季刊『
本とコンピュータ』2005年春号(第二期第15号)が発売されました。「終刊まで[総まとめ特集]第三弾:出版再考――このままでいいのか、わるいのか。それが問題だ!」と銘打たれております。そうです。「本コ」はいよいよ今夏で終刊です。
今回の特集号では、巻頭鼎談は大御所が集まっています。本や出版をめぐる多数の著書で知られる、評論家の紀田順一郎さん、『編集とは何か』(藤原書店)が話題の、講談社顧問である鷲尾賢也さん、『だれが「本」を殺すのか』(新潮文庫)でご存知の、作家の佐野眞一さん、出版社パピルスの経営者で、『出版社と書店はいかにして消えていくか』(ぱる出版)で著名な小田光雄さん。司会はおなじみ永江朗さんです。永江さんはもうひとつの討議「マンガから出版産業の将来を考える」でも司会をされています。
どの鼎談も記事も興味深いものばかりですが、いくつかピックアップしますと、アンケート「18人にきく:いまの出版、このままでいいのか、わるいのか?」では、紀伊國屋書店新宿本店人文書フロア係長の和泉仁士さん、洋販社長の賀川洋さん、パピルスの編集者であり、優れたエッセイストでもある鶴ヶ谷真一さん、トランスビュー代表の中嶋廣さん、
アセテート主宰の中谷礼仁さん、「R25」エディトリアル・ディレクターの藤井大輔さん、平凡社編集部の松井純さん、みすず書房営業部長の持谷寿夫さんをはじめとする方々が寄稿されています。それぞれこの重い問いときっちり向き合い、熱く、あるいは冷ややかに、鋭く、淡々と思いを綴っておられます。
インタビュー記事では、歌人の辺見じゅんさんが60歳を過ぎてから設立された出版社「
幻戯書房(げんきしょぼう)」について語っておられます。
巻頭で鼎談に参加されていた紀田さんは、座談会「新刊を売るだけが、書店の仕事じゃない」の司会もされています。京都の三月書房店長の宍戸立夫さん、東京堂書店神田本店仕入担当の深谷保之さん、ジュンク堂書店池袋本店副店長の福嶋聡さんという、非常に濃いメンツです。読んでいて一番楽しめるのはこの座談会でしょうか。
第二期において編集協力をされてきた
四釜裕子さんのルポ「ミニマム出版でいこう――自主制作本の作り手たち」も見逃せません。
次回は終刊号ですが6月10日発売予定だそうです。特集名は「はじまりの本、おわりの本。」となっていて、次のような予告文があります。
「本はどこから始まり、どこで終わるのか。ひとりの人間の場合もおなじ。「私」と本のつきあいは、どのように始まり、どのように終わるのか。そもそも「本」とはなにか、本はどこまで本で、どこで本ではなくなるのか。日本をはじめ、アジアや欧米など、世界中の作家・出版関係者からの寄稿をあつめ、増ページ特集でお送りする、『本とコンピュータ』全巻の締めくくりです」。
前号発売の際にも書きましたが、ぜひ好き放題にやっていただきたいです。脱線も含めて、大いに膨らんで欲しいです。
「本コ」のネットワークを今後どう活かすか、という「提案」も公開されるそうですよ。楽しみです。(H)