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2026年 12月 31日
2026年05月15日取次搬入発売:表象文化論学会『表象20:表象文化論の二〇年』本体2,200円。 ◆新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません) 2026年04月21日発売:松村久美写真集『この先の島じまへ――1969-1980 沖縄』本体4,300円。 2026年04月08日発売:W・H・ハドスン『水晶の時代』本体3,800円。叢書エクリチュールの冒険、第27回配本。 2026年03月18日発売:杉田俊介『無能力批評 増補完全版』本体3,400円。 2026年02月16日発売:堀真悟『祈りのアナーキー ―ーシモーヌ・ヴェイユと解放の神学』本体3,200円。2026年01月05日発売:『丹生谷貴志コレクションⅢ』本体4,300円。 2025年12月01日発売:『丹生谷貴志コレクションⅡ』本体4,300円。 2025年12月01日発売:『丹生谷貴志コレクションⅠ』本体4,500円。 2025年11月25日発売:東京藝術大学未来創造継承センター『Creative Archive vol.02』本体1,500円。 2025年11月21日発売:甲斐扶佐義写真集『新版 地図のない京都』本体3,000円。 2025年11月06日発売:大竹伸朗展公式図録『網膜』本体4,500円。 2025年10月29日発売:髙山花子『世界のかなしみ――『苦海浄土』全三部作試解』本体2,600円。 2025年10月08日発売:ヴェルナー・ハーマッハー『ベンヤミン読解』本体4,500円。シリーズ・古典転生、第32回配本(本巻31)。 2025年09月18日発売:阿部晴政編『ドゥルーズ革命』本体3,200円。 2025年08月12日発売:ジル・ドゥルーズ『尽くされた』本体2,400円。叢書・エクリチュールの冒険、第26回配本。 2025年07月09日発売:E・P・トムスン『ウィリアム・モリスーーロマン派から革命家へ』本体6,800円。 2025年07月03日発売:河野靖好『谷川雁の黙示録風革命論』本体3,600円。 2025年06月13日発売:東京芸術大学未来創造継承センター編『アート×リサーチ×アーカイヴ――調査するアートと創造的人文学』本体2,400円。 ◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々) ◎重版出来: ◆出版=書店業界情報:リンクまとめ ◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信」 ◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン」 ◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞 ◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍 ※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 ※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。 #
by urag
| 2026-12-31 23:59
| ご挨拶
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Comments(21)
2026年 05月 10日
★最近出会いがあった新刊を列記します。 『Noy's Magical Sounds(ノイズ・マジカル・サウンズ)』caffeine house(著)、誠光社、2026年4月、本体2,000円、四六判並製328頁(コデックス装縦開き)、ISBN978-4-9911149-8-4 『シラー戯曲傑作選 群盗 戯曲と悲劇』フリードリヒ・シラー(著)、本田博之(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2026年4月、本体5,400円、四六変型判上製512頁、ISBN978-4-86488-345-0 『絓秀実セレクション1 増補新版 花田清輝 砂のペルソナ』絓秀実(著)、書肆子午線、2026年4月、本体3,600円、四六判上製368頁、ISBN978-4-908568-56-5 『声を上げる自由――インドの民主主義と文化と国家について』ラヴィーシュ・クマール(著)、倉田夏樹(訳)、作品社、2026年4月、本体3,200円、四六判並製280頁、ISBN978-4-86793-143-1 https://sakuhinsha.com/politics/31431.html 『現代思想2026年5月号 特集=ニューロダイバーシティ ――脳/神経の多様性をめぐる思想』青土社、2026年4月、本体1,800円、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1496-4 『海の幕末日本――測量・海図・海防』後藤敦史(著)、人文書院、2026年4月、本体3,500円、四六判並製280頁、ISBN978-4-409-52099-4 『増補版 パフォーマンス研究――演劇と文化人類学の出会うところ』リチャード シェクナー(著)、高橋雄一郎(訳)、人文書院、2026年4月、本体5,500円、A5判上製362頁、ISBN978-4-409-10049-3 『第二次世界大戦再考』小関隆/藤原辰史/駒込武/林田敏子/岡田暁生(著)、レクチャー第二次世界大戦を考える:人文書院、2026年4月、本体2,000円、四六判並製148頁、ISBN978-4-409-51124-4 『「宝子」の叫び――胎児性水俣病を生きる』加藤タケ子/小林繁/野澤淳史(編著)、藤原書店、2026年4月、本体3,000円、A5判並製320頁、ISBN978-4-86578-494-7 『「教室」をひらく〈普及版〉――新・教育原論』中内敏夫(著)、藤原書店、2026年4月、本体5,500円、A5判並製520頁、ISBN978-4-86578-495-4 『「アジア」はどう語られてきたか〈増補新版〉――近代日本のオリエンタリズム』子安宣邦(著)、藤原書店、2026年4月、本体3,000円、四六判並製312頁、ISBN978-4-86578-496-1 ★『Noy's Magical Sounds(ノイズ・マジカル・サウンズ)』は、イラストレーターのcaffeine houseさんが誠光社ウェブサイト編集室で連載されていたコミック作品に大幅に加筆を施し一冊にまとめたもの。帯文に曰く「気の合うメンバーを集め、演奏会場を探し、レコードをプレスしてフライヤーを印刷、それらを知り合いの店に委託し、流通させる。何をするにもプラットフォームに規定、搾取されてしまう昨今、ささやかな自己表現やスモール・コミュニティをフィジカルな次元へと取り戻せ! ディティールへの偏愛に満ちた描き込みに目を見張る、異色のグラフィック・ノベル」。幻想的で温かい、とても素敵な作品です。造本設計は太田明日香さん、あとがき「I bring you to underground」は小田晶房(Hand Saw Press Kyoto)さんによるもの。 ★『群盗 戯曲と悲劇』は、〈ルリユール叢書〉第59回配本、78冊目。帯文に訳者解説の文言を補いつつ引いておくと、本書は「若きシラーが一夜にして名声を確立した衝撃のデビュー作。自由への渇望を描く「疾風怒濤」の最高傑作が蘇る。1781年に匿名で自費出版された『群盗 戯曲』と、熱狂を生んだ82年のハンマイム劇場用改稿版『群盗 悲劇』の両版を収録。本邦初訳の「初版序文」も加え、天才劇作家の原点に迫る決定版」。同叢書での「シラー戯曲傑作選」の第4弾です。既刊は、2021年10月『ヴィルヘルム・テル』本田博之訳、2023年8月『メアリー・ステュアート』津﨑正行訳、2023年8月『ドン・カルロス/スペインの王子』青木敦訳。岩波文庫版『群盗』(久保栄訳、1958年)が品切の現在、タイミングの良い新訳の登場です。 ★『絓秀実セレクション1』は、文芸批評家の絓秀実(すが・ひでみ, 1949-)さんの単独著で現在入手困難となっている書目を復刊するセレクションの第一弾。巻末特記によれば1982年に講談社より刊行された『花田清輝 砂のペルソナ』に、『群像』誌2022年3月号掲載の論考「花田清輝の「党」」を増補して再刊するもの。著者による「増補新版あとがき」、文芸評論家の長濱一眞(ながはま・かずま, 1983-)さんによる解説、さらに特別付録として著者への長編インタビュー「『花田清輝 砂のペルソナ』の頃」が加わっています。インタビューの聞き手は長濱さんと書肆子午線の春日洋一郎さん。なお、「増補新版あとがき」によれば「旧版における明確な誤植・誤記、若干の言い回しを訂正した以外は、旧版のママである。付論についても、大幅な修正はないが、若干の加筆訂正はほどこしてある」とのことです。 ★『声を上げる自由』は、インドのジャーナリスト、ラヴィーシュ・クマール(Ravish Kumar, 1974-)のヒンディー語の著書『話さなければならない』(2019年)の英訳『The Free Voice: On Democracy, Culture and the Nation』(増補改訂版、2024年)の全訳。ヒンディー語原典は適宜参照されています。帯文に曰く「世界最大の民主主義国家の言論に、いま何が起こっているのか――? ラモン・マグサイサイ賞(「アジアのノーベル賞」とも称される賞)を受賞した、インドで最も勇敢なジャーナリストが、現代インド社会を論じる最重要書」。解説「ジャーナリズムを捨てたメディア」は、アジア経済研究所研究員の湊一樹(みなと・かずき, 1979-)さんによるもので、版元さんのnoteで読むことができます。 ★『現代思想2026年5月号』の特集は「ニューロダイバーシティ」。版元紹介文に曰く「当事者運動に端を発し、いまや広く人口に膾炙しつつある「ニューロダイバーシティ(神経多様性)。〔…その〕概念の歴史と意義、現状を様々な角度から総覧する」。広野ゆいさんと村中直人さんによる討議「凸凹な石垣としての社会へ」に始まり、2篇のエッセイと15本の論考が収められています。5月末には6月臨時増刊号「総特集=フェミニズムから問う(仮)」と6月通常号「アラビア哲学」が発売予定です。 ★人文書院の直近の新刊より3点。『海の幕末日本』は「海の攻防をめぐり複雑かつ激しく揺れ動いた政治過程を、おもに大阪湾を舞台に海の視点から描き出し、新たな幕末史像を提示する画期作」(帯文より)。「海は、日本とせかいを「つなげる」。しかし、外国との関係を制限していた江戸時代の日本は、海の彼方から来る船を「防ぐ」必要があった。本書の課題は、この「つなげる」と「防ぐ」という相異なる海の両側面から、幕末日本の国際環境と国内情勢との双方を分析することにある」(序章、14頁)。著者の後藤敦史(ごとう・あつし, 1982-)さんは京都橘大学文学部准教授。近年の著書に『阿部正弘――挙国体制で黒船来航に立ち向かった老中』(戎光祥選書ソレイユ:戎光祥出版、2022年)があります。 ★『増補版 パフォーマンス研究』は、ニューヨーク大学名誉教授で演出家のリチャード シェクナー(Richard Schechner, 1934-)が、1982年から1993年にかけて発表してきた論考5本「行動の再現」「演技者(パフォーマー)と観客の変化と変容」「宇宙(コスモス)を闊歩する――ラームナガルのラームリーラーと移動、信仰、政治、場所」「ワヤン・クリと植民地主義の外縁(マージン)」「儀礼のゆくえ」を日本独自編集でまとめ、著者による「日本語版序文」を添えて1998年に翻訳出版したもの。今般さらに2篇の論考「地球のエンドゲーム――楽観論に固執して」(2019年)と「パフォーマンスの第四世界を目指して」(2022年)を加えて、増補版として再刊されました。「増補版訳者あとがき」では著者の次の言葉が紹介されています。「週末的な状況にあっても私たちがパフォーマンスを止めないのは、タイタニックと共に海の藻屑となる=世の終わりを受容するためではなく、パフォーマンスが人々をエンパワーし、次世代に希望を繋げるからだ」(346頁)。 ★『第二次世界大戦再考』は、シリーズ「レクチャー第二次世界大戦を考える」の第2弾。帯文に曰く「ポスト第二次世界大戦レジームが機能不全を呈する今、あらためて人物に着眼し大戦経験を再考する。人物で見る第二次世界大戦の諸相、総力戦・ジェノサイド・未完の戦争」。藤原辰史「ナチス「飢餓計画」をめぐる人びと」、駒込武「台湾人にとっての戦争経験と戦後経験――植民地支配に翻弄された生と死」、林田敏子「キッチン戦線――第二次世界大戦期イギリスにおける主婦の戦い」、岡田暁生「リヒャルト・シュトラウスってまだ生きていたの?」の4論考を収録。 ★藤原書店の4月新刊は3点。『「宝子」の叫び』は、「胎児性水俣病患者たちの声をまとめた本」(「はじめに」より)。帯文に曰く「母の胎内で有機水銀を浴び“水俣病“患者として生まれてきた人びと。水俣病が「公式確認」された1956年以降も垂れ流され続けた毒により、逃げることのできない被害をこうむり、文明の負の面を一身に背負った彼らは今、60~70代。彼らの「生の声」、そして彼らの生活の場をつくり、寄り添い、支え続けてきた人びとの歩みの全記録。いまだ終わらぬ「水俣事件」を問う」。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。現政権の環境相や官僚が患者に対して不誠実な言動に及んだことがつい最近も報道されたばかり。新刊台で注目を集めるのではないかと想像します。 ★『「教室」をひらく〈普及版〉論』は、一橋大学名誉教授で教育学博士の中内敏夫(なかうち・としお, 1930-2016)さんが著作集第1巻として1998年に上梓された書目の復刊。「中内敏夫の“教育原論”三部作『学力と評価の理論』(国土社、1971年)『教材と教具の理論』(有斐閣ブックス、1978年)『指導過程と学習形態の理論』(明治図書出版、1985年)を再編集し、教育研究の新しいパラダイムとして目標・評価一体論を提起した名著(『中内敏夫著作集』第一巻、藤原書店、1998年)が、今、甦る」(カバーソデ紹介文より)。巻頭に、和光大学名誉教授で教育学者の太田素子(おおた・もとこ, 1948-)さんによる「普及版によせて」が加わっています。太田さんは中内さんについて「本人が亡くなるまで追い求めていたのは、現場の実践家とともにつくり上げてゆく「制作」の技術知としてえの教育学であった」(i頁)と評価しておられます。 ★『「アジア」はどう語られてきたか〈増補新版〉』は、子安宣邦(こやす・のぶくに, 1933-)さんが2003年に上梓した著書の増補新版。「日本の「アジア」認識の歴史を問い直」す(帯文より)もので、巻頭には「増補新版に寄せて」、巻末には特別収録として「「歴史の共有体」としての東アジア――東アジア共同体をめぐって」が加わっています。後者は著者と崔文衡さんとの共著『歴史の共有体としての東アジア――日露戦争と日韓の歴史認識』(藤原書店、2007年)から再録されています。
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by urag
| 2026-05-10 22:01
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2026年 05月 04日
![]() ★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫5月新刊4点を列記します。 『プロパガンダ入門』ネイサン・クリック(著)、渡会圭子(訳)、ちくま学芸文庫、2026年5月、本体1,400円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51378-6 『システムの非線形論理――世界を創造的に組み直す』河本英夫(著)、ちくま学芸文庫、2026年5月、本体1,500円、文庫判448頁、ISBN978-4-480-51358-8 『自由の論理』マイケル・ポランニー(著)、長尾史郎(訳)、ちくま学芸文庫、2026年5月、本体1,400円、文庫判368頁、ISBN978-4-480-51375-5 『古典注釈入門――歴史と技法』鈴木健一(著)、ちくま学芸文庫、2026年5月、本体1,300円、文庫判336頁、ISBN978-4-480-51359-5 ★『プロパガンダ入門』は、文庫オリジナル。米国の修辞学者ネイサン・クリック(Nathan Crick)の著書『The Propaganda: The Basics』(Routledge, 2025)の訳書です。クリックの初訳本です。「人をどう動かすか。出来事の創出、集団への一体化、単純化、感情の喚起……そのメカニズムに迫り、批判的に活用する術を提示する」(帯文より)。「プロパガンダとは何か」「動機の形成」「出来事をつくり出す」「アイデンティティをつくり上げる」「アイデアを単純化する」「激情をかき立てる」「プロパガンダは私たちを救うのか、破滅させるのか」の全7章立て。巻末に読書案内、用語集、原注、参考文献、索引がまとめられ、横路佳幸さんによる解説「現代社会はプロパガンダの夢を見るか」が付されています。 ★クリックはこう述べます。「プロパガンダは基本的に説得の技法なのだ。嘘、ヘイトスピーチ、目に見えない心理操作が存在することは否定できないし、それが一般市民の生活の大きな脅威となりつつあることも事実だ。しかし説得という観点からすると、本書のテーマとなる問題は、それらが存在することではなく、それをどのように魅力的なものにするのか、そしてなぜ聴衆はそうしたメッセージを取り込むのか、である。人は嘘だとわかったあとでも、その嘘を信じ続けることが多い。それは嘘が真実よりも魅力的に感じられるからだ。基本的なプロパガンダの戦術と説得力のある訴えかけを理解できないうちは、プロパガンダに抗うこともそれを改善することもできない」(第1章「プロパガンダとは何か」19~20頁)。現代人必読の書といえるのではないでしょうか。 ★『システムの非線形論理』は、文庫オリジナル。東洋大学名誉教授でシステム論がご専門の河本英夫(かわもと・ひでお, 1953-)さんが2023年10月下旬に東洋大学白山校舎で行った「最終講義」をもとに「多くの内容の加筆訂正を行っ」た(あとがきより)もの。カバー表4紹介文に曰く「システムの歴史を端緒として、ライプニッツ、ドイツ観念論、西田幾多郎、メルロ=ポンティ、構造主義の潜在的な可能性を考察しつつ、世界が多様化する仕組みを浮かび上がらせる。システムについてとりわけ根源的に迫ったのがオートポイエーシスであり、異質な事象の連動=「二重作動」の概念が世界の実相を顕在化させる。言語の向こう側へと踏み込み、変化し続けるものとして哲学の新たなかたちを問うた渾身の試論」。 ★『自由の論理』は、ハンガリー出身の英国の社会科学者マイケル・ポランニー(ポラーニ・ミハーイ, Michael Polanyi, 1891-1976)の著書『The Logic of Liberty: reflections and rejoinders』(University of Chicago Press, 1951; Midway Reprint, 1980)の訳書(ハーベスト社、1988年)の文庫化。「科学コミュニティと同じく社会全体も、個人の信念を保障しつつ異論を調停していくような、「自発的秩序」のシステムを備えた組織となる必要性を、様々なモデルを用いて説明〔…〕。国家による科学・技術のコントロールに危機感が高まる今日、あらためて読まれるべき一冊」(カバー表4紹介文より)。「文庫版への訳者後書き」が加わっています。また、巻末特記によれば「文庫化にあたって明らかな誤りは適宜修正をほどこしている」と。ちくま学芸文庫でのポランニーの著書は『暗黙知の次元』(高橋勇夫訳、2003年)に続く2点目。 ★『古典注釈入門』は、国文学者で学習院大学教授の鈴木健一(すずき・けんいち, 1960-)さんの著書(岩波書店、2014年)の文庫化。「本書は一条兼良、北村季吟、本居宣長といった注釈者や、室町期の『河海抄』から戦後の岩波「古典大系」にいたる注釈書をとりあげ、秘儀から実証、そして科学へという流れの下に注釈の歴史をたどる。さらに本文の確定や典拠の指摘、頭注形式といった具体的な技法にも踏み込んだうえで、将来あるべき姿を展望する」(カバー表4紹介文より)。「文庫版あとがき」が加わっています。曰く「注釈とは時空を超えて古典の読みを受け継いでいくタイムマシーンなのだ」(320頁)。 ★次に光文社古典新訳文庫の新刊と既刊書目から2点4冊を掲げます。 『回想・夢・思索(上)』カール・グスタフ・ユング(著)、アニエラ・ヤッフェ(編)、村本詔司(監訳)、福原美穂子(訳)、光文社古典新訳文庫、2026年4月、本体1,500円、文庫判480頁、ISBN978-4-334-10975-2 『回想・夢・思索(下)』カール・グスタフ・ユング(著)、アニエラ・ヤッフェ(編)、村本詔司(監訳)、福原美穂子(訳)、光文社古典新訳文庫、2026年4月、本体1,800円、A6判608頁、ISBN978-4-334-10976-9 『エウデモス倫理学(上)』アリストテレス(著)、渡辺邦夫/加藤喜市/立花幸司(訳)、光文社古典新訳文庫、2026年2月、本体1,500円、文庫判536頁、ISBN978-4-334-10920-2 『エウデモス倫理学(下)』アリストテレス(著)、渡辺邦夫/加藤喜市/立花幸司(訳)、光文社古典新訳文庫、2026年2月、本体1,400円、文庫判480頁、ISBN978-4-334-10921-9 ★『回想・夢・思索』は、これまで『ユング自伝――思い出・夢・思想』(全2巻、河合隼雄/藤繩昭/出井淑子訳、みすず書房、1972~1973年)として長らく日本でも親しまれてきた、ユングの死後に刊行された重要書の新訳です。正確に言うと、みすず版が英訳版(1961年)からの重訳であることに対して、今回の新訳はドイツ語原典版(1962年)からの初完訳です。みすず版でもドイツ語版は「常に」参照されてはいましたが(『ユング自伝1』訳者あとがき、289頁)、ドイツ語版の全貌は今回の新訳で初めて明らかになります。まさか最初から文庫で読めるようになるとは、と驚くばかりです。 ★「本書の邦訳についていえば、みすず書房から出ている『ユング自伝』と、光文社から今回出すことになった『回想・夢・思索』がそれぞれ底本にしている英語版とドイツ語版には見過ごせない相違がある。そのことが気になっていた監訳者はかつて、ヤッフェの協力を得ながら両版の違いを明らかにした」(下巻解説、502~503頁)。ここで言及されているのは、村本詔司さんの1986年の論考「『ユング自伝』英語版と日本語版の未訳部分」(『花園大学研究紀要』第17号、1~26頁)のことですが、これは国会図書館デジタルコレクションで読むことができます。ありがたいです。 ★参考までに、ユングとフロイトとの決別をもたらすことになったかの有名な、ポルターガイスト事件のくだりを、みすず書房版と光文社古典新訳文庫版で読み比べてみます。 光文社古典新訳文庫版(上巻「5 ジークムント・フロイト」344~345頁): フロイトが自分の理屈を並べたてているのを聞いているうちにだが、私はある奇妙な感覚に襲われた。まるで自分の横隔膜が鉄でできていて、燃えるように熱くなっているような気がしてきたのだ――そしてその瞬間、私たちのすぐ横にあった本棚から、木が裂けるようなすさまじい音が鳴り、私たちは二人ともびっくり仰天した。本棚がこちらに倒れてくるのではないかと思われるほど、まさにそんな風に聞こえたのだ。私はフロイトに、「いまのが、いわゆる触媒作用による外在化現象です。」と、言った。 「なんてこった? これはまさに、生身のナンセンスだ!」と、フロイトは返した。 「いえ、違います。」と、私は反論した。「お間違いですよ、先生。私の言う通りだという証拠に、またすぐさっきのような音が鳴ると予告しておきましょう!」――そう言い終わらないうちに、本棚からまた同じ爆発音が鳴り響いた! どこからあんな確信が生まれたのか、いまだにわからない。だが私には、またメリメリという音が鳴るだろうという確信があった。フロイトはただぎょっとして私を見つめていた。〔後略〕 みすず書房版(第1巻「ジグムント・フロイト」224頁): フロイトがこんなふうにして喋っている間に、私は奇妙な感じを経験した。それはまるで私の横隔膜が鉄でできていて、赤熱状態――照り輝く丸天井――になって来つつあるかのようであった。その瞬間、我々のすぐ右隣りの本棚の中でとても大きな爆音がしたので、二人ともものが我々の上に転がってきはしないかと恐れながら驚いてあわてて立ち上がった。私はフロイトに言った。「まさに、これがいわゆる、媒体による外在化現象の一例です。」「おお」と彼は叫んだ。「あれは全くの戯言〔たわごと〕だ。」「いや、ちがいます」と私は答えた。「先生、あなたはまちがっていらっしゃる。そして私の言うのが正しいことを証明するために、しばらくするともう一度あんな大きな音がすると予言しておきます。」果して、私がそういうが早いか、全く同じ爆音が本箱の中で起こった。 今日に至るまで、私が何が私にこの確信を与えてくれたのか知らないでいる。しかし私は爆音がもう一度するだろうということを疑う余地もなく知っていたのである。フロイトはただ呆気にとられて私を見つめるばかりだった。 ★一部を引きましたが、ここは前後も含めて読んでいただくべき箇所です。ユングはフロイトが超心理学に対して浅薄な「唯物論的偏見」を持っていることに疑問をいだいていました。本棚が鳴ったのはユングの邸宅ではなく、フロイトの住居です。この爆音事件でフロイトはユングへの不信感を強めましたが、ユングもまたフロイトへの距離感を隠せなくなっていきます。ユングが「集合的無意識」の提唱へと進んでいくのはそれから間もなくのことです。そのいきさつが端的に語られている「フロイト」の章は、この回想録においてユングの人生のもっとも決定的な転換点のひとつを感じさせる山場になっているのではないかと感じます。 ★『エウデモス倫理学』は、新訳で初の文庫化。「『ニコマコス倫理学』と並ぶアリストテレスの主著。「美しく、善い人生」を送るための究極の「倫理学」講義。本邦初の“全巻通し”の完全版」(帯文より)。「『エウデモス倫理学』は、第一、二、三、七、八巻の五巻が独自巻で、第四、五、六巻の三巻が『ニコマコス倫理学』とまったく同一内容の「共通巻」です。本書を読み進めるうちにわれわれは、『ニコマコス倫理学』との比較以前に、前半三巻と最終二巻の独自巻を一貫して流れる「主題、主題の究明のための問い、問いへの答え、主題にかんする結論」の太いラインを、この範囲のテキストに内在的に、つまり外部テキストの助けなしに、特定できると思うようになりました」(上巻解説433頁)。「八巻全部がそろった『エウデモス倫理学』をまず出版し、アリストテレス倫理学の比類ない豊かな世界を、多くの読者に味わっていただこうとわれわれは考えました」(上巻訳者まえがき、16頁)。 ★岩波書店版の全集二種では『ニコマコス倫理学』と重複する巻は訳出されていませんでしたが、今回初めて全八巻が通しで読めることになりました。既訳千葉雅也さんの推薦文に曰く「『ニコマコス倫理学』と共通の章を持つが、本書では、「善く、美しく」生きることを「快」とする倫理を、より日常的な考察として語っているように思われる。アリストテレス倫理学のもうひとつの姿」。
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by urag
| 2026-05-04 17:34
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2026年 05月 03日
月曜社新刊案内【2026年5月新刊:人文書1点】 取次搬入:5月15日*人文・現代思想 表象20 特集:表象文化論の20年 表象文化論学会[発行] 月曜社[発売] 本体2,200円 A5判(210x149x18mm)並製276頁 355g ISBN978-4-86503-223-9 C0010 表象文化論学会の設立20年、そして本誌『表象』の創刊20号を記念する特集には、拡大版巻頭言として松浦寿輝、岡田温司、佐藤良明、田中純、門林岳史の歴代会長5名が寄稿。学会という制度、大学という場、そして表象文化論の現在が各人各様に立ち上がる。研究者/大学教員8名による共同討議は、大学教育の現場における具体的なニーズと表象文化論の理念とのあいだで「教育」の方法論を実践的に探る。蓮實重彥の言説をあえて記号論の文脈に置き、表象文化論的アプローチの明確化を試みる入江哲朗の論文を併せて掲載。 目次: ◆特集「表象文化論の20年」 20号記念・拡大版巻頭言 「シンボル形式としての単眼視像――江戸の表象空間・序説」松浦寿輝(初代会長、2006~10年) 「学会20年に思うこと」岡田温司(第2代会長、2010~14年) 「イン・マイ・ライフ」佐藤良明(第3代会長 2014~18年) 「アソシエーションの20年──アジールとしての遊び場〔シュピールラウム〕」田中純(第4代会長、2018~22年) 「学会を再発明する」門林岳史(第5代会長、2022~26年) 論文「蓮實重彥における記号と反記号――表象文化論のメソドロジーに向けて」入江哲朗 共同討議「表象文化論と教育実践」入江哲朗+小澤京子+北村紗衣+関根麻里恵+常石史子+星野太+渡部宏樹+海老根剛(司会・構成) 「表象文化論の20年」ブックガイド ◆論文 「「展覧会危機」の時代の展覧会――「苦難にある女性たち」展をめぐる考察」池田真実子 「瞬時性の回路――クレメント・グリーンバーグにおける美的判断の反復と持続」大澤慶久 「身体、力と形の狭間で――アルトーに対峙するナンシー」柿並良佑 「峯村敏明のポストもの派論再考」金子智太郎 「「自然-文化」における生/死――ロバート・ラウシェンバーグ《グローイング・ペインティング》の成立・展示・破壊をめぐって」柴山陽生 「観相学者アルフレート・デーブリーン――写真・人種理論・未来小説における「類型」と「個」の相克」相馬尚之 「アナル・リング――修復的転回と否定性」長尾優希 ◆書評 「ラテンアメリカ的孤独を語るアネクドタ――相田豊『愛と孤独のフォルクローレ:ボリビア音楽家と生の人類学』書評」細馬宏通 「ロシア現代アートの起源と進化――鴻野わか菜『生きのびるためのアート:現代ロシア美術』書評」江村公 「悲劇から読み解くラカン思想の転換点――ファルスから〈女の享楽〉へ ――桑原旅人『汝の「欲望」に従って行為せよ:ジャック・ラカンの倫理学』書評」大池惣太郎 「物言わぬ資料から立ちのぼる「サイレント」の賑わい――柴田康太郎『映画館に鳴り響いた音:戦前東京の映画館と音文化の近代』書評」福田貴成 「あなたを忘れない 女たちによる「家」の解体――徐玉『女を見る女のまなざし:日本文芸映画における女同士の絆』書評」竹田恵子 「マルクス主義批評の系譜を写真史から掘り起こす――田尻歩『ドキュメンタリー写真を発明し直す:リアリズムと集団制作の系譜』書評」洞ヶ瀬真人 「メルロ=ポンティ再覚醒――田村正資『問いが世界をつくりだす:メルロ=ポンティ 曖昧な世界の存在論』書評」渡名喜庸哲 「イギリス戦時下のラジオ文化とモダニズム文学――永嶋友『第二次世界大戦期イギリスのラジオと二つの戦争文化:BBC、プロパガンダ、モダニズム』書評」上田学 「自らの加害性という困難――藤城孝輔『村上シネマ:村上春樹と映画アダプテーション』書評」角尾宣信 「「流用」によって刻まれる作家性――藤原征生『芥川也寸志とその時代:戦後日本映画産業と音楽家たち』書評」原塁 「映画の「音」をめぐる新たな一冊――正清健介『小津映画の音:物音・言葉・音楽』書評」宮本明子 #
by urag
| 2026-05-03 15:52
| 表象文化論学会
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2026年 05月 03日
◎新刊(2025年3月~5月): 2025年05月23日発売:江澤健一郎『思想家 岡本太郎』本体2,600円。 2025年04月28日発売:『表象19:記憶の支持体――アンゼルム・キーファー』本体2,000円。 2025年04月18日発売:『HAPAX III-1:革命』本体2,200円。 2025年04月18日発売:秋元康隆『意志の倫理学 第2版』本体2,100円、シリーズ〈哲学への扉〉第11回配本。 2025年03月04日発売:クリストフ・フリードリヒ・ハインレ『ハインレ詩文集』本体4,500円。 ◎重版出来: 2025年05月23日:森山大道『写真よさようなら 普及版』2刷(2023年9月初刷) #
by urag
| 2026-05-03 15:38
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