日付記事「Helen Tartar, Editorial Director, Fordham University Press, 1951-2014」(コメント欄でヘイドン・ホワイトさんが「彼女の死は大きな損失」等と書き込んでおられます)などをご参照いただけたらと思います。

by urag | 2014-06-05 14:13 | 書評・催事・広告 | Comments(0)


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