2014年 01月 26日
![]() 戦争の世界史――技術と軍隊と社会(上・下) ウィリアム・H・マクニール(William H. McNeill, 1917-)著 高橋均訳 中公文庫 2014年1月 本体1333円/1238円 文庫判並製480頁/384頁 ISBN978-4-12-205897-2/978-4-12-205898-9 カバー裏紹介文より(上巻):人類はいかにして軍事力の強化を追求し、技術・軍事組織・人間社会の均衡はどのように変遷してきたか。各専門分野を自在に横断し、巨大な全体像を描きだす野心的世界史。上巻は古代文明における軍事技術の発達から、仏革命と英産業革命が及ぼした影響まで。 カバー裏紹介文より(下巻):今から何百年かたったのち、われわれの子孫は、本書がおもな主題とした一千年紀(ミレニアム)を、人類史上の異常な激動期として認識するだろう――軍事技術の発展はやがて制御しきれない破壊力を生み、人類は怯えながら軍備を競う。下巻は戦争の産業化から二つの世界大戦と冷戦、現代の難局と未来を予測する結論まで。 目次: 上巻 序言 第一章 古代および中世初期の戦争と社会 第二章 中国優位の時代 1000~1500年 第三章 ヨーロッパにおける戦争というビジネス 1000~1600年 第四章 ヨーロッパの戦争のアートの進歩 1600~1750年 第五章 ヨーロッパにおける官僚化した暴力は試練のときをむかえる 1700~89年 第六章 フランス政治革命とイギリス産業革命が軍事におよぼした影響 1789~1840年 原注(典拠文献) 下巻 第七章 戦争の産業化の始まり 1840~84年 第八章 軍事・産業間の相互作用の強化 1884~1914年 第九章 二十世紀の二つの世界大戦 第十章 一九四五年以来の軍備競争と指令経済の時代 結論 訳者あとがき 文庫版へのあとがき 原注(典拠文献) 索引 ★発売済。『世界史』(上下巻、増田義郎/佐々木昭夫訳、中公文庫、2008年)や『疫病と世界史』(上下巻、佐々木昭夫訳、中公文庫、2007年)などのロングセラーが知られているアメリカの歴史家マクニールによるThe Pursuit of Power: Technology, Armed Force, and Society since A.D. 1000(Chicago University Press, 1982)の訳書『戦争の世界史――技術と軍隊と社会』(刀水書房、2002年)の文庫化です。下巻に収められた「文庫版へのあとがき」によれば、「本文の訳、原注の訳、訳注ともにだいたい親本のまま」だそうですが、「それでも、〔文庫化されるまでの〕十一年の間には典拠文献の翻訳出版も少しだがあり、電子ジャーナルやインターネットに挙がっている情報も充実し、最小限の手直しをした箇所がある。また〔・・・〕、表記の不統一や文意の曖昧な箇所などがかなり退治された」とも書かれています。 ★「序言」によれば、本書は『疫病と世界史』の姉妹篇とのことです。つまり、前作では「人間の集団とそのミクロ寄生体である病原菌との間の関係を取り上げ、両者の相互作用に生じた世界市場の画期的事件を特定しようと企て」たそうですが、「今回の『戦争の世界史』で解明しようと企てるのは、人間同士の間のマクロ寄生のパターンにときどき生じる、同じく突発的な変化である」とのことです(12頁)。また、著者はこうも書いています。「本書の目的は、過去の諸時代がいかにして軍事力の強化を追求してきたかを回顧し、技術と、軍隊組織と、社会との三者間の均衡がどのように変遷してきたかを分析することである。そのことから直接に今日のディレンマ状況の解決策が出てくるわけではない。だがそれでも、そのことで奥行きのある視野が拓け、歴史意識をもつことの利点として、一刀両断の解決策とか自暴自棄の急進主義とかがあまり魅力的には感じられなくなるだろう」(16頁)。 ★著者は第十章の末尾でこう述べています。「人間が互いに憎しみ、愛し、恐れ、寄り集まって集団を形成し、その集団の団結と生存能力が他の集団との敵対のかたちで表現され、同時にそのような敵対によって維持されるものであるかぎり、戦争がなくなることはない」(334頁)。また、「軍備競争を止めるには、政治の変革が必要なのである」(同)ときっぱり書いています。軍事技術史の古典として今後も読み継がれていくに違いありません。ちなみに再び「文庫版へのあとがき」によれば、「親本よりずっと多数であろう文庫版の潜在的読者へのメッセージ」として訳者はこう特記されています。「いま店頭で上下二巻ウン百ページの分量にためらっていらっしゃるのなら、まず下巻第七章の二つ目の節「新しい模範、プロイセン式の戦争」(50~79ページ)だけ読んでみてください。維新直後から昭和前期まで帝国陸海軍を呪縛しつづけた大先達の足跡が「統帥権」の起源をふくめほんの三十ページできれいにまとめられています」。 ★昨年6月に創刊40周年を迎えたという中公文庫では、今年3月まで記念キャンペーンを開催中だそうです。詳しくは特設サイトをご覧ください。40周年記念の小冊子(秋号、春号)をPDFで読むことができます。なお、今月の同文庫の注目新刊として、エラスムス『痴愚神礼讃 ラテン語原典訳』(沓掛良彦訳、本体857円、368頁、ISBN978-4-12-205876-7)があります。同作品の既訳には、同社の『世界の名著』からスイッチされた『痴愚神礼讃』(渡辺一夫/二宮敬訳、宮下志朗解説、中公クラシックス、2006年9月)があるほか、古くは『愚神礼讃』(池田薫訳、白水社、1940年)、新しいところでは『痴愚礼讃――附 マルティヌス・ドルピウス宛書簡』(大出晁訳、慶應義塾大学出版会、2004年)があります。 遊動論――柳田国男と山人 柄谷行人著 文春新書 2014年1月 本体800円 新書判並製224頁 ISBN978-4-16-660953-6 カバーソデ紹介文より:民族学者・柳田国男は「山人」を捨て、「常民」に向かったといわれるが、そうではない。「山人」を通して、国家と資本を乗り越える「来たるべき社会」を生涯にわたって追い求めていた。「遊動性」という概念を軸に、その可能性の中心に迫った画期的論考。 ★発売済。帯文には「『世界史の構造』『哲学の起源』を経て、到達した思想史の核心」とあります。挙げられている二著はいずれも岩波書店から、前者が2010年、後者が2012年に刊行されたものです。新書としては、『世界共和国へ――資本=ネーション=国家を超えて』(岩波新書、2006年)に続いて本書が2冊目です。また、柳田論としては、40年前の幻の雑誌連載が書き下ろしの序文とともに『柳田国男論』(インスクリプト、2013年10月)としてついに刊行されたことに続くものです。今回の『遊動論』は月刊誌『文學界』での連載をまとめたものです。執筆のきっかけになったのは、あとがきによれば、柄谷さんは阪神淡路大震災や東日本大震災の後に、柳田の『先祖の話』(筑摩書房、1946年;石文社、2012年;角川ソフィア文庫、2013年;など)を読んで身近に感じられたことや、『世界史の構造』で充分には書き足りなかったもののひとつに遊動民の問題(ノマド)があったからだそうです。 ★遊動民(ノマド)には大別すると二種類あって、遊動的狩猟採集民と遊牧民があると柄谷さんは説明します。本書には付論として、中国の中央民族大学での講演草稿「二種類の遊動性」(177-196頁)が収録されており、「読者にはむしろ、これを最初に読んでいただきたい」とのことです。「資本=ネーション=国家を越える手がかりは、やはり、遊動性にある。ただし、それは遊牧民的な遊動性ではなく、狩猟採集民的な遊動性である。定住以後に生じた遊動性、つまり、遊牧民、山地人あるいは漂泊民の遊動性は、定住以前にあった遊動性を真に回復するものではない。かえって、それは国家と資本の支配を拡張するものである。/定住以後の遊動性を高次元で回復するもの、したがって、国家と資本を越えるものを、私は交換様式Dと呼ぶ」(192-193頁)。交換様式A=互酬(贈与と返礼)、交換様式B=再配分(略取と再配分、強制と安堵)、交換様式C=商品交換(貨幣と商品)、交換様式D=X。柄谷さんの思考の道程は、このXへと向かう道のりであり続けています。 紙の本は、滅びない 福嶋聡著 ポプラ新書 2014年1月 本体780円 新書判並製262頁 ISBN978-4-591-13742-0 カバー裏紹介文より:デジタルの海に沈むことなかれ。世界最大のインターネット書店であるアマゾンが「日本上陸」して15年。キンドルやiPadは新たな読書端末を登場させた。それでも人びとは、書店にやってくる。何を求めて? インターネット空間に漂うコンテンツが膨大になればなるほど増す、書物の必要性。「世界を、宇宙を、人々の生きざまをもっと知りたいし、変えていきたい」と綴る現役書店人が今こそ世に問う「紙の本」の意義。 ★発売済。前著『希望の書店論』(人文書院、2007年)から実に7年ぶりとなる新刊です。あとがきによれば、朝日新聞社ジャーナリスト学校が発行する『ジャーナリズム』での連載を核に、人文書院のウェブコラム「本屋とコンピュータ」の中からいくつかの回を選んで、その他色々な媒体に寄稿した文章を集めて、加筆修正しながら繋ぎ合わせ、三章構成に編み込んだもの、だそうです。業界人必読なだけでなく、本の行く末を思うすべての読者に手にとっていただきたい本です。MARUZEN&ジュンク堂書店のウェブサイトでは、福嶋さんご本人が執筆に至る経緯や、本書に込めた思いについてコメントされた「著者からのメッセージ」を読むことができます。 ★本書には重要なトピックがいくつも散りばめられているのですが、紙媒体の「モノ」としての本を売ることが収益の基盤になっている私たち書籍出版社にとって、次のような一節はたいへん共感を覚えます。「メディアを不要とするコンテンツはなく、物質性から完全に自由なメディアはない」(88頁)。「「情報/物質」に分断線を引き「情報空間」を独立した世界のように偽装して「情報」に不可欠である「物質」=メディアを不可視化することによって、新たな支配的・監視的権力が生じ、今やその支配は、環境・政治・社会そして身体に、広範かつ確実に及んでいることを、ぼくたちは知るべきなのだ」(89頁)。この議論は藤本一勇さんの『情報のマテリアリズム』(NTT出版、2013年8月)での議論と繋がっていくのですが、こうした視野の地平は未来の展望ではなく、今ここに、現実に進行していることへの気づきなのだと思います。 世界論 安倍晋三/朴槿恵/ジョージ・ソロス/ビル・ゲイツ/ほか著 プロジェクトシンジケート叢書編集部訳 土曜社 2014年1月 本体1,199円 ペーパーバック判188×112mm並製192頁 ISBN978-4-907511-05-0 版元紹介文より:世界20名の要人に聞く、今年の論点。世界屈指のエコノミスト・政策担当者・政治指導者・戦略家・知識人が2013年を総括し、来る14年に何が起こるかを予測(自身の計画を表明)する。われわれの未来を形づくるアイデアを詰め込んだ、他ではありえないプロジェクトシンジケートの最強オピニオン集! ★発売済。『混乱の本質』『世界は考える』『新アジア地政学』「プロジェクトシンジケート叢書」第4弾であり、土曜社さんの9番目の出版物になります。序文は、共同通信特別編集委員の会田弘継さんが寄せておられます。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。安倍首相の「日本、賃金サプライズへ」は、今月6日に英文サイト「プロジェクトシンジケート」へ投稿されたもので、「時事通信」等で取り上げられていた当のものです。同日には年頭の記者会見でも「この春こそ景気回復の実感を収入アップという形で国民に届けたい」と話しているのはこの寄稿と呼応したアナウンスメントです。『世界は考える』では安部さんの寄稿は訳されずに終わったことを考えると、今回『世界論』に収録が叶ったのは意味があると思います。 ★寄稿者の一人、ジョージ・ソロスさんは「動く世界経済」の中でこう論じています、「スタグネーションで過去25年あまり苦しんできた日本は、金融政策で異次元の量的緩和を実施し、自国経済の復活に取り組んでいる。これは危険を伴う実験である――経済成長の速度が増せば金利は上昇し、公的債務返済の負担が支えきれない規模になる恐れがある。しかし、安部晋三首相は、自国経済の緩慢な死を座して待つのではなく、リスクをとって行動することを選んだ」(77頁)。このほか、アベノミクスについては、歴史学者のニーアル・ファーガソンや世界銀行上席副総裁のカウシク・バス、IMF専務理事のクリスティアーヌ・ラガルドといった各氏が、それぞれの立場から言及しています。論調に違いはあれ、構造改革の必要性と重要性を指摘しているのが興味深いです。 涙のしずくに洗われて咲きいづるもの 若松英輔著 河出書房新社 2014年1月 本体1,800円 46判上製208頁 ISBN978-4-309-02252-9 帯文より:死者の姿は見えない。だが見えないことと存在しないことは違う。生の営みの基層に響く「死者」たちは我々に何を語りかけているのか? 気鋭の思想家による、静謐なる思考。 ★まもなく発売。2011年から2013年にかけて各紙誌に発表されたエッセイを加筆修正のうえまとめたものです。収録された17本のうち、最後の1本「『想像ラジオ』を読む」は、代官山蔦屋書店での講演をもとに書き下ろされたものです。その最後にはこう記されています、「「読む」とは、書くことにけっして劣らない創造的な営みなのです」(204頁)。「憲法と死者」ではこんな風にも述べておられます。「私たちは真に「読む」ことで、言葉はそのままに意味を刷新することすらできる。古典と呼ばれる書物はそうして読みつがれてきた」(103頁)。あるいは「創造する想像」ではこう書かれています、「想像はいつも、「創造」と不可分に結びついている。だが、ここでの「創造」は無から有を創り出すことを意味しない。「創造」の瞬間、「創造」の現場に臨在することを指す。創造することが世界を作るのではない。想像するとは、毎瞬新しく想像される世界を感じる営みなのである」(129頁)。本書は死者論というよりは、死者との関わりがいかなるものであるかを探究したすぐれた関係論だと思います。その観点から、「呼びかける死者と見えざる悲しみ」では、弊社の処女出版であるアガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』が取り上げられています。 茶飯事 頴川邦子(えがわ・くにこ)著 平凡社 2014年1月 本体3,800円 A4判並製160頁 ISBN978-4-582-62307-9 版元紹介文より:日本の美しい四季や、海外の旅を舞台とした、女性料理研究家による伝統とモダンを融合させた茶事・茶会の数々。瑞々しい写真を通じて、現代の茶と食とおもてなしのあり方を提示する。 ★まもなく発売。帯には養老孟司さんの推薦文があります。もともとは料理本を作りたかった著者が、70歳を迎えて、自らの茶と料理を陰翳に富んだ写真と飾り気のない文章で紹介した第一作です。菅付雅信さんが編集を担当されています。オンライン書店などの書影では表紙はただ真っ白なだけで分かりにくいかもしれませんが、実際は茶室の室内の様子が空の箔押で再現されていて、とても綺麗です。季節ごとに花や草木の色どりとともに茶会でのお茶や食事の風景が美しく気品に満ちて並んでいます。また海外での茶会の様子も収録されていて楽しいです。巻末にはそれぞれの料理の作り方もまとめられています。頴川さんはまえがきで「日本の文化も生活も食事も、繊細で緻密で、素朴で大らか。世界に誇るべきものです。格調はあるけれど、自然で気取らない、親しみやすい深いものであることを、特に日本の若い方々に知っていただけたらと思います」とお書きになっています。また、あとがきでは「日本の若い人たちが、日本の美しい風土と精神、素晴らしい日本の文化と風習を再認識し、自信を持って世界へと発信してくださればと願っています」とも書かれています。本書は英文を併記しているので、海外の方へのプレゼント用にもいいかもしれません。 ◎水声社さん2014年1月の新刊 クレール・ド・デュラス夫人『ウーリカ――ある黒人娘の恋』湯原かの子訳、本体1,500円 アブドゥラマン・アリ・ワベリ『バルバラ』林俊訳、本体2,000円 ミシェル・マリ『ヌーヴェル・ヴァーグの全体像』矢橋透訳、本体2,800円 佐藤亨=写真・文『北アイルランドのインターフェイス』、本体2,500円 ★まず『ウーリカ』はデュラス夫人(1777-1829)が1824年に公刊した作品で、フランス文学において有色人種の女性を主人公にした最初の小説として、近年再評価されているそうです。日本ではこれまでいくつかの研究論文がありましたが、単行本として訳書が出るのは初めてです。訳者による巻末の作品解説によれば、主人公ウーリカは植民地セネガルから連れてこられた黒人の少女で、舞台はフランス革命時代のパリの貴族社会。彼女の成長と悲恋を告白体で描くとともに、人種差別への問いを提起しています。本書には夫人の略年譜も添えられており、なかなかに重い人生を過ごされたことが分かります。 ★次に『バルバラ』はシリーズ「フィクションの楽しみ」の最新刊で、ジブチ出身のフランスの作家アリ・ワベリの作品の初訳となるようです。1994年『影のない国』、1996年『遊牧民手帳』、そして本作すなわち1997年『バルバラ』、これらは彼の「ジブチ三部作」だそうです。『バルバラ』は四章構成でそれぞれに主人公がいて、「ジブチ共和国の日常に抵抗する四名の、恐らくは中産階級に所属していると推測し得る青年のポートレイト」(訳者あとがき)となっています。書名のバルバラとは、首都ジブチの南の郊外にある町の名前です。旧フランス植民地であるジブチ共和国のスラム街の日常とそれに抗する人びとを描いた本作は、フランス語圏のポストコロニアル文学に触れる良い機会を与えてくれます。 ★『ヌーヴェル・ヴァーグの全体像』もまた本邦初訳。原著は初版が1997年に刊行され、2012年に第3版が出版されています。本書の底本はその第3版。訳者後記によれば「有名だがその内実はなかなか理解しにくい映画運動に関する、コンパクトだがその全体像が射程に入れられた、バランスのとれた概説書として定評があ」るとのことです。帯文の謳い文句を引きますと、「1950年代末のフランス、旧来の映画製作の常識を根底から覆す「新しい映画」が続々と出現した・・・。映画史上未曽有の大変動《ヌーヴェル・ヴァーグ》。〔中略〕時代背景、経済状況、撮影技術、監督、俳優・女優・・・さまざまな側面から映画革命の真相に迫る、最良の概説書」。著者のミシェル・マリ(Michel Marie)は1945年生まれ、パリ第三大学教授で、映画史の専門家です。 ★最後に『北アイルランドのインターフェイス』は、多数派のプロテスタント系と少数派のカトリック系との間で対立が続いている北アイルランドを訪問した著者が壁絵「ミューラル」の研究を通じて、インターフェイスと呼ばれる異なるコミュニティの境界に出食わす中で、ベルファストの地元の人々に取材しながら対立の現在へと迫り、ありのままを記述したユニークな本です。柔らかい筆致と多数の写真によって、日本人が一般的には世界史教科書のわずかな記述やニュース報道などの少ない情報でしか知らなかったその実態へと読者を近づけてくれます。著者は1958年生まれで、現在、青山学院大学経営学部教授。ご専門はアイルランド研究です。2011年に同じく水声社さんから『北アイルランドとミューラル』という研究書を上梓されています。
by urag
| 2014-01-26 23:06
| 本のコンシェルジュ
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