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URGT-B(ウラゲツブログ)

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2024年 12月 31日

月曜社最新情報まとめ(ブログの最新エントリーは当記事の次からです)

◆公式ウェブサイト・オリジナルコンテンツ
◎2011年6月28日~:ルソー「化学教程」翻訳プロジェクト。

◆近刊
2024年3月21日取次搬入予定:『平岡正明著作集』上下巻、各3,200円。

◆最新刊(書籍の発売日は、取次への搬入日であり、書店店頭発売日ではありません)
2024年02月16日発売:シャルロット・デルボー『無益な知識――アウシュヴィッツとその後2』本体2,400円。
2024年02月06日発売:アルベール・カミュ『結婚』本体2,000円、叢書・エクリチュールの冒険第24回配本。
2024年01月18日発売:ジュディス・バトラー『新版 自分自身を説明すること』本体2,700円。
2024年01月09日発売:近藤和敬『人類史の哲学』本体3,800円。
2023年12月01日発売:アンジェロ・ポリツィアーノ『シルウァエ』本体5,400円、シリーズ・古典転生第29回配本(本巻28)。
2023年12月01日発売:石川義正『存在論的中絶』本体2,600円。
2023年11月17日発売:小田原のどか/山本浩貴編『この国(近代日本)の芸術――〈日本美術史〉を脱帝国主義化する』本体3,600円。
2023年11月09日発売:渡辺由利子『ふたりの世界の重なるところ――ジネヴラとジョルジョと友人たち』本体2,200円、シリーズ〈哲学への扉〉第10回配本。
2023年10月25日発売:茅辺かのう『茅辺かのう集成――階級を選びなおす』本体4,800円。
2023年10月02日発売:森山大道『写真よさようなら 普及版』本体4,500円。
2023年09月22日発売:ダヴィッド・ラプジャード『壊れゆく世界の哲学――フィリップ・K・ディック論』本体2,800円。
 三田格氏書評(「ele-king」2023年11月20日、Book Revies欄)
 藤田直哉氏書評「まだ絶望ではない――現在を生きるためのヒントを、フィリップ・K・ディックの著作の中に探る」(「図書新聞」2023年12月2日3617号8面)
2023年08月04日発売:『表象17:映像と時間――ホー・ツーニェンをめぐって』本体2,000円。
2023年08月01日発売:アレクサンドル・ヴヴェヂェンスキィ『ヴヴェヂェンスキィ全集』本体6,400円。
2023年07月28日発売:ジャン-リュック・ナンシー『否認された共同体』本体3,600円、叢書・エクリチュールの冒険第23回配本。
2023年07月28日発売:ステファヌ・マラルメ『散文詩篇』本体2,000円、叢書・エクリチュールの冒険第22回配本。
2023年06月12日発売:『多様体5:記憶/未来』本体3,000円。
2023年06月12日発売:ベンジャミン・ピケット『ヘンリー・カウ――世界とは問題である』本体6,000円。
2023年06月08日発売:フリードリヒ・シラー『シラー詩集』第1部:本体4000円、第2部:本体4,400円。
2023年05月24日発売:小泉義之『弔い・生殖・病いの哲学――小泉義之前期哲学集成』本体3,600円。
 渡名喜庸哲氏書評「生命の哲学を紡ぎ直す――多様な側面をもつ生の諸相について」(「週刊読書人」2023年8月25日号)
2023年04月26日発売:『巡礼――髙﨑紗弥香写真集』本体6,000円。
2023年04月04日発売:長崎浩『中江兆民と自由民権運動』本体2,800円。
2023年03月31日発売:大谷能生『歌というフィクション』本体3,800円。
2023年02月15日発売:鈴木創士編『アルトー横断――不可能な身体』本体3,200円。
2023年02月02日発売:ジョルジョ・アガンベン『バートルビー 新装版』本体2,600円。

◆販売情報(重版・品切・サイン本、等々)
◎重版出来:
 2023年03月20日:星野太『崇高の修辞学』4刷(2017年初刷)
 2023年03月29日:ジョルジョ・アガンベン『創造とアナーキー』2刷(2022年5月初刷)

◆出版=書店業界情報:リンクまとめ
◎業界紙系:「新文化 ニュースフラッシュ」「文化通信
◎一般紙系:Yahoo!ニュース「出版業界」「電子書籍」「アマゾン
◎話題系:フレッシュアイニュース「出版不況」「電子書籍」「書店経営
◎新刊書店系:日書連 全国書店新聞
◎雑談&裏話:5ちゃんねる 一般書籍

※このブログの最新記事は当エントリーより下段をご覧ください。 
※月曜社について一般的につぶやかれている様子はYahoo!リアルタイム検索からもご覧になれます。月曜社が公式に発信しているものではありませんので、未確定・未確認情報が含まれていることにご注意下さい。ちなみに月曜社はtwitterのアカウントを取得する予定はありませんが、当ブログ関連のアカウントはあります。


# by urag | 2024-12-31 23:59 | ご挨拶 | Comments(21)
2024年 03月 17日

注目新刊および既刊:水声社2023年8月~2024年2月

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★まず、最近出会いのあった新刊と既刊を列記します。

哲学ってなんだろう?――哲学の基本がわかる図鑑』DK社(編)、山本貴光(訳)、東京書籍、2024年2月、本体2,200円、A4変形判上製128頁、ISBN978-4-487-81663-7
パレスチナ解放闘争史』重信房子(著)、作品社、2024年3月、本体3,600円、四六判並製484頁、ISBN978-4-86793-018-2
孤独と神秘――アリー・シャリーアティーの「沙漠論」にみる現代イランのイスラム思想』村山木乃実(著)、作品社、2024年1月、本体3,800円、ISBN978-4-86793-016-8

★『哲学ってなんだろう?』は『What's the Point of Philosophy?』(DK Children, 2022)の訳書。「古代哲学から21世紀の現代思想までをイラストで解説、10歳から大人まで楽しめる哲学の入門書」(帯文より)。「「存在」ってなんだろう」「「知識」ってなんだろう」「「正しい」とか「間違っている」ってなんだろう」「「平等」ってなんだろう」「「考える」ってなんだろう」の四部構成。巻末には「哲学の歴史」と「用語集」、索引が添えられています。訳者の山本さん曰く「分からないことを楽しみながら、何度も読むのがコツですよ」とのこと。

★東京書籍では本書のほか、原著「DK What's the Point of?」シリーズから『算数・数学で何ができるの?――算数と数学の基本がわかる図鑑』(松野陽一郎監訳、上原昌子訳、2021年1月)と『科学って何のためにあるの?――科学の基本的な5つの分野がわかる図鑑』(左巻健男監訳、上原昌子訳、2022年8月)の2点が刊行されています。

★『パレスチナ解放闘争史』は、帯文に曰く「獄中で綴られた、圧政と抵抗のパレスチナ現代史」。第一部「アラブの目覚め――パレスチナ解放闘争へ(1916年~1994年)」、第二部「オスロ合意――ジェノサイドに抗して(1994年~2024年)」の二部構成。巻末には「パレスチナ民族憲章(1964年5月31日、第1回パレスチナ民族評議会で採択)」「パレスチナ民族憲章(1968年7月17日)」が併録され、年表が付されています。

★『孤独と神秘』は、村山木乃実(むらやま・このみ, 1991-)さんの博士論文「アリー・シャリーアティーの神秘主義思想にかんする宗教学的研究――西洋と出会いから生まれたイラン的イスラム」(2022年)に加筆修正されたもの。帯文に曰く「本書は、現代イラン知識人を代表する、アリー・シャリーアティー(1933~1977)を本邦で初めて本格的に紹介。主要な文学作品群『沙漠論』の読解を通じて、近現代イランの思想を読み解く上で巨大な座標軸となる思想家、シャリーアティーの精神の内奥に迫る」。

★シャリーアティー自身の著書の翻訳にはこれまでに『革命的自己形成』(松本耿郎訳、アジア経済研究所、1981年)、『イスラーム再構築の思想――新たな社会へのまなざし』(櫻井秀子訳、大村書店、1997年)の2点がありますが、いずれも絶版。原典ではペルシャ語全集(全36巻)があります。サルトルやファノンとの交友やフーコーによる評価が日本にも伝えられているものの、一般読者はほどんど知らないかもしれません。村山さんの著書によって再評価への機運が高まることを期待したいです。

★続いて、水声社さんの注目既刊書を列記します。

震える物質――物の政治的エコロジー』ジェーン・ベネット(著)、林道郎(訳)、水声社、2024年2月、本体3,500円、四六判上製321頁、ISBN978-4-8010-0728-4
関係性の美学ニコラ・ブリオー(著)、辻憲行(訳)、水声社、2023年12月、本体3,200円、四六判上製256頁、ISBN978-4-8010-0782-6 
聖なる自己――カリスマ派の癒しの文化現象学』トーマス・J・チョルダッシュ(著)、飯田淳子/島薗洋介/川田牧人(監訳)、津村文彦/野波侑里/堀口佐知子/村津蘭(訳)、《人類学の転回》:水声社、2023年12月、本体6,000円、四六判上製457頁、ISBN978-4-8010-0770-3
摩擦――グローバル・コネクションの民族誌』アナ・ツィン(著)、石橋弘之/岩原紘伊/寺内大左/難波美芸/箕曲在弘(訳)、《人類学の転回》:水声社、2023年12月、本体5,200円、四六判上製474頁、ISBN978-4-8010-0787-1
ブランショとともに』郷原佳以/安原伸一朗/石井洋二郎/髙山花子/伊藤亮太/門間広明/森元庸介/千葉文夫/石川学(著)、水声社、2024年11月、本体1,000円、四六判アンカット無製本80頁、ISBN978-4-8010-0768-0
底意地の悪い〈他者〉――迫害の現象学』ジャック=アラン・ミレール(監修)、森綾子/伊藤啓輔(訳)、《言語の政治》:水声社、2023年10月、本体4,000円、A5判上製252頁、ISBN978-4-8010-0750-5 
蜂起――詩と金融における』フランコ・“ビフォ”・ベラルディ(著)、杉田敦(訳)、《批評の小径》:水声社、2023年8月、本体2,500円、四六判上製216頁、ISBN978-4-8010-0744-4

★『震える物質』は、米国の政治理論家でジョンズ・ホプキンズ大学教授のジェーン・ベネット(Jane Bennett, 1957-)による『Vibrant Matter: A Political Ecology of Things』(Duke University Press, 2010)の全訳。「不活発で受動的だとされてきた物質のもつ媒介作用を豊富な例から析出し、人間と人間以外のものが連鎖・協働する世界=アセンブリッジを思い描く。物=生命の新たなポリティカル・エコロジー」(帯文より)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。

★「これまでも政治理論は、物質性を重要なものと認めてはきた。だがそこでいう物質性とは、ほとんどの場合、人間社会の諸構造であり、そういった諸構造やその他の諸対象に「体現」された人間的な意味のことを指していた。政治そのものが、往々にして、人間だけにかかわる領域だと考えられていたために、問題になるのは、あくまでもそこに加えられる一連の物質的制約であり、人間の行為の脈絡だったのだ。そういう人間中心主義への頑固なまでの抵抗こそが、私が求めている生命的物質主義と、今触れたような歴史的唯物論との、たぶん最も重要な違いなのだ。私は、そのようにナルシスティックに自動反応する人間の言語と思考への対抗の試みとして、人間以外のものの諸力(それらは自然、人間の身体、人間がつくった物の中で働いている)が様々なことを引き起こす力の重要性を強調、いや、強調以上に力説したい。むしろ私たちは、そのように世界の番人を自称する人間のナルシシズムに対抗するために、〔人間中心主義ではない〕擬人的な見方――人間の媒介作用が非人間的な自然の中にも反響しているとする考え――を多少なりとも養わなければならないのだ」(序、29~30頁)。

★『関係性の美学』は、フランスのキュレーターで批評家のブリオー(Nicolas Bourriaud, 1965-)の主著『Esthétique relationnelle』(Les Presses du réel, 1998)の全訳。「芸術理論の空白のただなかで、全面的な商品〔コモディティ〕化へ向かいつつある現在のアートを読み解くための必携書」(帯文より)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ブリオーの既訳書には『ラディカント――グローバリゼーションの美学に向けて』(原著2010年;武田宙也訳、フィルムアート社、2022年)がありますが、『関係性の美学』はそれ以前から長らく翻訳が待ち望まれていました。

★ブリオーはこう書きます。「今や市場価値を持たないものは消え去る運命にある。やがて、商業空間の外部では人間同士の関係は成り立たなくなってしまうだろう。〔…〕全面的な商品化の傾向は、現在の人間関係の空間に強烈な打撃を加えている。〔…〕社会的紐帯は、標準化された人工物に形を変えられたのだ。分業化と超専門化、機械化と収益性が支配する世界では、人間関係を管理可能かつ反復可能な、単純な原理に従属させるように誘導することこそが、支配権力の最優先事項となる。〔…〕現代の芸術的実践は、社会的実験をはぐくむ肥沃な土壌と、行動の画一化から部分的に保護された空間を提供している。本書が考察の対象とする作品は、すべて手の届くユートピアの設計図なのである」(序、16~17頁)。地域の文化拠点を標榜する複合型書店にとっても本書の視点は示唆的となるのではないでしょうか。

★『聖なる自己』と『摩擦』は、ともにシリーズ「人類学の転回」より。米国の人類学者でカリフォルニア大学サンディエゴ校特別栄誉教授のチョルダッシュ(Thomas J. Csordas, 1952-)による『The Sacred Self: A Cultural Phenomenology of Charismatic Healing』(University of California Press, 1994)の全訳。『摩擦』は、米国の人類学者でカリフォルニア大学サンタ・クルーズ校文化人類学科教授のツィン(Anna Lownhaupt Tsing, 1952-)による『Friction: An Ethnography of Global Connection』(Princeton University Press, 2004)の全訳。チョルダッシュの訳書は初めてのものですが、ツィンの既訳書には『マツタケ――不確定な時代を生きる術』(原著2015年;赤嶺淳訳、みすず書房、2019年;訳書での著者名表記は「アナ・チン」)があります。

★『ブランショとともに』は、水声社の会員制メールマガジン「コメット通信」に掲載されてきた論考15篇をまとめたもの。製本されていない状態で透明袋に入れて販売されているため、一般書店では購入しにくいかもしれません。目次は以下の通りです。

「力の過剰」としてのエクリチュール|郷原佳以
モーリス・ブランショの変貌|安原伸一朗
燃えさかる空虚――ロートレアモンを読むブランショ|石井洋二郎
夢のような物語|髙山花子
文学と彷徨の真理|伊藤亮太
ブランショと読者|門間広明
ある造語から|森元庸介
ブランショあるいはレシの体験|千葉文夫
第二次世界大戦期のフランスで執筆するということ|安原伸一朗
批評家になること、あるいは、消滅の始まり|郷原佳以
沈黙から沈黙へ|門間広明
はじまりのブランショ|石川学
ブランショと歴史―― 一九四三年のいくつかの時評について|伊藤亮太
一九四二年のブランショ――第一次世界大戦の痕跡に向かって|髙山花子
常套句の振動と消滅――ポーランとブランショ|郷原佳以
ブランショ書誌抄

★『底意地の悪い〈他者〉』は「叢書 言語の政治」の第27弾。世界精神分析協会(AMP: Association de mondiale Psychanalyse)の主催で2009年2月にパリで開催された症例検討会の記録『L'Autre méchant : Six cas cliniques commentés』(Navarin, 2010) の全訳です。クリスティアンヌ・アルベルティによる「序文」に始まり、第一部「臨床ケースのテクスト」では、ジャン゠ダニエル・マテ、ミケル・バッソル、キャロル・ドゥヴァンブルシ゠ラ・サーニャ、アントニオ・ディ・チャッチャ、フィリップ・ドゥ・ジョルジュ、マリオ・ゼルゲムらの症例報告を収め、第二部「会話」では上記7名にミレールらを加えた討論の様子が活字化されています。

★『蜂起』は、イタリアの思想家で活動家のフランコ・“ビフォ”・ベラルディ(Franco “Bifo” Berardi, 1949-)による『The Uprising: On Poetry and Finance』(Semiotext(e), 2012)の全訳。「言語の過剰としての詩によって感覚的身体と社会的連帯を再活性化し、金融資本主義の支配に対する蜂起を呼びかける、来るべき闘いの書」(帯文より)。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★「お金と言語には共通する何かがある。それは、何もないにもかかわらず、何でも動かしてしまうことだ。それらは象徴、慣習、〔…〕にすぎないが、人間を説得して行動させ、働かせ、物理的なものを変えさせる力を持っているのだ」(155頁)。「しかし、経済と言語のアナロジーに惑わされてはならない。貨幣と言語には共通するものがあるが、言語が経済的な交換を超えるものである以上、それらの運命が一致することはないのだ。詩は非交換制の言語であり、無限の解釈学の再来であり、言語の感覚的身体の復活なのだ。/わたしがここで述べている詩は、言語の過剰であり、あるパラダイムから別のパラダムに移行することを可能にするような隠れた資源のことなのだ」(160~161頁)。


# by urag | 2024-03-17 21:26 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2024年 03月 11日

月曜社4月新刊:江川隆男『内在性の問題』

2024年4月11日取次搬入予定
分野:人文・思想

内在性の問題
江川隆男(著)
月曜社 本体4,300円 46判(縦194mm×横133mm×束幅40mm、重量648g)上製560頁 ISBN:978-4-86503-186-7 C0010

〈自己〉という最小回路を形成すること――スピノザとドゥルーズの先にある新たな〈エチカ〉の誕生。あらゆる道徳的な超越主義(同一性の優越=差異の排除、精神の特権化=身体の無視、人間中心主義的な位階序列化……)を根底から批判する内在性の哲学へ。カントを一義性の哲学として論究し、フーコーの「言表」を身体の作用として論じ、内在性の核心に〈非‐規定性〉を見出す、最新書き下ろし作。

アマゾン・ジャパンHMV&BOOKSonlineにて予約受付中。

【目次】
序論 内在性への配慮
 内在性の問題
 どのように〈自己〉を理解するか
 〈自己〉認識について
 主観性から被観性へ――自然に内在し直すこと
 注(序論)
第Ⅰ部 超越論と内在性
第一章 カントと一義性の思考
 一つの錯綜体について―― 一義性とアナロジー
 内在性という外部―肖像画の下のキャンバス
 超越論的概念の一義性について
 〈構成〉以前の存立面(Ⅰ)――超越論的対象について
 物自体について(α)――それ自体において多様なもの
 〈構成〉以前の存立面(Ⅱ)――超越論的統覚について
 〈感性‐受容能力〉の真の意義
 非対称性の遠近法的空間
 裁断と縫合への努力
 物自体について(β)――それ自体において多義的なもの
 〈構成〉 以前の存立面(Ⅲ)―― 一つの可能的経験について
 物自体について(γ)――〈前‐哲学的なもの〉 から 〈偽なるもの=X〉 へ
 注(第一章)
第二章 一義性とアナロジー
 非‐様相としての内在性
 存在の一義性の系譜学的要素(Ⅰ)
 カテゴリーの様式化
 存在の一義性の系譜学的要素(Ⅱ)
 先端と前提
 現象と稀薄化
 アナロジーの非‐類推的力能について
 移行による多重化(1)――認識の一義性について
 移行による多重化(2)――経験の一義性について
 批判機能
 禁令の意義――批判的形而上学におけるアナロジーの問題について
 反復としてのアナロジーの特異性
 主観化の過程――『純粋理性批判』における〈折れ目〉(Pli)の構造
 近代哲学における一つの結論――錯綜体としての主観性
 注(第二章)
第Ⅱ部 内在性と被観性
第三章 自己と言表
 問題構成(Ⅰ)
 人間身体の性的差異について
 〈有限‐無際限〉性の分析批判
 超越論的観念論と内在論的観念論について
 一義性への配慮
 配慮の差異――〈発生的〉と〈名目的〉
 時間性の問題――カントにおける〈自己〉とは何か
 自己認識から自己配慮へ
 〈認識〉と〈配慮〉の不可識別性について
 〈自己の差異〉について
 〈観念‐言表〉論序説
 言表の批判的分析論
 言表の機能論的分析論
 言表の分裂的総合論(Ⅰ)――〈AZERT〉の規則性
 言表の分裂的総合論(Ⅱ)
 観念と言表
 言表と判断
 〈可能的であれ、実在的であれ〉———経験の内在性について
 注(第三章)
第四章 非‐規定的総合
 哲学の発狂
 問題構成(Ⅱ)
 規定性図式論の限界について
 非‐規定性の忘却――相関主義批判に抗して
 〈非—規定性〉について
 〈報告〉と〈投射〉――前‐哲学的なものに対する配慮の差異
 内在性の哲学の諸特徴
 直観知の対象性
 言表の脱アナロジー化
 脱カテゴリー化の言説
 言表論(Ⅰ)
 言表論(Ⅱ)
 横断性並行論の事例
 焼尽する〈身体なき地図〉
 抽象機械論
 地図作成法の可能性の中心
 被観性は産出されうるか
 発語内行為と自由意志
 非身体的変形と強度的宇宙について
 被観性の産出――非身体的変形の位相について
 地球倫理学――分子的内在性論と非‐ニヒリズム化
 注(第四章)
結論 エチカの諸要請
 内在性の哲学――存在論から並行論へ
 唯物性観念論――言表作用について(Ⅰ)
 機械状観念論――言表作用について(Ⅱ)
 非‐戦闘的行為――倫理学の極限形相
 内在様相と連続変化について
 注(結論)
あとがき

江川隆男(えがわ・たかお)1958年生まれ。立教大学現代心理学部映像身体学科特別専任教授。著書:『存在と差異――ドゥルーズの超越論的経験論』知泉書館、2003年;『死の哲学』河出書房新社、2005年;『超人の倫理――〈哲学すること〉入門』河出書房新社、2013年;『アンチ・モラリア――〈器官なき身体〉の哲学』河出書房新社、2014年、『スピノザ『エチカ』講義――批判と創造の哲学のために』法政大学出版局、2019年;『すべてのつねに別のものである――〈身体-戦争機械〉論』河出書房新社、2019年;『残酷と無能力』月曜社、2021年。訳書:ジル・ドゥルーズ『ニーチェと哲学』河出文庫、2008年;ジル・ドゥルーズ+クレール・パルネ『対話』共訳、河出書房新社、2008年(文庫版『ディアローグ――ドゥルーズの思想』河出文庫、2011年)。

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# by urag | 2024-03-11 14:45 | 近刊情報 | Comments(0)
2024年 03月 10日

注目新刊:R・D・レインの詩集2点がついに文庫化、ほか

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★まず、注目の文庫新刊と既刊を列記します。都合により一部のみコメントします。

結ぼれ』R・D・レイン(著)、村上光彦(訳)、河出文庫、2024年3月、本体810円、文庫判176頁、ISBN978-4-309-46797-9
好き? 好き? 大好き?』R・D・レイン(著)、村上光彦(訳)、河出文庫、2023年10月、本体810円、文庫判184頁、ISBN978-4-309-46790-0
日本霊異記・発心集』伊藤比呂美(訳)、河出文庫、2024年3月、本体800円、文庫判232頁、ISBN978-4-309-42086-8
堤中納言物語』中島京子(訳)、河出文庫、2024年3月、本体700円、文庫判176頁、ISBN978-4-309-42087-5
中世哲学の射程――ラテン教父からフィチーノまで』クラウス・リーゼンフーバー(著)、村井則夫(編訳)、平凡社ライブラリー、2024年3月、本体2,500円、B6変型判704頁、ISBN978-4-582-76962-3
精選 神学大全2 法論』トマス・アクィナス(著)、稲垣良典/山本芳久(編)、稲垣良典(訳)、岩波文庫、2024年2月、本体1,560円、文庫判608頁、ISBN978-4-00-336214-3
道徳的人間と非道徳的社会』ラインホールド・ニーバー(著)、千葉眞(訳)、岩波文庫、2024年2月、本体1,300円、文庫判480頁、ISBN978-4-00-386037-3
独裁者の学校』エーリヒ・ケストナー(著)、酒寄進一(訳)、岩波文庫、2024年2月、本体650円、文庫判198頁、ISBN978-4-00-324713-6
若きウェルテルの悩み』ゲーテ(著)、酒寄進一(訳)、光文社古典新訳文庫、2024年2月、本体780円、文庫判280頁、ISBN978-4-334-10219-7
三体』劉慈欣(著)、立原透耶(監修)、大森望/光吉さくら/ワンチャイ(訳)、ハヤカワ文庫、2024年2月、本体1,100円、文庫判640頁、ISBN978-4-15-012434-2
読む哲学事典』田島正樹(著)、講談社学術文庫、2024年2月、本体1,000円、A6判232頁、ISBN978-4-06-534805-5

★河出文庫の2月3月新刊より4点。驚くべきことに、英国の精神科医レイン(Ronald David Laing, 1927-1989)の「詩集」2点が2カ月連続で文庫化。親本はいずれもみすず書房より刊行されたロングセラー。先月発売されすぐさま重版されたのが『好き? 好き? 大好き?』(原著『Do you Love Me?』1976年;みすず書房、1978年)で、今月発売されたのが『結ぼれ』(原著『Knots』1970年;みすず書房、1973年、新装版1997年)。それぞれの文庫版解説を寄せているのは、前者がシナリオライターのにゃるらさんで、後者が歌人の上篠翔さん。

★ネタバレなしで言えば、この2点は結構強力な薬です。精神的に辛い状態の人は読まない方がいいかもしれないし、ましてや、その柔らかなタイトルと装丁に釣られて未読のまま知人友人や家族にプレゼントするようなことはとてもお薦めできない作品です。この2作をけなしてそう言うのではありません。最大限の賞賛を寄せるがゆえに要注意でもあることを記しておいた方がいいと思います。この2冊をまさにこの2020年代において正しく再評価し、こともあろうに文庫化して広い読者層に供した編集者氏には、敬意をこめて「やりやがったな」と言わせてください。

★この2冊を読みながらもっと気分を味わいたい方は、例えばジョナサン・グレイザー(Jonathan Glazer, 1965-)監督の映画『Under the Skin』(2013年:日本語題『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』)ないし『The Zone of Interest』(2024年5月24日日本公開:日本語題『関心領域』)の、ミカ・レヴィ(Micaela Rachel Levi, 1987-)による素晴らしく悩ましいサントラを聴くこと(をお薦めしません鼓膜から浸食され魂を揺さぶられ感情を細切れにされる危険性あり)。

★昨年10月より刊行開始となった河出文庫の「古典新訳コレクション」の3月最新刊は、伊藤比呂美訳『日本霊異記・発心集』(抄訳)と、中島京子訳『堤中納言物語』。来月発売は、町田康訳『宇治拾遺物語』と、角田光代訳『源氏物語5』。同コレクションは、池澤夏樹個人編集『日本文学全集』から「古典の新訳・新釈を文庫化」するもの。加筆修正が施され、新たな解題が付されています。

★なお他社本ですが、日本の古典文学では今月はまもなく上村悦子『新版 蜻蛉日記 全訳注』(講談社学術文庫、2024年3月)が発売予定です。1978年に全3巻で刊行された文庫本の合本再刊。

★平凡社ライブラリーの3月新刊より『中世哲学の射程』。リーゼンフーバー(Kraus Riesenhuber, 1938-2022)さんの『中世哲学の源流』(創文社、1995年)と『中世における理性と霊性』(知泉書館、2008年)に収録された論考を中心に編纂し、単行本未収録論文「中世における自己認識の展開――近代思想の歴史的源泉をめぐって」(2009年)を加えた精選集。編訳者の村井さんによる解題「理性の歴史――超越論哲学と否定神学」が付されています。同ライブラリーでの同著者の既刊書には『西洋古代・中世哲学史』(矢玉俊彦/佐藤直子訳、2000年8月)と『中世思想史』(村井則夫訳、2003年12月)があります。

★他社本ですが、今月はもう一冊、リーゼンフーバーさんの論文集が文庫でまもなく発売となります。『存在と思惟――中世哲学論集』(山本芳久編、村井則夫/矢玉俊彦訳、講談社学術文庫、2024年3月)です。版元の書誌情報によれば「1995年に創文社より刊行された『中世哲学の源流』(上智大学中世思想研究所中世研究叢書)所収の論文から精選し、新たな配列で編み直したもの」とのこと。目次を照合する限り、『中世哲学の射程』とは重複していないようです。

★酒寄進一(さかより・しんいち, 1958-)さんによる新訳がそれぞれ岩波文庫と光文社古典新訳文庫より。ケストナーとゲーテ。『ウェルテル』は初版本からの新訳。

★『三体』三部作の文庫化が先月スタート。第一部は全1巻。第二部『黒暗森林』は上下巻で4月刊、第三部『死神永生』も上下巻で6月刊の予定。

★このほか、最近では以下の新刊、既刊書との出会いがありました。

失敗のクィアアート――反乱するアニメーション』ジャック・ハルバースタム(著)、藤本一勇(訳)、岩波書店、2024年2月、本体3,600円、四六判並製 344頁、ISBN978-4-00-061631-7
ブルターニュの歌』ル・クレジオ(著)、中地義和(訳)、作品社、2024年3月、本体2,700円、46判上製228頁、ISBN978-4-86793-020-5
夏のレクィエム』小川征也(著)、作品社、2023年11月、本体2,000円、46判上製208頁、ISBN978-4-86793-007-6
朝鮮半島の食――韓国・北朝鮮の食卓が映し出すもの』守屋亜記子(編)、公益財団法人味の素食の文化センター(企画)、平凡社、2024年2月、本体3,000円、4-6判並製296頁、ISBN978-4-582-83951-7
堀部安嗣作品集Ⅱ 2012–2019 全建築と設計図集』堀部安嗣(著)、平凡社、2024年2月、本体7,800円、B4変型判上製函入256頁、ISBN978-4-582-54477-0

★『失敗のクィアアート』は、『The Queer Art of Failure』(Duke University Press, 2011)の全訳。「バトラー以降のクイア理論を代表する批評家ハルバースタム、待望の初邦訳」(帯文より)。ジャック・ハルバースタム(Jack Halberstam, 1961-;原著刊行当時の名はJudith Halberstam)は米国コロンビア大学教授。訳者の藤本さんがこれまでポール・B・プレシアド(Paul B. Preciado, 1970-)の著書を積極的に翻訳されてきたのは周知の通りです。『失敗のクィアアート』の目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。さらにリンク先では、訳書には収録されていない、藤本さん作成による本書で取り上げられる人物を紹介した47頁にもわたるPDFが無料公開されています。たいへんな労力です。

★ハルバースタムはこう書きます。「オルタナティヴな文化的・学問的な現場は、学界のなかにあるのではなく、むしろその傍らにある。それは、敗者、失敗者、落ちこぼれ、拒否された者たちが作り出す知の世界であり、まさに大学が無力なときにオルタナティヴのための発射台として役立つことが多いのである。/現代は、知の新しい形を生み出すプロジェクトのために学問の転換を試みるには悪い時期ではない。〔…〕大きな学問分野が、不良証券に投資した銀行のように崩壊し始めたとき、私たちはもっと広い視座から、自分たちが共有する関心や知的関与のぼろぼろの境界を本当に補強したいのか、それともむしろこの機会に学習や思考のプロジェクトを完全に考え直したほうがよいのか、問うべきだろう。〔…〕この本は、従来の知の枠組みの外に出て、失敗、迷走、不品行という統制なき領野をうろつき回るものであり、学問や通常の思考方法を大きく迂回しなければならない。いかに大学が(そして暗に高校も)風変わりで独創的な思考を促進するのではなく、むしろ潰してしまうかを説明しよう」(10頁)。

★「私のアーカイヴは、労働史やサバルタン運動史ではない。かわりにポピュラーカルチャーの領野のなかに、クィアな生、ジェンダー、セクシュアリティとのかかわりで、低俗理論とカウンターな知を探し求めたい。これまではオルタナティヴな世界の大きな説明のほとんどから、ジェンダーとセクシュアリティの問題が頻繁に抜け落ちてきたのである」(28頁)。「全体として、この本は、過度な楽観主義でもなくニヒリズム的な批判の袋小路に陥るのでもなく、〈知ること〉と〈存在すること〉のオルタナティヴな方法について書かれた本である。この本は、上手く失敗し、おおいに失敗し、〔…〕よりよく失敗する方法を学ぶための本である」(35頁)。「アカデミックな読者と一般読者をつなぐ幸せな媒介はない。私が挙げるたくさんの失敗の例が、私たちがこれから探検しようとしている失敗の、濁った、暗く、危険な土地の地図を提供することを願っている。/探検やマッピングとは、寄り道することや迷子になることでもあると、そう私は言いたい」(36頁)。

★『ブルターニュの歌』は、『Chanson bretonne, suivi de L'Enfant et la Guerre, deux contes』(Gallimard, 2020)の訳書。帯文に曰く「ノーベル文学賞作家が初めて語る幼少年時代」。「ブルターニュの歌」と「子供と戦争」の2篇を収録。

★『堀部安嗣作品集Ⅱ 2012–2019 全建築と設計図集』は、建築家で堀部安嗣(ほりべ・やすし, 1967-)さんの作品集『堀部安嗣作品集 1994–2014 全建築と設計図集』に続く第2弾。版元紹介文に曰く「住宅から寺社、公共建築、クルーズ船まで、領域を広げてきた、2010年代の作品を総覧」と。同書の刊行を記念して2つのイベントが予定されています。

日時:2024年3月30日(土)14:00〜16:30(開場13:30)
会場:京都芸術大学 東京外苑キャンパス 101・102教室
定員:200名(申込み不要、当日先着順)
参加費:無料

日時:2024年4月9日(火) 18:40開場 19:00開演
場所:紀伊國屋書店新宿本店9階 イベントスペース
参加費:チケット制1,000円

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# by urag | 2024-03-10 23:52 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)
2024年 03月 03日

注目新刊:ちくま学芸文庫3月新刊、ほか

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★まずは、まもなく発売となるちくま学芸文庫の3月新刊5点。

『資本論 第一巻 上』カール・マルクス(著)、今村仁司/三島憲一/鈴木直(訳)、ちくま学芸文庫、2024年3月、本体1,700円、文庫判688頁、ISBN 978-4-480-51190-4
『資本論 第一巻 下』カール・マルクス(著)、今村仁司/三島憲一/鈴木直(訳)、ちくま学芸文庫、2024年3月、本体1,900円、文庫判816頁、ISBN 978-4-480-51191-1
『江戸の戯作絵本 3』小池正胤/宇田敏彦/中山右尚/棚橋正博(編)、ちくま学芸文庫、2024年3月、本体1,800円、文庫判576頁、ISBN978-4-480-51226-0
『ナチズムの記憶――日常生活からみた第三帝国』山本秀行(著)、ちくま学芸文庫、本体1,500円、文庫判416頁、ISBN978-4-480-51235-2
『概説 人工知能――ディープラーニングから生成AIへ』丸岡章(著)、ちくま学芸文庫、2024年3月、本体1,200円、文庫判288頁、ISBN978-4-480-51234-5


★『資本論 第一巻』上下巻は、『マルクス・コレクション(V)』(筑摩書房、2005年)の全面改訳文庫化。文庫化の経緯や訳語の選択については文庫版訳者あとがきで説明されています。今村仁司さんが亡くなっているため、改訳は三島憲一さんと鈴木直さんのお二人が行なっています。「本訳書では、ドイツ語の文法構造を写しとることなどを翻訳上の原則とはせず、目を戻して読み直さなければ意味のつかめない訳文は極力さけるように努めた。最終的にめざしたのは、マルクスの文章に惹かれながら、最後まで一気に読み通すことができるような訳文を提供することだった」(文庫版訳者あとがきより)。

★『江戸の戯作絵本 3』は、社会思想社の現代教養文庫版『江戸の戯作絵本 続巻一』(1984年)と『江戸の戯作絵本 続巻二』(1985年)の合本文庫化。今回も棚橋正博さんの協力のもと、誤記誤植が改められ、図版は状態のより良いものに差し換えられています。底本とは異なる図版を掲載したものも一部あるとのことです。

★『ナチズムの記憶』は、ドイツ史家の山本秀行(やまもと・ひでゆき, 1945-)さんが初の単独著として山川出版社から1995年に上梓した単行本の文庫化。文庫版あとがきによれば単行本で見逃されていた「ミスや誤植」を訂正したとのことです。

★『概説 人工知能』は、Math&Scienceシリーズの1冊で、東北大学名誉教授の丸岡章(まるおか・あきら, 1942-)さんによる文庫オリジナルの書き下ろし。帯文に曰く「」超絶進化の鍵となる基本概念を解き明かす」と。主要目次を転記しておきます。

第1講 AIが人間を超えた?!
第2講 人工知能研究の歴史
第3講 脳が働き、人が振る舞う
第4講 ディープラーニングのエッセンス
第5講 学習のポテンシャル
第6講 畳み込みニューラルネットワークとバックプロパゲーション
第7講 アルファ碁
第8講 トランスフォーマー、生成AIの心臓部
第9講 大規模言語モデル
第10講 生成AI
巻末注
あとがき
索引

★続いて、最近出会いのあった新刊を列記します。

音と脳――あなたの身体・思考・感情を動かす聴覚』ニーナ・クラウス(著)、伊藤陽子(訳)、紀伊國屋書店、2024年3月、本体2,700円、46判並製376頁、ISBN978-4-314-01203-4
現代思想2024年3月号 特集=人生の意味の哲学』青土社、2024年2月、本体1,600円、A5判並製頁238頁、ISBN978-4-7917-1461-2
記憶と芸術――ラビリントスの谺』中村高朗/虎岩直子(編著)、法政大学出版局、2024年3月、本体3,200円、四六判並製416頁、ISBN978-4-588-41039-0
誘惑する他者――メルヴィル文学の倫理』古井義昭(著)、法政大学出版局、2024年3月、本体3,200円、A5判上製300頁、ISBN978-4-588-49522-9
神論――現代一神教神学序説』中田考(著)、作品社、2024年2月、本体3,600円、46判並製384頁、ISBN978-4-86793-001-4
ニッポンのムスリムが自爆する時――日本・イスラーム・宗教』松山洋平(著)、作品社、2024年2月、本体2,400円、46判並製240頁、ISBN978-4-86793-021-2
イスラーム・デジタル人文学』須永恵美子/熊倉和歌子(編著)、人文書院、2024年2月、本体3,200円、4-6判並製274頁、ISBN978-4-409-42025-6
近代日本の身体統制――宝塚歌劇・東宝レヴュー・ヌード』垣沼絢子(著)、人文書院、2024年2月、本体4,500円、4-6判上製378頁、ISBN978-4-409-52093-2
読書装置と知のメディア史――近代の書物をめぐる実践』新藤雄介(著)、人文書院、2024年2月、本体4,500円、4-6判上製402頁、ISBN978-4-409-24162-2
金時鐘コレクション(5)日本から光州事件を見つめる――詩集『光州詩片』『季期陰象』ほか エッセイ』金時鐘(著)、細見和之(解説)、細見和之/浅見洋子(解題)、藤原書店、2024年2月、本体4,200円、四六変型判上製400頁+口絵4頁、ISBN978-4-86578-415-2
フランス大使の眼でみたパリ万華鏡』小倉和夫(著)、藤原書店、2024年2月、本体2,700円、四六判上製416頁、ISBN978-4-86578-414-5
鶴見和子と水俣――共生(ともいき)の思想としての内発的発展論』杉本星子/西川祐子(編)、藤原書店、2024年3月、本体4,400円、A5判上製344頁、ISBN978-4-86578-413-8

★紀伊國屋書店の新刊『音と脳』は、ノースウェスタン大学コミュニケーション科学・障害学部教授で神経科学者のニーナ・クラウス(Nina Kraus)さんの著書『Of Sound Mind: How Our Brain Constructs a Meaningful Sonic World』(MIT Press, 2021)の訳書。帯文に曰く「音は私たちを変える。言葉、音楽、都市の騒音、大自然の静寂、愛する人の声――聞くことは、感じ、考え、動くことにどう影響するのだろうか? 音の持つ力と可能性を説く、聴覚神経科学のトップサイエンティストの集大成」。書名のリンク先で、目次や本文の試し読みが可能です。

★青土社の月刊誌『現代思想』の3月号は特集「人生の意味の哲学」。版元紹介文に曰く「21世紀的な「人生の意味の哲学」の諸相を展望し、その現代的意義について考察」と。古田徹也さんと森岡正博さんの討議「生きる意味を問うとき、私たちは何を考えているのか」のほか、13篇の論考を収録。詳細は誌名のリンク先でご確認いただけます。次号4月号の特集は「〈子ども〉を考える」と予告されています。

★法政大学出版局の3月新刊より2点。『記憶と芸術』は発売済。書名となっている主題をめぐる、13篇の論考と1本の対談からなるアンソロジーです。詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。『誘惑する他者』はまもなく発売。立教大学文学部教授の古井義昭(ふるい・よしあき, 1982-)さんが2010年から2022年にかけて英文で発表してきたメルヴィルをめぐる査読論文10本を自ら翻訳し改稿し、書き下ろしの序章を付して1冊にまとめたものです。帯文に曰く「書くこと/読むことの根源に関わるテーマを徹底的に掘り下げる」と。

★作品社の2月新刊より2点。『神論』はイスラーム法学者の中田考(なかた・こう, 1960-)さんによる「イスラームを超えたイスラームの真義を開示する、一神教の入門書」(帯文より)。「しんろん」と読みます。書名のリンク先で試し読みが可能。『ニッポンのムスリムが自爆する時』は、イスラーム学者の松山洋平(まつやま・ようへい, 1984-)さんが「ゲンロン」誌や「ゲンロンβ」誌に2019年から2022年にかけて発表してきた、イスラームの諸相をめぐるエッセイ11篇に、2014年の他誌への既出論考を合わせ、加筆訂正のうえまとめたもの。

★人文書院の2月新刊より3点。『イスラーム・デジタル人文学』は「イスラーム研究をデジタル人文学で捉え直す、気鋭研究者らによる最新の成果」。9本の論考と9本コラムを収録。詳細は書名のリンク先でご覧いただけます。『近代日本の身体統制』は、演劇学がご専門の垣沼絢子(かきぬま・あやこ, 1987-)さんの初の単独著。「戦前から戦後にかけての宝塚・東宝のレヴュー史を、「身体統制」と「近代化」という軸をもとに見通すもの」(はじめにより)。『読書装置と知のメディア史』は、メディア史がご専門の新藤雄介(しんどう・ゆうすけ, 1983-)さんが、博士学位論文に大幅な加筆修正を施したもの。目次詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

★藤原書店の2月新刊は全3点。『金時鐘コレクション(5)』は全12巻中の第9回配本。詩集『光州詩片』『季期陰象』のほか、エッセイ7本、講演3本、詩集をめぐる語り下ろしのインタヴューを収録。詳細は書名のリンク先をご確認ください。『フランス大使の眼でみたパリ万華鏡』は、ベトナム大使、韓国大使、フランス大使などを歴任した小倉和夫(おぐら・かずお, 1938-)さんによる手記と、パリを訪問した日本人作家たちをめぐるエッセイを1冊にしたもの。『鶴見和子と水俣』は、「不知火海総合学術調査団と内発的発展論」「萃点としての水俣」の二部構成のアンソロジー。9本の論考、6本のシンポジウム発表、3本のコラムから成ります。詳細は書名のリンク先でご確認いただけます。

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# by urag | 2024-03-03 23:06 | ENCOUNTER(本のコンシェルジュ) | Comments(0)