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2010年 03月 22日

ランシエール『イメージの運命』が平凡社より刊行

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ランシエールの訳書の刊行が続いています。先週は平凡社から堀潤之さんの訳で『イメージの運命』が刊行されました。写真左側は市田良彦さんによる超絶的ランシエール論『ランシエール――新〈音楽の哲学〉』(白水社、2007年)です。弊社でもランシエールの訳書の企画があったので、なんとか前進させたいところではあります。ランシエールの単独著の既訳書は以下の通り。

ジャック・ランシエール(1940-):アルジェリア生まれのフランスの哲学者。パリ第8大学(サン-ドゥニ)名誉教授。
『イメージの運命』堀潤之訳 平凡社 2010年3月 46判197頁 本体2,400円 ISBN978-4-582-70285-9
『感性的なもののパルタージュ――美学と政治』梶田裕訳 法政大学出版局 2009年12月 46判192頁 本体2,200円 ISBN978-4-588-00931-0
『民主主義への憎悪』松葉祥一訳 インスクリプト 2008年7月 46判241頁 本体2,800円 ISBN978-4-900997-18-9
『不和あるいは了解なき了解――政治の哲学は可能か』松葉祥一+大森秀臣+藤江成夫訳 インスクリプト 2005年4月 46判260頁 本体3,700円 ISBN4-900997-09-9

論文単位での収録ではこの他にも何点かありますが、中でも読者を困惑させているのは、長編論考「『1844年の草稿』から『資本論』までの批判の概念と経済学批判」を収録した『資本論を読む(上)』(今村仁司訳、ちくま学芸文庫、96年10月)の品切状態ではないかと思います。アルチュセール、マシュレー、バリバール、エスタブレとの共著である『資本論を読む』の1965年初版本の翻訳は、今は亡き今村仁司さんの訳で全三巻で文庫化されていましたが、ここしばらく品切が続いているようで、残念なことです。ちなみに1968年の改訂版(訳書は『資本論を読む』権寧+神戸仁彦訳、合同出版、1974年)では、アルチュセールとバリバールの論考を残して、あとは収録されていません。

ランシエールの著書で翻訳が待たれているのは、第一に、彼の博士論文『プロレタリアの夜』だろうと思います。その昔、月刊誌『現代思想』編集長の池上善彦さんが、PR誌『未来』2004年4月号の特集「Books Not Found――編集者が推す絶版・品切・未刊本」という興味深い特集で、この本について熱く語っておられます。「ある時はユートピアを夢見、ある時はストライキのリーダーであり、そして出してはつぶれる雑誌の編集者であった、さわやかな労働者たちの夢について、いや、夢と言うよりは妄想について考えてみたいのだ。妄想こそが我々の真の、そして唯一の武器なのだから」(11頁)。この特集には私も実は寄稿していますが、そこで書いた夢はまだ果たせていません。ハンス・イェニーの『波動学』を翻訳出版したいと私は書いたのでした。

by urag | 2010-03-22 21:46 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)


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