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2026年 12月 31日
2026年04月08日取次搬入予定:W・H・ハドスン『水晶の時代』本体3,800円。叢書エクリチュールの冒険、第27回配本。 ◆新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません) 2026年03月18日発売:杉田俊介『無能力批評 増補完全版』本体3,400円。 2026年02月16日発売:堀真悟『祈りのアナーキー ―ーシモーヌ・ヴェイユと解放の神学』本体3,200円。2026年01月05日発売:『丹生谷貴志コレクションⅢ』本体4,300円。 2025年12月01日発売:『丹生谷貴志コレクションⅡ』本体4,300円。 2025年12月01日発売:『丹生谷貴志コレクションⅠ』本体4,500円。 2025年11月25日発売:東京藝術大学未来創造継承センター『Creative Archive vol.02』本体1,500円。 2025年11月21日発売:甲斐扶佐義写真集『新版 地図のない京都』本体3,000円。 2025年11月06日発売:大竹伸朗展公式図録『網膜』本体4,500円。 2025年10月29日発売:髙山花子『世界のかなしみ――『苦海浄土』全三部作試解』本体2,600円。 2025年10月08日発売:ヴェルナー・ハーマッハー『ベンヤミン読解』本体4,500円。シリーズ・古典転生、第32回配本(本巻31)。 2025年09月18日発売:阿部晴政編『ドゥルーズ革命』本体3,200円。 2025年08月12日発売:ジル・ドゥルーズ『尽くされた』本体2,400円。叢書・エクリチュールの冒険、第26回配本。 2025年07月09日発売:E・P・トムスン『ウィリアム・モリスーーロマン派から革命家へ』本体6,800円。 2025年07月03日発売:河野靖好『谷川雁の黙示録風革命論』本体3,600円。 2025年06月13日発売:東京芸術大学未来創造継承センター編『アート×リサーチ×アーカイヴ――調査するアートと創造的人文学』本体2,400円。 2025年05月23日発売:江澤健一郎『思想家 岡本太郎』本体2,600円。 2025年04月28日発売:『表象19:記憶の支持体――アンゼルム・キーファー』本体2,000円。 2025年04月18日発売:『HAPAX III-1:革命』本体2,200円。 2025年04月18日発売:秋元康隆『意志の倫理学 第2版』本体2,100円、シリーズ〈哲学への扉〉第11回配本。 2025年03月04日発売:クリストフ・フリードリヒ・ハインレ『ハインレ詩文集』本体4,500円。 ◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々) ◎重版出来: 2025年05月23日:森山大道『写真よさようなら 普及版』2刷(2023年9月初刷) ◆出版=書店業界情報:リンクまとめ ◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信」 ◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン」 ◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞 ◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍 ※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 ※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。 #
by urag
| 2026-12-31 23:59
| ご挨拶
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2026年 04月 13日
![]() ★まず、平凡社ライブラリーの注目新刊および既刊を列記します。 『指示と存在――存在しないものに固有名はあるか』ソール・クリプキ(著)、八木沢敬(訳)、平凡社ライブラリー、2026年4月、本体2,000円、B6変型判並製304頁、ISBN978-4-582-77012-4 『民主主義の非西洋起源について――「あいだ」の空間の民主主義』デヴィッド・グレーバー(著)、片岡大右(訳)、平凡社ライブラリー、2026年4月、本体1,700円、B6変型判並製216頁、ISBN978-4-582-77011-7 『チェコ21世紀SF短編集』ズデニェク・ランパス(編)、平野清美(編訳)、平凡社ライブラリー、2026年3月、本体2,000円、B6変型判408頁、ISBN978-4-582-77010-0 『暴力の考古学――未開社会における戦争』ピエール・クラストル(著)、毬藻充(訳)、松村圭一郎(解説)、平凡社ライブラリー、2026年1月、本体2,000円、B6変型判192頁、ISBN978-4-582-77006-3 『ユートピア文学選集』コンドルセ/カベ/ゴダン/ユゴー/タルド/ゾラ/ウーセ/フルネル/リラダン/クロ/モーパッサン(著)、小倉孝誠(監訳)、平凡社ライブラリー、2025年11月、本体2,200円、B6変型判並製472頁、ISBN978-4-582-77001-8 ★『指示と存在』はライブラリーオリジナルの訳し下ろし。米国の哲学者ソール・クリプキ(Saul Aaron Kripke, 1940-2022)が1973年にオックスフォード大学の「ジョン・ロック講義」で行なった6回の講義をまとめた『Reference and Existence: The John Locke Lectures』(Oxford University Press, 2018)の訳書です。帯文に曰く「『名指しと必然性』の理論を推し進め、言葉と世界の結びつきを根底から問い直した、存在しないものをめぐる言語哲学」。『名指しと必然性(Naming and Necessity』(原著1972年刊)は、1970年にプリンストン大学で行われた講義をまとめたもの。その訳書『名指しと必然性――様相の形而上学と心身問題』(八木沢敬/野家啓一訳、産業図書、1985年;底本はHarvard University Press版、1980年刊)は日本で長く読み継がれています。 ★『民主主義の非西洋起源について』は、米国の人類学者デヴィッド・グレーバー(David Graeber, 1961-2020)の論考「There Never Was a West: Or, Democracy Emerges From the Spaces In Between」(2005年)の日本語訳を中心に、仏語訳版『La démocratie aux marges』(2014年)に付されたアラン・カイエによる「フランス語版のためのまえがき」と、グレーバーの関連論考「惜しみなく与えよ――新しいモース派の台頭」(2000年)の2篇の翻訳を併載して、以文社より2020年に刊行された単行本の、文庫再刊です。カバー表4紹介文に曰く「私たちが「西洋」と呼んできたものは、いつ、どのようにしてかたちづくられたのか――。国家による統治の外に広がる空間に民主主義の萌芽を見いだし、多種多様な人びとの衝突と対話から立ち上がるもうひとつの世界史を描き出す。「啓蒙の脱植民地化」の出発点にして、最良のグレーバー入門」。巻末に新たに訳者による「六年後の春に――平凡社ライブラリー版に寄せて」が加わっています。 ★『暴力の考古学』は、フランスの人類学者ピエール・クラストル(Pierre Clastres, 1934-1977)の著書『Archéologie de la violence : La guerre dans les sociétés primitives』(Éditions de l'Aube, 1997)の、現代企画室より2003年に刊行された全訳書の再刊。訳者はすでに逝去されているため、明らかな誤りのみ修正され、参考文献の書誌情報がアップデートされています。帯文に曰く「未開社会の自由を「暴力」から読み解き、政治権力のあり方を問い直した、夭折の人類学者による古典的名著」。巻末解説「未開の戦争と国家の戦争」は、文化人類学者の松村圭一郎さんによるもの。 ★『チェコ21世紀SF短編集』と『ユートピア文学選集』はどちらも興味深いアンソロジー。帯文の文言を借りると、前者は「チャペック以降、政治への鋭い批判と奇抜な設定で世界中の読者を魅了し続けるチェコSFから、21世紀に発表された選りすぐりの7編を収録」。後者は「空想社会をめぐる旅行記からSF小説、未来都市のルポから思弁的エッセイまで。近代化と産業化が加速する19世紀フランスで生まれた、来るべき社会を想像するためのアンソロジー」。目次詳細はそれぞれの書名のリンク先でご確認いただけます。 ★このほか最近では以下の新刊との出逢いがありました。 『樹木譜』奥田實(著)、平凡社、2026年3月、本体12,000円、A4変型判上製360頁、ISBN978-4-582-54271-4 『悪いキツネをおさえつけることはできない――気高き保守・国粋・愛国主義者の皆さんと「悪魔のアボカド」の戦い』丸屋九兵衛(著)、平凡社、2026年3月、本体2,600円、4-6判並製320頁、ISBN978-4-582-83959-3 『異境のフロイト――精神分析のはじまりの肖像』上尾真道(著)、岩波書店、2026年3月、本体3,200円、四六判上製296頁、ISBN978-4-00-061750-5 『日常的抵抗への招待――後期新自由主義における子どもと教育』桜井智恵子(著)、洛北出版、2026年3月、本体2,600円、四六判上製336頁、ISBN978-4-903127-38-5 『文藝 2026年夏季号』河出書房新社、2026年4月、本体1,400円、A5判並製472頁、雑誌07821-05 ★『樹木譜』は、北海道在住の写真家、奥田實(おくだ・みのる, 1948-)さんのボタニカル・フォト・コラージュ図鑑『野草譜』(平凡社、2021年)に続く新作。「北海道の大地の魅力的な樹木を克明に撮影し、植物が季節ごとに見せる様々な姿をひとつの画面にまとめた画期的な図鑑&植物誌。全157種」(帯文より)。全頁フルカラーの、迫力ある大判図鑑です。 ★『悪いキツネをおさえつけることはできない』は、評論家の丸屋九兵衛さんがwebちくまで連載していた時事コラム(2018年2月~2022年12月、全55回)から「ポップカルチャー寄り」だという諸篇を外して、1冊にまとめたもの。帯文に曰く「「共産党より左側」で知られ、学術的分野からオタク的カテゴリーまでムヤミに幅広くカバーする「万物評論家」丸屋九兵衛。多様性社会と多文化共生に抗戦を続ける憂国の志士たちの骨を拾いつつ、トランプ政権2.0とシンクロした世界同時多発右傾化に至る道を、さまざまな視点から解読する」(帯表4紹介文より)。 ★『異境のフロイト』は、広島市立大学准教授でご専門が精神分析と思想史の、上尾真道(うえお・まさみち, 1979-)さんによる、『ラカン 真理のパトス――一九六〇年代フランス思想と精神分析』(人文書院、2017年)以来の単独著。帯文に曰く「精神分析の創始者、ジークムント・フロイトが歩んだ軌跡は、決して一本道ではなかった。挫折や葛藤を含み込んだ彼の思想は、他なるものと接する地点、すなわち「異境」のなかでこそ形づくられる。異境を見据えつつ、あるいは自らも異境に留まり続けた、まったく新しいフロイトの肖像」。 ★『日常的抵抗への招待』は、版元紹介文に曰く「ケアや支援がいかに便利使いされ、そこに教育や福祉の業界はどのように加担し、加担させられているかについて、まずは歴史的に把握する。そのうえで、「稼げる個人」とは別のあり方と自由について、アナキズムや政治思想史の知見、各地で行なわれている実際の取り組みなどを紹介しながら、素描を試みる」。著者の桜井智恵子(さくらい・ちえこ)さんは関西学院大学人間福祉研究科教授。ご専門は、教育社会学、社会思想史で、直近の単独著既刊書に『ポンコツでいこう――反開発主義による社会の再生産』(いのちのことば社、2025年9月)があります。 ★『文藝 2026年夏季号』の特集は二本立て。特集1は「失恋、あるいは恋の不可能性」、特集2は「緊急寄稿 殺したくも殺されたくもない私たちのNO WAR」。前者にはサリンジャーの短篇「イレーン」柴田元幸訳、論考として2篇、堀内翔平「試行錯誤のできない社会で、恋の不可能性を考える」、難波優輝「恋愛の根源的はちゃめちゃさとおもちゃの恋」、そして瀬戸夏子、宮崎智之、青木耕平の3氏による選書の「もうすぐ絶滅するという恋愛についてのブックガイド」などが含まれています。このほかの目次詳細は誌名のリンク先をご覧ください。
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by urag
| 2026-04-13 00:46
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2026年 04月 05日
★最近出会いのあった新刊を列記します。 『世界の意味』ジャン=リュック・ナンシー(著)、伊藤潤一郎/横田祐美子(訳)、叢書・ウニベルシタス:法政大学出版局、2026年4月、本体4,300円、四六判上製352頁、ISBN978-4-588-01197-9 『京都に、劇場をつくる 京都で、演劇をする』あごうさとし/仲正昌樹(著)、作品社、2026年4月、本体2,700円、四六判並製260頁、ISBN978-4-86793-139-4 『ヘーゲル哲学と性』岡崎佑香(著)、人文書院、2026年3月、本体4,500円、四六判上製280頁、ISBN978-4-409-03147-6 『政治的エコロジー ――資本新世末期における包摂と排除』土佐弘之(著)、人文書院、2026年3月、本体3,000円、四六判並製250頁、ISBN978-4-409-03146-9 『中立という選択肢――エーモン・デ・ヴァレラとアイルランドの第二次世界大戦』小関隆(著)、レクチャー第二次世界大戦を考える:人文書院、2026年3月、本体2,500円、四六判並製196頁、ISBN978-4-409-51125-1 ★『世界の意味』は、フランスの哲学者ジャン=リュック・ナンシー(Jean-Luc Nancy, 1940-2021)の著書『Le sens du monde』(Galilée, 1993)の全訳。帯文に曰く「世界に意味はない。だからこそ生きる意味がある。私たちは、この腐敗した世界の終わりすら越えて行く。砂漠を行き抜くための指南書――翻訳困難と言われたナンシーの主著、30余年の時を経ていま、全訳なる」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★「おそらく意味〔サンス〕には三つの形式的構造しかない。(一)世界秩序あるいは習わしの遵守――そこでのあらゆる不幸は悲劇的な違背であり、真理へと通じている(オイディプス)。(二)救済――そこでの不幸は病という現世での疎外であり、その終わりなき治癒/償いという悲劇を招く(パルジファル)。(三)世界へと向かって存在することの露呈としての実存、あるいは世界であることの露呈としての実存――そこでの悪と善ならびに「最悪」と「最善」は同じ外延をもつようにみえるし、それゆえに露呈はそのたびごとに決定されなければならない。あるいはまた、そこでの意味〔サンス〕は、与えられ、媒介され、不意撃ちされたものとしての意味〔サンス〕である。別の言い方をすれば、記号の総体としての、意味作用〔シニフィカシオン〕としての、意味生成〔シニフィアンス〕の起源としての意味〔サンス〕である」(「悲嘆。苦痛。不幸」263~264頁)。 ★訳者あとがきに、伊藤潤一郎さんの印象的な言葉があります。「なぜ2025年になって訳者たちの訳出ペースが上がったのか〔…〕ひとつのブレイクスルーが訪れたのである。それは、ナンシーをデリダのメガネをとおして読まなくなったときにやってきた。これまでナンシーはデリダと深い友愛で結ばれた哲学者であり、思想的にもデリダの影響を強く受けているといわれてきた。実際、本書にもデリダは登場し、「差延」と題された節まである。それゆえに多くの研究者はデリダとナンシーの思想的才がどこにあるのかといった論文を大量に生み出してきた(実際、私自身も過去に何度か書いている)。しかし、デリダをとおしてナンシーを見るというそのような見方こそが、『世界の意味』を読むうえでは邪魔になるのだ」(307~308頁)。 ★『京都に、劇場をつくる 京都で、演劇をする』は、THEATRE E9 KYOTO芸術監督のあごうさとし(1976-)さんと、同氏が構成し演出する演劇作品のドラマトゥルクを担当してきた仲正昌樹(なかまさ・まさき, 1963-)さんの共著。第一部「京都の劇場と演劇」では、仲正さんが聞き手となりあごうさんがこれまでの活動や上演作を語ります。第二部「あごうさとし氏のドラマトゥルク(兼訳者として)」は仲正さんが上演作を振り返るもの。第三部「各作品台本」では4本の台本「パサージュⅠ」「純粋言語を巡る物語――バベルの塔Ⅰ」「Pure Nation 2」「触覚の宮殿」を収録。付録は、仲正さんによる「クライスト『ペンテジレーア』の訳者解説」。これは、論創社より2020年に刊行された仲正さん訳『ペンテジレーア』の訳者解説に若干の修正を加えて再録したものです。 ★人文書院さんの新刊より3点。『ヘーゲル哲学と性』は、博士論文「ヘーゲル哲学における性」(京都大学、2023年)に「大幅な加筆修正を施したもの」。本書は「ヘーゲルの思想を「性Geschlecht」の観点から論じるものである。論理学、自然哲学、そして精神哲学から成るヘーゲルの哲学体系において性差やセクシュアリティがどのように論じられているかを批判的に検討すること、これが本書の取り組む課題である。本書はこの課題を、ヘーゲル自身の手によるテクストに加え、ヘーゲルの講義を聴講した者たちの手によるテクストを読解することで遂行する。前者としては著作刊行物、草稿、そして自筆メモを検討し、後者については批判的・歴史的な校訂を経て近年新たに公刊された校訂版『ヘーゲル全集』第二部「講義筆記録」を精査の対象とすることで、ヘーゲル哲学における「性」の内実を解明することを目指す」(序章、9頁)。岡崎佑香(おかざき・ゆか)さんは現在、早稲田祭学文学学術院文学部講師。 ★『政治的エコロジー』は、帯文に曰く「深まる資本主義の危機にともなう社会‐自然の破局を回避する政治はいかにして可能か。人新世、人間中心主義、環境正義、採掘主義、ファシズム、人種主義など数々のテーマを分析し、ノン・ヒューマンを含む道徳的共同体を構想する」。土佐弘之(とさ・ひろゆき, 1959-)さんは神戸大学名誉教授。ご専門は国際関係論・政治社会学です。人文書院から上梓された単独著には2020年の『ポスト・ヒューマニズムの政治』があります。 ★『中立という選択肢』は、新シリーズ「レクチャー第二次世界大戦を考える」の第1弾。帯文に曰く「チャーチルを苛立たせたアイルランド首相デ・ヴァレラ。大国の戦争に巻き込まれまいとする小国にとって、中立は実践可能な選択肢なのか? ナチズムとの「聖戦」に背を向けるのは正当なのか? 中立の光と影を描く」。著者の小関隆(こせき・たかし, 1960-)さんは京都大学人文科学研究所教授。新シリーズに先行する「レクチャー第一次世界大戦を考える」(全12冊、人文書院、2010~2014年)では、『徴兵制と良心的兵役拒否――イギリスの第一次世界大戦経験』(2010年)を上梓されています。 ★新シリーズ第2弾は4月発売予定。小関さんら5氏によるアンソロジー『第二次世界大戦再考』です。第3弾以降の予定については版元さんのプレスリリース「レクチャー第二次世界大戦を考える 3月より刊行開始」に掲出されています。 ★ちくま学芸文庫の4月新刊5点を列記します。 『中国の神話・伝説』伊藤清司(著)、ちくま学芸文庫、2026年4月、本体1,500円、文庫判416頁、ISBN978-4-480-51356-4 『増補 南島の神話』後藤明(著)、ちくま学芸文庫、2026年4月、本体1,400円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51355-7 『言語起源論の系譜』互盛央(著)、ちくま学芸文庫、2026年4月、本体1,800円、文庫判608頁、ISBN978-4-480-51354-0 『武器と農具の江戸時代――—刀狩りから幕末まで』武井弘一(著)、ちくま学芸文庫、2026年4月、本体1,300円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51353-3 『シュラクサイの誘惑――現代思想にみる無謀な精神』マーク・リラ(著)、佐藤貴史/高田宏史/中金聡(訳)、ちくま学芸文庫、2026年4月、本体1,300円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51337-3 ★『中国の神話・伝説』は、慶應義塾大学名誉教授の伊藤清司(いとう・せいじ, 1924-2007)の著書(東方書店、1996年)の文庫化。カバー表4紹介文の文言を借りると、『史記』『漢書』『書経』『韓非子』などの古典に見られる「古い神話や伝承の断片〔…〕を、「天体」「神界からの贈り物」「怪物退治」「洪水/旱魃」「異界訪問」「英雄出生」「異類女房」などに分類して集成」したもの。巻末特記によれば「文庫化にあたっては明らかな誤り等は、適宜修正をほどこしている」とのこと。杏林大学准教授の森和さんによる解説「多彩な研究蓄積がひらく中国の神話伝説の豊かな世界」が加わっています。 ★『増補 南島の神話』は、喜界島サンゴ礁科学研究所学術顧問の後藤明(ごとう・あきら, 1954-)さんの著書『南島の神話』(中公文庫、2002年)の増補文庫化。カバー表4紹介文に曰く「本書は英雄マウイの伝説からハワイの創世詩クムリポまで、この海洋世界に生まれた多彩な神話の数々を紹介する。〔…〕再刊に当たり、南島語圏から人類全体へと射程を広げて神話と文化の関係を考察した補章「人類と日本列島の古層神話――世界神話学からの挑戦」を収録。豊かな南島神話世界への格好の入門書」。 ★『言語起源論の系譜』は、言語論、思想史がご専門の互盛央(たがい・もりお, 1972-)さんの著書(講談社、2014年)の文庫化。親本は第36回サントリー学芸賞芸術・文学部門を受賞しています。帯文に曰く「「言語」とは何か――すべてはそこに収斂する。ヨーロッパの特異性を浮かび上がらせる傑作思想史」。巻末特記によれば「文庫化にあたっては適宜訂正を行い、索引〔人名・作品名〕も付した」と。ちくま学芸文庫版あとがきに「今回、改めて読みなおしてみて、本書の筆致のそこここに今は失われた激しさや怒りのようなものを感じた。それはこの10年で失った若さの表れかもしれず、あるいはこの10年がもたらした諦めの証かもしれないが、文庫版にするにあたって緩和するほかなかったことを、ここに記しておく。/それでもなお失われていない怒りがある」とあります。 ★『武器と農具の江戸時代』は、金沢大学教授でご専門が日本近世史の、武井弘一(たけい・こういち, 1971-)さんの著書『鉄砲を手放さなかった百姓たち』(朝日選書:朝日新聞出版、2010年)を、加筆修正し、補論2篇「新たな刀狩り論へ」「日本人は銃とどのように向き合ってきたのか――銃社会日本の歴史」と文庫版あとがきを加えて改題文庫化したもの。カバー表4紹介文に曰く「なぜ、百姓は鉄砲を必要としたのか。鳥、猪、鹿などの獣との関わり、農耕の営みなど、百姓が自然といかに向き合ってきたのかを描」く、と。 ★『シュラクサイの誘惑』は、コロンビア大学歴史学部人文学教授で西洋政治思想、宗教思想が専門のマーク・リラ(Mark Lilla, 1956-)の著書『The reckless mind : intellectuals in politics』(New York Review Books, 2001)の全訳書(日本経済評論社、2005年)に、原著2016年版の「あとがき 信仰のみ」を新たに訳出して文庫化したもの。中金聡さんによる「文庫版訳者あとがき」によれば「文庫化を機に、表記の統一を徹底し、引用・引照文献の書誌情報を最新化するなど、あらたな読者のニーズにも応えられるよう若干の手を加えた」とのことです。カバー表4紹介文に曰く「20世紀の名だたる哲学者たち──ハイデガー、アーレント、ヤスパース、シュミット、ベンヤミン、コジェーヴ、フーコー、デリダ──を取り上げ、政治と哲学との複雑なもつれを丹念に解きほぐしていく」。リラの既訳書には以下のものがあります。 『神と国家の政治哲学――政教分離をめぐる戦いの歴史』原著2008年;訳書2011年、鈴木佳秀訳、NTT出版。 『難破する精神――世界はなぜ反動化するのか』原著2016年;訳書2017年、山本久美子訳、NTT出版。 『リベラル再生宣言』原著2017年;訳書2018年、夏目大訳、早川書房。
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by urag
| 2026-04-05 21:24
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2026年 03月 30日
★河出書房新社さんの人文書新刊より。 『解き放たれた無――啓蒙と絶滅』レイ・ブラシエ(著)、仲山ひふみ(監訳)、小林卓也/島田貴史(訳)、河出書房新社、2026年3月、本体5,900円、46変形判上製484頁、ISBN978-4-309-23175-4 『言語の人類史――言葉の進化の謎を解く』スティーヴン・ミズン(著)、岩坂彰(訳)、河出書房新社、2026年3月、本体4,500円、46変形判上製544頁、ISBN978-4-309-23183-9 ★『解き放たれた無』は、英国出身の哲学者レイ・ブラシエ(Raymond Brassier, 1965-)の主著『Nihil Unbound: Enlightenment and Extinction』(Palgrave Macmillan, 2007)の全訳。凡例によれば仏語訳版のために著者が書き下ろした第七章〔絶滅の真理〕の新しい最終パラグラフと仏訳版序文を併せて訳出したとのことです。 ★「哲学とは肯定の媒体でも正当化の源泉でもなく、むしろ絶滅の思考機関である〔…〕。絶滅の主体は、生と死のあいだの差異を捨て去ることとして実存するのである。生と死の差異の現象学的な意味を、この切り離す主体の同一性は、否定する。この否定は、〈なしで[lessness; sans]〉の啓蒙としての意味の絶滅を実現する道具である。すなわちこの否定が、思考に普遍的な空虚化の力を付与する解き放ち〔アンバインディング〕を実行するのである」(418~419頁)。 ★帯文に曰く「思弁的実在論が生み出した空前の問題作」。千葉雅也さんの推薦文も帯に載っています。「自然科学と情報がすべてだという今、哲学を「無化する」ぎりぎりまで追い詰めていくのだから、この本は難しい。その難しさが、面白い」。巻末には監訳者の仲山ひふみさんによつ40頁強の懇切な解説が付されています。 ★『言語の人類史』は、英国の考古学者スティーヴン・ミズン(Steven Mithen, 1960-)の著書『The Language Puzzle: How we Talked Our Way Out of the Stone Age』(Profile Books, 2024)の訳書。 帯文に曰く「サルの鳴き声、声道のしくみ、石器の製作、子どもの言語学習、火の使用、脳の進化、遺伝、意味や発音の変化、抽象思考、象徴性……言語はなぜ、いつ、どのように生まれたのか? 言語学、考古学、人類学、遺伝学、神経科学、心理学、動物行動学……各分野先端の知見を駆使し、『心の先史時代』『歌うネアンデルタール』のミズン教授が、人類最大の謎、壮大なジグソーパズルに挑む」。 ★新曜社さんの近刊および既刊書より。 『現象学入門』ダン・ザハヴィ(著)、中村拓也(訳)、新曜社、2026年4月、本体2,900円、4-6判並製288頁、ISBN978-4-7885-1922-0 『事実のあと――二つの国の四〇年と人類学者』C・ギアツ(著)、小泉潤二(訳)、新曜社、2026年2月、本体4,800円、4-6判上製288頁、ISBN978-4-7885-1905-3 『イマジネーション講義――フィクションの現象学』ポール・リクール(著)、ジョージ・H・テイラー/ロバート・D・スウィーニー/ジャン゠リュック・アマルリック/パトリック・F・クロスビー(編)、山野弘樹(訳)、2026年1月、本体6,500円、A5判上製528頁、ISBN978-4-7885-1907-7 ★『現象学入門』は、まもなく発売。デンマークの哲学者でコペンハーゲン大学教授のダン・ザハヴィ(Dan Zahavi, 1967-)の著書『Phenomenology: The Basics』(Routledge, 2019; 2nd edition, 2025)の全訳。帯文に曰く「現象学の基本概念と方法論的意義を明晰に示しつつ、今日の研究動向まで視野に収める入門書」。目次構成は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★「第二版へのまえがき」によれば、第二版は改訂増補版であり「最初の八章への変更はかなり控えめである。それらはいくつかのささいな微調整と文体上の改善、そして第七章〔空間性と身体性〕の場合にはいくつかの圧縮を含んでいる。しかし、序論は拡張され、第九章〔批判的・政治的現象学〕は新しく、第一〇章から第一二章〔古典的応用――心理学・精神医学・社会学;質的研究と認知科学における現行の論争;方法・態度・理論的枠組み〕は書き直されている」とのことです。 ★同まえがきによれば、本書はもともとデンマーク語で2003年に出版された入門書の英語版として構想されたそうで、結果的に「テクスト全体を練り直し、書き直」したとのことです。2003年の元版の方は、2007年のドイツ語訳版からの日本語訳『初学者のための現象学』(中村拓也訳、晃洋書房、2015年)が刊行されています。 ★『事実のあと』は、米国の人類学者クリフォード・ギアツ(Clifford Geertz, 1926-2006)の自伝的著書『After the Fact: Two Countries, Four Decades, One Anthropologist』(Harvard University Press, 1995)の訳書。帯文に曰く「人類学のみならず人文社会科学全般に解釈学的転回をもたらしたギアツ。自身のフィールドワークを振り返りながら、「事実とは何か、事実を知るとはどういうことか」を理解しようとした彼の思想と方法の核心を具体的に語る」。訳者の小泉潤二さんはギアツの元同僚とのことです。 ★『イマジネーション講義』は、フランスの哲学者ポール・リクール(Paul Ricœur, 1913-2005)が1975年にシカゴ大学で行なった講義の記録『Lectures on Imagination』(The University of Chicago Press, 2024)の訳書。帯文に曰く「イマジネーションは世界を創造する――西洋思想の伝統において、「どこにもないもの」は周縁的なテーマとされてきた。本講義でリクールは、哲学の泰斗たちとの対話を経て、新たな現実を生み出すフィクションの理論を構想する」。リクールは1975年にイマジネーションをめぐるもうひとつの講義も行っています。、姉妹編であるその講義は『イデオロギーとユートピア――社会的想像力をめぐる講義』(川﨑惣一訳、新曜社、2011年)として翻訳されています。 ★作品社さんの近刊、金剛出版さんと晶文社さんの新刊を列記します。 『ぼそぼそ声のフェミニズム 増補新版』栗田隆子(著)、作品社、2026年4月、本体2,200円、四六判並製256頁、ISBN978-4-86793-137-0 『転落男性論――孤立、暴力、ホモソーシャル』西井開(著)、金剛出版、2026年3月、本体3,000円、四六判並製240頁、ISBN978-4-7724-2164-5 『吉本隆明全集月報集』晶文社編集部(編)、晶文社、2026年3月、本体2,500円、四六判上製356頁、ISBN978-4-7949-8043-4 ★『ぼそぼそ声のフェミニズム 増補新版』は、2019年に刊行された、文筆家の栗田隆子(くりた・りゅうこ, 1973-)さんの著書の増補新版。帯文に曰く「「カッコ悪いフェミニストがここにいる」――「弱さ」と共にある、これからの思想のかたちを描き話題を呼んだ名著に、書き下ろし「新しい「ぼそぼそ」たちへ」を加えた、私たちのためのフェミニズム宣言書」。来月(2026年4月)末には青土社から『暗中模索のフェミニズム』も発売予定です。 ★『転落男性論』は、帯文に曰く「男性を縛ってきたのは、男らしさを達成したいという上昇の願望ではなく、ここから転げ落ちたくないという不安ではなかったか? 語られなかった男性たちの経験を〈転落〉の現象から見つめる、比類なき臨床社会学的試論」。著者の西井開(にしい・かい, 1989-)さんは臨床心理士で立教大学特任教授。著書に『「非モテ」からはじめる男性学』(集英社新書、2021年)があります。 ★『吉本隆明全集月報集』は、帯文に曰く「総勢62名が語る、私の吉本隆明。晶文社版『吉本隆明全集』の月報を集約し、略年譜(生活史)付す」。略年譜の作成者は石関善治郎さん。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。巻末特記によれば「再録にあたり、旧字を新字にあらため、明らかな誤植と思われる個所は訂正した」とのことです。なお御息女の漫画家、ハルノ宵子さんが寄稿した文章の多くは『隆明だもの』(晶文社、2023年)にまとまっています。 ★以文社さんの3月新刊は1点2冊。 『分析手帖――概念と形式 第一巻』ピーター・ホルワード/ノックス・ピーデン(編)、ジャック=アラン・ミレール/イヴ・デュルー/セルジュ・ルクレール/ジャン=クロード・ミルネール/フランソワ・ルニョー/アラン・バディウ/アラン・グロリシャール(著)、佐藤嘉幸/坂本尚志(監訳)、伊藤蓮/上尾真道/近藤和敬/田中祐理子/中村大介/信友建志/箱田徹/宮﨑裕助(訳)、以文社、2026年3月、本体5,000円、 A5判並製440頁、ISBN978-4-7531-0400-0 『分析手帖――概念と形式 第二巻』ピーター・ホルワード/ノックス・ピーデン(編)、フランソワ・ルニョー/パトリス・マニグリエ/エドワード・ベアリング/トレーシー・マクナルティ/エイドリアン・ジョンストン/スラヴォイ・ジジェク/エティエンヌ・バリバール/イヴ・デュルー/アラン・グロリシャール/ジャン=クロード・ミルネール/ジャック・ブーヴレス/ジャック・ランシエール/アラン・バディウ(著)、佐藤嘉幸/坂本尚志(監訳)、伊藤蓮/上尾真道/近藤和敬/田中祐理子/中村大介/信友建志/箱田徹/宮﨑裕助(訳)、以文社、2026年3月、本体5,000円、A5判並製512頁、ISBN978-4-7531-0401-7 ★『分析手帖』は、帯文に曰く「1960年代のフランス現代思想において、アルチュセール、ラカン、カンギレム、フーコー、デリダ、バディウら、錚々たる執筆陣が寄稿し、新たな知を生み出す場所として機能した思想雑誌、その全貌(全二巻)」。「第一巻は『分析手帖』全10号のなかから重要論考を集めて再録。編者であるピーター・ホルワードによる『分析手帖』全体の歴史的・思想的・政治的文脈を論じた詳細な序論を付す」。「第二巻は、『分析手帖』について新たに寄せられた論文。当時の編集委員会のメンバーや参加した人々へのインタビューからなる」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★藤原書店さんの3月新刊は3点。 『大宅壮一 昭和史の証言――「無思想人宣言」の思想』大宅壮一(著)、大宅映子(監修)、森健(解説)、藤原書店、2026年3月、本体3,300円、四六判並製576頁、ISBN978-4-86578-493-0 『戦後行政の構造とディレンマ〈新版〉――予防接種行政の変遷』手塚洋輔(著)、藤原書店、2026年3月、本体3,200円、四六判並製320頁、ISBN978-4-86578-492-3 『清朝期のモンゴル――その統治と人の移動』岡洋樹(著)、岡田英弘(監修)、清朝史叢書:藤原書店、2026年3月、本体6,200円、A5判上製440頁、ISBN978-4-86578-488-6 ★『大宅壮一 昭和史の証言』は、ジャーナリストの大宅壮一(おおや・そういち, 1900-1970)さんの文章を集めたアンソロジー。大宅映子(おおや・えいこ, 1941-)さんの「序」によれば「昭和初期から、評論家として全英を迎える昭和三十年代まで、昭和のエポックメーキングな出来事を活写した作品を選んだ」と。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。出版人を論評したパートもあり、「出版界五人男」(初出誌不明、1956年)では、文藝春秋新社・佐佐木茂索社長、新潮社・佐藤義夫社長、岩波書店・岩波雄二郎社長、講談社・野間省一社長、中央公論社・嶋中鵬二社長を、「男の顔は履歴書である」では二人の創業者と社長、すなわち平凡社創業者・下中弥三郎さん、文藝春秋創業者・菊池寛さん、東洋経済新報社・石橋湛山社長を取り上げています。 ★『戦後行政の構造とディレンマ〈新版〉』は、2010年に刊行された手塚洋輔(てづか・ようすけ, 1977-)さんの著書の新版。巻頭に「新版に寄せて」という一文が添えられています。帯文に曰く「常に難問と賛否に直面してきた予防接種行政。その歴史を通じて、行政の「行動原理」と「責任」のあり方を問うた名著、待望の新版」。 ★『清朝期のモンゴル』は、シリーズ「清朝史叢書」の最新刊。豊岡康史『海賊からみた清朝――十八~十九世紀の南シナ海』2016年2月刊、岡田英弘『大清帝国隆盛期の実像――第四代康熙帝の手紙から 1661-1722』2016年3月刊(『康熙帝の手紙』改題再版)に続く久しぶりの続刊かと思います。帯文に曰く「モンゴル語・マンジュ語で記された清朝期の文書史料から、中国と異質な統治文化をもつ“遊牧社会の統治”の実像をあぶり出す。清支配下であってもモンゴル人出稼ぎ者やラマ(チベット仏教僧)たちが“越境移動”していたことを示す」と。著者の岡洋樹(おか・ひろき, 1959-)さんは東北大学名誉教授。ご専門は東洋史、モンゴル史。 ★最後に青土社月刊誌と英明企画編集季刊誌の最新号です。奇しくも両誌ともに「誰のため」を問う特集号となっています。 『現代思想2026年4月号 特集=教育は誰のためか――特別支援教育・いじめ問題・子どものメンタルヘルス…』青土社、2026年3月、本体1,800円、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1495-7 『季刊 農業と経済 2026年冬号(92巻1号)』英明企画編集、2026年2月、本体1,700円、A5判並製206頁、ISBN978-4-909151-68-1 ★『現代思想2026年4月号』の特集は「教育は誰のためか――特別支援教育・いじめ問題・子どものメンタルヘルス…」。版元紹介文によれば「“教育”をとりまく包摂と排除を問う――貧困・障害・エスニシティ…教育を受けようとするとき、そこにはさまざまな要因によって意図的な線引きが存在していることに気づかされる。教育はいったい誰のためのものなのか。本特集では、教育を学校制度のみならず、子どもの成長を支えるケアや家族政策、労働問題とも連関しながら、現場の知とともに応答する」。目次詳細は誌名のリンク先でご確認いただけます。次号は4月末発売の5月号で特集は「ニューロダイバーシティ ――脳/神経の多様性をめぐる思想」。 ★『季刊 農業と経済 2026年冬号(92巻1号)』の特集は「たがための農林業──多様な生きものとの共生が生み出す価値」。特集頁の扉に記載された紹介文に曰く「経済性のみを重視するのではなく、農林業を自然と人間とのあいだに位置する循環的な営みと位置付け、産業的価値を超えた意義に共感して実践する人々が存在し、増えている。本特集では、こうした農林業に見られる“他がために”農林業を営む想いと、それらの実践が投げかけている「農林業は“誰がために”あるのか」という問いに着目し、事例を紹介するとともにその意義と可能性を検討する」。目次詳細は誌名のリンク先でご確認いただけます。 #
by urag
| 2026-03-30 02:52
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2026年 03月 23日
★最近出会いのあった新刊を列記します。まもなく店頭発売開始の本も含みます。 『ゲンロンy 創刊号』植田将暉/五月女颯/森脇透青/栁田詩織(編集委員)、ゲンロン、2026年3月、本体2,800円、A5変形判並製384頁、ISBN978-4-907188-68-9 『文学は割に合う!』アントワーヌ・コンパニョン(著)、本田貴久(訳)、作品社、2026年3月、本体2,700円、四六判並製248頁、ISBN978-4-86793-126-4 『情理論――思想と文芸の基層』伊藤益(著)、法政大学出版局、2026年3月、本体4,000円、四六判並製444頁、ISBN978-4-588-13046-5 『ロンリー・ロンドナーズ』サミュエル・セルヴォン(著)、星野真志(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2026年3月、本体2,900円、四六変型判上製256頁、ISBN978-4-86488-344-3 ★『ゲンロンy 創刊号』は発売済。『ゲンロン』誌の姉妹誌の創刊号です。編集委員4氏は90年代生まれ。執筆陣は80年代生まれからゼロ年代生まれまで。版元紹介文に曰く「世界がツイートとスワイプで動く時代に、雑誌にはなにができるか。わたしたちの文化を再定義する特集1〈令和カルチャー!〉、戦争の時代に「思想」の使命を問う第2特集〈帝国をつくろう〉。そして、瀬戸内海から日本の未来をウォッチする小特集〈瀬戸内海未来主義〉まで。新進気鋭の著者たちによる、21世紀を見通すための総合雑誌をおとどけします」。 ★個人的には、第二特集に掲載された、東京大学東洋文化研究所特任研究員の石橋直樹さんによる「「天球」から「怪物」へ──国学の図像的想像力」に強く惹かれました。創刊号から投稿論文枠があり、4篇が掲載されていますが、応募は63篇あったとのことです。巻末の広告欄「ゲンロンの軽出版」では刊行予定として『ゲンロンy落選論文集(仮)』が予告されています。 ★『文学は割に合う!』はまもなく発売。ベルギー生まれのフランスの文芸批評家でコレ─ジュ・ド・フランス教授のアントワーヌ・コンパニョン(Antoine Compagnon, 1950-)の著書『La littérature, ça paye !』(Les Équateurs, 2024)の全訳。帯文に曰く「世界にはびこる文系不要論に抗し、人間的な豊かさをはぐくむための文学の有用性を説くのみならず、その市場価値にまであえて踏み込み、「長期的投資」「遅れてくる利子」としての意義を強調する。フランス文学界の碩学による、抒情的な思索とアイロニカルな語り口に満ちた唯一無二の書。本を読み、考えるという営みの肯定」。 ★本書から引きます。「私たちの生きる〈現代の世界〉における文学の立場を弁護するために、『文学は割に合う!』という、まるで軍旗をはためかすかのように戦闘的で強気な、そしてややもすると挑発的なタイトルを付けました。今日、文学やその価値、効力、有効性、未来を疑うひとびとが、同僚である大学教員や同志である作家、そしてわたしの読者のなかにも出てきているのだと実感しています。この文學への疑いを端的に要約すると「文学は得にならない、あるいはもう得にならなくなるだろう」ということになります」(5頁)。「「文学は割に合う!」というスローガンにはふたつの意味があると考えています。ひとつは、「作者にどれほどの利益をもたらすのか」、もう一方は「読者にどれほどの利益をもたらすのか」という意味です」(7頁)。 ★「文学・哲学だけでなく、美術、映画、画面上のたくさんのコンテンツも含めた教養は、仕事における目先の作業から距離をとり、自らを客観視し、外部と内部とに同時に存在しながら自らを見つめ、人生を変えるための手助けをしてくれます。もともとのキャリアを超え出るため、方向を変えるため、関連分野へと分化していくため、新しいチャンスをとらえるためには、教養が不可欠なのです。一般教養がもたらすものとは、洞察力とか直感力という別種の知性です。これは優れた犬や狐にみられる勘に近いものなのです。鋭い勘は生まれつきではなく、読書によって養われるものであり、読書は他の経験への入り口となります。読書は勘を養ってくれるのです。困難を切り抜け、立て直すのにこれほど必要なものはないのです」(第14章「すべてのひとのための文学」118~119頁)。 ★なお、本書の端緒となる2012年のコンパニョンの来日講演「文学は割に合う」は、月刊誌『群像』2012年9月号に中地義和さんの訳で掲載されています。 ★『情理論』はまもなく発売。筑波大学名誉教授で日本倫理思想がご専門の伊藤益(いとう・すすむ, 1955-)さんによる書き下ろし。帯文に曰く「西洋哲学と東洋的論理の両者に通じる著者が、物語、理性、神話、理念、文芸、性愛、仏法の各主題から、私たちを統べる情と理の働きをいかなる幻想もなしに照らし出す。ものごとに即して思索しうるための必読書」。 ★「国が滅ぶという局面に先駆けて、哲学が滅びようとしているのかもしれない。この国のあらゆる分野における退行現象を踏まえつつ、「日本の哲学」を打ち建てようと努めてきた数少ない研究者の一人として、筆者はこの論考を、至極単純な一言を以て締めくくりたい。すなわり、情性を理路を以て組み立てる情理のはたらきに身を委ねようとする努力を怠れば、いかにロゴスとしての理性を研ぎ澄まそうとも、人間性の本然の態様は見落とされる、という一言を以て」(第七章「仏法論」432頁)。 ★『ロンリー・ロンドナーズ』はまもなく発売。ルリユール叢書第58回配本(77冊目)。トリニダード生まれの英国の黒人作家サミュエル・セルヴォン(Samuel Selvon, 1923–1994)の小説『The Lonely Londoners』(1956年)の訳書。帯文に曰く「クレオール英語の特異な文体で、ロンドン移民の苦境の現実と夢を「都会のブルース」として描き、イギリス社会をユーモラスに風刺する「黒い大西洋(ブラック・アトランティック)」の傑作小説。本邦初訳」。ルリユール叢書次回配本は4月、本田博之訳『シラー戯曲傑作選 群盗――戯曲と悲劇』。「1781年匿名出版の『群盗――戯曲』と、熱狂を生んだ82年改稿版『群盗――悲劇』の両版を収録。本邦初訳の「初版序文」も加え、天才劇作家の原点に迫る決定版」とのことです。 ★最近出会いのあった、平凡社さんの既刊書を列記します。 『文献集――中国学の先人と漢籍のはなし』井上進(著)、平凡社、2026年2月、本体4,300円、4-6判並製344頁、ISBN978-4-582-83998-2 『食の欲望論――生存から快楽、そして情報へ』小林哲/藤本憲一(編)、公益財団法人味の素食の文化センター(企画)、食の文化フォーラム:平凡社、2026年2月、本体3,000円、4-6判並製288頁、ISBN978-4-582-83996-8 『明治の貸本屋さん』松永瑠成(著)、ブックレット〈書物をひらく〉:平凡社、2026年2月、本体1,500円、A5判並製96頁、ISBN978-4-582-36477-4 『「忠臣」創出――戦国武将標葉氏の近代』西村慎太郎(著)、ブックレット〈書物をひらく〉:平凡社、2026年1月、本体1,500円、A5判並製96頁、ISBN978-4-582-36476-7 『調べてみよう! 国際交流(3)SDGs』澤井陽介(監修)、2026年2月、本体3,500円、A4変型判上製32頁、ISBN978-4-582-72413-4 『調べてみよう! 国際交流(2)文化』澤井陽介(監修)、2026年2月、本体3,500円、A4変型判上製32頁、ISBN978-4-582-72412-7 『調べてみよう! 国際交流(1)スポーツ』澤井陽介(監修)、2026年1月、本体3,500円、A4変型判上製32頁、ISBN978-4-582-72411-0 『まいあ Maia―SWAN actⅡ― 完全版 第3巻』有吉京子(著)、平凡社、2026年1月、本体1,400円、4-6判並製264頁、ISBN978-4-582-28887-2 ★『文献集』は、序言に曰く「伝統中国が生み出した書物の数々、いわゆる漢籍に関する話と、漢籍を博く精しく読むことで中国の伝統文化を研究すると同時に、研究対象たる中国の伝統文化に深く魅入られていった浅学の話から」なる、とのこと。名古屋大学名誉教授で東洋史学者の井上進(いのうえ・すすむ, 1955−)さんが各媒体で1998年から2025年にかけて各媒体で発表してきた論文や講演記録、14本をまとめた一書です。 ★『食の欲望論』は論文集。「「食の欲望」をテーマに、人間と食の複雑な関係に迫った2024年度〈食の文化フォーラム〉の記録本」(版元紹介文より)。「食の欲望の人類史」「なぜ人は〈食べ過ぎる〉あるいは〈食べることを拒否する〉のか」「食の欲望はどこへ向かうのか」の三部構成で、「人類学・心理学・食品科学・歴史学といった多角的な視点から、食の欲望の起源とその変容を考察する。さらに、健康志向やフードテック、宇宙食、SNSの「映え」文化など、現代から未来へと広がる食のかたちにも目を向ける」(同)。目次詳細は書名のリンク先をご確認ください。 ★ブックレット〈書物をひらく〉の第36巻と第37巻が発売となりました。過去は単なる過去ではなく、未来を見遥かす手がかりとなることを教える、素晴らしいシリーズです。各巻のカバーソデ紹介文によれば、『「忠臣」創出』は、「福島県浪江町の一角に立つ「標葉公忠勲之碑」、南朝顕彰の碑が建っている。しかしその基になったのは、南北朝のはるか後代、十五世紀末に滅亡した戦国武将である。どんな歴史の事実が、いつ、なぜ、どのように、かくも読み替えられたのか。小さい地域の深い歴史」。『明治の貸本屋さん』は、「購入するよりも安価に読み物を楽しむことのできる貸本屋の仕組み、江戸時代に端を発したこの業態は、明治時代にどのように継続し、また変容したのか。実態を示す資料が乏しいなかで、貸本事態に貼られて残る貸本規則や蔵書目録、補強に使われた営業文書の反故紙、また引札や新聞広告、新聞記事、貸本印から起業手引書まで、あらゆる資料・痕跡から、海外在留邦人向けまであった近代貸本業の実像に迫る」。 ★『調べてみよう! 国際交流』は、国際交流を知るためのシリーズ全5巻。版元紹介文に曰く「小学生から身につけておきたい、異なる国の人々や文化の相互理解を育むためのシリーズ」で、各巻のテーマは、第1巻:スポーツ、第2巻:文化、第3巻:SDGs、第4巻:日本の国際貢献、第5巻:共生するまち。第4巻と第5巻はまもなく発売と聞きます。 ★『まいあ Maia―SWAN actⅡ― 完全版 第3巻』は、全4巻の第3巻。帯文に曰く「最上級の第1学年に進級したまいあは、恒例行事の学校祭の準備に忙しい。その後に控えるパリ・オペラ座入団私見のことも気になり始め――」。巻頭はカラー、巻末には書き下ろし番外編8頁のほか、扉絵コレクション、さらに初回出荷分限定でポストカードがついています。第4巻は4月下旬発売予定。
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| 2026-03-23 02:05
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