2017年 03月 15日

「図書新聞」にカッチャーリ『抑止する力』の書評

弊社12月刊、マッシモ・カッチャーリ『抑止する力』(上村忠男訳)について、「図書新聞」2017年3月18日号に書評「オレンジとバカにされている偉そうなジジイのアポカリプスとともに、アメリカのいたるところは主の到来を待ち望む人たちによって埋め尽くされようとしている」が掲載されました。評者は篠原雅武さんです。本書の難解な部分を丁寧に解きほぐし、「カッチャーリの本は反時代的に見えて、未来を予見する本として読むことができる」と評していただきました。本書とアメリカの情勢を合わせて読み解くという非常にアクチュアルな書評を寄せて下さった篠原さんに深く御礼申し上げます。

ちなみにオレンジというのは、米国の現大統領の一風変わった日焼け顔を揶揄して言う表現として知られているようです。興味深いですね。
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# by urag | 2017-03-15 17:49 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 14日

メモ(15)

「NHKニュース」2017年3月12日1時39分付動画記事「TSUTAYA展開の会社 徳間書店を傘下に入れる方針固める」に曰く「関係者によりますと、TSUTAYAを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブは、子会社のカルチュア・エンタテインメントを通じて、「徳間書店」の議決権のある株式のおよそ96%を取得する方針を固めました。/カルチュア・コンビニエンス・クラブは、すでに子会社を通じて徳間書店の議決権のある株式のおよそ15%を持っていて、さらに保有する株式を議決権付きに転換するなどして、今月中にも徳間書店を傘下に入れることにしています」と。さらに「今回、徳間書店を傘下に入れることで、出版事業を強化し、そのコンテンツやノウハウを書店の店作りや電子書籍の配信などに活用する狙いがあるものと見られ、厳しい経営環境にある出版業界の新たな動きとして注目を集めそうです」とも報じられています。

「ORICON NEWS」3月14日11時9分付記事「CCC、「徳間書店を子会社化」報道にコメント」などが報じているようにCCCは広報より「本日の一部報道に関するお知らせ」として「本日、一部報道機関において、CCCグループのカルチュア・エンタテインメント株式会社が出版社の株式を取得し子会社化するという報道がなされておりますが、当社が発表したものではございません。/今後、開示すべき事実が決定した場合は、お知らせいたします」とコメントを出していますが、以後各紙からも報道が出ている状況です。

関連記事には以下のものがあります。

「産経ニュース」3月14日11時23分付記事「ツタヤ親会社が徳間書店を買収へ 出版やコンテンツ増強、96%出資で子会社化
「日本経済新聞」3月14日11時29分付記事「CCC、徳間書店を買収へ 数億円追加出資
「時事通信」3月14日12時54分付記事「TSUTAYA、徳間書店を子会社化=出版事業強化
「TBSニュース」3月14日14時16分更新動画記事「TSUTAYA運営会社、徳間書店を傘下に

「日本著者販促センター」のウェブサイトに転載されている「新文化」紙発表による、「丸善ジュンク堂書店 2016年 出版社別 売上げ ベスト 300」では、徳間書店は40位(前年度31位)で、同紙発表の、「2016年 紀伊國屋書店 出版社別 売上ベスト300社」では34位(前年度30位)で、下降気味とはいえ、ベスト50位以内に入る大出版社です。以前当ブログでも確認した通り、CCCの傘下版元にはCCCメディアハウスや美術出版社、ネコ・パブリッシング、復刊ドットコム、光村推古書院などがあり、今後もますます増えていくのかもしれませんし、書店、取次、版元、IT企業、印刷会社、等々を巻き込んだ、上位企業をターゲットにした業界再編が進むのかもしれません。

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2017年3月18日付追記:「Business Journal」2017年3月18日付、ジャーナリストの日向咲嗣氏による記名記事「ツタヤ図書館、ダミー本3万5千冊に巨額税金…CCC経営のカフェ&新刊書店入居」は痛烈。ホンモノの本よりダミー本(「ダミーで見た目だけを整えて集客するためのインテリア」)、国の補助金、800メートルしか離れていない場所に中央図書館、駅ビル開発ありき、傲慢な市議会、「公共性を無視した指定管理の典型」。・・・この手の図書館に違和感を抱く出版人がますます増えそうな予感です。

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# by urag | 2017-03-14 15:37 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 12日

注目新刊:森元斎『アナキズム入門』ちくま新書、ほか

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アナキズム入門
森元斎著
ちくま新書、2017年3月、本体860円、新書判272頁、ISBN978-4-480-06952-8

帯文より:「森元斎は共が飢えていたらパンをかっぱらってでも食わしてくれる。魂のアナキストだ。アニキ!!」栗原康氏推薦!

カバーソデ紹介文より:国家なんていらない。資本主義も、社会主義や共産主義だって要らない。いまある社会を、ひたすら自由に生きよう――そうしたアナキズムの施行は誰が考え、発展させてきたのか。生みの親プルードンに始まり、奇人バクーニン、聖人クロポトキンといった思想家、そして歩く人ルクリュ、暴れん坊マフノといった活動家の姿を、生き生きとしたアナーキーな文体で、しかし確かな知性で描き出す。気鋭の思想史研究者が、流動する瞬間の思考と、自由と協働の思想をとらえる異色の入門書。

目次:
はじめに
第一章 革命――プルードンの智慧
第二章 蜂起――バクーニンの闘争
第三章 理論――聖人クロポトキン
第四章 地球――歩く人ルクリュ
第五章 戦争――暴れん坊マフノ
おわりに
引用文献

★発売済。デビュー作『具体性の哲学――ホワイトヘッドの知恵・生命・社会への思考』(以文社、2015年)が胚胎していたアナキズム思想への枝分かれが、ついに開花へと転じていくさまを感じさせる、鮮烈な一冊が生まれた、というのが第一印象です。文体は盟友である栗原康さんとの共振を感じさせ、短く畳みかけていく音楽性が心地よいです。「本当は、みんなアナキストだ」(13頁)、「反国家を掲げずとも、皆アナキストでしかない。そしてコミュニストでしかない」(14頁)。生きている限りお互い助け合う関係(17頁)、「互酬性なき贈与の関係」(18頁)、それをアナキズム、コミュニズム、アナルコ・コミュニズムの基底に見るところから本書は出発します。「相互扶助を行っていた種こそが常に子孫を残し、?栄していった。虫のほとんどは、群れをなして、何千年も生きているではないか! 人間だって、そうだろう。アナルコ・コミュニズムはいたるところにあるし、それが基盤にある。私たちは虫である、動物である、人間である、自然である。ただ生きている。生そのもののあり方、それがアナルコ・コミュニズムなのではないだろうか」(20頁)。

★本書は目次にある通り、過去の様々なアナキストの活躍を活写するもので、権威権力上司先生からの抑圧に日々うんざりしている人々すべてに「暴れる力」(参照:栗原康『現代暴力論――「あばれる力」を取り戻す』角川新書、2015年)を思い出させてくれます。おそらく「暴れる力」、爆発的な生命力は、本当は誰しもが幼い頃には持ち合わせていた何かではなかったかと思います。「大人しさ」とは対極的なこの力が自分の中にもまだあることを本書は教えてくれる気がします。実に爽快な一書です。ネタバレはやめておきますが、あとがきの最後にある一言も素敵です。アナキスト人類学者であるグレーバーの『負債論――貨幣と暴力の5000年』(酒井隆史監訳、高祖岩三郎・佐々木夏子訳、以文社、2016年11月)がよく売れた書店さんなら、森さんの『アナキズム入門』も必ず売れると思います。ちょうどひと月前、森さんと栗原さんはほかならぬ『負債論』をめぐるトークイベントを某書店さんで行っています。

★なお、森さんが「現在の私たちが読むべき本だと本当に思う」と激賞されているクロポトキンの『相互扶助論』は先月、「〈新装〉増補修訂版」が同時代社から発売されています。大杉栄訳。内田樹さんはこの本に次のような推薦文を寄せておられます「定常経済・相互扶助社会は「夢想」ではなくて、歴史の必然的帰結です。意図的に創り出さなくても、自然にそうなります。この企ての合理性が理解できない人たちは「弱者を支援するために作られた組織」の方が「勝者が総取りする組織」よりも淘汰圧に強いということを知らないのでしょう。――『相互扶助論』をぜひお手に取って頂きたいと思います。クロポトキンは相互扶助する種はそうしない種よりも生き延びる確率が高いという生物学的視点からアナーキズムを基礎づけようとしました。なぜアナーキズムが弾圧されたのか、その理由が読むと分かります。国家による「天上的介入」抜きで市民社会に公正と正義を打ち立てることができるような個人の市民的成熟をアナーキズムは求めました。「公正で雅量ある国家」を建設するより前に、まずその担い手たる「公正で雅量ある市民」を建設しようとしたことに国家は嫉妬したのです」。

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★このほか最近では以下の新刊に目が留まりました。

語録 要録』エピクテトス著、鹿野治助訳、中公クラシックス、2017年3月、本体1,600円、新書判284頁、ISBN978-4-12-160172-8
不安(上)』ジャック・ラカン著、ジャック=アラン・ミレール編、小出浩之/鈴木國文/菅原誠一/古橋忠晃訳、岩波書店、2017年3月、本体4,900円、A5判上製248頁、ISBN978-4-00-061186-2
メディアの本分――雑な器のためのコンセプトノート』増田幸弘編、彩流社、2017年3月、本体2,200円、四六判並製280頁、ISBN978-4-7791-7087-4

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★エピクテトス『語録 要録』は中公バックス版『世界の名著14 キケロ エピクテトス マルクス・アウレリウス』(1980年)からのスイッチ。同じ訳者による『エピクテートス 人生談義』(上下巻、岩波文庫、1958年)との違いについてですが、底本は共に1916年のトイプナー版ではあるものの(中公クラシックス版には原典情報が記載されていないため親本である『世界の名著』版の巻頭にある鹿野治助さんによる解説「古代ローマの三人の思想家」の末尾にある「後記」を参照)、岩波文庫の方は現存する『語録』全4巻を全訳し、関連する断片と『提要』(『要録』のこと)を訳出したものであり、いっぽう、中公クラシックス版は岩波文庫より10年下った1968年に出版されたハードカバー版『世界の名著13』で実現された改訳版であり、『語録』の抄訳と『要録』の全訳を収めています。この改訳版では『語録』は各章の順番が入れ替えられるなどの工夫が為されています。さらに今回の新書化にあたって、巻頭に國方栄二さんによる解説「エピクテトス――ストイックに生きるために」が新たに加えられています。

★ジャック・ラカン『不安(上)』はラカンのセミネール(講義録)の第10巻の前半です。講義は1962年から63年にかけて行われたもので、書籍としては2004年にスイユから刊行されています。上巻では講義の第11回までを収録。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。リンク先では立ち読み用PDFもあり、上下巻の目次や10頁までの本文が読めます。カバーソデ紹介文に曰く「主体と欠如、欲望とその原因をめぐるトポロジカルな迷宮の果てに、ついに「対象a」をめぐる本格的考察を展開」と。ラカン自身は「不安」という主題を「極めて大きな鉱脈」(3頁)だと評価しており、第1回講義「シニフィアンの網の中の不安」では、サルトルやハイデガーら同時代の哲学者に目配せを送りつつも、実存思想から画然と隔たった「刃の上」(21頁)へと聴講生を導きます。難解な(よそよそしい)『エクリ』に比べると『セミネール』ではいくらか、より親切な(魅惑的な)ラカンに出会えます。むろんそれは単純に分かりやすいことを意味してはいないのですが、分からないなりにも受講している感覚を味わえるのが『セミネール』の魅力ではないかと思います。

★増田幸弘編『メディアの本分』は、版元紹介文に曰く「記者や編集者、カメラマン、デザイナー、コピーライター、映画監督ら25人が考えた現場からのメディア論」であり、帯には「マスコミ希望は必読!」と謳われています。日ごろ弊社もお世話になっている紀伊國屋書店新宿本店仕入課の大矢靖之(おおや・やすゆき:1980-)係長が「器と書店についての試論」と題して寄稿されており、私と同世代の「共和国」代表、下平尾直(しもひらお・なおし:1968-)さんによる「未完のページを埋めるもの」と題した実に軽妙な小説仕立ての一文を読むこともできます。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。それぞれの現場からの肉声が胸に沁みます。特に編者の増田幸弘(ますだ・ゆきひろ:1963-)さんによる「幸福な出会いの哲学」の末尾にある、自分が世間に対して感じる「屈服しきれないもの」の根っこが「子どもたちに語り継ぐため」という点にあるのだ、という言葉に強い共感を覚えます。また、増田さんの「編者あとがき」での発言にも同様な思いを抱きました。曰く「いまの時代、「器」、なんでも載せられる「雑な器」が失われた」のではないか、「それが社会の閉塞感につながっているのではないか」(274頁)と書いておられます。「かつて暮らしの回りには、「雑な器」があふれていた。新聞も、雑誌も、本も、音楽も、映画も、テレビも、あらゆるものが「雑な器」であり、社会そのものが「雑な器」だった」(274~275頁)。洗練され、セレクトされたものしか「器」に盛り込むのをゆるさない社会、と。まさに私自身、同様な感覚の中で出版の仕事をしており、その一帰結はおそらく遠からず形にできると思います。

★同じく「編者あとがき」によれば増田さんは先月、『不自由な自由 自由な不自由――チェコとスロヴァキアのグラフィック・デザイン』という新刊を六耀社さんから刊行されており、「本書〔『メディアの本分』〕を編集した同時期、チェコとスロヴァキアのグラフィック・デザイナーたちを取材して回り、表現の自由が著しく制限されていた社会主義時代を浮き彫りにしようとした」と述懐されています。この本は『メディアの本分』と表裏一体のもので、いまの日本や世界を考えるうえで併読されたい、とのことです。

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# by urag | 2017-03-12 21:10 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 07日

注目新刊:上野・米虫・近藤編『主体の論理・概念の倫理』以文社

弊社出版物でお世話になっている著者の方の最近のご活躍をご紹介します。

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★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』、訳書:カヴァイエス『論理学と学知の理論について』)
2013年度から2015年度までの3年間にわたって「フランス・エピステモロジーの伏流としてのスピノザ」という共同研究の成果をまとめた編著書を上梓されました。巻頭の「スピノザ人物相関図」は力作で、スピノザ(Baruch De Spinoza, 1632-1677)の死後からこんにちにいたるまでの影響関係がコンパクトにまとめられています。書店員さん必見かと。

主体の論理・概念の倫理――二〇世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義
上野修・米虫正巳・近藤和敬編
以文社 2017年2月 本体4,600円 A5判上製476頁 ISBN978-4-7531-0338-6

目次:
スピノザ人物相関図
序(上野修)
第一部〈概念〉
 導入 カヴァイエス、エピステモロジー、スピノザ(近藤和敬)
 【コラム】ジャン・カヴァイエス(近藤和敬)
 第一章 一つの哲学的生成――ブランシュヴィックからカヴァイエスへ(中村大介)
 【コラム】レオン・ブランシュヴィック(中村大介)
 第二章 ジャン・カヴァイエス――概念の哲学 その下部構造の諸要素(ウーリヤ・ベニス=シナスール/近藤和敬訳)
 第三章 カヴァイエスとスピノザ『エチカ』のあいだに見出しうる一つの関係――カヴァイエスはなぜ『公理的方法と形式主義』の口頭試問でスピノザの加護を求めたのか(近藤和敬)
 第四章 ヴュイユマン『代数学の哲学』とスピノザ『エチカ』の幾何学的秩序(原田雅樹)
 【コラム】ジュール・ヴュイユマン(原田雅樹)
第二部〈主体〉
 導入 エピステモロジーと精神分析――ラカン、ドゥサンティ、スピノザ(上野修)
 【コラム】ルイ・アルチュセール(上尾真道)
 第一章 構造と主体の問い――『分析手帖』という「出来事」(坂本尚志)
 【コラム】ジャック=アラン・ミレール/ジャン=クロード・ミルネール/アラン・バディウ(坂本尚志)
 第二章 ラカンの「エピステモロジー」における真理の探究について(上尾真道)
 【コラム】ジャック・ラカン(信友建志)
 第三章 ラカンにおけるスピノザのプレゼンス(上野修)
 第四章 ラカンと数理論理学――フランス現代思想におけるスピノザ受容の一側面として(信友建志)
 第五章 概念の哲学・精神分析・生命の哲学の知られざる結節点――ドゥサンティとそのスピノザ主義について(米虫正巳)
 【コラム】ジャン=トゥサン・ドゥサンティ(米虫正巳)
第三部〈生〉
 導入 生命のエピステモロジーとスピノザ主義(米虫正巳)
 第一章 概念の哲学から生命の哲学へ――カンギレムによるスピノザ主義の展開(藤井千佳世)
 【コラム】ジョルジュ・カンギレム(藤井千佳世)
 第二章 カンギレムとヘーゲル――概念の哲学としての生命の哲学(坂本尚志)
 第三章 ドゥルーズにとってのスピノザ――『エチカ』の意味論的解釈をめぐって(朝倉友海)
 【コラム】ジル・ドゥルーズ(朝倉友海)
 第四章 構成主義としての哲学と内在としての生――ドゥルーズ/スピノザとゲルー/フィヒテ(米虫正巳)
 【コラム】マルシアル・ゲルー(米虫正巳)
第四部〈現在〉
 第一章 現代英語圏におけるスピノザ読解――分析形而上学を背景にした、スピノザの必然性概念をめぐる側面的考察(木島泰三)
 鼎談 総括と展望(上野修・米虫正巳・近藤和敬)
欧語文献
邦語文献
人名索引

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# by urag | 2017-03-07 19:14 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 06日

3月末発売予定新刊:上野俊哉『[増補新版]アーバン・トライバル・スタディーズ』

2017年3月27日取次搬入予定|ジャンル=現代思想・文化研究

[増補新版]アーバン・トライバル・スタディーズ――パーティ、クラブ文化の社会学
上野俊哉著
月曜社 2017年3月 本体3,000円 四六判変型(130mm×190mm) 並製448頁 ISBN978-4-86503-042-6

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

どうして、どのように、人々は集まって踊るようになったのか? 2005年の初版刊行から12年を経て、パーティやクラブなど「都市の部族(アーバン・トライブ)」の集う現場につねに身を置きながら根源的に思考/記述した類書なきエスノグラフィ、待望の増補新版刊行。100頁超の長大な「増補新版への序章 蝕のコスモ・ポリティクス――そしてまた野外で踊る」と次なる書物への誘い「ブックガイド 都市の部族(アーバン・トライブ)について継続して考えるために」を附した決定版。

上野俊哉(うえの・としや):1962年生まれ。和光大学表現学部総合文化学科教授。社会思想史、文化研究、メディア論。近年の主な著書に『思想家の自伝を読む』(平凡社新書、2010年)、『思想の不良たち――1950 年代 もう一つの精神史』(岩波書店、2013年)、『荒野のおおかみ――押井守論』(青弓社、2015年)、『四つのエコロジー――フェリックス・ガタリの思考』(河出書房新社、2016年)など。主な訳書に、ポール・D・ミラー『リズム・サイエンス』(今西玲子との共訳、青土社、2008 年)、イアン・コンドリー『日本のヒップホップ――文化グローバリゼーションの〈現場〉』(監訳、田中東子・山本敦久訳、NTT出版、2009年)、スティーヴン・シャヴィロ『モノたちの宇宙――思弁的実在論とは何か』(河出書房新社、2016年)など。

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# by urag | 2017-03-06 17:22 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 06日

星野太×高橋明彦トークイベント@金沢・芸宿

星野太さんの『崇高の修辞学』刊行を記念し、以下の通り金沢市内でトークイベントが行われます。

◎星野太(話し手)×高橋明彦(聞き手)「『崇高の修辞学』出版記念トークイベント」

日時:2017年3月17日(金)18:00-20:00
場所:芸宿裏棟2F(石川県金沢市石引1-16-28)
料金:¥1,000(食事付)
問合:080-1456-7471(別府)
※食事の用意もありますので、参加希望の方はリンク先の参加ボタンを押すか、事前にお知らせいただけると助かります。

星野太(ほしの・ふとし):1983年生まれ。美学、表象文化論。東京大学大学院総合文化研究科博士課程修了。博士(学術)。現在、金沢美術工芸大学講師。著書に『崇高の修辞学』(月曜社、2017年)、共著に『コンテンポラリー・アート・セオリー』(イオスアートブックス、2013年)、訳書にカンタン・メイヤスー『有限性の後で』(共訳、人文書院、2016年)など。

高橋明彦(たかはし・あきひこ):1964年新潟県生まれ。金沢美術工芸大学教授。東京都立大学大学院博士課程単位修得退学。専門の日本近世文学の研究手法(注釈学、文献学、書誌学など)を用いて楳図かずおも研究する。著書に『楳図かずお論』(青弓社、2015年)。大学では一般教養の文学や論文指導を担当する。好きな哲学者はベルクソンとドゥルーズ。

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また、すでに告知済ですが、代官山蔦屋書店での講演会についても再度お知らせします。当日、サイン会を行います。また、ご来場者には特別小冊子(書き下ろし)をプレゼントします。内容は「『崇高の修辞学』本編未収録の覚書」および、人文コンシェルジュMさんとの「一問一答」が収録される予定です。

トークイベント:『崇高の修辞学』(月曜社)刊行記念・星野太講演会

当日ご希望の方にサイン会を予定しております。サイン対象本は、当店でご購入いただきました対象書籍のみとさせていただきます。また、今回のイベントご来場のお客様にのみ、限定の書き下ろし特別小冊子をプレゼントする予定です。

日時:2017年03月24日(金) 19:00~
場所:蔦屋書店1号館 2階 イベントスペース
定員:70名

参加条件:代官山 蔦屋書店にて、対象書籍『崇高の修辞学』(月曜社刊/3,888円税込)をご予約・ご購入頂いたお客様。またはオンラインストアにて参加券をご購入のお客様。
お申込み方法:①代官山 蔦屋書店 店頭(1号館1階 レジ)、②オンラインストア(2017年3月22日午前9時まで受注)、③お電話 03-3770-2525(1号館 1階 人文フロア)

対象商品:『崇高の修辞学』(月曜社 3,888円/税込/地方発送も可能)もしくはイベント参加券(1,000円/税込)

注意事項:参加券1枚でお一人様にご参加いただけます。イベント会場はイベント開始の15分前からで入場可能です。当日の座席は、先着順でお座りいただきます。参加券の再発行・キャンセル・払い戻しはお受けできませんのでご了承くださいませ。止むを得ずイベントが中止、内容変更になる場合があります。

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『崇高の修辞学』をめぐっては、「Book News|ブックニュース」2017年3月4日付エントリー「「崇高」に惑わされないための丁寧な考察『崇高の修辞学』(星野太著)」にてご丁寧な紹介を賜りました。また、「ユリイカ」誌2017年3月号「特集*草間彌生――わが永遠の魂」の表4に本書を含む弊社新刊広告を出しております。さらに、3月下旬にはいよいよ重版もできあがる予定です。初版本をお買い求めになりたいお客様はお早めに書店店頭在庫よりお求めください。

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# by urag | 2017-03-06 15:00 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 05日

白水社版『メルロ=ポンティ哲学者事典』(全3巻+別巻1)刊行開始、ほか

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メルロ=ポンティ哲学者事典 第三巻 歴史の発見・実存と弁証法・「外部」の哲学者たち
モーリス・メルロ=ポンティ編著 加賀野井秀一/伊藤泰雄/本郷均/加國尚志監訳
白水社 2017年2月 本体5,400円 A5判上製460頁 ISBN978-4-560-09313-9

帯文より:ヘーゲル、マルクス、ニーチェ、ベルクソン、ハイデガー、サルトル……おもに19~20世紀に活躍した300名超の「セレブな哲学者たち」を収録する第三巻。もれなく哲学がわかる、考える人の座右の「友」。第1回配本、全3巻+別巻1。

目次:
はじめに
本書の構成と執筆者
VI 歴史の発見(モーリス・メルロ=ポンティ)
 十八世紀
 十九世紀
 シェリング(ジュール・ヴュイユマン)
 ヘーゲル(エリック・ヴェイユ)
 コント(ポール・アルブース=バスティード)
 マルクス(ハロルド・ローゼンバーグ)
 ニーチェ(カール・レーヴィット)
VII 実存と弁証法(モーリス・メルロ=ポンティ)
 十九世紀末の形而上学
 一九〇〇年前後の科学批判
 ベルクソン(ジル・ドゥルーズ)
 ベルクソニスム
 ブロンデル(アンリ・デュメリ)
 行為の弁証法
 クローチェ(ノルベルト・ボッビオ)
 アラン(モーリス・サヴァン)
 ヘーゲル学派とマルクス主義の再興
 レアリスム
 ラッセル(アンソニー・クイントン)
 論理主義
 フッサール(アルフォンス・ド・ヴァーレンス)
 シェーラー(アルフレッド・シュッツ)
 ハイデガー(アルフォンス・ド・ヴァーレンス)
 サルトル(アルフォンス・ド・ヴァーレンス)
 現象学の方向
 学派に属さない人々
 哲学史家
VIII 「外部」の哲学者たち(モーリス・メルロ=ポンティ)
 アインシュタインと物理学
 ゴールドシュタインと生物学
 ソシュールと言語学
 モースと人類学
 フロイトと精神分析
 コフカと心理学
 哲学と文学
 カール・バルトと神学
索引
訳者略歴

★原書は『Les philosophes célèbres』(Editions d'art Lucien Mazenod, 1956)で、日本語訳ではこれを三分冊に分割し、さらに日本語版オリジナルの別巻(「現代の哲学」/年表/総索引)で補完するとのことです。上記に書き出した目次にはさらに細目があり、たとえば第VI部の「十八世紀」の賞ではヴィーコ、ルソー、コンドルセ、ヴォルネーが取り上げられています(もっともルソーについては第二巻を参照せよ、と記されています)。各細目はメルロ=ポンティのほか、17名が分担執筆しており、そのなかにはバシュラールやギュスドルフ、ダミッシュ、ポンタリスらが含まれています。無記名や上記の丸括弧内の「肖像」の寄稿者を含むと20名以上が第三巻に参加しています。半世紀以上前の古い本ではありますが、もはや古典であり、取り上げられた思想家たちと錚々たる執筆陣の登場に、壮大な星座を仰ぎ見る心地がします。

★次回配本は4月46日発売の第二巻「大いなる合理主義・主観性の発見」で、「デカルト、スピノザ、ライプニッツ、パスカル、ヒューム、ルソー、カント……主に17~18世紀に活躍した哲学者たち100名超を立項解説」し、「スタロバンスキーのモンテーニュ論を収録」とのことです。

★なおMazenod社の「セレブ」シリーズには『政治家列伝』(全6巻、1969~1977年)、『探検家列伝』(1965年)、『女傑列伝』(全2巻、1960~1961年)、『建築家列伝』(全2巻、1958~1959年)、『アルピニスト列伝』(1956年)、『彫刻家列伝』(1954年)、『画家列伝』(全3巻、1948年;1953~1964年)、『作家列伝』(全3巻補巻1、1951~1971年)、『発明家列伝』(1950年)、『児童列伝』(1949年)、『医師列伝』(1947年)、『音楽家列伝』(1946年)など、多数あるようです。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

『頼山陽とその時代(上・下)』中村真一郎著、ちくま学芸文庫、2017年3月、本体1,500円/1,700円、文庫判496頁/656頁、ISBN978-4-480-09778-1
『カント入門講義――超越論的観念論のロジック』冨田恭彦著、ちくま学芸文庫、3017年3月、本体1,200円、文庫判320頁、ISBN978-4-480-09788-0
中国のマンガ〈連環画〉の世界』武田雅哉著、平凡社、2017年2月、本体3,500円、A5判上製372頁、ISBN978-4-582-48222-5
ラカン的思考』宇波彰著、作品社、2017年2月、本体2,400円、46判上製240頁、ISBN978-4-86182-621-4
追放と抵抗のポリティクス――戦後日本の境界と非正規移民』髙谷幸著、ナカニシヤ出版、2017年2月、本体3,500円、A5判上製272頁、ISBN978-4-7795-1155-4

★ちくま学芸文庫の3月新刊はまもなく発売(8日発売予定)。中村真一郎『頼山陽とその時代』はかつて単行本全一巻(中央公論社、1971年)で刊行され、文庫化(中公文庫、全三巻、1976~1977年)を経て今回再刊されるものです。大幅にルビを増やし、人名索引を一新したとのこと。中公文庫版では解説を篠田一士さんが書かれていましたが、今回の版では揖斐高さんが「『凍泉堂詩話』から『頼山陽とその時代』へ」と題した解説を寄せておられます。編集部の巻末特記によれば揖斐さんは再刊にあたって「誤りの訂正や表記の変更」に協力されています。 頼山陽(らい・さんよう:1780-1832)の主著『日本外史』は岩波文庫(全3巻、1976~1981年)で読むことができます。

★冨田恭彦『カント入門講義』はちくま学芸文庫のための書き下ろし。章立ては以下の通りです。はじめに/第1章 カント略伝/第2章 なぜ「物自体」vs「表象」なのか?/第3章 解かなければならない問題/第4章 コペルニクス的転回/第5章 「独断のまどろみ」から醒めて/第6章 主観的演繹と図式論/第7章 アプリオリな総合判断はいかにして可能か/第8章 魅力と謎/あとがき。『純粋理性批判』に見られるカントの観念論の論理を、可能な限りわかりやすく説き明かすこと(「はじめに」より)が目指されています。なお筑摩書房さんでは石川文康訳で『純粋理性批判』全2巻が単行本で3年前に刊行されていますが、いずれ文庫化される折にはぜひ全1巻本に挑戦していただきたいです。同書はどの文庫でも分冊形式なので、一冊で通読できる文庫の需要はそれなりにあると思うのです。

★筑摩書房さんの3月新刊ではこのほか、森元斎『アナキズム入門』ちくま新書、山室静『北欧の神話』ちくま学芸文庫、ケネス・J・アロー/村上泰亮訳『組織の限界』ちくま学芸文庫、などに注目。後日取り上げる予定です。

★武田雅哉『中国のマンガ〈連環画〉の世界』は発売済。本書は「20世紀の中国で生まれ、発達し、21世紀にさしかかるころにはすでにその隆盛期を終えた、「連環画」と呼ばれる特殊な様式の読み物」(「はじめに」より)を紹介する試みとのことです。「連環画」とは「文字通りには「連続する絵(で構成される本)」といった意味」だそうで、「「マンガ」「漫画」「劇画」「コミック」のたぐいである」ものの「かならすしも、それらとぴったり一致するわけではない」と。中華民国~中華人民共和国建国初期~文化大革命~文革終息後といった時代を経て今日に至る歴史をひもとく、非常に興味深い研究書です。カラー口絵24頁を含め、図版多数。

★宇波彰『ラカン的思考』は発売済。はしがきに曰く、入門書でもラカン思想の粗述でもアカデミックな研究でもない「「まともな」ラカン解釈とは異なった見方」を提示するもので、帯文には「著者畢生のライフワーク」と謳われています。「あなたは存在しない」「心と身体」「かたちが意味を作る」「他者の欲望」「解釈とは何か」「あとから作る」「反復は創造し、破壊する」「像と言語」「コレクション」「フィルター・バブル」の全10章立て。とりわけ異色の第10章「フィルター・バブル」は、「ネットワーク、ソーシャルメディアの急激な発達」(あとがきより)が社会にもたらす変化にラカン的主題を見出したものとのことで、1933年生まれの重鎮の、いまなお立ち止まることのない思考の歩みというものを感じることができるのではないかと思われます。

★なお、まもなくラカンのセミネール第10巻(1962~1963年)である『不安〔L'angoisse〕』の訳書が岩波書店から刊行されます。まずは上巻(小出浩之/鈴木國文/菅原誠一/古橋忠晃訳)が3月9日に発売。うかうかしているといつの間にか品切になってしまうのが通例なので、新刊時に購入するのが一番です。

★髙谷幸『追放と抵抗のポリティクス』はまもなく発売。著者の髙谷幸(たかや・さち:1979-)さんは現在、大阪大学大学院人間科学研究科准教授で、ご専門は社会学、移民研究。本書が単独著第一作となります。序章にはこう書かれています。「本書は、戦後日本における非正規移民の追放と抵抗の「現場」、すなわち移住者の越境、その越境者を線引き、追放しようとする主権権力、そうした権力への抵抗運動によるポリティクスを考察することを目的とする。またそれをとおして、日本の境界が、それぞれの時代においてどのような文脈や論理にもとづいて引かれ、いかなる効果をもたらしてきたのかを明らかにすることをもめざしている」(7~8頁)。「この場に暮らすすべての人びとの空間としての社会を肯定する」(214頁)ことの難しさと向き合うためのアクチュアルな新刊ではないでしょうか。

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# by urag | 2017-03-05 23:49 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)