2011年 06月 19日
思想としての3・11 河出書房新社編集部:編 河出書房新社 2011年6月21日 本体1,600円 A5判並製208頁 ISBN 978-4-309-24554-6 帯文より:あの日から何が変わったのか、何が変わらないのか、何を変えるべきなのか。生、死、自然、震災、原発、国家、資本主義……思索者たちがいまこそ問う。 目次: 佐々木中「砕かれた大地に、ひとつの場処を――紀伊國屋じんぶん大賞2010受賞記念講演「前夜はいま」の記録」 鶴見俊輔「日本人は何を学ぶべきか――いま心に浮かぶこと」 吉本隆明「これから人類は危ない橋をとぼとぼ渡っていくことになる」 中井久夫「戦争から、神戸から」 木田元「技術はもう人間の手に負えない?」 山折哲雄「二つの神話と無常戦略」 加藤典洋「未来からの不意打ち」 田島正樹「はじまりもなく終わりもない」 森一郎「世界を愛するということ」 立岩真也「考えなくてもいくらでもすることはあるしたまには考えた方がよいこともある」」 小泉義之「出来事の時――資本主義+電力+善意のナショナリズムに抗して」 檜垣立哉「自然は乱暴であるにきまっている」 池田雄一「われら「福島」国民――3・11以降を生きるためのアジテーション」 友常勉「労働=生の境界に際会して――3・11をめぐる備忘録」 江川隆男「中間休止と脆弱さの規模――天災と人災の究極的融合について」 高祖岩三郎「3・11以降の地球的アナキズム」 廣瀬純「原発から蜂起へ」 『来たるべき蜂起』翻訳委員会「反原発のしるし」 ★21日発売です。ということは、河出さんの通例から考えるとおそらく取次搬入日は17日(金)だったでしょうか。徐々に書店店頭に並び始める頃合いです。弊社関連だと、江川隆男さん(ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』訳・解説者)や、廣瀬純さん(『闘争のアサンブレア』共著者、ヴィルノ『マルチチュードの文法』訳者、ネグリ『芸術とマルチチュード』共訳者)が寄稿なさっています。寄稿者の一人である佐々木中さんの『アナレクタ』シリーズ第二弾が今週発売です。 この日々を歌い交わす――アナレクタ2 佐々木中:著 河出書房新社 2011年6月22日 本体2,000円 46判上製216頁 ISBN978-4-309-24553-9 帯文より:「音楽は言葉を抱きとめ、言葉は音楽を孕む。何が、何が終わり得よう。」前巻における死と滅亡の直視から、藝術と生の絶対的肯定へ。破滅の底の底からなおも響き渡る、俊傑・佐々木中の晴れやかなる朗唱。 帯文より: 2010 「小説の言葉、思想の言葉」対談:保坂和志×佐々木中(初掲載) 「日本語ラップという不良音楽」対談:磯部涼×佐々木中(大幅増補完全版) 「この日々を歌い交わす」 「幾冊か選書、何のためでもなく」 「ところがどっこい旺盛だ。」対談:古井由吉×佐々木中 「敗北する歓び、敗北者の歌」対談:宇多丸×佐々木中 「「次の自由」へ向かう」対談:坂口恭平×佐々木中 「歓び、われわれが居ない世界の――〈大学の夜〉の記録」(初掲載) 「文学は死なず、革命は生き延びる」 「ニーチェを搾取し、ビジネス書を売りさばく今の出版界は死すべきか?」 跋 ★今月発売になった河出文庫版二巻本『定本 夜戦と永遠』の「文庫版のための跋」に書かれていましたけれど、本書に続く哲学系書き下ろしは、着実に進んでおられるご様子です。「二百枚以上の草稿を破棄」するなど、壮絶な戦いぶりが窺われます。 ★河出さんの新刊で同じく6月22日発売の書目には、『哲学入門 ウィトゲンシュタイン――没後60年、ほんとうに哲学するために』があります。また、翌23日にはアドリエンヌ・モニエ『オデオン通り――アドリエンヌ・モニエの書店』(岩崎力訳)とシルヴィア・ビーチ『シェイクスピア・アンド・カンパニイ』(中山末喜訳)が同時に復刊されます。いずれも20世紀前半のフランスの論壇の様子を伝えるドキュメントですから、弊社より同時期に刊行されるユンガー『パリ日記』とぜひ併せて読んでいただければ幸いです。さらに河出さんの7月新刊には2点の新訳が登場します。6日発売・文庫:チャールズ・ディケンズ『大いなる遺産』(上・下巻、佐々木徹訳、河出文庫)、13日発売・単行本:ノーム・チョムスキー『言語と精神』(町田健訳;旧版=川本茂雄訳)。 パリ日記 エルンスト・ユンガー:著 山本尤:訳 月曜社 2011年6月23日 本体3,800円 46判(タテ190ミリ×ヨコ133ミリ)フランス装464頁 ISBN978-4-901477-84-0 内容:1941~1944年、ナチス占領下のフランスに国防軍将校として配属されていた20世紀ドイツを代表する作家ユンガーが、パリの作家・芸術家たちとの交流、祖国の破滅的な運命に対する省察、ヒトラー暗殺計画グループへの関与など、透徹した思索と行動をつづった日記文学の白眉。 著者:エルンスト・ユンガー――ドイツの作家。1895年ハイデルベルクに生まれ、1998年リートリンゲンに没す。第一次大戦に少尉として従軍、七度負傷するも生還し受勲。戦後その経験をもとにした作品群を発表し、英雄的リアリズムの旗手と見なされた。その後、民族革命運動に参画、『戦争と戦士』(1930)や『労働者』(1932)などの著書で「第三帝国の案内人」とも言われ、ナチスの主導するアカデミーへ招聘されながらもこれを断る。ナチスとは距離をとり続けたものの、ゲシュタポの家宅捜査を受けたことなどが契機となり、1939年に国防軍へ復帰。1941年2月にパリへの転属を命じられる。参謀本部の幕僚長の後盾により、占領下のパリの参謀本部つきとなる。軍部と党の確執の詳細を記録し、その関係資料を収集する任務を与えられた。『パリ日記』はその当時に執筆されたものである。日本語訳の著書に以下がある。『鋼鉄のあらし』(先進社、1930年)、『東西文明の対決』(筑摩書房、1954年)、『大理石の断崖の上で』(岩波書店、1955年)、『文明について』(新潮社、1955年)、『言葉の秘密』(法政大学出版局、1968年)、『砂時計の書』(人文書院、1978年;講談社学術文庫、1990年)、『小さな狩』(人文書院、1982年)、『ヘリオーポリス』(全二巻、国書刊行会、1985-1986年)、『時代の壁ぎわ』(人文書院、1986年)、『追悼の政治――忘れえぬ人々/総動員/平和』(月曜社、2005年)、『ユンガー=シュミット往復書簡1930-1983』(法政大学出版局、2005年)。 ★手前味噌で恐縮ですが弊社の今週の新刊です。取次搬入は22日が阪、也、洋。23日がト、ニです。写真左は、弊社既刊のユンガーのエッセイ集『追悼の政治』。この本に所収の「平和」執筆当時はまさに今回の新刊『パリ日記』に描かれている当時で、併せて読んでいただくとユンガー流の「平和」論の裏側が垣間見えて興味深いと思います。なお、弊社のユンガーの訳書としては、『労働者』が続刊予定です。
by urag
| 2011-06-19 22:41
| 本のコンシェルジュ
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