2013年 02月 08日
弊社出版物の著者の皆さんの最近のご活躍をご紹介します。 ![]() ★江川隆男さん(訳著書:ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』) 本日取次搬入の新刊『超人の倫理』を河出ブックスより上梓されました。江川さんの単独著は『死の哲学』(河出書房新社、シリーズ「道徳の系譜」、2005年)以来の久しぶりのものです。また、今回の新刊の論旨を簡潔に再説した論文「〈超人の倫理〉への前哨――非意志主義のために」を先月末発売の月刊誌『現代思想』2013年1月号(特集=ニーチェはこう言った)に寄稿されています(104-113頁)。 超人の倫理――〈哲学すること〉入門 江川隆男(1958-)著 河出書房新社 2012年2月 本体1,500円 B6判並製232頁 ISBN978-4-309-62453-2 カバー紹介文より:「人間一般」は存在しない。存在するのは個だけだ。その個のうちにしかない力から考え始めた時、あなたは超人になろうとしている。そして、哲学することは、道徳的ではなく、まさに倫理的であることであり、人間を拒絶して超人になることだ。スピノザ、ニーチェ、ドゥルーズの彼方にまったく新たな思考と身体をつくりだす、いままでの哲学入門書を裏切る新哲学入門。 目次: はじめに 序論 超人への倫理 第一章 道徳〔モラル〕と倫理〔エチカ〕の差異 第二章 超人の身体 第三章 超人の認識 第四章 超人の原理 結論に代えて(実験としての超人) あとがき ※『超人の倫理』と同じく本日取次搬入の河出ブックスの新刊には以下のものがあります。こちらの新刊でもニーチェが取り上げられており、ぜひ併読をお薦めしたいです。 ニーチェ――ニヒリズムを生きる 中島義道(1946-)著 河出書房新社 2013年2月 本体1,300円 B6判並製208頁 ISBN978-4-309-62452-5 カバー紹介文より:「誰の訳にも立たず、ほとんどの人を絶望させ、苛立たせ、(略)あらゆる『価値あるもの』をなぎ倒し……近・現代人とまさに正反対の価値観を高らかに歌い上げる」ニーチェへ――「明るいニヒリズム」の哲学者がニヒリズムの始祖ニーチェの哲学に真っ向から立ち向かいながら、哲学のおそろしさとよろこび、生の無意味と人間の醜さの彼方に「ヤー(然り)!」を見出すニーチェ論の決定版。真に「過酷なニーチェ」がここに甦る。 目次: はじめに 第1章 神は死んだ 第2章 ニヒリズムに徹する 第3章 出来事はただ現に起こるだけである 第4章 人生は無意味である 第5章 「人間」という醜悪な者 第6章 没落への意志 第7章 力への意志 第8章 永遠回帰 あとがき ![]() ★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』) 金森修さんの編著書『エピステモロジー』に寄稿されています。同じく金森さんの編著書『エピステモロジーの現在』(慶應義塾大学出版会、2008年11月)という既刊書では「カヴァイエスと数学史の哲学――〈時間の外にある真理の歴史性〉というパラドックス」という論文を寄稿されていました。今回はグランジェ論を書かれています。 エピステモロジー――20世紀のフランス科学思想史 金森修(1954-)編著 慶應義塾大学出版会 2013年1月 本体6,500円 A5判上製512頁 ISBN978-4-7664-2005-0 版元紹介文より:進化しつづける科学哲学の未来。近年紹介されるようになってきた、カヴァイエス、グランジェの記号論、ヴュイユマンの代数学の哲学からドゥルーズ、ベルクソンまで、日本における科学哲学研究の深化を力強く感じさせる、フランス現代哲学研究者必読の一冊。日本のエピステモロジー(フランス科学哲学)研究におけるトップランナーである編者が、次世代のすぐれた研究者を集め、最新の研究成果を発信。とくにエピステモロジーが急速に進化した20世紀を中心に、その展開を俯瞰できるような構成に編集。 目次: 序論 〈客観性の政治学〉(金森修) 第1部 〈沈潜〉の諸相 第1章 グランジェの科学認識論――「操作‐対象の双対性」、「形式的内容」、「記号的宇宙」(近藤和敬) 第2章 ヴュイユマンにおける〈代数学の哲学〉――ガロア理論から操作・作用の存在論、構造分析の方法論へ(原田雅樹) 第3章 数学のエピステモロジーと現象学――カヴァイエス以降の一系譜(中村大介) 第2部 〈拡散〉の諸相 第4章 交錯するエピステモロジー――ドゥルーズという一つの事例から(米虫正巳) 第5章 生命哲学の岐路――ベルクソンとドゥルーズにおける形而上学・科学・政治(藤田尚志) 第6章 ゾラと科学――倫理的神秘主義の視座から(林田愛) 解題(金森修) 事項索引 人名索引 +++ さて、近日発売となる『中央公論』2013年3月号では毎年恒例の「新書大賞 2013」が発表されています(152-183頁)。内容は、「新書通六九人が厳選した年間ベスト10」、「大賞受賞インタビュー『社会を変えるには』」(小熊英二)、「社会と同様、方向感を失った2012年――過渡期の新書界、読むべき本は」(対談:永江朗×宮崎哲弥)です。私、小林も例年通り投票させていただきました。毎月10日発売ということで、いちおう発売前なので大々的なネタバレはやめるとして、年間ベスト10(20位までランクが出ています)のうちのベスト3は、次の通りです。 1位『社会を変えるには』小熊英二、講談社現代新書 2位『田中角栄』早野透、中公新書 3位『日本近代史』坂野潤治、ちくま新書 私が寄稿したコメントは1位(大賞)の『社会を変えるには』と、18位の『知の逆転』(ジャレド・ダイアモンドほか、NHK出版新書)に採用していただきました。私が投票する本はだいたい毎年、絶対に1位ではない本なので、いつもは「熱き少数意見」に分類される方なのですが、今年はさすがに小熊さんの復帰書き下ろし作に注目が集まったということなのでしょうか。ちなみに参加者は一人当たり5点を推薦しており、私の場合、上記2点のほかのあと3点は、『私とは何か』(平野啓一郎、講談社現代新書)、『まんが トキワ荘物語』(手塚治虫ほか、祥伝社新書)、『お化け屋敷になぜ人は並ぶのか』(五味弘文、角川oneテーマ21)でした。
by urag
| 2013-02-08 17:18
| 本のコンシェルジュ
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