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2012年 02月 05日

航思社さんが新刊第一弾を刊行されました

★今日はふたつの「第一作」をご紹介します。一冊は、新しい出版社の刊行第一弾。もう一冊は大御所作家のデビュー作です。

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デジタル社会のプライバシー――共通番号制・ライフログ・電子マネー
日本弁護士連合会:編著
航思社:発行 大学図書:発売 2012年1月 本体3,400円 A5判並製480頁 ISBN978-4-906738-00-7
帯文より:インターネットでの買い物、スイカやおサイフケータイなどの電子マネー、街頭監視カメラ、さらい共通番号制――あなたの個人情報、大丈夫? まさに今、危機にさらされているプライバシーの問題を、市民の個人情報保護を最優先に、法的側面から検証・提言。

目次:
序章 シンポジウム
1 基調講演「深化か破滅か? インターネット時代のプライバシー」(マルティン・ポール)
2 パネルディスカッション「デジタル社会における便利さとプライバシー」(高間剛典×田村智明×平野啓一郎×マルティン・ポール×水永誠二×坂本団×三宅弘)

第1章 インターネットにおける個人情報の収集・利用と保護
1 ライフログとは何か
2 ライフログの実態
3 ライフログの問題点
4 議論と対応の状況
5 問題点の検討

第2章 電子マネーにおける個人情報の収集、利用と保護
1 電子マネーとは何か
2 電子マネー取引についての法的規制
3 各電子マネーサービスの概要と将来像
4 電子マネー取引における個人情報保護のあり方

第3章 監視カメラ・人の移動履歴に基づく監視
1 はじめに
2 公権力主導による監視カメラネットワークの形成
3 公権力によって統合される監視カメラの現状
4 カメラによる監視の高度化
5 デジタル社会における監視カメラ画像の商業利用
6 商業利用としての人の行動履歴把握――デジタルサイネージ
7 人の行動履歴に基づく監視
8 監視カメラからプライバシーを守るための検討

第4章 税・社会保障共通番号
1 「税・社会保障共通番号」制度
2 諸外国における番号制度の状況
3 「税・社会保障共通番号」制度の検討に対する提言
4 補稿

第5章 高度情報通信社会におけるプライバシー保護
1 はじめに
2 プライバシーに関する裁判状況
3 高度情報化社会の挑戦を受けるプライバシー
4 迫られる価値の選択――『CODE VERSION 2.0』
5 問題解決への試み
6 自己情報コントロール権を実効的に保障していくための提言

資料
1 北米調査報告
2 ドイツ・オーストリア調査報告
3 韓国(ソウル)調査報告
4 ライフログ・アンケート結果

★朝日出版社、明石書店などで編集者として活躍されてきたOさんがこのたび航思社(こうししゃ)という出版社を立ちあげられました。社名に籠められた決意は「思想の海にたしかな航跡を描く。 自分たちの出版物の内容を、決して裏切ることなく、みずから実践していく」というもの。「既存社会に対する異議申し立てにしっかりと軸足をおき、思想・哲学、政治、経済、社会運動・社会問題、アート、映画など、人文社会科学系の本を出版していきます」とのことです。新刊第一弾となるのが『デジタル社会のプライバシー』。出版人もまた否応なくその渦中にあるところの「デジタル社会」と向き合い、人権の重要な要素であるプライバシーの問題について鋭く分析しています。社会運動と出版活動を同時に追求する同社らしさを体現するような処女出版になっているのではないでしょうか。


夢の賜物
スーザン・ソンタグ(1933-2004):著 木幡和枝:訳
河出書房新社 2012年1月 本体2,500円 46変型判並製352頁 ISBN978-4-309-20581-6
帯文より:あの夢は、私の初めての過激な行為だった――ささやかな野望と、清冽な真摯さ。大反響を呼んだ『私は生まれなおしている』執筆時に書かれたデビュー小説、半世紀の時を経てついに刊行!

★原書は1963年に刊行されたThe Benefactorです。ソンタグが30歳の折のデビュー作となる小説。いままで何故訳されなかったのだろうと不思議に思いますが、3年後の評論集である『反解釈』が有名すぎたせいで、小説家としてのソンタグは評論家としての彼女よりもマイナーな存在でした。長篇が2点、『死の装具』(斎藤数衛訳、早川書房、1970年)、『火山に恋して』(富山太佳夫訳、みすず書房、2001年)、そして短篇集『わたしエトセトラ』(行方昭夫訳、新潮社、1981年)がありますが、評論集の方が圧倒的に多いです。とはいえ、今回翻訳された『夢の賜物』は原書刊行当時から好評で、作家として順調なデビューを果たしていたわけです。「訳者あとがき」によれば、木幡さんは目下、『私は生まれなおしている』に続く日記第二弾を訳しておられる最中のご様子です。日記は全三巻の予定。

by urag | 2012-02-05 20:57 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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