2026年 12月 31日
2025年07月09日取次搬入発売予定:E・P・トムスン『ウィリアム・モリスーーロマン派から革命家へ』本体6,800円。 2025年07月03日取次搬入発売予定:河野靖好『谷川雁の黙示録風革命論』本体3,600円。 ◆新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません) 2025年06月13日発売:東京芸術大学未来創造継承センター編『アート×リサーチ×アーカイヴ――調査するアートと創造的人文学』本体2,400円。 2025年05月23日発売:江澤健一郎『思想家 岡本太郎』本体2,600円。 2025年04月28日発売:『表象19:記憶の支持体――アンゼルム・キーファー』本体2,000円。 2025年04月18日発売:『HAPAX III-1:革命』本体2,200円。 2025年04月18日発売:秋元康隆『意志の倫理学 第2版』本体2,100円、シリーズ〈哲学への扉〉第11回配本。 2025年03月04日発売:クリストフ・フリードリヒ・ハインレ『ハインレ詩文集』本体4,500円。 2025年02月14日発売:井口時男『井口時男批評集成』本体4,500円。 2024年12月12日発売:豊田市美術館編『しないでおく、こと。――芸術と生のアナキズム』本体2,600円。 2024年12月09日発売:本橋哲也『鈴木忠志の演劇――騙る身体と利賀の思想』本体2,400円。 2024年12月09日発売:長崎浩『他力という力――叛乱論終章』本体3,200円。 2024年11月27日発売:H・G・ウェルズ『モダン・ユートピア』本体3,400円、叢書・エクリチュールの冒険、第25回配本。 2024年10月30日発売:ゲルハルト・クリューガー『カントの批判における哲学と道徳』本体5,400円、シリーズ・古典転生第31回配本(本巻30)。 2024年10月24日発売:中山幸雄『暴動の時代に生きて――山谷 '68-'86』本体3,200円。 2024年09月18日発売:『多様体6(第1期終刊号)特集:展開/分岐』本体2,600円。 2024年09月02日発売:ジュディス・バトラー『改訳決定版 権力の心的な生』本体3,200円。 2024年07月25日発売:東京藝術大学未来創造継承センター『Creative Archive vol.1』本体1,500円。 ◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々) ◎重版出来: 2024年06月19日:小田原のどか・山本浩貴編『この国の芸術』2刷(2023年11月初刷) 2024年07月24日:アンドレアス・マルム『パイプライン爆破法』2刷(2021年12月初刷) 2024年08月01日:ウィリアム・モリス『小さな芸術』2刷(2022年11月初刷) 2025年02月20日:中山幸雄『暴動の時代に生きて』2刷(2024年10月初刷) 2025年02月21日:久保明教『ブルーノ・ラトゥールの取説』6刷(2019年8月初刷) 2025年02月26日:アンヌ・ソヴァニャルグ『ドゥルーズと芸術』2刷(2024年5月初刷) 2025年05月23日:森山大道『写真よさようなら 普及版』2刷(2023年9月初刷) ◆出版=書店業界情報:リンクまとめ ◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信」 ◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン」 ◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞 ◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍 ※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 ※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。 #
by urag
| 2026-12-31 23:59
| ご挨拶
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2025年 07月 15日
2025年08月12日取次搬入予定 人文・フランス哲学 尽くされたーー[附]「尽くされた」という単語/姿勢 ジル・ドゥルーズ[著] 高桑和巳[訳] 月曜社 本体2,400円 46判並製112頁(188x110x10mm) 125g ISBN978-4-86503-209-3 ドゥルーズ最晩年(1992年)の重要論考『L’Épuisé』の新訳。あらゆる疲労を超えたその先で、可能なことすべてと手を切った状態をめぐる考察が、ベケットの戯曲を分析しつつ展開される。「イメージは可能事のすべてを蓄積するが、それは可能事のすべてを爆破するためである」。現実の廃棄へと向かう、網羅と枯渇、摩耗と消散が問われる。イタリア語版に付されたジネーヴラ・ボンピアーニによる注釈「「尽くされた」という単語」とジョルジョ・アガンベンによる論考「姿勢」を併録。叢書・エクリチュールの冒険、第26回配本。 「この論考の題となっている「尽くされた(épuisé)」という単語には並外れた含蓄がある。この論考は、この単語のもつすべての意味、その語彙のすべての延長、その意味の一族(余すところなき、網羅的な、へとへとにさせる、汲み尽くされた、消耗させる、精根尽きた、絶えた、消散した、解消された……)を調べ、ベケットのテレビ用小品の、彼の晩年の全作品の、いや、もしかすると端的に彼の全作品の謎を解く暗号を捉えようとするものである」(ジネーヴラ・ボンピアーニ)。 「「尽くされた」でジル・ドゥルーズはレヴィナスを名指してはいないが、レヴィナスが意固地に描写している現象学を超えたその先に行こうとしている。ジネーヴラ・ボンピアーニの正確な直観にしたがえば、ドゥルーズはそれを、「思考に身体をもたらすというより、身体に思考をもたらし、思考によって思考の姿勢自体に刻印される一つの身体を露出させる」よう努めることでおこなっている。つまり、レヴィナスがやっているように存在の教説たる存在論を姿勢の教説へと解消するだけでなく、存在論に存在と手を切らせる姿勢、その可能性を最末に至るまで尽くす姿勢を探し求めることによってである」(ジョルジョ・アガンベン)。 原書:Gilles Deleuze « L’Épuisé », Minuit, 1992, in Samuel Beckett : Quad et autres pièces pour la télévision, suivi de Gilles Deleuze, L'Épuisé. 初訳:『消尽したもの』白水社、1994年。※白水社版は原書の体裁に倣い、ドゥルーズの論文(宇野邦一訳)と、サミュエル・ベケットのテレビ放送用台本4作「クワッド」「幽霊トリオ」「…雲のように…」「夜と夢」(いずれも高橋康也訳)をカップリングしています。その後、4作品は新訳で『新訳ベケット戯曲全集(3)フィルム――映画・ラジオ・テレビ作品集』(白水社、2022年)に収録されました。月曜社版『尽くされた』では、ベケットの4作品は併録せず、イタリア語版『尽くされた』(ノッテテンポ、2015年)に収められたジネーヴラ・ボンピアーニによる注釈「「尽くされた」という単語」とジョルジョ・アガンベンによる論考「姿勢」を訳出して併載しました。 目次: 尽くされた|ジル・ドゥルーズ 「尽くされた」という単語|ジネーヴラ・ボンピアーニ 姿勢|ジョルジョ・アガンベン 翻訳者の註記|高桑和巳 ジル・ドゥルーズ(Gilles Deleuze, 1925-1995)フランスの哲学者。代表作に『差異と反復』『意味の論理学』、フェリックス・ガタリの共著に『アンチ・オイディプス』『千のプラトー』『哲学とは何か』)などがある(いずれも河出文庫)。2025年は生誕百周年。 ジネーヴラ・ボンピアーニ(Ginevra Bompiani, 1939–)イタリアの編集者、作家、翻訳者。ボンピアーニやノッテテンポなどの出版社で活躍。著書に『古い空、新しい大地』、『サラ・マルコムの肖像』、『リンゴZ』、『神の残り半分』など(すべて未訳)。 ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben, 1942–)イタリアの哲学者。主著に『ホモ・サケル』(以文社)、『アウシュヴィッツの残りのもの』(月曜社)などを含む「ホモ・サケル」シリーズ(全九冊)がある。回想録に『書斎の自画像』(月曜社)。 高桑和巳(たかくわ・かずみ, 1972-)慶應義塾大学教授。著書に『アガンベンの名を借りて』(青弓社)、『哲学で抵抗する』(集英社新書)など。アガンベン、フーコー、デリダなど、訳書を多数手がける。 #
by urag
| 2025-07-15 13:52
| 近刊情報
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2025年 07月 06日
★まもなく発売となる、ちくま学芸文庫の7月新刊4点を列記します。 『マンダラの密教儀礼』森雅秀(著)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,500円、文庫判338頁、ISBN978-4-480-51311-3 『敗戦日記』渡辺一夫/串田孫一/二宮敬(編)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,400円、文庫判352頁、ISBN978-4-480-51309-0 『京劇――「政治の国」の俳優群像』加藤徹(著)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,600円、文庫判464頁、ISBN978-4-480-51308-3 『人類はどこから来て、どこへ行くのか』エドワード・O・ウィルソン(著)、斉藤隆央(訳)、ちくま学芸文庫、2025年7月、本体1,700円、文庫判448頁、ISBN978-4-480-51306-9 ★『マンダラの密教儀礼』は、1997年に春秋社より刊行された単行本の文庫化。「インド・チベット密教や日本密教の世界観が凝縮されたマンダラ。〔…〕どのように制作され、どのように用いられるのか。数々のマンダラ作品やサンスクリット文献を軸に、密教儀礼の核心に迫る。仏教図像学の第一人者による貴重な書」(表4紹介文より)。新たに加わった巻末の「文庫版自著解説 視点の発見」によれば「〔文庫化にあたり〕訂正は誤字や単純な間違いなどにとどめた」とのことです。著者の森雅秀(もり・まさひで, 1962-)さんは現在、金沢大学人間社会研究域教授。ご専門は仏教学、比較文化学。近年の著書に『マンダラの新しい見方』(法蔵館、2024年5月)があります。 ★『敗戦日記』は、仏文学者で評論家の渡辺一夫(わたなべ・かずお, 1901-1975)さんの没後に発見された「敗戦日記」(1945年3月1日~8月18日)、「続敗戦日記」(1945年8月18日~11月22日)に、関連テクスト15編と、作家で哲学者の串田孫一(くしだ・まごいち, 1915-2005)さん宛の書簡を添えて、1995年に博文館深謝より刊行された『渡辺一夫 敗戦日記』の文庫化。巻末特記によれば「文庫化にあたっては、改題の上、口絵写真を増やし、串田孫一「戦争との戦い『渡辺一夫 敗戦日記』」を収録した。明らかな誤りは適宜正した」とのことです。追加された串田さんの随筆は丸善のPR誌『學鐙』1996年2月号が初出。巻末にはさらに宮下志朗さんによる「解説に代えて」が加わっています。 ★『京劇』は、2002年に中央公論新社の中公叢書の1冊として刊行され、サントリー学芸賞を受賞した書籍の文庫化。「本書は清朝期に京劇が成立し、日清・日中戦争や国共内戦、文化大革命を経て現代に至るまでの歩みを、主要な俳優たちの波乱の人生と共に活写する。〔…〕漢詩・漢文とは異なる「小伝統」としての京劇から歴史を照射することで、民衆の感覚に根差した生き生きとした近代中国像が浮き彫りになる」(カバー表4紹介文より)。著者の加藤徹(かとう・とおる, 1963-)さんは現在、明治大学教授。近年の著書に『漢文で知る中国 名言が教える人生の知恵』(NHK出版、2021年)があります。 ★『人類はどこから来て、どこへ行くのか』は、2013年に化学同人より刊行された訳書の文庫化。原著は『The Social Conquest of Earth』(Liveright, 2012)です。「私たち人間と他の動物たちとを隔てるものとはいったい何か。〔…〕人間を人間たらしめた決定的な要因とは果たして何だったのか。「真社会性」に注目し、専門とする生物学のみならず、考古学、歴史学、人類学、進化心理学など多分野の成果を結集させた果敢な試み」(カバー表4紹介文より)。巻末には巌佐庸さんによる解説「社会性の進化――アリを参考にヒトを理解する」が加わっています。エドワード・O・ウィルソン(Edward O. Wilson, 1929-2021)は米国の昆虫学者、生物学者。ちくま学芸文庫ではウィルソンの著書をこれまでに2点刊行しています。『人間の本性について』(岸由二訳、1997年)、『バイオフィリア――人間と生物の絆』(狩野秀之訳、2008年)。いずれも現在は品切。 ★最近出会いのあった新刊を列記します。 『目に見えない世界の旅――ペルーのシャーマンが語る聖なる植物の癒やし』ハチュマク/デビッド・L・キャロル(著)、北村京子(訳)、作品社、2025年6月、本体3,600円、四六判並製392頁、ISBN978-4-86793-096-0 『ゲーム作家 小島秀夫論――エスピオナージ・オペラ』藤田直哉(著)、作品社、2025年6月、本体2,700円、四六判並製352頁、ISBN978-4-86793-099-1 『文藝 2025年秋季号』河出書房新社、2025年7月、本体1,400円、A5判並製520頁、雑誌07821-08 ★『目に見えない世界の旅』は、スペイン系ペルー人のシャーマン、ハチュマク(Hachumak:本名Jorge Flores Araoz)と、米国の著述家で脚本家のデビッド・L・キャロル(David L. Carroll)の共著『Journeying through the Invisible: The Craft of Healing With, and Beyond, Sacred Plants, as Told by a Peruvian Medicine Man』(Harper Wave, 2022)の全訳。「世界中から大きな注目を集めるアヤワスカなど神聖な植物と儀式、シャーマンの世界観、シャーマニズムがもてはやされることの問題……ペルーのシャーマン自らが語る、霊的世界の実態」(帯文より)。「自らがシャーマンになるまでの道のりを明かし、植物薬の儀式がどのように展開されるのか、儀式中の身体・精神に何が起こるのかなどが詳細に語られる」(カバーソデ紹介文より)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★『ゲーム作家 小島秀夫論』は、巻頭の「はじめに」に曰く「全世界で六〇〇〇万本以上の売り上げを誇る『メタルギア』シリーズの生みの親であり、『DEATH STRANDING』などで芸術選奨文部科学大臣賞をゲームクリエイターとして史上二人目に受賞したゲームデザイナー・小島秀夫と、彼の作品についてである。特に、小島が監督・脚本・ゲームデザインなどを本格的に手掛けた、いわゆる「A KOJIMA HIDEO GAME」やそれに準じる作品を中心に論じていく」(9頁)。「ゲームデザイン、システム、主題、物語などのゲーム作品についての分析と、小島秀夫という人間そのものの作家論を往還するのが、本書の方法論である」(10頁)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★『文藝 2025年秋季号』は、特集「戦争、物語る傷跡」。鼎談1本(小林エリカ×永井玲衣×奈倉有里「「語りたい、でも忘れたい」――終わらない記憶と対話」)、創作5篇(村田沙耶香、柴崎友香、町屋良平、芦沢央、高橋地由)、エッセイ5篇(宮地尚子・清水加奈子、五所純子、太田ステファニー歓人、マユンキキ、大前粟生)、読書ノート1篇(齋藤美衣「傷跡をまなざすための読書」)、論考1本(信田さよ子「被害と傷、そしてトラウマ」)。連載7本のうち、新規が2本(いとうせいこう「難民移民モノローグ」、岸政彦「犬は人生――犬は飛行機」)で、最終回が1本(朝吹真理子「ゆめ」)。
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by urag
| 2025-07-06 02:33
| ENCOUNTER(本のコンシェルジュ)
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2025年 06月 30日
★まず、まもなく発売となる新刊2点をご紹介します。 『版元番外地――〈共和国〉樹立篇』下平尾直(著)、コトニ社、2025年7月、本体2,800円、四六判上製288頁、ISBN978-4-910108-22-3 『耐え難いもの――監獄情報グループ資料集1』フィリップ・アルティエール(編)、佐藤嘉幸/箱田徹/上尾真道(訳)、人文書院、2025年6月、本体5,000円、四六判並製388頁、ISBN978-4-409-03138-4 ★『版元番外地』は、創業10周年を昨春迎えたひとり出版社「共和国」の代表、下平尾直(しもひらお・なおし, 1968-)さんの「生きざまさらしの記録」(帯文より)。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。読む人によってどこに面白さを感じるかは違ってくるかと思いますが、第七章「死にかけて」の「京阪出町柳駅の階段の長さを前進で測定した話」は、挿話に挿話を重ねつつの脱走と脱線が圧巻。下平尾さんの真骨頂と言えます。しかし、続く「馬鹿につける薬の話」にとてもいいことが書いてあって、私見を述べれば233頁冒頭に隔字体で書きつけてある二字こそが本書のご本尊です。ひとり出版社を目指される方は第Ⅰ部「東久留米に出版社をつくるまで」を熟読されるのだと思いますが、それを読み終わっていったん寝るのではなく、かならず最後の「こんなことしている場合ではないのだが――あとがきにかえて」までお読みになることをお薦めします。なおこのあとがきの一部は目次同様に書名のリンク先でお読みいただけます。 ★『耐え難いもの』は、「監獄情報グループ資料集」の第1弾。版元紹介文に曰く「フーコー、ドゥルーズらが参加した社会運動の貴重な資料を初邦訳」。原書は『Intolérable』(présenté par Philippe Artières, Éditions Verticales, 2013)です。監獄情報グループ(GIP : Groupe d'information sur les prisons)が1971年から1973年にかけて出版した冊子「耐え難いもの」の第1号から第4号までと増刊号「最近の反乱で監獄から発出された権利要求書」を収録し、年表と、編者アルティエール(Philippe Artières, 1968-)による「はじめに」とあとがき「遺贈される道具」、共訳者の佐藤嘉幸さんによる解説「監獄における「耐え難いもの」」が収録されています。佐藤さんの解説にある注によれば「監獄情報グループ資料集」の第2弾として『ある闘争のアーカイヴ 1970-1921年』が近刊と予告されています。これは『Le Groupe d'information sur les prisons : archives d'une lutte 1970-1972』(documents réunis et présentés par Philippe Artières, Laurent Quéro et Michelle Zancarini-Fournel ; postface de Daniel Defert, Editions de l'IMEC; 2003』の翻訳出版かと思います。 ★次に、最近出会いのあった新刊を列記します。 『綱渡り』クロード・シモン(著)、芳川泰久(訳)、ルリユール叢書:幻戯書房、2025年6月、本体2,900円、四六変形判上製272頁、ISBN978-4-86488-325-2 『文学と戦争――ヨーロッパの歴史と文化をめぐる亡命者の思索(1938-1947)』エーリッヒ・アウエルバッハ(著)、クリスティアン・リヴォレッティ(編)、高田康成/竹峰義和(訳)、叢書・ウニベルシタス:法政大学出版局、本体3,600円、四六判上製316頁、ISBN978-4-588-01171-9 『現代思想2025年7月号 特集=バイスタンダーとは誰か――当事者/非当事者を問いなおす』青土社、2025年6月、本体1,800円、A5判並製230頁、ISBN978-4-7917-1484-1 ★『綱渡り』は、ルリユール叢書の第47回配本(67冊目)。フランスの作家クロード・シモン(Claude Simon, 1913–2005)の2作目の小説『La Corde raide』(Éditions du Sagittaire, 1947)の全訳。帯文に曰く「作家自身の自画像を描いた〈私小説〉を想起させる自伝的小説にして、文学の前衛運動をいち早く先取りしていた、世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品。本邦初訳」。同叢書における芳川泰久さんによるシモンの訳書は2023年12月の『ガリバー』に続く2点目です。芳川さんは訳者解説で次のように紹介されています。「本書には「等身大」の若いシモンの姿がふんだんに刻まれている。ときおり、取り返しのつかない深い悲しみの感情も刻まれ、しかも戦争という極限を見た人間の乾いたリアルな視線と思考にも貫かれていて、ここには、この小説家のほかのどんな作品よりも個人的な記憶や場面が刻まれている」。なお、本書の刊行を祈念して以下のトークイベントが予定されています。 ◎芳川泰久×堀千晶ライブトーク『ヌーヴォー・ロマン どこから入る? だれから入る?』 日時:2025年7月19日(土)19:00-20:30 場所:BACON Books & cafe(横浜市中区万代町1−1−1、関東学院大学関内キャンパスB1F) 料金:1,500円税込(1ドリンク+おつまみ付) チケット申し込みはこちら ★ルリユール叢書の7月新刊は2点、ピエール・ジャン・ジューヴ『カトリーヌ・クラシャの冒険』小川美登里・飯塚陽子訳、ガブリエル・マルセル『渇き』古川正樹訳、です。これまた素敵なラインナップですね。 ★『文学と戦争』は、ドイツの文献学者エーリッヒ・アウエルバッハ(Erich Auerbach, 1892-1957)がイスタンブール亡命時代に執筆した12本の論考を1冊にまとめたもの。そのうち9本はトルコ語で書かれていた講演原稿や論文です。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。原書は『Kultur als Politik: Aufsätze aus dem Exil zur Geschichte und Zukunft Europas 1938–1947』(Hrsg. von Christian Rivoletti; aus dem Türkischen von Christoph Neumann, Konstanz University Press, 2014)。日本語版ではオリジナルの年譜や略伝が付されています。帯文に曰く「アウエルバッハは『ミメーシス』を亡命の地、イスタンブールで構想・執筆するが、そこでの仕事はこれまでほとんど知られていなかった。〔…〕発見された〔…〕一連の論考は、とりわけ危機の時代において、なおも解決されていない問いの数々にたいする答えを提供してくれるだろう」。 ★『現代思想2025年7月号』は、特集「バイスタンダーとは誰か――当事者/非当事者を問いなおす」。版元紹介文に曰く「昨今、にわかに注目を集めるバイスタンダーという存在。いじめや差別の現場に立ち会ってしまったーー「当事者」ならざるーー第三者には、いかなる(不)介入が可能なのか。本特集では、そもそも当事者/非当事者が誰を指し示しているのかという問いにも立ち返りつつ、支援やアライの倫理、傍観者効果の問題など、多様な視座から「傍らに立つ者」のあり方やその葛藤について検討する」。石原真衣さんと西井開さんの討議「「ずるさ」からはじまるバイスタンダー考」に始まり、16本の論考が収められています。新連載として、木村草太さんによる新連載「家族と憲法」が始まっています。第一回は「憲法と家族法の関係」。次号8月号の特集は「「昭和100年」から問う」とのこと。 ★続いて、作品社さんの6月新刊より2点。 『父の四千冊――アイスランドのアーティストによる回想』ラグナル・ヘルギ・オウラフソン(著)、小林玲子(訳)、作品社、2027年6月、本体2,600円、46判並製250頁、ISBN978-4-86793-097-7 『幸福のための消費学』間々田孝夫(著)、作品社、2025年6月、本体2,700円、46判並製304頁、ISBN978-4-86793-100-4 ★『父の四千冊』は、アイスランドの作家、出版人、ヴィジュアル・アーティストのラグナル・ヘルギ・オウラフソン(Ragnar Helgi Ólafsson, 1971-)の著書『Bókasafn föður míns』(2018年)の英訳『My Father's Library』(Larissa Kyser訳、2023年)からの重訳。帯文に曰く「父が他界して八年、遺された四千冊の蔵書〔…〕と向き合う日々を綴った、書物と喪失をめぐるメモワール」。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★「「グリュスカ」という言葉。〔…〕アイスランド独特の言葉で〔…〕適当な定義は氷仏辞典にも、氷英辞典にも見つからない。アイスランド語の辞典〔Icelandic Dictionary, 2005〕には次のような記載がある。『Grúska:動詞。確たる目的なしに学問的な探求の時間を過ごし、些末な点を情熱と厳密さをもって調べること』。〔…〕アイスランド式に「グリュスカ」するなら、もっぱら亀並みにのろいペースで書物や資料を紐解き、じわじわと目を通していかなければならない。やがてその日々、あるいはその年月は、倦まず探求するグリュスカびとの頭の中でゆっくりと宝探しの地図に変わるだろう。〔…〕僕にはどうしても、近いうちに(明日かもしれない)、このアイスランド語は失われた言葉の辞典にしか記載されなくなるような気がしてならない」(164~165頁)。 ★『幸福のための消費学』は、「インスタ映え、Z世代、オタク、コト消費、レトロ、ミニマリズムなど、注目すべき現象に鋭いメスを入れつつ、これからの消費を考える」(帯文より)。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。著者の間々田孝夫(ままだ・たかお, 1952-)さんは立教大学名誉教授で社会学者。著書に『消費社会論』(有斐閣、2000年)などがあります。 ★さらに、藤原書店さんの6月新刊を列記します。 『「自由と民主」の世界史―――失われた近代を求めて(Ⅰ)原初・ギリシャ・ローマからヨーロッパの自己形成まで』河東哲夫(著)、藤原書店、2025年6月、本体3,600円、四六判並製496頁、ISBN978-4-86578-459-6 『「自由と民主」の世界史―――失われた近代を求めて(Ⅱ)産業革命と近代の構築、そしてその先』河東哲夫(著)、藤原書店、2025年6月、本体3,600円、四六判並製480頁、ISBN978-4-86578-460-2 『後藤新平の「衛生の道」とは何か』春山明哲(著)、藤原書店、2025年6月、本体3,600円、四六判上製264頁+口絵2頁、ISBN978-4-86578-464-0 ★『「自由と民主」の世界史』全2巻は、「「近代」が猛烈な“逆回転”を始めた今こそ問い直す。「別の近代」の可能性はありえたのか? 元外交官が描く“生きた”世界史」(帯文より)。目次は書名のリンク先でご確認ください。著者の河東哲夫(かわとう・あきお, 1947-)さんは元駐ウズベキスタン大使で著述家。近年の著書に『日本がウクライナになる日』(CCCメディアハウス、2022年)、『ロシアの興亡』(MdN新書、2022年)などがあります。 ★『後藤新平の「衛生の道」とは何か』は、「若き日の著書『普通生理衛生学』『国家衛生原理』『衛生制度論』を三部作として読み解き、ドイツ留学時代に得た国際的知見、日清戦争後の奇跡的な検疫事業などを辿りつつ、後藤の「衛生(=生を衛る)」の思想と実践の道程を初めて描き尽くした画期的労作」(帯文より)。目次は書名のリンク先でご確認ください。著者の春山明哲(はるやま・めいてつ, 1946-)さんは、元国立国会図書館専門調査員で日本台湾学会名誉理事長。ご専門は日本台湾関係史。著書に『近代日本と台湾――霧社事件・植民地統治政策の研究』(藤原書店、2008年)があります。 ★最後に人文書院さんの5~6月の新刊を列記します。 『人文学のための計量分析入門――歴史を数量化する』クレール・ルメルシエ/クレール・ザルク(著)、長野壮一(訳)、人文書院、2025年6月、本体3,000円、四六判並製276頁、ISBN978-4-409-51107-7 『ネオリベラル・フェミニズムの誕生』キャサリン・ロッテンバーグ(著)、河野真太郎(訳)、人文書院、2025年6月、本体2,800円、四六判並製270頁、ISBN978-4-409-24173-8 『映画が恋したフロイト』岡田温司(著)、人文書院、2025年6月、本体2,600円、四六判上製246頁、ISBN978-4-409-34066-0 『共産党の戦後八〇年――「大衆的前衛党」の矛盾を問う』富田武(著)、2025年5月、本体4,500円、四六判上製300頁、ISBN978-4-409-52095-6 『英雄の旅――ジョーゼフ・キャンベルの世界』ジョーゼフ・キャンベル(著)、斎藤伸治/斎藤珠代(訳)、人文書院、2025年5月、本体4,500円、四六判上製396頁、ISBN978-4-409-14071-0 『性理論のための三論文(一九〇五年版)』ジークムント・フロイト(著)、光末紀子(訳)、石﨑美侑(解題)、松本卓也(解説)、人文書院、2025年5月、本体3,500円、四六判上製300頁、ISBN978-4-409-34065-3 ★『人文学のための計量分析入門』は、フランス国立科学研究センター研究主任を務める二氏、クレール・ルメルシエ(Claire Lemercier, 1976-)とクレール・ザルク(Claire Zalc, 1971-)による共著書『Méthodes quantitatives pour l'historien』(La Découverte, 2008)の英訳書『Quantitative Methods in the Humanities: An Introduction』(translated by Arthur Goldhammer, University of Virginia Press, 2019)からの全訳。米国を中心とした最新の研究動向を盛り込んだ英語版からの訳出を著者自身が望んだとのことです。「本書は、歴史学の実践における数量化に際して利用できる様々な用法について読者に親しんでもらうことを目的としており、その際、数量的手法の威力と限界の双方を紹介する。これにより、読者が数字を妄信することも畏怖することもなく、数量的研究を批判的に受容するための一助となることを志向している」(序論、7頁)。目次は書名のリンク先でご覧ください。 ★『ネオリベラル・フェミニズムの誕生』は、ロンドン大学ゴールドスミス校教授のキャサリン・ロッテンバーグ(Catherine Rottenberg)の著書『The Rise of Neoliberal Feminism』(Oxford University Press 2018)の全訳。帯文に曰く「新自由主義的なフェミニズム〔…〕果たしてそれはフェミニズムと呼べるのか? Facebook(現Meta)の元COOシェリル・サンドバーグやイヴァンカ・トランプらのエッセイ、マミー・ブログやドラマ等を分析し、若い女性たちに示される「幸せな」人生の選択肢とその隘路を問う。アメリカ・フェミニズムのいまを映し出す待望の邦訳」。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。ロッテンバーグの共著書の既訳書には、アンドレアス・ハジダキス、ジェイミー・ハキーム、ジョー・リトラー、リン・シーガルらと結成したグループ「ケア・コレクティヴ」名義の著書『ケア宣言──相互依存の政治へ』(大月書店、2021年)があります。 ★『映画が恋したフロイト』は、「ドッペルゲンガー、パラノイア、シェルショック…映画のなかに登場する精神分析的なモチーフやテーマに注目し、それらが分かち合ってきたパラレルな運命に照準をあわせその多彩な局面を考察する」(帯文より)。目次は書名のリンク先でご確認いただけます。著者の岡田温司(おかだ・あつし, 1954-)さんは京都大学名誉教授で京都精華大学教授。近年の著書に『人新世と芸術』(筑摩選書、2024年)や『アートの潜勢力』(共和国、2024年)などがあります。 ★『共産党の戦後八〇年』は、「スターリニズム研究の第一人者が「党史の書き換え」を切り口に戦後共産党の理論と運動の軌跡を辿り、革命観と組織観の変遷を考察する」(帯文より)。本書が言う「共産党」とは日本共産党のこと。目次と正誤表を書名のリンク先で確認できます。著者の富田武(とみた・たけし, 1945-)さんは成蹊大学名誉教授。近年の著書に『ゾルゲ工作と日独ソ関係――資料で読む第二次世界大戦前史』(山川出版社、2024年)などがあります。 ★『英雄の旅』は、米国の神話学者ジョーゼフ・キャンベル(Joseph Campbell, 1904-1987)の「生涯と思想の発展を扱った伝記映画を書籍化した」(訳者あとがき)、『The Hero's Journey: Joseph Campbell on His Life and Work』(edited by Phil Cousineau』(HarperCollins, 1990; New World Library, 2003)の全訳。映画のエグゼクティブ・プロデューサーのスチュアート・ブラウン、人類学者アンヘレス・アリアン、合気道家エドワード・ドリーセン、占星術師リチャード・ターナス、本書編者のフィル・クジノー、精神科医スタニスラフ・グロフなど多数の聞き手が参加して、キャンベルの肉声による証言を引き出しています。 ★『性理論のための三論文(一九〇五年版)』は、フロイトの論文3本「性の逸脱」「小児のセクシュアリティ」「思春期における改変」をまとめた『Drei Abhandlungen zur Sexualtheorie』の1905年刊初版の初訳。「1905年に発表された本書〔では〕対象と無関係に働く性欲動のアナーキーな姿が予見されていた。しかし、その後の度重なる加筆により、性器を中心に欲動が統合され、当初のラディカルさは影をひそめる。本翻訳はその初版に基づく、はじめての試みである」(帯文より)。付録として、各版序文と第二版以降の追加箇所が収録されています。石﨑美侑さんによる解題「『性理論のための三論文』再訪――逸脱するものとしてのセクシュアリティ」と、松本卓也さんによる解説が付されています。 ★なお初版以外の改訂版『三論文』で現在も入手可能な既訳には以下のものがあります。 渡邉俊之訳「性理論のための三篇」、『フロイト全集(6)1901-06年 症例「ドーラ」性理論三篇』所収、オンデマンド版、岩波書店、2024年。 懸田克躬・吉村博次訳「性欲論三篇」、『新装版 フロイト著作集第5巻』所収、人文書院、2023年。 懸田克躬訳「性に関する三つの論文」、『フロイド選集(5)性欲論』所収、オンデマンド版、日本教文社、2014年。 ![]() #
by urag
| 2025-06-30 01:11
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2025年 06月 22日
★まもなく発売となる、法政大学出版局の「叢書・ウニベルシタス」の新刊2点を列記します。 『フランスのニーチェ――19世紀末から現在まで』ジャック・ル・リデ(著)、岸正樹(訳)、叢書・ウニベルシタス:法政大学出版局、2025年6月、本体5,500円、四六判上製470頁、ISBN978-4-588-01187-0 『ベルリン散歩』フランツ・ヘッセル(著)、岡本和子(訳)、叢書・ウニベルシタス:法政大学出版局、2025年6月、本体4,400円、四六判上製422頁、ISBN978-4-588-01181-8 ★『フランスのニーチェ』は、フランスのゲルマニストで歴史家のジャック・ル・リデ(Jacques Le Rider, 1954-)の著書『Nietzsche en France, de la fin du XIXe siècle au temps présent』(PUF, 1999)の全訳。帯文に曰く「影響と受容の100年史。ニーチェ自身によるボードレールほかフランス思想芸術の摂取から始まり、その遺産のフランスへの翻訳紹介、イデオロギー的曲解の数奇なプロセス、左右の文学者らによる毀誉褒貶の歴史、全集編纂の動向、実存哲学やポスト構造主義による再活性化にいたるまで、独仏間の「文化の移転」の実態を公平な視点で記述した第一級の受容史研究」。目次は書名のリンク先でご覧いただけます。20世紀フランス思想に、ニーチェ、マルクス、フロイトが影響を及ぼしたことは周知の通りですが、本書はさらにその解像度を上げてくれます。なお著者の既訳書には『中欧論──帝国からEUへ』(田口晃/板橋拓己訳、文庫クセジュ、2004年、品切;著者名表記はジャック・ル リデー)があります。 ★『ベルリン散歩』は、ドイツ出身の作家フランツ・ヘッセル(Franz Hessel, 1880-1941)の著書『Spazieren in Berlin』(Verlag Dr. Hans Epstein, 1929)の全訳。付録として、ヴァルター・ベンヤミンによる1929年の書評「遊歩者の帰還」(Die Wiederkehr des Flaneurs)の翻訳も併載されています。帯文に曰く「ベンヤミンの街歩きの師であり、プルースト『失われた時を求めて』を共訳したことでも知られるユダヤ人作家、フランツ・ヘッセルの主著を初邦訳。「遊歩とは、通りを読むという一種の読書である」。1920年代のベルリンを歩き、街路の細部に目を向け、そこに宿る歴史を「読む」ことで浮かび上がる都市のイメージ」。 ★「照明広告版の慌ただしく動く広告帯は、今やベルリンのファサードを平らに均一化しながら征服しつつある。そうした広告帯に対して、この巨大なニュルンベルクはあとどれくらい持ちこらえられるのか、わたしには分からない。いずれにしてもこの建物は、パリのパサージュをお手本に建てられた同時代の「皇帝回廊〔カイザーガレリー〕」同様、今でもすでに歴史的なものだ。わたしは、黴っぽいかすかな恐怖や出口が見つからないという夢の不安を抱かずに、この「皇帝回廊」に足を踏み入れることはできない」(「フリードリヒ街」328~329頁)。 ★続いて最近出会いのあった新刊既刊を2点列記します。 『内在的多様性批判――ポストモダン人類学から存在論的転回へ』久保明教(著)、作品社、2025年6月、本体2,700円、四六判上製328頁、ISBN978-4-86793-098-4 『近代出版史探索外伝Ⅱ』小田光雄(著)、論創社、2025年4月、本体5,000円、四六判上製488頁、ISBN978-4-8460-2394-2 ★『内在的多様性批判』は、一橋大学教授の久保明教(くぼ・あきのり, 1978-)さんの最新著。帯文に曰く「「みんなちがって、みんないい」とは、いかなることでありうるのか? 最注目の俊英による人類学的考察」。國分功一郎さんと松村圭一郎さんによる推薦文と主要目次は書名のリンク先でご確認いただけます。「本書の目的は、二〇世紀後半から現在までの文化・社会人類学の軌跡、とりわけポストモダン人類学から存在論的転回にいたる主な人類学者の議論を、多様性についての内在的な批判として提示することである」(17頁)。「この世界は多様であり、多様であるべきだ。〔…〕本書で探求されるのは、私たちが生きるこのバラバラな世界をバラバラなままつなぐための基礎となりうる思考の道筋であり、その困難とその可能性である」(19頁)。 ★『近代出版史探索外伝Ⅱ』は、出版社「パピルス」代表で出版史研究家の小田光雄(おだ・みつお, 1951-2024)さんの遺著。ご遺族の小田啓子さんによる「あとがきにかえて」の言葉を借りると「本書は論創社のホームページの連載コラム「本を読む」100編に、未発表原稿10編と「解説」3編を加えて単行本化したものです。小田光雄の著書ではめずらしく、「本を読む」のタイトルどおり、少年期の農村の駄菓子屋兼貸本屋、町の商店街の貸本屋や書店、隣市の古本屋、そして中高生時代の学校図書室での読書体験などがふんだんに織りこまれています」と。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。 ★なお、小田さんの著書や共著、編著、訳書など合計78点と、パピルスの刊行物30点の書影を添えた小冊子「小田光雄を偲ぶ著作一覧」を論創社さんが製作されています。2025年6月21日で催された「偲ぶ会」で配布された非売品ですが、若干数が残っているとのことですので、入手されたい方は論創社さんへお問い合わせ下さい。 ★最後に、注目の新書既刊書を2点。 『オカルト武将・細川政元――室町を戦国に変えた「ポスト応仁の乱の覇者」』古野貢(著)、朝日新書、2025年5月、本体870円、新書判216頁、ISBN978-4-02-295314-8 『ケアと編集』白石正明(著)、岩波新書、2025年4月、本体960円、新書判254頁、ISBN978-4-00-432063-0 ★『オカルト武将・細川政元』は、秀逸な帯文に惹かれて購入。曰く「戦国時代を始動させた革命児は、すべてが規格外。管領4度辞職。天狗の魔法、狐の妖術、空中飛行の修行に没頭。戦中に放浪の旅、延暦寺焼き討ち、将軍追放のクーデター。破天荒な武将の人生をもとに、「応仁の乱」以降の乱世を読み解く」と。著者の古野貢(ふるの・みつぎ, 1968-)さんは武庫川女子大学教授。ご専門は日本中世史です。書名のリンク先では、巻頭の「はじめに」と第1章「「ポスト応仁の乱の覇者」はいかに時代を変えたのか」の冒頭を立ち読みできます。 ★『ケアと編集』は、医学書院の名シリーズ「ケアをひらく」の担当編集者としてよく知られている白石正明(しらいし・まさあき, 1958-)さんの初めての単独著。帯文に曰く「人を変えたり直したりしないための「編集術」大公開」と。「いかにして編集の先生に出会ったか」「ズレて離れて外へ」「ケアは現在に奉仕する」「ケアが発見する」「「受け」の豊かさに向けて」「弱い編集――ケアの本ができるまで」の全6章。白石さんの仕事は医学書専門書版元のコンテンツの幅を広げ、人文書売場でも確固たる売上を上げるに至った特筆すべき成果を生みました。その内実を知るための編集者必読の書です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。 #
by urag
| 2025-06-22 21:09
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