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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2011年 03月 16日

『アンフォルム』書評が「美術手帖」「書評空間」などに

東北地方太平洋沖地震の被災地・被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。月曜社は社員、家族ともに無事です。業務の正常化にはしばらく時間がかかりそうです。弊社が契約している倉庫会社や取引先の取次などでは、計画停電、道路混雑、ガソリンの不足などで、流通に大きな困難を生じています。可能な限りの努力をしておりますが、安定供給への道のりはまだまだ長く感じます。しばらく御迷惑をおかけしますこと、ご海容を請う次第です。

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ボワ+クラウス『アンフォルム』の書評が、月刊誌「美術手帖」2011年4月号に掲載されました。星野太さんによる書評「モダニズムを巡る理論書――フォーマリズムを問い直す、近現代美術史に打ち立てられた新たな視座」(213頁)です。「グリーンバーグ的なフォーマリズムから距離をとりつつ、しかしあくまでもそれに寄り添った仕方で、従来の近現代美術史そのものを問い直そうとする野心的な試み」と評していただきました。

また、同書については紀伊國屋書店「書評空間」においても、福嶋亮大さんから長文の書評をお寄せいただいています。2011年3月16日付エントリー「絵画の水平性とその先」です。「著者たちの提起する「アンフォルム」の戦略は、たんに汚いものや醜悪なものを持ち出すだけではなく、むしろ旧来の西洋絵画を支えていた観念や前提そのものを揺るがすような操作全般を指していた。〔…〕文脈を拡張する意味でいささか唐突な連想を許してもらうならば、ここでジェームズ・キャメロン監督の『アバター』を想起しておくのが面白いかもしれない。〔…〕私たちは、そうした「アンフォルム」の欲望の次のステージで何が起きつつあるのかを考えていくべきだろう。〔…〕今や最先端の3D映画においては新たな垂直性/新たなフォルム(=象徴的なキャラクター)のイメージが立ち上げられる――とすれば、アンフォルムとフォルム、水平性と垂直性のあいだの文化的関係は、今ちょうど結び直されている最中なのかもしれない。本書の知見は、新しい視覚文化の到来の意味を考える上でも、有益な示唆に富んでいる」と評していただきました。

さらに、「週刊読書人」2011年2月25日号では、湯山光俊さんによる書評「バタイユの言説を発想の源泉に――抽象表現美術の可能性に目を向ける宣言書」が掲載されました。「折りあるごとに美術と思想の舞台では、その過激な帰結は拒絶されたこともあり、論理のゆらぎを批判されもしてきたが、邦訳は存在しないままであった。このたび訳者諸氏の尽力によって批判対象となってきたその始まりの本が登場したことは喜ばしい」と評していただきました。

また、南青山のブッククラブ回が発行する冊子「ニュースレター」81号(2011年春)では、「思想・科学・芸術」欄のデザインコーナーで『アンフォルム』を紹介していただいています。「作品をより豊かに解釈するヒントを与えてくれる」と評していただきました。

なお、前述の「美術手帖」4月号では「新着のアート&カルチャー本から」欄で、粟田大輔さんによる選書とコメントで、『曽根裕|Perfect Moment』と、中平卓馬写真集『都市 風景 図鑑』を御紹介いただいています(214頁)。つまり、4月号では弊社の1月新刊のすべてが取り上げられており、めったにない情況に驚いています。

by urag | 2011-03-16 17:15 | 広告・書評 | Comments(0)


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