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2005年 05月 16日

『UTS』と『マルチチュードの文法』の書評が

上野俊哉著『アーバン・トライバル・スタディーズ』の書評が、「東京新聞(中日新聞)」5月15日付読書欄に掲載されました。評者は陣野俊史さんです。

「国家や地域共同体のような既存の集団とは違った、クラブやサッカー場に集まる集団を、〔著者は〕アーバン・トライブと呼ぶ。あくまでも人工的で、浮動的で、相互に対立抗争する集団である。上野は「部族〔トライブ〕」という言葉から喚起される実にさまざまな思想的文脈を思い切りよく切断しながら、自身のスタディーズを積み上げている。力作である。」

非常に好意的なご紹介を賜りました。陣野先生、ありがとうございます。

また、「毎日新聞」5月15日付9面「今週の本棚」欄の「この人・この3冊」コーナーでは、山之内靖さんが、カール・マルクスをお題に、ネグリ+ハート著『〈帝国〉』以文社、小社刊行のヴィルノ著『マルチチュードの文法』、そしてマルクス著『経済学・哲学草稿』岩波文庫(特に「第三草稿」に注目していらっしゃいます)を選び、一文を記されています。

「マルチチュードとそれをもたらしたポスト・フォーディズム(情報技術革命とネットワーク化された協業関係)に注目しながらも、ヴィルノのまなざしは安易な解放幻想に背を向ける点で『〈帝国〉』の議論とは対照的である。ヴィルノはグローバリゼーション全体を人間の悲劇と捉えており、ベンヤミンに親近感を示している。」

山之内先生は、後期マルクスにおいては消えてしまった「受苦」(「第三草稿」)のテーマにこそ、マルクス再生の鍵があるのではないか、と指摘されています。これは、先生が昨年暮れに青土社から刊行された大著『受苦者のまなざし――初期マルクス再興』のテーマでもあるわけですね。山之内先生、ありがとうございました。(H)

by urag | 2005-05-16 12:36 | Comments(0)


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