JR京浜東北線北浦和駅下車西口駅前の北浦和公園内にある埼玉県立近代美術館で2012年11月11日まで開催している開館30周年記念展「
日本の70年代 1968-1982」は70年代の芸術や雑誌、書籍、ポスター、レコードなどのデザインが好きな人間にとっては見ておきたい企画展です。
さほど大規模なものではありませんが、展示を隅々まできっちり見て、映像資料まで全部見ようとすると3時間は必要かと思います。しょっぱなから粟津潔×山下洋輔の映像作品「ピアノ炎上」(1973年、約7分)が入口手前で鳴り響き、入ってすぐ左手の袋小路では佐々木美智子さんによる写真群「日大全共闘」(1968年)と、映像作品「いつか死ぬのね」(1974年、28分)が待ち構えています。椅子がないからと言って一瞥して終わりにするのはもったいない作品です。大阪万博の「せんい館」の肉感的な壁面に投影した「スペース・プロジェクション・アコ」(1970年、約15分)も迫力十分。テクノロジー自体は今に比べたら断然アナログですが、ディジタルにはない「厚み」があります。このほか見どころはたくさんありますが、絶対に欲しくなるレア本やレア雑誌が並んでいる様を見るのはたいへん目に毒ではあります。
A5判並製フルカラー288頁の図録(1300円)は購入しておくべきですが、展示されている現物のオーラをしっかり目に焼き付けることがまず最優先かと思います。美術館を出たら公園にある黒川紀章設計の「中銀カプセルタワービル」の「住宅カプセル」をご覧になるのをお忘れなく。公園の噴水は定時ごとに派手な噴水ショーを見せてくれます。北浦和はのんびりした街で、ふれあい横町などの古い商店街もありますから、適度な散策が楽しめます。