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2023年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆近刊
2023年09月25日取次搬入開始予定:ダヴィッド・ラプジャード『壊れゆく世界の哲学――フィリップ・K・ディック論』本体2,800円。

◆最新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
2023年08月04日発売:『表象17:映像と時間――ホー・ツーニェンをめぐって』本体2,000円。
2023年08月01日発売:アレクサンドル・ヴヴェヂェンスキィ『ヴヴェヂェンスキィ全集』本体6,400円。
2023年07月28日発売:ジャン-リュック・ナンシー『否認された共同体』本体3,600円、叢書・エクリチュールの冒険第23回配本。
2023年07月28日発売:ステファヌ・マラルメ『散文詩篇』本体2,000円、叢書・エクリチュールの冒険第22回配本。
2023年06月12日発売:『多様体5:記憶/未来』本体3,000円。
2023年06月12日発売:ベンジャミン・ピケット『ヘンリー・カウ――世界とは問題である』本体6,000円。
2023年06月08日発売:フリードリヒ・シラー『シラー詩集』第1部:本体4000円、第2部:本体4,400円。
2023年05月24日発売:小泉義之『弔い・生殖・病いの哲学――小泉義之前期哲学集成』本体3,600円。
 渡名喜庸哲氏書評「生命の哲学を紡ぎ直す――多様な側面をもつ生の諸相について」(「週刊読書人」2023年8月25日号)
2023年04月26日発売:『巡礼――髙﨑紗弥香写真集』本体6,000円。
2023年04月04日発売:長崎浩『中江兆民と自由民権運動』本体2,800円。
2023年03月31日発売:大谷能生『歌というフィクション』本体3,800円。
2023年02月15日発売:鈴木創士編『アルトー横断――不可能な身体』本体3,200円。
2023年02月02日発売:ジョルジョ・アガンベン『バートルビー 新装版』本体2,600円。
2023年01月26日発売:ジョルジュ・ディディ=ユベルマン『場所、それでもなお』本体2,600円。
 郷原佳以氏書評「「ユダヤ虐殺の場」見つめる」(「読売新聞」2023年4月2日朝刊書評欄)
 岡本源太氏書評「徹底した「見ること」の実践――権力がいかに経験されるのかを解明する考察」(「週刊読書人」2023年4月21日号)
 高橋順一氏書評「アウシュヴィッツの逆説、背理に迫る――想像不可能性に抗して想像し続けること、見ることの不可能性に抗して見続けようとすること……」(「図書新聞」2023年8月19日号)
2022年12月21日発売:アレクサンドル・コイレ『イェーナのヘーゲル』本体4,500円、シリーズ・古典転生第28回配本本巻27。
2022年12月15日発売:ジョルジョ・アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの 新装版』本体2,600円。
 ぱや氏書評(『綴葉』2023年4月号「新刊コーナー」)
2022年12月14日発売:築地正明『古井由吉――永劫回帰の倫理』本体3,000円。
 長瀬海氏書評「強靭な読み、思考的な粘度のある議論――その文学に挑み続ける、僧の修行のような文芸評論」(「週刊読書人」2023年2月24日号)
2022年11月11日発売:ウィリアム・モリス『小さな芸術――社会・芸術論集Ⅰ』本体2,800円。
 鈴木沓子氏書評「芸術に宿る「何か」、現代にも響く感性」(「週刊金曜日」2023年1月13日発売1407号「きんようぶんか」欄)
 椹木野衣氏書評「美のある暮らしへの渇望を呼ぶ」(「朝日新聞」2023年2月25日付朝刊書評欄)
2022年10月14日発売:『手先と責苦――アルトー・コレクションⅣ』本体4,500円。
2022年10月13日発売:谷川渥『ローマの眠り』本体2,200円。
 春木有亮氏書評「まさにバロック的書物ーーヴェール=襞が存在の原理だ」(「図書新聞」2023年2月18日号8面)
 Y氏紹介記事「デザインに秘められている思想」(「世界」2023年3月号「SEKAI Review of Books」内「新刊紹介」欄)
2022年10月13日発売:堀千晶『ドゥルーズ 思考の生態学』本体3,200円。
 小倉拓也氏書評「可能ではない世界を、それでも断固として譲らないこと――ドゥルーズの「実存主義」を精緻に読み解く」(「図書新聞」2023年3月10日号5面)
2022年9月21日発売:谷川雁『影の越境をめぐって』本体2,200円。
2022年9月21日発売:谷川雁『戦闘への招待』本体2,400円。
2022年9月16日発売:『カイエーーアルトー・コレクションⅢ』本体5,200円。
2022年8月22日発売:ジョルジュ・バタイユ『マダム・エドワルダ』本体2,200円、叢書・エクリチュールの冒険第21回配本。
2022年8月17日発売:『アルトー・ル・モモ――アルトー・コレクションⅡ』本体4,000円。
2022年8月3日発売:谷川雁『工作者宣言』本体2,200円。
2022年8月3日発売:谷川雁『原点が存在する』本体2,400円。
 上原佳久氏書評「革命の時代を遠く離れて」(「朝日新聞」2022年9月17日付「ブックエンド」欄)

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎重版出来:
 2023年03月20日:星野太『崇高の修辞学』4刷(2017年初刷)
 2023年03月29日:ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー』2刷(2022年5月初刷)

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。


# by urag | 2023-12-31 23:59 | ご挨拶 | Comments(21)
2023年 09月 19日

注目新書&文庫:渡名喜庸哲『現代フランス哲学』ちくま新書、ほか

注目新書&文庫:渡名喜庸哲『現代フランス哲学』ちくま新書、ほか_a0018105_02524911.jpg

★まずは、注目の新書新刊から。

現代フランス哲学』渡名喜庸哲(著)、ちくま新書、2023年9月、本体1,100円、新書判352頁、ISBN978-4-480-07574-1
問いを問う――哲学入門講義』入不二基義(著)、ちくま新書、2023年9月、本体1,100円、新書判336頁、ISBN978-4-480-07573-4
はじめてのフェミニズム』デボラ・キャメロン(著)、向井和美(訳)、ちくまプリマー新書、2023年9月、本体880円、新書判224頁、ISBN978-4-480-68462-2
日本株はどこまで上がるか』ポール・クルーグマン/武者陵司/熊野英生/ハーディ智砂子/栫井駿介(著)、宝島新書、2023年9月、本体1,091円、新書判240頁、ISBN978-4-299-04657-4
新しい戦前――この国の“いま”を読み解く』内田樹/白井聡(著)、朝日新書、2023年8月、本体890円、新書判288頁、ISBN978-4-02-295228-8

★『現代フランス哲学』は、立教大学教授の渡名喜庸哲(となき・ようてつ, 1980-)さんの『レヴィナスの企て――『全体性と無限』と「人間」の多層性』(勁草書房、2021年)に続く単独著。帯文に曰く「フーコー、ドゥルーズ、デリダに続く、強靭な思想の流れを一望する」と。主要目次を転記しておきます。盛りだくさんの内容で、各章末にはブックガイドが配され、人物相関図(マップ)もあります。新書ではここまで幅広く扱ったものはなかったように思います。

はじめに
Ⅰ 構造主義とポスト構造主義
第1章 構造主義を振り返る
第2章 ポスト構造主義
Ⅱ 転換点としての80年代
第3章 ポストモダン社会か新自由主義社会か
第4章 〈政治的なもの〉の哲学
第5章 〈宗教的なもの〉の再興
Ⅲ 科学と技術
第6章 科学哲学
第7章 技術哲学
Ⅳ 変容する社会
第8章 ジェンダー/フェミニズム思想
第9章 エコロジー思想
第10章 労働思想
Ⅴ フランス哲学の最前線
第11章 哲学研究の継承と刷新
第12章 フランス哲学の射程
おわりに
現代フランス思想家マップ
あとがき
参考文献
人名索引

★『問いを問う』は、青山学院大学教授の入不二基義(いりふじ・もとよし, 1958-)さんによる『時間は実在するか』(講談社現代新書、2002年)、『哲学の誤読――入試現代文で哲学する!』(ちくま新書、2007年)に続く、3冊目の新書単独著。 大学での哲学講義をベースにして書き下ろされた入門書。「終わり(答え)に向って進むのではなく、始めよりもさらに手前(問いへの問い)に向けて遡り続ける」(はじめに、11頁)もの。 主要目次を転記しておきます。著者が講義で使用しているというネーゲルの『哲学ってどんなこと』(昭和堂、1993年)を表した言葉が本書にも当てはまる気がします。「哲学史の教科書ではなく、哲学するための入門書」(同、10頁)。主要目次を以下に転記します。

はじめに
第1章 哲学の問いへの序走
第2章 どのようにして私たちは何かを知るのか?
第3章 どのようにして私たちは他者の心を知るのか?
第4章 心と脳の関係とはどのような問題か?
第5章 死んだら無になるのか、それとも何が残るのか?
付録 国語入試問題と哲学の交錯
あとがき

★『はじめてのフェミニズム』は、オックスフォード大学ウスター校教授で社会言語学者のデボラ・キャメロン(Deborah Cameronm, 1958-)による『Feminism』(Profile Books, 2018)の訳書。フェミニズム入門を掲げた新書は複数ありますが、海外の論客によるものは初めてではないかと思います。帯文に曰く「対立も矛盾もそのまま理解し、前に進むための超入門」。主要目次を以下に転記しておきます。

はじめに
第1章 支配
第2章 権利
第3章 仕事
第4章 女らしさ
第5章 セックス
第6章 文化
第7章 断層線と未来
参考文献
もっと学びたい人のための読書案内
訳者あとがき

★『日本株はどこまで上がるか』は、「なぜいま日本株が変われるのか、どこまで上がるのかを専門家たちが大胆に文責、予測する」(カバー表4紹介文より)もので、「ポール・クルーグマンほか、経済を熟知した5人が「最高値」を予測」(帯文より)と。「2024年の新NISA開始前に緊急出版」とも謳われています。第1章のクルーグマン「中國の経済的封じ込めで見直される日本企業」は大野和基さんの構成とあるので、インタヴューが元になっていると思われます。

★『新しい戦前』は、内田樹(うちだ・たつる, 1950-)さんと白井聡(しらい・さとし, 1977-)さんの対談集。お二人の対談本は、『日本戦後史論』(徳間書店、2015年;朝日文庫、2021年)、『属国民主主義論――この支配からいつ卒業できるのか』(東洋経済新報社、2016年;朝日文庫、2022年)に続く3冊目。帯文に曰く「知の巨人と気鋭の政治学者が、“主体なき”国家の実相を斬る。時代の曲がり角――この悲惨な現実を見よ」と。

★続いて、注目の文庫新刊。

まんがで読破(10)資本論』Teamバンミカス(漫画)、マルクス/エンゲルス(原作)、Gakken、2023年9月、本体900円、文庫判並製424頁、ISBN978-4-05-406933-6
実力も運のうち――能力主義は正義か?』マイケル・サンデル(著)、鬼澤忍(訳)、ハヤカワ・ノンフィクション文庫、2023年9月、本体1,200円、文庫判480頁、ISBN 978-4-15-050602-5
判断力批判(上下)』カント(著)、中山元(訳)、光文社古典新訳文庫、2023年9月、本体各1,400円、文庫判544頁/560頁、ISBN978-4-334-10045-2

死霊の恋/化身――ゴーティエ恋愛奇譚集』テオフィル・ゴーティエ(著)、永田千奈(訳)、光文社古典新訳文庫、2023年8月、本体1,240円、文庫判400頁、ISBN978-4-334-10012-4
作家の仕事部屋』ジャン=ルイ・ド・ランビュール(編)、岩崎力(訳)、中公文庫、2023年7月、本体1,200円、文庫判320頁、ISBN978-4-12-207397-5

★『資本論』は、イーストプレスから刊行されていた「まんがで読破」がGakkenに版元を移して再刊中の第10弾。もともとは、『資本論』(初版2008年;新版2020年)、『続・資本論』(初版2009年)、2点の合本版『まんがでわかる! 資本論』(2016年)を経て、新たな合本版が今回刊行されたということかと思います。第Ⅰ部が物語編(旧版正編)、第Ⅱ部が物語続篇兼解説編(旧版続編)となっており、解説編は説明的な部分が多くなるので、まんがと言えども読むには集中力が必要です。なお文庫本では、「講談社まんが学術文庫」でも『資本論』が2018年に刊行されているのは周知の通りです。

★『実力も運のうち』は、2021年の同名単行本の文庫化。原著『The Tyranny of Merit』は2020年刊。文庫化にあたり、巻末に本田由紀さんによる「解説」と、訳者による「文庫版のための解説」が付されています。訳文改訂についての言及はなし。ハヤカワ書房でのサンデルの文庫本は、2011年『これからの「正義」の話をしよう──いまを生き延びるための哲学』、2012年『ハーバード白熱教室講義録+東大特別授業』上下巻、2014年『それをお金で買いますか──市場主義の限界』に続く4点目。

★『判断力批判(上・下)』は言わずと知れた18世紀ドイツの哲学者カントの三批判書の第三書。中山元さんによる翻訳で『純粋理性批判』(全7巻、2010~2012年)、『実践理性批判』(全2巻、2013年)に続くもので、三批判書はこれでコンプリートされたこととなります。なお、中山さんによる解説は今回は文庫には含まれず、「古典新訳文庫換算で1500ページ相当の解説本『徹底読解「判断力批判」(仮)』が電子版5分冊で順次刊行」とのことです。すごいですね。

★『死霊の恋/化身』は、フランスの作家テオフィル・ゴーティエ(Pierre Jules Théophile Gautier,1811-1872)の3作「死霊の恋」(初出1836年)、「アッリア・マルケッラ――ポンペイの追憶」(初出1852年)、「化身」(初出1856年)を収録。既訳には『死霊の恋・ポンペイ夜話 他3篇』(田辺貞之助訳、岩波文庫、1982年)などがあります。光文社古典新訳文庫では「吸血鬼文学を連続刊行」と謳っており、その第1弾が本書『死霊の恋/化身』。10月刊第2弾がブラム・ストーカー『ドラキュラ』、12月刊第3弾がレ・ファニュ『カーミラ』と続いていくとのことです。

★ちなみに、今はなき現代教養文庫の小柳保義訳ゴーティエ作品集3点『魔眼』『吸血女の恋』『変化』は、いずれも文元社のオンデマンド・シリーズ「教養ワイドコレクション」で入手することが可能です。

★『作家の仕事部屋』は、中央公論社より1979年に刊行された単行本の文庫化。文庫化にあたり、編集部により新たに注釈が割注として加えられ、巻末には読書猿さんによる解説「結果を約束しない様々な儀礼〔プロトコール〕」が付されています。原著は『作家たちはどのように仕事するか』(フラマリオン、1978年)。25人の作家へのインタヴューが収められています。25人の名前を列記しておきます。ロラン・バルト、アルフォンス・ブダール、エルヴェ・バザン、ミシェル・ビュトール、ジョゼ・カバニス、ギ・デ・カール、エレーヌ・シクスー、アンドレ・ドーテル、マックス・ガロ、ジュリアン・グラック、マルセル・ジュアンドー、ジャック・ローラン、J・M・G・ル・クレジオ、クロード・レヴィ=ストロース、フランソワーズ・マレ=ジョリス、A・P・ド・マンディアルグ、パトリック・モディアノ、ロベール・パンジェ、クリスチアーヌ・ロシュフォール、フランソワーズ・サガン、ナタリー・サロート、フィリップ・ソレルス、ミシェル・トゥルニエ。

★最後に最近出会いのあった既刊書と近刊書を列記します。

庭のかたちが生まれるとき――庭園の詩学と庭師の知恵』山内朋樹(著)、フィルムアート社、2023年8月、本体2,600円、四六判並製384頁、ISBN978-4-8459-2300-7
聖杯の神話――アーサー王神話の魔法と謎』ジョーゼフ・キャンベル(著)、斎藤伸治(訳)、人文書院、2023年9月、本体3,800円、4-6判上製368頁、ISBN978-4-409-14069-7
ポスト・ファシズムの日本――戦後鎌倉の政治文化』ローラ・ハイン(著)、中野耕太郎/奥田博子(訳)、人文書院、2023年9月、本体4,500円、4-6判上製352頁、ISBN978-4-409-52089-5

★『庭のかたちが生まれるとき』は発売済。京都教育大学教育学部美術領域准教授の山内朋樹(やまうち・ともき, 1978-)さんの初めての単独著です。フィルムアート社さんのウェブサイト「かみのたね」での同名連載(全12回、2021~2023年)を全面的に改稿し、書き下ろしを加えたもの。版元紹介文に曰く、庭師であり美学研究者でもある著者が「京都福知山の観音寺を訪ね、その大聖院庭園〔通称「斗籔庭」〕作庭工事のフィールドワークをもとに、庭のつくられ方を記録した「令和・作庭記」」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。帯に千葉雅也さんの推薦文あり。「庭の見方をガラリと変えてくれる画期的な庭園論」と。

★なお、関連書としては山内さん自身の訳書である『動いている庭』(みすず書房、2015年;原著2007年)があります。著者のジル・クレマン(Gilles Clément, 1943-)はフランスの庭師で作家。同書の刊行に合わせてクレマンが来日して連続講演し、山内さんも参加されている記録には『庭師と旅人――「動いている庭」から「第三風景」へ』(エマニュエル・マレス編、秋山研吉訳、あいり出版、2021年)があります。

★人文書院さんの近刊書2点は22日(金)取次搬入予定。『聖杯の神話』は、米国の比較神話学者ジョーゼフ・キャンベル(Joseph Campbell, 1904-1987)さんの遺稿集『Romance of the Grail: The Magic and Mystery of Arthurian Myth』(New World Library, 2015)の全訳。帯文によれば「本書は中世ヨーロッパにおけるアーサー王伝説・聖杯伝説をテーマに、聖杯の起源と意味、円卓の騎士たちの冒険の分析、東洋神話との比較を通じて、神話のシンボルの本質に迫る」と。1927年の修士論文が補論として併載されており、貴重です。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★『ポスト・ファシズムの日本』は、ノースウェスタン大学教授で日本現代史がご専門のローラ・ハイン(Laura Hein)さんの著書『 Post-Fascist Japan: Political Culture in Kamakura after World War II』(Bloomsbury Press, 2018)の全訳。原書では単独著の3冊目で、訳書としては『理性ある人びと力ある言葉――大内兵衛グループの思想と行動』(大島かおり訳、岩波書店、2007年;原著2004年)に続く2冊目。訳者解題の文言を借りると、本書は「戦中戦後の鎌倉を具体的な事例に、ポスト・ファシズムの日本がどのように人間の復興を成し遂げることができたか」を分析するもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。



# by urag | 2023-09-19 01:58 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2023年 09月 10日

注目新刊:ピケティ『資本とイデオロギー』みすず書房、ほか

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資本とイデオロギー』トマ・ピケティ(著)、山形浩生/森本正史(訳)、みすず書房、2023年8月、本体6,300円、A5判上製1128頁、ISBN978-4-622-09048-9
ヨーガと瞑想の心理学――ETHレクチャー(6)1938-1940』C・G・ユング(著)、M・リープシャー(編)、河合俊雄(監修)、猪股剛/宮澤淳滋/鹿野友章/長堀加奈子(訳)、2023年8月、本体5,200円、A5判並製512頁、ISBN978-4-422-11738-6
テトラビブロス――プトレマイオスの占星術書〔ロビンズ版〕』クラウディウス・プトレマイオス(原著)、フランク・エグレストン・ロビンズ(編訳)、加藤賢一(訳)、説話社、2022年6月、本体5,000円、A5判上製308頁、ISBN978-4-906828-88-3

★『資本とイデオロギー』は、フランスの経済学者トマ・ピケティ(Thomas Piketty, 1971-)による『Capital et Idéologie』(Seuil, 2019)の訳書。『21世紀の資本』(原著2013年;山形浩生/守岡桜/森本正史訳、みすず書房、2014年)の「おおむね続編」(序文より)です。凡例によれば底本にはフランス語原版と英語版(2020年)を用い、各版に異同がある場合は適宜修正した、と特記されています。訳者あとがきはなし。特設ページがみすず書房さんのウェブサイトで開設されています。目次などをご確認いただけます。「はじめに」の一部も立ち読み可能となっています。

★「本書の主題は、格差レジームの歴史と進化だ。〔…〕この歴史的分析から、ある重要な結論が浮かび上がる。経済発展と人間進歩を可能にしたのは、平等性と教育を求める闘争であって、財産、安定性、格差を聖なるものに祭り上げることではない、ということだ」(はじめに、3頁)。「格差は経済的なものでもなければ、技術的なものでもない。イデオロギー的で政治的なものだ。これはまちがいなく、本書で採用した歴史的アプローチから生じる、最も衝撃的な結論だ」(同、7~8頁)。

★「本書で私は、経済、社会、思想、政治の格差レジーム史を提示しようとした。それはつまり、格差が正当化されて構造化される仕組みの歴史だ」(結論より、925頁)。「本書で分析した経験に基づき、資本主義と私有財産を超克し、参加型社会主義と社会連邦主義に基づく公正な社会を確立することは可能だと、私は確信している」(同、926頁)。「それらが実に複雑だからこそ、あらゆる市民の過去の歴史と体験、さらに理性に基づいた広範で集合的な熟議だけが、問題解決に向けた進歩をもたらせる。結局のところ、本書の目的はたった一つしかない。市民が経済と歴史の知識を再び我が物にできるようにすることだ」(同、931頁)。

★1000頁を超えるA5判の大冊が税別6,300円というのは、版元さんの勇気ある挑戦で、本書にかける並々ならぬ意気込みを感じさせます。電子書籍版は12月配信開始予定とのこと。

★『ヨーガと瞑想の心理学』は、ユングがチューリヒのスイス連邦工科大学(ETH)で1933年から1941年にかけて行った一般聴衆向けの一連の講義の記録シリーズ「ETH〔エーテーハー〕レクチャー」の第6巻(1938~1940年)。既刊書には第1巻(1933~1934年)の『近代心理学の歴史』(創元社、2020年8月)があります。

★帯文によれば本書は「1938年から1940年にかけて行われた、東洋のスピリチュアリティに関するユングの講義の記録。ユングは、本講義をアクティブ・イマジネーションという概念からはじめ、東洋の瞑想の行にその対応物を求めて比較検討していった。『黄金の華の秘密への注釈』と『クンダリニー・ヨーガの心理学』にも比肩する重要書」。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。『黄金の華の秘密』(湯浅泰雄/定方昭夫訳、人文書院、1980年;新装版、2018年)と『クンダリニー・ヨーガの心理学』(老松克博訳、2004年;復刊、2022年)には訳書があります。

★『テトラビブロス』は、発売から1年以上経過して最近偶然発見。あやうく見逃すところでした。古代アレクサンドリアの天文学者プトレマイオス(Κλαύδιος Πτολεμαῖος, c83-c168)の占星術書を「ミジガン大学のギリシャ語教授だったロビンズ(Frank Egleston Robbins, 1884-1963)が1940年に発行したギリシャ語の本文に英訳を併載した版から訳出した」(まえがきより)もの。「できるだけロビンズの文章に即して訳すことを心がけた」(あとがきより)とあるので、英訳からの重訳であると見てよいかと思われます。巻頭にはロビンズによる「序文」の抄訳が収められ、巻末には訳者による「テトラビブロス概要」「占星術に登場する主な天文学的事項」が付されています。『テトラビブロス』は別名がギリシア語で『アポテレマスティカ』、ラテン語では『クァドリパルティトゥム』。この種の訳書は品切になるとたいてい途方もない古書価がつくので、お早めの購入をお薦めします。

★訳者の加藤賢一 (かとう・けんいち, 1951-)さんは元岡山理科大学教授、ご専門は恒星物理学です。あとがきによれば「理論と実践、つまりアルマゲストとテトラビブロスが一体となり、当時はそれで学問として完結していた」とお書きになっています。訳出に際しては2種の英訳、アシュマンド版(1820年刊)とウィルソン版(1828年刊)を参考にされたとのこと。なお『アルマゲスト』(藪内清訳、恒星社厚生閣、1958年;復刻版、1993年)には訳書があります。

★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

母性の科学――ママになると脳や性格がすごく変わるわけ』アビゲイル・タッカー(著)、 西田未緒子(訳)、インターシフト(発行)、合同出版(発売)、2023年9月、本体2,600円、46判並製408頁、ISBN978-4-7726-9580-0
精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門』岩倉拓/関真粧美/山口貴史/山崎孝明(著)、東畑開人(特別寄稿)、金剛出版、2023年9月、本体3,400円、A5判並製256頁、ISBN978-4-7724-1986-4
ふつうの相談』東畑開人(著)、金剛出版、2023年8月、本体2,200円、4-6判上製200頁、ISBN978-4-7724-1983-3
臨床心理学 増刊第15号 新しいジェンダースタディーズ――転換期を読み解く』大嶋栄子/信田さよ子(編)、金剛出版、2023年8月、本体2,400円、B5判並製200頁、ISBN978-4-7724-1984-0

★『母性の科学』は、米国の著述家アビゲイル・タッカー(Abigail Tucker)の著書『Mom Genes: Inside the New Science of Our Ancient Maternal Instinct』(Gallery Books, 2021)の訳書。米国で高く評価された前著『猫はこうして地球を征服した――人の脳からインターネット、生態系まで』(西田未緒子訳、インターシフト、2017年;原著『The Lion in the Living Room: How House Cats Tamed Us and Took Over the World』 Simon & Schuster, 2016)に続く第2作です。目次詳細と巻末解説は書名のリンク先でご覧いただけます。

★「本書は全米ベストセラーの前著『猫はこうして地球を征服した』にも増して、深い愛情とクールな科学の目線が絶妙に溶け合った快作だ。子育ての奮闘、転々と変わる環境、さまざまな不安や喜び……みずからの体験(まさに最高で最悪な)とともに、領域を超えた最新の研究成果によって母性の謎を解き明かしていく壮大な展開は著者タッカーならではの面白さだ」(解説より)。

★金剛出版さんの新刊より3点。『精神分析的サポーティブセラピー(POST)入門』は、「精神分析期限の支持的心理療法(Psychoanalysis Originated Supportive Therapy: POST)」の理論的基盤と実践を、2つの事例とその解説を通じて紹介するガイドブック。『ふつうの相談』は、臨床心理学者の東畑開人(とうはた・かいと, 1983-)さんによる論考。帯文に曰く「日々の友人関係からサイコセラピーの治療関係まで、「つながり」をめぐる根源的思索」。『あたらしいジェンダースタディーズ』は隔月刊誌『臨床心理学』の増刊号。目次詳細は誌名のリンク先をご覧ください。充実した誌面に惹かれます。


# by urag | 2023-09-10 15:49 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2023年 09月 03日

注目新刊:ブルーノ・ラトゥール『ガイアに向き合う』新評論、ほか

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ガイアに向き合う――新気候体制を生きるための八つのレクチャー』ブルーノ・ラトゥール(著)、川村久美子(訳)、新評論、2023年8月、本体5,400円、A5判上製496頁、ISBN978-4-7948-1242-1

★『ガイアに向き合う』は、フランスの科学人類学者ブルーノ・ラトゥール((Bruno Latour, 1947-2022)の著書『Face à Gaïa : Huit conférences sur le Nouveau Régime Climatique』(La Découverte, 2015)に著者自身による修正が施された英語版『Facing Gaia: Eight Lectures on the New Climatic Regime』(Polity Press, 2017)の全訳。新評論さんでのラトゥールの訳書は本書で3冊目。いずれも今回の訳者河村さんの翻訳で、2008年の『虚構の「近代」――科学人類学は警告する』、2019年の『地球に降り立つ――新気候体制を生き抜くための政治』に続くものです。今年は7月に『パストゥールあるいは微生物の戦争と平和、ならびに「非還元」』(荒金直人訳、以文社)が出たばかりですので、厚い訳書が2か月連続で出たことになります。

★訳者あとがきによれば本書は「ラトゥールが2023年2月にギフォード講義〔スコットランド・エディンバラ大学、全6回〕を担当したことをきっかけに最終的にまとめられた理論書」。著者自身は序文でこう書いています。「講義の後で講義原稿に手を入れ、増補し、挙句、頭から書き直した。それが本書の土台になっている」(12頁)。「本書ではガイアを、地球への回帰の機会を私たちに提供するものとして描く。回帰に成功すれば科学、政治、宗教のそれぞれについて必要な、適切な性質を提供できるだろう。最終的には、科学、政治、宗教の従来の仕事に対し、より控えめな、より地球に寄り添った新定義を与えることになる」(15頁)。

★さらにラトゥールはこう書きます。「本書のレクチャーは二つで一組の構成になっている。最初の二つのレクチャー〔第一、第二〕は、「エージェンシー」(「行為能力」の意味で使う)の考え方を扱う。エージェンシーは、これまで別々の学問領域だったものの間に交流を生じさせる不可欠の概念である。続く二つのレクチャー〔第三、第四〕では、本書の主役を登場させる。ガイア、そして人新世である。また第五、第六のレクチャーでは、地球を占有するための戦いを生き抜こうとする人々について、そして彼らが自らを発見していく時代について定義する。最後の二つのレクチャー〔第七、第八〕では、この戦いに巻き込まれたテリトリーの地政学的課題について探究する」(15頁)。

★主要目次を以下に転記しておきます。

序文
第一レクチャー 自然(概念)の不安定性について
第二レクチャー 自然を(脱)アニメート化しない方法
第三レクチャー ガイア、(とうとう世俗的となった)自然の形
第四レクチャー 人新世と惑星グローブ(のイメージ)の破壊
第五レクチャー あらゆる(自然の)人民をいかに招集するか
第六レクチャー 「時の終末」を終わらせる(終わらせない)方法
第七レクチャー 戦争と平和の間の(自然の)国家
第八レクチャー 戦争状態にある(自然の)テリトリーを統治する方法
訳者あとがき――ブルーノ・ラトゥールが歩んだ道
参考文献一覧
事項索引/人名索引

★kawamurasan本書のは訳者あとがきでこう述べています。「今近代人が苦境に立っているとすれば、それは角の物質主義が原因ではなく、置き場を誤った超越の、過剰投与が原因だとラトゥールは断ずる(本書306頁)。だからこそ、本書が残した読者へのメッセージは「世界への私たちの帰属を再物質化せよ」(本書334頁)ということだったのである。私たちは地上世界に生きる本来のテレストリアルな人民として「ガイアに向き合う」しかないし、「テレストリアルな地球に降り立つ」しかないのである」(456頁)。ラトゥール自身は本書の末尾で次のように記しています。「私たちは、ガイアの背に掛かる重荷を軽減することに合意すべきだろう。ガイアこそが、私たちを背負って時の浅瀬を渡ってくれる存在であるのだから」(442頁)。

★続いて、まもなく発売となる、ちくま学芸文庫の9月新刊5点を列記します。

『増補改訂 境界の美術史――「美術」形成史ノート』北澤憲昭(著)、ちくま学芸文庫、2023年9月、本体1,700円、文庫判576頁、ISBN978-4-480-51198-0
『新編 民藝四十年』柳宗悦(著)、ちくま学芸文庫、2023年9月、本体1,900円、文庫判752頁、ISBN978-4-480-51205-5
『テクノコードの誕生――コミュニケーション学序説』ヴィレム・フルッサー(著)、村上淳一(訳)、ちくま学芸文庫、2023年9月、本体1,500円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51206-2
『中国の城郭都市――殷周から明清まで』愛宕元(著)、ちくま学芸文庫、2023年9月、本体1,200円、文庫判288頁、ISBN978-4-480-51208-6
『初等整数論』遠山啓(著)、ちくま学芸文庫、2023年9月、本体1,400円、文庫判416頁、ISBN978-4-480-51207-9

★『増補改訂 境界の美術史』は、美術史家の北澤憲昭(きたざわ・のりあき, 1951-)さんの著書『境界の美術史』(ブリュッケ、2000年;新装版2005年)に大幅な加筆修正を施し再構成したもの。帯文に曰く「『眼の神殿』〔ちくま学芸文庫、2020年〕と対をなす画期的論集」と。「国家と美術」「性と国家」「美術の境界――ジャンルの形成」「制度から主体へ」の4部構成。文庫版あとがきと、大阪大学大学院准教授の中嶋泉さんによる解説が付されています。

★『新編 民藝四十年』は、美術評論家の柳宗悦(やなぎ・むねよし, 1889-1961)さんの著書『民藝四十年』(宝文館、1958年)に17本の論考を増補し、著者自身による訂正指示を反映させて再構成したもの。巻頭に学芸文庫編集部による「『新編 民藝四十年』刊行にあたって」、巻末には著者自身による「四十年の回想――『民藝四十年』を読んで」と、松井健さんによる解説「民藝の発見から美の宗教へ」が置かれています。柳さん監修による同文庫の『民藝図鑑』(全3巻、2023年)と併せて揃えたい1冊です。

★『テクノコードの誕生』は、チェコ生まれでブラジルなどで活躍したメディア哲学者ヴィレム・フルッサー(Vilém Flusser, 1920-1991)さんの著書『テクノコードの誕生』(東京大学出版会、1997年)の文庫化。原著はドイツ語のフルッサー著作集第4巻『コミュニケーション学』(Kommunikologie, Bollmann, 1996)所収の「Umbruch der menschlichen Besiehungen?」です。直訳すると「人間関係の転換?」。訳者の村上淳一(むらかみ・じゅんいち, 1933-2017)さんはお亡くなりになっているため、訳文の改訂についての情報は特記されていません。巻末には東京大学名誉教授の石田英敬さんによる文庫版解説「メディアの世紀を生きた哲学者」が付されています。フルッサーの訳書が文庫化されるのは今回が初めてです。

★『中国の城郭都市』は、中国史家の愛宕元(おたぎ・はじめ, 1943-2012)さんが中公新書の1冊として1991年に上梓された同名著書の文庫化。巻末特記によれば「文庫化に際して、一部図版を改めた」とのこと。巻末解説は駒澤大学准教授の角道亮介さんによる「中国考古学の怖さとおもしろさ」。曰く「本書は、中国における城郭都市の出現と展開を、新石器時代から清代に至るまでの大きな時間軸で俯瞰的に論じたものである。〔…〕本書のように、数千年にわたる都市の発展を一人の研究者が丹念に考察した著作を寡聞にして知らない」と。

★『初等整数論』は、Math&Scienceシリーズの最新刊。数学者の遠山啓(とおやま・ひらく, 1909-1979)さんの同名著書(日本評論社、1972年』)の文庫化です。もともとは『数学セミナー』誌で連載されたもの(1969年7月号~1970年12月号)。巻末特記によれば「文庫化にあたり、「数学教育の2つの柱」(「数学教室」1978年8月号)を増補し、本分に若干の修正を施した」とのことです。巻末の文庫版解説は、数学者の黒川信重さんがお寄せになっておられます。曰く「〔本書は〕予備知識を何も仮定せずに、誰でも楽しめる内容になっている。〔…〕あえて触れると、読者が「現代初等整数論」を目指すなら、ぜひとも適宜「ゼータ関数論入門」も自分で補充して欲しい」。ゼータ関数論入門については具体的な書目を挙げておられませんが、黒川さんによる関連書には『ゼータへの招待』(共著、日本評論社、2018年)や『零点問題集――ゼータ入門』(現代数学社、2019年)、『ゼータ進化論――究極の行列式表示を求めて』(現代数学社、2021年)などがあります。

★最後に、藤原書店さんの8月新刊3点を列記します。

グリーンランド――人文社会科学から照らす極北の島』高橋美野梨(編)、井上光子/小澤実/ウルリック・プラム・ガド/須藤孝也/高橋美野梨/中丸禎子/本多俊和(スチュアート・ヘンリ)/イーリャ・ムスリン/ソアン・ルド(著)、藤原書店、2023年8月、本体3,600円、四六判上製408頁、ISBN978-4-86578-395-7
金時鐘コレクション(11)歴史の証言者として――「記憶せよ、和合せよ」ほか 講演集2』金時鐘(著)、姜信子(解説)、細見和之(解題)、藤原書店、2023年8月、本体4,200円、四六変型判上製376頁+口絵2頁、ISBN978-4-86578-365-0
世界子守唄紀行――子守唄の原像をたずねて』鵜野祐介(著)、藤原書店、2023年8月、本体1,800円、A5変型判並製168頁、ISBN978-4-86578-394-0

★『グリーンランド』は、帯文に曰く「「東と西」、「自然と人間」の混淆する極北の島を多角的に描いた、初の論集」。9名に執筆者による10篇の論考を収録。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。巻末には関連年表(紀元前3000頃~2023年)、主要人名・組織名索引、地名索引が配されています。編者の高橋美野梨(たかはし・みのり, 1982-)さんは北海学園大学准教授。ご専門は国際関係学,デンマーク・グリーンランドを中心とした北極政治、とのことです。

★『金時鐘コレクション(11)歴史の証言者として』は、全12巻の第8回配本。「「在日」を生きる」「文学論」「歴史の証言者として」の3部構成で15編を収録。目次詳細は書名のリンク先でご覧いただけます。巻末に金さん自身による「あとがき」、姜信子さんによる解説「新たな「産土」の詩のために」、細見和之さんによる解題「歴史の証言者として 講演集Ⅱ」が付されています。投げ込みの「月報8」では、愛沢革さん「多面体の凹凸鏡を据えつける」、鎌田慧さん「「大勢になだれていかず」」、季村敏夫さん「「拳くらいつようないと」」、趙博さん「詩人と私」の4篇を収載。

★『世界子守唄紀行』は、世界各地の子守唄、19か国28編を楽譜と図版を付して紹介しています。日本子守唄協会の季刊誌『ららばい通信』(旧『ららばい』)での30回にわたる連載に加筆修正したもの。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。著者の鵜野祐介(うの・ゆうすけ, 1961-)さんは立命館大学文学部教授。ご専門は伝承児童文学の教育人類学的研究とのことです。


# by urag | 2023-09-03 19:01 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2023年 08月 29日

月曜社9月末取次搬入予定新刊:森山大道『写真よさようなら 普及版』

2023年09月29日取次搬入予定 *写真/芸術

写真よさようなら 普及版
森山大道=写真
月曜社 本体価格4,500円 B5判変型[天地257mm×左右182mm 背幅25㎜ 重量800g]並製316頁、ISBN:978-4-86503-174-4 C0072

写真集史上の永遠の問題作にしてロングセラー。1972年に写真評論社より刊行された『写真よさようなら』を底本とし、2019年に月曜社より刊行された『森山大道写真集成(3) 写真よさようなら』における構成をもとに、装丁を新たにし判型をコンパクトにした普及版。中平卓馬との対談全文掲載。収録写真145点。「写真というものを、果ての果てまで連れて行って無化したかった」(森山大道)というそのラディカリズムは、刊行後50年以上を経てなお、その衝撃力を失っていない。 造本設計:町口覚

森山大道(もりやま・だいどう)1938年生。月曜社での近年の出版物に、『森山大道写真集成』(全5巻、2018~2021年)、『絶対平面都市』(鈴木一誌との共著、2016年)、『犬と網タイツ』(2015年)、『Nへの手紙』(2021年)、『挑発関係=中平卓馬×森山大道』(神奈川県立美術館葉山展覧会図録、2023年)がある。


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# by urag | 2023-08-29 11:11 | 近刊情報 | Comments(0)