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2017年 06月 30日

取次搬入日確定:ロゴザンスキー『我と肉』

ジャコブ・ロゴザンスキー『我と肉――自我分析への序論』(本体4,800円、シリーズ・古典転生第16回配本)の取次搬入日が確定しました。日販、トーハン、大阪屋栗田、ともに7月4日(火)です。搬入後、翌日から中二日以降順次、書店店頭での発売開始となります。どのお店に配本されるかについては、当ブログコメント欄や、電話、メールなどで地域を指定してお尋ねいただければお答えいたします。どうぞよろしくお願いいたします。

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なおご参考までに本書の詳細目次を公開いたします。

序論
第一部 自我殺しに抗して
「私は死につつある」あるいはハイデガーの呼びかけ
「私は他者たちである」
「私は死(に臨)んでいる」
「個人には何の価値もない」(ハイデガーのナチズムについて)
〈存在〉の十字架
「私は鏡のなかに自分を見る死人である」あるいはラカンの主体
 死像段階
「では誰が、私が死んでいることを知っていたのか」
「エスがあったところに、〈私〉が生じなければならない」(フロイトへの回帰?)
第二部 デカルトへの回帰
「彼が私を欺くなら、私は在る」
 人間でもなく主体でもなく
「私は道であり、真理であり、生である」
 私の失調の瞬間
「神の前で/神の代わりに仮面をつけて」(デカルトの遺産)
第三部 自我分析への序論
 現象学の曖昧さ
 内在野
 肉的綜合――交叉
 触れている自分にどのようにして触れるか――交叉の(不)可能性
 触れられえないものと触れあって――残りもの
 これは私の身体である(のではない)――身体化の残りもの
 他人の彼方に
 交叉の危機
 憎悪から愛へ
 原臨終から復活へ
 解放へ向けて(内立)
文献一覧
訳者あとがき
事項索引
人名索引

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by urag | 2017-06-30 23:31 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 26日

8月新刊案内:ギルロイ『ユニオンジャックに黒はない』月曜社

2017年8月4日取次搬入予定|ジャンル:現代思想・文化研究

ユニオンジャックに黒はない――人種と国民をめぐる文化政治
ポール・ギルロイ著 田中東子+山本敦久+井上弘貴訳
月曜社 2017年8月 本体予価3,800円 四六判(縦188mm×横128mm×束30mm) 上製576頁 ISBN978-4-86503-049-5

アマゾン・ジャパンにて予約受付中

内容:〈人種差別〉と〈ポピュリズム〉の結託に抗する闘いと思考――ギルロイのデビュー作、ついに邦訳なる。警察による過剰な取り締まりと暴動、レゲエやパンクなどの抵抗的音楽をつうじて戦後英国における人種差別の系譜を批判的に辿りながら、法と秩序、そして愛国心のもとで神話化された〈国民〉というヴェールを引き剝がす。

目次:

日本語版への序文
謝辞
序章 人種は月並みなものである
第1章 「人種」、階級、行為体
 対自的な人種と即自的な階級

 階級の編制

 人種の編制
第2章 「囁きが起き、戦慄が走る」――「人種」、国民、エスニック絶対主義
 「人種」、国民、秩序のレトリック

 平時と戦時における国民共同体

 国家と家族のなかの文化とアイデンティティ

 結論
第3章 無法な異邦人たち
 第二次世界大戦後の英国における黒人と犯罪

 量から質へ――パウエリズム、黒人の子どもたち、病理学

 1981年から1985年にかけての路上犯罪と象徴的な場所

 結論
第4章 反人種差別のふたつの側面
 1970年代の反人種差別

 反ナチズム、あるいは反人種差別?

 地方自治体の反人種差別

 新しい反人種差別に向けて
第5章 ディアスポラ、ユートピア、資本主義批判
 ダンスフロアの黒と白

 「立ちあがり、闘い、そしてかかわりあえ」―─ソウル、公民権、ブラック・パワー

 足止めされたラスタファーライの前進

 ファンクの裏切り者とコックニー解釈

 ドレッド文化、ワイルド・スタイル、資本主義批判

 言語の限界

 「人種」、エスニシティ、習合主義、近代性
第6章 結論――都市の社会運動、「人種」、コミュニティ
 破壊的な抵抗とコミュニティの象徴化

 終わりに
第6章への補遺
 1、報道発表

 2、コミュニティの声明

訳者あとがき
参考文献
索引


著者:ポール・ギルロイ(Paul Girloy)1956年生まれ。ロンドン大学キングス・カレッジ教授。英米文学、文化研究。大西洋岸に四散した黒人たちの歴史および音楽の研究者であり、英国の人種・民族政策についての発言などでも知られる。訳書に、ポール・ギルロイ『ブラック・アトランティックーー近代性と二重意識』(上野俊哉・毛利嘉孝・鈴木慎一郎訳、月曜社、初版2006年/新版近刊予定)。


訳者:田中東子(たなか・とうこ)1972年生まれ、大妻女子大学准教授。著書:『メディア文化とジェンダーの政治学――第三波フェミニズムの視点から』(世界思想社、2012年)。
訳者:山本敦久(やまもと・あつひさ)1973年生まれ、成城大学准教授。編著書:『身体と教養――身体と向き合うアクティブ・ラーニングの探求』(ナカニシヤ出版、2016 年)、『反東京オリンピック宣言』(共編、航思社、2016年)。
訳者:井上弘貴(いのうえ・ひろたか)1973年生まれ、神戸大学准教授。著書:『ジョン・デューイとアメリカの責任』(木鐸社、2008 年)。

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by urag | 2017-06-26 14:27 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 25日

注目新刊:ヘグルンド『ラディカル無神論』、ラトゥール『法がつくられているとき』、ほか

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★明日以降順次発売開始と聞く注目新刊をまずご紹介します。

ラディカル無神論――デリダと生の時間』マーティン・ヘグルンド著、吉松覚/島田貴史/松田智裕訳、法政大学出版局、2017年6月、本体5,500円、四六判上製478頁、ISBN978-4-588-01062-0
法が作られているとき――近代行政裁判の人類学的考察』ブルーノ・ラトゥール著、堀口真司訳、水声社、2017年6月、本体4,500円、四六判上製473頁、ISBN978-4-8010-0263-0

★ヘグルンド『ラディカル無神論』の原書は『Radical Atheism: Derrida and the Time of Life』(Stanford University Press, 2008)です。ヘグルンド(Martin Hägglund, 1976-)は、スウェーデン出身の哲学者で、現在イェール大学比較文学・人文学教授。本訳書は著者にとって英語で刊行された初めての著書であり、単行本での本邦初訳となります(中国語訳と韓国語訳が進行中と聞きます)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。日本語版付録として「ラディカル無神論的唯物論──メイヤスー批判」(初出:吉松覚訳、『現代思想』2016年1月号「特集=ポスト現代思想」)が再録されています。ヘグルンドは序文で自著についてこう述べています。「本書は、デリダがたどった道筋全体を一貫して捉えなおそうとする試みを提示している。デリダの思考のなかに倫理的ないし宗教的な「転回」があったとする見解を退けることで、私は、ラディカルな無神論が終始一貫して彼の著作を形づくっていることを明らかにしたい」(3頁)。

★序文では各章について端的な紹介があります。「第一章〔時間の自己免疫性──デリダとカント〕では、デリダの脱構築とカントの批判哲学との関連を扱う」。「第二章〔原‐エクリチュール──デリダとフッサール〕では時間の総合という脱構築的な観念を、デリダが「原-エクリチュール」と呼んだものの分析を通して展開する」。「第三章〔原‐暴力──デリダとレヴィナス〕では、原-エクリチュールと、デリダが原-暴力と呼ぶものとの関連を明らかにする」。「第四章〔生の自己免疫性──デリダのラディカル無神論〕では、デリダのラディカル無神論の重要性を、詳細にわたって示すことにする」。「第五章〔デモクラシーの自己免疫性──デリダとラクラウ〕では、ラディカル無神論の論理がデリダのデモクラシー概念に結びつけられる」(20-22頁)。

★以下では印象的な言葉を抜き出してみます。「デリダは、それ〔「生き延び」という観念〕が自分の仕事全体にとって中心的な重要性をもつと繰り返し指摘しているが、彼は生き延びの論理について明確に問題を示したことなど一度もなかったし、それが同一性や欲望、倫理や政治にかんするわれわれの思考へと分岐していることを示したこともなかった。こうした議論を準備することで私は、彼がこの語に与える厳密な意味において、デリダを「相続」しようと努めた。相続することは、単に師に導かれたことを受け入れるだけではない。それは、師の教えをさまざまな仕方で生き続けさせるために、その遺産を肯定し直すことなのである。/このような相続はもっともらしく教えを守ることによってはなしえない。それは、ただ教えを批判的に識別することを通してのみ可能なのである」(23-24頁)。

★「ラディカル無神論の最初の挑戦は、生のあらゆる瞬間が実のところ生存の問題なのだということを証明することである。〔・・・〕何ものもそれ自体として与えられることはありえず、つねにすでに過ぎ去っている〔・・・〕仮に出来するものがそれ自体として与えられ過ぎ去ってしまうことがなかったならば、未来のために何かを書き留める理由などないだろう。〔・・・〕生き延びの運動なしにはいかなる生も存在しえない〔・・・〕。生き延びの運動は来たるべき予見不可能な時間のために、破壊可能な痕跡を残すことによってのみ存続するのだ」(96頁)。

★「ひとが望む未来はどのようなものであれ、内在的に暴力的で(なぜならこの未来は、他の未来を犠牲にしてのみ到来しうるのだから)、かつそれ自体暴力にさらされている(なぜならこの未来は他の未来の到来によって打ち消されるかもしれないからだ)。〔・・・〕生き延びを目指した欲動は、デモクラシーを望むということがいかにして可能になるかわれわれが説明することを可能にする傍らで、なぜこの欲望は本質的に退廃しうるもので、内在的に暴力的なのかを説明することをも可能にしてくれる〔・・・〕。デモクラシーを望むとしても、時間を逃れた存在の状態を望むことはできない。デモクラシーを望むことは本質的に、時間的なものを望むことである。なぜならデモクラシーは、民主主義的であるために、自らの変化=他化に開かれたままでなければならないからだ。〔・・・デモクラシーを求める欲望は〕あらゆる欲望において機能している生き延びの暴力的な肯定を明快に説明している〔・・・〕。ラディカル無神論の論理によってわれわれは政治の問題と、デモクラシーの課題を、新たな観点から評価することができるようになる」(398-399頁)。

★『ラディカル無神論』はそれ自体がデリダの思想を相続する試みであると同時に、デリダを相続しようとした先行者たちとの対話でもあり、それらをとりまく哲学史との対話でもあります。本書を読むことなしにデリダ研究の現在は語れないのではないかと思われます。

★ラトゥール『法が作られているとき』は「叢書・人類学の転回」の最新刊。原書は『La Fabrique du droit : une ethnographie du Conseil d'État』(La Découverte, 2002)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。「フランスの行政法最高裁判所であるコンセイユデタの人類学的調査が実施され、法を専門としない外部者の視線から、裁判官が事件を処理し判決を作り上げるプロセスについて、詳細な記述が行われている」(訳者あとがき、456頁)本書について、ラトゥールは英語版序文でこう書いています。「エスノグラフィという装置を用いて、哲学的には捉えることができないような哲学的問題に取り組もうとしている。つまり、法の本質についてである。それは、本質とは、定義の中ではなく、実践、それもある特別な方法で異質な現象を全体的に結びつけているような、実態に根差した実践の中にこそあるということを知っているからである。そして、本書全体を通じて焦点を当てているのが、この特別な方法そのものを探求することなのである」(451頁)。

★ブルーノ・ラトゥール(Bruno Latour, 1947-)はフランス・パリ政治学院教授。科学社会学の泰斗で訳書には以下のものがあります。

1985年『細菌と戦うパストゥール』岸田るり子/和田美智子訳、偕成社文庫、1988年(品切)
1987年『科学がつくられているとき――人類学的考察』川崎勝/高田紀代志訳、産業図書、1999年
1991年『虚構の「近代」――科学人類学は警告する』川村久美子訳、新評論、2008年
1992年『解明 M.セールの世界――B.ラトゥールとの対話』ミシェル・セール著、梶野吉郎/竹中のぞみ訳、法政大学出版局、1996年(品切)
1999年『科学論の実在――パンドラの希望』川崎勝/平川秀幸訳、産業図書、2007年
2002年『法が作られているとき――近代行政裁判の人類学的考察』堀口真司訳、水声社、2017年
2014年「「近代」を乗り越えるために」、『惑星の風景――中沢新一対談集』所収、中沢新一著、青土社

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★次に、発売済の今月新刊から注目書をピックアップします。

ミシェル・フーコー講義集成Ⅲ 処罰社会――コレージュ・ド・フランス講義1972-1973年度』ミシェル・フーコー著、八幡恵一訳、筑摩書房、2017年6月、本体6,000円、A5判上製448頁、ISBN978-4-480-79043-9
口訳万葉集(下)』折口信夫著、岩波現代文庫、2017年6月、本体1,400円、A6判並製480頁、ISBN978-4-00-602289-1

★『ミシェル・フーコー講義集成Ⅲ 処罰社会』は発売済。全13巻のうちの第11回配本(原書『La société punitive. Cours au Collège de France (1972-1973)』は2013年刊)。帯文はこうです。「規律権力はどこから来たのか――現代の監視社会の起源を問う、もうひとつの『監獄の誕生』! 18世紀末から19世紀にかけ、監獄という刑罰の形態が、身体刑にとって代わり、突如として一般的になる。なぜ、このような奇妙な現象が生じたのか。犯罪者を「社会の敵」へと変えるさまざまな刑罰の理論と実践を検討し、のちの『監獄の誕生』では十分に深められなかった「道徳」の観点から、現代における規律権力の到来を系譜学的にさぐる。フーコー権力論の転回点を示す白熱の講義」。残すところ、講義録は第Ⅱ巻「刑罰の理論と制度(1971-1972)」と第Ⅹ巻「主体性と真理(1980-1981)」の2巻となりました。ちなみに新潮社版『監獄の誕生』は現在版元品切ですが、アマゾンでの表示が7月31日に入荷予定となっているので、おそらく重版が掛かるのだと思われます。

★折口信夫『口訳万葉集(下)』は全三巻の完結編。29歳の折の口述筆記による現代語訳です。下巻は巻十三から巻二十を収めています。夏石番矢さんによる解説「波路のコスモロジー」が巻末に掲載されています。今年は折口の生誕130年であり、角川ソフィア文庫の『古代研究』をはじめ、新刊が続いています。

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★また最近では以下の新刊との出会いがありました。

ゲンロン5 幽霊的身体』東浩紀編、ゲンロン、2017年6月、本体2,400円、A5判並製324頁、ISBN978-4-907188-21-4
わが人生処方』吉田健一著、中公文庫、2017年6月、本体860円、文庫判並製280頁、ISBN978-4-12-206421-8
鯨と生きる』西野嘉憲著、平凡社、2017年6月、本体4,500円、B5変判上製96頁、ISBN978-4-582-27828-6

★『ゲンロン5 幽霊的身体』は6月24日(土)より一般書店発売開始。発行部数一万部と聞いていますので、本誌の取扱書店一覧は、人文書版元の営業にとってMAXに近い配本先となり、非常に参考になります。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。東浩紀さんによる巻頭言「批評とは幽霊を見ることである」にこんな言葉があります。「つまり批評とは、なによりもまず視覚の問題なのだ。批評家は、見えるものを分析するだけではいけない(それはジャーナリストや社会学者の仕事だ)。しかし、かといって、見えないものを夢想するだけでもいけない(それはこんどは芸術家の仕事だろう)。批評家は、見えるもののなかに、本来なら見えないはずのものを幻視する、特殊な目をもっていなけれなならない。言い換えれば、幽霊が見える目をもっていなければならない。/批評とは幽霊を見ることだ」(9~10頁)。「この21世紀の社会をよりよく生きるためには、みなが幽霊を見る目をもつべきである、すなわちみなが小さな批評家になるべきである〔・・・〕。ポストモダンとは、幽霊の時代であり、批評の時代なのである」(11頁)。なお、続刊となる第6号(9月予定)と第7号(2018年1月)では、連続で「ロシア現代思想」の特集が組まれるそうです。

★吉田健一『わが人生処方』は発売済。没後20周年記念オリジナル編集のエッセイ集第三弾です。人生論と読書論から成る二部構成で、巻末には著者のご息女である吉田暁子さんと松浦寿輝さんの対談「夕暮れの美学――父・作家、吉田健一」(初出は『文學界』2007年9月号)と、松浦さんの解説「すこやかな息遣いの人」が収められています。松浦さんはこうお書きになっておられます。「本書が教えてくれるのは、人は恋人の瞳や飼っている犬のしぐさや川面に移ろう光を愛するように本を愛しうるし、また愛すべきだという簡明な真実である。この「一冊の本」と深くまた密に付き合うことで、人は「時間がただそれだけで充実してゐる」世界を体験することができるからだ」(271頁)。「わたしの書架には数十年来何度も何度も読み返し読み古した挙句、黄ばんでよれよれになってしまった集英社文庫版の『本当のような話』や中公文庫版の『東京の昔』がまだ残っており、それらをわたしは死ぬまで手元に置いて、折に触れ繰り返しページを繰りつづけるだろう」(272頁)。紙の書物の「「実在」と深く密に触れ合」うことの「「充実」した時間」、この幸福は愛読書を持つ者なら共感できることではないかと思います。すべてが素早く移ろいゆく世界の中で、一冊の愛すべき書物を読む時間を持てるのは、この上なく贅沢なことです。

★西野嘉憲『鯨と生きる』は発売済。帯文に曰く「関東で唯一の捕鯨基地がある千葉県和田漁港。毎年、町には鯨とともに夏が訪れる。鯨が息づく町の暮らしや捕鯨船の様子を、自然とヒトの関係を追ってきた写真家が活写」。漁や解体、料理や食事など、外房の日常風景が並びます。意義深い出版に接し、著者や出版社に深い敬意を覚えます。本書に言及はありませんが、「環境保護団体」を自称する輩やその賛同者たちの横暴とは一切無縁の、貴重な一冊です。

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by urag | 2017-06-25 18:53 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 23日

メモ(22)

「週刊東洋経済Plus」2017年6月24日号特集「アマゾン膨張――追い詰められる日本企業」が興味深いです。

東洋経済記者・広瀬泰之氏記名記事「「直取引」拡大の衝撃――問われる出版社の選択」(途中まで無料で閲覧できます。全文は有料会員のみ)でアマゾンジャパン・メディア事業本部統括事業本部長村井良二さん曰く「読者が本を読みたいタイミングでお届けするのがいちばん重要。日販には長期で売れるロングテール商材を中心に在庫を増やすほか、バックオーダーの納期短縮を求めてきたが、われわれが求める水準に達さなかった」。→日販経由から版元直取引に変われば色々なことが解決する、というのはなかば幻想にすぎません。

すれ違う両者の言い分――日販 vs. アマゾン」(途中まで無料で閲覧できます。全文は有料会員のみ)で日販常務取締役大河内充さん曰く「アマゾンのバックオーダー発注は当社の売り上げ全体から見るとごくわずかだ。今回の件はかなり大きく報道されたが、「それほど大きな話なのか」とも感じる」。→アマゾンの揺さぶり戦略。

「数字への執着が尋常でなかった」――元アマゾン社員座談会」(無料会員登録で全文閲覧可能)で元アマゾン社員・飲料食品部門バイヤー中山雄介さん曰く「社内では“Good intentions don't work.”という言葉が使われていました。意志の力には頼るなというジェフ・ベゾスCEOのメッセージです。どんな業務でも属人的にならず、メカニズムを作るという徹底した哲学が浸透しています。ベゾス氏は人の意志のみならず、知能さえ信用していないのかもしれません。トークだけが上手な営業タイプの人は向かない会社でしょうね」。→むしろトークが上手な営業タイプがいないことが弱点だと思います。人的交流力に乏しい背景にこうした非人間的理念がある、と。

Interview|まだまだ社員を増やし「プライム」を強化する」(途中まで無料で閲覧できます。全文は有料会員のみ)でアマゾンジャパン社長ジャスパー・チャンさん曰く「今後も現状の価格水準を維持しながら、プライムサービスの充実化を図っていく」。→ヤマトが音を上げたら小さな他社に乗り換え、それもダメなら一般人も動員しますよと。取次が音を上げたら出版社に球を投げ、それでもダメなら(著者と直接?)。

聞き手・本誌長瀧菜摘氏「Interview|アマゾン米国幹部に直撃――「非プライム会員はありえない選択だ」」(途中まで無料で閲覧できます。全文は有料会員のみ)でアマゾンコム・デジタルミュージック事業部担当副社長スティーブ・ブームさん曰く「日本はまだストリーミングサービスが普及しておらず、楽曲を提供するアーティストが欧米に比べ圧倒的に少ないことが課題だ。アマゾンがあらゆる面のハードルを下げ、先頭に立ち市場を広げていきたい」。→破壊的創造と言えば聞こえはいいですけどね。

このほか、特集INDEXからのリンクで「ヤマト 剣が峰の値上げ交渉」「出品者たちの困惑――最安値要請で公取が調査」「AWSの磁力――大手企業が続々採用」「アマゾンはどう使われているか――本誌アンケートでわかった!」「シアトル本社の全貌――新社屋「THE SPHERES」は完成間近」「世界最強企業へ突き進む異次元の成長戦略――米アマゾン最前線」「驚異の金融ビジネス――商流の把握で自由自在」など興味深い記事が並びます。

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「毎日新聞」2017年6月29日付、広瀬登・棚部秀行氏記名記事「出版社との直接取引拡大 アマゾン流に揺れる出版流通」はリード文のみが無料閲覧可能で、記事本文は無料登録で読めます。「ネット通販大手のアマゾンジャパンが書籍販売を巡り、6月末で出版取り次ぎ大手・日本出版販売(日販)との一部取引をやめる。これまでは日販に在庫のない本は日販を通じて出版社から取り寄せていたが、今後は出版社との直接取引を拡大する構えだ。「お客様に早く本を届けるため」と主張するアマゾンに対し、出版業界の一部は「本音は取り次ぎと書店を排除し業界を支配する狙いでは」と疑心暗鬼を深める」。

出版協が今月中旬に開催したバックオーダー発注停止問題の勉強会の取材に始まり、出版社の反応や、日販ネット営業部・上原清一部長のコメント、アマゾンジャパン・メディア事業本部・村井良二統括事業本部長と種茂正彦事業企画本部長のコメントが掲載されています。ポイントは次の三点です。1)アマゾンのペースに引きずり込まれることへの警戒心を見せる大手版元幹部の発言。2)「通告以降、日販には中小の出版社から相談が相次いでいる」件。3)商品調達のスピードと確実性の重要性を指摘するアマゾン。

アマゾンのロングテールにおいて商品調達のスピードアップを求められる版元は大手であるというよりむしろ小零細でしょうか。リアル書店の扱い店舗数が限られている小零細は確かに日販帳合におけるアマゾンの売上比率が高いかもしれません。また、小零細は日販との結びつきが弱く、条件面でも厚遇されているわけではないので、アマゾンの支払条件が魅力的に見えているかもしれません。さらに小零細はVANを導入していない版元も多く、アマゾンとしても調達に苦しんでいたことでしょう。

ただし、そもそもアマゾンとの直取引に応じることは日販との取引に制限を加えることになり、いくつかの問題が出ています。まず第一に、信義上の困難という問題。日販と距離を置かざるをえないような挙措は今後の取引において悪影響を及ぼす可能性があります。第二に、日販での売上減少という問題。アマゾン分の売上が減ることによって日販との取引額が減り、その分を回復することが難しいかもしれません。第三に、日販での返品率の問題。アマゾンによって押し下げられていた返品率が上昇するかもしれず、日販との条件改定に直結しかねません。

それでもアマゾンとの直取引を選択しうるかどうか、というのは実際のところ選択が難しいです。どれくらいの数の出版社が直取引を選択するのかに注目が集まっていますが、それを調査し報道するマスコミがあるのでしょうか。7月3日(火)からの「変化」に注視したいと思います。

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「日経BizGate」2017年6月27日付、松岡真宏・山手剛人氏記名記事「ヤマトの「宅急便」が“崩壊”した本当の理由」は、「未払い残業代や運賃引き上げといった話は本来、個々の企業の労務問題や企業間契約にまつわる、いわばミクロな話であるということだ。それらが決着したところで、宅配問題の根底にある「構造」には少しもメスが入らないのである」とし、結論としては「注意深く張り巡らされてきたはずのヤマト運輸の宅配網の先端部分において、現場の宅配ドライバーの努力だけでは処理できないレベルの問題が発生している現在の状況は、異常な交通渋滞に等しい。それは、これまでとは異なる構造や経路を持つネットワークを再構築することでしか解決できないのではないだろうか」というもの。いささか唐突で抽象的な終わり方ですが、これは両氏の著書『宅配がなくなる日――同時性解消の社会論』(日本経済新聞出版社、2017年6月)の第1部「なぜ、ヤマト、三越伊勢丹はつまずいたのか」の第1章「宅配ネットワークが崩壊した本当の理由」からの抜粋なので仕方ありません。同書の目次を列記しておきますが、興味深いワードが並んでいます。

第1部 なぜ、ヤマト、三越伊勢丹はつまずいたのか
 第1章 宅配ネットワークが崩壊した本当の理由
 第2章 三越伊勢丹を揺さぶった時空価値競争
第2部 同時性解消と時間資本主義
 第3章 同時性解消のインパクト――コミュニケーションから生産性へ
 第4章 時間の効率化・快適化と同時性
 第5章 空間シェアリングと時間価値
第3部 近未来流通と同時性
 第6章 アマゾンが仕掛ける3つの刺客
 第7章 人間に残るもの
 第8章 それでも人は移動する
 第9章 人間の希少性が高まる時代

同記事のヤフー版コメント欄には興味深い投稿が並んでおり必見です。なお記事中にはこんな言葉があります。「ヤマト運輸が総量規制を行っても、処理能力を超えるEC、ネット通販利用者の増加という構造変化の流れは止められない。ヤマト運輸よりも大手EC企業に対する交渉力が弱い中堅以下の宅配業者にお鉢が回るだけだろう」。実際にそうなりつつあることは、「日本経済新聞」2017年6月22日付記事「アマゾン、独自の配送網 個人事業者1万人囲い込み」でも明らかです。アマゾンは版元との直取引も増やしているわけなので、インプット(仕入)もアウトプット(出荷)も共に細分化していくことになるのでしょうが、果たしてアマゾンは物流の品質を保持しきれるのでしょうか。版元にしても配送業者にせよ、中小零細を取り込んでいけば、日販やヤマトと違って取引先の倒産数も必然的に増えるでしょう。中小零細と結ぶことはかえってアマゾンに不安定性をもたらすことになるのではないか、と危ぶまれます。

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by urag | 2017-06-23 15:38 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 22日

メモ(21)

ヤマト運輸と決裂しそうな雲行きによって、アマゾン・ジャパンの周辺では様々な変化が玉突のように連鎖しています。以下に取り上げる個人運送事業者の囲い込みもそうですし、今月で終了予定の日販へのバックオーダーの件も、業界内では連鎖の中に見る向きがあります(アメリカ本社へのアピール)。なお、バックオーダーの発注終了および版元直取引の慫慂については、予定では本日がアマゾン側の説明会の最終日です。ちなみに昨日は太洋社の債権者集会の第三回目でした。破産債権に対する配当は10月~11月頃の予定と聞いています。12月に計算報告集会が行われ、太洋社の件はようやく終結することになります。

「日本経済新聞」2017年6月22日付記事「アマゾン、独自の配送網 個人事業者1万人囲い込み」によれば、「インターネット通販大手のアマゾンジャパン(東京・目黒)が独自の配送網の構築に乗り出すことが分かった。注文当日に商品を届ける「当日配送サービス」を専門に手がける個人運送事業者を2020年までに首都圏で1万人確保する。ヤマト運輸が撤退する方向のため、代替策を模索していた。大手運送会社の下請けとして繁忙期に業務が集中しがちな個人事業者の活用が通年で進み、運転手不足の緩和につながる可能性がある」(以下閲覧には要登録)。

ポイントは「注文当日に商品を届ける「当日配送サービス」を専門に手がける個人運送事業者」というところ。「メモ(16)」でも言及した、例の「所沢納品センター」も当日配送が売りです。「アマゾンジャパン(東京・目黒)は、出版取次を介さない出版社との直接取引を広げる。自ら出版社の倉庫から本や雑誌を集め、沖縄を除く全国で発売日当日に消費者の自宅に届けるサービスを今秋までに始める。アマゾンによる直接取引が浸透すれば、取次や書店の店頭を経ない販売が拡大。書籍流通の流れが変わる節目になりそうだ。/埼玉県所沢市に1月、設立した「アマゾン納品センター」を直接取引専用の物流拠点として使う」(「日本経済新聞」2017年3月22日付記事「アマゾン、本を直接集配 発売日に消費者へ――取次・書店介さず」)。私は「取次を出し抜くレヴェルの「アマゾン最優遇」を版元や倉庫会社から勝ち取れるでしょうか」と書いたわけですが、アマゾン最優遇へと傾きつつある出版社に対して、取次さんや書店さんはどうお感じになるでしょうか。

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「日経新聞」と同様の記事には、「朝日新聞」2017年6月22日付、奥田貫氏記名記事「アマゾン、「当日配送」維持へ独自網強化 ヤマト縮小で」があります。曰く「通販大手のアマゾンが、「当日配送」ができる独自配送網の拡大に乗り出していることが分かった。宅配最大手のヤマト運輸が人手不足から当日配送を縮小しており、アマゾンはこれまで東京都心の一部で使っていた独自配送網を強化することで、サービスの維持を図る考えとみられる。/今月上旬から、新たに中堅物流会社の「丸和運輸機関」(埼玉県)に当日配送を委託し始めた。23区内の一部から始め、委託するエリアを首都圏に拡大していくとみられる。丸和はこれまで、ネットスーパーの配達などを手がけてきたが、当日配送を含めた宅配事業を大幅に拡大する方針だ」云々。同記事のヤフーニュース版ではコメント欄に興味深い投稿が並んでいます。「結局下請にブラックが増えるだけ」という指摘は、大方の業界人が抱く懸念ではないかと思います。

また、より詳細な記事としては、「DIAMOND online」2017年6月21日付、週刊ダイヤモンド編集部・柳澤里佳氏記名記事「ヤマトが撤退したアマゾン当日配達「争奪戦」の裏側」があります。丸和運輸機関が宅配事業の「桃太郎便」を強化していることを、和佐見勝社長への聴き取りなどから示しています。「5月、軽ワゴンを新車でなんと1万台発注。年内に3500台が納品予定だ。中古車も500台ほど手当てした。「〔・・・〕今がチャンス。ネット通販が伸び盛りの中、大手が運ばない当日配達の荷物を誰が運ぶかで、下克上が始まった」(和佐見社長)と鼻息は荒い」と。

さらに記事ではこうも報じられています。「近年、企業の物流業務を一括して請け負うサードパーティーロジスティクス、通称「3PL」企業がインターネット通販大手と組み、宅配に手を広げているのだ。/中でも注目されるのが、アマゾンと地域限定で提携する配達業者、通称「デリバリープロバイダ」で、丸和もこれに参画した。/先行者はアマゾンと二人三脚で急成長している。例えばアマゾンの倉庫業務や宅配が売上高の7割を占めるファイズは2013年に創業し、わずか4年で上場を果たした。他にはTMGやSBS即配サポートなどが取引を拡大中だ。/後発の丸和は、生協や大手ネットスーパーの宅配を長年手掛けてきたノウハウを生かし、接客の質で差別化を図る。「早く、丁寧に運べば、大逆転も狙える」(和佐見社長)」。

接客の質で差別化を図る、というのは重要です。というのも、アマゾン・ジャパンが利用している「デリバリープロバイダ」については、ウェブで目にする購入者からの評価には、ヤマト運輸に比してまだまだ厳しいものがあるものからです。「バズプラスニュース」2016年8月9日付、yamashiro氏記名記事「【激怒】不満爆発! Amazonの配送業者「デリバリープロバイダ」をできるだけ避ける方法――デリバリープロバイダが不評」や、「NAVERまとめ」2016年8月10日更新「【デリバリープロバイダ】Amazonの“TMG便”がひどいらしい・・・【届かない】」。残念ながらこれらは過去の話とは言えません。「デリバリープロバイダ」よりも、ヤマト運輸への信頼感が強いのが現状ではないでしょうか。ヤマトが当日配送から撤退となれば、「デリバリープロバイダ」側のサービスが向上しない限り、混乱は続きますし、アマゾンへの悪評も消えないでしょう。

先述の「DIAMOND online」の記事では次のような指摘もなされています。「「アマゾンに食いつぶされてたまるか」と拒絶反応を示す企業もある。「最初は頼み込まれて始めても、力関係は早晩変わるはず」(3PL企業幹部)。〔・・・〕アマゾンは宅配大手と同じように新興勢とも荷物1個当たりの成果支払いを要望。一方、新興勢からすれば、当日配達は再配達が多く、燃料費も人件費も掛かるので、料金を保証してほしい。水面下では、こうした攻防が繰り広げられている。〔・・・〕そして最大のネックは、やはり人手だ。すでに物流倉庫ではアジア系の労働力が欠かせない。外国人労働者が宅配ドライバーになる日も近いかもしれない」。3PL幹部の本音は小零細出版社の本音でもあります。色々と嫌な予感がしますが、同記事のヤフーニュース版のコメント欄も非常に興味深いです。例えば「犠牲者になる対象が変わっただけだよ。物流業はマンパワー以外手段はない。魔法があるなら大手はとっくに使っている」との声。まったく同感です。

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「日本経済新聞」では本日、加藤貴行氏・栗原健太氏記名によるこんな記事も配信しています。「アマゾンの荷物、一般人が運ぶ時代」によれば「アマゾンジャパン(東京・目黒)が日本国内で独自に配送網を構築することになった。アマゾンは個人事業者を活用し、宅配便首位ヤマト運輸を事実上中抜きする。実は親会社の米アマゾン・ドット・コムの目線はもっと先にある。究極の姿は、時間のある一般人に委託したり、ロボットを使ったりする手法だ。アマゾンが世界の物流のあり方を変えようとするなか、欧米企業も対応を進めている」(以下要登録)。記事では米国で2015年から始まっている、個人に宅配を委託する事業「アマゾンフレックス」や、2016年に英国で始めたドローンによる自動配達試験「アマゾン・プライム・エアー」のほか、目下アマゾンが研究中のとある技術、またドイツのダイムラーの「危機感」にも言及しており、必読です。

このほか参考すべき記事には「ITmedia NEWS」2017年6月17日付記事「Amazon、一般人に荷物運びを依頼? 新アプリ開発中か:外出のついでにAmazonの荷物を運んで小遣い稼ぎ──こんなことができるようになるかもしれない」があります。「日経新聞」が参照している「Wall Street Journal」の記事について触れたものです。曰く「Amazon社内で「On My Way」と呼ばれているというこのサービスは、「配達のクラウドソーシング」だ。都市部の小売業者に依頼して荷物を集積しておき、一般人はどこかへ行くついでに荷物を配達する仕組みになるようだ。こうした仕組みを実現するモバイルアプリを開発中という」。

この「On My Way」をめぐる同様の記事には、「TCトピックス」」6月17日付、Jordan Crook氏記名記事「Amazonが一般人が商品配送に参加できるアプリを開発中との情報」や、「ITpro」6月17日付、小久保重信氏記名記事「Amazon、一般の人が商品を配達する新たな仕組み「On My Way」計画中」があります。前者では「WSJの記事によれば、On My Wayプロジェクト〔への〕参加者はこうしたロッカーやAmazonの商品を預かるコンビニなどでパッケージをピックアップし、最終目的へ届けるのだろうという」と。 後者では「Wall Street Journalによると、Amazonがこの計画を実現させれば、同社は「クラウドソース・デリバリー」と呼ばれる、一時的な契約職員を使った配達サービス事業に参入することになる。ただし、この分野では大手運送業者などと競合する規模でサービスを展開した企業はまだない」と紹介されています。

画期的とも言える一方で、様々な配送トラブルが見込まれることは否応ないように感じます。

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アマゾン・ジャパンの書籍事業本部による「商品調達および帳合取次との取引変更に関する説明会」についてごく簡単に書いておきます。この説明会の内容は「confidential」と銘打たれていましたから詳細には言及しませんが、いつも通りのご高説でアマゾン側から見た論理としてはたいへん筋の通った話でした。むろんそこに取次や出版社の視点をさしはさむ余地はなく、その意味ではツッコミどころ満載ではありました。

本日6月22日付の「新文化」では1面に「日販「在庫見える化」「出荷確約」を推進/「アマゾン問題」をどう捉えるか」が掲載されています。リードはこうです。「アマゾンジャパン(以下、アマゾン)が日販へのバックオーダー発注を終了すると発表してから約2カ月が経過した。アマゾンは説明会を繰り返し行い、出版社に直接取引を推奨しているが、日販との関係を鑑みていまだ結論を出せない出版社も少なくない。この問題解決には「日販の在庫拡充」か「出版社の直接取引」の2択しかないというアマゾンの主張を、日販はどう受け止めているのか。日販の安西浩和専務と大河内充常務に話を聞いた。(聞き手=本紙・丸島基和)」。

アマゾンの説明会を聞いた印象では、彼らは日販のこれまでの労苦を多としつつも「限界がある」と見ており、私の印象で言えば、完全に日販を見限っている様子が窺えました。また、アマゾンの皆さんは各種マスコミやネットでアマゾンがどう批評されているかを逐一チェックされているとのことで、内心の苛立ちを隠さないお話しぶりでした。スタッフの皆さんはそうしたアマゾン批評を見ても、立場上一切リプライを返せないのでしょう。その辺はもっと風通しが良くなってもいいのではないか。

そもそも業界関係者がネットでアマゾンに物申している背景には、アマゾンに直言したとしてもこれといった「話し合い」にはならないという、繰り返されてきた悲しい現実があります。彼らは良くも悪くもチームワークで対応するため、一対一の関係でとことん話し合うという企業風土がないように見えます。さらに、アマゾンの方針から外れる案件にはどんな種類の問い合わせであれまったく答えようとしない合理主義というものが徹底されているようにも見受けます。要するに出版社にとってはそもそも人的コミュニケーションが取りづらい相手なのです。そうじゃないよ、誤解だよ、交流できるよ、というアマゾン内部の方がいるとしたら、ぜひ直接話を聞いてみたいものです。

一言で言えば、アマゾンの説明会は不愉快なものでした。アマゾンの言いようは総じて日販に対して否定的なニュアンスがあり、「新文化」記事で紹介されているような日販側の言い分とは相容れないように思えました。以前私は「このままでは日販は言われっぱなしだ」と書きましたが、実際にその通りになっていました。彼らが掲げる「お客様第一主義」という御旗には、日販の苦労も、出版社の思いも、ヤマト運輸のそれと同様、残念ながら届かないと思います。大したイノベーションですよ、まったく。

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by urag | 2017-06-22 10:40 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 19日

ブックツリー「哲学読書室」に金澤忠信さんと藤井俊之さんの選書リストが追加されました

オンライン書店「honto」のブックツリー「哲学読書室」に、『ソシュールの政治的言説』(月曜社、2017年5月)を上梓された金澤忠信さんの選書リスト「19世紀末の歴史的文脈のなかでソシュールを読み直す」と、『啓蒙と神話――アドルノにおける人間性の形象』(航思社、2017年4月)を上梓された藤井俊之さんの選書リスト「ナルシシズムの時代に自らを省みることの困難について」が追加されました。下記リンク先一覧よりご覧ください。


◎哲学読書室

上尾真道さん選書「心のケアを問う哲学。精神医療とフランス現代思想
渡辺洋平さん選書「今、哲学を(再)開始するために
岡本健さん選書「ゾンビを/で哲学してみる!?

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by urag | 2017-06-19 16:14 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 19日

リレー講義「文化を職業にする」@明星大学

先週土曜日(2017年6月17日)は、明星大学日野キャンパスにお邪魔し、リレー講義「文化を職業にする」で発表させていただきました。今年はテーマを「出版社の仕事と出版界の現在」と題し、読者にはなかなか見えない世界である編集者や営業マンの仕事について、また出版不況20年の変化についてお話ししました。ご清聴いただきありがとうございました。また、担当教官の小林一岳先生に深謝申し上げます。受講された皆さんから頂戴したご質問に対し、ひとつひとつ回答を書きましたので(A4用紙4枚)、いずれ皆さんのお手元に配付されることと思います。また皆さんとお目に掛かってお話をする機会があれば幸いです。

◎「文化を職業にする」@明星大学
2012年6月16日「文化を職業にする」
2013年6月15日「独立系出版社の仕事」
2014年6月07日「変貌する出版界と独立系出版社の仕事」
2015年6月13日「独立系出版社の挑戦」
2016年6月11日「出版界の現在と独立系出版社」
2017年6月17日「出版社の仕事と出版界の現在」

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ちなみに現在、明星大学資料図書館2Fの明星ギャラリーでは貴重書コレクション展示が開催されています。学外の方でも、事前予約すれば入場無料でご覧になれます。

来週月曜日まで開催されている「第1期:世界を学ぶ」ではロゼッタストーンの複製や、貴重書の数々が展示されています。シェーデル『ニュルンベルク年代記』1943年、マルコ・ポーロ『東方見聞録』ラテン語訳1483年(または1484年)、ダンテ『神曲』1497年、コメニウス『世界図絵』1672年、デフォー『ロビンソン・クルーソー』1719₋1720年、スウィフト『ガリヴァー旅行記』1726年、ディドロ/ダランベール『百科全書』1751-1780年、そしてナポレオンの命で作成された『エジプト誌』1809-1822年など。なんと言っても圧巻なのは『エジプト誌』です。1頁が畳半畳はあろうかという大きさに、精密なエッチングでギザのピラミッドやスフィンクスが描かれているページを見ることができます。また、個人的には『ニュルンベルク年代記』や『百科全書』にも圧倒されました。インキュナブラや近世近代の貴重書の実物を見ることができる貴重な機会ですので、稀覯書好きの方にお薦めします。

なお今月30日からの「第2期:自然を学ぶ」では、ファーブルの水彩画やキュリー夫人の「実験室ノート」のほか、コペルニクス『天体の回転について』1543年、ケプラー『新天文学』1609年、ガリレイ『天文対話』1632年、フォン・ゲーリケ『真空に関するマグデブルクの新実験』1672年、フォン・シーボルト『日本植物誌』1835-1870年、同『日本動物誌』1833-1850年が展示される予定だそうです。明星大学ではこうした貴重書を4500点あまり所蔵していて、シェイクスピアのファーストフォリオからフォース・フォリオをはじめ、一部がアーカイブ化されています。同学図書館の「貴重書コレクション」サイトをご覧ください。


会期:2017年3月21日(火)~12月22日(金)
   第1期:世界を学ぶ 2017年3月21日(火)~ 6月26日(月)
   第2期:自然を学ぶ 2017年6月30日(金)~ 9月25日(月)
   第3期:日本を学ぶ 2017年9月29日(金)~12月22日(金)
会場:明星大学資料図書館2階 明星ギャラリー(入場無料)
時間:9時00分~17時00分(休館:日曜・祝日・大学行事日・展示替期間)
主催:明星大学、協力:NPO日本アンリ・ファーブル会、後援:エジプト・アラブ共和国大使館

※入場無料・事前予約制(明星大学の教職員や学生は予約不要)
※団体の予約手続きに関しては、お電話でお問い合わせください。明星大学図書館 TEL:042-591-5104

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by urag | 2017-06-19 15:10 | ご挨拶 | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 19日

注目新刊:ブランショ『終わりなき対話(II)限界-経験』筑摩書房

★西山達也さん(訳書:サリス『翻訳について』)
★西山雄二さん(訳書:デリダ『条件なき大学』、共訳:『ブランショ政治論集』)
共訳書、モーリス・ブランショ『終わりなき対話(Ⅱ)限界−経験』が発売されました。書誌情報は下記の通り。西山達也さんは訳者を代表して、訳者あとがきをお書きになっておられます。なお第三部は2017年10月予定と予告されています。

終わりなき対話(Ⅱ)限界−経験
モーリス・ブランショ著、湯浅博雄/岩野卓司/上田和彦/大森晋輔/西山達也/西山雄二訳
筑摩書房、2017年6月、本体5,900円、A5判上製496頁、ISBN978-4-480-77552-8
カバー表1紹介文より:意味と決別せよ。ニーチェ論を転回点にヘラクレイトスからバタイユへ、哲学と文学を架橋し、意味の極北を探る渾身の第二部。

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by urag | 2017-06-19 11:13 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 18日

注目新刊:ハマー『アルカイダから古文書を守った図書館員』紀伊國屋書店、ほか

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ハイデガー『存在と時間』を読む』サイモン・クリッチリー/ライナー・シュールマン著、スティーヴン・レヴィン編、串田純一訳、法政大学出版局、2017年6月、本体4,000円、四六判上製298頁、ISBN978-4-588-01059-0
新訳ベルクソン全集(7)思考と動くもの』竹内信夫訳、白水社、2017年6月、本体4,100円、4-6判上製368頁、ISBN978-4-560-09307-8
西洋の没落(Ⅰ)(Ⅱ)』シュペングラー著、村松正俊訳、2017年6月、本体1,800円/1,600円、新書判並製384頁/288頁、ISBN978-4-12-160174-2/ISBN978-4-12-160175-9
なぞ怪奇 超科学ミステリー 復刻版』斎藤守弘著、復刊ドットコム、2017年6月、本体3,700円、B6判上製218頁、ISBN978-4-8354-5492-4

★『ハイデガー『存在と時間』を読む』の原書は『On Heidegger's Being and Time』(Routledge, 2008)。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。ニュー・スクール・フォー・ソーシャル・リサーチにおけるクリッチリーとシュールマンの講義をレヴィンがまとめて、まえがきを付したものです。何と言ってもシュールマン(Reiner Schürmann, 1941-1993)のハイデガー講義(1978年、1982年、1986年)をまとめて読めるようになったことが嬉しいです。シュールマンには主著であるハイデガー論『アナーキーの原理』やエックハルト論、大部の遺稿集などがあり、いずれも未訳ですが、これをきっかけに日本語でもいずれ読めるようになればと願わずにいられません。

★『新訳ベルクソン全集(7)思考と動くもの』は配本が遅れていましたが、何と言っても個人全訳ですから気長に待つということで全然良かったわけです。しかしながら本書巻末の「読者のみなさまへ」という白水社の特記や月報7での「訳者のつぶやき」において、事情が明かされています。巻末の特記(ほぼ同文の「『新訳ベルクソン全集』についてお知らせとお詫び」が版元サイトに掲出)にはこうあります。「既刊では「訳注」を「原注」と併せ付してまいりましたが、本巻においては、訳者の健康上の理由により、「訳注」は断念せざるを得ませんでした。〔・・・〕同様の理由により、現時点では、次回以降の配本(第6巻『道徳と宗教の二つの源泉』及び「別巻」)の見通しが立っておりません。つきましては、訳者と話合いの結果、今回配本をもちまして刊行をいったん中止させていただくことに致しました。みなさまのご賢察を願い上げ、ご寛恕を乞う次第です」と。竹内先生は月報にこう書かれています。「最後の一巻『道徳と宗教の二つの源泉』に取り組んでいきたいという思いにいささかの変りもない。しかし、自身の身体の現状をふまえ、白水社と協議した結果、刊行はいったん中止して、再開・完結を期したいと考えるに至った」。まさに命懸けのご訳業に胸が震えます。

★『西洋の没落(Ⅰ)(Ⅱ)』は、五月書房の縮約版の再刊。巻末の編集付記によれば「1976年に五月書房さから刊行された『西洋の没落』(縮約版)を底本とし、新たな解説を作品の前に付した。割注は訳者に拠る」と。新たな解説というのは第1巻巻頭に掲載された板橋拓己(成蹊大学教授)による「時代が生んだ奇書」のこと。訳者は1981年に死去されています。本文の改訂の有無についてですが、同付記によれば「明らかな誤字・脱字は訂正した。固有名詞や用字・用語については初版の表記に拠った」とあります。縮約版ではなく完全版が再刊されたらよかったのに(五月書房が廃業されているため新本での入手はできません)とも思いますが、親本は46判上下巻で1200頁を超える大冊なので、中公クラシックスに入れるには大きすぎたでしょうか。

★『なぞ怪奇 超科学ミステリー 復刻版』は「ジャガーバックス」に続いて復刊ドットコムが再刊に着手した「ジュニアチャンピオンコース」の第一弾。初版は1974年。個人的には「ジャガー」よりこちらのシリーズの方が好きで、しかも一番印象に残っている本書が復刻され、嬉しくてたまりません。頁をめくると脳裏の深い場所から記憶がまざまざと蘇ってくるのを感じます。どのイラストも写真もくっきりと思い出に一致して、どれほど自分がこの本に強い印象を抱いていたのかが分かります。送料も含めると4000円超えにはなりますが、満足です。強いて言えば、原本とは製本に差があって、ノドの開きに物足りなさを感じます。これは以後、何とか改善されればと願うばかりです。それにしても子供時代の本を大学生の頃に一挙に廃棄してしまったのは失敗だったなと今さらながらつくづく悔やまれます。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

アルカイダから古文書を守った図書館員』ジョシュア・ハマー著、梶山あゆみ訳、紀伊國屋書店、2017年6月、本体2,100円、B6判上製349頁、ISBN978-4-314-01148-8
人類はなぜ肉食をやめられないのか――250万年の愛と妄想のはてに』マルタ・ザラスカ著、小野木明恵訳、インターシフト発行、合同出版発売、2017年6月、本体2,200円、46判並製320頁、ISBN978-4-7726-9556-5
現代思想2017年7月臨時増刊号 総特集=築地市場』青土社、2017年6月、本体1,600円、A5判並製254頁、ISBN978-4-7917-1347-9

★『アルカイダから古文書を守った図書館員』の原書は『The Bad-Ass Librarians of Timbuktu: And Their Race to Save the World's Most Precious Manuscripts』(Simon & Schuster, 2016)です。イスラム原理主義者はこれまで他宗教や多文化の遺跡や歴史的遺物の破壊を繰り返してきましたが、彼らのターゲットには古文書も含まれています。本書は西アフリカ・マリ共和国で37万点もの貴重書をアルカイダ系組織から守った図書館員アブデル・カデル・ハイダラの活躍を伝えるノンフィクションです。危険を察知したハイダラの機転により、トンブクトゥの図書館から1000キロ離れた首都バマコまで古文書が移されたお蔭で、被害は拡大せずに済んだと言います。イスラム原理主義者の行動範囲がイギリスやフランスまで広がりつつあるこんにち、この先に起こるかもしれない新たな悲劇のことを強く危惧せざるをえません。

★『人類はなぜ肉食をやめられないのか』の原書は『MEATHOOKED: The History and Science of Our 2.5-Million-Year Obsession with Meat』(Basic Books, 2016)です。目次および解説は書名のリンク先をご覧ください。肉食の長い長い歴史をひもとき、なぜ人類は肉を食べるのか好きなのかを解き明かします。それは「古代の細菌が他の細菌の「肉」の味のとりこになったときから始まっている」(14頁)というのです。そして「肉食は、人類がアフリカから外に出るのを後押ししただけでなく、(人類の親戚であるチンパンジーに比べて)体毛が薄くなり大量の汗をかくようになったことにもかかわっているのだ」(同)そうです。本書ではさらに食肉不足が予想される近未来を展望し、「肉のない世界」(296頁)での栄養転換について説明しています。「肉の消費を大幅に減らさなければ、地球温暖化や水不足、環境汚染に直面する可能性が著しく高くなる」(301頁)と著者は警告しています。

★『現代思想2017年7月臨時増刊号 総特集=築地市場』は中沢新一さんによる責任編集。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。中沢さんご本人は、伊東豊雄さんとの徹底討論「「みんなの市場」をめざす」「夢にあふれた近代建築――『東京市中央卸売市場築地本場・建築図集』を読む」を行い、仲卸業者の中澤誠さんへのインタヴュー「天才的な築地市場」を手掛けられているほか、巻頭言や論考2篇「築地市場の「富」」「築地アースダイバー」(図版協力=深澤晃平)を寄稿しておられます。「築地アースダイバー」で中沢さんはこう書いておられます。「築地市場のユニークさは、物流センターとしての機能だけに限定されない。仲卸の中心にしてかたちづくられてきた「中間機構」の中に、味覚をめぐる莫大な量の身体的暗黙知が蓄積され、それがいまも健全な活動を続けている。〔・・・〕築地市場は我々の宝物である。そしてなによりも築地市場には未来がある。この未来を絶ってしまってはならない」(39-40頁)。これがノスタルジーなどではないことは本特集号の内容がよく示しています。

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by urag | 2017-06-18 18:18 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 06月 16日

ブックフェア「這いまわる思考」@紀伊國屋書店新宿本店3F

◎ブックフェア「這いまわる思考」(『こびとが打ち上げた小さなボール』刊行記念)

期間:2017年6月5日(月)~6月30日(金) ※7月上旬まで延長の可能性あり。
場所:紀伊國屋書店新宿本店3階、I-28棚

チョ・セヒ『こびとが打ち上げた小さなボール』(河出書房新社、2016年12月)の刊行を記念し、翻訳者・斎藤真理子さんと紀伊國屋書店新宿本店3Fブックフェア委員会との共同選書フェアが行なわれており、好評を博していると聞きます。「韓国の文化や思想はもちろん、障害者運動や反差別運動、労働運動、移民の権利運動など、国を越えて各地で展開される地面からの抵抗の歴史を紹介します」という意欲的なもの。斎藤さんの選書23冊と委員会の41冊、合計で64冊が展開されています。弊社の既刊書、申鉉準(シン・ヒョンジュン)ほか『韓国ポップのアルケオロジー――1960-70年代』(平田由紀江訳、月曜社、2016年2月)や、ジャン・ジュネ『公然たる敵』(アルベール・ディシィ編、鵜飼哲・梅木達郎・根岸徹郎・岑村傑訳、月曜社、2011年3月)も並べていただいています。

斎藤さんのエッセイ「蹴散らされた人々の声」と64冊への選書コメントを掲載したパンフレットが店頭で無料配布されています。非常に興味深い選書内容で、必見です。

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by urag | 2017-06-16 21:00 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)