2012年 08月 21日
昨日8月20日取次搬入済、本日21日以降、書店店頭での販売が順次開始となる弊社新刊、ジョルジョ・アガンベン『到来する共同体』をご紹介します。hontoでは今日現在「24時間」以内の発送、amazonにも在庫があります。 到来する共同体 ジョルジョ・アガンベン著 上村忠男訳 月曜社 2012年8月 本体1,800円 B6変型判上製160頁 ISBN978-4-901477-97-0 内容:バタイユ、ブランショ、ナンシーが投げかけた共同体の(不)可能性への問いを、アガンベンは再定礎する。古代から現代まで、哲学から文学までを縦走横断し、存在と倫理、単独者と救済などの諸関門を経巡って、問いは深められていく。アガンベンの政治哲学の鍵となる代表作、ついに翻訳なる。来たるべき民主主義のために街路へ出て、戦車と対峙しようとするすべての人々のもとへ。「叢書・エクリチュールの冒険」第3回配本。 推薦のことば: イタリア現代思想の旗手ジョルジョ・アガンベンは私が近年出会ったなかでもっとも繊細で資料調査の行き届いた書き手の一人だ。ヴァルター・ベンヤミンを連想させるその著作はエレガントで快活であり――いささか使い古された言いかたではあるが――まったく革命的だ。―アヴィタル・ロネル アガンベンのテクストは、同一性と普遍性の両方を超えて作動する一種の言語的属性としての共同体をめぐる貴重な哲学的省察である。博識で議論は広大な範囲に及びながらも警句的な軽やかさを具えた彼の著作は、タルムードやプラトン、スピノザ、ハイデガー、ニーチェ、ウィトゲンシュタインらの思想のうちに見てとることのできるもっとも将来性豊かな多義性を前面に押し出して、人間とは取り返しのつかなさを身上とする歴史の内部にあっての偶発的で共同的な「存在」であることを公言する。このたえず移動と分裂を重ねていく仕事は、存在論的思想におけるもっともダイナミックなものをして、思考することのもっともむずかしいものに影響が及ぶよう導いていく。現代における社会性の諸形態がそれである。―ジュディス・バトラー 『到来する共同体』が試みているのは、共同体の名のもとで使用可能ないかなる概念をも超えた共同体を示そうとすることである。それは本質の共同体、もろもろの現実存在の集合体ではない。つまりそれはまさしく、政治的同一性によっても宗教的同一性によってももはやつかみ取ることのできないものなのだ。それ以下の何ものでもないのである。―ジャン=リュック・ナンシー 原書: La comunità che viene, Bollati Boringhieri, 2001. 目次: 1 なんであれかまわないもの 2 リンボから 3 見本 4 生起 5 個体化の原理 6 くつろぎ 7 マネリエス 8 悪魔的なもの 9 バートルビー 10 取り返しがつかないもの 11 倫理 12 ディム・ストッキング 13 光背 14 偽名 15 階級のない社会 16 外 17 同名異義語 18 シェキナー 19 天安門 取り返しがつかないもの I II III 二〇〇一年の傍注――夜のティックーン 訳者あとがき 著者:ジョルジョ・アガンベン(Giorgio AGAMBEN) 1942年ローマ生まれ。イタリアの哲学者。著書に、1970年『中味のない人間』(岡田温司・岡部宗吉・多賀健太郎訳、人文書院、2002年)、1977年『スタンツェ』(岡田温司訳、ありな書房、1998年;ちくま学芸文庫、2008年)、1978年/2001年『幼児期と歴史』(上村忠男訳、岩波書店、2007年)、1982年/1989年『言葉と死』(上村忠男訳、筑摩書房、2009年)、1990年/2001年『到来する共同体』(上村忠男訳、月曜社、2012年、本書)、1993年『バートルビー』(高桑和巳訳、月曜社、2005年)、1995年『ホモ・サケル』(高桑和巳訳、以文社、2003年)、1996年/2010年『イタリア的カテゴリー』(岡田温司監訳、みすず書房、2010年)、1996年『人権の彼方に』(高桑和巳訳、以文社、2000年)、1998年『アウシュヴィッツの残りのもの』(上村忠男・廣石正和訳、月曜社、2001年)、2000年『残りの時』(上村忠男訳、岩波書店、2005年)、2002年『開かれ』(岡田温司・多賀健太郎訳、人文書院、2004年;平凡社ライブラリー、2011年)、2003年『例外状態』(上村忠男・中村勝己訳、未來社、2007年)、2005年『涜神』(上村忠男・堤康徳訳、月曜社、2005年)、2005年『思考の潜勢力』(高桑和巳訳、月曜社、2009年)、2007年『王国と栄光』(高桑和巳訳、青土社、2010年)、2008年『事物のしるし』(岡田温司・岡本源太訳、筑摩書房、2011年)、2009年『裸性』(岡田温司・栗原俊英訳、平凡社、2012年)などがある。 訳者:上村忠男(うえむら・ただお) 1941年兵庫県生まれ。思想史家。著書に、『ヴィーコの懐疑』(みすず書房、1988年)、『歴史家と母たち』(未來社、1994年)、『ヘテロトピアの思考』(未來社、1996年)、『バロック人ヴィーコ』(みすず書房、1998年)、『歴史的理性の批判のために』(岩波書店、2002年)、『超越と横断』(未來社、2002年)、『グラムシ 獄舎の思想』(青土社、2005年)、『韓国の若い友への手紙』(岩波書店、2006年)、『無調のアンサンブル』(未來社、2007年)、『現代イタリアの思想をよむ』(平凡社ライブラリー、2009年)、『ヴィーコ』(中公新書、2009年)、『知の棘』(岩波書店、2010年)、『カルロ・レーヴィ『キリストはエボリで止まってしまった』を読む』(平凡社、2010年)、『ヘテロトピア通信』(みすず書房、2012年)などがある。訳書に、G・C・スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』(共訳、月曜社、2003年)、エンツォ・パーチ『関係主義的現象学への道』(編訳、月曜社、2011年)、スパヴェンタ/クローチェ/ジェンティーレ『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』(編訳、月曜社、2012年)のほか、ヴィーコ、クローチェ、グラムシ、プラーツ、エーコ、ネグリ、ヴァッティモ、ギンズブルグ、アガンベンなど多数。 ★同書は1990年にエイウディ社から初版が出ていますが、今回弊社で翻訳したのは、2001年に数頁の「傍注」を追加してボラーティ・ボーリンギエリ社から刊行された新版です。本書の造本について一言ご説明しますと、ひまわり色の本文紙に墨のインクで刷っています。見た目のシンプルさを重視したいため、帯は付しません。ひまわり色と墨色のみでまとめたかったので、カバーの裏地(というかもともとの紙の色)もひまわり色で、花切もスピンは黒、表紙も黒です。ただし表紙に載っている書名や著者名、社名は銀色。 ![]() ![]() ![]() ★これまでに各社より刊行されている現代思想系の共同体論を以下にご紹介します。 ジャン=リュック・ナンシー『無為の共同体――哲学を問い直す分有の思考』西谷修・安原伸一朗訳、以文社、2001年6月 モーリス・ブランショ『明かしえぬ共同体』西谷修訳、ちくま学芸文庫、1997年6月 ![]() 上記の元版と親本が以下になります。 ナンシー『無為の共同体――バタイユの恍惚から』西谷修訳、朝日出版社、ポストモダン叢書第一期第七巻、1985年5月 ブランショ『明しえぬ共同体』西谷修訳、朝日出版社、ポストモダン叢書第一期第三巻、1984年10月 ![]() アルフォンソ・リンギス『何も共有していない者たちの共同体』野谷啓二訳、洛北出版、2006年2月 田崎英明『無能な者たちの共同体』未來社、2007年12月 ![]() さらに、2001年版の「傍注」で触れられている思想集団「ティックーン(ティクーンとも)」については、以下の書籍をご参照ください。 不可視委員会『来たるべき蜂起』(『来たるべき蜂起』翻訳委員会訳)、彩流社、2010年5月 『来たるべき蜂起』翻訳委員会+ティクーン『反-装置論――新しいラッダイト的直観の到来』以文社、2012年7月 ![]() なお、思想集団「ティックーン」や上記2書については、『到来する共同体』の訳者である上村忠男さんが月刊「みすず」で連載中の「ヘテロトピア通信」において、10月号、11月号と連続して言及される予定です。また、上村さんは今月、ヴィーコ『自伝』(平凡社ライブラリー)、ヴァッティモ+ロヴァッティ編著『弱い思考』(共訳、法政大学出版局)なども上梓されていますが、こちらは近日、別途ご紹介する予定です。
by urag
| 2012-08-21 17:54
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