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2017年 10月 30日

注目新刊:ホワイト『実用的な過去』岩波書店、ほか

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★上村忠男さん(訳書:アガンベン『到来する共同体』、編訳書:パーチ『関係主義的現象学への道』、スパヴェンタほか『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学』、共訳書:アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』)
ヘイドン・ホワイトさんの論文集『実用的な過去』(上村忠男監訳、上村忠男/佐藤啓介/松原俊文/那須敬訳、岩波書店、2017年10月)が発売となりました。『The Practical Past』(North western University Press, 2014)の全訳に、ホワイトさんの最新論考「歴史的真実、違和、不信」(翻訳初出は上村さん訳で『思想』2016年11月号)を付録として収めています。目次詳細や立ち読みは書名のリンク先でご利用になれます。上村さんは同書の翻訳に当たられ、さらに監訳者として解説「ホロコーストをどう表象するか――「実用的な過去」の見地から」と監訳者あとがきも担当されておられます。

★星野太さん(著書:『崇高の修辞学』)
中沢研さんの作品集『中沢研』(赤々舎、2017年10月)の巻末に、星野さんが執筆された「形態の明滅――中沢研の作品(2012-2016)」が併載されています。「フレーム」「空間」「軽量化」「形態」「形象」「理性/比率」の全6節で、中沢さんの作品を読み解かれておられます。

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一方、弊社刊行物の書評情報です。8月刊、ポール・ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない――人種と国民をめぐる文化政治』(田中東子/山本敦久/井上弘貴訳)の書評が出ました。『MUSIC MAGAZINE』2017年11月号の「RANDOM ACCESS」欄に、石田昌隆さんによる書評が掲載されています。また「図書新聞」2017年11月4日号では1~2面に、酒井隆史さんによる長文の書評「不変と変化、この30年――レイシズムとナショナリズムの不可分な力関係」が掲載されています。また、再掲となりますが、同書をめぐるシンポジウムが来月中旬行われます。


日時:2017年 11月12日(日曜日)13:30〜17:00(開場13:00)
場所:神戸市・海外移住と文化の交流センター
参加費:無料(要・事前申し込み→こちらから)

登壇者:酒井隆史(大阪府立大学人間社会システム研究科教授)、鈴木慎一郎(関西学院大学社会学部教授)、田中東子(大妻女子大学文学部准教授)、山本敦久(成城大学社会イノベーション学部准教授)、井上弘貴(神戸大学国際文化学研究科准教授)

主催:神戸大学国際文化学研究推進センター2017年度研究プロジェクト「ポストBrexitの文化状況――身体・都市・メディア・資本へのグローバルな影響と意味」(代表者:小笠原博毅)
後援:カルチュラル・ スタディーズ学会

内容:「ユニオンジャックに黒はない」。1970年代イギリスの極右勢力が移民排斥のスローガンとしたこの文言は同時に、「だからなんだってんだ!」というカルチュラル・スタディーズの立ち位置を鮮明に表す合言葉ともなった。原著出版後30年の時を経てついに邦訳なる! ディアスポラの響きに誰よりも寄り添ってきた鈴木慎一郎氏と、近代資本主義を地べたから検証している酒井隆史氏をゲストに迎え、訳者3名と徹底的に討論する。

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by urag | 2017-10-30 12:47 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 29日

注目新刊:コペルニクス『完訳 天球回転論』みすず書房、ほか

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完訳 天球回転論――コペルニクス天文学集成』高橋憲一訳/解説、みすず書房、2017年10月、本体16,000円、A5判上製728頁、ISBN978-4-622-08631-4
麻薬常用者の日記〔新版〕Ⅰ天国篇』アレイスター・クロウリー著、植松靖夫訳、国書刊行会、2017年10月、本体2,300円、四六変型判並製320頁、ISBN978-4-336-06215-4
書物の宮殿』ロジェ・グルニエ著、宮下志朗訳、岩波書店、2017年10月、本体2,700円、四六判上製208頁、ISBN978-4-00-061223-4
語るボルヘス――書物・不死性・時間ほか』J・L・ボルヘス著、木村榮一訳、岩波文庫、2017年10月、本体580円、192頁、ISBN978-4-00-327929-8
国語学史』時枝誠記著、岩波文庫、2017年10月、本体900円、320頁、ISBN978-4-00-381504-5
呻吟語(ビギナーズ・クラシックス 中国の古典)』湯浅邦弘著、角川ソフィア文庫、2017年10月、本体960円、320頁、ISBN978-4-04-400291-6 
幸福論』B・ラッセル著、堀秀彦訳、角川ソフィア文庫、2017年10月、本体800円、384頁、ISBN978-4-04-400339-5

★コペルニクス『完訳 天球回転論』は、高橋憲一さんによる『コペルニクス・天球回転論』(みすず書房、1993年)に続く、待望の完訳版です。既訳は大まかに言うと、『天球回転論』第一巻の抄訳(全14章のうち第11章まで)と関連する未刊論考「コメンタリオルス〔小論〕」と訳者解説の三本立てでしたが、今回の完訳版では『天球回転論』全6巻の全訳と「コメンタリオルス」、そして訳者解説の三本立てです。同書第1巻の既訳には矢島祐利訳『天体の回転について』(岩波文庫、1953年)があります。言うまでもありませんが、『天球回転論』はコペルニクスの没年に刊行された主著で、地動説を闡明した歴史的転換点を為す古典です。高額本ではありますけれども、品切になる前に購入しておきたい書目です。みすず書房さんの近刊書にはスピノザ『知性改善論・短論文』の佐藤一郎さんによる新訳が12月刊行と予告されていて、こちらも鶴首して待ちたい本です。

★クロウリー『麻薬常用者の日記〔新版〕Ⅰ天国篇』は国書刊行会版『アレイスター・クロウリー著作集』第3巻(1987年;原著『The Diary of a Drug Fiend』1922年)の改訳新装版を3分冊で刊行するものの第1回配本。個人的にはギーガーの絵をあしらった旧版の函入本が好きなのですが、今回の新装版は判型もハンディかつスタイリッシュに変更されて、これはこれで美しい一冊です。クロウリー没後70年を記念しての刊行で、第Ⅱ巻「地獄篇」は来月(2017年11月)発売予定、第Ⅲ巻「煉獄篇」は12月とのことです。全巻購読者は特典として特製収納BOXがもらえるとのことで、これは揃えるしかないでしょう。国書刊行会さんでは今月、グスタフ・マイリンク『ワルプルギスの夜――マイリンク幻想小説集』(垂野創一郎訳、国書刊行会、2017年10月、本体4,600円、A5判上製450頁、ISBN 978-4-336-06207-9)も刊行されており、こちらも要チェックです。

★次に岩波書店の今月新刊から3点。グルニエ『書物の宮殿』は『Le palais des livres』(Gallimard, 2011)の全訳。書名からすると書物論なのかと連想しますが、実際は少し違います。訳者あとがきで宮下さんは次のように紹介しておられます。「作家人生も終わりに近づいたグルニエが、テーマに応じて、これまで自分が読んできた文学テクストを引いたり、ジャーナリスト・作家としての経験を織り交ぜたりしながら、文学について、書くことについて思いをめぐらせたエッセイだといえる」。目次詳細と立ち読みは書名のリンク先でご利用になれます。特に本書末尾のテクスト「愛されるために」は印象的で、「書くこと〔エクリチュール〕は、ひとつの生きる理由なのだろうか?」という一文から始まります。この一文は帯にも大書されている文言です。

★ブエノスアイレスでの1978年の連続講演集である『語るボルヘス』は特記がないものの、『ボルヘス、オラル』(書肆風の薔薇、1987年;第二版〔新装版〕、水声社、1991年)の改訳版と見ていいかと思います。単行本版と文庫版の違いを列記しておくと、単行本版は原著『Borges, oral』1979年初版を底本とし、ボルヘスの「序言」と5つの講演「書物」「不死性」「エマヌエル・スウェデンボルグ」「探偵小説」「時間」を収めたほか、巻頭にはアベリーノ・ホセ・ポルト(ベルグラーノ大学学長)による「ベルグラーノ大学におけるボルヘス」、巻末にマルティン・ミュラーによる「講演者ボルヘス」、さらに「ボルヘスのプロフィール」と題した無記名の紹介文が訳出され、最後に「訳者あとがき」が置かれています。一方、文庫版は序文と5つの講演(「スウェデンボルグ」が「スヴェーデンボリ」と表記変更されています)を収録したほかは、新たに書き直された訳者による「解説」が巻末に配され、単行本版にあるポルトやミュラーのテクストはありません。底本は原著初版本ではなく、1996年刊の全集第4巻です。

★時枝誠記『国語学史』は、1940年に岩波書店から刊行された単行本の文庫化。凡例によれば底本は改版第14刷(1966年)です。「序説」と「研究史」の二部構成で、第二部は「第一期 元禄期以前」「第二期 元禄期より明和安永期へ」「第三期 明和安永期より江戸末期へ」「第四期 江戸末期」「第五期 明治初年より現代に至る」と立て分けられています。藤井貞和さんが解説「『国語学史』と『国語学原論』」を寄せておられます。巻末に索引あり。時枝誠記(ときえだ・もとき:1900-1967)の文庫で読める著書は、『国語学原論』(上巻、岩波文庫、2007年、品切重版中)と『国語学原論 続篇』(岩波文庫、2008年、在庫僅少)以来のもの。

★角川ソフィア文庫の今月新刊では2点取り上げます。「『菜根譚』と並ぶ混沌の時代の処世訓」との端的な惹句が帯文に書かれた呂坤『呻吟語』は抄訳です。現代語訳、書き下し、原文、解説で構成されています。文庫で読める『呻吟語』抄訳には講談社学術文庫版(荒木見悟訳著)がありましたが、現在品切。「『呻吟語』は、決して過去の遺物ではありません。むしろ今こそ読まれるべき古典です」と今回の編訳本の巻頭に置かれた「はじめに」で湯浅さんは強調しておられます。まったく同感です。現代人の心に深く突き刺さる教えに満ちた素晴らしい本です。

★ラッセル『幸福論』は1952年に刊行され、1970年に改版が出た角川文庫の、久しぶりの新版です。目次や試し読みは書名のリンク先へどうぞ。巻末にはNHK「100分de名著」で『幸福論』を取り上げた小川仁志さんが「復刊に際しての解説」を寄せておられます。「幸福論」という訳題のついた古典的名著にはアランやヒルティ、ヘッセのそれがありますが、類似する書名ではショーペンハウアーの『幸福について』などもあり、ラッセルの本書と比べ読みするのも面白いと思います。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

タラバ、悪を滅ぼす者』ロバート・サウジー著、道家英穂訳、作品社、2017年10月、本体2,400円、四六判上製272頁、ISBN978-4-86182-655-9
『死者の書』の謎』鈴木貞美著、作品社、2017年10月、本体1300円、46判上製280頁、ISBN978-4-86182-658-0
詩集工都――松本圭二セレクション第2巻(詩2)』松本圭二著、航思社、2017年10月、本体3,200円、四六判上製396頁、ISBN978-4-906738-26-7

★『タラバ、悪を滅ぼす者』は、イギリスの桂冠詩人ロバート・サウジー(Robert Southey, 1774-1843)による物語詩『Thalaba the Destroyer』(1801年)の全訳。訳者あとがきによれば、サウジーによる自註のうち、「本文と関連するところ、直接の関係は薄くても内容的に興味深いところは訳出」したとのことです。既訳には高山宏さんによる抄訳「破壊者サラバ」(『夜の勝利――英国ゴシック詞華撰Ⅱ』所収、国書刊行会、1984年)があり、今回の新訳本でも言及があります。訳者の道家さんは「アラブ人でイスラム教徒の主人公タラバがドムダニエルの悪の魔術師の一味と戦う」作品である本作を、「突飛と思われるかもしれないが〔・・・〕話の枠組みが驚くほど『ハリー・ポッター』に類似し、かつ対照的」とも指摘されています。

★『『死者の書』の謎』は27日(金)取次搬入済。章立てを列記しておくと、序章「釈迢空と折口信夫のあいだ」、第一章「『死者の書』の同時代」、第二章「『死者の書』の読まれ方」、第三章「「口ぶえ」とその周辺」、第四章「釈迢空の象徴主義」、第五章「『死者の書』の謎を解く」。巻末には、文献一覧と人名・書名索引が配されています。折口の生誕130周年にあたる本年、『死者の書』は中公文庫版や岩波文庫版があるにもかかわらず角川ソフィア文庫でも今夏刊行されており、今世紀に入ってから川本喜八郎さんによる人形アニメ映画化や、近年の近藤ようこさんによる漫画化が果たされていることは周知のとおりですが、丸ごと一冊を費やした謎解き本はさほど多くありません。

★『詩集工都』はまもなく発売(30日取次搬入)。「松本圭二セレクション」の第2回配本、第2巻です。底本は七月堂より2000年に刊行された単行本で、帯文に曰く「幻の」第二詩集。付属の「栞」には「「詩」を映写すること」と題された佐々木敦さんによる寄稿と、松本さんによる著者解題が掲載されています。後者は前橋文学館特別企画展図録『松本圭二 LET'S GET LOST』からの転載とのことですが、第二詩集の刊行までの紆余曲折に満ちた顛末が赤裸々に記されていて、読む者を戦慄させます。松本さんの執念もさることながら、セレクションに賭ける航思社さんの思いにも凄まじいものを感じます。こうした情念の塊にも似た書物に出会うと、読み手が味読するという次元を超えて、手にしたこの物体に刻まれた言葉たちに読者が視線を食らわれているかのような心地さえします。

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by urag | 2017-10-29 00:23 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 26日

ブックツリー「哲学読書室」に吉田奈緒子さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、ボイル『無銭経済宣言』(紀伊國屋書店、2017年8月)の訳者・吉田奈緒子さんによる選書リスト「お金に人生を明け渡したくない人へ」が追加されました。下記リンク先一覧よりご覧ください。


◎哲学読書室

星野太(ほしの・ふとし:1983-)さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
國分功一郎(こくぶん・こういちろう:1974-)さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!
近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える
上尾真道(うえお・まさみち:1979-)さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
篠原雅武(しのはら・まさたけ:1975-)さん選書「じつは私たちは、様々な人と会話しながら考えている
渡辺洋平(わたなべ・ようへい:1985-)さん選書「今、哲学を(再)開始するために
西兼志(にし・けんじ:1972-)さん選書「〈アイドル〉を通してメディア文化を考える
岡本健(おかもと・たけし:1983-)さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?
金澤忠信(かなざわ・ただのぶ:1970-)さん選書「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す
藤井俊之(ふじい・としゆき:1979-)さん選書「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について
吉松覚(よしまつ・さとる:1987-)さん選書「ラディカル無神論をめぐる思想的布置
高桑和巳(たかくわ・かずみ:1972-)さん選書「死刑を考えなおす、何度でも
杉田俊介(すぎた・しゅんすけ:1975-)さん選書「運命論から『ジョジョの奇妙な冒険』を読む
河野真太郎(こうの・しんたろう:1974-)さん選書「労働のいまと〈戦闘美少女〉の現在
岡嶋隆佑(おかじま・りゅうすけ:1987-)さん選書「「実在」とは何か:21世紀哲学の諸潮流
吉田奈緒子(よしだ・なおこ)さん選書「お金に人生を明け渡したくない人へ

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by urag | 2017-10-26 19:21 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 22日

注目新刊:スタノヴィッチ『現代世界における意思決定と合理性』太田出版、ほか

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現代世界における意思決定と合理性』キース・E・スタノヴィッチ著、木島泰三訳、太田出版、2017年11月、本体3,800円、A5判並製324頁、ISBN978-4-7783-1597-9
政治の本質』マックス・ヴェーバー/カール・シュミット著、清水幾太郎訳、中公文庫、2017年10月、本体900円、文庫判288頁、ISBN978-4-12-206470-6

★『現代世界における意思決定と合理性』はまもなく発売(25日取次搬入)。『Decision Making and Rationality in the Modern World』(Oxford University Press, 2010)の全訳です。カナダの認知心理学者スタノヴィッチ(Keith E. Stanovich, 1950-)の訳書は『心は遺伝子の論理で決まるのか――二重過程モデルでみるヒトの合理性』(椋田直子 訳、みすず書房、2008年、品切)、『心理学をまじめに考える方法――真実を見抜く批判的思考』(金坂弥起監訳、誠信書房、2016年7月)に続き本書が3冊目。「スタノヴィッチが自身の学問的・思想的営みの核心に据えている「合理性」の概念を、心理学の学生向け教科書として簡潔かつ平易に解説した書物である」と訳者はあとがきに記しています。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。各章末には「さらなる読書案内」と題したブックリストがあり、巻末にも充実した「参考文献」があるので、書店さんにとっても書棚編集の大きな参考になるはずです。合理性は分野横断的なキーワードですから、ブックフェアにも向いていると思います。

★『政治の本質』は発売済。三笠書房より1939年に刊行された同名単行本の文庫化です。ヴェーバーの「職業としての政治」(1919年)とシュミットの「政治的なるものの概念」(1933年第3版からの翻訳)のカップリングであり、文庫化にあたり、清水幾太郎さんの関連論考2篇「職業としての政治」「名著発掘 カール・シュミット著『政治的なるものの概念』」を収め、苅部直さんによる解説「幻の政治学古典」が付されています。シュミットの「政治的なるものの概念」が文庫化されるのは初めてのことです。原書は版によって異同がありますからいずれ文庫で各版の異同が分かる新訳が出ることを祈りたいです。なお、中公文庫さんの「古典作品の歴史的な翻訳に光を当てる精選シリーズ」である《古典名訳再発見》では本書の前には、トーマス・マン/渡辺一夫『五つの証言』が刊行されましたが、続刊にはヴァレリー『精神の政治学』吉田健一訳、が予定されているそうで、楽しみです。

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★10月20日(金)に代官山蔦屋書店1号館2Fイベントスペースで行われた、記念すべき第1回となる「代官山人文カフェ」にお邪魔してきました。ローリー・アン・ポール『今夜ヴァンパイアになる前にーー分析的実存哲学入門』(名古屋大学出版会、2017年5月)の刊行を記念し、「人生を変える選択にベストアンサーはあるか?」と題して、訳者の奥田太郎さん(南山大学社会倫理研究所教授)と、訳者あとがきに「助力を得た」と謝辞のある宮野真生子さん(福岡大学人文学部准教授)、さらに進行役として『哲学カフェのつくりかた』(大阪大学出版会、2014年)などの共著書がある三浦隆宏さん(椙山女学園大学人間関係学部准教授)がお越しになり、車座になった会場で、参加者との様々なトークのキャッチボールが尽きることなく交わされました。

★書店さんのトークイベントというとどうしても新刊を出した著者のお話を来場者が拝聴するというのがメインとなるわけですが、「代官山人文カフェ」では哲学カフェ形式で、参加者を交えた多様なトークをじっくりと堪能できるのが特徴です。オチのないユルい展開もまた自然なもので、参加者のほとんどは「哲学カフェ」形式は初体験とのことでしたが、結果的には三先生の気さくな人柄とざっくばらんな進行、参加者の肩ひじ張らない発言の数々で、ゆったりと楽しめるひとときでした。ちなみにイベント前には三先生と一緒に参加者が売場を散策する「オーサー・ビジット」も行われており、カフェ形式との相乗効果を生んでいました。「オーサー・ビジット」で三先生が言及された本が買われていく光景は、書き手と読み手の垣根を越えた、読書好き同士ならではのものかと思います。

★新刊を出していないとイベントができない、ですとか、著者が来ないとイベントができない、という発想から自由になれば、書店でのイベントでできることの枠組は大きく広がるだろうな、と感じました。哲学カフェや読書会の楽しさを書店イベントに導入するという代官山蔦屋書店さんの挑戦に、率直な驚きと可能性をかいまみた次第でした。蔦屋さんはお客様の体験を重視した「滞在型書店」を目指しておられるわけなので、「哲学カフェ+オーサー・ビジット」のようなイベントの進化は必然的なのかもしれないなと思います。また、こうした試みにいち早く目を付けて参加された読者の方々に、一出版人として強い感銘を覚えました。

★なお、同店では「代官山人文カフェ」を記念したフェア「人生を変える選択にベストアンサーはあるか?を考えるための50冊」が展開されています。ポールの本や、彼女の師匠であるデイヴィッド・ルイスの『世界の複数性について』(名古屋大学出版会、2016年)をはじめ、興味深いラインナップです。選書コメントの入ったパンフレットも店頭で無料配布されています。

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by urag | 2017-10-22 22:21 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 18日

11月下旬刊行予定:ジャン・ウリ『コレクティフーーサン・タンヌ病院におけるセミネール』

2017年11月21日取次搬入予定 *人文/医療

コレクティフーーサン・タンヌ病院におけるセミネール
ジャン・ウリ著 多賀茂/上尾真道/川村文重/武田宙也 訳
月曜社 2017年11月 本体3,800円 46判(縦190mm×横130mm×束26mm)ハードカバー装上製424頁 ISBN:978-4-86503-053-2

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

内容:人びとが集団を形作りながら個々の特異性を尊重するための、「ほんのちょっとしたこと」とは何か。それは、私たちに何をもたらすのか。「コレクティフ=人々が集まること、動くこと」をめぐる思索と対話。ラカンらの理論から紡ぎ出される思考を土台とする精神病治療の日常的実践について考察したこのセミネール(1984年9月~1985年6月)の記録は、社会の様々な場面に存在する「疎外」に抵抗するための、何らかのヒントを私たちに与えてくれるだろう。「病院の病気」を治す「制度を使う精神療法」の理論と実践の書。ピエール・ドゥリオン「序文」、ミシェル・バラ「新版のための前置き」。

目次:
はじめに(多賀茂)
序文
一九八四年九月十九日
一九八四年十月十七日
一九八四年十一月二十一日
一九八四年十二月十九日
一九八五年一月十六日
一九八五年二月二十日
一九八五年三月二十日
一九八五年四月十七日
一九八五年五月十五日
一九八五年六月十九日
補遺
 序文(ピエール・ドゥリオン)
 新版のための前置き(ミシェル・バラ)
後書き(多賀茂)
索引

原書:『LE COLLECTIF : Le Séminaire de Sainte-Anne, Préambule à la nouvelle édition de Michel BALAT, Préface de Pierre DELION』(Champ Social Éditions, 2005)

ジャン・ウリ(Jean Oury, 1924–2014):フランスの精神科医・思想家。20世紀後半のフランス精神医療に大きな貢献を残した。1953年以来自身が院長を務めるラ・ボルド病院において、患者やスタッフとともに「制度を使う精神療法」の実践に取り組んできた。その後、フェリックス・ガタリというたぐいまれな想像力と活動力を備えた人物も病院のスタッフに加わり、ウリとともに様々な試みに取り組んだ。また、ラカンの最も重要な理解者のひとりでもあった。著書の訳書に『精神医学と制度精神療法』(三脇康生監訳、廣瀬浩司/原和之訳、春秋社、2016年)がある。

訳者:多賀茂(京都大学大学院人間・環境学研究科教授)/上尾真道(滋賀県立大学など非常勤講師)/川村文重(慶應義塾大学商学部専任講師)/武田宙也(京都大学大学院人間・環境学研究科准教授)

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by urag | 2017-10-18 17:58 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 18日

『ele-king』WEB版にギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』書評

弊社8月発売既刊書、ポール・ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』の書評が、『ele-king』WEB版の2017年10月4日付「Book Reviews」欄に掲載されました。評者は野田努さんです。「黒い英国における音楽と社会運動史の考察、『ユニオンジャックに黒はない』は、その後『ブラック・アトランティック』で有名になるギルロイのデビュー作で、初版は1987年だが、有名なのは2002年の増補版で、それにしても15年目にしての本邦初翻訳だ。が、これはいま読んでも充分にパワフルで、震える本であり、ここに書かれている過去の闘争が現在と交差する瞬間、その持続する瞬間においてこれからも多くの人が訪ねて来るであろう本だと言える」。また「『ユニオンジャックに黒はない』は、資本主義批判/社会運動の本であるが、面白いほど、音楽についての本である。ソウル、ファンク、ブルービート(スカ)とレゲエ、そしてヒップホップ……こうした音楽が趣味にとどまることを許さずに、黒い英国においてどのように社会と“関わり合っていた”のかを綴り、パンク・ロックを起爆剤に生まれた「ロック・アゲインスト・レイシズム」という運動についてもじつに詳しく描写している。思想書において、この本ほど音楽誌からの引用が多い本もそうないだろう」と評していただきました。野田さん、ありがとうございました。



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by urag | 2017-10-18 13:05 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 18日

注目新刊:『〈ポスト68年〉と私たち――「現代思想と政治」の現在』平凡社

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★佐藤嘉幸さん(共訳:バトラー『自分自身を説明すること』『権力の心的な生』
★廣瀬純さん((著書:『絶望論』、共著:コレクティボ・シトゥアシオネス『闘争のアサンブレア』、訳書:ヴィルノ『マルチチュードの文法』、共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
★立木康介さん(共訳:ネグリ『芸術とマルチチュード』)
まもなく発売となる『〈ポスト68年〉と私たち――「現代思想と政治」の現在』に佐藤さんと廣瀬さんの論考や、廣瀬さんや立木さんが王寺さんや信友建志さんとともにお訳しになったバリバールの論考が収録されています。この論集は、2011年3月から2016年3月まで京都大学人文科学研究所において行われた共同研究「ヨーロッパ現代思想と政治」の2冊目となる成果報告書です。1冊目は『現代思想と政治――資本主義・精神分析・哲学』(市田良彦/王寺賢太編、平凡社、2016年、品切)でした。

〈ポスト68年〉と私たち――「現代思想と政治」の現在
市田良彦/王寺賢太編
平凡社 2017年10月 本体5,200円 A5判上製412頁 ISBN978-4-582-70355-9

帯文より:反乱の〈68年〉、それ以後の現在、〈私たち〉とはだれか? 〈68年〉のあとのフーコーとアルチュセールの思考について、〈68年〉、現代思想、政治、主体について、それらを考え抜いてきたバリバールらとともに、根底的に討究。

目次:
〈ポスト68年〉と私たち(市田良彦)
第Ⅰ部(1)国際シンポジウム「《Pourvu que ça dure ...》:政治・主体・〈現代思想〉[2015年1月12日]
(ポスト)構造主義のヒーロー、政治の政治(市田良彦)
政治と主体性をめぐる20のテーゼ(ブリュノ・ボステイルス)
大革命の後、いくつもの革命の前(エティエンヌ・バリバール)
第Ⅰ部(2)国際ワークショップ「〈われわれ〉がエティエンヌ・バリバールの読解に負うもの――ルソーからブランショまでの個体性と共同性」[2015年1月17日]
孤独のアノマリー――事例オタネスとルソー政治思想(佐藤淳二)
ルソーにおける所有権と共同体(ガブリエル・ラディカ)
「市民-主体」の理念とそのパラドックス――バリバール、ルソー、政治的主体性(佐藤嘉幸)
バリバールとともにブランショの不服従を考える――侵犯と抵抗の方法としての非応答の権利(上田和彦)
第Ⅱ部(1)国際ワークショップ「〈権力-知〉か〈国家装置〉か――〈68年5月〉後のフーコーとアルチュセール」[2016年3月19日]
「権力-知」か「国家装置」か――〈68年5月〉後のフーコーとアルチュセール(市田良彦)
68年5月の翌朝は、抑圧の二日酔い――アルチュセールとフーコーを過ぎゆく批判のステージ(バーナード・E・ハーコート)
真理と帰結――フーコーとアルチュセールにおける政治的判断と歴史的知(ノックス・ピーデン)
〈68年〉後に、政治経済学においてマルクス主義者であること――あるいは「マルクス経済学にとって唯一の心理とは、じつは何であったか(長原豊)
フーコーの精神分析批判――『性の歴史Ⅰ』に即して(小泉義之)
第Ⅱ部(2)書き下ろし補論
真理戦――後期フーコーの戦争から統治への転回をめぐって(箱田徹)
規律権力論の射程――権力、知、イデオロギー(廣瀬純)
《non-lieu》一歩前――1960年~70年代日本のアルチュセール受容(王寺賢太)
勝敗の彼岸――戦後イギリス「新左翼」の位置断片を小さな鏡として(布施哲)
あとがき(王寺賢太)

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by urag | 2017-10-18 01:06 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 16日

注目新刊:今福龍太『ハーフ・ブリード』河出書房新社、ほか

★今福龍太さん(著書:『ブラジルのホモ・ルーデンス』)
集英社さんの月刊誌「すばる」で2014年12月から2017年6月号まで隔月連載されていたものが単行本化され、先週より発売開始となっています。印象的な造本は佐藤篤司さんによるもの。

ハーフ・ブリード
今福龍太著
河出書房新社 2017年10月 本体3,800円 46判上製368頁 ISBN978-4-309-24830-1

星野智幸氏推薦文:自らが純血ではなくハーフ・ブリードだと気づくことが、これほどの解放をもたらすとは! メキシコ性を極限まで探究したこの驚くべき詩的散文は渡したいtの未来を映す鏡だ。

辻原登氏推薦文:目に見えぬ「Soul-line」が、“風という靴底を持つ男”今福隆太によって、メキシコの地から、精緻かつ果敢に、地球上に引かれた!

坂口恭平氏「『ハーフ・ブリード』に寄せて」:覚えていたのが時間のことだったのか 空間のことだったのか わからなくなると鏡を見る 大木が映りこんでいた 知らない木だった そこに寄り添っている自分がいて それを黙って見ていた 音は何も聞こえずに 水がながれていることはわかった どこも行ったことがないのに記憶だけは次から次へと蘇ってくる 誰の記憶なのか 体は、まあ待てと肩を叩いてきた しばらくお茶を飲んで過ごした 風が吹いた 何かを焼く匂いがした 目の前にいる男が昔の海について話をしている 「お前は船に乗ってた。櫂も持たずに」 男は言った 上を見たら、昼間なのに星が見えた 「お前は森のことを知っていた」 誰のことなのだろうか 「ずっと昔のことだ」 男はそう言うと、煙草の火を消していなくなった 消えるようにしていなくなった 耳が思い出したように音をかき集めはじめた 水の音が少しずつ大きくなってきた いつのまにか音は水しぶきをあげて 洪水となって茂みの奥から溢れ出てきた 飲み込まれ 息もできなくなった 元の自分に戻った 息もせず 目も見えず あるのは記憶だけだった 記憶の中に隠れ家があった ところが、右に言えば、体は底に落ち 這い上がろうとすると忘れてしまった 一瞬のうちにカーテンや廊下が水滴になった 「知らないことなんかひとつもなかっただろう」 男はまだ煙草を吸っていた ずっと昔のことだった 本を読みながら、今そのことをふと思い出した

目次:
Prologue
Ⅰ 赤と黒の十字路
Ⅱ 蛇と黒曜石の物語
Ⅲ 雑種或いはKの交差点
Ⅳ アルトゥーロ、砂漠の吐息
Ⅴ 流れよ川、歌えよギタレーロ
Ⅵ 風と炎のある風景
Ⅶ 反転-人類学の呪術師
Ⅷ マヤの漂泊者
Ⅸ 国境の詩篇〔カントス〕
Ⅹ 砂漠と監獄
Ⅺ 峡谷〔カニャーダ〕へ
Ⅻ 水で書かれた父と母の歌
Epilogue
引用出典一覧
あとがき

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知り合いの版元さんから色々な冊子をいただいたのでご紹介します。

1)「大学出版」2017年秋号「特集=一冊入魂!――編集の愉楽」
大学出版部協会さんが発行するPR誌「大学出版」が最新号で協会員ではない版元の編集者の方々から、自らの仕事をめぐるエッセイを寄せてもらっていて、とても興味深いです。業界人必読かと。PDFを協会のウェブサイトでダウンロードできます。

左右社・小柳学さん「こんどはもっと遅かった『〆切本2』の編集」
亜紀書房・内藤寛さん「いま、小説を作るということ」
共和国・下平尾直さん「ページの奴隷、編集者!」
堀之内出版・小林えみさん「『nyx』は百年後の光となるか」

ちなみに堀之内出版さんは、今月末に開催予定の、本好きのためのブックフェア「BOOK MARKET 2017」や、後段でご紹介するブックフェア「版元やおよろず」に出展されるとのことです。後者には共和国さんも参加されています。

◎ブックフェア「BOOK MARKET 2017

期間:2017年 10月28日(土)、29日(日)
時間:28日:11:00〜19:00 / 29日:11:00〜18:00
場所:アートコンプレックス・センター(〒160-0015 東京都新宿区大京町12-9 TEL03-3341-3253)
主催:アノニマ・スタジオ

内容:BOOK MARKETは、今年で9回目を迎える「本当におもしろい本」だけを集めた本好きのためのブックフェアです。 出展社もさらにパワーアップ。 1年でいちばん本を読みたくなる晩秋の開催です。 「本のお祭り」BOOK MARKET 2017で、読者のみなさまとお会いできることを楽しみにしております!

出展社:フィルムアート社、誠文堂新光社、地球丸、夏葉社、エクスナレッジ、偕成社、京阪神エルマガジン社、作品社、G.B.、自然食通信社、青幻舎、西日本出版社、而立書房、ニジノ絵本屋、パイ インターナショナル、HaoChi Books、ビーナイス、堀之内出版、本の雑誌社、ミシマ社、港の人、雷鳥社、リトルモア、グラフィック社、リットーミュージック、アタシ社、カンゼン、木楽舎、アノニマ・スタジオ、かもめブックス、メリーゴーランド京都、藤原印刷。

2)「版元やおよろず2017 ハンドブック」

23の出版社が参加する、双子のライオン堂で今月開催されているブックフェア「版元やおよろず2017」で100円で販売されている冊子です。出店版元が「代表する書籍」「出版社自己紹介」「なぜ出版社を立ち上げたのか、なぜ出版社で働いているのかなど」「他社のお薦め本」の4つの質問に答えたものをまとめています。様々な出版社の横顔が分かって楽しい一冊です。

◎ブックフェア「版元やおよろず

期間:10月11日(水)~10月20日(金)
時間:15:00~21:00
※10/16、17はお休み。10/15(日)は13:00~18:00。
場所:双子のライオン堂(東京都港区赤坂6-5-21

内容:「まっすぐに本を売る」出版社たちのブックフェア。一人ひとりの読者の顔を思い浮かべながら、直接手渡しをするかのように丁寧に本を作り売る出版社が集まりました。小さな版元さんが魂込めて作られた本たちをドドンと!展開いたします。

出展社:アタシ社、えにし書房、キーステージ21、共和国、ころから、猿江商會、三輪舎、センジュ出版、太郎次郎社エディタス、TANG DENG、トランスビュー、バナナブックス、羽鳥書店、H.A.B.、ビーナイス、ブックエンド、ブリコルール・パブリッシング、ポット出版、堀之内出版、本の種出版、マドレーヌブックス、まむかいブックスギャラリー、ユウブックス。
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by urag | 2017-10-16 20:36 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 15日

注目新刊:ベンソン『世界《宇宙誌》大図鑑』東洋書林、ほか

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世界《宇宙誌》大図鑑
マイケル・ベンソン著 野下祥子訳
東洋書林 2017年10月 B5判上製320頁 ISBN978-4-88721-824-6

帯文より:コペルニクスは考えた――もし美が真実だというのなら、真実は美しいはずだ。「創造」「地球」「月」などのテーマ別10章のもと、前2000年から現代に至る世界認識の諸相を概観する“宇宙誌/宇宙図”集成。謎めいた古代の遺物から現代美術さながらのデジタル解析図へと飛躍する美麗図版300点が誘う、視覚知のミクロコスモス!

オーウェン・ギンガリッチ「序文」より:この“宇宙図集”は、天文学の驚異や発見、理解についての色鮮やかな記録であり、中世の緻密なミニアチュールから現代のコンピュータを駆使したデザインにいたるまでの描法に関する歴史書でもある。手短かに言うと“美を愛でる者にとっての賛歌”なのだ。

目次:
序文(オーウェン・ギンガリッチ)
はじめに
第1章 創造
第2章 地球
第3章 月
第4章 太陽
第5章 宇宙の構造
第6章 惑星と衛星
第7章 星座・獣帯・天の川銀河
第8章 食と太陽面通過
第9章 彗星と隕石
第10章オーロラと大気現象
解(松井孝典)
図版出典
索引

★まもなく発売(本日16日取次搬入済)。『ビヨンド――惑星探査機が見た太陽系』(新潮社、2005年)、『ファー・アウト――銀河系から130億光年のかなたへ』(新潮社、2010年)、『プラネットフォール――惑星着陸』新潮社、2013年)と、日本でもその美しい天体写真集の数々によって知られている映像作家/写真家のベンソン(Michael Benson, 1962-)の近作『Cosmigraphics: Picturing Space through Time』(Abrams, 2014)の日本語版です。今までの既刊写真集が科学技術の賜物であったのに対し、今回は天体と人間をめぐる数千年の歴史をひもとく驚異的な一書となっています。約4000年前の天文盤(ネブラディスク)や、前50年頃のデンデラ神殿の天井レリーフなどにはじまり、ランベール『花々の書(Liber Floridus)』1121年、アピアヌス『皇帝の天文学(Astronomicum Caesareum)』1540年、『アウクスブルクの奇跡の書(Augsburger Wunderzeichenbuch)』1547~1552年、『彗星の書(Kometenbuch)』1587年、セラリウス『大宇宙の調和(Harmonia Macrocosmica)』1660年、など傑作の数々を経て、さらに、17世紀ではフラッドやキルヒャー、19世紀ではトルーヴェロ、フラマリオン、リエ『天界』など、カラーのものはすべてフルカラーで掲載されています。幻視されたものから科学的な描写まで、めくるめく美の世界に陶酔するばかりです。新潮社版の写真集に比べると生産部数が限られていると聞きますので、気になる方はどうかお早目に購入されてみて下さい。

★ちなみに『アウクスブルクの奇跡の書』は『The Book of Miracle』としてTaschenから今夏に廉価版が出ています(英独仏の三か国語併記。最初の100頁が解説、後の170頁強がプレートのリプリントの大判大冊です。2017年10月15日現在、ありがたいことにアマゾン・ジャパンでも在庫しています。BuzzFeed Japanの記事「400年の時を超えて。幻の奇書『奇跡の書』が色鮮やかで、怖い」でもサンプルをご覧になれます)。また、『世界《宇宙誌》大図鑑』で言及され引用されているコペルニクスの『天球回転論』はいよいよ今週後半に完訳版がみすず書房さんより刊行されます。本体16,000円とお高いですが、何とか購読したいものです。

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★このほか最近では以下の新刊に注目しています。

『ベル・フックスの「フェミニズム理論」――周辺から中心へ』ベル・フックス著、野﨑佐和/毛塚翠訳、あけび書房、2017年10月、本体2,400円、A5判並製240頁、ISBN978-4-87154-154-1
道徳を基礎づける――孟子vs. カント、ルソー、ニーチェ』フランソワ・ジュリアン著、中島隆博/志野好伸訳、講談社学術文庫、2017年10月、本体1,150円、360頁、
ISBN978-4-06-292474-0
言語起源論』ヨハン・ゴットフリート・ヘルダー著、宮谷尚実訳、講談社学術文庫、2017年10月、本体840円、232頁、ISBN978-4-06-292457-3
水滸伝(二)』井波律子訳、講談社学術文庫、2017年10月、本体1,830円、692頁、ISBN978-4-06-292452-8
ロシア革命とは何か――トロツキー革命論集』トロツキー著、森田成也訳、光文社古典新訳文庫、2017年10月、本体1,100円、414頁、ISBN978-4-334-75364-1
初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方』左近司祥子著、だいわ文庫、2017年10月、本体780円、296頁、ISBN978-4-479-30673-3

★『ベル・フックスの「フェミニズム理論」』は、『Feminist Theory: From Margin to Center』(1984, South End Press; 2nd edition, 2000, South End Press; 3rd edition, Routledge, 2015)の新訳です。既訳には、清水久美訳『ブラック・フェミニストの主張――周縁から中心へ』(勁草書房、1997年、絶版)があります。全12章構成なのは今回の新訳の底本である新版(第三版)でも変わりませんし、章題も変わっていません。目次詳細は版元さんのウェブサイトでご確認いただけます。「序文(新版)」と訳されているのは原著では「新版への序文:光を見る――ヴィジョンのあるフェミニズム」で、この序文は原著第二版より付されている序文と変わりありません。この序文でフックスは次のように述べています。

★「フェミニストたちはしばしば、一般大衆を基盤にしたフェミニズム運動をつくりあげる必要性について話し合ったが、そうした運動を立ちあげるためのしっかりした基盤などどこにもなかった。ウーマンリブ運動は、狭い土台の上に形づくられてきたというだけではなく、何よりもまず特権階級(そのほとんどが白人)の女性に関係する問題にしか注意を呼び起こさなかった。/わたしたちは、一般大衆を基盤にした運動のための考えや戦略を示してくれる理論を必要としていた。そうした理論が、ジェンダー、人種、そして階級の理解に根ざしたフェミニズム的な視点からわたしたちの文化を検証してくれるに違いなかったからである。そうした必要性に答えて、わたしは本書『フェミニズム理論 周辺から中心へ』を執筆したのである」(12頁)。

★帯文には「男性女性ともに読んでほしい一冊です」とあります。野﨑さんは巻頭の訳者まえがきこうお書きになっています。「何だか生きづらさを感じている人、自分のパートナーや家族との関係がうまくいかないという人、女性であっても男性であっても構いません、そういう人にこそ本書を手に取ってほしいのです。/些細な問題だと思っていたことが実は深刻なフェミニズムの問題だったということもあるからです」(2頁)。ベル・フックス(bell hooks, 1952-)の著書は90年代からこんにちに至るまで6点ほど訳されてきましたが、初訳がほからなぬ本書の旧訳本でした。7冊目となる今回の新訳がフックス再読の契機となることを期待したいです。

★講談社学術文庫の今月新刊からはいくつか。ジュリアン『道徳を基礎づける』は2002年に講談社現代新書として刊行されたものの文庫化。原書は『Fonder la morale』(Grasset, 1996)です。巻末に付された中島さんによる「講談社学術文庫のための解題」によれば、共訳者の志野さんが「細かい訳文の修正」を行われたとのことです。新書版は古書価が高騰していたので文庫化は妥当だと思います。帯文には東浩紀さんの推薦文が掲載されています。曰く「カントと孟子が互いを照らし合う。西欧近代と東洋思想がぶつかる場所にいる、ぼくたちこそが読むべき新たな哲学」と。なお中島さんによるジュリアンの訳書はもう一冊あります。『勢――効力の歴史:中国文化横断』(知泉書館、2004年)です。書店店頭ではあまり見かけませんが、版元さんのサイトでは「在庫あり」となっています。

★ヘルダー『言語起源論』は文庫オリジナルの新訳。既訳には木村直司訳(大修館書店、1972年2月)や、大阪大学ドイツ近代文学研究会訳(法政大学出版局、1972年3月)があります。ともに72年刊でほぼ同時期に出版されたものです。今回の新訳の底本は訳者解説によれば「最終版の手書き原稿」とのことで、ゲーテも見たであろう手稿と地道に向き合ったり、既訳から学んだりする謙虚な姿勢が解説やあとがきから垣間見えます。一方、『水滸伝(二)』は第23回から第42回を収録。帯文には「『金瓶梅』の原話「〈行者〉武松の物語」あります!」と特記されています。本巻に収められた第23~32回に武松の生きざまが描かれています。いつの日か、井波さん訳の『金瓶梅』を読む日も訪れるでしょうか。

★光文社古典新訳文庫の今月新刊では『ロシア革命とは何か』に注目。1906年から1939年までに公刊された重要論文6本を収録。同文庫でのトロツキー新訳本は、『レーニン』(森田成也訳、2007年)、『永続革命論』(森田成也訳、2008年)、『ニーチェからスターリンへ――トロツキー人物論集【1900?1939】』(森田成也/志田昇訳、2010年)に続く4点目です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。1932年の高名な「コペンハーゲン演説」を、英訳や独訳からの重訳ではなくロシア語から新訳したのが目玉のひとつ。同書は「ロシア革命100周年企画」の第1弾だそうです。同文庫では来月、ジョン・リード『世界を揺るがした10日間』(伊藤真訳)の発売が予定されていますが、こちらが第2弾となるのでしょうか。月刊誌『現代思想』2017年10月号で「ロシア革命100年」の特集が組まれ、『ゲンロン』誌では二号連続で「ロシア現代思想」が特集されます。ロシア思想のコーナーを作る絶好のチャンスかと思われます。幾度となく推していますが、水声社版「叢書・二十世紀ロシア文化史再考」もお薦めします。

★だいわ文庫の新刊では、文庫版オリジナルの書き下ろしである『初級者のためのギリシャ哲学の読み方・考え方』に注目。同書は著者の左近司祥子(さこんじ・さちこ:1938-)先生にとって、『哲学するネコ――文学部哲学科教授と25匹のネコの物語』(小学館文庫、1998年)、『本当に生きるための哲学』(岩波現代文庫、2004年)に続く、久しぶりの文庫新刊です。ソクラテス、プラトン、アリストテレスのほか、少しばかりですが、タレスら初期の哲学者たちや、ソフィスト、エピクロス派、ストア派、ネオプラトニズムも言及されています。文庫で読めるギリシア哲学入門は数少なく、現在入手可能な本も少ないなか、とりわけ取っつきやすい内容となっていると感じます。目次詳細は版元サイトにはありませんが、アマゾンや7ネット、紀伊國屋書店などには掲載されているので、ご参照なさってください。

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by urag | 2017-10-15 22:14 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 10月 12日

メモ(28)

「文化通信」2017年10月9日付1面トップ記事は「取次へのバックオーダー終了で直取引開始は少数」という非常に興味深い内容だったのですが、なぜか同通信ウェブサイトのトップページの総合欄では見出しが載っていません。12日付「アマゾンジャパン、Kindle最上位機種発表」は無料で全文を読める記事になっていますが、出版業界にとってより重要なのはKindleよりも直取引問題ではないかと思われ、未掲載の理由がよく分かりません。8月17日付有料記事「版元ドットコム アマゾン「バックオーダー終了」で調査 直取引が41%余に増加」との関係から言っても、今回の10月9日付記事は重要です。

「取次へのバックオーダー終了で直取引開始は少数」は1面と8面に掲載されており、アマゾンジャパンにおける年間売上上位100社に対して文化通信社が行なったアンケートの結果(36社から回答あり)が集計されています。同記事は「出版社の規模が大きくなると直接取引を行う割合が低くなっているようだ」と分析しており、先般の版元ドットコムさんのアンケート結果も含めて、おおよそ予想通りの内容とはなっています。つまり、売上上位100社の本は当然ながら一般のリアル書店でも売れており、アマゾンだけを特別に優遇する理由はないのですが、小零細版元の場合、リアル書店での扱いが少ないですから、相対的にアマゾンの売上比率が高くなり、否応なく直取引に乗り出さざるをえないわけです。

興味深いのは8面にある、直取引しない理由の数々でした。いずれも首肯できる内容で、アマゾンさんは版元からこう見られているんだということをもっと細やかに分析して対応を考えるべきなのではないかと思う理由ばかりです。こうした記事こそ文化通信さんには無料記事で公開していただきたいなあと切実に感じます。そうすればもっと公的に議論する材料が増えます。いま業界に必要なのは、腹蔵なく「リアルな話」を交わすことであり、できることとできないことをしっかりと腑分けして、できることの可能性を伸ばしつつ、できないことをどう乗り越えるか、ということだと思います。

「日本経済新聞」2017年10月6日付有料記事「大廃業時代の足音 中小「後継未定」127万社」に書かれてある状況は、出版界でも変わりません。曰く「中小企業の廃業が増えている。後継者難から会社をたたむケースが多く、廃業する会社のおよそ5割が経常黒字という異様な状況だ。2025年に6割以上の経営者が70歳を超えるが、経済産業省の分析では現状で中小127万社で後継者不在の状態にある。優良技術の伝承へ事業承継を急がないと、日本の産業基盤は劣化する。「大廃業時代」を防ぐ手立てはあるか」と(以下、無料登録で全文読めます)。

私の住む街の地元商店街では今年2店舗の新刊書店が廃業しましたが、いずれも原因は高齢による事業継続の困難さでした。あまり明るみになってはいませんが、高齢化の波は出版社にも押し寄せていて、後継者がおらず遠からず廃業せざるをえないだろう版元もそこかしこに存在しています。継続的に出版活動している約2000社のうち、7割が従業員10名以下の小規模会社だとも聞きます。我が身を振り返っても見て言えるのは、つまり、おおよそ半数以上の版元が10~20年以内に激減する危険があると予想してもけっして大げさではない、ということです。こうした緩慢な死滅を逃れるためには、出版界を挙げて議論し対応していくのが理想ではありますが、この業界はその多様性ゆえに、利害が一致するのはせいぜい債権者集会の出席率くらいで、誰もが納得しうる条件下での団結は非常に困難であるように思えます。文化の一端を担う社会的な役割があるにもかかわらず、営利を目的とした私企業の雑多な集団であるために、情報公開して公的に議論することすら難しいのです。

それでも全体として必要なのは、若い世代が出版社や書店を開業したり事業承継しうる余地を常に作り続けることではなかろうかと感じます。取次さんが書店さんを傘下に収めるのにも限界があり、出版社がリストラを続けるのにも限界があります。出版社が廃業する場合、つらいことの一つに、出版物を引き受けてくれる他社がいない限り、全点全冊を破棄しなければならないというものがあります。例えばすでに2020年に解散することを公表しておられ創文社さんの商品はどうなるのでしょうか。ハイデッガー全集(刊行中)や、神学大全(完結)はどうなるのでしょう。同社の2016年9月付の挨拶文「読者の皆様へ」によれば、「新刊書籍は2017年3月まで刊行し、それ以降、2020年までは書籍の販売のみを継続いたします」とあります。すでに新刊刊行停止から半年経過しているのです。このように廃業まで数年かけることを約束しうるのはむしろ誠実な少数派であり、こうはならずいつの間にか倒れる会社が大半であることは周知の通りです。

先日のゲンロン・カフェ(10月4日)の質疑応答において「やめたい人とやりたい人の事業承継のマッチングができないものか」とお話しし、質問者の方が興味を示して下さったのは幸いでした。こうした困難さに立ち向かうことが大事であると思われてなりません。

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10月16日追記:上記のような「街ナカ書店」や、小零細自営業版元の廃業危機とは別に、チェーン店はチェーン店でスリム化を推進しています。たとえば、「ASCII.jp」2017年10月16日付、O.D.A.氏記名記事「TSUTAYAが最近やたら閉店している件について――背景にあるのは「BtoB型事業」への業態シフト」では、昨今の大量閉店が次のように分析されています。

「閉店する店舗を見てみると、大都市圏に比較的簡単にアクセスできる住宅の駅近くに立地する店が相当多いことがわかります。ここから導かれるのはこれらの閉店は不採算店の整理ということだけではなく、もう経営側としては今の「ご近所のTSUTAYA」形態の未来に希望を持っていないのではないかという推測。〔・・・〕現在CCCが推進している図書館の運営委託、代官山・湘南や枚方のT-SITEや蔦屋書店、二子玉川の蔦屋家電等の業態は、〔・・・〕いずれもが滞在型の施設です。/会社や学校の帰りについでに寄ってもらっては小銭をちゃりんちゃりん稼ぐのではなく、わざわざそのために来てもらう滞在型の施設で1人頭の消費金額・消費時間を最大化する方向。言い換えれば「ケ」のビジネスから「ハレ」のビジネスへのシフトが今まさに実行されている最中であるということでしょう」。

少し補足しますと、この「ハレ」ビジネスが成功しうるかどうかについてはすでに懐疑的な評価や分析が出版界では散見されます。確かに「「ハレ」のビジネスへのシフトが今まさに実行されている最中」ではあるものの、CCCがシフトに乗りだせた背景には、他社にはないグループの経営的基盤があります。ですから、他社がまねをしても成功するというものではなく、蔦屋型の複合化とは別の、多様な次世代型書店像もまた、追求する必要性があると言えそうです。CCCは「蔦屋書店」は全国のあちこちに作り、紀伊國屋書店やMJを向こうに回して、書店業界の覇権を目指しておられるはずですが、人材確保に苦慮されているようにお見受けします。

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10月23日追記:事業承継について。これははっきり書いておかねばなりませんが、主観的に言えば、小零細の出版事業は誰かに継いでもらえる仕事だとはあまり思えないというのが本音です。ですから先日の日経記事はあまり驚くに値しませんし、事業承継の困難さも理解できます。ほとんどの場合「一代限り」にしかならないのが現実ではないでしょうか。しかしそれでもなお、出版事業の持続性について問うことは重要だと思います。

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by urag | 2017-10-12 18:22 | 雑談 | Trackback | Comments(0)