2011年 02月 20日
今月10日に発売されたエスポジトの新刊と、まもなく発売される(明日21日あたりかと)『マクルーハン――生誕100年、メディア(論)の可能性を問う』をご紹介します。 ![]() 三人称の哲学――生の政治と非人称の思想 ロベルト・エスポジト著 岡田温司監訳 佐藤真理恵+長友文史+武田宙也訳 講談社選書メチエ 2011年2月 本体1,700円 四六判並製278頁 ISBN978-4-06-258492-0 原書:Terza Persona: Plitica della vita e filosofia dell'impersonale, Einaudi, 2007. 帯文より:非-政治へ、非-人称へ。現代思想の最前線にたつ著者が挑む「人格」という装置の脱構築! 目次: 序論 第1章 二重の生(人間科学機械) 第2章 ペルソナ、ヒト、モノ 第3章 三人称 1.非-人称 2.動物 3.他者 4.「彼」 5.中性的なもの 6.外 7.出来事 注 訳者あとがき 人名索引 ★写真は右が今回の新刊、真ん中は前作『近代政治の脱構築――共同体・免疫・生政治』(岡田温司訳、講談社選書メチエ、09年10月)、左は最新著『生きた思考――イタリア哲学の根源とアクチュアリティ Pensiero vivente: Origine e attualità della filosofia italiana』(エイナウディ、2010年)です。 ★エスポジトは来月来日し、京都と東京で講演します。いずれも参加費無料、事前申込不要、通訳つき(講義はイタリア語)です。 ◎イタリア哲学の回帰――その起源とアクチュアリティ 講師:ロベルト・エスポジト(イタリア国立人文科学研究所副所長)+フェデリコ・ルイゼッティ(ノース・キャロライナ大学准教授) 日時:2011年3月4日(金)13:30~ 場所:京都大学吉田南キャンパス 吉田南総合館東棟 101・107号室 内容:つねに世俗経験の葛藤とトラウマにさらされているイタリア哲学は、主体理論、認識論、言語分析、解釈学的脱構築などとは別のものを目指している。イタリア哲学の中核には「生」というカテゴリーがあり、そこには「政治」および「歴史」というカテゴリーが緊密に――かつ問題含みの仕方で――結びついているのである。濃密で不透明なこのマテリア――生――は、表象のフォルマ的秩序には還元しえない。そのためにこそイタリアの思想は、今日のわたしたちの時代を特徴づける兆候と深く共鳴しあうのである。 ◎「装置」としてのペルソナ――人格の脱構築と三人称の哲学 講師:ロベルト・エスポジト(イタリア国立人文科学研究所副所長) ディスカッサント:岡田温司(京都大学大学院教授)+フェデリコ・ルイゼッティ(ノース・キャロライナ大学准教授) 日時:2011年3月5日(土)13:30~17:30 場所:京都大学吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下大会議室 ※国際シンポジウム「共同の生/生の共同に向けて――いかにして共に生きるか」基調講演 ◎装置としてのペルソナ 講演者:ロベルト・エスポジト(イタリア人文科学研究所) ディスカッサント:フェデリコ・ルイゼッティ(ノースカロライナ大学) コメンテーター:岡田温司(京都大学) 日時:2011年3月9日(水)16:00~18:30 場所:東京大学駒場キャンパス アドミニストレーション棟3階 学際交流ホール ★一番最初の講演は演題と内容から推察して、エスポジトの最新著『生きた思考――イタリア哲学の根源とアクチュアリティ Pensiero vivente: Origine e attualità della filosofia italiana』(エイナウディ、2010年、写真左)を踏まえたものになるのでしょうね。 ![]() マクルーハン 〔KAWADE道の手帖〕 河出書房新社 2011年2月 本体1,600円 A5判並製192頁 ISBN978-4-309-74037-9 カバーより:生誕100年、メディア(論)の可能性を問う 目次: インタビュー 「100年目の入門――マーシャル・マクルーハンの思想」門林岳史/聞き手=編集部 「私が父の後継者です――父との共著『メディアの法則』を語る」エリック・マクルーハン/聞き手=ラウレアノ・ラロン/宮澤淳一訳 翻訳 「風景詩における美学的瞬間」マーシャル・マクルーハン/門林岳史訳 「反環境としての芸術」マーシャル・マクルーハン/門林岳史訳 「マクルーハンの影響」ジョン・ケージ/白石美雪訳 「ノーバート・ウィーナーとマーシャル・マクルーハン」ナム・ジュン・パイク/宮澤淳一訳 用語集 「マクルーハン・グロッサリー(用語集)」宮澤淳一 論考 「メディアはメッセージだ――私たちを形作るのは、メディアかコンテンツか」有馬哲夫 「トロント・コミュニケーション学派からトロントのメディア文化研究へ」粟谷佳司 「冷たく熱いマクルーハン――メディア論をメディア論してみよう!」佐藤俊樹 「前を見ること――マクルーハンの詩論」柴田崇 「マクルーハン考」津野海太郎 「ポスト・マクルーハンのメディア論へ」福嶋亮大 エッセイ 「メディアによる世界の再魔術化」池上高志 「マクルーハンのことはみんな「だいたいの感じ」で知っている。」伊藤ガビン 「マクルーハンを読んで、鳥アタマは電子書籍について考える」長野まゆみ 「うまく行っているものはもう時代遅れ If It Works, It's Obsolete――マクルーハン生誕百年に想う」服部桂 「クエンティン・フィオーレと『Aspen』」ばるぼら 著作解題 『機械の花嫁 The Mechanichal Bride』宮澤淳一 『内的風景 The Interior Landscape』門林岳史 『マクルーハン理論 Explorations in Communication: An Anthology』柴田崇 『グーテンベルクの銀河系 The Gutenberg Galaxy』柴田崇 『メディアの理解(メディア論) Understanding Media』有馬哲夫 『メディアはマッサージである The Medium is the Massage』宮澤淳一 『メディアの法則 Laws of Media』門林岳史 再録:MMはどのように受け止められたか 1966「テレビ時代の預言者<・マックルーハン――人物紹介」竹村健一 1967「マーシャル・マクルーハンの教訓」由良君美 1967「メディアはマッサージである」宮川淳 1981「たった一人の、マクルーハン追悼」日向あき子 1997「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか(第一回より)」東浩紀 ★なお、抄録されている東さんの論文「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか」ですが、もともとは『InterCommunication』誌22号(97年秋)から32号(00年春)にかけて全10回にわたって連載され、その後『情報環境論集――東浩紀コレクションS』(講談社BOX、2007年)に収録されたものです。これにおそらく加筆されたヴァージョンが、来月(3月8日)の河出文庫新刊『サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+〔プラス〕――東浩紀アーカイブス2』(456頁)になるのだろうと思います。版元ウェブサイトの案内文にはこうあります:「これまでの情報社会論を大幅に書き換えたタイトル論文を中心に90年代に東浩紀が切り開いた情報論の核となる論考と、斎藤環、村上隆、法月綸太郎との対談を収録。ポストモダン社会の思想的可能性がここに! 」。さらに、東さんのツイートから推測するに「東浩紀アーカイブス」シリーズの第1巻は4月刊行予定の『郵便的不安たちβ』なのでしょうね。 ★写真は右が今回の「道の手帖」新刊、左は先日のエントリーで復刊されたないいなあと独り言を書いた『地球村の戦争と平和』(マクルーハン+フィオール著、広瀬英彦訳、番町書房、1972年)です。「道の手帖」の著書解題に出てくる本は、43年から62年までの文学評論を集めた『内的風景』を除いてすべて日本語訳されています。下の写真は、懐かしい竹内書店版の「マクルーハン著作集」全3巻。みすず書房のA5判の重厚な版もいいですが、私は個人的にはマクルーハンの本はこの著作集のようなハンディで持ち運びに便利な46判サイズが好きです。現在は絶版。 竹内書房版「マクルーハン著作集」 第1巻『機械の花嫁――産業社会のフォークロア』井坂学訳、1968年11月 第2巻『グーテンベルグの銀河系――活字的人間の形成』高儀進訳、1968年9月 第3巻『人間拡張の原理――メディアの理解』後藤和彦+高儀進訳、1967年11月 ![]()
by urag
| 2011-02-20 20:10
| 本のコンシェルジュ
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