2017年 02月 14日

「SLASH」「Hashima」取次搬入日決定とイベント情報

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佐野方美写真集『SLASH』は2月10日に日販と大阪屋栗田に搬入し、トーハンには明日15日に搬入となります。「i-D」マガジン「the fifth sense」欄2月1日付記事「至極感覚的な組合せの美を追求する、佐野方美の作品世界」(SHIN FRANCIS MIYAGI氏記名)で写真集の一部をご覧いただけます。

一方、松江泰治写真集『Hashima』は2月16日に日販、トーハン、大阪屋栗田に搬入です。発売を記念して以下のトークイベントが行われます。

松江泰治×タカザワケンジ「写真家の初期と現在」

日時:2017年2月24日 (金)19:00~20:30 開場18:30
料金:1,080円(税込)
定員:50名様
会場:青山ブックセンター本店内 小教室
お問合せ先:青山ブックセンター本店 03-5485-5511 (10:00~22:00)

内容:1983年に軍艦島=端島(Hashima)の廃墟をとらえた完全未発表作品を上梓した松江泰治さん。初期作品といえる今回の写真が、現在の精緻な作品とどう繋がっているのか、あるいはどう断絶しているのか、写真家の初期と現在に焦点をあて、松江作品の真髄を探る。スライド上映あり。

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# by urag | 2017-02-14 22:39 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 13日

注目新刊:デリダ『嘘の歴史』とロレッドのデリダ論、ほか

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弊社出版物でお世話になっている著訳者の皆様の最近のご活躍をご紹介します。

★ジャック・デリダさん(著書:『条件なき大学』)
★西山雄二さん(訳書:デリダ『条件なき大学』、共訳:『ブランショ政治論集』)
『Histoire du mensonge : Prolégomènes』(Galilée, 2012)の訳書が刊行され、一昨年来日を果たしたフランスの哲学者パトリック・ロレッド(Patrick Llored)さんのデリダ論『Jacques Derrida : Politique et éthique de l'animalité』(Sils Maria, 2013)の共訳書もまもなく発売されます。それぞれの目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ロレッドさんのデリダ論は西山さんの巻末解説によれば「日本語版のために本文に微修正を施し、後書きを追加しているので、本書は独自編集版となっている」とのことです。

嘘の歴史 序説
ジャック・デリダ著 西山雄二訳
未來社 2017年2月 本体1,800円 四六判上製106頁 ISBN978-4-624-93270-1

カバー紹介文より:晩年のデリダが1997年におこなった講演録。プラトン、アリストテレス、ルソー、カント、ニーチェ、ハイデガー、フロイトを参照しつつ、時代や文化によってことなる嘘の概念の歴史を問い、とりわけアーレントとコイレのテクストを読解する。意識的に嘘をつくことと知らずに間違うことの差異を明確にし、嘘の概念を脱構築的に問い直す。村山富市元首相の1995年の日本軍の戦争犯罪を認めた戦後50年談話や、ヴィシー政府の戦争中のユダヤ人狩りという犯罪的行為を認めたシラク元大統領の発言などを具体的に論じながら、現代の政治的な嘘をアクチュアルに考察する味読すべき小著。


ジャック・デリダ――動物性の政治と倫理
パトリック・ロレッド著 西山雄二/桐谷慧訳
勁草書房 2017年2月 本体2,200円 四六判上製160頁 ISBN978-4-326-15444-9

帯文より:近代政治の主権概念は人間と動物の区分と不可分であり、政治は常に人間に固有なものとされてきた。西欧思想においては、人間と人間ではない生きものたちの政治関係の発明が回避され、獣と主権者のアナロジーによって動物たちに日々ふるわれる根底的な暴力が見えなくされてきたのだ。デリダが人生の最後に発明した「動物-政治」概念から、「民主主義的な主権」の問いが開かれる。いかにしてデリダは動物たちを来たるべき民主主義へ参入させるのか。

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★岡本源太さん(著書:『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』)
★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』、訳書:カヴァイエス『論理学と学知の理論について』)
2月3日発売の『現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=人類学の時代』に岡本さんのご論考「イメージにおける自然と自然の「大分割」を超えて――イメージ論の問題圏(三)」(317-325頁)が掲載されました。岡本さんの不定期寄稿「イメージ論の問題圏」はこれまでに「現代思想2013年1月号 特集=現代思想の総展望2013」に「囚われの身の想像力と解放されたアナクロニズム――イメージ論の問題圏」が、そして「現代思想2015年1月号 特集=現代思想の新展開2015――思弁的実在論と新しい唯物論』に「眼差しなき自然の美学に向けて――イメージ論の問題圏(二)」が掲載されています。

また、2月14日発売の『現代思想2017年3月臨時増刊号 総特集=知のトップランナー50人の美しいセオリー』では、近藤さんのご論考「ある理論が美しいと言われるとき、その真の理由は何でありうるか」(226-232頁)が掲載されました。同特集号では、ジュンク堂書店の福嶋聡さんによる「〈未来の自分〉と読書」(242-245頁)も掲載されています。

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# by urag | 2017-02-13 16:30 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 12日

注目新刊:2017年1月~3月

通常の週末記事で手一杯で、言及できてない書目のフォローをここしばらくできていませんでしたが、今年からは少しでも多くの書名を留めておくよう心掛けたいと思います。とはいえ今回できたのは、アマゾン・ジャパンの「人文・思想」分野とその関連書2か月分強の見直しだけで、他分野全体を通覧できてはいません。往々にして「これは」という発見は他分野のものだったりするので、本当は全分野の新刊一覧にしっかり目を通すべきですが、昔ネットでも公開されていたTRCの週刊新刊全点案内のような便利な情報源が見当たらないのが残念です。アマゾンの「人文・思想」分野には学参に移してもらった方がいいような書目や、似たようなハウツー電子書籍も多数見受けるので、そういう中から選別していくのがしんどいですね。

★2017年1月既刊

0105『アレント入門』中山元著、ちくま新書
0106『日本十二支考――文化の時空を生きる』濱田陽著、中公叢書
0110『本屋、はじめました――新刊書店Title開業の記録』辻山良雄著、苦楽堂
0110『キリストを生きる』トマス・ア・ケンピス著、山内清海訳、文芸社セレクション
0110『現代語訳 蓮華面経』仁科龍著、雄山閣
0110『「革命」再考――資本主義後の世界を想う』的場昭弘著、角川新書
0112『質的研究法』G・W・オルポート著、福岡安則訳、弘文堂
0112『ジェンダー史とは何か』ソニア・O・ローズ著、長谷川貴彦/兼子歩訳、法政大学出版局
0113『共時性の深層――ユング心理学が開く霊性への扉』老松克博著、コスモスライブラリー
0114『われわれはいかに働き どう生きるべきか――ドラッカーが語りかける毎日の心得、そしてハウツー』P・F・ドラッカー述、上田惇生訳、ダイヤモンド社
0120『本能の現象学』ナミン・リー著、中村拓也訳、晃洋書房
0120『カント 美と倫理とのはざまで』熊野純彦著、講談社
0120『カント哲学の奇妙な歪み――『純粋理性批判』を読む』冨田恭彦著、岩波現代全書
0124『社史の図書館と司書の物語――神奈川県立川崎図書館社史室の5年史』高田高史著、柏書房
0124『アーカイヴの病〈新装版〉』ジャック・デリダ著、福本修訳、法政大学出版局
0125『生の悲劇的感情〈新装版〉』ウナムーノ著、神吉敬三/佐々木孝訳、法政大学出版局
0125『キリスト教教父著作集 第2巻I エイレナイオス1 異端反駁1』大貫隆訳、教文館
0125『泳ぐ権力者――カール大帝と形象政治』ホルスト・ブレーデカンプ著、原研二訳、産業図書
0125『ダンヒル家の仕事』メアリー・ダンヒル著、平湊音訳、未知谷
0125『ローカルブックストアである――福岡 ブックスキューブリック』大井実著、晶文社
0125『「本をつくる」という仕事』稲泉連著、筑摩書房
0126『岩波茂雄文集 第1巻 1898-1935年』植田康夫/紅野謙介/十重田裕一編、岩波書店
0126『正常と病理〈新装版〉』ジョルジュ・カンギレム著、滝沢武久訳、法政大学出版局
0126『世界宗教の経済倫理――比較宗教社会学の試み 序論・中間考察』マックス・ウェーバー著、中山元訳、日経BPクラシックス
0128『学生との対話』小林秀雄著、国民文化研究会/新潮社編、新潮文庫

一覧をローラーするまで『キリスト教教父著作集 第2巻I エイレナイオス1 異端反駁1』(大貫隆訳、教文館)に気づいていなかったのは不覚でした。エイレナイオス『異端反駁』はこれまでに第3分冊と第4分冊が小林稔訳で1999年に刊行されましたがその後しばらく続刊が途絶えていました。大貫先生が訳者を務められているということで、今後はさほど待たずに完結しそうな気がします。

文芸社セレクションは文庫サイズのシリーズで、ブラヴァツキーの『シークレット・ドクトリン』第三巻を昨年刊行したりして、要チェックなレーベルです。今般もトマス・ア・ケンピスの新訳(『キリストを生きる』山内清海訳)が発売されていて驚きました。雄山閣の単行本、仁科龍『現代語訳 蓮華面経』は同社の『大蔵経全解説大事典』(1998年、新装版2016年)よりの抜粋とのこと。同事典は税込45,360円なので、こうした切り売りは悪い感じはしません。

『泳ぐ権力者――カール大帝と形象政治』(原研二訳、産業図書)はブレーデカンプの8点目の訳書。初期の訳書である『古代憧憬と機械信仰――コレクションの宇宙』(藤代幸一/津山拓也訳、法政大学出版局、1996年)が品切のようですが、ブレーデカンプの知名度や業績から言ってそろそろ文庫の仲間入りを果たしても良いような気がします。


★2017年2月既刊
0201『絵画の歴史――洞窟壁画からiPadまで』デイヴィッド・ホックニー/マーティン・ゲイフォード著、木下哲夫訳、青幻舎
0201『シュタイナーのアントロポゾフィー医学入門』日本アントロポゾフィー医学の医師会監修、ビイングネットプレス
0203『ドイツ啓蒙と非ヨーロッパ世界――クニッゲ、レッシング、ヘルダー』笠原賢介著、未來社
0206『天災と日本人――地震・洪水・噴火の民俗学』畑中章宏著、ちくま新書
0206『カンギレムと経験の統一性――判断することと行動すること 1926-1939年』グザヴィエ・ロート著、田中祐理子訳、法政大学出版局
0206『『法華経釈問題』翻刻研究――翻刻校訂・国訳〔新版〕』『法華経釈問題』翻刻研究会 著、ノンブル社
0206『メディアの歴史――ビッグバンからインターネットまで』ヨッヘン・ヘーリッシュ著、川島建太郎訳、法政大学出版局
0207『アナトミカル・ヴィーナス――解剖学の美しき人体模型』ジョアンナ・エーベンステイン著、布施英利監修、グラフィック社
0209『芸術の終焉のあと――現代芸術と歴史の境界』アーサー・C・ダントー著、山田忠彰監訳、河合大介/原友昭/粂和沙訳、三元社

ホックニーの『絵画の歴史――洞窟壁画からiPadまで』は同版元のホックニーの既刊書『秘密の知識』(木下哲夫訳、青幻舎、2006年;普及版2010年)が品切になっていることを考えると早めに購入しておくのがいいのかもしれません。同じく芸術の分野ではダントーの『芸術の終焉のあと』は見逃せない一書(原著は1997年刊)。さらに『メディアの歴史』はキットラーやボルツに並ぶドイツ・メディア論の大家ヘーリッシュ(Jochen Hörisch, 1951-)の待望の初訳。このところ書店人や司書、出版人の新刊は色々と出ておりそれぞれ注目すべきなのですが、本書は特に業界人必読と強く推すべき重厚な一冊です。


★2017年2月刊行予定
0214『アート・パワー』ボリス・グロイス著、石田圭子/齋木克裕/三本松倫代/角尾 宣信訳、現代企画室
0214『ソシオパスの告白』M・E・トーマス著、高橋祥友訳、金剛出版
0214『セルバンテス全集 第2巻 ドン・キホーテ 前篇』岡村一訳、水声社
0215『キリスト教神学で読みとく共産主義』佐藤優著、光文社新書
0216『プルーストと過ごす夏』アントワーヌ・コンパニョン/ジュリア・クリステヴァ/ほか著、國分俊宏訳、光文社
0217『イスラーム入門――文明の共存を考えるための99の扉』中田考著、集英社新書
0217『アレフ』J・L・ボルヘス著、鼓直訳、岩波文庫
0222『芸術の言語』ネルソン・グッドマン著、戸澤義夫/松永伸司訳、慶應義塾大学出版会
0222『〈新装〉増補修訂版 相互扶助論』ピョートル・クロポトキン著、大杉栄訳、同時代社
0222『オネイログラフィア――夢、精神分析家、芸術家』ヴィクトル・マージン著、斉藤毅訳、書肆心水
0222『エックハルト〈と〉ドイツ神秘思想の開基――マイスター・ディートリッヒからマイスター・エックハルトへ』長町裕司著、春秋社
0227『ドゥルーズと多様体の哲学――二○世紀のエピステモロジーにむけて』渡辺洋平 著、人文書院
0227『主体の論理・概念の倫理――二〇世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』上野修/米虫正巳/近藤和敬編、以文社
0228『義科『廬談』摩訶止觀――論草3』天台宗典編纂所編、春秋社
0228『アフリカ美術の人類学――ナイジェリアで生きるアーティストとアートのありかた』緒方しらべ著、清水弘文堂書房
0228『無神論と国家』坂井礼文著、ナカニシヤ出版
0228『メルロ=ポンティ哲学者事典(第3巻)歴史の発見・実存と弁証法・「外部」の哲学者たち』モーリス・メルロ=ポンティ編著、加賀野井秀一/伊藤泰雄/本郷均/加國尚志監修・翻訳、白水社

ホックニーやダントーの新刊に続いて芸術論関連ではグロイス『アート・パワー』やグッドマン『芸術の言語』、マージン『オネイログラフィア』と、どんどん話題書が続くことになり、活況を呈するでしょう。水声社版『セルバンテス全集』はアマゾンでは扱いがありませんが、まさか全集が刊行開始とは驚きです。哲学系では全3巻別巻1予定の『メルロ=ポンティ哲学者事典』に注目。4月には第2巻、6月には第1巻、8月に別巻の刊行が予定されています。基礎文献です。


★2017年3月刊行予定
0301『世界の夢の本屋さんに聞いた素敵な話』ボブ・エクスタイン著、藤村奈緒美訳、 エクスナレッジ
0308『語録 要録』エピクテトス著、中公クラシックス
0311『社会問題としての教育問題――自由と平等の矛盾を友愛で解く社会・教育論』ルドルフ・シュタイナー著、今井重孝訳、イザラ書房
0311『アルキビアデス クレイトポン』プラトン著、三嶋輝夫訳、講談社学術文庫
0314『グリム兄弟言語論集――言葉の泉』ヤーコプ・グリム/ヴィルヘルム・グリム著、千石喬/高田博行/木村直司/福本義憲訳、ひつじ書房
0315『幻覚V―器質・力動論2』アンリ・エー著、影山任佐/阿部隆明訳、金剛出版
0317『シュタイナー 根源的霊性論――バガヴァッド・ギーターとパウロの書簡』ルドルフ・シュタイナー著、高橋巖訳、春秋社
0322『〈世界史〉の哲学 近世篇』大澤真幸著、講談社
0330『ラカン 真理のパトス』上尾真道著、人文書院

まだリリースされている情報が少ないため点数も少ないものの、『グリム兄弟言語論集』と、エー『幻覚』第V巻は押さえたいところです。2点とも高額本ですが、品切になればいっそう高値がつくことは目に見えています。『幻覚』は全5巻完結で、品切になっている既刊書はオンデマンド版が出るようです。ほっとされる読者もいらっしゃるのではないかと想像します。
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# by urag | 2017-02-12 23:29 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 10日

メモ(13)

東京商工リサーチの2017年2月10日付「TSR速報」によれば、老舗の地図取次である日本地図共販株式会社(江戸川区南葛西3-9-20、設立1946年7月、資本金9600万円)が本日2月10日、東京地裁へ破産を申請したとのこと。負債総額は14億6304万円(平成28年9月期決算時点)。売上のピークは平成9年9月期の109億9065万円。その後、ピーク時の約3分の1まで落ち込んでいた、と。「得意先書店の大手取次への帳合変更の流れは止まらず〔・・・〕最近になって複数の出版社が当社に対する出荷を停止し、事業の継続が困難になっていた」と報じられています。

「文化通信」2月10日付記事「日本地図共販、自己破産を申請」では「近年は減収基調にあり、営業段階から毎期赤字計上が続いていた。〔・・・〕この間、営業所の閉鎖を実施するなど立て直しに努めていたが、今年初めに出版社への支払ができず、大手取引先出版社が相次いで出荷を取りやめたことで破産申請に至った」と。一般読者にはあまりなじみがない会社かもしれませんが、出版業界にとっては無視できないニュースです。

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# by urag | 2017-02-10 17:42 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 09日

注目新刊:ルフォール『民主主義の発明』勁草書房

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弊社出版物でお世話になっている訳者の皆さんの最近のご活躍をご紹介します。

★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
クロード・ルフォール(Claude Lefort, 1924-2010)の『L'invention democratique』(Fayard, 1981/1994)の共訳書を上梓されました。帯文に曰く「民主主義はまだ発明されていない。全体主義を総括しながら、現代民主主義の理論を打ち立てる、原題フランスの政治哲学者ルフォールの主著」。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。あとがきによれば「本書のきっかけとなったのは、〔・・・訳者のうち数名がパリのカフェで集った際に〕フランス政治哲学で何かまだ訳されていない古典的な著作を訳そうと盛り上がったことを機縁にしている」とのことです。ルフォールの訳書でもっとも古いものはサルトルとの論戦を一冊にまとめた『マルクス主義論争』(白井健三郎訳、ダヴィッド社、1955年)ですが、その後刊行された訳書の数は片手で足りる少なさだっただけに、今回のような発掘は非常に有益です。

渡名喜さんは巻末解説「クロード・ルフォールの新しさと古さ」で次のように述べておられます。「「民主主義」および「全体主義」についての今なお色あせない根源的な考察がルフォールにはあるはずだ。〔・・・〕ルフォールが問題にしているのは、「共産主義」対「自由主義」という構図そのものがもはや効力を有さない「ポスト共産主義」(iv頁)の社会だということは忘れないようにしよう」(390頁)。

民主主義の発明――全体主義の限界
クロード・ルフォール著 渡名喜庸哲/太田悠介/平田周/赤羽悠訳
勁草書房 2017年1月 本体5,200円 A5判上製432頁 ISBN978-4-326-30254-3

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★竹峰義和さん(共訳書:シュティーグラー『写真の映像』)
東京大学出版会のPR誌「UP」2017年2月号にご論考「投壜通信の宛先――フランクフルト学派の思想家たちの亡命期の手紙」(1~6頁)を寄稿されています。「われわれのような後世の読者が、みずからに宛てられたわけではないテクストを、あたかも海岸に漂着した「投壜通信」を開封するかのように紐解き、読み進めていくとき、そこにたまたま書きつけられていなければ永遠に失われていたはずの過去の生が刹那的に息を吹き返す。「過去の救済」とはフランクフルト学派の思想における鍵語であるが、そこで志向されているのは、かつて在りしものを、いまでは失われてしまったものを、追想というかたちでよみがえらせようとするような、祈りにも似た営みなのである」(6頁)。

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# by urag | 2017-02-09 16:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 06日

星野太『崇高の修辞学』取次搬入日決定、先行販売やイベント情報など

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星野太『崇高の修辞学』の取次搬入日が決定しました。日販と大阪屋栗田が2月7日、トーハンが8日です。現在、代官山蔦屋書店とナディッフアパート(恵比寿本店)にて先行販売中。そのほかの書店さんでは取次を経由して今週末から来週以降に順次店頭発売開始となります。

なお、弊社の人文書新刊ではあまり起こらないことですが、今回の新刊は受注多数のため、発売と同時に版元品切になります。書店さんの店頭には在庫がありますから、どうぞ皆様店頭よりお買い求め下さい。比較的に在庫を多めに持っている書店さんを以下に列記しておきます。

【先行発売】
代官山蔦屋書店、ナディッフアパート(恵比寿本店)
【一般発売】
紀伊國屋書店新宿本店、ブックファースト新宿店、丸善丸の内本店、ジュンク堂書店池袋店、東京堂書店神田神保町店、東大生協駒場書籍部。ほか全国108店舗にて発売。電話・メール・FAX、当エントリーのコメント欄などで地域を限定してお尋ねいただければ詳細をお答えいたします。
【ネット書店】
アマゾン・ジャパン、Honto。

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トークイベント:『崇高の修辞学』(月曜社)刊行記念・星野太講演会

当日ご希望の方にサイン会を予定しております。サイン対象本は、当店でご購入いただきました対象書籍のみとさせていただきます。また、今回のイベントご来場のお客様にのみ、限定の書き下ろし「『崇高の修辞学』本編未収録の覚書」特別小冊子をプレゼントする予定です。

日時:2017年03月24日(金) 19:00~
場所:蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
定員:70名

参加条件:代官山 蔦屋書店にて、対象書籍『崇高の修辞学』(月曜社刊/3,888円税込)をご予約・ご購入頂いたお客様。またはオンラインストアにて参加券をご購入のお客様。
お申込み方法:①代官山 蔦屋書店 店頭(1号館1階 レジ)、②オンラインストア(2017年3月22日午前9時まで受注)、③お電話 03-3770-2525(1号館 1階 人文フロア)

対象商品:『崇高の修辞学』(月曜社 3,888円/税込/地方発送も可能)もしくはイベント参加券(1,000円/税込)

注意事項:参加券1枚でお一人様にご参加いただけます。イベント会場はイベント開始の15分前からで入場可能です。当日の座席は、先着順でお座りいただきます。参加券の再発行・キャンセル・払い戻しはお受けできませんのでご了承くださいませ。止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。

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『崇高の修辞学』に対し、ツイッターでご評価をお寄せいただいています。

西山雄二さん「ロンギノス『崇高論』から現代に至る崇高の系譜学を辿りながら、一定の文彩をつねにともなう言語活動そのものに内在する「修辞学的崇高」を、哲学・政治・倫理・美学・詩学などを横断しつつ描出する壮大な試み」。

國分功一郎さん「目下のテーマとして想像力について考えている僕にとってはギリシアのパンタシア(想像力と普通訳すがこの本にはそれ以外の翻訳の可能性が論じられている)についての議論が非常に参考になりそうです」。

宮崎裕助さん「ロンギノスの崇高論に遡る崇高概念の系譜の明快な見取図を提示するとともに、「修辞学的崇高」というパラ美学的な新概念により、この見取図を書き換えようとする非常に野心的な試み。今後日本語での崇高論研究は本書なしには考えられないものとなった」。

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# by urag | 2017-02-06 18:37 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 02月 05日

注目新刊:ブルデュー『男性支配』、ほか

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男性支配』ピエール・ブルデュー著、坂本さやか/坂本浩也訳、藤原書店、2017年1月、本体2,800円、四六上製240頁、ISBN978-486578-108-3
キャリバンと魔女――資本主義に抗する女性の身体』シルヴィア・フェデリーチ著、小田原琳/後藤あゆみ訳、以文社、本体4,600円、四六判上製528頁、ISBN978-4-7531-0337-9
なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか――人間の心の芯に巣くう虫』シェルドン・ソロモン/ジェフ・グリーンバーグ/トム・ピジンスキー著、大田直子訳、インターシフト発行、合同出版発売、2017年2月、本体2,200円、46判並製280頁、ISBN978-4-7726-9554-1
チャムパ王国とイスラーム――カンボジアにおける離散民のアイデンティティ』大川玲子著、平凡社、2017年2月、本体5,000円、A5判上製248頁、ISBN978-4-582-70354-2

複数の新刊をまとまりとして見ることで、人文書と現代とが響き合う「今」が見えてくることがあります。自分自身や自集団の価値観から他者を排除することを正当化するような強弁がまかり通る危険性に曝されつつある現代において、支配的思想を歴史的に再検証することは一種の「ワクチン」として非常に重要です。ラルフ・キーズが言うところの「ポスト・トゥルースの時代」(『The Post-truth Era: Dishonesty And Deception In Contemporary Life』St. Martins Press, 2004)が、米国の新政権の誕生によっていよいよ顕在化し始めています。もうひとつの世界の可能性を示唆してきたオルタナティヴという言葉がもはや左派の専売特許ではなくなったこんにち、コンウェイ大統領顧問が言う「オルタナティヴ・ファクツ」や、バノン首席戦略官が与してきた「オルト・ライト」が言論の最前線で影響力を発揮し、皮肉にもオーウェルのディストピア小説『1984』がベストセラーに躍り出ています。

日本においても政治やマスコミ、市民運動や一般企業に至るまで右傾化の懸念が年々深刻になっているのは周知の通りです。米国ほどではないにせよ、『1984』をはじめとするオーウェルの作品や、ハクスリーの『素晴らしい新世界』が日本でも再評価される機運が高まるかもしれません。すでにコーナーづくりやフェアの準備を始めている書店さんもあると聞きます。以下にご紹介する書籍のいくつかは、長い目で見た人間社会の弱点を明らかにするのに役立つと思われます。

ここ最近ではジェンダー論やフェミニズム方面で注目新刊が続いています。ブルデュー『男性支配』の原著は1998年刊。「男性的な社会弁護論は、支配関係を、生物学的な自然のなかに組み込むことによって正当化するのだが、その生物学的な自然自体が、自然化された社会的構築物なのである」(41頁)と教えます。「男らしさとは、きわめて関係的な観念であり、〔・・・〕何よりも自己自身のなかの女性的なものに対する一種の恐怖のなかで構築されている観念なのである」(80頁)とも。フェデリーチ『キャリバンと魔女』の原著は2004年刊。「封建制から資本主義への「移行」を女性、身体、そして本源的蓄積という観点から再検討する」(14頁)もの。「資本主義の書くには、契約による賃金労働と奴隷状態の間の共生関係だけでなく、それとともに、労働力の蓄積と破壊という弁証法的対立も存在する。そのために、身体、労働、生命によってもっとも大きな犠牲を強いられたのは、女性であった」(26頁)とフェデリーチは指摘します。フェミニズム、フーコー、マルクス主義の諸理論との交差は、書棚づくりや芋づる式読書ののヒントになるはずです。

ソロモンほか『なぜ保守化し、感情的な選択をしてしまうのか』の原書は2015年刊。原題は「果心の虫――人生における死の役割」。心理学者三氏による「恐怖管理理論」を明かしたもので、自尊心や偏見の昂進や他者嫌悪の裏に潜む恐怖の心的メカニズムを鋭く分析しています。死の恐怖こそが人間の行動に大きな影響を及ぼしている、と暴く本書のユニークさは非常に説得的です。大川玲子『チャムパ王国とイスラーム』は「カンボジアのチャム人の宗教文化であるイスラームについて論じたもの」で「このテーマを論じた日本語著作としては初めて」(18頁)だそうです。チャム人は、2世紀の歴史資料に名を留め、19世紀前半にヴェトナムによって滅ぼされたチャムパ(占城)王国の末裔。東南アジアのムスリム史の興味深い一面を学べます。

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このほか、新訳や新装版、展覧会図録の注目新刊をご紹介します。

テクストの楽しみ』ロラン・バルト著、鈴村和成訳、みすず書房、2017年1月、本体3,000円、四六判上製184頁、ISBN978-4-622-08566-9
[新装版]星と人間──精神科学と天体』ルドルフ・シュタイナー著、西川隆範編訳、風濤社、2017年1月、本体2,200円、四六判上製216頁、ISBN978-4-89219-427-6
アドルフ・ヴェルフリ――二萬五千頁の王国』アドルフ・ヴェルフリ画、服部正監修、国書刊行会、2017年1月、本体2,500円、AB判上製232頁、ISBN978-4-336-06141-6

バルト『テクストの楽しみ』は原著が1973年刊、初訳は沢崎浩平訳『テクストの快楽』で1977年にみすず書房から刊行され、99年に第15刷を数えるロングセラーでした。46の断章から成る比較的に親しみやすい本で、「理論から自伝への回帰を徴づけたバルト後期の代表作」(帯文より)。シュタイナー『星と人間』は2001年に刊行されたものの新装版で編訳者はしがきによれば「シュタイナーが星々の性質について解き明かした幾多の講義のなかから基本的な」9篇の講義を訳出したものです。全354巻という膨大なシュタイナー全集(スイス、ルドルフ・シュタイナー出版社)の規模を考えると今後もシュタイナーの訳書は増えていくに違いありません。『アドルフ・ヴェルフリ』は日本初となる大規模個展「アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国」の公式図録。図録だけあって豪華な造本の割には非常に安く、お買い得です。2017年1月11日~2月26日まで兵庫県立美術館、3月7日から4月16日まで名古屋市美術館、4月29日から6月18日まで東京ステーションギャラリーにて開催。曼荼羅と楽譜を融合させたような特異な作品群は見る者を別世界に引きずり込む魔力を湛えています。自伝的旅行記『揺りかごから墓場まで』だけでも全45冊2万5千頁に及ぶという膨大な作品群のうち、初期のドローイングから最晩年作まで74点をオールカラーで収録。圧倒的な秩序と圧倒的な自由が共存する驚異的な作品世界を垣間見ることができる、待望の一冊です。

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# by urag | 2017-02-05 21:40 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)