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2011年 12月 15日
![]() ★ジョルジョ・アガンベンさん(『アウシュヴィッツの残りのもの』『バートルビー』『涜神』『思考の潜勢力』著者) さる九月に、イタリアのヴィチェンツァに所在する出版社ネリ・ポッツァから「ホモ・サケル」第四部第一分冊となる『至高の貧しさ――修道院の規律と生のかたち』が刊行されました(Altissima povertà: Regole monastiche e forma di vita, Neri Pozza, 2011)。同書は早くも同月にフランス語訳が出版されています(De la très haute pauvreté: Règles et forme de vie, Rivages, 2011)。ジョエル・ゲローJoël Gayraudによる仏訳。「ホモ・サケル」シリーズでは『例外状態』や『言語の秘跡』を訳しています。ここでシリーズについてもう一度おさらいします。 ◎アガンベン「ホモ・サケル」シリーズ 第一部:1995年『ホモ・サケル――主権権力と剥き出しの生』(高桑和巳訳、以文社、2003年) 第二部第一分冊:2003年『例外状態』(上村忠男・中村勝己訳、未來社、2007年) 第二部第二分冊:2007年『王国と栄光──オイコノミアと統治の神学的系譜学のために』(高桑和巳訳、青土社、2010年) 第二部第三分冊:2008年『言語の秘蹟――宣誓の考古学』(未訳) 第三部:1998年『アウシュヴィッツの残りのもの――アルシーヴと証人』(上村忠男・廣石正和訳、月曜社、2001年) 第四部第一分冊:2011年『至高の貧しさ――修道院の規律と生のかたち』(未訳) 第一分冊ということは、二分冊以降もあるということで、アガンベンの新たな一歩と言えそうです。一方、平凡社さんから近刊予告が出ていた、岡田温司さんの『アガンベン読解』がついに本日取次搬入になりました。明日以降、順次店頭発売となるはずです。 アガンベン読解 Leggere Agamben 岡田温司著 平凡社 2011年11月 本体2,400円 46判上製218頁 ISBN978-4-582-70341-2 帯文より:二人のアガンベン――イタリア現代思想への格好の入門書。特有の思考スタイルを大胆かつ繊細に分析しながら、政治と言語の両極を綜合的に論じる冒険的な試み。 目次: はじめに 1 潜勢力 potenza 2 閾 soglia 3 身振り gesto 4 瀆聖 profanazione 5 無為 inoperosità 6 共同体 comunità 7 メシア messia 8 声 voce 9 註釈 glossa 愛の哲学、哲学の愛――あとがきに代えて 参考文献 事項索引 人名索引 昨年、エファ・ゴイレン『アガンベン入門』(岩崎稔+大澤俊朗訳、岩波書店、2010年1月)という本が出ましたが、日本人の書いた入門書は初めてになります。岡田さんは3年前にも『イタリア現代思想への招待』(講談社選書メチエ、2008年6月)という優れた入門書を出されており、その中でアガンベンについても論じていらっしゃいます。今回の本は9つのキータームからアガンベンを懇切丁寧に読み解くというもので、本書をもって日本におけるアガンベン受容のひとつのピークとみなすことができるだろうと思います。帯文にある「二人のアガンベン」というのは、「はじめに」で書かれている次の言葉を念頭に入れて理解するといいかもしれません。「アガンベンにとって、政治と詩学、あるいは政治と言語の問題はけっして分離されえないもので、たがいに交差し合っているのである。このことを否定的に捉えるなら、アガンベンの政治学はレトリックを弄しているばかりでいかなる実効性も欠くと判断されるだろうし、他方、その詩学はいたずらに政治に浸食されている、ということになるのかもしれない。この批判を全面的に否定することは不可能であるし、またその必要もない。重要なのは、政治と言語が絡み合う場、あるいは場なき場であり、メビウスの帯のような両者の絡み合いの様態である。アガンベンの思考の照準は、ほかでもなくその不可能な空間に向けられているのである」(12頁)。ゴイレンの入門書はアガンベンをもっぱら政治哲学者として理解しようとしており、ワトキンの『文学的アガンベン』(2010年刊、未訳)は文学論にあえて留まって理解しようとしている、と岡田さんは指摘します(11-12頁)。「だが、両者は切り離すことができないし、また切り離されてはならない」(12頁)というのが岡田さんの確信であり、この態度は長年アガンベンを読み、翻訳してきた研究者ならではの公平なものだと思います。 「あとがき」には翻訳シリーズ「イタリア現代思想」の予告が書かれており、「アガンベンの『裸性』をはじめ、カッチャーリの刺激的なアドルフ・ロース論、ポスト・ヒューマンの哲学・美学に先鞭をつけたペルニオーラの『無機的なもののセックス・アピール』、待望久しいヴァッティモの『透明なる社会』、生政治と免疫の哲学者エスピジトの仕事など」が刊行予定だそうです。平凡社さんの営業部情報によれば、第一回配本となる『裸性』(岡田温司・栗原俊英訳)の発売は来年2月ないし3月とのことです。なお、岡田さんは先月、岩波新書で『デスマスク』という新刊も上梓されており、すでに「日経新聞」や「サンデー毎日」で取り上げられて話題を呼んでいます。 ★上村忠男さん(アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』共訳者、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』共訳者、パーチ『関係主義的現象学への道』編訳者) ★廣石正和さん(アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』共訳者) 平凡社さんより今月、お二人の共訳書がライブラリー化されました。親本は95年に同社の「叢書ヨーロッパ」の第一回配本として刊行されたもので、98年には3刷を数えました。今回の再刊にあたって「平凡社ライブラリー版 訳者あとがき」が加えられ、「固有名を中心に何カ所か訂正」したと特記されています。 完全言語の探求 ウンベルト・エーコ著 上村忠男+廣石正和訳 平凡社ライブラリー 2011年12月 本体1,900円 HL判552頁 ISBN978-4-582-76750-6 帯文より:〈完全言語〉の夢想〔ユートピア〕をめぐるヨーロッパ思想史! バベルの塔以前の単一の祖語、完全なる言語を求める運動に、どれほど多彩な理説が動員され、どれほどのものがそこから生み出されたか。 カバー紹介文より:ヨーロッパ各地で、現代の国民語のもとになった俗語が擡頭しはじめた時代、バベル以前、多言語状態以前の単一の祖語「アダムの言語」への復帰、あるいは〈完全言語〉の再建への探求が始まる。そこに投入される、さまざまな理説、我々にも親しい哲学者や思想家を含む多彩な人々の情熱、百科全書やコンピュータ言語、またエスペラントなどにも行きつくその多様な道筋を、練達の筆で見事にさばき描き切るエーコの傑作思想史! 待望のライブラリー化! 目次: 緒言(ジャック・ルゴフ) 日本語版によせて(ジャック・ルゴフ) 序 第一章 アダムから「言語の混乱へ」 第二章 カバラーの汎記号論 第三章 ダンテの完全言語 第四章 ライムンドゥス・ルルスの「大いなる術」 第五章 単一起源仮説と複数の祖語 第六章 近代文化におけるカバラー主義とルルス主義 第七章 像からなる完全言語 第八章 魔術的言語 第九章 ポリグラフィー 第十章 アプリオリな哲学的言語 第十一章 ジョージ・ダルガーノ 第十二章 ジョン・ウィルキンズ 第十三章 フランシス・ロドウィック 第十四章 ライプニッツから『百科全書』へ 第十五章 啓蒙主義から今日にいたるまでの哲学的言語 第十六章 国際的補助言語 第十七章 結論 訳者あとがき 平凡社ライブラリー版 訳者あとがき 文献一覧 索引 目次を一瞥するだけでご想像いただけると思いますが、エーコの博識ぶりがいかんなく発揮されている瞠目の書です。親本は4000円を超える本でしたから、半額以下になって非常にお得ですね。 ![]()
by urag
| 2011-12-15 17:02
| 本のコンシェルジュ
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