黒い雪が降っている
(・・・)
死の中であなたは私を抱いている
もう決して自由になれない
(・・・)
私は死への願望など持っていない
自殺しようとしたことなど一度もない
私が消えるのを見て
私を見て
消えるよ
私を見て
私を見て
見て
(・・・)
私が一度も見たことがなかったのは自分自身だ。自分の顔は精神の下側に貼り付けられているから
(・・・)
(・・・)
お願い、幕を開けて
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サラ・ケイン「4時48分 サイコシス」谷岡健彦訳より
『舞台芸術08』(特集=パフォーマンスの地政学)所収
サラ・ケインは1971年生まれのイギリスの劇作家。1995年1月、戯曲「ブラステッド(爆破されて)」で演劇界にデビューを果たす。凄絶な暴力描写と性表現が大きな反響を呼んだ。1996年「パイドラーの愛」、1997年「スキン」(TV)、1998年「浄化されて」が上演/放送される。1998年「渇望」以後の作品では、詩的でメタフォリカルな内面描写に重きが置かれるようになる。1999年2月20日、「4時48分 サイコシス」の脱稿後に自殺。
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『舞台芸術08』は今週後半より書店店頭発売になります。巻末に全文掲載されたサラ・ケインの戯曲は圧倒的です。死神が宿っているかのような、暗い引力に満ちています。(H)