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ウラゲツ☆ブログ

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2021年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆近刊
◎2021年10月上旬日発売予定:佐藤泰志『光る道――佐藤泰志拾遺』本体3,400円
◎2021年9月末発売予定:長崎浩『叛乱を解放する――体験と普遍史』本体3,200円
◎2021年9月22日発売予定:谷川渥『孤独な窃視者の夢想――日本近代文学のぞきからくり』本体2,600円
◎2021年9月21日発売予定:ロドルフ・ガシェ『読むことのワイルド・カード――ポール・ド・マンについて』本体5,400円、シリーズ・古典転生第25回配本(本巻24)

◆最新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
◎2021年8月27日発売:江川隆男『残酷と無能力』本体3200円。
◎2021年8月12日発売:森山大道写真集『Nへの手紙』本体2500円。
◎2021年7月5日発売:小泉義之『災厄と性愛――小泉義之政治論集成Ⅰ』『闘争と統治――小泉義之政治論集成Ⅱ』本体各2600円。
◎2021年6月1日発売:アルベール・ロトマン『数理哲学論集』本体4,500円、シリーズ・古典転生第24回配本(本巻23)。
◎2021年5月7日発売:『表象15:配信の政治――ライヴとライフのメディア』本体2,000円。
◎2021年4月5日発売:柿木伸之『断絶からの歴史』本体3,600円。
 高橋順一氏書評「歴史の闇のなかにまどろむ死者たちを目覚めさせよ――ベンヤミンの歴史哲学の根源」(「図書新聞」2021年7月31日付)
◎2021年3月19日発売:ロドルフ・ガシェ『地理哲学』本体3,000円、叢書エクリチュールの冒険、第18回配本。
 小林卓也氏書評「「地理哲学が開く「哲学とは何か」という問いの必要性――ギリシア古典研究から、古代ギリシアの歴史的・政治的状況を詳述し、これによって地理哲学のなかに、アナール学派の歴史地理学の転用以上の含意を読み込む」(「図書新聞」2021年9月18日付3面「学術・思想」欄)
◎2021年3月5日発売:吉田裕『持たざる者たちの文学史』本体4,500円。
 溝口昭子氏書評「「彼ら」「われわれ」を語る「わたし」を問う――植民地の群衆が炙り出す近代」(「図書新聞」2021年8月14日付)
◎2021年3月5日発売:カトリーヌ・マラブー『真ん中の部屋』本体3,400円、シリーズ〈哲学への扉〉、第8回配本。
 高橋一行氏書評「徹底した偶然性と否定的な可塑性――マラブーの全著作のエッセンスが凝縮されて詰め込まれた書」(「図書新聞」2021年8月7日付5面「学術・思想」欄特集「哲学と思想史の新たな焦点を読む」)
◎2021年3月3日発売:ロザリンド・E・クラウス『アヴァンギャルドのオリジナリティ』本体4,500円。
 大岩雄典氏書評「さらば、全てのアヴァン……」(「美術手帖」2021年6月号「BOOK」欄)
 谷川渥×小西信之×林道郎鼎談「批評とは何か――「モダニズムの神話」を扱ったロザリンド・クラウスの古典的な重要書の新訳」(「図書新聞」2021年6月5日付)
◎2020年12月9日発売:桑原甲子雄『物語昭和写真史』本体2,400円。
◎2020年11月12日発売:『多様体3 特集:詩作/思索』本体3,000円。
◎2020年11月6日発売:アルフォンス・ド・ヴァーレンス『マルティン・ハイデガーの哲学』本体4,500円、シリーズ・古典転生第23回配本(本巻22)。
 森一郎氏書評「フランスにおけるハイデガー受容史上の道標」(「週刊読書人」2021年2月19日号)
 黒岡佳柾氏書評「『存在と時間』の読解とフランス哲学界とハイデガー哲学との対話から、現代にも通じる独自の「ハイデガー論」が開陳される良書」(図書新聞4月10日号「特集:哲学と思想の波打際」)
◎2020年10月29日発売:ジェイソン・ワイス編『スティーヴ・レイシーとの対話』本体3,500円。
 塚原立志氏書評(「ミュージック・マガジン」2021年1月号「BOOK」欄)
 松尾史朗氏書評「自発的な求道者がゆむぐ驚異的に破綻のない言葉たち」(「レコード・コレクターズ」2021年2月号「INFO.STATION BOOKS」欄)
◎2020年10月2日発売:『多様体2 総特集:ジャン=リュック・ナンシー』本体3,200円。

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎重版出来:
 2021年02月15日:ビショップ『ラディカル・ミュゼオロジー』2刷
 2021年02月17日:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』4刷
 2021年03月29日:クラウス『視覚的無意識』3刷
 2021年05月19日:ボワ/クラウス『アンフォルム』4刷
 2021年06月07日:ブルワー=リットン『来るべき種族』2刷
 2021年08月16日:森山大道『K』2刷
 2021年08月16日:森山大道『ニュー新宿』3刷
◎主要品切書目:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象02』『表象03』『表象04』『表象05』『表象07』『表象08』『表象09』『表象12』、毛利嘉孝『文化=政治』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、ギルロイ『ブラック・アトランティック』、ハーマッハー『他自律』、ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』、平井浩編『ミクロコスモス 第1集』、バトラー『自分自身を説明すること』、ユンガー『パリ日記』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』『書物の不在 第二版鉄色本』『謎の男トマ 初版本』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』『新編燈火節』、竹内てるよ『静かなる夜明け』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』『ガセネタの荒野』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道写真集『新宿』『新宿+』『大阪+』『オン・ザ・ロード』『にっぽん劇場』『何かへの旅』『モノクローム』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、中平卓馬『都市 風景 図鑑』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、佐野方美写真集『SLASH』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
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# by urag | 2021-12-31 23:59 | ご挨拶 | Comments(21)
2021年 09月 21日

本日および明日取次搬入:ガシェ『読むことのワイルド・カード』、谷川渥『孤独な窃視者の夢想』

弊社新刊2点の店頭配本分取次搬入日は、ロドルフ・ガシェ『読むことのワイルド・カードーーポール・ド・マンについて』が本日21日、谷川渥『孤独な窃視者の夢想――日本近代文学のぞきからくり』が明日22日です。中2~3営業日で、事前にご発注いただいた書店様に順次着店予定です。

本日および明日取次搬入:ガシェ『読むことのワイルド・カード』、谷川渥『孤独な窃視者の夢想』_a0018105_16253449.jpg


# by urag | 2021-09-21 16:25 | 販売情報 | Comments(0)
2021年 09月 20日

注目新刊:『ゲンロン12』、トリスタン・ガルシア『激しい生』、ほか

注目新刊:『ゲンロン12』、トリスタン・ガルシア『激しい生』、ほか_a0018105_02404558.jpg


ゲンロン12』genron、2021年9月、本体2,600円、A5判並製492頁、ISBN978-4-907188-42-9

★『ゲンロン12』は3連休前の9月17日に発売開始。既刊号と比べて最厚となった第12号の特集は「無料とはなにか」。それに先立ち、政治学者の宇野重規さんと東浩紀さんの対談「観光客の民主主義は可能か」が巻頭に置かれ、続いて東浩紀さんの「ゲンロン0 観光客の哲学」の続編となる8万字の論考「訂正可能性の哲学、あるいは新しい公共性について」が掲出されています。この論考は部分をウェブで読むことができます。「同書〔『観光客の哲学』〕には大きな欠落がある。「観光客の哲学」と題する第1部と「家族の哲学」と題する第2部が接続されておらず、観光客について考えることと家族について考えることがどう関係するのか、きちんと説明できていないのだ。〔…〕それゆえ、欠落を埋める論考を書くことにした。以下に掲載するのは、そのために書かれた8万字ほどの長い原稿である。この原稿は、もうひとつこれから書き下ろす論文とともに、2022年前半に出版される『観光客の哲学』増補版の第3部(新しい部)に収められる。『観光客の哲学』では章番号は部の区別にかかわらず連番なので、この論文は第8章となる」。

★特集頁では、飯田泰之、井上智洋、東浩紀の3氏による座談会「無料は世界をよくするのか」(部分の立ち読み)を中心に、楠木建、鹿島茂、桜井英治、飯田泰之、井上智洋、小川さやか、の各氏による論考が並んでいます。目次詳細は誌名のリンク先をご覧ください。なお次号13号は、約1年後の2022年夏に刊行される予定とのことです。

★まもなく発売となる新刊4点を掲出します。

激しい生――近代の強迫観念』トリスタン・ガルシア著、栗脇永翔訳、人文書院、2021年9月、本体2,500円、4-6判並製230頁、ISBN978-4-409-03112-4
格差の自動化――デジタル化がどのように貧困者をプロファイルし、取締り、処罰するか』ヴァージニア・ユーバンクス著、ウォルシュ・あゆみ訳、堤未果解説、人文書院、2021年9月、本体2,800円、4-6判並製326頁、ISBN978-4-409-24138-7
沖縄観光産業の近現代史』櫻澤誠著、人文書院、2021年9月、本体4,500円、4-6判上製300頁、ISBN978-4-409-52088-8
みんな政治でバカになる』綿野恵太著、晶文社、2021年9月、本体1,700円、四六判並製256頁、ISBN978-4-7949-7275-0

★人文書院さんの新刊3点は今月末発売。『激しい生』はフランスの哲学者トリスタン・ガルシア(Tristan Garcia, 1981-)の著書の初紹介となる訳書。『La vie intense : Une obsession moderne』(Autrement, 2016)の全訳。訳者解説に曰く「小著ながらガルシアの哲学の中心に位置する示唆的な著作」と。帯文の文言を借りると、強さ=激しさに憑りつかれた時代としての近代における、刺激を求め続ける人間の生と思考を分析する書。「新しい世界の強さ=激しさは新しい主体の形成を必要としたのです。すなわち、強い=激しい人間の形成を」(82頁)。「実存の領域の大部分における強さ=激しさのルーチーン。私たちの倫理的な状況にとってその帰結は絶対的に悲惨なものです。〔…〕人間の文化においては叡智と救済の形式の下で、あらゆる強さ=激しさからの最終的な解放の表象が定期的に現れ続けるのです」(141頁)。

★『格差の自動化』は米国の政治学者ヴァージニア・ユーバンクス(Virginia Eubanks, 1972-)の初訳本で、『Automating Inequality: How High-tech Tools Profile, Police, and Punish the Poor』(St. Martin's Press, 2018)の全訳。デジタル化・自動化行政の技術が、ハイテクな監視システムとして貧困層を追い詰めている米国の実情を暴いた問題作。ナオミ・クラインが推薦し、堤未果さんが短めの解説を寄せています。



★『沖縄観光産業の近現代史』は、大阪教育大学准教授の櫻澤誠(さくらざわ・まこと, 1978-)さんの4冊目の単著。前著『沖縄の保守勢力と「島ぐるみ」の系譜――政治結合・基地認識・経済構想』(有志舎、2016年)以降の、沖縄観光産業史に関わる論考4本に加筆修正を施し書き下ろし3本を加えた一冊。

★『みんな政治でバカになる』は、批評家の綿野恵太(わたの・けいた, 1988-)さんの、「晶文社スクラップブック」でのウェブ連載「オルタナレフト論」(2019~2021年)をもとに、「ほとんど最初から」書き直したという一書。フェイクニュースや陰謀論に騙される現代人の政治的無知と認知バイアスの実例の数々を最新科学の知見にもとづきつつ分析し解剖しています。橘玲さんと千葉雅也さんが推薦文を寄せています。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

書物と貨幣の五千年史』永田希著、集英社新書、2021年9月、本体900円、新書判並製280頁、ISBN978-4-08-721183-2
尼将軍』三田誠広著、作品社、2021年9月、本体2,000円、46判上製296頁、ISBN978-4-86182-867-6
小説集 北条義時』海音寺潮五郎/高橋直樹/岡本綺堂/近松秋江/永井路子著、三田誠広解説、作品社、2021年9月、本体1,800円、46判上製304頁、
ISBN978-4-86182-862-1

★『書物と貨幣の五千年史』は永田希(ながた・のぞみ, 1979-)さんによる、『積読こそが完全な読書術である』(イースト・プレス、2020年4月)以来となる意欲的な新著。ウェブサイト「集英社新書プラス」での連載(2020年11月~2021年3月)に加筆修正したもの。「すべてがブラックボックスになる」「情報革命の諸段階、情報濁流の生成過程」「人間は印字されたページの束である」「物語と時間」の全4章立て。岩井克人さんと松岡正剛さんが推薦文を寄せておられます。

★作品社の発売済新刊2点は歴史小説。『尼将軍』は三田誠広さんによる書き下ろし長編作。源頼朝の正妻で頼朝没後は尼将軍として鎌倉幕府で権勢を揮った北条政子をめぐる物語。『小説集 北条義時』は同じく三田さんによる解説付きで、北条政子の弟、北条義時をめぐる6篇の作品を収録したもの。海音寺潮五郎「梶原景時」、高橋直樹「悲命に斃る」、岡本綺堂「修禅寺物語」、近松秋江「北条泰時」、永井路子「執念の家譜」、同「承久の嵐 北条義時の場合」。


# by urag | 2021-09-20 23:08 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)
2021年 09月 12日

注目新刊:レイチェル・カーソン『センス・オブ・ワンダー』新潮文庫、ほか

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センス・オブ・ワンダー』レイチェル・カーソン著、上遠恵子訳、新潮文庫、2021年9月、本体590円、文庫判並製142頁、ISBN978-4-10-207402-2

★『センス・オブ・ワンダー』は初の文庫化。親本は1996年に新潮社より刊行。それに先立つ単行本は、佑学社より1991年に刊行。原著は1965年の『The Sence of Wonder』です。カーソンの遺著であり、未完のエッセイ。新潮文庫では『沈黙の春』(青樹簗一訳、1974年)に続く久しぶりの文庫となります。まだ入手可能な親本では森本二太郎さんによる写真が添えられていましたが、文庫版では川内倫子さんの写真に変更されています。さらに文庫版では巻末に「私のセンス・オブ・ワンダー」として4氏によるエッセイがまとめられています。福岡伸一「きみに教えてくれたこと」、若松英輔「詩人科学者の遺言」、大隅典子「私たちの脳はアナログな刺激を求めている」、角野栄子「見えない世界からの贈りもの」。

★写真を除くとカーソン自身のわずか本文は40頁。読み終えるのに手間がかかる本ではりません。しかし本書を読むには、心を落ち着けることと、静かに一人で読む場所と時間が必要かもしれません。赤ん坊(姪の息子)を抱えて風雨の激しい夜の海辺へと降りていく著者自身の回想から書き起こすので、人によっては「そんな危ないことを」と眉をひそめられてしまうかもしれません。安心できない現代社会で神経をすり減らしている人々には最初の数頁は存外に「入りにくい」ものかも。しかし、一呼吸おいてカーソンの語りをありのままに受け止め、読み進めれば、童心に帰って自然と向き合うことの素晴らしさと、自然と触れ合って活力を得ることの大切さを率直に綴った本だということが分かるはずです。

★「子どもたちの世界は、いつも生き生きとして新鮮で美しく、驚きと感激に満ちあふれています。残念なことに、わたしたちの多くは大人になるまえに澄みきった洞察力や、美しいもの、畏敬すべきものへの直感力をにぶらせ、あるときはまったく失ってしまいます。/もしもわたしが、すべての子どもの成長を見守る善良な妖精に話しかける力をもっているとしたら、世界中の子どもに、生涯消えることのない「センス・オブ・ワンダー=神秘さや不思議さに目を見はる感性」を授けてほしいとたのむでしょう。/この感性はやがて大人になるとやってくる倦怠と幻滅、わたしたちが自然という力の源泉から遠ざかること、つまらない人工的なものに夢中になることなどに対する、かわらぬ解毒剤になるのです」(33, 35頁)。

★本書は遺作であるためか、いささか唐突な終わり方をします。しかしそこから先はまさに読者が歩き出すべき旅です。この小著が読者に長く愛されてきたのは、カーソンからの私信であるかのような親密さを読者と分かち、断片的ではあれ、世界が輝いて見えた遠い日の記憶を思い出せてくれるからでしょう。本書を読むと、舞台となっているメイン州の海辺の別荘を訪れたくなります。旅行には行けなくても、植物や昆虫、鳥、貝殻など固有名詞が色々出てくるので、図鑑やスマホなどで調べることができればいっそう楽しみが増すかと思います。読了後には、道端や公園に咲く花にもあらためて発見があることに気づくようになれるのではないでしょうか。

★最近の注目新刊、既刊についても列記します。大型書店を訪問する機会が極端に減っているため、購入できるのは新書までで、専門書は通販に頼ることになります。

東京古書組合百年史』東京都古書籍商業協同組合、2021年8月、本体7,273円、A5上製本696頁+巻頭カラー16頁、ISBNなし
自由の奪還――全体主義、非科学の暴走を止められるか』アンデシュ・ハンセン/ロルフ・ドべリ/ジャック・アタリ/ほか著、大野和基インタビュー・編、PHP新書、2021年8月、本体920円、新書判並製224頁、ISBN978-4-569-85037-5
私たちはどう生きるか――コロナ後の世界を語る2』マルクス・ガブリエル/東浩紀/ほか著、朝日新聞社編、朝日新書、2021年8月、本体750円、新書判並製200頁、ISBN978-4-02-295135-9
対訳 武士道』新渡戸稲造著、山本史郎訳、朝日新書、2021年7月、本体900円、新書判並製376頁、ISBN978-4-02-295132-8
ラストエンペラー習近平』エドワード・ルトワック著、奥山真司訳、文春新書、2021年7月、本体800円、新書判並製200頁、ISBN978-4-16-661320-5

★予約を入れていた記念出版、『東京古書組合百年史』が届きました。編集責任者は佐古田亮介さん。目次詳細は書名のリンク先で公開されています。近年の業界関係の史誌では、『日本雑誌協会 日本書籍出版協会 50年史――1956→2007』(『50年史』編集委員会編、2007年11月)、『日本出版取次協会五十年史』(五十年史編集委員会編、2001年9月)、『日書連五十五年史』(日書連五十五年史刊行委員会編、日本書店商業組合連合会、2001年7月)などがありますが、その後はこうした記念出版が新刊業界では途絶えており、各団体とも予算がないと聞いているので、そんな困難な時代に古書業界が百年史を刊行するというのは、非常に意義深いことです。編纂委員による編集後記のひとつには「記録が残っていることの有難さ」という声があり、強く強く共感します。東京古書組合では1974年12月に『東京古書組合五十年史』を刊行されています。(いつも書いていることですが)歴史に学んでこそ未来があるのだと思います。

★7~8月の新書では、4点を購入。『自由の奪還』は、直近2年間に『Voice』誌に掲載された9氏へのインタヴューが大幅加筆されて1冊にまとめられたもの。アンデシュ・ハンセン、ロルフ・ドべリ、ジャック・アタリ、ネイサン・シュナイダー、ダニエル・コーエン、ダグラス・マレー、サミュエル・ウーリー、ターリ・シャーロット、スティーヴン・マーフィ重松。『私たちはどう生きるか』は、ここ2年間に朝日新聞デジタルで配信された特集「コロナ後の世界を語る 現代の知性たちの視線」の論考やインタヴューから20氏分をまとめたもの。阿川佐和子、東浩紀、岩田健太郎、宇佐見りん、オードリー・タン、カーメン・ラインハート、金原ひとみ、桐野夏生、金田一秀穂、クラウス・シュワブ、グレン・ワイル、瀬戸内寂聴、多和田葉子、筒井康隆、出口康夫、西浦博、パオロ・ジョルダーノ、マルクス・ガブリエル、柳田邦男、ロバート・キャンベル。どちらのアンソロジーにもガブリエルが登場しているのが共通点。

★『対訳 武士道』は横組で日英対訳になっているのが良いです。なにせ100年以上まえの本(底本は1905年刊の改訂版)ですから、説かれる価値観は現代人にとっては古風という以上に古臭いもの(特に女性観など)もありますが、逆に言えば失われてしまったものも多いということかと思われます。「武士道は「みかえり」の論理を峻烈に拒否するが、これはとは対照的に、目ざとい商人はもろ手をひろげてこれを歓迎する〔If Bushido rejects a doctrine of quid pro quo rewards, the shrewder tradesman will readily accept it〕」(146頁)。新渡戸から見て現代の日本の政治はどのように見えるでしょうか。

★『ラストエンペラー習近平』は、国防アドバイザーで戦略研究家ルトワックの一連の文春新書『中国4.0――暴発する中華帝国』(2016年3月)、『戦争にチャンスを与えよ』(2017年4月)、『日本4.0――国家戦略の新しいリアル』(2018年9月)に続く、奥山真司さん訳による新しい1冊。奥山さんが2019年から21年にかけて行ったインタヴューや講演録などをまとめたものです。アマゾン・ジャパンでは5年前の『中国4.0』に迫る130件以上のカスタマー・レヴューがすでに付いています。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

ぼくのがっかりした話』セルジョ・トーファノ著、橋本勝雄訳、英明企画編集、2021年8月、本体1,400円、新書判上製160頁、ISBN978-4-909151-31-5
ユリイカ2021年10月臨時増刊号 総特集=須永朝彦――1946-2021』青土社、2021年9月、本体2,000円、A5判並製314頁、ISBN978-4-7917-0406-4
現代思想2021年10月臨時増刊号 総特集=小松左京――生誕九〇年/没後一〇年』青土社、2021年9月、本体1,800円、A5判並製290頁、ISBN978-4-7917-1419-3

★『ぼくのがっかりした話』は英明企画編集さんの新シリーズ「再生の文学」の第1回配本。イタリアの俳優で映画監督のセルジョ・トーファノ(Sergio Tofano, 1886-1973)による小説『Il romanzo delle mie delusioni. Racconto piuttosto lungo』(1917/1925/1977/2018)の初訳。アラジン、赤ずきん、眠れる森の美女、シンデレラ、等々の御伽噺の世界に足を踏み入れた少年の、皮肉に満ちた冒険譚です。

★「信じるって? 何を信じるの? あんたが約束した魔法はどこにあるのさ? あんなに魅力的だったあの輝きはどこに行ったの? あんたは見たの? 力は失われて、財産は消えて、偉大さも野心もなくなって、有名人は落ちぶれた。どこもがっかりすることばかり! 幻滅して、がっかりすることばっかりだ! どこも貧乏だし、真実はねじまげられているし、みじめな現実と、こけおどしや見せかけ、つまらないことだらけじゃないか! あらゆるところで失敗ばっかりだ!」(123~124頁)。主人公の少年の嘆きは、作品が発表された第一次世界大戦下の世情への痛烈な批判ともなっているように思われます。

★青土社さんは先週発売の『現代思想』と『ユリイカ』の臨時増刊号で、二人の作家をそれぞれ特集しています。充実の目次詳細は誌名のリンク先をご覧ください。さる五月に逝去された須永朝彦さんの特集号では、未発表作品として、短篇「彼の最期」、片歌「蠱業」そして未刊行短歌などが収録されています。


# by urag | 2021-09-12 18:48 | 本のコンシェルジュ | Comments(0)
2021年 09月 10日

「図書新聞」にガシェ『地理哲学』の書評掲載

「図書新聞」2021年9月18日付3面「学術・思想」欄に、弊社4月刊、ロドルフ・ガシェ『地理哲学――ドゥルーズ&ガタリ『哲学とは何か』について』の書評「地理哲学が開く「哲学とは何か」という問いの必要性――ギリシア古典研究から、古代ギリシアの歴史的・政治的状況を詳述し、これによって地理哲学のなかに、アナール学派の歴史地理学の転用以上の含意を読み込む」が掲載されました。評者は小林卓也さんです。「なぜ彼ら〔ドゥルーズとガタリ〕は、最後の共著に至り、「哲学とは何か」というきわめて素朴な問いを必要としたのか。ロドルフ・ガシェが『哲学とは何か』から引き出す「地理哲学」という論点は、この疑問にある見通しを与えるように思われる」と評していただきました。

# by urag | 2021-09-10 15:18 | 広告・書評 | Comments(0)