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2010年 07月 02日
2010年9月2日(木) ジュンク堂書店渋谷店:1100坪 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 東急百貨店本店7F 大型書店の雄、ジュンク堂がついに満を持して渋谷に進出です。取次はT。渋谷の覇権は90年代のパルコブックセンター渋谷店(現リブロ渋谷店)、00年代のブックファースト渋谷店(渋谷文化村通り店に縮小移転)を経て、現在は新旧勢力が入り乱れて混沌とした様相を呈しています。 80年代までの地域の重鎮だった大盛堂書店本店は05年6月に閉店しましたが、駅前店(旧称)として残っていたコミック中心の店舗は昨今、専門書の品揃えを少しずつ強化しつつあるのか、最近弊社の本も発注がかかるようになってきた印象があります。 ジュンク堂としては当然のことながら、「渋谷地区一番の品揃えを目指」すとアピールしています。実際に、専門書販売では優位に立つことが予想されます。ジュンク堂の進出で、渋谷の書店勢力図は大きな変化を強いられるかもしれませんが、同じ大日本印刷(DNP)グループ内の文教堂書店渋谷店はポジションはどうなるのでしょう。 業界紙が伝えているように、ジュンク堂書店は大日本印刷グループ傘下のCHIグループ(丸善およびTRCを擁する)と来年2月に経営統合します(「新文化」10年6月29日付「CHIグループ、来年2月にジュンク堂書店と経営統合」、「ITmedia News」10年6月29日付「DNP、ジュンク堂をCHIの完全子会社に」)。DNPサイドのプレスリリース「グループ企業再編に伴う子会社の異動に関するお知らせ」では再編の意図が明かされており、必読です。来月には丸善は店舗事業を「丸善書店」として分社化し、なんとその社長にはジュンク堂の現社長である工藤恭孝さんが就任されます。会長はCHIグループ社長の小城武彦さん。つまり単純化すると、丸善のトップだった小城さんはその後TRCの上に立っただけでなく、ジュンク堂の上にも立ったことになり、いっぽうジュンク堂のトップは丸善に移ることになるわけです。ジュンク堂自体の新しい社長は今月中に株主総会で決定されるのだとか。後任に注目が集まります。 工藤さんは文教堂GHの取締役でもありましたが退任されるとのことです。文教堂は先々月DNPの子会社になったばかりのためか、今回のグループ内再編には組み込まれておらず、CHIグループには入っていません。しかしいずれ統合されていくのは時間の問題かもしれません。DNPがそれぞれを子会社化していった時点で予想できたことではありますが、以前当ブログに書いた「丸善=ジュンク堂=文教堂」連合体であるMJB書店がいよいよ現実味を増していくのかもしれません。 CHIグループは6月29日の報道を受けて、「一部報道機関において、当社の連結子会社である丸善株式会社が、他社と共同で新ブランドの書店を展開するとの報道がなされましたが、本件は当社が発表した内容ではありません」と即日発表しました。これは「日経新聞電子版」10年6月29日付の記事「ジュンク堂と丸善、共同ブランドの新型書店を展開」で、「大日本印刷傘下のジュンク堂書店(神戸市)と丸善は共同で、新ブランドの書店を展開する。9月にも東京・渋谷の東急百貨店に第1号店を出し、年内に最大3店舗を出店する計画だ」云々と書かれたことに対するアナウンスだと思われます。 日経の記者がどれくらい裏を取ったのかは不明ですが、東急百貨店に出店するのは新ブランドではなく明らかにジュンク堂書店なので、経営の新体制を新ブランドと深読みしたのでしょうか。MJB書店が将来的に出現するかもしれない可能性は確かにあるものの、丸善は書店業界の最古参としてブランド名を捨てることはないでしょうし、ジュンク堂も(そして文教堂も)その名を捨てはしないでしょう。重要なのは、他の書店チェーンを圧倒するブロック化がどんどん進んでいるということで、看板の問題ではありません。 【10年7月9日追記】業界紙「新文化」10年7月6日付記事「ジュンク堂書店、丸善とダブルブランドで出店」によれば、9月2日に渋谷の東急百貨店本店7階に出店するのは、ジュンク堂書店ではなく「丸善&ジュンク堂書店渋谷店」とのことです。これは、CHIグループは表向きは否定する構えを見せていた日経新聞記事が、多少の「表現の違い」はあれ、本当だったことを意味するのではないでしょうか。「新文化」によれば、「2号店として10月9日に広島市中区の天満屋広島八丁堀店7、8Fに1200坪で出店する。また、単独屋号では10月中旬に東京・吉祥寺の伊勢丹跡地のビルの6、7階に1100坪で出店する予定」とのこと。 CHIグループのウェブサイト上では「新文化」記事に反論するようなプレスリリースは今のところありません。かわりに昨日8日付のプレスリリースで、「大日本印刷 CHI グループ 国内最大級の電子書店を今秋開設――紙の書籍と電子出版コンテンツの制作・製造・配信までをワンストップで提供する「ハイブリッド出版ソリューション」を強化」という驚くべき発表がありました。 このプレスリリースによれば、電子書店の概要は以下の通りです。 ・約10 万点のコンテンツを揃えた国内最大規模の電子書店。 ・パソコンやスマートフォンをはじめ、読書専用端末、多機能端末など、あらゆる表示端末に向けて電子出版コンテンツを販売する予定。 ・CHI のオンライン書店「bk1」と連携し、電子出版コンテンツと紙の書籍を取り扱い、生活者の希望に応じた多様な選択肢を提供。 あくまでも私の予想ですが、「bk1」との連携というのは、将来的にはbk1との事業統合を含んでいるものと思います。その時、「bk1」の名前は消滅するのかもしれませんが、おそらくスタッフは新書店に移ることでしょう。 さて話は戻ってダブルネームの「丸善&ジュンク堂書店渋谷店」ですが、少なくとも発注書を見る限り、選書しているのは丸善ではなくジュンク堂のスタッフです。今後2号店、3号店が出ていくとして、おそらく選書を担当するのはやはりジュンク堂でしょう。これは何を意味するのでしょうか。私は先日、丸善もジュンク堂も歴史のある書店であり、屋号を捨てることはないだろうと書きました。それが今回のいかにも座りの悪すぎるダブルネームの現実として当面は帰結しているわけですが、丸善の社長がジュンク堂の工藤さんになるのですから、CHIグループとしては、丸善の書店事業の中身をジュンク堂仕様に変えていくことを考えている、ということなのかもしれません。かつて丸善のインターネット事業でアマゾンの力を借りたように、です。 とすると、ふつうに考えれば、丸善に守旧派勢力が存在すると仮定した場合は、こうした統合劇に言い知れぬ不安を感じているかもしれません。なにせ、あれよあれよという間に会社がどんどん変化していくわけですから。あるいは小城さんへの信頼が絶対的なものであれば、丸善はいまや従来の姿から「脱皮」することをもう受け入れているのかもしれません。 いずれにせよ、CHIグループ傘下の書店店売や外商、ネット販売はそれぞれ将来的にダブルネームやトリプルネームをやめてもっとシンプルな名前に変わっていくはずです。正直な話、このような再編があると、10年前は誰が予想しえたでしょうか。舵はついに切られました。今年から来年にかけて、電子書籍市場や従来の流通=取次は、これによって良くも悪くも、社外協力も含めた合理化と、業界内での自社の「ポジショニング決定」を強く迫られることになるでしょう。
by urag
| 2010-07-02 18:09
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