「
新文化」や「
文化通信」などの速報によれば、渋谷駅周辺エリアの老舗である「
大盛堂書店本店」が、今月末(2005年6月末)で閉店することになった、と伝えられています。3年後に再開予定があるそうですが、詳細はわかりません。
株式会社大盛堂書店は明治45年創業。渋谷本店は43年の長きに渡って親しまれてきましたが、入居している損保ジャパン渋谷ビルの老朽化による建替えに伴い、撤退を決めたとのことです。「同店は総売場面積・約500坪。90年代には年商約20億円を計上していたが、近年は売り上げ減少によりその半分に落ち込んでいた」、と。
近年の不調の原因は、ひとつには、
阪急ブックファースト渋谷店の好調と背中合わせである気がします。専門書も置く硬派な品揃えが売りの、「本のデパート」を名乗ってきた大盛堂でしたが、大型チェーン店が次々と周辺エリアに参入したことで影が薄れ、一般書についても近隣に進出した
SHIBUYA TSUTAYAに徐々に客を奪われていった、という情況ではなかったかと推察します。
3年後の再開予定がどれほど現実的なものなのかはよくわかりません。渋谷駅周辺には上記のブックファーストやTSUTAYAのほか、
文教堂、
旭屋書店、
紀伊國屋書店、
リブロ、
啓文堂書店、などの大・中規模店が群雄割拠し、さらには24時間営業の山下書店
渋谷南口店と
渋谷東口店、そして各種専門書店が点在するなど、いったいいつどこの店が撤退を決めても全然おかしくないくらいの大戦争状態です。たとえば「書皮の名刹」サイトの
渋谷編などをご覧ください。
「駅前店(旧TOKYO文庫TOWER)」は引き続き営業するそうですが、果たして本店がどんな立地にどんな規模で再開を期しているのか、気になるところです。
渋谷に書店が密集している一方で、郊外や地方都市では、ほとんど書店が皆無の地域だってあるわけです。この著しい「格差」状態は今後も続くのでしょう。(H)