電話注文の際、『アウシュヴィッツの
残りのもの』がよく『アウシュヴィッツの
残りもの』と題名を微妙に間違われてしまう、ということを以前お話しましたが、さいきんでは、『燈火節』を「
とうかせつ」ではなく「
とうかぶし」とお読みになる書店員さん、取次さんがままいらっしゃいます。
何の迷いもなく「とうかぶしを1冊」ときっぱり言う方もあれば、自信なさげに「とうか・・・・・ぶし」と間があく方もいらっしゃいます。世の中にはこうした読みにくいタイトルや著者名というのはしばしばあるものだと思います。
私が以前とある出版社に勤めていた際に、『ニュークリティシズムと脱構築』というタイトルの本があって、それの注文を、某大型書店の有名な仕入担当者の方からいただいたことがありました。
ヴェテランの担当者氏は疲れていたのでしょうか、あるいはその日はたまたま版元との会合でランチビールを呑んだりしていたのでしょうか、電話口の滑舌がどうも最初からあやしいなと思っていたら、「注文ですが、
にゅーくりちずんとだこち」と一気に来ました。
不謹慎にも噴出しそうになり、必死にこらえて注文を承り、事なきを得ました。しばらくは社内で、その本を「
だこち」と呼んでウケまくっていたことは、懐かしい思い出です。
そういう自分はどうなのか。よく電話口で滑舌悪く、かんでます。人のことなど言えたものではありません。(H)