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2013年 09月 08日

注目新刊・近刊・既刊:新しい思想誌「HAPAX」夜光社より創刊、ほか

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HAPAX VOL.1
夜光社 2013年9月 本体1,000円 四六判変形(118mm×186mm)160頁横組 ISBN978-4-906944-01-9

帯文より:もう、誰にも動員されたくないあなたのための思想誌、創刊!  世界/地球と蜂起主義アナキズムの交錯点から未来なき未来へ。いまこの世界の破滅そのものを蜂起に反転させる新しい思想/政治/文化はどこにあるか。
帯文(裏より):市民の製造こそが社会的のみならず、政治的、経済的、さらには人類学的な帝国の勝利である。

目次:
イカタ蜂起のための断章と注釈(HAPAX)
終わりなき限りなき闘争の言葉(高祖岩三郎)
アポカリプス&アナーキー・アフター・フクシマ(Apocalypse +/ Anarchy)
底なしの空間に位置づけられて:インターフェイス論に向けて(co.op/t)
それいいね、それなら……  (犯罪学発展協会)
悲惨と負債:剰余人口と剰余資本の論理と歴史について(エンドノーツ)
全てはご破算 コミュニズム万歳!(ティクーン)
暴動論のための12章(鼠研究会)
シャド伯爵夫人の秘密の晩餐(KM舎)
ハロー どこでもない場所からのあいさつ(無記名)
鋤も鍬もない農民(アンナR家族同盟)

★発売済。「ハパックス」と読むそうです(帯の背に書いてあります)。誌名の詳しい由来説明や創刊の辞はありませんが、巻末に「オックスフォード英英辞典」第二版にある「hapax」の説明が英文のまま引用されています。ギリシア語由来の言葉で「ただ一度だけ」や「特殊な」を意味する言葉です。寄稿者や本の内容、体裁から、かつて以文社から刊行されていた思想誌「VOL」を思い出します。ちなみに「VOL」のマネージング・エディターだったMさんは以文社をこの夏に去り、フリーになっています。「HAPAX」では、高祖岩三郎さん以外は皆、変名もしくはチーム名で寄稿されています。彼らの正体が誰なのかはひとまず措くとして、服従せざる者たち、抗う者たち、まつろわぬ者たちの夜会、輝ける闇が繋ぐ書斎と街頭、黎明の胎動……そうした蠢きの気配がここにあることは確かなようです。「われわれは蜂起する卵である。だが、そのすがたは見えない。すぐに孵化し、離散する」(KM舎、128頁)。これからの展開が楽しみな雑誌です。取扱書店は、版元ブログに掲載されています。取次はツバメ出版流通さんです。


人生の意味とは何か
テリー・イーグルトン著 有泉学宙+高橋公雄+清水英之+松村美佐子訳
彩流社 2013年9月 本体1,800円 四六判並製189頁 ISBN978-4-7791-7001-0

カバー裏紹介文より:「人生の意味とは何か?」と問うこと自体、哲学的に妥当なのだろうか? 本書は、オックスフォード大学出版局から出ているシリーズ“A Very Short Introduction”の一冊。アリストテレスからシェイクスピア、ウィトゲンシュタイン、そして、モンティ・パイソンなどを横断しながら、生きる意味を考えるイーグルトンの隠れた名著の本邦初訳!

★発売済。原書は、The Meaning of Life(Oxford University Press, 2007)です。目次詳細は書名のリンク先をご参照ください。カバー紹介文にある通り、かの“A Very Short Introduction”の一冊です。このシリーズの一部は岩波書店より「〈1冊でわかる〉シリーズ」として翻訳されていますが、訳されない書目もあって、他社から訳書が出ているような「例外」もあります。本書はその「例外」のひとつです。イーグルトンの著作の訳書は多数あって30冊近くありますけれども、その中でも本書はもっともコンパクトな著作と言えそうです。愛と幸福をめぐる思索への道のりを示す本書は、イーグルトンの自伝的証言集、『ゲートキーパー――イーグルトン半生を語る』(滝沢正彦+滝沢みち子訳、大月書店、2004年)や『批評とは何か――イーグルトン、すべてを語る』(マシュー・ボーモント共著、大橋洋一訳、青土社、2012年)と一緒にひもとくといっそう味わい深いかもしれません。巻末にはこのシリーズではお馴染みの「読書案内」があります。また、訳者あとがきでは、ヒルティ、アラン、ラッセル、ダライ・ラマといった思想家たちの幸福論が言及されています。同書は新しい叢書「フィギュール彩(さい)」の第一弾とのことです。


後期ラカン入門――ラカン的主体について
ブルース・フィンク(Bruce Fink)著 村上靖彦監訳 小倉拓也+塩飽耕規+渋谷亮訳
人文書院 2013年9月 本体4,500円 A5判上製316頁 ISBN978-4-409-34047-9

帯文より:これでラカンが分かる! 英語圏におけるラカン派精神分析の第一人者による、解説書の決定版。〈他者〉、主体、対象a、性的関係、四つのディスクールなど、精神分析家ジャック・ラカン(1901-1981)の後期思想における主要な概念を、一貫した展望のもとに明晰に、そして臨床からの視点を手放さず解説。巻末には「『盗まれた手紙』についてのセミネール」を詳細に読み解いた二つの補論を付す、充実の一書。「ついに、「ラカンへの回帰」を遂行する本がここに登場した」(スラヴォイ・ジジェク)。

★9月10日(火)取次搬入発売の新刊です。原書は、The Lacanian Subject: Between Language and Jouissance(Princeton University Press, 1995)です。目次詳細や序文は書名のリンク先で公開されています。フィンクの著書が翻訳されるのは本書で三冊目。これまでに『ラカン派精神分析入門――理論と技法』(中西之信ほか訳、誠信書房、2008年)と『精神分析技法の基礎――ラカン派臨床の実際』(椿田貴史ほか訳、誠信書房、2012年)が刊行されています。今回の新刊はそれらの重要な参照文献として翻訳が待たれていたもので、ラカンの明快な解説書としても評価が高い本です。近頃、若手研究者によるドゥルーズ解説書が立て続けに出ていることが新聞記事になりましたが、ラカン研究も賑わい出しています。ポール=ロラン・アスン『ラカン』(西尾彰泰訳、文庫クセジュ、2013年3月)を始め、先月には佐々木孝次+荒谷大輔+小長野航太+林行秀『ラカン『アンコール』解説』(せりか書房、2013年8月)が刊行され、今月はフィンクの新刊。なお、フィンクは周知の通り、ラカン『エクリ』の新訳で知られる学者ですが、今回翻訳された本作の原書は、新訳書の刊行前に出版されたものだったので、原注や参考文献ではフィンクによる新訳は「刊行予定」となっています。実際はその後、2006年に全1巻で刊行され、仏米財団翻訳賞を受賞しました。翌年刊行されたペーパーバックは何ともお得で2000円台後半で買えますから、フィンクの入門書を片手に英訳『エクリ』に挑戦するのもいいかもしれません。


北米インディアンの神話文化
フランツ・ボアズ(Franz Boaz, 1858-1942)著 前野佳彦編・監訳
中央公論新社 2013年9月 本体4,400円 A5判上製416頁 ISBN978-4-12-004537-0

帯文より:「記念碑的な高み」(クロード・レヴィ=ストロース)。〈アメリカ人類学の父〉であるのみならず、現代人類学の父として、その礎を築いた大知識人。晩年の主著『人種・言語・文化』より最重要論考を精選し、フィールドワークから、学の理論的射程まで、ボアズ人類学の真髄を伝える待望の邦訳。詳細な訳註とボアズの精神史的系譜を跡づけた解説を付す。

目次:

第I部 人類学の方法
 第1章 地理学の研究
 第2章 民族学の目的
 第3章 人類学における比較参照的方法の限界設定
 第4章 民族学の方法
 第5章 進化か伝播か
 第6章 人類学研究の目的
第II部 北米インディアンの神話と民話
 第7章 民話と神話のジャンル的展開
 第8章 インディアン神話の生成
 第9章 未開の文芸ジャンルにおける様式的側面
 第10章 未開の諸部族における来世観
 第11章 クワキウトル族の社会組織
 第12章 北米インディアンの神話と民話
第III部 言語文化と装飾芸術への展望
 第13章 アメリカ先住民言語の分類
 第14章 北米インディアン諸語の分類
 第15章 北米インディアンの装飾芸術
 第16章 アラスカで造られる針入れの装飾的意匠
原註
訳註
解説 フランツ・ボアズのコスモス理念――地理学から人類学へ(前野佳彦)
参考文献

★発売済。ボアズの訳書は、第47回日本翻訳出版文化賞を受賞した『プリミティヴアート』(大村敬一訳、言叢舎、2011年)に続く2冊目になります。今回の新刊は、巻末解説での紹介文を借りると「最晩年の主著『人種・言語・文化』(Race, Language and Culture, 1940; Reprint, The University of Chicago Press, 1982を底本として使用)の〈文化〉の部を中心として、言語研究、さらに地理学他の研究方法論の章を網羅的に追加し、監訳者前野の判断で新たに編集したものである。量的には原書647頁の三分の一強であり、論文の篇数では全63篇から16篇を選択した。したがって、本書は、原著の「文化研究」と「方法論」を合体させたものだと考えていただいて結構かと思う」(373頁)とのことです。原著の半分に満たないとはいえ、本文だけでもが2段組で300頁以上あり、原註・訳注・解説等が加わって400頁を越える訳書ですから、たいへん読み応えがあります。訳語の慎重な選択といい、現代における位置付けへの配慮といい、蘇るボアズの先駆的業績に瞠目するばかりです。本書はこれまでカントーロヴィチ、アドルノ、イェイツの訳書を刊行されてきた中央公論新社さんのMeditationsシリーズの最新刊であり、故・二宮隆洋さんの置き土産のひとつです。巻末の参考文献にはさりげなく、中公さんから近刊予定である前野さんの訳書が記載されています。ドイツの文献学者エルヴィン・ローデ(Erwin Rohde, 1845-1898)の『プシュケー――ギリシア人の魂祭りと不死信仰(Psyche: Seelencult und Unsterblichkeitsglaube der Griechen)』です。ニーチェの親友の著書が翻訳されるのは初めてになります。


言霊とは何か――古代日本人の信仰を読み解く
佐佐木隆(1950-)著
中公新書 2013年8月 本体820円 新書判並製244頁 ISBN978-4-12-102230-1

帯文より:古代人は何を畏れたのか。『古事記』『日本書紀』などに現れた、不思議な霊威を浮き彫りにする。
カバーソデ紹介文より:古代日本人は、ことばには不思議な霊威が宿ると信じ、それを「言霊」と呼んだ。この素朴な信仰の実像を求めて、『古事記』『日本書紀』『風土記』の神話や伝説、『万葉集』の歌など文献を丹念に渉猟。「言霊」が、どのような状況でいかなる威力を発揮するものだったのか、実例を挙げて具体的に検証していく。近世の国学者による理念的な言霊観が生み出した従来のイメージを覆し、古代日本人の信仰を描き出す。

目次:
まえがき
序章 『万葉集』の「言霊」――言と霊と神と
第一章 呪文の威力――神と人と
第二章 国見・国讃め――支配者の資格
第三章 国産み・死の起源――生と死の導入
第四章 発言のし直し――状況の転換
第五章 タブーと恥――一方的な発言
第六章 偽りの夢合わせ――妻の発言
第七章 夢へのこだわり――実体との対応
終章 古代日本人の言霊――神のことばが持つ霊力
参考文献
あとがき

※各章末のコラム一覧
コラム1:「忌詞」の風習
コラム2:行為を禁止する発言
コラム3:皇太子選びと国見
コラム4:黄泉国の境界にある千引石
コラム5:ことばのとり違え
コラム6:黄泉国神話との類同性
コラム7:古代の諺
コラム8:地名の由来を語る話
コラム9:「言霊」と「木霊」

★発売済。佐佐木さんは著書や校注本を合わせると10冊以上をこれまで上梓されていますが、新書では本書が『日本の神話・伝説を読む――声から文字へ』(岩波新書、2007年)に続く2冊目となります。巻末の「あとがき」にはこうあります。「前著『日本の神話・伝説を読む』を刊行したあと、古代日本人が信じたとされる言霊について一冊まとめなければならないと考えていた。〔・・・〕前著はおもに古代日本人のことばと豊かな連想との関係を追究したものであり、古代日本人が信じたという言霊やことばの威力を主題とする本書とは、目的や意図が異なる」(240頁)。また、「まえがき」では本書をこう紹介されています。古代日本人にとって「言霊」がどんなものだったのかを本書で検証するにあたっては「ことばの威力が現実を大きく左右したり、現実に対して何らかの影響を与えたりしたと読める材料の身を取り上げる。そして、ことばの威力はどのようなかたちで個々の例に反映しているのかを、『古事記』『日本書紀』『風土記』に載っている神話・伝説や『万葉集』に見える歌などを読みながら、一つひとつ確認していく」(iii-iv頁)。千年以上の歴史を持ち、近世において国学で扱われる一方で、国粋主義の神秘的解釈にもさらされることになった「言霊」観。現代のように言葉があまりにも軽すぎる時代に本書をひともくことは、この国の文化的古層にある神と人間との関係を思い起こすとともに、そこに表れる倫理観を真摯に見直すきっかけになると思われます。

by urag | 2013-09-08 19:07 | Trackback | Comments(0)
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