人気ブログランキング |

ウラゲツ☆ブログ

urag.exblog.jp
ブログトップ
2020年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆最新刊と近刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
◎2020年1月22日発売予定:ロドルフ・ガシェ『脱構築の力』本体2,700円、叢書エクリチュールの冒険、第15回配本。
◎2020年1月17日発売予定:秋元康隆『意志の倫理学』本体2,100円、シリーズ〈哲学への扉〉、第6回配本。
◎2019年12月24日発売:ジュディス・バトラー『新版 権力の心的な生』本体3,200円。
◎2019年12月5日発売:『森山大道写真集成(3)写真よさようなら』本体7,500円。
◎2019年11月29日発売:榊貴美作品集『KIMI SAKAKI twinkle』本体2,000円。
◎2019年11月13日発売:カール・ヤスパース『ニーチェ』本体8,400円、シリーズ・古典転生、第20回配本(本巻19)。
◎2019年11月1日発売:ラシード・ブージェドラ『ジブラルタルの征服』本体3,000円、叢書・エクリチュールの冒険、第14回配本。
◎2019年10月3日発売:ジョルジョ・アガンベン『書斎の自画像』本体2,700円、シリーズ〈哲学への扉〉、第5回配本。
 西山雄二氏書評「独特かつ魅力的な自伝――多種多様な知的交流を回想しつつ、みずからの生涯を綴る」(「週刊読書人」2020年1月3日号)
 鈴木慎二氏短評「19年下半期読書アンケート」(「図書新聞」2019年12月21日号)
◎2019年10月3日発売:水野浩二『倫理と歴史』本体2,200円、シリーズ〈哲学への扉〉、第4回配本。
◎2019年9月19日発売:『森山大道写真集成(2)狩人』本体5,000円。
◎2019年9月12日発売:山下純照/西洋比較演劇研究会編『西洋演劇論アンソロジー』本体3,600円。
◎2019年8月7日発売:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』本体1,800円、シリーズ〈哲学への扉〉、第3回配本。
◎2019年8月7日発売:新井俊春『名人農家が教える有機栽培の技術』本体2,700円。
◎2019年5月23日発売:『森山大道写真集成(4)光と影』本体6,000円。
◎2019年5月14日発売:ジョージ・ラミング『私の肌の砦のなかで』本体3,800円、叢書・エクリチュールの冒険、第13回配本。
 中村隆之氏書評「外界を隔つ「私の肌の砦」――カリブ文学を代表する作家の〈原点〉」(「週刊読書人」2019年8月30日号)
◎2019年4月26日発売:『表象13:ファッション批評の可能性』本体2,000円。
◎2019年3月22日発売:ロザリンド・E・クラウス『視覚的無意識』本体4,500円。
 志賀信夫氏書評「テキストの迷宮が絵画とは何かを問いかける」(「週刊読書人」2019年5月31日号)
 暮沢剛巳氏書評「グリーンバーグのモダニズム美術論の批判的克服、ある種の「親殺し」の書――ようやく実現した待望の邦訳の出版を素直に喜びたい」(「図書新聞」2019年6月15日号)
 沢山遼氏書評「モダニズムの視覚と欲望とは」(「美術手帖」2019年8月号「BOOK」欄)
◎2019年3月6日発売:筧菜奈子『ジャクソン・ポロック研究』本体4,000円、シリーズ・古典転生、第19回配本、本巻18。
 中島水緒氏短評(「美術手帖」2019年6月号「BOOK」欄)
 大島徹也氏書評「ポロック芸術の再解釈を果敢に試みる――ポロックの装飾性の研究はさらなる発展の可能性を感じさせる」(「図書新聞」2019年6月29日号)
 黒岩恭介氏書評「整理された良質の研究書――ポロックの様式展開を考える上で、重要な問題提起を含む」(「週刊読書人」2019年7月19日号)
◎2019年2月22日発売:ハナ・ロスチャイルド『パノニカ――ジャズ男爵夫人の謎を追う』本体2,700円。
 宮下志朗氏短評(「読売新聞」2019年5月5日付書評欄)
◎2019年2月20日発売:十和田市現代美術館編『毛利悠子 ただし抵抗はあるものとする』本体2,200円。
◎2019年2月18日発売:須藤温子『エリアス・カネッティ――生涯と著作』本体3,500円、シリーズ・古典転生、第18回配本、本巻17。
 古矢晋一氏書評「死者たちの群衆の後に唯一者として「生き残る」――カネッティは実に多彩な思想的、芸術的問題と格闘していた」(「図書新聞」2019年6月22日号)
◎2019年2月1日発売:松江泰治『JP-34』本体3600円。
◎2018年12月17日発売:『森山大道写真集成(1)にっぽん劇場写真帖』本体6,000円。

◆重版情報
◎2019年5月10日:甲斐義明編訳『写真の理論』2刷。
◎2019年7月26日:ロザリンド・E・クラウス『視覚的無意識』2刷。
◎2019年9月4日:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』2刷。
◎2019年10月10日:森山大道『犬と網タイツ』3刷。
◎2020年1月10日:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』3刷。

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎品切重版検討中:『ミクロコスモス第1集』2刷、ユンガー『パリ日記』2刷、ギルロイ『ブラック・アトランティック』4刷。
◎品切重版未定:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象02』『表象03』『表象04』『表象05』『表象08』『表象09』『表象12』、毛利嘉孝『文化=政治』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、ハーマッハー『他自律』、ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』『新編燈火節』、竹内てるよ『静かなる夜明け』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』『書物の不在 第二版鉄色本』『謎の男トマ 初版本』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道写真集『新宿』『新宿+』『大阪+』『オン・ザ・ロード』『何かへの旅』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、熊木裕高写真集『吠えない犬』、瀬戸正人写真集『picnic』、菱田雄介写真集『ある日、』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
※このブログについてネット上でつぶやかれていることをご覧になりたい方はYahoo!のリアルタイム検索をご覧ください。
※このブログがWWWにおいてどのような地位にあるのかについてはこちらをご覧ください。
※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。弊社が発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに弊社にはtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。


# by urag | 2020-12-31 23:59 | ご挨拶 | Trackback(1) | Comments(21)
2020年 02月 17日

月曜社3月新刊案内【ドイツ文学・SF】:エルンスト・ユンガー『エウメスヴィル』

月曜社新刊案内【2020年3月:文芸書1点:ドイツ文学・SF】
2020年3月8日書店様受注締切/2020年3月17日取次搬入予定

エウメスヴィル――あるアナークの手記
エルンスト・ユンガー[著] 田尻三千夫[訳]
月曜社 本体3,500円 46判(188x130x28)並製464頁 ISBN978-4-86503-095-2 C0097

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

内容:〈大破壊〉後の架空の都市国家に生きる一青年の任務と日常に仮託して、来たるべき人間と社会の趨勢を描いた、ユンガーの知られざる長篇小説。『大理石の断崖の上で』『ヘリオーポリス』に続く本作で、ユンガーはついに、独裁者たちが巨大な森へと消失する未来を幻視する。稀代の魔術的リアリストが描く、異形のSF世界。【叢書・エクリチュールの冒険、第16回配本】

目次:
師たち
限定と安全
ナイトバー・メモ
カスバの一日
町での一日
森について
エピローグ
訳者あとがき

原著:Eumeswil, Krett-Cotta, 1977.

著者:エルンスト・ユンガー(Ernst Jünger, 1895-1998)20世紀ドイツの作家。近年の訳書に以下のものがある。『ユンガー゠シュミット往復書簡 1930–1983』(山本尤訳、法政大学出版局、2005年)、『労働者――支配と形態』(川合全弘訳、月曜社、2013年)、『ユンガー政治評論選』(川合全弘編訳、月曜社、2016年)、『ガラスの蜂』(阿部重夫/谷本愼介訳、田畑書店、2019年)。

訳者:田尻三千夫(たじり・みちお, 1948-)東京大学名誉教授。ドイツ近現代文学研究・紹介。訳書にエルンスト・ユンガー『ヘリオーポリス』(上下巻、国書刊行会、1985~1986年)、アルトゥール・シュニッツラー『ウィーンの青春――ある自伝的回想』(みすず書房、1989年)、ヴォルフガング・ケッペン『ユーゲント』(同学社、1992年)、インゲボルク・ヴェーバー゠ケラーマン『子ども部屋――心なごむ場所の誕生と風景』(白水社、1996年)、ヨアヒム・ハインリヒ・カンペ『新ロビンソン物語』(鳥影社、2006年)など。

月曜社3月新刊案内【ドイツ文学・SF】:エルンスト・ユンガー『エウメスヴィル』_a0018105_11164371.png


# by urag | 2020-02-17 11:18 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2020年 02月 12日

「みすず」2020年読書アンケート号に、アガンベン『書斎の自画像』への短評2本

月刊誌「みすず」2020年1/2月合併号「読書アンケート特集」で、弊社10月刊、アガンベン『書斎の自画像』岡田温司訳を、長谷正人さんと田中純さんが取り上げて下さいました。長谷さん曰く「20世紀思想家の生き証人であるアガンベンが、まだ現役として私たちの思考を揺るがせている事実に感動する」。田中さん曰く「読み進むほどに、著者らしい啓示的な細部に満ちている」。たいへん光栄です。ありがとうございます。


# by urag | 2020-02-12 11:54 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2020年 02月 10日

「新書大賞2020」に参加しました

本日発売の「中央公論」2020年3月号で「新書大賞2020」が発表。「目利き45人が選ぶ2019年私のオススメ新書」に今年も参加しました。例年はベスト20のランキングと私の選書はほとんど重複しないのですが、今年はさすがに話題書を含むだけあって5冊中2冊がランクインしています。私が選んだ5冊は以下の通り。

【1】木澤佐登志『ニック・ランドと新反動主義』星海社新書(新書大賞第11位)
【2】斎藤幸平編『未来への大分岐』集英社新書(新書大賞第8位)
【3】植村邦彦『隠された奴隷制』集英社新書
【4】大野和基編『未完の資本主義』PHP新書
【5】丸山俊一ほか編『AI以後』NHK出版新書

大野和基さんと丸山俊一さんがそれぞれに継続されている、世界的知性への取材活動は評価されるべきです。読者を学術書へと導く入門編として、どれも重要な役割を果たしていると思います。

「新書大賞2020」に参加しました_a0018105_16554478.jpg

「新書大賞2020」に参加しました_a0018105_16564426.jpg

# by urag | 2020-02-10 17:00 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2020年 02月 09日

注目新刊:水声社よりデスコラ『自然と文化を越えて』、クラストル『政治人類学研究』が発売

注目新刊:水声社よりデスコラ『自然と文化を越えて』、クラストル『政治人類学研究』が発売_a0018105_02151242.jpg


自然と文化を越えて』フィリップ・デスコラ著、小林徹訳、水声社、2020年1月、本体4,500円、四六判上製637頁、ISBN978-4-8010-0467-2
政治人類学研究』ピエール・クラストル著、原毅彦訳、水声社、2020年1月、本体4,000円、A5判上製314頁、ISBN9978-4-8010-0468-9
ゲーテとドイツ精神史――講義・講演集より』エルンスト・カッシーラー著、田中亮平/森淑仁編訳、知泉書館、2020年1月、本体5,000円、新書判上製472頁、ISBN978-4-86285-308-0
本を売る技術』矢部潤子著、本の雑誌社、2020年1月、本体1,600円、四六判並製240頁、ISBN978-4-86011-438-1
形を読む――生物の形態をめぐって』養老孟司著、講談社学術文庫、2020年1月、本体960円、232頁、ISBN978-4-06-518546-9
荀子』湯浅邦弘著、角川ソフィア文庫、2020年1月、本体840円、208頁、ISBN978-4-04-400546-7
哲学の起源』柄谷行人著、岩波現代文庫、2020年1月、本体1,220円、272頁、ISBN978-4-00-600413-2
養生訓』貝原益軒著、松田道雄訳、中公文庫、2020年1月、本体880円、280頁、ISBN978-4-12-206818-6

★『自然と文化を越えて』は叢書「人類学の転回」の第14弾。フランスの人類学者デスコラ(Philippe Descola, 1949-)の主著『Par-delà la nature et la culture』(Gallimard, 2005)の待望の翻訳であり、デスコラの単独著の初訳本となります。「人類学の最近の潮流における根本的な変化――お望みならパラダイム・シフトと言ってもよい――を提供している」と、かのサーリンズが英訳版の「緒言」で書いていることが訳者あとがきで紹介されています。2段組で本文と注と文献一覧を併せると600頁を超える大冊です。

★デスコラはこう書きます。「人類学は素晴らしい挑戦に直面しているのだ。すなわち、人間主義〔ヒューマニズム〕という擦り切れた形式と共に消え去るか、あるいは形態変化して、まさに人間〔アントロポス〕意外のもの、つまり人間と結びついているのに今のところ周辺的役割に遠ざけられている存在者の集合体を、まるごと研究対象に含めるような仕方で、自らの領域や諸々の道具について再考するかである。あるいは、もっと慣例的な言葉を使うならば、文化の人類学を自然の人類学によって裏打ちせねばならない。自然の人類学は、このような周辺的存在者たちの領分と、人間が現働化している世界に開かれている。自然の人類学を用いて、人間は自らを対象化するのである」(序、21頁)。

★この言葉は叢書「人類学の転回」全体を象徴するものでもあり、新実在論を含む、脱人間中心主義の人文学(ポスト・ヒューマニティーズ)の基軸を示すものでもあります。デスコラの本書はその中心で、文化のコードを揺るがす強烈な磁場を発生させ、新世界への視野を拓いています。

★『政治人類学研究』は叢書「言語の政治」の第23弾。『Recherches d'anthropologie politique』(Seuil, 1980)の全訳で、フランスの人類学者クラストル(Pierre Clastres, 1934-1977)による論考12篇をまとめたものです。同叢書では『国家に抗する社会――政治人類学研究』(渡辺公三訳、水声社、1989年)に次ぐ2冊目。副題が今回の新刊の正題と同じですが、別々の書籍です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。第11章「暴力の考古学――未開社会における戦争」は、原著が単行本としても刊行されていたこともあり、既訳が2003年に出版されています(毬藻充訳、現代企画室)。

★『ゲーテとドイツ精神史』は「知泉学術選書」の第11弾。カッシーラー遺稿集でゲーテを論じた講義や講演を収めた第10巻と第11巻から主要なものを訳出したもの。第Ⅰ部「ゲーテと精神史のための論集」と第Ⅱ部「ゲーテ講義集」の2部構成。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「カッシーラーの哲学の基軸が通説とは違い、カントよりむしろゲーテにあったことが本書を通して明らかにされる」(カバー表4紹介文より)。なお、知泉書館さんでは2006年に森淑仁編訳『カッシーラー ゲーテ論集』を出版されています。

★『本を売る技術』は「WEB本の雑誌」で連載されたものに書き下ろしを加えたもの。全7講から成り、本の雑誌社営業部の杉江由次さんとの対談形式で綴られています。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「これまでマニュアル化不可能、口承・口伝、見て盗む、あるいは独学で行なわれてきた書店員の多岐にわたる仕事が、今はじめて具体的・論理的に語られる」(帯裏紹介文より)。矢部潤子さんは出版業界人なら知らぬ人はいないヴェテラン書店員。実務概論としてだけでなく、書店人の職能の証言としても後世に残るだろう貴重な一冊です。

★『形を読む』は1986年に培風館より単行された単行本に加筆修正を施し、文庫版まえがきを付したもの。「この本は、私が研究生活で考えたことの大部分を含んでいる」(3頁)。『唯脳論』『バカの壁』、近作の新書『遺言』までがこのまえがきで言及されています。だとすれば、養老さんの思考の螺旋階段を下ったその基底は形態学にある、と言えるのかもしれません。

★そのほか文庫を一挙におさらいしておくと、『荀子』は「ビギナーズ・クラシックス 中国の古典」の一冊。現代語訳、書き下し分、返り点付き原文、解説、コラムで構成。「性悪説にもとづく「礼治」の教え」(帯文より)の現代性に再注目したい必読古典。『哲学の起源』は2012年11月に刊行された単行本の文庫化。もともとは月刊誌「新潮」に連載されたもの。新たに「岩波現代文庫版あとがき」が加えられています。ジジェクの推薦文が帯に刻まれています。『養生訓』は中公文庫プレミアム「知の回廊」の一冊。1977年の中公文庫の改版で、新たに巻末エッセイとして玄侑宗久さんによる「自愛の作法」が加えられています。

★続いてここ一、二か月で重版が掛かった既刊書を2点挙げます。

新しい哲学の教科書――現代実在論入門』岩内章太郎著、講談社選書メチエ、2019年10月、本体1,800円、四六判並製288頁、ISBN978-4-06-517394-7
戦争プロパガンダ10の法則』アンヌ・モレリ著、永田千奈訳、草思社文庫、2015年5月、本体800円、208頁、ISBN978-4-7942-2106-3

★『新しい哲学の教科書』は昨年10月刊行で12月に2刷が出ています。メイヤスー、ハーマン、チャールズ・テイラーとヒューバート・ドレイファス、ガブリエルの思想を、それぞれ一章を割いて解説したもの。副題にある通り、ここしばらく注目を浴び続けている「現代実在論」の関連書籍を書棚でまとめたい場合は中核にできる入門書です。「思弁的実在論、多元的実在論、新しい実在論の中心的な考え方を可能なかぎり簡明に提示」し、「現代の実存感覚に光を当てることで、「実在論」の意義を「実存論」的に取り出す」(「まえがき」3頁)ことを目的とした一冊。

★『戦争プロパガンダ10の法則』は2002年3月刊の単行本が2015年2月に文庫化され、5年後の2020年1月に3刷となっています。フランス語の原著『Principes élémentaires de propagande de guerre』は2001年に刊行。イギリスの貴族出身の政治家でポンソンビー男爵(Arthur Augustus William Harry Ponsonby, 1871-1946)の名著『戦時の嘘』(Falsehood in War-Time, Allen and Unwin1928)が分析した10個のウソを1章ごとに敷衍して論じたもの。曰く「われわれは戦争をしたくはない:We do not want war」「しかし敵側が一方的に戦争を望んだ:The opposite party alone is guilty of war」「敵の指導者は悪魔のような人間だ:The enemy is inherently evil and resembles the devil」「われわれは領土や覇権のためではなく、偉大な使命のために戦う:We defend a noble cause, not our own interests」「われわれも誤って犠牲を出すことがある。だが敵はわざと残虐行為におよんでいる:The enemy commits atrocities on purpose; our mishaps are involuntar」「敵は卑劣な兵器や戦略を用いている:The enemy uses forbidden weapons」「われわれの受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大:We suffer small losses, those of the enemy are enormous」「芸術家や知識人も正義の戦いを支持している」「われわれの大義は神聖なものである:Recognized artists and intellectuals back our cause」「この正義に疑問を投げかける者は裏切り者である:Our cause is sacred」(訳文はモレリ本からで英語原文はポンソンビーのもの)。昔も今もこうした狡猾な言説は変わらないようです。

★なお、ポンソンビーの著書には古い訳書があります。『戦時の嘘――大戦中の各国を翔け回つた嘘のとりどり』(永田進訳、東晃社、1942年)です。一方、ネット書店に書誌情報が今なお残っている『戦時の嘘――戦争プロパガンダが始まった』(東中野修道監修、エドワーズ博美訳、草思社、2015年7月)というのは国会図書館などには登録されておらず、幽霊なのかもしれません。

★続いてちくま学芸文庫の2月新刊4点を列記します。

『企業・市場・法』ロナルド・H・コース著、宮澤健一/後藤晃/藤垣芳文訳、ちくま学芸文庫、2020年2月、本体1,400円、400頁、ISBN978-4-480-09961-7
『折口信夫伝――その思想と学問』岡野弘彦著、ちくま学芸文庫、2020年2月、本体1,600円、514頁、ISBN978-4-480-09963-1
『パワー・エリート』C・ライト・ミルズ著、鵜飼信成/綿貫譲治訳、ちくま学芸文庫、2020年2月、本体1,900円、736頁、ISBN978-4-480-09967-9
『数学と文化』赤攝也著、ちくま学芸文庫、2020年2月、本体1,100円、240頁、ISBN978-4-480-09970-9

★『企業・市場・法』は1992年に東洋経済新報社から刊行された単行本の文庫化。原著は『The Firm, the Market, and the Law』(University of Chicago Press, 1988)。新たに加えられた、共訳者の後藤晃さんによる「ちくま学芸文庫版『企業・市場・法』刊行に寄せて」には「後藤、藤垣の二名で全面的に訳を見直し、修正を加えた。今回の改訂はかなり大幅なものとなっている」とのことです。帯文に曰く「経済を支える「制度」に注目し、現代経済学の礎となった名著」と。

★『折口信夫伝』は2000年に中央公論新社より刊行された単行本の文庫化。もともとは「中央公論」誌上で96年から98年にかけて零細されたもの。巻末特記によれば「文庫化にあたっては、明らかな誤りは訂正し、ルビを加えた」とのことです。帯文に曰く「最後の弟子が描き切る折口の学問と内なる真実」。著者の岡野弘彦(おかの・ひろひこ:1924-)さんは歌人でいらっしゃいます。巻末には文庫判あとがきと、「師と共にありし、若き日――文庫版に寄せて」5首が新たに配されています。

★『パワー・エリート』は、1969年に東京大学出版会より上下巻で刊行されたものの合冊文庫化。原著『The Power Elite』は1956年刊。企業大富豪、政界幹部、軍上層部から成る権力エリート層による大衆支配を綿密に分析した名著。文庫判解説として巻末に伊奈正人さんによる「C・ライト・ミルズと格差社会」が加わっています。伊奈さんはこう本書を評価します。「『パワー・エリート』はなにより、集中した権力の制御不能を直視することを、公衆に訴えた書物である」(713頁)。

★『数学と文化』は1988年に筑摩書房より刊行された単行本の文庫化。もともとは放送大学で著者が行なった、「数学とは何か」をめぐる講義「数学と人間生活」のテキストに「いくらかの手を加えてできたもの」(まえがき、5頁)。「数の形成」から「数学と社会」まで全15章。巻末には逝去される前日にご執筆になったという「文庫化に際して」が新たに付されています。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

野蛮の言説』中村隆之著、春陽堂、2020年2月、本体2,600円、四六版並製356頁、ISBN978-4-394-19501-6
離人小説集』鈴木創士著、幻戯書房、2020年2月、本体2,900円、四六判上製248頁、ISBN978-4-86488-190-6
ねむらない樹 vol.4』書肆侃侃房、2020年2月、本体1,500円、A5判並製216頁、ISBN978-4-86385-389-8

★『野蛮の言説』は「春陽堂ライブラリー」の第2弾(第1弾は昨年10月発売の、真銅正宏『匂いと香りの文学誌』)。「21世紀以降、〈文明〉は失墜し、〈野蛮〉と呼びうる状況がむしろ常態化しているように思われます」(まえがき、3頁)。「他者の蔑視や排除という、なるべく避けておきたい人間の負の側面にあえて焦点を当てて考える必要があるのではないか」(同4頁)。主要目次や、帯に載っているブレイディみかこさんの推薦文は、書名のリンク先でご確認いただけます。

★『離人小説集』は「著者初の書き下ろし小説集」「〈分身〉としての世界文学史」(帯文より)。収録作品は以下の7篇です。「既視:芥川龍之介と内田百閒」「丘の上の義足:アルチュール・ランボー」「ガス燈ソナタ:稲垣足穂」「無人の劇場:フェルナンド・ペソア」「アデマの冬:原一馬」「風の狂馬:アントナン・アルトー」「天井の井戸:小野篁」。なお、原一馬は詳細不明の作家。鈴木さんと同年生まれ。カヴァー絵と挿絵は二階堂はなさんによるもの。

★『ねむらない樹 vol.4』は特集1が「第2回笹井宏之賞発表!」、特集2が「短歌とジェンダー」。後者の中核となる座談会「短歌とジェンダー」は川野芽生、黒瀬珂瀾、山階基、佐藤弓生の4氏によるもの。目次詳細は誌名のリンク先をご覧ください。なお4号の刊行を記念して、2月21日(金)20時より、下北沢の本屋B&Bにて、大森静佳×佐藤弓生×染野太朗×千葉聡×寺井龍哉×東直子の6氏による「編集委員全員集合!「ねむらない樹」の作り方」が開催されます。

+++


# by urag | 2020-02-09 23:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2020年 02月 06日

本日取次搬入:『西野達完全ガイドブック』

『西野達完全ガイドブック』、本日2月6日に取次三社(日販、トーハン、楽天ブックスネットワーク)へ搬入いたしました。リアル書店さんでの店頭発売開始は、おおよそ12日以降となるかと思われます。どうぞよろしくお願いいたします。

# by urag | 2020-02-06 19:14 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2020年 02月 04日

ブックツリー「哲学読書室」に宮﨑裕助さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『ジャック・デリダーー死後の生を与える』(岩波書店、2020年1月)の著者で、ロドルフ・ガシェ『脱構築の力――来日講演と論文』(月曜社、2020年1月)の編訳者、宮﨑裕助さんによるブックツリー(コメント付き選書リスト)「「死後の生」を考える、永遠の生を希求することなく」が公開されました。以下のリンク先一覧からご覧になれます。

◎哲学読書室
1)星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
2)國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
3)近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
4)上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
5)篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
6)渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
7)西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
8)岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
9)金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
10)藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
11)吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
12)高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
13)杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
14)河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
15)岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
16)吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ
17)明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書
18)相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する
19)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん/洪貴義(ほん・きうい:1965-)さん選書「反時代的〈人文学〉のススメ
20)権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!
21)河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき
22)百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える
23)津崎良典(つざき・よしのり:1977-)さん選書「哲学書の修辞学のために
24)堀千晶(ほり・ちあき:1981-)さん選書「批判・暴力・臨床:ドゥルーズから「古典」への漂流
25)坂本尚志(さかもと・たかし:1976-)さん選書「フランスの哲学教育から教養の今と未来を考える
26)奥野克巳(おくの・かつみ:1962-)さん選書「文化相対主義を考え直すために多自然主義を知る
27)藤野寛(ふじの・ひろし:1956-)さん選書「友情という承認の形――アリストテレスと21世紀が出会う
28)市田良彦(いちだ・よしひこ : 1957-)さん選書「壊れた脳が歪んだ身体を哲学する
29)森茂起(もりしげゆき:1955-)さん選書「精神分析の辺域への旅:トラウマ・解離・生命・身体
30)荒木優太(あらき・ゆうた:1987-)さん選書「「偶然」にかけられた魔術を解く
31)小倉拓也(おぐら・たくや:1985-)さん選書「大文字の「生」ではなく、「人生」の哲学のための五冊
32)渡名喜庸哲(となき・ようてつ:1980-)さん選書「『ドローンの哲学』からさらに思考を広げるために
33)真柴隆弘(ましば・たかひろ:1963-)さん選書「AIの危うさと不可能性について考察する5冊
34)福尾匠(ふくお・たくみ:1992-)さん選書「眼は拘束された光である──ドゥルーズ『シネマ』に反射する5冊
35)的場昭弘(まとば・あきひろ:1952-)さん選書「マルクス生誕200年:ソ連、中国の呪縛から離れたマルクスを読む。
36)小林えみ(こばやし・えみ:1978-)さん選書「『nyx』5号をより楽しく読むための5冊
37)小林浩(こばやし・ひろし:1968-)選書「書架(もしくは頭蓋)の暗闇に巣食うものたち
38)鈴木智之(すずき・ともゆき:1962-)さん選書「記憶と歴史――過去とのつながりを考えるための5冊
39)山井敏章(やまい・としあき:1954-)さん選書「資本主義史研究の新たなジンテーゼ?
40)伊藤嘉高(いとう・ひろたか:1980-)さん選書「なぜ、いま、アクターネットワーク理論なのか
41)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん選書「映画論で見る表象の権力と対抗文化
42)門林岳史(かどばやし・たけし:1974-)さん選書「ポストヒューマンに抗して──状況に置かれた知
43)松山洋平(まつやま・ようへい:1984-)さん選書「イスラムがもっと「わからなく」なる、ナマモノ5選
44)森田裕之(もりた・ひろゆき:1967-)さん選書「ドゥルーズ『差異と反復』へ、そしてその先へ
45)久保田晃弘 (くぼた・あきひろ:1960-)さん選書「新たなる思考のためのメタファーはどこにあるのか?
46)亀井大輔(かめい・だいすけ:1973-)さん選書「「歴史の思考」へと誘う5冊
47)須藤温子(すとう・はるこ:1972-)さん選書「やわらかな思考、奇想の知へようこそ!
48)斎藤幸平(さいとう・こうへい:1987-)さん選書「マルクスと環境危機とエコ社会主義
49)木澤佐登志(きざわ・さとし:1988-)さん選書「いまさら〈近代〉について考えるための5冊
50)筧菜奈子(かけい・ななこ:1986-)さん選書「抽象絵画を理解するにうってつけの5冊
51)西山雄二(にしやま・ゆうじ:1971-)さん選書「フランスにおける動物論の展開
52)山下壮起(やました・そうき:1981-)さん選書「アフリカ的霊性からヒップホップを考える
53)綿野恵太(わたの・けいた:1988-)さん選書「「ポリティカル・コレクトネス」を再考するための5冊
54)久保明教(くぼ・あきのり:1978-)さん選書「文系的思考をその根っこから科学技術へと開くために
55)築地正明(つきじ・まさあき:1981-)さん選書「信仰について考える。ベルクソンとドゥルーズと共に
56)浅野俊哉(あさの・としや:1962-)さん選書「〈触発〉の意味の広がりに触れる5冊
57)岩野卓司(いわの・たくじ:1959-)さん/赤羽健(あかはね・けん:1991-)さん選書「贈与論を通してどう資本主義を突き抜けていくか
58)秋元康隆(あきもと・やすたか:1978-)さん選書「「利他」とは何かを学ぶために
59)宮﨑裕助(みやざき・ゆうすけ:1974)さん選書「「死後の生」を考える、永遠の生を希求することなく

+++


# by urag | 2020-02-04 16:28 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2020年 02月 02日

注目新刊:ウルフ『『デジタルで読む脳 × 紙の本で読む脳』インターシフト、ほか

注目新刊:ウルフ『『デジタルで読む脳 × 紙の本で読む脳』インターシフト、ほか_a0018105_02023945.jpg


新実存主義』マルクス・ガブリエル著、廣瀬覚訳、岩波新書、2020年1月、本体800円、新書判222頁、ISBN978-4-00-431822-4
ヘーローイデス――女性たちのギリシア神話』オウィディウス著、高橋宏幸訳、平凡社ライブラリー、2020年1月、本体1,700円、B6変判並製376頁、ISBN978-4-582-76894-7
詩への小路――ドゥイノの悲歌』古井由吉著、講談社文芸文庫、2020年1月、本体1,900円、文庫判288頁、ISBN978-4-06-518501-8
たぐい vol.2』奥野克巳ほか著、亜紀書房、2020年1月、本体1,500円、A5判並製200頁、ISBN978-4-7505-1631-8

★『新実存主義』は『Neo-Existentialism』(Polity, 2018)の全訳。ガブリエルの論考「新実存主義――自然主義の失敗のあとで人間の心をどう考えるか」を中心に、ジョスラン・マクリュール、チャールズ・テイラー、ジョスラン・ブノワ、アンドレーア・ケルンによる応答を併載し、ガブリエルがそれらに答える一章を加えた一冊。ガブリエルはこう述べます。「現代の科学的世界観の一部を生んだ枠組みの全体に揺さぶりをかけることにしよう。具体的には、筆者が「新実存主義」と呼ぶ立場を素描する。新実存主義とは、「心」という、突き詰めてみれば乱雑そのものというしかない包括的用語に対応する、一個の現象や実在などはありはしないという見解である」(16頁)。「新実存主義が掲げる根本の主張は次のようなものである。心的語彙は時代や場所によってさまざまなかたちをとるが、そうした語彙によって拾い上げられる一個の対象など、この世界には存在しない。つまり、意識があったり、自己意識をもっていたり、自己自身を知っていたり、神経質だったり、質的状態の処理を担ったり、警戒したり、知性があったり等々といった心的語彙によって指し示される、一個の対象などありはしない」(17頁)。ガブリエル関連の新書は彼のインタヴューを収めたものがすでに何冊かあります。今月にはPHP新書で『世界史の針が巻き戻るとき――「新しい実在論」は世界をどう見ているか』(大野和基訳)が発売予定となっています。

★『ヘーローイデス』はカバー裏紹介文に曰く「書名は「ヒロイン」の語源になったギリシア語「ヘーローイス」の複数形。『名婦の書簡』『名高き女たちの手紙』の訳題で知られる。エレゲイア詩形によりながら、神話の登場人物が思いを寄せる相手に宛てた書簡という体裁をとる。〔…〕21歌全訳は本邦初」と。平凡社ライブラリーでのオウィディウスの訳書は、『恋の技法』(樋口勝彦訳、1995年、現在品切)に続いて2点目。

★『詩への小路』は書肆山田の「るしおる」誌に97年から05年にかけて連載され、05年年末に単行本にまとめられたものの文庫化。リルケ「ドゥイノの悲歌」全篇を散文調に試訳しコメントを付した後半のほか、前半ではフセイン・アル・ハラージ、シュトルム、メーリケ、コンラート・フェルディナント・マイヤー、ヘッベル、アンネッテ・フォン・ドロステ=ヒュルスホフ、アンドレアス・グリュウフィウス、グリンメスルハウゼン、シラー、マラルメ、ゲオルゲ、などが扱われます。「詩をめぐる自在な随想と、自らの手による翻訳」(カバー裏紹介文より)。

★「人間の〈外から〉人間を考えるポストヒューマニティーズ誌」を謳う『たぐい』誌の第2号は、特集1が「共異体の地平」、特集2が「仏教・異界・精神分析」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。共同体ならぬ共異体というのは、近藤祉秋さんの論考での言及によれば、奥野克巳さんの論考「〈共異体〉でワルツを踊るネコと写真家」(『ユリイカ2019年3月号 特集=岩合光昭――ネコを撮るひと』所収)で「異なる職能を持つ表現者がそれぞれの専門性を軸に協働するすること」という意味で用いられていた言葉。それを石倉敏明さんがマルチスピーシーズ(複数種の)人類学の記述概念として転用しているとのことで、「同質的な属性を有する人間存在の集合をイメージさせる「共同体」に対して、異種との関わりを前提にして初めて「人間」の集合体が生成しうることを前提とするもの」と説明されています。

★第2号に収録された石倉さんの論考「「宇宙の卵」と共異体の生成――第五八回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展日本館展示より」では次のように書かれています。「現時点で、私は「共異体」概念を次のようなものとして理解している。1)科学技術や伴侶種と共生する「身体」としての共異体、2)異質性を抱えた個体同士が協働する「社会的集まり」としての共異体、3)ある空間内で複数の生物種や無生物との「共生圏」を構成する共異体、4)異なる歴史と神話を持って共存してきた集団間の「高次集合体」としての共異体。以上の四つの大きな基準が統合された次元である。/「共異体」という概念には、このように複数の異なる共存の基準を媒介しつつ、生命と世界の関係性を更新する造形的構想が含まれている。それは決してマイクロ・ユートピア的な同質体ではなく、異なる価値観や進化の時間の共存を前提とするヘテロトピア的現実である」(51頁)。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

デジタルで読む脳 × 紙の本で読む脳――「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』メアリアン・ウルフ著、大田直子訳、インターシフト発行、合同出版発売、2020年2月、本体2200円、四六判並製296頁、ISBN978-4-7726-9567-1
近代のはずみ、ひずみ――深田康算と中井正一』長濱一眞著、航思社、2020年2月、本体4,600円、A5判上製416頁、ISBN978-4-906738-24-3
現代思想2020年2月号 特集=量子コンピュータ――情報科学技術の新しいパラダイム』青土社、2020年1月、本体1,400円、ISBN978-4-7917-1392-9
マルクス入門講義』仲正昌樹著、作品社、2020年1月、本体2,000円、46判並製416頁、ISBN978-4-86182-791-4
イスラーム学』中田考著、作品社、2020年1月、本体5,400円、46判上製592頁、ISBN978-4-86182-778-5

★『デジタルで読む脳 × 紙の本で読む脳』はまもなく発売。『Reader, Come Home: The Reading Brain in a Digital World』(Harper, 2018)の訳書。国内外で数々の称讃を受けた『プルーストとイカ――読書は脳をどのように変えるのか』(インターシフト、2008年)の「待望の続編」(帯文より)とのこと。「第一の手紙:デジタル文化は「読む脳」をどう変える?」が書名のリンク先で立ち読みできます(目次もリンク先に掲出)。「けっして知識として蓄積されないような刺激で、子どもたちの注意はたえずそらされます。つまり、字を読むときに類推や推測を行なう能力の基本そのものが、しだいに発達しなくなるということです。いまも若い読字脳は進化していますが、必要とされるもの以外読まない、というか必要なものさえも読まずに、「tl;dr (too long, did'nt read)」で済ます若者が増えているのに、ほとんどの人々に関心は広がっていません。/デジタル文化へとほぼ完全に移行するなかで、私たちはそれが史上最大の爆発的な創造と発明と発見がもたらす予期せぬ付随的結果とは気づかないまま変化しています」(8頁)。「読み書き能力〔リテラシー〕ベースの文化からデジタル文化への移行は、これまでのコミュニケーション形態の移行とは根本的に異なる」(9頁)。『プルーストとイカ』と同様に本書は広く読まれるべき必読書ではないかと思います。

★『近代のはずみ、ひずみ』は2007年度に近畿大学大学院に提出された修士論文を改稿したもの。帯文に曰く「平民として自発的に統治に服す「大正」の教養主義が「民主」の言説だとすれば、「昭和」前期に「独裁」が勝利した滝川事件を機にいずれとも相容れない知識人が現出した――。近代において批評をめぐって思考したふたりの「美学者」を解読しつつ、天皇制、資本主義‐国家、市民社会などを批判的に剔抉する」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。長濱一眞(ながはま・かずま:1983-)さんは批評家で、『子午線』同人。本書が初の単独著です。

★『現代思想2020年2月号 特集=量子コンピュータ』は版元紹介文に曰く「本特集ではその歴史や理論的な基礎から最新の成果まで、量子情報科学の現在形を一望するとともに、政治経済や哲学、文学など多様な観点から量子時代の行く末を考える」と。西村治道「或る理論計算機科学の研究者から見た量子コンピュータ研究の歴史」、佐藤文隆「hのない量子力学――機器がつくる世界」、郡司ペギオ幸夫「「わたし」に向かって一般化される量子コンピューティング」、大黒岳彦「量子力学・情報科学・社会システム論――量子情報科学の思想的地平」など18本の論考と、1本の討議を収録。

★『マルクス入門講義』は2017年12月から2018年7月にかけて読書人スタジオで全7回にわたって行われた連続講義をもとに大幅に手を入れたもの。「マルクスのテクストを、鬱陶しい時代の雰囲気や、運動や政治とはまったく関係なく、実直に、哲学的、思想史的に読み解く」(2頁)もの。「講義」を書名に冠した一群の仲正さんの著書は本書で13冊目。主要目次を拾うと以下の通り。

はじめに:鬱陶しいんだよ、マルクス。
第1回:「ユダヤ人問題によせて」を読む
第2回:「ヘーゲル法哲学批判序説」を読む
第3回:『経済学・哲学草稿』「疎外された労働」(第一草稿)/「私有財産と共産主義」・「貨幣」(第三草稿)を読む
第4回:『経済学・哲学草稿』「ヘーゲル弁証法と哲学一般との批判」(第三草稿)/「ヘーゲル『精神現象学』最終章についてのノート」(第四草稿)を読む
第5回:『ルイ・ボナパルトのブリュメール十八日』を読む
第6回:『資本論』第一篇第一章第四節「商品の物神的性格とその秘密」を読む
補講:アーレントはマルクスをどう読んだのか?
あとがき:やっぱり危険な思想家
現代思想における「マルクス」を知るための読書案内
マルクス関連年表

★『イスラーム学』は「著者40年来の成果を一冊に」(版元プレスリリースより)した大著。1987年から2011年までに発表された論考に解題を付してテーマ別に編集したもの。「本書の目的は、現代日本の文化的枠組みと語彙によってタウヒードとカリフ制の意味を明らかにすることで、解放の教えとしてのイスラームのメッセージを読者諸賢に届けること」(38頁)とあります。主要目次は以下の通り。

はじめに
総論 タウヒードとカリフ制
序 イスラーム研究方法論
第1章 言語論
第2章 救済論
第3章 古典イスラーム国法論
第4章 現代スンナ派政治思想
第5章 現代シーア派政治思想
第6章 現代カリフ論

あとがき

+++


# by urag | 2020-02-02 23:03 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2020年 01月 30日

月曜社2020年2月下旬新刊:土橋茂樹編『存在論の再検討』

2020年2月27日取次搬入予定 *人文/哲学

存在論の再検討
土橋茂樹[編]
月曜社 本体:4,500円 A5判上製248頁 ISBN: 978-4-86503-090-7 C1010

伝統的存在論への問いかけの試み。パルメニデスからヘーゲルに至るまでの西洋哲学の流れに、東方キリスト教・ビザンティン思想およびイスラム哲学のそれぞれが相互貫入的に交錯し合う存在理解の途を、新たに辿り直す。【シリーズ・古典転生、第21回配本、本巻20】

アマゾン・ジャパンにてご予約受付中

【目次】
序章(土橋茂樹)
第一章 「ある」の愛求としてのプラトン哲学(納富信留)
第二章 アリストテレスは「存在論」を語らない──オントロジーの概念と歴史の再考に向けて(中畑正志)
第三章 「存立」(ὑφιστάναι)について──ストア派とプロティノス(樋笠勝士)
第四章 「ある」を表示する「名の正しさ」をめぐって──プラトン『クラテュロス』篇解釈史を手がかりに(土橋茂樹)
第五章 存在論を超えて(大森正樹)
第六章 『純粋善について』の存在論(一)初期イスラーム哲学のプラトン主義とアリストテレス主義(西村洋平)
第七章 『純粋善について』の存在論(二)AnniyyahとWujūd(小村優太)
第八章 『純粋善について』の存在論(三)esseとyliathim(小林剛)
第九章 〈ある〉の第三領域──アヴィセンナ存在論の影響(山内志朗)
第十章 ドイツ古典哲学の「存在(ある)」と新プラトン主義(山口誠一)
編者あとがき(土橋茂樹)
事項索引
人名索引

【著者(50音順)】
大森正樹(おおもり・まさき)1945年生。南山大学・名誉教授。東方キリスト教学、中世哲学。
小林 剛(こばやし・ごう)1967年生。中央大学・兼任講師。西洋およびイスラーム世界の中世哲学。
小村優太(こむら・ゆうた)1980年生。早稲田大学・専任講師。アラビア哲学、魂論。
土橋茂樹(つちはし・しげき)1953年生。中央大学文学部・教授。古代中世哲学、教父学。本書編者。
中畑正志(なかはた・まさし)1957年生。京都大学大学院文学研究科・教授。西洋古代哲学。
西村洋平(にしむら・ようへい)1981年生。兵庫県立大学・准教授。新プラトン主義。
納富信留(のうとみ・のぶる)1965年生。東京大学大学院人文社会系研究科・教授。古代ギリシア哲学。
樋笠勝士(ひかさ・かつし)1954年生。岡山県立大学デザイン学部・教授。古代中世哲学、美学芸術学。
山内志朗(やまうち・しろう)1957年生。慶應義塾大学文学部・教授。西洋中世哲学。
山口誠一(やまぐち・せいいち)1953年生。法政大学文学部・教授。ヘーゲル・ニーチェを中心とするドイツ近現代哲学。

月曜社2020年2月下旬新刊:土橋茂樹編『存在論の再検討』_a0018105_15401835.jpg


# by urag | 2020-01-30 15:42 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2020年 01月 30日

「UTokyo BiblioPlaza」にて『忘却の記憶 広島』 が紹介されました

「東京大学教員の著作を著者自らが語る広場」だというウェブサイト「UTokyo BiblioPlaza」にて、弊社2019年10月刊『忘却の記憶 広島』が紹介されました。紹介者は 教育学研究科・教育学部名誉教授の川本隆史さんです。川本さんは『忘却の記憶 広島』の共編者であり、共著者でいらっしゃいます。同サイトにはツイッターのアカウントもあり、紹介記事がツイートされています。


# by urag | 2020-01-30 14:15 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)