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2017年 03月 31日

本日スタート:ブックフェア「特集:『主体の論理・概念の倫理』」@東京堂

◎ブックフェア「特集:『主体の論理・概念の倫理――二〇世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』(以文社)」

概要:フランス20世紀のエピステモロジー(科学認識論)の系譜におけるスピノザ主義に注目したグループ研究「フランス・エピステモロジーの伏流としてのスピノザ」の成果をまとめた論集がこの度刊行された。当フェアではこの論集『主体の論理・概念の倫理――二〇世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』(以文社)の関連書籍とともに、フランス現代思想の隠れた水脈を探りたい。

場所:東京堂書店神田神保町店3階エスカレーター前
期間:2017年3月31日(金)~2017年5月30日(火)

※大きなパネルで掲示されている人物相関図は『主体の論理・概念の倫理』の巻頭に収められているダイアグラムです。共編著者の近藤和敬さんによる力作と伺っています。
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※弊社既刊書の、近藤和敬さんによる『構造と生成』2巻本も並んでいます。
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※共編著者の上野修さんによるステートメントとフェア担当のMさんによるブックガイドを含む貴重な小冊子が店頭にて無料配布中!これは貴重です。
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by urag | 2017-03-31 17:00 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 30日

近藤和敬さん選書「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」

主体の論理・概念の倫理――二〇世紀フランスのエピステモロジーとスピノザ主義』(以文社、2017年2月)の共編著者でいらっしゃる近藤和敬さん(こんどう・かずのり:1979-)によるブックツリー「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」が、オンライン書店hontoにて公開されました。「哲学読書室」の第三弾です。皆様にご高覧いただけたら幸いです。

◎「哲学読書室」@honto

第1弾「崇高が分かれば西洋が分かる」選書:星野太さん(1983-:金沢美術工芸大学講師。『崇高の修辞学』月曜社、2017年2月刊)
第2弾「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!」選書:國分功一郎さん(1974-:高崎経済大学准教授。『中動態の世界』医学書院、2017年3月刊)
第3弾「20世紀フランスの哲学地図を書き換える」選書:近藤和敬さん(1979-:鹿児島大学法文学部准教授。『主体の論理・概念の倫理』以文社、2017年2月刊)

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by urag | 2017-03-30 16:15 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 30日

サイン入限定小冊子付『崇高の修辞学』@代官山蔦屋書店

代官山蔦屋書店さんでは星野太さんの『崇高の修辞学』がサイン入の限定小冊子付で販売されています。この限定小冊子は先週金曜日3月24日に行われたトークイベントへのご来場者様にお渡ししたものです。イベントへのご参加がかなわなかったお客様はぜひこの機会をご利用ください。地方発送も可能とのことです。部数限定につき、お早めにどうぞ。
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by urag | 2017-03-30 14:02 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 29日

ブックフェア「19世紀フランス哲学、再発見のために」@紀伊國屋書店新宿本店

紀伊國屋書店新宿本店3階にてブックフェア「じんぶんや」の特別企画「19世紀フランス哲学、再発見のために」が、ラヴェッソン『十九世紀フランス哲学』(知泉書館、2017年1月)刊行記念として好評開催中です。選書人は同書の共訳者で、学習院大学文学部教授の杉山直樹(すぎやま・なおき:1964-)さんです。フェア名のリンク先では、店頭で無料配布中の選書コメント小冊子より、杉山さんによる挨拶文「フェアによせて」が転載されているほか、選書リストや店頭写真をご覧になれます。フェアを企画された仕入のOさん曰く「神、王、絶対者の廃位可能性という観点から「西洋哲学の大きな試練の場、巨大かつリアルな実験場」を読み取るためのブックフェアとなっています」とのことです。

◎じんぶんや「19世紀フランス哲学、再発見のために」

場所:紀伊國屋書店新宿本店 3階人文書フェアスペース
会期:2017年3月20日(月・祝)より開催中
問合:紀伊國屋書店新宿本店3階 電話03-3354-5703

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by urag | 2017-03-29 17:43 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 28日

トークイベント:星野太×岡本源太「ロゴスとアイステーシス」、ほか

弊社出版物でお世話になっている著訳者の皆様のご活躍をご紹介します。

★星野太さん(著書:『崇高の修辞学』)
★岡本源太さん(著書:『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』)
京都の書店「MEDIA SHOP」さんと「Art Critique」誌の櫻井拓さんのご企画により、お二人の対談イベントが実現の運びとなりました。

◎星野太×岡本源太「ロゴスとアイステーシス――美と崇高の系譜学

出演:星野太(美学・表象文化論、金沢美術工芸大学講師)
   岡本源太(美学、岡山大学准教授)
日時:2017年5月20日(土) 18:30―20:30(開場は18:00)
会場:MEDIA SHOP|gallery(京都市中京区河原町三条下る一筋目東入る大黒町44 VOXビル1F )
料金:一般1,300円/学生1,000円/メディアショップにて『崇高の修辞学』(3,888円[税込])をご購入のお客様は一律、入場料500円とさせていただきます。
定員:50名、要予約。お申込みはメールにて受け付けております。担当齋藤 mediashop@media-shop.co.jp
企画:MEDIA SHOP/櫻井拓
内容:言葉と感性はどの地点で交差し、或いは訣別するのか。崇高と滑稽、技を隠す技と自然の模倣、系譜と古典、イメージと情念。『崇高の修辞学』の内容を入口に、幾つかのキーワードを切り口として、言葉と感性をめぐる問いを、理論的かつ歴史的な視点から議論していただきます。星野太さん『崇高の修辞学』(月曜社)刊行記念トークイベント。

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★郷原佳以さん(共訳:『ブランショ政治論集』)
★門間広明さん(訳書:ブランショ『謎の男トマ』)
「20世紀文学の読み替え」を目指す論集『〈前衛〉とは何か? 〈後衛〉とは何か?――文学史の虚構と近代性の時間』(塚本昌則・鈴木雅雄編、平凡社、2010年)、『写真と文学――何がイメージの価値を決めるのか』(塚本昌則編、平凡社、2013年)に続く完結篇が刊行されました。郷原さん、門間さんが参加されています。

声と文学――拡張する身体の誘惑
塚本昌則・鈴木雅雄編
平凡社 2017年3月 本体6,200円 A5判上製590頁 ISBN978-4-582-33327-5

目次:
序 あなたはレコード、私は蓄音機――20世紀フランス文学の声の「回帰」|鈴木雅雄
Ⅰ それは誰の声か――語り、身体、沈黙
 貸し出される身体――話すことと読むことをめぐって|伊藤亜紗
 消えゆく声――ロラン・バルト|桑田光平
 セイレーンたちの歌と「語りの声」――ブランショ、カフカ、三人称|郷原佳以
 〈操る声〉と〈声の借用〉――ジャリにおける蓄音機、催眠術、テレパシー|合田陽祐
 文学――他処から来た声?:ホメロスからヴァレリーへ|ウィリアム・マルクス/内藤真奈訳
Ⅱ 声の不在と現前――歌、証言、フィクション
 〈第四の声〉――ヴァレリーの声に関する考察|塚本昌則
 シャルロット・デルボ――アウシュヴィッツを「聴く」証人|谷口亜沙子
 W島を描写する〈声〉は誰のものか――ペレック『Wあるいは子供の頃の思い出』における証言の問題|塩塚秀一郎
 想像し、想像させる声――ベケットとデュラス?|たけだはるか
 声は石になった――アンドレ・ブルトン『A音』精読|前之園望
 歌声と回想――ルソー、シャトーブリアン、ネルヴァル|野崎歓
Ⅲ 声から立ちあがるもの――叫び、リズム、ささやき
 叙情に抗う声――オカール、アルトー、ハイツィックにおける音声的言表主体|熊木淳
 例外性の発明――ギー・ドゥボールの声について|門間広明
 目で聴く――マラルメと古典人文学の変容|立花史
 主体なき口頭性――アンリ・ミショーにおけるリズム|梶田裕
 ささやきとしての声〔ヴォワ〕、動詞の形としての態〔ヴォワ〕|ジャクリーヌ・シェニウー=ジャンドロン/中田健太郎訳
Ⅳ 声の創造――霊媒、テレパシー、人工音声
 声は聞き逃されねばならない――シュルレアリスムとノイズの潜勢力|鈴木雅雄
 心霊主義における声と身元確認――「作家なき作品」の制作の場としての交霊会|橋本一径
 人工の声をめぐる幻想――ヴェルヌ、ルーセル、初音ミク|新島進
 オートマティスムの声は誰のもの?――ブルトン、幽霊、初音ミク|中田健太郎
 フランスにみる録音技術の黎明期――来るべき「音声技術と文学」のために|福田裕大
跋 〈本物〉とは何か|塚本昌則
年表 音響技術と文学|福田裕大編
索引

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★柿並良佑さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
★渡名喜庸哲さん(共訳:サラ-モランス『ソドム』)
来月下旬に慶応大学三田キャンパスで行われるバタイユ生誕120年記念国際シンポジウムでご講演されます。

◎ジョルジュ・バタイユ生誕120年記念国際シンポジウム「神話・共同体・虚構——ジョルジュ・バタイユからジャン=リュック・ナンシーへ
Le colloque international pour le cent vingtième anniversaire de la naissance de Georges Bataille « Le mythe, la communauté et la fiction : De Georges Bataille à Jean-Luc Nancy »

内容:バタイユ生誕120周年、ナンシーとともに。バタイユの衝撃——生誕120年を迎える今日、バタイユの思想は人文科学、社会科学などの領域でなおも反響してやむことがない。バタイユは二度の大戦、民族殲滅、原爆投下、東西冷戦など20世紀の数々の暴力・災厄の歴史を生きながら、人と人、人と世界の共生に賭けた。ナンシーが『無為の共同体』(1986)によってこの思想を照らし出してから30年が経過するが、人種差別主義、ナショナリズムが新たに猛威を振るう現在、共同体についての問いはその重要性を増すばかりである。神話・共同体・虚構。これらのテーマに果敢に取り組むナンシーとともに、バタイユの思想の新たな意義を考えたい。*なお、ジャン=リュック・ナンシー氏の招聘は平成29年度スーパー・グローバル大学創成支援によるものです。

日時:2017年4月22‐23日
場所:慶應義塾大学・三田キャンパス南校舎ホール
※入場無料、事前予約不要
※フランス語・日本語(通訳あり)

主催:慶應義塾大学文学部仏文学専攻
共催:慶應義塾大学・藝文学会
お問い合わせ:colloque.bataillenancy@gmail.com

日程:
4月22日(土)
10h 開会の辞
10h30-11h15 大池惣太郎(東京大学 IHS特任助教)「「内的経験」における他者の場所」
11h15-12h 井岡詩子(日本学術振興会 特別研究員)「だれが「虚構」を悦ぶのか?——もうひとつの「アンフォルム」のために」
休憩
14h-14h45 石川学(東京大学 IHS 特任助教)「神話の不在、文学の不在——ジョルジュ・バタイユと消滅の力をめぐって」
14h45-15h30 中川真知子(慶應義塾大学経済学部 専任講師)「ジョルジュ・バタイユの『死者』について——キリスト教・愛・物語」
休憩
15h45-16h30 松本鉄平(慶應義塾大学文学研究科 博士課程)「「個人」をめぐる1940年代のキリスト教思想——J.-L. ナンシーの脱キリスト教的視点から」
16h30-17h30 討議

4月23日(日)
10h-10h45 柿並良佑(山形大学人文社会科学部 専任講師)「人間(オム)なきオマージュ——バタイユとナンシー、思考の身振りと力」
10h45-11h30 福島勲(北九州市立大学文学部 准教授)「「恋人たちの共同体」再考——バタイユの物語作品とナンシーの思考から」
11h30-12h15 渡名喜庸哲(慶應義塾大学商学部 准教授)「エロス、文学、災厄——バタイユ、レヴィナス、ナンシー」
休憩
13h45-14h30 市川崇(慶應義塾大学文学部 教授)「時間、エクリチュール、政治——ジョルジュ・バタイユとジャン=リュック・ナンシー」
14h30-15h15 酒井健(法政大学文学部 教授)「バタイユとナンシーにおけるニーチェの可能性と不可能性——神話の問題系を中心に」
休憩
15h30-17h ジャン=リュック・ナンシー(ストラスブール大学 名誉教授)「心からバタイユを」
17h-18h ラウンドテーブル
18h 閉会の辞

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by urag | 2017-03-28 16:09 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 28日

hontoブックツリー「哲学読書室」

オンライン書店「honto」の公開ブックリスト「ブックツリー」に「哲学読書室」というアカウントが開設され、コーディネーターを不肖小林が務めることになりました。現在、以下の二つのブックツリーが公開中です。

星野太さん選書「崇高が分かれば西洋が分かる
國分功一郎さん選書「意志について考える。そこから中動態の哲学へ!

自社本他社本を問わず、注目新刊の著者の皆様にご参加いただけるよう頑張ります。

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by urag | 2017-03-28 15:33 | ご挨拶 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 26日

注目新刊:國分功一郎『中動態の世界』医学書院、ほか

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中動態の世界――意志と責任の考古学
國分功一郎著
医学書院 2017年3月 A5判並製336頁 ISBN978-4-260-03157-8

帯文より:「しゃべっている言葉が違うのよね」。ある依存症当事者がふと漏らした言葉から、「する」と「される」の外側への旅がはじまった。若き哲学者は、バンヴェニスト、アレントに学び、デリダ、ハイデッガー、ドゥルーズを訪ね直し、細江逸記を発見し、アガンベンに教えられ、そして新たなスピノザと出会う。 失われた「態」を求めて。

目次:
プロローグ――ある対話
第1章 能動と受動をめぐる諸問題
第2章 中動態という古名
第3章 中動態の意味論
第4章 言語と思考
第5章 意志と選択
第6章 言語の歴史
第7章 中動態、放下、出来事――ハイデッガー、ドゥルーズ
第8章 中動態と自由の哲学――スピノザ
第9章 ビリーたちの物語

あとがき

★「シリーズ ケアをひらく」の最新刊。知の考古学者としての國分さんの才気がもっとも生きいきと示された本です。ごく図式的に言えば、國分さんのこれまでの著作には『暇と退屈の倫理学』や『ドゥルーズの哲学原理』のような哲学的著作と、『近代政治哲学』や『民主主義を直感するために』のような政治的著作があったわけですが、この二つの分岐が、文法や言葉をめぐる史的探究としての『中動態の世界』へとついに合流した、という印象があります。この流れは國分さんを、デビュー作『スピノザの方法』と同様に、再びスピノザの精読へと促す還流でもあったかもしれません(第8章)。さらに本書では、その円環は自由論として兆す問いの地平へと思考を発出し始めているように思えました。

★同書の刊行を記念して、以下のトークイベントが行われる予定です。定員40名のところ、告知開始初日である昨日25日(土)の夜ですでに20名まで予約が入ったそうなので、参加ご希望の方はお早めにご予約下さい。【3月27日18時現在予約満席となりました。まことにありがとうございました。

◎國分功一郎×星野太「中動態と/の哲学」【満席御礼

日時:2017年04月29日(土)19:30開演(19時開場)
場所:ジュンク堂書店池袋本店4F喫茶コーナー
料金:1000円(1ドリンク付、当日4F喫茶受付にて精算)
予約:ジュンク堂書店池袋本店1Fサービスコーナーもしくは電話03-5956-6111

内容:このたび國分功一郎さんが出版された『中動態の世界』(医学書院)は「中動態」という失われた文法を追い求めながら、人間の存在そのものを問い直そうとする野心作です。対話相手の星野太さんは上梓したばかりの初の単著『崇高の修辞学』(月曜社)の中で、「言葉と崇高」という言語一般を問い直す問題に挑んでいます。哲学と言語という古くて新しい論点を巡る対話。いま最も思弁的であり、最も思弁的であるが故にアクチュアルな二冊の本の著者がジュンク堂に集います!

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★國分さんの新刊『中動態の世界』の発売前後には次のような新刊も発売されています。いずれも書名のリンク先に書誌情報や目次詳細がありますので、ご参照ください。

デカルト 医学論集』ルネ・デカルト著、山田弘明/安西なつめ/澤井直/坂井建雄/香川知晶/竹田扇訳、アニー・ビトボル=エスペリエス序、法政大学出版局、2017年3月、本体4,800円、A5判上製326頁、ISBN978-4-588-15082-1
グリム兄弟言語論集――言葉の泉』ヤーコプ・グリム/ヴィルヘルム・グリム著、千石喬/高田博行編、千石喬/木村直司/福本義憲/岩井方男/重藤実/岡本順治/高田博行/荻野蔵平/佐藤恵訳、ひつじ書房、2017年2月、本体12,000円、A5判上製398頁、ISBN978-4-89476-850-5
二人称的観点の倫理学――道徳・尊敬・責任』スティーヴン・ダーウォル著、寺田俊郎監訳、会澤久仁子訳、法政大学出版局、2017年3月、本体4,600円、四六判上製462頁、ISBN978-4-588-01052-1
新版アリストテレス全集(18)弁論術/詩学』堀尾耕一/野津悌/朴一功訳、岩波書店、2017年3月、本体7,600円、A5判上製函入500頁、ISBN978-4-00-092788-8

★デカルトについては知泉書館版『全書簡集』全8巻が昨春完結しており、今回『医学論集』が成ったわけですが、この『医学論集』のあとがきによれば、続刊として、法政大学出版局では『デカルト 数学・自然学論集』が、知泉書館からは『ユトレヒト紛争書簡集』が予定されており、「これでデカルト研究の典拠とされるいわゆるアダン・タヌリ版全集全11巻のほとんどすべてが日本語で読めることになる」とのことです。

★グリム兄弟については童話以外の訳書を本屋さんで探すのがなかなか難しいのが現状なので、ご参考までに下記にまとめておきます。

ドイツ・ロマン派全集(15)グリム兄弟』小沢俊夫/谷口幸男/寺岡寿子/原研二/堅田剛訳、国書刊行会、1989年(品切)
『グリム兄弟往復書簡集――ヤーコプとヴィルヘルムの青年時代』全5巻、山田好司訳、本の風景社、2002~2007年(第1巻のみ書名は『グリム兄弟自伝・往復書簡集』。ブッキング〔現・復刊ドットコム〕よりPOD版として刊行されていたものの現在は入手できない様子。なお訳者の山田さんは同じく本の風景社より2010~11年に『わが生涯の回想――グリム兄弟の弟ルートヴィヒ・エーミール・グリム自伝』上下巻を上梓されており、こちらは入手可能なようです。)
ヤーコプ・グリム 郷土愛について――埋もれた法の探訪者の生涯』稲福日出夫編訳、編集工房東洋企画、2006年
グリム兄弟 メルヘン論集』高木昌史/高木万里子訳、法政大学出版局、2008年

★ダーウォル(Stephen Darwall, 1946-)は現在、イェール大学アンドリュー・ダウニー・オリック教授であり、ミシガン大学ジョン・デューイ卓越名誉教授。初訳となる本書は、『The Second-Person Standpoint: Morality, Respect, and Accountability』(Harvard University Press, 2006)の第一部、第二部、第四部を訳出したもの。監訳者解説によれば「原著は全四部・十二章からなるが、その第三部にあたる第七章「二人称の心理学」および第八章「間奏――正義をめぐるリードとヒューム」を、原著者と相談のうえ、割愛した」と。補助的な章であることを考慮し大部な訳書になることを避けたとのことです。

★『新版アリストテレス全集(18)弁論術/詩学』は予定より約5か月遅れの第15回配本。「弁論術」堀尾耕一訳、「アレクサンドロス宛の弁論術」野津悌訳、「詩学」朴一功訳、を収録。付属の「月報15」は新版全集の編集委員のお一人で昨秋逝去された神崎繁さんへの、中畑正志さんによる「惜別の辞」が掲載されています。「神崎さんが執筆する予定だった『政治学』の解説はどのようなものとなったのだろうか、と想像して、それが読めないことが残念でなりません」とお書きになっておられます。同月報の「編集部より」によれば第17巻「政治学」は内山勝利訳・解説から、神崎繁/相沢康隆/瀬口昌久訳、内田勝利解説となるそうです。同月報では、第16巻「大道徳学/エウデモス倫理学」、第8~9巻「動物誌」の正誤表も記載されています。次回配本は7月末刊行予定、第4巻「自然学」とのことです。

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★また、最近では以下の新刊との出会いがありました。

遊戯の起源――遊びと遊戯具はどのようにして生まれたか』増川宏一著、平凡社、2017年3月、本体3,600円、4-6判上製306頁、ISBN978-4-582-46821-2
〈増補新版〉文化的再生産の社会学――ブルデュー理論からの展開』宮島喬著、藤原書店、2017年3月、本体4,200円、A5判上製368頁、ISBN978-4-86578-118-2

★増川宏一『遊戯の起源』は帯文に曰く「社会性の形成とともに生まれた人間の遊びの起源と変化、遊戯具に秘められた多彩な知恵と活動のあとを読み解く」もの。図版多数。目次を列記すると、はじめに、序章「ヒトは賢い」、第一章「遊びへの準備」、第二章「身体能力の競い」、第三章「道具を用いる遊び」、第四章「遊戯具の起源」、終章、おわりに、あとがき、参考文献、索引。あとがきによれば、本書をもって著者の一連の遊戯史研究が完結したとのことです。

2006年05月『遊戯――その歴史と研究の歩み』法政大学出版局/ものと人間の文化史
2010年10月『盤上遊戯の世界史――シルクロード 遊びの伝播』平凡社
2012年02月『日本遊戯史――古代から現代までの遊びと社会』平凡社
2014年09月『日本遊戯思想史』平凡社
2017年03月『遊戯の起源』平凡社

★宮島喬『〈増補新版〉文化的再生産の社会学』は、1994年刊の旧版とことなるのは、巻頭に「増補新版への序文」が加えられ、第Ⅱ部「ブルデュー理論からの展開」の第8章「エスニシティと文化的再生産論」に「補論」が足され、あらたに第10章「「子どもの貧困」と貧困の再生産――一ノートとして」が新設された、という3点です。

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by urag | 2017-03-26 23:18 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 24日

取次搬入日確定:上野俊哉『[増補新版]アーバン・トライバル・スタディーズ』

弊社新刊、上野俊哉『[増補新版]アーバン・トライバル・スタディーズ』の取次搬入日が確定しましたので書店様にご報告申し上げます。日販および大阪屋栗田は3月28日(火)、トーハンは3月30日(木)です。年度末につき、取次さんも大忙しのご様子です。読者の皆様へ。書店さんでの店頭発売開始は全国の大型書店さんを中心に30日以降順次となろうかと思われます。

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by urag | 2017-03-24 14:48 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 23日

予約満席御礼:星野太トークイベント@代官山蔦屋書店

明日3月24日(金)19時より代官山蔦屋書店1号館2階イベントスペースにて行われる星野太さんのトークイベント「『崇高の修辞学』――その構造と生成(仮)」はお蔭様で昨夕、予約満席となりました。多数のお申込みまことにありがとうございます。

ご予約済みでご来場いただいた方には、
1)ナンバリング付き限定小冊子
2)イベント用A3判レジュメ
をお渡しするほか、ご来場者優遇として都内ではいち早く、國分功一郎さんの新刊『中動態の世界』(医学書院)をお買い求めになることができます。

また、トークイベントでは、質疑応答とサイン会の時間もございますので、どうぞこの機会に星野さんと触れ合っていただけたら幸いです。

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by urag | 2017-03-23 15:13 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2017年 03月 20日

注目新刊:櫂歌書房版『プラトーン著作集』、ほか

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人生の短さについて 他2篇』セネカ著、中澤務訳、光文社古典新訳文庫、2017年3月、本体900円
デカメロン 上』ボッカッチョ著、平川祐弘訳、河出文庫、2017年3月、本体1,000円
北欧の神話』山室静著、ちくま学芸文庫、2017年3月、1,000円
組織の限界』ケネス・J・アロー著、村上泰亮訳、ちくま学芸文庫、2017年3月、本体1,000円
重力と恩寵』シモーヌ・ヴェイユ著、冨原眞弓訳、岩波文庫、2017年3月、本体1,130円
口訳万葉集(上)』折口信夫著、岩波現代文庫、2017年3月、本体1,400円
『老子』――その思想を読み尽くす』池田知久訳注、講談社学術文庫、2017年3月、本体2,200円
新版 雨月物語 全訳注』上田秋成著、青木正次訳注、講談社学術文庫、2017年3月、本体1,650円
アルキビアデス クレイトポン』プラトン著、三嶋輝夫訳、講談社学術文庫、2017年3月、本体820円
『プラトーン著作集 第六巻 善・快楽・魂 第一分冊 第一アルキビアデース/ヒッパルコス/第二アルキビアデース』水崎博明訳、櫂歌全書16/櫂歌書房発行、星雲社発売、2017年2月、本体2,800円
『プラトーン著作集 第六巻 善・快楽・魂 第二分冊 プロータゴラース』水崎博明訳、櫂歌全書17/櫂歌書房発行、星雲社発売、2017年2月、本体2,200円
『プラトーン著作集 第六巻 善・快楽・魂 第三分冊 ピレーボス』水崎博明訳、櫂歌全書18/櫂歌書房、星雲社発売、2017年2月、本体2,800円
『プラトーン著作集 第七巻 自然哲学 ティーマイオス/クリティアース』水崎博明訳、櫂歌全書19/櫂歌書房、星雲社発売、2017年2月、本体3,000円
復刻版 きけ小人物よ!』ウィルヘルム・ライヒ著、片桐ユズル訳、赤瀬川源平挿画、新評論、2017年2月、本体2,000円

★まずは文庫新刊から。光文社古典新訳文庫のセネカ『人生の短さについて 他2篇』は表題作のほか、「母ヘルウィアへのなぐさめ」と「心の安定について」を収録。岩波文庫版では樋口勝彦訳(『幸福なる生活について 他一篇』1954年;「人生の短さについて」を併載)、茂手木元蔵訳(『人生の短さについて 他二篇』1980年;「心の平静について」「幸福な人生について」を併載)、大西英文訳(『生の短さについて 他二篇』2010年;「心の平静について」「幸福な人生について」を併載)という風に長く読み継がれてきた名著です。「母ヘルウィアへのなぐさめ」は文庫では初訳(単行本としては大西英文訳が岩波書店版『セネカ哲学全集(2)倫理論集Ⅱ』2006年に、茂手木元蔵訳が東海大学出版会〔現・東海大学出版部〕『セネカ道徳論集』1989年に収録)。皇帝ネロの教育係を務め、自死を命じられた哲人の言葉は二千年の時を超えて今なお読む者の胸に刺さります。ローマ帝国の爛熟期と現代社会がどこか似ているからでしょうか。

★次に河出文庫。平川訳『デカメロン』は親本が2012年刊。全3巻で文庫化。文庫での同作の既訳には、柏熊達生訳(既刊2巻、世界古典文庫、1948~49年;全10巻、新潮文庫、1954~56年;全3巻、ちくま文庫、1987~88年)、野上素一訳(全6巻、岩波文庫、1949~59年)、高橋久訳(全5巻、新潮文庫、1965~66年)、河島英昭訳(上下巻、講談社文芸文庫、1999年)などがありますが、現在も新本で入手可能なのは河島訳のみ。平川訳には長編の訳者解説が付されていて、上巻では第一章「西洋文学史上の『デカメロン』」、第二章「新訳にあたって」を収録。中巻は4月6日発売予定。

★次にちくま学芸文庫。山室静『北欧の神話』は筑摩書房版「世界の神話」シリーズで刊行された単行本(1982年)の文庫化。訳書ではなく、解説を交えた再説本。ですます調が柔らかく、若年の読者層にも訴求するのではないかと思います。アロー『組織の限界』は岩波書店の単行本(初版、1976年;岩波モダンシラシックス、1999年)からのスイッチ。文庫版オリジナルの巻末解説は慶応大学経済学部教授の坂井豊貴さん。「読者は本書『組織の限界』から、情報という厄介なもの、そして信頼という貴重な資産について、考えさせられることになるだろう」(162頁)という結語に至る前半部の論説がユニーク。

★続いて岩波文庫および岩波現代文庫。『重力と恩寵』は『自由と社会的抑圧』(2005年)、『根をもつこと』(上下巻、2010年)に続く、冨原眞弓さん訳による岩波文庫のヴェイユ新訳本。文庫の既訳には田辺保訳(講談社文庫、1974年;ちくま学芸文庫、1995年)があります。『口訳万葉集』は全三巻予定の上巻。解説「最高に純粋だった」は文芸評論家の持田叙子さんによるもの。中公文庫版「折口信夫全集」では第4巻と5巻の上下巻でした(1975~76年)。

★最後に講談社学術文庫。池田知久訳注『『老子』』は『淮南子』『荘子』に続く、同文庫での池田さんによる懇切な訳注本。『老子』の「諸思想を総合的・体系的に解明し、一般読者にその諸思想のありのままの内容を分かりやすい形で提供しよう」(凡例より)というもので、巻末には原文・読み下し、現代語訳がまとめられています。同文庫では、金谷治さんによる訳解本である『老子』が1997年に刊行されていますが、それを残しつつ新刊も出すという講談社さんの姿勢は好ましいですし正しいです。青木正次訳注『新版 雨月物語 全訳注』は同文庫の同氏による訳注本上下巻(1981年)を再構成し、一巻本としたもの、とのことです。原文(原文が漢文の場合は読み下し付き)、現代語訳、語文注、考釈という構成。プラトン『アルキビアデス クレイトポン』三嶋輝夫訳は文庫オリジナルの新訳。訳者の三嶋さんは同文庫ではプラトンの『ラケス』を1997年に、『ソクラテスの弁明・クリトン』を1998年に上梓されています。「アルキビアデス」の副題は「人間の本性について」、「クレイトポン」は「徳の勧め」です。

★続いて単行本新刊。水崎博明訳『プラトーン著作集』(全10巻27冊予定)は、福岡の出版社「櫂歌書房(とうかしょぼう)」さんより刊行中の個人全訳。第六巻第一分冊に収められたのは「第一アルキビアデース――人間の本性について」「ピッパルコス――利得の愛好者」「第二アルキビアデース――祈願について」。短期間に先述の三嶋訳とこの水崎訳の二つの新訳が上梓されたわけで、驚くべき成果です。櫂歌書房は星雲社扱いで、基本的にパターン配本はないでしょうから、大型書店でも限られた店舗でしか見かけないかもしれませんが、取り寄せは比較的に容易ですから、買い逃す手はありません(ネット書店の場合、アマゾンよりもhontoの方が便利です)。ここまで既刊15巻が上梓されていますが、2月付で4点を発行。2011年2月の第1回配本以降、27冊中19巻までたどり着いたことになります。最新巻である第七巻は「自然哲学」部門であり、「ティーマイオス」と「クリティアース」が一冊にまとめられています。次回配本は順番通りであれば第八巻「人間存在の在るところ」部門となり、三分冊の「国家」に「クレイトポーン」が含まれることになります。全巻共通の感動的な「序」の冒頭には、水崎さんの恩師の言葉が刻まれています。「しかし、プラトンは、僕は思うが、未だ誰一人にも読まれてはいないのだ」。

★ライヒ『復刻版 きけ小人物よ!』片桐ユズル訳は、太平出版社版『W・ライヒ著作集』第4巻(1970年)の復刻。旧版は刊行10年余の間に10刷を数えるロングセラーでした。復刻にあたり、巻頭には訳者による「復刻に寄せて――訳者巻頭言」が新たに付されています。赤瀬川源平さんによる挿画本であることを知っているのは中年以上の世代でしょうから、若い読者には新たな出会いとなることと思います。しかし、本書が素晴らしいのは赤瀬川さんの超現実主義的な挿画による以上にその内容です。「小人物よ、あなたがどんなであるかあなたは知りたいでしょう。あなたはラジオで便秘薬や歯みがきやデオドラントの広告を聞く。しかしあなたにはプロパガンダの音楽は聞こえない。あなたの耳をとらえようとしてつくられているこれらのものの吐き気のするような悪趣味と底知れぬおろかしさをあなたはわからないでいる。ナイトクラブの司会者たちがあなたについてしゃべっている冗談をちゃんときいたことがありますか? あなたについて、かれ自身について、あなたのみじめなちっぽけな世界のすべてについての冗談。あなたの便秘薬の広告をきいてあなたがどんなふうな、どんな人間であるかを知りなさい」(53頁;旧版では59頁;おそらくこの言葉に読者の方が見覚えがあるとしたらそれは、キィの名著『メディア・セックス』の引用だからかもしれません)。実を言えば私はこの著作をドイツ語原書からの新訳で再刊したいと念願してきましたが、今まで果たせずにきました。片桐訳は英訳からの重訳ではあるものの、充分に読み応えがある名訳です。ちなみに太平出版社のライヒ著作集は全10巻のうち半分まで刊行されて途絶しましたが、未刊の半分はすべて他社から翻訳が出ているので、既訳を利用すれば全10巻を再現できます。今こそライヒを再評価すべき時です。

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★このほか最近では以下の新刊との出会いがありました。

無名鬼の妻』山口弘子著、作品社、2017年3月、本体1,600円、46判上製468頁、ISBN978-4-86182-624-5
『触れることのモダニティ――ロレンス、スティグリッツ、ベンヤミン、メルロ=ポンティ』高村峰生著、以文社、2017年2月、本体3,200円、菊判上製314頁、ISBN978-4-7531-0339-3
ドゥルーズと多様体の哲学――二〇世紀のエピステモロジーにむけて』渡辺洋平著、人文書院、2017年2月、本体4,600円、4-6判上製370頁、ISBN978-4-409-03093-6
ラカン 真理のパトス――一九六〇年代フランス思想と精神分析』上尾真道著、人文書院、2017年3月、本体4,500円、4-6判上製344頁、ISBN978-4-409-34050-9
フクシマ6年後 消されゆく被害――歪められたチェルノブイリ・データ』日野行介/尾松亮著、人文書院、2017年2月、本体1,800円、4-6判並製208頁、ISBN978-4-409-24115-8
日本人のシンガポール体験――幕末明治から日本占領下・戦後まで』西原大輔著、人文書院、2017年3月、本体3,800円、4-6判上製312頁、ISBN978-4-409-51074-2
近代皇族妃のファッション』青木淳子著、中央公論新社、2017年3月、本体4,000円、A5判上製416頁、ISBN978-4-12-004957-6
ユネスコ番外地 台湾世界遺産級案内』平野久美子編著、中央公論新社、2017年3月、本体1,400円、A5判並製128頁、ISBN978-4-12-004959-0
西洋美術の歴史7 19世紀:近代美術の誕生、ロマン派から印象派へ』尾関幸/陳岡めぐみ/三浦篤著、中央公論新社、2017年2月、本体3,800円、B6判上製600頁、ISBN978-4-12-403597-1

★まず作品社さんの新刊。山口弘子『無名鬼の妻』は帯文に曰く「悲劇の文人・村上一郎との波瀾の半生。海軍主計中尉との出会いから、その壮絶な自死まで。短歌と刀を愛した孤高の文人・村上一郎の悲運に寄り添い支え続けた妻、93歳の晩晴!」と。「戦後、ジャーナリスト、編集者として活躍し、思想家であり、文芸評論家で、小説も書き、日本の古典と詩歌をこよなく愛した歌人でもあった」(「プロローグ」より)村上一郎(1920-1975)さんの伴侶だった人形作家、長谷えみ子さんの半生を取材した本です。無名鬼とは村上さんが創刊した文芸誌の名前。貴重な証言から成る無類の一冊です。

★次に以文社さんの新刊。高村峰生『触れることのモダニティ』は、イリノイ大学大学院へ2011年に提出された英文の博士論文『Tactility and Modernity』を日本語に直し、大幅な改稿と増補を施したもの。序論「触覚とモダニズム」、第一章「後期D・H・ロレンスにおける触覚の意義」、第二章「スティーグリッツ・サークルにおける機械、接触、生命」、第三章「ヴァルター・ベンヤミンにおける触覚の批判的射程」、第四章「触覚的な時間と空間――モーリス・メルロ=ポンティのキアスム」、結論、あとがき、という構成。結論の末尾近くで著者はこう記しています。「本稿が検討したモダニストたちの多くは〔・・・〕接触〔contact〕のエピファニー的な性質に言及していた。彼らは触覚=接触が西洋の伝統的な時間・空間概念、ならびに主体と世界との静的な関係に挑戦すると考えたのだ」(244頁)。

★続いて人文書院さんの新刊。渡辺洋平『ドゥルーズと多様体の哲学』は博士論文を増補改訂したもの。多様体(multiplicité)とはドゥルーズにおいて「特殊な個体化のあり方をとらえるために考案された概念であり、ひとつの固定した人格や性格、性別、あるいは種や類、主体と言った概念とは全く異なる思考法のために創造された概念である」(222頁)と著者は解説します。生成変化や此性、固有名もそこに連なります上尾真道『ラカン 真理のパトス』は21日(火)取次搬入でまもなく発売。ラカンの1960年代の仕事の解明を目指したもので、2011年から2016年にかけて発表してきた成果に書き下ろし(第七章「科学の時代の享楽する身体」)を加えた一書。著者の単独著第一作です。日野行介/尾松亮『フクシマ6年後 消されゆく被害』は、福島における小児甲状腺がんの多発と原発事故の因果関係をなんとか誤魔化そうとする国、県、医師たちの卑劣さを追及した痛烈な本。「情報がいびつにシャットダウンされた社会で、民主主義はありうるのだろうか」(199頁)という言葉が胸に刺さります。西原大輔『日本人のシンガポール体験』は巻頭の「はじめに」によれば、「主に幕末から戦後に至る百年あまりの間に、日本人が旅行記に記録し、絵画に描き、文学の舞台とし、音楽や映画の題材としたシンガポールのイメージを論じたもの」で、「日本人の眼に映ったシンガポールの姿を日本文化史の中に探り、その全体像を描こうと試みた」もの。元は日本シンガポール協会の機関誌に2000年から2011年まで連載された文章とのことです。

★最後に中央公論新社さんの新刊です。青木淳子『近代皇族妃のファッション』は博士論文をもとに書籍化。「日本人の洋装化、生活文化の近代化をリードした皇族妃たち」(帯文より)を研究したもので、梨本宮伊都子妃と朝香宮允子妃の例が詳細に検討されています。カラーを含む図版多数。著者は婦人画報社の編集者を務めたご経験もおありです。細野綾子さんによる組版と装丁が美しいです。『ユネスコ番外地 台湾世界遺産級案内』は書名の「級」の字がミソ。「台湾には世界遺産が一つもない」(帯文より)ながら、素晴らしい自然と文化に恵まれており、本書ではオールカラーで18の名所が紹介されています。『西洋美術の歴史』第7巻は第5回配本。「今ここにあるものこそ美しい。革新と多様性の世紀」(帯文より)と謳う本書では19世紀が扱われ、「多様なベクトルが作用して、坩堝のような混沌」(序章、39頁より)が描出されています。

◎『西洋美術の歴史』既刊書と次回配本(すべて本体価格は3,800円)

2016年10月:第4巻「ルネサンスⅠ:百花繚乱のイタリア、新たな精神と新たな表現」小佐野重利/京谷啓徳/水野千依著、ISBN978-4-12-403594-0
2016年11月:第6巻「17~18世紀:バロックからロココへ、華麗なる展開」大野芳材/中村俊春/宮下規久朗/望月典子著、ISBN978-4-12-403596-4
2016年12月:第2巻「中世Ⅰ:キリスト教美術の誕生とビザンティン世界」加藤磨珠枝/益田朋幸著、ISBN978-4-12-403592-6
2017年01月:第1巻「古代:ギリシアとローマ、美の曙光」芳賀京子/芳賀満著
2017年02月:第7巻「19世紀:近代美術の誕生、ロマン派から印象派へ」尾関幸/陳岡めぐみ/三浦篤著、ISBN978-4-12-403593-3
2017年03月:第3巻「中世Ⅱ:ロマネスクとゴシックの宇宙」木俣元一/小池寿子著、ISBN978-4-12-403593-3

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by urag | 2017-03-20 16:39 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)