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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2005年 03月 10日

再来年にはついにISBN13桁化

新文化」によれば、業界の有限責任中間法人である日本出版インフラセンター(JPO)が、ISBNを2007年から13桁表示にすることに「決めた」そうです。

具体的には、「現行10桁のコードの接頭に「978-」を挿入し、末尾の一桁数字であるC/D(チェックデジット)を再計算の上、13桁表示とする」ようです。いったいこの13桁化がいつまでもつのでしょうか。数年後にはまた改正されるんじゃないでしょうか。

今回の変更は、国際ISBN機関が2004年11月に13桁化を決定したことに追随するものです。英語圏におけるデジタルコンテンツの急増による発行番号不足がその原因ですが、平たく言えば、米英の都合が優先されているということですね。

それに、JPOの理事会の面々をご覧ください。実力も権力もある大手出版社や大手取次が中心です。「今回の改訂で取次会社などの大幅なシステム変更は生じない」という見解らしいですが、小出版社には楽なことではありません。

ISBNの13桁化が「義務化」された場合には、まず、既刊書のカバーを全部刷りなおさなければなりません。本体に直接ISBNが刷ってある場合は、シールで対応することになるでしょう。そして、奥付にもたいていISBNは入っているから、これにもシールを貼るか、一丁切り替え(奥付のページの差し替え)をしなければなりません。在庫管理のマスターデータも作り直しになるでしょう。

こういう作業にかかる経費はけっして小さなものではありません。かつての消費税導入期や、税率アップ時の苦労がまたぞろ繰り返されるのです。売れ行きが伸びない書目はこれを機会に、一斉に断裁しようか、ということにも再びなるかもしれません。一斉にとは言わなくとも、在庫整理は絶対に必要です。

JPOは「07年1月1日以降の新刊や重版は新たなコードに書き換え、既刊本も可及的速やかに書き換えるよう出版社に要望している」そうです。近年は出版界も従順だから、大手以下の中堅も早めに準備し始めざるをえないのではないかと思いますが、小零細の集まりである某団体はきっと何か一言あるんじゃないかと思います。

流通とそのコントロールにかかわる問題では、常に大国や大企業がイニシアティヴを握ることになります。合理化のためには仕方がない、などと言って賢そうに頷いて済ますほど、問題は小零細にとって簡単ではありません。業界の今後の動向が注目されます。(H)

by urag | 2005-03-10 21:52 | 雑談 | Comments(0)


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