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2013年 02月 22日

本日取次搬入:ブランショ『他処からやって来た声』以文社

弊社出版物の著者でもあるモーリス・ブランショさん(著書『問われる知識人』『ブランショ政治論集』『書物の不在』)の、最新訳書が以文社さんより刊行されました。本日21日取次搬入ですので、早ければ明日以降より書店さんの店頭発売開始となります。

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他処からやって来た声 デ・フォレ、シャール、ツェラン、フーコー
モーリス・ブランショ著 守中高明訳
以文社 2013年2月 本体2,800円 四六判上製216頁 ISBN978-4-7531-0310-2

帯文より:人文科学と未知なるもの。20世紀を代表する四人の知性=語り手の声に耳を澄まし、現代思想における〈未知なるもの〉の領域を切り拓く。人文科学変革の震源となった現代フランス最大の作家・思想家がその営為を凝縮した最後の書物。

原書:Une voix venue d'ailleurs, Gallimard, 2002.

目次:
アナクルシス――ルイ=ルネ・デ・フォレの詩について
 他処からやって来た声/白黒/アナクルシス
ラスコーの獣 
最後に語る人 
ミシェル・フーコー――わが想像のうちの
 危険に晒された人/構造主義への訣別/非連続性の要請/知、権力、真理?/隷属から主体へ/内なる確信/今日、私とは誰か?/血の社会、知の社会/殺戮する人種主義/性について語ることへの執念/おお、わが友らよ
訳註
ブランショと四つの固有名――訳者あとがき

★本日2月21日取次搬入の新刊です。収録された四つの論考はそれぞれ既訳がありますが、一冊にまとまって新訳で読めるようになりました。まさに最適の訳者を得た新訳で、歓喜の一言に尽きます。

★ご参考までに4つの論文の書誌情報などを列記します。

「アナクルシス」はもともと「他処からやって来た声――ルイ= ルネ・デ・フォレの詩について」というタイトルで1992年に詩誌「ユリシーズ世紀末」の別冊として刊行されました(写真:茶色の本)。その後、2001年にヴィルジル出版社(ウェルギリウス出版社)の「ユリシーズ世紀末」叢書の1冊として再刊され(写真:白い本)、さらにその翌年の2002年にガリマールから文庫本が出版されます。この文庫本が今回の底本で、「他処からやって来た声」というタイトルは書名に採用され、論文自体は「アナクルシス」と改題されています。初訳は文芸誌「リテレール」1993年秋号(メタローグ)の70-84頁に「他処から来た声――ルイ=ルネ・デ・フォレの詩について」(小林康夫・水野雅司訳)として掲載されました。小林さんによる訳者解説が85頁に3段組で併録されています。

「ラスコーの獣」はルネ・シャールの詩「言うも汚らわしい獣」へのオマージュとして、まず文芸誌「新フランス評論」の第4号 (1953年)の684-693頁に掲載され、その後、1958年にGLM社から598部の限定出版として書籍化されました。その後1982年にファタ・モルガナから再刊されるにあたってブランショ自身が冒頭に短いコメントを寄せており、今回の訳書ではそれを確認することができます。初訳は『世界詩論体系(1)現代フランス詩論体系』(思潮社、1964年)の221-231頁に「ラスコオの獣」(篠沢秀夫訳)として掲載されました。末尾に篠沢さんによる解説が併録されています。

「最後に語る人」はパウル・ツェラン論であり、まずスイスの文芸誌「ルヴュ・ド・ベル・レットル」のツェラン追悼のための特別号(2-3号、1972年)の171-183頁に掲載され、その後、1984年にファタ・モルガナで書籍化されました。初訳は思潮社の詩誌「現代詩手帖」1978年10月臨時増刊号(第21巻第11号、ブランショ特集号)の28-47頁に「最後に語る人――パウル・ツェラン追悼(一九七二)」(飯吉光夫訳)として掲載され、のちに小沢書店の「双書・20世紀の詩人」シリーズの一冊『パウル・ツェラン詩集』(飯吉光夫編訳)の140-162頁に再録されています。

「ミシェル・フーコー――わが想像のうちの」は、1984年に亡くなったフーコーに捧げられた本で、1986年にファタ・モルガナから刊行されました。初訳は同1986年の12月に『ミシェル・フーコー――想いに映るまま』(豊崎光一訳、哲学書房)として緊急出版されています。

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by urag | 2013-02-22 13:41 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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