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2020年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆最新刊と近刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
◎2019年2月22日発売:ハナ・ロスチャイルド『パノニカ――ジャズ男爵夫人の謎を追う』本体2,700円。
◎2019年2月20日発売:十和田市現代美術館編『毛利悠子 ただし抵抗はあるものとする』本体2,200円。
◎2019年2月18日発売:須藤温子『エリアス・カネッティ――生涯と著作』本体3,500円、シリーズ・古典転生第18回配本、本巻17。
◎2019年2月1日発売:松江泰治『JP-34』本体3600円。
◎2018年12月17日発売:『森山大道写真集成(1)にっぽん劇場写真帖』本体6,000円。
◎2018年10月5日発売:東琢磨ほか編『忘却の記憶 広島』本体2,400円。
 好井裕明氏書評「読み応えのあるヒロシマ論――「記憶」の「劣化」を防ぐために」(「週刊読書人」12月8日号)
 渡邊英理氏書評「「忘却の口」=他なる記憶の穴へとはいりこむ――「信頼」への「信頼」を忘れていたかもしれないことに、わたしたちは本書を通じて気づくことができる」(「図書新聞」2019年1月19日号)
◎2018年10月1日発売:AYUO『OUTSIDE SOCIETY』本体2,000円。
 松山晋也氏書評「稀有な体験を糧に唯一無二の視点からの優れた音楽論」(「intoxicate」#137(2018 December)O-CHA-NO-MA REVIEW「BOOK」欄)
◎2018年8月20日発売:エドワード・ブルワー=リットン『来るべき種族』本体2,400円、叢書・エクリチュールの冒険第12回配本。
 冬木糸一氏短評(「SFマガジン」2018年12月号「OVERSEAS」欄)
 宇佐和通氏特集記事「地底世界の奇書『来るべき種族』解読:ナチス・ドイツを動かしたヴリル伝説の聖典」(月刊「ムー」誌2019年1月号)
◎2018年8月16日発売:ステファヌ・マラルメ『詩集』本体2,200円、叢書・エクリチュールの冒険第11回配本。
 岡山茂氏書評「ジャーナリズムへと戻る回路――長年のマラルメ研究に一つの区切り」(「図書新聞」2018年12月8日号)
 立花史氏書評「「理解可能なマラルメ」を追求――一般読者に親しみやすい現代語訳を」(「週刊読書人」2018年10月12日号)
◎2018年6月27日発売:岡田温司『アガンベンの身振り』本体1,500円、哲学への扉第2回配本。
◎2018年5月22日発売:荒木優太『仮説的偶然文学論』本体2,000円、哲学への扉第1回配本。
 高原到氏書評「偶然のもたらす妙なる僥倖」(「週刊金曜日」2018年7月6日号(1191号)「きんようぶんか」欄)
◎2018年4月24日発売:岡田聡/野内聡編『交域する哲学』本体3,500円
◎2018年4月23日発売:『表象12:展示空間のシアトリカリティ』本体2,000円
◎2018年4月5日発売:ジャン=リュック・ナンシー『ミューズたち』本体2,700円、芸術論叢書第5回配本。
◎2018年3月16日発売:佐藤真理恵『仮象のオリュンポス』本体3,400円、シリーズ・古典転生第17回配本、本巻16。

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎品切重版検討中:『ミクロコスモス第1集』2刷、ユンガー『パリ日記』2刷、ギルロイ『ブラック・アトランティック』4刷。
◎品切重版未定:『舞台芸術05』『舞台芸術08』『表象01』『表象02』『表象04』『表象05』『表象08』『表象09』、毛利嘉孝『文化=政治』、クリフォード『ルーツ』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、ハーマッハー『他自律』、ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』、片山廣子『燈火節:随筆小説集成』『新編燈火節』、竹内てるよ『静かなる夜明け』、ブランショ『書物の不在 初版朱色本』『書物の不在 第二版鉄色本』『謎の男トマ 初版本』、高柳昌行『汎音楽論集』、大里俊晴『マイナー音楽のために』、大竹伸朗『ネオンと絵具箱』、森山大道写真集『新宿』『新宿+』『大阪+』『オン・ザ・ロード』『何かへの旅』、森山大道フォトボックス『NOVEMBRE』、やなぎみわ作品集『WHITE CASKET』、川田喜久治写真集『地図』、遠藤水城編『曽根裕|Perfect Moment』、熊木裕高写真集『吠えない犬』、瀬戸正人写真集『picnic』、菱田雄介写真集『ある日、』。※書店からの返品で在庫がまれに生じる場合があります。直接、弊社までお電話かメールなどでお尋ね下さい。

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
※このブログについてネット上でつぶやかれていることをご覧になりたい方はYahoo!のリアルタイム検索をご覧ください。
※このブログがWWWにおいてどのような地位にあるのかについてはこちらをご覧ください。
※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。弊社が発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに弊社にはtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。


# by urag | 2020-12-31 23:59 | ご挨拶 | Trackback(1) | Comments(21)
2019年 02月 21日

保管:2017年11月~2018年2月既刊情報

弊社にとって初めての自社発行雑誌となる「多様体」の創刊号を刊行したのが1年前でした。目下2号と3号が同時進行しています。

◎2018年2月16日発売:『多様体 第1号:人民/群衆』本体2,500円
 宮﨑裕助氏書評「現代日本の思想誌の最良の命脈を継承」(「週刊読書人」2018年4月13日号)
◎2018年1月31日発売:ヴィンフリート・メニングハウス『生のなかば』本体2,500円、叢書・エクリチュールの冒険第10配本。
 廣川智貴氏書評「すぐれた教師による「精読」の集中講義――ヘルダーリン詩学全体、そして同時代の思想へと開かれた一書」(「図書新聞」2018年7月21日号)
 守中高明氏書評「古典的文学研究の静かな凄み――巨大な問題系への繊細で厳密な通路」(「週刊読書人」2018年8月10日号)
◎2017年11月29日発売:ジャン・ウリ『コレクティフ』本体3,800円
◎2017年11月1日発売:南嶌宏『最後の場所』本体3,500円

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# by urag | 2019-02-21 11:58 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 18日

ブックツリー「哲学読書室」に伊藤嘉高さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、ブリュノ・ラトゥール『社会的なものを組み直す――アクターネットワーク理論入門』(法政大学出版局、2019年1月)の訳者、伊藤嘉高さんによるコメント付き選書「なぜ、いま、アクターネットワーク理論なのか」が追加されました。以下のリンク先一覧からご覧になれます。

◎哲学読書室

1)星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
2)國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
3)近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
4)上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
5)篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
6)渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
7)西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
8)岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
9)金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
10)藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
11)吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
12)高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
13)杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
14)河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
15)岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
16)吉田奈緒子(よしだ・なおこ:1968-)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ
17)明石健五(あかし・けんご:1965-)さん選書「今を生きのびるための読書
18)相澤真一(あいざわ・しんいち:1979-)さん/磯直樹(いそ・なおき:1979-)さん選書「現代イギリスの文化と不平等を明視する
19)早尾貴紀(はやお・たかのり:1973-)さん/洪貴義(ほん・きうい:1965-)さん選書「反時代的〈人文学〉のススメ
20)権安理(ごん・あんり:1971-)さん選書「そしてもう一度、公共(性)を考える!
21)河南瑠莉(かわなみ・るり:1990-)さん選書「後期資本主義時代の文化を知る。欲望がクリエイティビティを吞みこむとき
22)百木漠(ももき・ばく:1982-)さん選書「アーレントとマルクスから「労働と全体主義」を考える
23)津崎良典(つざき・よしのり:1977-)さん選書「哲学書の修辞学のために
24)堀千晶(ほり・ちあき:1981-)さん選書「批判・暴力・臨床:ドゥルーズから「古典」への漂流
25)坂本尚志(さかもと・たかし:1976-)さん選書「フランスの哲学教育から教養の今と未来を考える
26)奥野克巳(おくの・かつみ:1962-)さん選書「文化相対主義を考え直すために多自然主義を知る
27)藤野寛(ふじの・ひろし:1956-)さん選書「友情という承認の形――アリストテレスと21世紀が出会う
28)市田良彦(いちだ・よしひこ : 1957-)さん選書「壊れた脳が歪んだ身体を哲学する
29)森茂起(もりしげゆき:1955-)さん選書「精神分析の辺域への旅:トラウマ・解離・生命・身体
30)荒木優太(あらき・ゆうた:1987-)さん選書「「偶然」にかけられた魔術を解く
31)小倉拓也(おぐら・たくや:1985-)さん選書「大文字の「生」ではなく、「人生」の哲学のための五冊
32)渡名喜庸哲(となき・ようてつ:1980-)さん選書「『ドローンの哲学』からさらに思考を広げるために
33)真柴隆弘(ましば・たかひろ:1963-)さん選書「AIの危うさと不可能性について考察する5冊
34)福尾匠(ふくお・たくみ:1992-)さん選書「眼は拘束された光である──ドゥルーズ『シネマ』に反射する5冊
35)的場昭弘(まとば・あきひろ:1952-)さん選書「マルクス生誕200年:ソ連、中国の呪縛から離れたマルクスを読む。
36)小林えみ(こばやし・えみ:1978-)さん選書「『nyx』5号をより楽しく読むための5冊
37)小林浩(こばやし・ひろし:1968-)選書「書架(もしくは頭蓋)の暗闇に巣食うものたち
38)鈴木智之(すずき・ともゆき:1962-)さん選書「記憶と歴史――過去とのつながりを考えるための5冊
39)伊藤嘉高(いとう・ひろたか:1980-)さん選書「なぜ、いま、アクターネットワーク理論なのか

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# by urag | 2019-02-18 16:43 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 18日

注目新刊:荒木優太『無責任の新体系』、『現代思想』臨時増刊号「ジュディス・バトラー」

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弊社出版物でお世話になっている著訳者の方々の最近のご活躍をご紹介します。

★荒木優太さん(著書:『仮説的偶然文学論』)
晶文社さんの読み物サイト「晶文社スクラップブック」での連載「きみはウーティスと言わねばならない」(全23回、2016年12月~2018年10月)を大幅に書き直した『無責任の新体系』が同社より今月発売されました。目次詳細は書名のリンク先でご覧いただけます。

無責任の新体系――きみはウーティスと言わねばならない
荒木優太著
晶文社 2018年2月 本体1,800円 四六判上製216頁 ISBN978-4-7949-7076-3
帯文より:作戦名は「ウーティス(誰でもない)」。和辻哲郎とハンナ・アレントと悪魔合体した分人日本文化論を斥け、高橋哲哉で歴史的主体にドーピングした結果、ロールズとレヴィナスとテクスト論でテンションマックスに達するフリーター系社会超批評!

★ジュディス・バトラーさん(著書:『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』)
★佐藤嘉幸さん(共訳書:バトラー『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』)
★廣瀬純さん(著書:『絶望論』、共著:コレクティボ・シトゥアシオネス『闘争のアサンブレア』、訳書:ヴィルノ『マルチチュードの文法』、共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
★清水知子さん(著書:『文化と暴力』、共訳書:バトラー『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』)
2018年12月のバトラーさんの来日講演を含む「現代思想」誌の臨時増刊号『現代思想 2019年3月臨時増刊号 総特集=ジュディス・バトラー:『ジェンダー・トラブル』から『アセンブリ』へ』(青土社、2019年2月、本体1800円、A5判並製310頁、ISBN978-4-7917-1377-6)が発売されました。ジュディス・バトラーさんのテクストは4本掲載されています。

「この生、この理論」坂本邦暢訳、2018年12月6日、明治大学での講演会の原稿。
「非暴力、哀悼可能性、個人主義批判」本荘至訳、2018年12月11日、明治大学での講演会の原稿。
「メルロ=ポンティと、マルブランシュにおける「触れること」」合田正人訳、『The Cambridge Companio to Merleau-Ponty』2004年所収。 
「恐れなき発言と抵抗」佐藤嘉幸訳、ディスカッション・セミナー「ジュディス・バトラー『アセンブリ』検討会」京都大学人文科学研究所、2018年12月9日での導入講演。

同じくこのセミナーにおけるバトラーに対する三氏のコメントも掲載されています。 

佐藤嘉幸「個人的パレーシアから集団的パレーシアへ――「恐れなき発言と抵抗」へのコメント」
廣瀬純「民主主義の彼方へ――「恐れなき発言と抵抗」へのコメント」
清水知子「「現れの政治」が「忘却の穴」に突き落とされる前に考えるべき三つのこと――「恐れなき発言と抵抗」へのコメント」

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# by urag | 2019-02-18 15:57 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 17日

注目新刊:スカル『狂気――文明の中の系譜』東洋書林、ほか

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★最近購入した文庫新刊はいずれも「老境」ないし「成熟」というものと無縁ではない内容で、時を経て得た光景の、見た目の単純さとはうらはらの曰く言い難いニュアンスを感じさせます。

古今和歌集全評釈(上)』片桐洋一注釈、講談社学術文庫、2019年2月、本体3,000円、1096頁、ISBN978-4-06-514740-5
古今和歌集全評釈(中)』片桐洋一注釈、講談社学術文庫、2019年2月、本体2,950円、992頁、ISBN978-4-06-514741-2
古今和歌集全評釈(下)』片桐洋一注釈、講談社学術文庫、2019年2月、本体2,900円、944頁、ISBN978-4-06-514742-9
老年について 友情について』キケロー著、大西英文訳、講談社学術文庫、2019年2月、本体1,180円、320頁、ISBN978-4-06-514507-4
いまこそ、希望を』サルトル/レヴィ著、海老坂武訳、光文社古典新訳文庫、2019年2月、本体860円、209頁、ISBN978-334-75395-5
夢の本』ホルヘ・ルイス・ボルヘス著、堀内研二訳、河出文庫、2019年2月、本体1,200円、352頁、ISBN978-4-309-46485-5
老境まんが』山田英生編、ちくま文庫、2019年2月、本体780円、384頁、ISBN:978-4-480-43581-1

★『古今和歌集全評釈』は1998年に講談社で刊行された単行本全3巻の文庫化です。「万物すべてが歌を歌う」(「真名序」第二節ノ一、上巻283頁)と説いた日本最初の勅撰和歌集を、一首ごとに原文、要旨、通釈、語釈、校異、他出、鑑賞と評論、注釈史・享受史などを加えて読者に提供する決定版。講談社学術文庫ではかつて久曽神昇さんによる全訳注書4巻本を1979年から1983年にかけて刊行していましたが、こちらは品切。今回の片桐版はそれぞれ1000頁近い大冊で、3巻揃えて買うと10000円近い最重量級の文庫本。講談社の気概を感じます。

★『老年について 友情について』は文庫オリジナルの新訳。「最晩年の著作のうち、最も人気のある二つの対話篇」(カバー裏紹介文より)を収録。入手しやすい既訳では「老年について」「友情について」はともに中務哲郎訳を岩波文庫で読むことができます。今回の新訳の底本はJ・G・F・パウエル編Oxford Classical Texts(2006年)版です。巻末解説はキケローの人となりの紹介にも頁を割いており、共和政ローマ末期における政治家にして哲学者の生きざまへの理解を助けてくれます。

★『いまこそ、希望を』はサルトルの最晩年のインタビュー(1980年)。元「毛沢東」派の秘書による「尋問調」が多くの関係者を怒らせた問題作です。訳者による解説ⅠとⅡは「朝日ジャーナル」初出時(「いま 希望とは」1980年4月)のもの。巻頭の「はじめに」と解説Ⅲ、年譜、訳者あとがきは文庫化において追加されたものです。サルトルが自省とともに語る最後の境地が文庫で読めるようになったのは非常に有益なことです。

★なお光文社古典新訳文庫の来月刊行予定では、アリストテレス『詩学』三浦洋訳、ジッド『ソヴィエト旅行紀』國分俊宏訳、などが予告されていて非常に楽しみです。

★『夢の本』は国書刊行会の「世界幻想文学大系」の第43巻(1983年、新装版1992年)を文庫化したもの。古今東西の文献から「夢」めぐる断片を集めたもので、ボルヘス自身の作品も含む113篇が編まれています。巻末解説は作家の谷崎由依さんによる「秩序と混沌」。帯文にも引かれた「夢は現実の影なんかではない。蔑ろにしていると、いつかきっと痛い目に遭う」という谷崎さんの言葉の重みが沁みる一冊。

★『老境まんが』は『ビブリオ漫画文庫』『貧乏まんが』に続く山田英生さん編のマンガアンソロジー。個人的には今回の新刊が一番味わい深く感じました。一編ずつをゆっくり読みたい本です。特にかの高名な、「ペコロスの母に会いに行く(抄)」はほのぼのとした空気感の中にも涙をこらえがたい名作で、自宅以外では絶対にひもとけません。

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★続いて最近の注目新刊を2点。

左派ポピュリズムのために』シャンタル・ムフ著、山本圭/塩田潤訳、明石書店、2019年2月、本体本体2,400円、4-6判上製152頁、ISBN978-4-750-34772-1
クルアーン――やさしい和訳』水谷周監訳著、杉本恭一郎訳補完、国書刊行会、2019年2月、本体2,700円、四六判並製644頁、ISBN978-4-336-06338-0

★『左派ポピュリズムのために』は『For a Left Populism』(Verso, 2018)の全訳。単独著としては4冊目の日本語訳となります。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。「左派ポピュリズムとは、新自由主義的なヘゲモニー編成のなかで、制度からこぼれ落ち、あるいは資本によるむき出しの暴力によって傷つけられた人々が、制度外の闘争から制度内へと政治的介入を行う戦略なのだ。この介入がめざすのは、権力の掌握ではない。そうではなく、国家の政治的、社会‐経済的役割の回復と深化、そしてそれらを実現するための民主的な国家運営こそが重要なのだ」(訳者解題、139頁)。同解題によれば、先だって同版元から刊行されたラクラウ『ポピュリズムの理性』が理論篇であるとすれば本書は実践篇であるとのことです。「〈少数者支配(オリガーキー)〉に立ち向かう」という帯文が力強いです。

★『クルアーン』は2014年に日亜対訳の新訳本が作品社から刊行されたばかりですが、今般また新たな新訳が上梓されました。「はじめに」によれば「本書の狙いは、タイトルの『クルアーン――やさしい和訳』にすべてが込められている。従来よく聞かれたことだが、頑張って読んでも分からないという強い訴えの声に背中を押された格好だ」とのこと。巻末資料は、「イスラーム信仰について」「各章見出し一覧」「繰り返し論法と同心円構造」「予言者一覧」「クルアーン関係年表」「参考文献」「索引」。値段も税込で3000円以内と求めやすい価格です。

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★また、最近では以下の2冊との出会いがありました。

狂気――文明の中の系譜』アンドルー・スカル著、三谷武司訳、東洋書林、2019年2月、本体5,400円、A5判上製460頁、ISBN978-4-88721-826-0
これからの本の話をしよう』萩野正昭著、晶文社、2019年2月、本体1,700円、四六判並製304頁、ISBN978-4-7949-7075-6

★『狂気』は『Madness in Civilization: A Cultural History of Insanity, from the Bible to Freud, from the Madhouse to Modern Medicine』(Thames & Hudson, 2015)の全訳。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「狂気は芸術家、劇作家、小説家、作曲家、聖職者、それに医師や科学者の関心の中心を占め続けてきた〔…〕狂気は文明の外部に位置づけられるようなものではない。それは否応なくすでにして文明の一部なのである」(6頁)。「文明と狂気の関係を、複雑で多義的な両社の相互作用を〔…〕追究し解明」(7頁)する、と。古代から現代まで、文明の内部に狂気を位置づけ直す文化史。著者スカル(Andrew Scull, 1947-)は英国出身で米国カリフォルニア大学サンディエゴ校で教鞭を執っているとのことです。

★『これからの本の話をしよう』は日本におけるデジタル出版事業を牽引してきた株式会社ボイジャーの創業者で現在は取締役の萩野正昭(はぎの・まさあき:1946-)さんの四半世紀にわたる活動とこれからの展望をめぐる書き下ろし。第1章「メディアは私たちのもの」は萩野さんの現在の仕事と将来への課題について。第2章「なぜ出版、どうしてデジタル」は米国ボイジャーの創業者ボブ・スタインについて。第3章「本はどこに向かっていくのか」は「誰かに与えられるコンテンツから、自分が発信する道をどうやったら開いていけるのか」(17頁)を問うもの。第4章は鈴木一誌さんによるインタヴュー記事の再録(『d/SIGN』第18号、2010年)。出版人必読の一書。

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# by urag | 2019-02-17 22:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 15日

「みすず」誌読書アンケート特集号に弊社刊『仮象のオリュンポス』評

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月刊誌「みすず」の毎年恒例の「読書アンケート特集」(2019年1/2月678号)で、弊社の昨春の既刊書、佐藤真理恵『仮象のオリュンポス――古代ギリシアにおけるプロソポンの概念とイメージ変奏』を、岡田温司さんと上村忠男さんが取り上げて下さいました。

「顔=仮面」とは何かという永遠のテーマについて、テクストとイメージの両面から挑んだ意欲作である。(岡田さん)
古代ギリシアにおいては、プロソポンという一語のなかに、「顔」と「仮面」という、近代人の共通理解からすると相反するかにみえる二つの意味が同じ地平に位置づけられ、矛盾することなく共存しえていた。これはどうしてであったのかという疑問に端を発して、その概念系とイメージ変奏の諸相を古典文献や陶器画などのアナクロニックな比較分析をつうじて解明しようとした、新鋭による刮目すべき試み。(上村さん)

なお、同誌では弊社出版物の著訳者である星野太さんや、郷原佳以さんも寄稿されています。

『仮象のオリュンポス』は「シリーズ・古典転生」の本巻16です。同シリーズでは今月と来月、以下の新刊を発売いたします。
2月下旬:第18回配本、本巻18:須藤温子『エリアス・カネッティ――生涯と著作』
3月上旬:第19回配本、本館19::筧菜奈子『ジャクソン・ポロック研究――その作品における形象と装飾性』

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# by urag | 2019-02-15 19:45 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 15日

取次搬入日確定:須藤温子『エリアス・カネッティ――生涯と著作』

須藤温子さんの単独著デビュー作となる『エリアス・カネッティ――生涯と著作』の取次搬入日が確定しました。大阪屋栗田が本日15日(金)、日販とトーハンは18日(月)の予定です。同書は「シリーズ・古典転生」の第18回配本で本巻17です。類書が少なく、貴重な研究書です。どうぞよろしくお願いいたします。写真では分かりにくいですが、カバー表1の書名は、メタリック・ブルーの箔押しです。書店さんの店頭に並び始めるのは来週後半以降になるかと思われます。どの書店さんに並ぶかは、地域をご指定のうえお問い合わせいただければ幸いです。

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# by urag | 2019-02-15 18:18 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 11日

注目新刊:シャルル・ペギー『クリオ』河出書房新社、ほか

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クリオ――歴史と異教的魂の対話』シャルル・ペギー著、宮林寛訳、河出書房新社、2019年2月、本体3,200円、46変形判上製436頁、ISBN978-4-309-61996-5

★『クリオ』は池澤夏樹さん監修のシリーズ「須賀敦子の本棚」の第6弾。フランスの作家ペギー(Charles Péguy, 1873-1914)の死後出版『Clio, dialogue de l'Histoire et de l'âme Païenne』(Gallimard, 1932)の全訳。凡例によればプレイヤッド版『ペギー散文全集』第3巻(1992年)を適宜参照したとのことです。巻末に監修者の池澤さんによる「解説、あるいはペギー君の「試論」の勝手な読み」が付されています。同著には抄訳本(『歴史との対話――『クリオ』』山崎庸一郎訳、中央出版社、1977年)がありますが、今回の新訳は初めての全訳です。

★旧訳のカヴァー表4に記載された紹介文と新訳の帯文を見比べてみます。

中央出版社版
「神が人間を歴史家としてつくったことは、神の最大の恩寵であり、最大の慈悲である……」。人間は、老いるとき、過去と和解し、出来事の歴史家となり、形骸化のなかに安住する。だが、歴史として客観的な記載の対象となることを拒否する真の出来事とは何か。本書においてペギーは、イエス事件というテキストの解説、ドレフュス事件というテキストの解説を通じて、真の神秘観の復興、神秘的宗教としてのキリスト教の意義を説く。/『われらの青春』についで、ここに見られるのは、40歳という年齢を通過したペギー、ベロニカがその手巾にイエスの顔を写し取ったように、出来事の刻印である弾痕をその顔に受けて地に伏す直前のペギーの、現代世界に対する悲痛なる糾弾であり、その病患の摘出であり、彼のかけがえのない遺著である」。

河出書房新社版
歴史の女神クリオが語る、老いとは何か、歴史とは何か――。ドゥルーズ、ゴダール、ベンヤミンらが深く愛した究極の名著、初完訳! カトリック左派の中心的な思想家として知られ、須賀敦子も敬愛したペギーが、モネの「睡蓮」やヴィクトル・ユゴーの作品を主軸に、その思索を結実させた傑作。

★『クリオ』の成立過程については今回の新訳の、宮林さんによる「訳者あとがき」に説明があります。「1909年から翌10年にかけて、ペギーは長大な歴史論に取り組んでいる。残された草稿は423枚。研究者のあいだで『クリオⅠ』と呼びならわされ、一時期ペギーが『歴史と肉的魂の対話』と呼んでいた未完の作品だ。時が流れて1912年6月、いったん中断した対話の改稿に着手したペギーは『クリオⅠ』の冒頭部分だけを残し(本書76ページの「ヴィシュヌ神が早急のロチュスに座することはもはやない」まで)、残りはすべて放棄したうえで、984枚にもおよぶ展開を書き加えることになった。こうして成立したのが本書『クリオ 歴史と異教的魂の対話』(通称『クリオⅡ』である」(422頁)。

★これに続き宮林さんは、中央出版社版の紹介文中にあったベロニカ(ヴェロニカ)について次のように説明されています。「1913年6月の時点でペギーはまだ『クリオⅡ』を執筆中だったことが書簡等の資料から明らかになっている。正確な時期はわからないが、『クリオⅠ』から『クリオⅡ』に移る過程でペギーが第二の対話を構想し、「記載」に終始する不毛な歴史と、年代記作者の態度で出来事を捉える「記憶」の働きを、それぞれクリオと聖女ヴェロニカに託そうとしたこともわかっている。十字架を背負ってゴルゴタの丘へと向かうイエス・キリストの通り道にたまたま居合わせ、その顔をぬぐうことでイエスの面貌を手巾に写し取った聖女ヴェロニカは、無際限によみがえる記憶を体現した人物として登場するはずだった。対話篇同士の対話を想定した、実に興味深い作品構想ではあるのだが、ヴェロニカの存在は『クリオ』で一度暗示されたきりで(本書298頁)、聖女の名を題名に含む対話篇は書かれずじまいになった。対話篇同士の対話が実現すれば、ペギーの資質と思索の在り方を、これ以上なく純粋な形で表現する作品になっていただろう」(422~423頁)。

★ペギーはクリオにこう語らせます。「老いるとは、年齢が変わったことではなく、年齢が変わりつつある、というよりもむしろ、同じ年齢に固執し、長くとどまりすぎたことを言う」(336頁)。「老いとは、まさしく人間そのものなのだ」(338頁)。「老いはその本質からして〔…〕回顧と、哀惜の活動にほかならない」(同頁)。「哀惜ほど崇高で、美しいものはどこにもないし、最も美しい詩は哀惜の詩だ」(339頁)。「老いはその本質からして記憶の活動にほかならない〔…〕。それに記憶の働きがあるからこそ、人間にはあれだけの奥行きが生まれた。(ベルクソンはそう考えている〔…〕。今でもまだベルクソンの著作を引用することが許されるなら、『物質と記憶』と、『意識の直接与件についての試論〔時間と自由〕』を読んでごらんなさい。)」(同頁)。「記憶ほど歴史に逆行し、歴史とかけはなれたものはない。また歴史ほど記憶に逆行し、記憶とかけはなれたものはない。そして老いは記憶の側にあり、記載は歴史の側にある」(同頁)。

★「記載と想起は直角をなす〔…〕。つまり記載が水平の線だとしたら、それに接する想起の勾配は90度になる。歴史はその本質からして縦走的であり、記憶はその本質からして鉛直である。歴史はその本質からして出来事に沿って進むことで成り立つ。記憶はその本質からして出来事の中にあり、まずは絶対外に出ないことによって、内側にとどまることによって、それから出来事の中を遡ることによって成り立つ。/記憶と歴史は直角を形成する」(342頁)。「出来事は決して均質ではなく、たぶん有機的な組成をもつ〔…〕。緊張と弛緩、安定期と激動期を繰り返し、振動の幅と、隆起点と、臨界点もあらわれ、暗い平原が開けたかと思えば突如として中断符で終わる」(392頁)。ここから「何も起こりはしなかった。それなのに世界は相貌を変え、人間の悲惨も変わった」(393頁)に至る記述には圧倒的な迫力があります。

★「40歳の男は、今まさに青春から抜け出したという感覚があるだけでなく、自分の内面を覗いて、失った青春に目を凝らす。だから40歳の男には老いるとはどういうことであり、老いとはそもそもなんであるのかということが、ちゃんとわかっている」(368頁)。「40歳の男は、20歳の男が詩人であるのと同様、年代記作者であり、回想録作家であることをその本分とする。ところが20歳を過ぎた人間はもはや詩人ではなく、40歳を過ぎた人間はもはや回想録作家ではない」(369頁)。「40歳の男は〔…〕これから自分は歴史家になると感じ」る(369~370頁)。この書物は年齢に限らず「老い」を感じている読者こそが味わえるものなのかもしれません。

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★このほか、最近では以下の新刊との出会いがありました。

インポッシブル・アーキテクチャー』五十嵐太郎監修、埼玉県立近代美術館/新潟市美術館/広島市現代美術館/国立国際美術館編、平凡社、2019年2月、本体2,700円、A4判並製252頁、ISBN978-4-582-20715-6
中国ドキュメンタリー映画論』佐藤賢著、平凡社、2019年2月、本体5,000円、A5判上製344頁、ISBN978-4-582-28265-8
海を撃つ――福島・広島・ベラルーシにて』安東量子著、みすず書房、2019年2月、本体2,700円、四六変型判上製296頁、ISBN978-4-622-08782-3

★『インポッシブル・アーキテクチャー』は同名の巡回展の公式図録。20世紀以降の国内外のアンビルト建築を紹介するもので、建築されなかった/できなかったものたちの群れは、ひょっとしたらありえたかもしれないもうひとつの世界を想像させ、見る者に豊かな霊感をもたらします。正式な書名(展覧会名)は、インポッシブルに取り消し線が引かれています。図録は論考や作品図版とともに年表を掲載しており、たいへん充実した保存版です。展覧会の図録でなければ倍の値段はするであろう内容と造本で、最初から最後までワクワクさせてくれる素晴らしい一冊。

埼玉県立近代美術館:2019年2月2日~3月24日
新潟市美術館:2019年4月13日~7月15日
広島市現代美術館:2019年9月18日~12月8日
国立国際美術館:2020年1月7日~3月15日

★『中国ドキュメンタリー映画論』は「1980年代末から90年代初めにかけて始まった中国における独立制作によるドキュメンタリーを取り上げ、およそ2000年代までの展開を素描し、中国独立ドキュメンタリーの「独立」とは何であるかについて、中国の社会・文化的文脈の中で考察するもの」(「はじめに」より)。「中国独立ドキュメンタリーの出現」「テレビ体制と独立ドキュメンタリー」「デジタルビデオと個人映画」「映画を見る運動」「中国独立ドキュメンタリーの現在」の全5章。中国ドキュメンタリー映画の関係年表や主要作品リストも付されています。

★『海を撃つ』は植木屋を夫と営むかたわらボランティア団体「福島のエートス」を主宰する安東量子(あんどう・りょうこ:1976-)さんの単独著第一弾。震災後の福島をめぐる淡々とした筆致の中にも強い思いを感じさせるエッセイ集です。書名の由来は表題作である最終章で明かされていますがこれはネタバレしない方がいいかと思います。

★胸に残る一節。「失われたかつての暮らしを、退屈な日常を、私たちが失ったものを、失わなくてはならなかった理由を、私たちを巻き込んだ得体のしれない巨大なものの正体を、本当は語りたい。けれど私たちは、それを語る共有の言葉をいまだ持たない」(244頁)。「私たちが本当に語りたいことはなんなのだろうか。それを語る共通の言葉を得るまで、私たちは、唯一語り得ると信じる放射線の健康影響について、たどたどしく語り続けるのを止めないだろう。私たちの本当に語りたいことではないかもしれないのに。この出来事はどこからやってきて、私たちになにをもたらしたのか、もたらそうとしているのか。私たちはなにを失ったのか。本当の影響はなんだったのか。この先長い時間をかけて、私たちは語り得る共通の言葉を探していかなくてはならない」(245頁)。

★そしてもっとも胸を揺さぶられた一節。「しかし、私たちは全員知っていたではないか。避難指示が解除される見込みさえなく、放置されている人びとがいることを。成功者が賞賛を浴びれば浴びるほど、彼らへの注目は薄れ、万事滞りなく進んでいるとの空気は強まった。脚光を集めた者に当たる光はますます強く、一方で、陰に落ちた人びとはより暗がりに沈み、その姿は見えなくなった。やがて破綻することはわかっていた。彼は姿を見せた。私たちが気づきながら見ようとしてこなかった陰は、確かにあるのだと伝えるために。彼の来訪は予期されていたものだった。彼は来るべくして、ここに来たのだ。私たちの浴びている光が、本当にそれに値するものなのかを問うために」(261頁)。この「彼」が誰のことなのかについてはぜひ店頭で本書を手に取って確かめていただければ幸いです。一読者として、私にとって本書の中心はこの「彼」でした。彼でしかありえないと感じたのでした。

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# by urag | 2019-02-11 18:41 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 10日

「新書大賞2019」(「中央公論」2019年3月号)に参加しました

「中央公論」2019年3月号に掲載された「新書大賞2019」に参加しました。同号では、111名が選ぶ「年間ベスト20」の発表のほか、大賞受賞者インタビュー、編集者座談会、識者対談、54名が選ぶベスト5冊、などが掲載されています。私が選んだ5冊は例年通りベスト20とは重複しませんでした。狙っているわけではないのですが、どうもズレるのですね。ベスト5冊の方では3冊までの選書コメントが掲載されています。「4位、5位を含む全文は3月下旬発売予定の電子書籍〈中央公論Digital Digest〉『新書大賞2019』に掲載します」とのことです。私が選んだ5冊は以下の通りです(135頁に3位までのコメントとともに掲載)。

1)一田和樹『フェイクニュース』角川新書
2)保立道久『現代語訳 老子』ちくま新書
3)エドワード・ルトワック『日本4.0』文春文庫
4)大野和基編『未来を読む』PHP新書
5)J・ウォーリー・ヒギンズ『秘蔵カラー写真で味わう60年前の東京・日本』光文社新書

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# by urag | 2019-02-10 15:27 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2019年 02月 09日

ツイート(2)2018年1月

★2018年1月12日
CVSに出荷している版元は取次との取引条件を改定する必要に迫られるのではないかと思います。「出版市場の縮小で積み荷の本は激減しているのに、配送先は増え続ける――。出版社と売り場をつなぐ出版取り次ぎが非効率にあえいでいる。コンビニの増加が背景」
※朝日新聞デジタル「出版取り次ぎ「もう限界」 一晩で配送55店、積み荷は激減」2018年1月12日付(公開終了)

出版業界にはどれほど当てはまる話なのかは正直分からないと感じました。「宅配便料金改定で分かった「一斉値上げ」で儲かる時代の到来」 | ダイヤモンド・オンライン

「出版物流の抜本的な解決、リアル書店とネットの融合、新しい書店モデルの創造を展開する。物流コスト増、物流の協業化の課題に取り組みたい。業界全体でも危機意識を共有して」。新文化1月9日付「トーハンの藤井武彦社長、「出版物流の抜本的な解決などを行う」と発表

昨年12月1日に千代田区一ツ橋2-4-4「岩波書店一ツ橋別館」地下2階付8階建を売却。岩波が今後このほかの一ツ橋や神田神保町の不動産を処分するのかしないのかに注目が集まることになりそうです。
※東京商工リサーチ2018年1月12日付「岩波書店、テナントビルを小学館へ売却

★2018年1月15日
「10年で約1000万部減。最大の発行部数を誇る読売新聞1紙がまるまる消えた計算。新聞発行部数のピークは1997年で、2000年以降は前年を上回ったことがなく、2008年あたりから減少率が大きくなっている」|「新聞崩壊」はたった一年でこんなに進んでしまった|現代ビジネス

★2018年1月16日
空犬(空犬太郎)@sorainu1968さんのご投稿のリツイートおよび私の返信
「「TSUTAYA」...や...「リブロ」をはじめ、ワンダーグー...、西村書店...、啓文社...などの地方チェーンがファミマ一体型店舗の展開を進めている」。| コンビニ+驚きのコラボも!「異業種一体型店舗」に挑むファミマ、その成否は?(HARBOR BUSINESS Online) ◆記事には「本屋やCD店はいずれも出版不況により元気がなく、“逆境”を跳ね除けるため売場の一部を減らしてコンビニの集客力を借りるという「捨て身の覚悟」をおこなっているのだ」とも。

書店さんが読書会を始めた例としては、代官山蔦屋書店さんが始めた「代官山人文カフェ」があります。◆本屋さんは本と人だけでなく人と人とのリアルな出会いの場でもあると思います。そのポテンシャルはとても大きいと感じます。

八重洲山【八重洲ブックセンターの社長】@yaesuyamaさんの投稿のリツイートおよび私の返信
『ネット社会はつながっていると思われているが、本当はそうではない。作り手、売り手、運び手の役割が明確で、買い手と分断されている。情報の共有は乏しい。実店舗の小売業はそこをつなげる使命がある』|アマゾンと小売りの未来(複眼): 日本経済新聞 ◆良品計画会長・金井政明さん曰く「日本には「足るを知る」という言葉がある。「これでいい」世界だ。アマゾンと同じ土俵で闘ってもしょうがない。人や自然、社会と調和した商品や企業の理念によってデジタル革命と異なる世界でやっていけるはずだ。日本の小売業、商人には素養がある」とも。

八重洲山【八重洲ブックセンターの社長】@yaesuyamaさんの投稿のリツイートおよび私の返信
『バラバラだったら把握しづらい膨大な本も、棚の分類や互いの位置関係で記憶される。そう、書店とはそれ自体が巨大なブックマップであり、それを人の頭に入れやすくする記憶装置でもあるのだ』|書店こわい 山本貴光:日本経済新聞 ◆大書店を逍遥する醍醐味。「そうして小一時間も過ごすと、半分は当初の問いと関係のない本を買って帰ることになる。問いが増え、また書店が楽しくなる。以下無限ループである。書店こわい」。さいきん増えているオーサービジットも、棚巡りの面白さにほかなりません。

★2018年1月17日
「トーハンがまとめた出店状況(2017年7月時点)によると書店が1軒もない市区町村数の割合は全国平均が22%だった。四国では香川県の空白率がゼロで、愛媛県も15%にとどまり、全国平均を下回った」と。|「書店ない市・町 香川ゼロ」日本経済新聞 ◆出版社目線で言えば、本屋さんがあっても受注のない地域はいくらでもあるのが現実です。試みに「多様体」創刊号の受注状況を見ると、香川県下、愛媛県下とも各1店舗です。県によっては無受注に終わることもあります。専門書や小零細版元の出版物を扱う書店さんの数はきわめて限られています。◆受注店については弊社の場合、お客様へのお問合せにお答えする時と、ごく数店舗でしか扱われない商品以外は、原則的に公開していません。公開を望まない書店さんもおられるためです。理由は様々ですが、出版社が「在庫あるかも」と言っても店頭では「ない」ことがあるため、等々です。◆店頭にない本はそもそも存在しない本と思われがちなところがあります。書物の樹海は二千坪でも置き切れないくらい本当は広いのですけれども・・・。◆書誌情報が書籍現物よりも実在の基準になるという困った傾向があります。結果、書誌情報だけが消されずに残って実は本が刊行されていなかったり、書誌情報さえ残せば書籍現物は廃棄しても仕方ない、となったりするリスクがあるわけです。◆取次の問題であるとは一概に言えないです。書誌情報を登録すると様々な取引先とそれを共有することになるので、削除や変更が一挙的にはできない場合があります。刊行予定についてはやや面倒ですが、個々の出版社の情報を確認するのが一番かと思います。

共感!「最先端ばかりを追い求めるのではなく、古いものを大事にして、それを何度でも甦らせていく、そういう温かくてエコでセンスある文化や生業がある街にしていきたい」|ヴィンテージ・シティー(Vintage City)で歴史書出版社をやること (有志舎 永滝稔) | 版元ドットコム

図書館もいずれ減っていかざるをえなくなるのでしょうか。|地方インフラ、維持より解体 人口減で市町村限界|日本経済新聞

★2018年1月18日
「創業以来一〇〇年間に発行した全書目を刊行順に並べこれに対応して小社の主要記事出版界国内外事情を掲載」B5判上製函入2344頁、本体20,000円、限定300部なんですね。|『岩波書店百年』2018年1月刊

ほさか@worldtower26さんの投稿のリツイート
いいコラム。「本を読むことも一種の〈移民〉体験だ。なぜならそれは異質な他者の生を想像して生きることだから。読むたびに、また別の生が付け加えられ、僕たちの生はますます豊かになる。」|僕たちはみな<移民> 境界線を跳び越えよう 小野正嗣:朝日新聞デジタル(公開終了)

★2018年1月19日
アマゾンの大義名分「顧客至上主義」は林部さんの言う「本気の資本主義」に裏打ちされているわけで、この二項が両立できない地点に限界が生じるかと思われます。|アマゾンが取引先に課している「冷酷な条件」 合理性を追求した徹底したロジカル経営| 東洋経済オンライン

★2018年1月22日
数百人が束になっても汲み尽くせない価値があるということが「イノベーター」の側から積極的に評価されない事態というのは、一出版人として何ともやるせない貧しさを感じた次第ですが、一方でそれは縮小という現実となって表れているわけですね。出版部数や販売部数も同様かもしれません。

★2018年1月23日
生意気を申し上げてたいへん恐縮ですが、書店さんからの返品依頼書というのは版元にとって、書店さんの内情をかいまみることによってお店の印象が決まってくる、とても大切なツールでございますね。ですから、こう(以下略)

有料記事なので途中までしか読めませんが、取次さんは業界紙だけでなく、ご自身でどんどん意見を発信し、公的な議論に供していただきたいなと強く思います。新春の会は動画配信しても良いのでは。|トーハン・近藤副社長、「物流問題にICタグでイノベーションを」|文化通信 ◆というのも、新春の会に出席する(ことができる)書店や版元は限られているからです。出版界の諸問題はもっとオープンに議論されるべきです。ちなみに同社の新年仕事始め式での藤井武彦社長の挨拶(要旨)は以下で読めます。ここでも物流問題への言及があります。|新年仕事始め式 年頭挨拶(要旨)

★2018年1月24日
今後も出版社のグループ化と淘汰が進みそうな予感がします。|【新文化】 - 日本BS放送、理論社と国土社を連結子会社化

ついに、品物を持って出るだけの「AMAZON GO」がシアトルで開店とのこと。|アマゾンの無人コンビニ体験 購入品の把握、実力十分: 日本経済新聞

八重洲山【八重洲ブックセンターの社長】@yaesuyamaさんの投稿のリツイートおよび私の返信
『レジで滞らないため、100人並んでも待ち時間は10~15分ほど。訪れた人たちからは「忙しい人に最適」「クールだ」といった声が上がった』|AIコンビニ「アマゾン・ゴー」開業 レジ待ち短く: 日本経済新聞 ◆「店の天井にはカメラが確認できただけで130台以上は設置されており、誰が何を取ったかを追跡し続けることで実現」と。監視社会と紙一重とはいえ、この利便性が日本にも導入されるだろうことは想像に難くありません。◆「同じAIの活用を進めるウォルマートでは「いかにレジの行列待ちを減らすか」(幹部)に注力しているが、アマゾンの場合は「そもそもレジは必要か」という視点に立っている」。そもそも論の重要性と有用性。|アマゾンの無人AIコンビニ、米で開店へ:日本経済新聞

「出版物流から撤退する企業が急増。日販の委託先では、5年間で7社が撤退。新たな委託先を開拓しようと21社に見積もりを打診、回答は1社のみで予算の4倍の料金」|(真相深層)物流危機が迫る出版改革 雑誌の発売日分散広がる 配送撤退、電子化を後押し:日本経済新聞 ◆いよいよ今年は取引条件改定か。日経記事に曰く「赤字を全く埋められない。残念ながら自分の代で会社を畳むことになるかもしれない」との声。「別の物流会社の幹部は「数年以内に出版物流からの撤退を考えている」と。ネット通販の普及で食料品の取り扱いが増え、本が売上高に占める割合は1割に」。◆同記事では「物流会社も取次も体力の限界が近い。発売日の分散には、出版市場の継続的な縮小という大きな潮流を変える力はない。発行部数減を止める策が求められている」と書いておられるものの、発行部数を増やすことではなく、販売部数を増やすことが重要なのでは。◆同記事の結論「出版物流が疲弊するなか、読者へ確実に出版物を届ける手段である電子書籍にいつシフトするのか。出版社は決断を迫られている」はいささか事態を単純化して見ているように感じます。電子書籍へのシフトがすべての問題の答えとは思えません。◆ともあれ輸送料や取引条件改定のための外堀はすでに埋まっており、あとは現実的に、コンビニに商品を卸している版元から改定を始めるか、それとも一挙的に二大取次が全出版社に対して改定を申し入れるか、時間の問題かもしれません。説明会が開催されるとしたら紛糾するのは必定です。◆出版社は高齢化が進んでいます。料金改定や条件改定により売上が今より減少すれば廃業を視野に入れざるをえない会社も当然出てくるでしょう。同時に、新規で出版社や書店を開業しようとすることが無謀に見えてしまうかもしれません。この危機をチャンスと捉えている企業もあるでしょうけれども。

日本出版取次協会・雑誌進行委員会「2016年12月31日(土)特別発売日についてのお願い」に曰く「先般、2016度の年間発売日が決定し、本年は12月31日(土)を全国一斉発売日とする新たな試みに、出版業界全体で挑戦することとなりました」。◆取協/雑協「2017 年度「年末年始特別発売日」について」に曰く「2017年12月29日を年末特別発売日、18年1月4日を年始特別発売日とし〔…〕定期誌と年末年始特別商品のラインナップを揃えて、「年末年始は雑誌・読書を楽しみましょう」と引き続いてアピール」と。◆同文書によれば「12月31日の特別発売日には雑誌臨時増刊、ムック、コミックス約130点、約800万部、書籍新刊約70万部が全国一斉発売。雑誌売上は前年比117.3%と急上昇、昨年12月29日から1月4日までの雑誌売上は前年同期比 101.5%(取次合計POS店 4,069 店)と前年を上回ることができました」と。◆長期低迷傾向にある雑誌(および書籍)へのカンフル剤投入によって売上が上昇すれば物流の現場にも恩恵があるはず、という考えなのかもしれませんが、当然現場の負担は大きくなりますね。この特別発売に参加していない版元も多いでしょうから、取協の言う「出版業界全体で挑戦」という表現は・・・。

★2018年1月26日
大坪嘉春氏「委託販売(税法上では買戻条件付販売)をしている版元、取次店に認められる勘定科目、返品調整引当金を廃止することが、昨年12月22日に閣議決定された税制改正の大綱で明らかに。これがどういうことを意味するのか、また、どういう影響が出版業界に生じるのか」新文化1月25日号1面掲載

★2018年1月28日
八重洲山【八重洲ブックセンターの社長】@yaesuyamaさんの投稿のリツイート
『鳴子まちづくりは「温泉も読書も人を元気にする力があり、相性がいい」と話す』|<鳴子温泉>読書湯治の魅力を紹介 キャンベルさん2月4日に講演|2018/1/27 - 河北新報

★2018年1月31日
「日販のグループ書店として、連結対象子会社に。商号と屋号については今後変更する予定」【新文化】 -日販、東武ブックスの株式83.3%を取得

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# by urag | 2019-02-09 18:29 | 雑談 | Trackback | Comments(0)