土曜社さんの新刊第二弾、大杉栄『
自叙伝』が先月ついに発売され、好評を博していると聞きます。同社では今春(2011年4月)、大杉栄『
日本脱出記』を出版し、話題を呼びました。希代のアナキストのリヴァイヴァルに一役買ったこの本は重版するに至っています。この処女出版と同様、今回も、著者の甥にあたる大杉豊さんが略年譜や解説を手掛けておられます。『自叙伝』は大杉36歳の作(『日本脱出記』は38歳の絶筆)。かの有名な「上弦でありません」のエピソードはこの『自叙伝』に詳しいです。それにしても大杉栄はよく「刺され」ます。16歳の折には同期生に刺され、31歳の折にはとある女性に寝しなを刺されています。どちらも浅からぬ傷ですが、それを告白する大杉の筆はじつにあっけらかんとしたもの。カバーに「アナーキーな青春記の名著」と書かれていますが、まさにその通りです。破天荒で赤裸々で、長所も短所もすべて、読者を惹きつけてやみません。巻末の広告によれば、大杉の『獄中記』が2012年春に刊行予定とのことです。予価は『日本脱出記』『自叙伝』と同じく、本体952円。同社の
ブログではこの二作を置く書店さんの店頭写真やレポートがあり、ちょっとした書店巡りが楽しめます。現在217店舗で取り扱いがあるとか。小規模出版社にとってみれば、これはたいへんな営業努力です。