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2014年 07月 27日

注目新刊:『別のしかたで』『弱いつながり』『幸福論』など

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◎注目の「実戦系人文書」3点

★ビジネス書売場で売れる人文書、すなわち「ビジネス人文書」のことを何年か前にご紹介したことがありますが、今回ご紹介するのは、ビジネス書、とりわけ自己啓発書の手法を人文書に取り込んだ新刊です。仮に「実戦系人文書」(実践ではなくあくまでも実戦)と呼んでおきます。ビジネス書で見かけるハウツーものと違うのは、書き手がビジネスマンやコンサルタントではなく、まぎれもない職業的な「哲学者」であるということ。彼らが大学という土俵からあえて下りて広い読者層へ向けて発信したもので、読みやすいだけでなく凡百の自己啓発書にはないウイットや深みもあります。情報の洪水の中にあって自分自身の分析力と判断力を磨くために本格派の知がますます求められるようになってきた現代、「ビジネス人文書」のニーズは否応なく高まるものと思われます。人文書がビジネス書売場へ進出する情況と並行して、第一線の哲学者や編集者が従来の人文書より柔らかくかつ尖鋭的で強力な情報発信を開始しています。ビジネス書売場に人文書の陣地をつくる「ビジネス人文書」と、人文書売場にビジネス書に通じる風穴を空ける「実戦系人文書」は表裏一体のもので、売場や分野の違いといった「流通境界」を乗り越える試みとして小売の販売現場に刺激を与えそうです。

千葉雅也『別のしかたで――ツイッター哲学』河出書房新社、2014年7月、本体1,500円、46判上製208頁、ISBN978-4-309-24664-2 
東浩紀『弱いつながり――検索ワードを探す旅』幻冬舎、2014年7月、1,300円 4-6変型判168頁 ISBN978-4-344-026070-0
アラン『幸福論』村井章子訳、日経BP社、本体1,800円、4-6判並製ビニールカバー596頁、ISBN978-4-8222-5018-8

★『別のしかたで――ツイッター哲学』は、話題のデビュー作『動きすぎてはいけない――ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(河出書房新社、2013年10月)に続く待望の第二作。2009年から2014年にかけてツイッターで発信されたつぶやきをまとめた、今までありそうでなかった哲学書です。「あとがき――輪郭論」での表現をお借りすると「風物への感想、思考法・勉強法、行動、生/性について、芸術論、哲学研究のアイデアなど、色々な内容のフラグメント(断片・断章)」を、「時系列ではなく、新しいリズムで提示」したもの。「前著『動きすぎてはいけない』の後半(第五章~)における個体化論の、ひとつの「別のしかたで」なのです」とご自身ではお書きになっていますが、形の上だけでなく前著への実際の言及も含めて、本書は『動きすぎてはいけない』の欄外註もしくは舞台裏として読むことができます。ある意味「千葉雅也のトリセツ」でもあって、千葉さんの思考の広がりと振幅が如実に表れていますから、佐々木敦さんが本書への書評で指摘されたように「『動きすぎてはいけない』が本書の副読本であるとだって言える」のも確かです。

★むろん、前著に接したことがない読者でも、本書は独立した一冊のアフォリズム(箴言)集として読むことができます。こんなつぶやきがあります。「思考の流れをつくるためには、「流れなければ!」とテンションを高めるよりも、思考のブロックを小石のようにジャラジャラと持っておいて、その順序をいつでも帰られる余裕をもったほうがいい、と思う」(111頁;2011年12月11日13時53分)。本書はまさにその小石が詰まった実に魅力的な宝石箱で、その適度なぶっちゃけ具合と硬軟様々な話題の興味深さにより、前著以上に拡散力があるのではないかと思えます。千葉さんらしいなと思うのは、たとえばこんなつぶやきです。「最近は、ものを書くときに、柔らかい食物をスプーンで口元まで運んであげなくてはならなくなった、とある先輩が言っていましたが、そういう状況が事実である以上、あるていどそれに合わせつつ(でないと読まれませんから)、しかしギリギリの抵抗もしなければならない」(75頁;2010年02月07日03時51分)。「最近、自己啓発ものとか、一般向けのスルスル読めるものをあえて多読してるんですが、勉強になります。ほんと、バカにしちゃいけない。あえて弛緩させたような書き方もレトリックの一つであり、それはそれで「技巧的に凝っている」と見るべきです」(99頁;2012年05月30日00時21分)。

★またこんなつぶやきもあります。「デリダは哲学と文学のあいだで書いた。ドゥルーズにもそういうところがある。そういうやり方に影響された日本人もかつてはいた。このごろはいなくなった。どうしてだろう。明晰に簡潔にアーギュメントを立てるのもいい。だが、そればかりでいいのか。ジャンル不明の文章を、もう一度加書こうではないか」(120頁;2013年6月11日01時13分)。千葉さんの魅力はガチガチの堅牢な哲学の城よりも、様々な詩情が共存する空間を読者に見せてくれるところです。その意味ではこの『別のしかたで』こそ千葉さんの本領が輝くかたちなのではないかと思います。そしてさらに今後、この「別のしかた」がもっと多方向に広がっていくことが多くの読者によって待たれるようになるのではないかと思います。本書の楽しみ方のひとつはたぶん、読者のそれぞれの誕生日に千葉さんが何をつぶやいていたかを探すことではないかと思います。Twitterは孤独と出会いを両方兼ね備えています。本書の孤独と出会いの続きは@masayachibaでフォローできます。

★『弱いつながり――検索ワードを探す旅』は、幻冬舎のPR誌「星星峡」2012年12月号から2013年11月号まで連載されていた語り下ろし「検索ワードをさがす旅」を再構成したもの。「はじめに」によれば「かなり手を入れており、雑談部分は大幅にカット」され、「連載時とはほぼ別ものになっているはずです」とのことです。連載時の文章は、cakesにて有料配信されています。版元サイトに目次がないため以下に転記しておきます。

0|はじめに|強いネットと弱いリアル
1|旅に出る|台湾/インド
2|観光客になる|福島
3|モノに触れる|アウシュヴィッツ
4|欲望を作る|チェルノブイリ
5|憐みを感じる|韓国
6|コピーを怖れない|バンコク
7|老いに抵抗する|東京
8|ボーナストラック|観光客の五つの心得
9|おわりに|旅とイメージ

★「本書は自己啓発本のように見えるかもしれません。わざとそのように作りました。けれども自分探しをしたいひとにはこの本は必要ないと思います。/そもそも、自分探しをしたいのなら本を読む必要はないのです。旅に出る必要もない。単純にあなたの親を観察すればいい。あるいは生まれた町や母校や友人。「あなた」はすべてそこにある。人間は環境の産物だからです。/だからこそ、自分を変えるためには、環境を変えるしかない」(「はじめに」6-7頁)。「ぼくたちは環境に規定されている。「かけがえのない個人」などというものは存在しません。ぼくたちが考えること、思いつくこと、欲望することは、たいてい環境から予測可能なことでしかない。あなたは、あなたの環境から予想されるパラメータの集合でしかない。〔・・・〕しかしそれでも、多くのひとは、たったいちどの人生を、かけがえのないものとして生きたいと願っているはずです。環境から統計的に予測されるだけの人生なんてうんざりだと思っているはずです。/ここにこそ、人間を苦しめる大きな矛盾があります。〔・・・〕その矛盾を乗り越える――少なくとも、乗り越えたようなふりをするために有効な方法は、ただひとつ。/もういちど言いますが、環境を意図的に変えることです。環境を変え、考えること、思いつくこと、欲望することそのものが変わる可能性に賭けること。自分が置かれた環境を、自分の意志で壊し、変えていくこと。自分と環境の一致を自ら壊していくこと。グーグルが与えた検索ワードを意図的に裏切ること。/環境が求める自分のすがたに、定期的にノイズを忍び込ませること。/抽象的な話ではありません。これはじつはビジネス書にも書いてありそうな、実践的な話でもあります」(同、9-11頁)。

★本書は非常に端的な内容のメッセージに満ちていて、惹きつけられます。「ぼくたちはいま、ネットのおかげで、断ち切ったはずのものにいつまでの付きまとわれるようになっている。強い絆をどんどん強くするネットは、ぼくたちをそのなかに閉じ込める機能も果たす。旅はその絆を切断するチャンスです」(155頁)と東さんは書きます。強い絆をいっそう強くするネットでのカズタマイズされた検索に対し、ノイズに満ちた弱い絆=偶然の出会いをもたらすリアルでの身体の移動=旅の効用が本書で語られており、現代人を取り巻く様々な社会問題への視線がそこに織り込まれています。それは「ネットを離れリアルに戻る旅ではなく、より深くネットに潜るためにリアルを変える旅」(32頁)です。本書について「著者としては、はじめてのタイプの、「哲学とか批評とかに基本的に興味がない読者を想定した本」です。飲み会で人生論でも聞くような気分で、気軽な気分でページをめってくれれば幸いです」(15頁)と書く東さんは本書の最後にこうも綴っておられます。「本書の逆説がみなさんの人生を少しでも豊かにしてくれれば、著者として嬉しく思います」(164頁)。一般読者と歩調を合わせるようにゆっくりと、難解な言い回しを避け丁寧に紡がれた本書は東さんの企図通り、ファンに留まらない広い読者層に波及していく予感がします。東さんの著書でもっとも売れる本となってもおかしくない、とても素敵な本です。

★旅先で「決定的に重要なのは、ネットには接続すべきですが、日本の人間関係は切断すべきということです」(153頁)と東さんは書きます。周知の通り千葉雅也さんも『動いけ』の「序――切断論」や今回のツイッター本で接続過剰を批判しておられます。これは二人の感性が似ているという以上に、同時代人として抱きうる実感ではないかと思います。『弱いつながり』と『別のしかたで』はどちらもこの時代感覚を掴まえることに成功しているため、「接続と切断」だけでなく相互参照が可能な回路がいくつかあります。東さんにおける旅のススメの話は、千葉さんの本の「勉強」をめぐる次のつぶやきとどこか共鳴するところがある気がします。「勉強が嫌い、というのは、自分を変えたくないということだと思う。そして勉強嫌いが多いのは、今の自分でまあいいかという人が多いからだろう。別人のように変わることは、恐ろしいことなのだろう。勉強することは、変身の恐ろしさのまっただ中にダイブすることだ」(139頁;2013年07月03日20時54分)。旅もまた、変身の過程を内包するものです。

★『幸福論』は、日経ビジネスオンラインで2012年4月23日から同年9月7日まで土日を除く毎日アップされた連載「毎日読むアラン「幸福論」」の書籍化です。「訳者あとがき」では本書はこう解説されています。「『幸福論』は、プロポ(propos)という形式で書かれています。プロポは「断章」「語録」などと訳されますが、乱暴に言えば一種のエッセーです。アランはこの形式を使って、便箋二枚に自由な発想で書きました。ルーアン新聞でのプロポの連載は当初週一回でしたが、1906年から毎日連載となり、その数は全部で五千編を超えると言われます。その中から幸福に関するものを選んで編んだのが『幸福についてのプロポ』というわけです。年代順ではなくおおまかな題材ごとにまとめられ、編集時に各篇にタイトルが付けられました。〔・・・〕アランはプロポを即興で一気に書き、修正をしなかったと言われています。毎日連載するのですから、きっとそうだったのでしょう。そのせいなのか、あるいは意図的なのか、プロポはぽんとひ訳したり、ひょいと横道にそれたり、ぐるっと回り道をしたりします」。

★周知の通り『幸福論』は今までも幾度となく訳され、現在でも複数の訳書が入手可能です。有名な古典的名著であり、近年でもNHK「100分de名著」で合田正人さんが同書を取り上げ好評を博しました。こうした中であえて新訳本を出すというのはそれなりに営業サイドでは懐疑的に思われがちなのではないかと思います。しかし結論から言えば、ビジネスマン向けの読みやすい訳文にコズフィッシュの佐藤亜佐美さんによる洒脱な造本で私は迷わず購入しました。ペーパーバックを意識した縦長サイズとこのぶ厚さ、それにかかったビニールカバー、美しい本文レイアウトと平山正尚さんによる味のあるイラスト。よく考えてみると村井さんと佐藤さん、日経BP社さんのお名前が揃うと『機械との競争』にせよ『怒れ!憤れ!』にせよ、とにかく一目惚れして買うことが多いです。ちなみに『幸福論』は帯の異なるヴァージョンがアマゾン・ジャパン限定で発売されています。

★「私にとってとりわけはっきりしているのは、人は望まない限り幸福にはなれないということである。だから、幸福を欲しなければならない。そして幸福を作りださなければならない」(583頁)。「きちんと目覚めた思考は自ずとおだやかで、ちゃんと厄介ごとから距離を置く。そして不眠症の問題はここにある。眠りたい、眠りたいと念じるあまり、動いてはいけない、何も考えてはいけないと自分に命じる。こうして自分で自分を制御できない状況に陥ると、身体と考えは勝手に動き出し、犬同士の喧嘩を始めてしまう。身体は痙攣し、考えは刺々しくなって、親友でさえ疑い、ありとあらゆるものを悪く解釈し、自分など馬鹿で滑稽だと感じる。〔・・・〕こうしたわけだから、楽観的であるためには誓いを種なければならない。はじめは変だと思っても、ともかくも幸福になることを誓わねばいけない。こうやって飼い主自らの鞭で犬のうなり声をやめさせることだ。そして念には念を入れて、悲観的な考えは必ず自分を陥れると確認しておこう。〔・・・〕自然の働きを助けるようによく眠るコツは、中途半端に考えようとしないことである。本腰を入れて考えを突き詰めるか、でなければまったく何も考えないことだ。自制されない考えは必ず誤る、という経験を生かさなければならない」(589-590頁)。思いこみの罠に注意せよ、とアランは本書で何度も教えます。約百年前の本ですが、こと喜怒哀楽について言えば現代人の生というのは百年前と大して変りがないのではと感じます。時代が移り変わっても人間にとって相変わらず問題でありつづけるもの、今までも今もこれからもずっと立ち向かわなくてはならないこと、その根っこをアランは透視できていたのだろうと思います。

★気鋭の新人の第二作(『別のしかたで』)を選ぶか、著名識者の初の試み(『弱いつながり』)を選ぶか、安定と造本美の古典(『幸福論』)を選ぶか、という選択肢があるというよりも、三冊とも素晴らしい本なので、ぜひ店頭で手に取っていただきたいと思います。


◎業界人必読の新刊2点

★業界人必読、などと書くと大げさに思われるかもしれませんが、実際に類書がほとんどなく、なおかつ私たち出版人が学んでおいて損はない歴史を明かしてくれるのであれば、やはり必読の太鼓判を捺しておくのが妥当かと思います。

安酸敏眞『人文学概論――新しい人文学の地平を求めて』知泉書館、2014年7月、本体2,500円、四六判上製275頁、ISBN978-4-86285-192-5
原田裕『戦後の講談社と東都書房』論創社、2014年8月、本体1,600円、46判並製209頁、ISBN978-4-8460-1338-7

★『人文学概論』はカバー裏の紹介文によれば「文学や思想、歴史など人文系の学習を始める新入生が、専門分野を超えて最低限の知識、素養として習得すべき内容を簡潔にまとめたもの」。スローターダイク『「人間園」の規則』(御茶の水書房、2000年)における人文学(ヒューマニティーズ)/人文主義(ヒューマニズム)の定義とその終焉をめぐる問題提起に始まり、サイード『人文学と批評の使命』(岩波現代文庫、2013年)における新しい人文学と人文主義をめぐる提言に終わる本書は、そのあいだに古代ギリシアから現代世界まで(主に)西洋文化史の約二千五百年をひもときつつ、文化の意味、言語と表象、聖なるものの諸相、記憶と歴史、原典と翻訳、文献学と解釈学、書籍と図書館、情報とメディアなどのトピックを概観し、教養としての人文学の根幹を教えてくれます。人文書の販売の現場では「そもそも人文とはいかなるジャンルか」を充分に掘り下げないまま仕事をしている場合がほとんどです。「売ること」は「歴史を知ること」と結びついてこそ、使命への覚醒を呼び覚まします。歴史を学ばずに「現在」の激流になぶられるがままになっていても、社会への不信感や自身の虚無感が募るだけです。本書は新入生だけでなく、人文書業界に携わる新入社員にとって有益な本だと思われます。

★『戦後の講談社と東都書房』は「出版人に聞く」シリーズの第14弾で、まもなく発売です。戦後に講談社をはじめその別働隊である東都書房や第一出版センターで活躍され、定年後は出版芸術社を立ち上げられてこんにちに至る、文芸書編集者であり経営者の原田裕(はらだ・ゆたか:1924-)さんへのインタビューをまとめたものです。原田さんの略歴は出版芸術社の会社案内に詳しいのでそちらをご参照ください。本書では特に原田さんが関わられた推理小説全集やミステリ・シリーズの数々について舞台裏が明かされています。「出版人に聞く」の既刊書に比べ、図版に書影が多数入っているのですが、どれも美しいものばかりで私のような若造ですらノスタルジーを掻き立てられるほどです。懐かしいから美しいのではなく、今では失われてしまったかに見える完成された様式美があるのです。ノスタルジーはそれだけで商売になる爆発力を秘めています。古臭いといって捨てていいものではないわけで、その意味でも先達の歩みにしっかりと学ばねばならないと思います。


◎注目叢書・新書・単行本

マヤコフスキー『悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー』小笠原豊樹訳、平田俊子序文、土曜社、2014年7月、本体952円、新書判並製96頁、ISBN978-4-907511-02-9
田中康二『本居宣長――文学と思想の巨人』中公新書、2014年7月、本体840円、新書判並製256頁、ISBN978-4-12-102276-9
桑田学『経済的思考の転回――世紀転換期の統治と科学をめぐる知の系譜』以文社、2014年7月、本体3,000円、四六判上製320頁、ISBN978-4-7531-0320-1

★『悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー』は、『ズボンをはいた雲』に続く「マヤコフスキー叢書」全15巻の第2弾です。土曜社のTさんに教えていただいた話では、『ズボンをはいた雲』はなんと紀伊國屋書店新宿本店で80冊売れたのだとか。廉価な本だとはいえ、ロシア未来派から時間も空間も隔たった日本でそれだけ売れるのはすごいことです。『悲劇ヴラジーミル・マヤコフスキー』は1915年の『ズボン~』公刊より前、1913年に上演されたマヤコフスキーの初期作品で(公刊は翌14年3月、300部)、「悲劇」と銘打たれている通り、戯曲です。戯曲と言ってもそこは破壊的な未来派ですからセリフも筋もあるようなないような(否定的な意味ではなく)、詩的で情熱的な言葉の熱泉の横溢があり、奇怪な登場人物のさなかに主人公のマヤコフスキーが屹立しています(演じたのもマヤコフスキー自身でした)。上演にはパステルナークをはじめ、ペテルブルクの文化人たちが駆け付けたのだそうです。マヤコフスキーはこの戯曲上演の前年に『ぼく!』というたった15頁の詩集で4篇の詩を公表していただけの若造ですから、いかに彼がカリスマ性を早くから獲得していたかが窺われます。巻頭の序文「水を越えて、時を越えて」は作家の平田俊子さんが寄せておられます。

★『本居宣長』は「はじめに」の文言を借りると「江戸時代の国学者・本居宣長の生涯をたどりながら、その学問研究を文学と思想の両面からとらえて、宣長の全体像を描くもの」です。全七章構成で、第一章で宣長学を概説し、第二章から第七章の各章で、二十歳代から七十歳代までの十年ごとを「学問の出発」「人生の転機」「自省の歳月」「論争の季節」「学問の完成」「鈴屋の行方」といった主題のもと、事跡と著作を関連づけつつ解説しています。著者はこれまで『本居宣長の思考法』(ぺりかん社、2005年)、『本居宣長の大東亜戦争』(ぺりかん社、2009年)、『国学史再考――のぞきからくり本居宣長』(新典社、2012年)などを上梓されており、この三点が本書の議論の基盤となっています。『紫文要領』などで「源氏物語」を注釈した国文学者であり『古事記伝』を著した思想史家でもある宣長の巨大な足跡は、それぞれの専門研究者がいる現在においては全体像を掴みづらいためか、著者にとっては書店に並ぶ既存の宣長本には不満が強かったようです。「おわりに」で著者は、岩田隆『本居宣長の生涯――その学の軌跡』(以文社、1999年)の精神を受け継いで、「文学と思想の両方を対象にすることを目指した」と記しておられます。読者も本書の導きによって一辺倒ではない宣長像へ近づけるのではないでしょうか。

★『経済的思考の転回』は、桑田学(くわた・まなぶ:1982-)さんが昨年東大に提出され受理された博士論文「エコロジー経済学と自由主義をめぐる思想史的研究――20世紀両大戦間期における社会エネルギー論、ノイラートおよびハイエク」を全面改稿したもの。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。帯文はこうです。「市場経済論のオルタナティヴ。19世紀後半以降の〈熱学思想〉の進展は、ニュートン力学を基礎とする自然認識に抜本的な変革を迫った。その影響を真正面から受け留めたオットー・ノイラートの経済思想を同時代のハイエクの市場理論との比較を通じて明らかにし、資源・エネルギーを含めた人間の生存条件を踏まえた経済学を思考する」。ノイラート(Otto Neurath, 1882-1945)は日本では経済学者というより、ウィーン学団の中心的な哲学者として知られているかと思われます。いわゆる「ノイラートの船」の喩えで知られる論考「プロトコル言明」(『現代哲学基本論文集I』勁草書房、1986年所収)が訳されているほかは翻訳も紹介も少なく、近年グラフィック・デザインの分野で見直されつつあるアイソタイプの発明者としても認知されていますが、彼の経済学関連の業績研究に多くの頁を割いた単行本は日本で初めてになるのではないでしょうか。

★序文によれば本書は「ハイエクの自由主義的な経済思想を主要な対抗的言説としてにらみつつ、社会エネルギー論やノイラートの「自然経済」をめぐるテクストを読み直し、そこでさまざまに論じられた〈経済〉なるものの諸関係や合理性、またありうべき統治の論理を照射することを試みる。経済思想史のメインストリームにはけっして登場することのなく忘却された、さまざまな思考の可能性を拾い集めることをとおして、「未来の歴史」(ノイラート)への想像力に向けて自由主義やマルクス主義のヴィジョンとは異なる、〈経済〉の一貫したパーステクティブを再構成する」試み(16頁)です。こうしたユニークな研究書の出版を引き受けられた以文社さんの慧眼には瞠目するばかりです。本書をきっかけにノイラート自身の著作の翻訳が再開されていくことを念願したいと思います。なお、同書の出版を記念して以下の公開セミナーが来月行われます。

◆オイコノミア研究会公開セミナー「経済的思考の転回――桑田学の新著を読む」

日時:2014年8月4日(月)14:00-17:30
場所:立教大学・16号館1F第1会議室(本部の向かい側です)
講師:桑田学(東京大学特任研究員)
討論者:板井広明(東京交通短期大准教授、功利主義研究)、真島一郎(東京外大AA研、人類学・モース研究)、中山智香子(東京外大、社会思想)
司会:西谷修(立教大学、思想史)
※予約不要、入場無料
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by urag | 2014-07-27 03:45 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 25日

注目新刊と弊社在庫情報

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★吉田裕さん(共訳:ロイル『デリダと文学』)
チョムスキーへのインタヴューの訳書を上梓されました。原書は、Nuclear War and Environmental Catastrophe(Seven Stories Press, 2013)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。本書には補遺として9つの歴史文書・参考資料が併録されています。そのなかのひとつは1945年8月25日に米軍のグローヴス司令官とレア中佐との間で原爆投下後の広島の情況について交わされた生々しい会話の記録で、アメリカ国家安全保障アーカイヴに保管されていたものです。インタヴューでは日本そのものに触れることはほとんどありませんが、日本を取り巻いている情況について様々な視点を与えてくれる啓発的な内容になっています。

複雑化する世界、単純化する欲望――核戦争と破滅に向かう環境世界
ノーム・チョムスキー/ラリー・ポーク(聞き手)著 吉田裕訳
花伝社 2014年7月 本体1,600円 四六判並製232頁 ISBN978-4-7634-0704-7
帯文より:出口はあるのか。自然に法的な権利をあたえたボリビア、支配が崩れるアメリカ、いま世界で起こっていることとは──?


★有元健さん(共訳:クリフォード『ルーツ』)
せりか書房さんから下記の訳書を上梓されました。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。原書は、The Art of Listening(Berg, 2007)です。レス・バック(Les Back, 1962-)さんは、ロンドン大学ゴールドスミス校社会学部教授。本書が単著の初訳になります。

耳を傾ける技術
レス・バック著 有元健訳
せりか書房 2014年7月 本体3,200円 四六判上製377頁 ISBN978-4-7967-0334-5
版元紹介文より:グローバル化する世界の中で聞きとられずに消えていく様々な声。都市社会学、人種論、民族誌の視点から著者はロンドンにおける多文化状況を鋭く分析し、「耳を傾ける技術としての社会学」を提唱する(解説/小笠原博毅)。


★川田喜久治さん(写真集『地図 新版』)
すでにご存知の方が多いと思いますが、Akio Nagasawa Publishingさんから『地図』の復刻版が今秋刊行される予定です。長澤章生さんがtwitterで2014年4月5日に「弊社Akio Nagasawa Publishing新刊情報。この秋、1965年に刊行された世界の写真集史に燦然と輝く、川田喜久治「地図」の完全復刻版を出版いたします。杉浦康平デザインによる特異な造本そのままの復刻をご期待くださいませ」と発表されており、5月13日には「弊社10月に刊行予定の川田喜久治「地図」は、1965年に刊行された、杉浦康平さんの特異な造本デザインによる初版の復刻版となります。限定600部、作家サイン&ナンバー入り。お楽しみに!」とも追記されています。さらに、7月23日現在の進行状況では「弊社刊行予定の川田喜久治「地図」(復刻版)のテスト校。3種の紙を試してみる」と伝えられています。間違いなく短期間で品切になると思われますので、長澤さんのつぶやきにしばらく注視されることをお薦めします。

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弊社既刊書の在庫状況です。クラウス+ボワ『アンフォルム――無形なものの事典』が版元品切になりました。重版の予定がありますが、もう少し先になりそうです。先月の新刊、ロイル『デリダと文学』がお蔭さまで好評で、在庫が少なくなりつつあります。バトラー『自分自身を説明すること』やアガンベン『到来する共同体』も在庫僅少です。上記4点は版元品切の『アンフォルム』も含めていずれも、MARUZEN&ジュンク堂書店では単品検索で店頭在庫の有無が確認できますので、ぜひご利用ください。

M&Jでは版元品切本もヒットします。スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』、上野俊哉『アーバン・トライバル・スタディーズ』、ギルロイ『ブラック・アトランティック』、森山大道『大阪+』、ブランショ『書物の不在 第二版』、大里俊晴『マイナー音楽のために』、ユンガー『パリ日記』、そして『表象04』などです。M&Jでは代引で直送もしてくれますから、版元品切本を入手するのに本当に役に立ちます。

願わくばM&Jに見習って、大手書店チェーンのウェブサイトでは、単品ページで在庫店舗が一覧で見れるようなシステムをウェブサイトでぜひ実現していただきたいです。以前も書きましたが、紀伊國屋書店さんはM&Jに先駆けてやっていた時期があったのですが、今は支店ごとに在庫検索させるという非常に不便な方向に後退したままです。店頭では売れ残りかもしれない不良在庫が遠方のお客様にとっては喉から手が出るほど欲しい書目である可能性だってあるのですから、なんとか読者との出会いの機会を作っていただけると嬉しいです。

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ルソー『化学教程』ウェブ連載第8回の全文をアップいたしました。ご高覧いただけたら幸いです。
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by urag | 2014-07-25 00:29 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 21日

2014年7月の注目文庫より

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昨日は単行本新刊でエントリーがいっぱいになってしまったので、今日は文庫本新刊をご紹介します。

◎ちくま学芸文庫の7月新刊より

ヴァルター・ベンヤミン『ベンヤミン・コレクション(7)〈私〉記から超〈私〉記へ』浅井健二郎編訳、ちくま学芸文庫、2014年7月、本体1,700円、656頁、ISBN978-4-480-09598-5
エルヴィン・シュレーディンガー『自然とギリシャ人・科学と人間性』水谷淳訳、ちくま学芸文庫、2014年7月、本体1,000円、224頁、ISBN978-4-480-09617-3

★『ベンヤミン・コレクション(7)』は、新編新訳アンソロジーの最終巻。版元紹介文に曰く「文人たちとの対話を記録した日記、若き日の履歴書、死を覚悟して友人たちに送った手紙――20世紀を代表する評論家の個人史から激動の時代精神を読む」。第1巻『近代の意味』が刊行されたのが1995年6月。約20年の歳月をかけてコレクションを手掛けられる間に、浅井さんは『ドイツ悲劇の根源』(上下巻)や『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』を上梓されましたし、訳者としてコレクションに参加されていた久保哲司さんは『図説 写真小史』や、ケイギル+コールズ+アピニャネジによる入門書『ベンヤミン』を翻訳されています。もう少し詳しく説明すると、もともとこのコレクションは全3巻の予定で、95年から1年に1冊ずつ刊行され、97年3月にいったん完結。その後、98年に『図説 写真小史』、99年に『ドイツ悲劇の根源』(上下巻)、01年に『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』が刊行されました。そして、コレクションの続巻として第4巻『批評の瞬間』が10年ぶりとなる07年3月に刊行。担当編集者であり、コレクションの企画者=「生みの親」(浅井さんによる解説での表現)である熊沢敏之さんは第6巻から社長=発行者として奥付にお名前が記載されています。ぜひこの完結の機会に高額古書となっている『ドイツ悲劇の根源』(上下巻)と『ドイツ・ロマン主義における芸術批評の概念』を重版していただければと願わずにいられません。浅井さんの解説を読む限りで推測すれば、「全集」へと可能な限り今後も翻訳を進められていくような気配を感じます。

★『自然とギリシャ人・科学と人間性』は文庫オリジナル訳し下ろしです。前半の「自然とギリシャ人」は1948年の講演で公刊が1954年、「科学と人間性」は1950年の講演で公刊が1951年です。両者を合わせて訳したのが『科学とヒューマニズム』(伏見康治ほか訳、みすず書房、1956年;後者は「ギリシヤ人の自然観」と訳されています)で、前者は『自然とギリシャ人――原子論をめぐる古代と現代の対話』(河辺六男訳、工作舎、1991年)として新訳されています。そして今回あらたに両者が新訳されたわけです。底本は1996年にケンブリッジ大学出版から発行された二篇の合本版で、ロジャー・ペンローズの序文が新たに加わっており、これも訳出されています。シュレーディンガーの著書の文庫本には『わが世界観』(中村量空ほか訳、ちくま学芸文庫、2002年)や『生命とは何か――物理的にみた生細胞』(岡小天+鎮目恭夫訳、2008年)がありますが、前者は品切。何度も書いている気がしますが、親本を持っているからと言って油断しているといつの間にか品切になって価格が高騰するので、必ず新刊発売時に買っておくのが得策です。


◎講談社学術文庫の7月新刊より

ジョン・メイナード・ケインズ『お金の改革論』山形浩生訳、講談社学術文庫、2014年7月、本体800円、220頁、ISBN978-4-06-292245-6
アイザック・アシモフ『生物学の歴史』太田次郎訳、講談社学術文庫、2014年7月、本体960円、286頁、ISBN978-4-06-292248-7
ダンテ・アリギエリ『神曲 煉獄篇』原基晶訳、講談社学術文庫、2014年7月、本体1,450円、644頁、ISBN978-4-06-292243-2

★『お金の改革論』は、2012年3月刊の『雇用、利子、お金の一般理論』に続く、講談社学術文庫での山形さん訳のケインズ新訳の第二弾です。原書は1923年の初版本を使用しつつ、著作集での修正を反映させた訳になっています。ただし、著作集版に記載された異同や改訂についての注や、フランス語版の序文は収録されていません。既訳(全訳)には、『貨幣改革問題』(岡部菅司ほか訳、岩波書店、1924年)や『貨幣改革論』(中内恒夫訳、『ケインズ全集(4)』所収、東洋経済新報社、1978年;同訳、『貨幣改革論・若き日の信条』所収、中公クラシックス、2005年)があります。山形さんは5月にフィリップ・K・ディックの『ヴァリス〔新訳版〕』を早川文庫より上梓されており、今月はケインズのほかに、二冊も共訳書を手掛けられています。

★『生物学の歴史』は「アシモフ選集」の生物編第1『生物学小史』(共立出版、1969年)の文庫化です。原著「A Short History of Biology」は1964年刊。文庫化にあたって巻末に「訳者あとがき――学術文庫版の刊行にあたって」が付されています。「アシモフ選集」には生物編、数学編、物理編、化学編、天文編、歴史編などがあり、生物編にはほかに第2『人体の話』(寺田春水訳)、第3『人種とは』(ボイド共著、太田次郎訳)、第4「生命の化合物」(太田次郎訳)がありました。さすがに全部は文庫化されないような予感がしますが、アシモフの小説以外の著作は文庫化が多くはないですから、貴重ですね。

★『神曲 煉獄篇』は先月の地獄篇に続く刊行で来月12日には完結篇となる天国篇が発売されます。訳文にはみずみずしさが感じられ、巻末の各歌解説は読みごたえがあります。講談社が「これぞ決定版!」と謳うのも頷けます。


◎岩波文庫の7月新刊より

マルセル・モース『贈与論 他二篇』森山工訳、岩波文庫、2014年7月、本体1,140円、490頁、ISBN978-4-00-342281-6

★1923~24年「贈与論――アルカイックな社会における交換の形態と理由」の新訳(51-453頁)のほか、1921年「トラキア人における古代的な契約形態」(11-34頁)、1924年「ギフト,ギフト」(35-49頁)の二篇の初訳を収めています。巻末の「訳者解説――マルセル・モースという「場所」」によれば、今回の新訳のきっかけを作ったのは、今村仁司さんだったようです。今後、平凡社版「モース著作集」でも『贈与論』の新訳が出ることと思いますが、重要な古典を複数の翻訳で読めるというのはありがたいことで、贅沢なことでもあります。特に資本制の限界が見えてきたこんにち、『贈与論』の重要性はいよいよ輝きを増すように見えます。

★岩波文庫の来月新刊ではイーグルトン『文学とは何か――現代批評理論への招待(上)』(大橋洋一訳)が予定されています。全2巻。イーグルトンが文庫化されるのは今回が初めてですね。また、単行本ですが26日発売で、ジャン=リュック・ナンシー『思考の取引――書物と書店と』(西宮かおり訳)が予定されています。たいへん楽しみです。


◎中公文庫の7月新刊より

吉田光邦『錬金術――仙術と科学の間』中公文庫、2014年7月、本体840円、288頁、ISBN978-4-12-205980-1
島尾敏雄/吉田満『新編 特攻体験と戦後』中公文庫、2014年7月、本体800円、224頁、ISBN978-4-12-205984-9

★『錬金術――仙術と科学の間』は、中公新書(1963年)のロングセラーの文庫化。「錬金術」というと西洋の化学や魔術が真っ先に思い浮かびますが、本書の魅力は、西洋だけでなく、中国や日本も加えた三本立てになっているところです。「仙術と哲学の混沌――中国」では、道教や本草学、『周易参同契』『抱朴子』などが取り上げられ、続く「魔術から科学へ――西洋」では、古代ギリシア、イスラム、中世、ルネサンスの各時代が概観され、東洋と西洋の歴史的交流も言及されています。最後の「日本の錬金、錬丹術」では、役小角から舶来丹薬まで様々なエピソードが紹介されます。ここまで凝縮された入門書は今日でもなお類を見ません。著者は1991年に亡くなられており、巻末の解説は関西大学名誉教授の坂出祥伸さんがお書きになっています。

★『新編 特攻体験と戦後』は、『特攻体験と戦後』(中央公論社、1978年;中公文庫、1981年)の増補版です。戦艦大和の生還者であり『戦艦大和ノ最期』(講談社文芸文庫)で有名な作家の吉田満さんと、特攻隊隊長として終戦を迎えた作家の島尾敏雄さんの対談本。橋川文三「戦中派とその「時間」」、吉本隆明「島尾敏雄――戦争世代のおおきな砦」、鶴見俊輔「吉田満――戦中派が戦後を生きた道」が第II部として増補されており、巻末には加藤典洋さんが「もう一つの「0」」と題した解説を寄せておられます。加藤さんの解説が何を枕にしているかを大方の読者はご明察でしょうから説明は省きます。印象的だったのは、島尾さんが旧版解説で対談相手である吉田さんと自分とのもっとも大きな違いをこう記されているくだりです。「彼〔吉田さん〕がすさまじい一大海戦の渦中に巻き込まれて多くの仲間を失い、自らも負傷しつつ地獄の相を見てきたのにくらべ、私の方は一つの戦闘すら経験することなく、又周辺からは一人の死者も出なかった」(176-177頁)。むろん島尾さんの人生に戦争は大きな影を落としています。話を思いきって広げるなら、戦闘を経験しておらず周囲に戦死者もいない大方の現代人の人生にも、世界各地でいまなお続いている戦争はニュースを通じて影を落とし続けています。しかし、ニュースを前に絶句するだけでは何かが足りないのです。私たちは証人から歴史を学ばねばなりません。
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by urag | 2014-07-21 23:41 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 20日

注目新刊:田口久美子『書店不屈宣言』筑摩書房、ほか

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書店不屈宣言――わたしたちはへこたれない
田口久美子著
筑摩書房 2014年7月 本体1,500円 四六判並製240頁 ISBN978-4-480-81840-9

版元紹介文より:ジュンク堂池袋本店の副店長として活躍する著者による最新の書店ドキュメント。現場で働く書店員は厳しい現状の中で、何を考え、日々の仕事に向かっているのか。
推薦文より(谷川俊太郎):田口さんは愛する本を甘やかさずに注意深く見守る母親のような存在だ。

目次:
はじめに
〈こうなりたい私〉なんですよ――ノーベル賞と文芸書
言葉には力の序列がある――「国語・日本語学」の棚から
書店人生は「雑誌」で始まった――雑誌売場の今昔
ネコ日和
私はこの業界で生きていきます――コミック・ライトノベルの置き方
田口さん、『女子会』よく売れていますよ――人文書と「女子」書店員
子どもをバカにしちゃいけません――児童書という希望
池袋とどう違うの?――書店再編とシステム
マリコとトラジャ
『本』と『売れる本』――ネット書店その他
電子書籍はどこまできたのか
書店不屈宣言(わたしたちはへこたれない)
あとがき

★発売済。『書店風雲録』(本の雑誌社、2003年;ちくま文庫、2007年)でリブロを、『書店繁盛記』(ポプラ社、2006年;ポプラ文庫、2010年)でジュンク堂書店を題材に、御自身を含めたそこで働く人々の証言の丁寧な蒐集を通じて見事に「売場の歴史」を再構成されてきた田口さんが、ふたたびジュンク堂の書店員さんの活躍を紹介して下さいます。これまでほとんど活字化されなかった「現場」のインサイド・ストーリーは、私は何度接しても感動を覚えます。本書の「はじめに」にはこんな意外な言葉があります。「私の贖罪の源は、私がこの書店業界に入り、その後の私の書店人生を活気づけてくれた「熱気」を次の世代に伝えられなかった、という悔恨に尽きる」(13頁)。ほかならぬ田口さんの三冊こそ熱気の一端をこれまで私たちに届けてくださったわけで、今後も聞き書きを可能なかぎりずっと続けていただけたらと願わずにいられません。


黒の文化史
ジョン・ハーヴェイ著 富岡由美訳
東洋書林 2014年7月 本体5,000円 A5判上製368頁 ISBN978-4-88721-818-5

帯文より:それは、色彩なのか、虚無なのか? 眼のゆらぎ、想念のうつろいが紡ぎ出すヴィジュアルと言葉の森を渉猟し、芸術、光学、人種、宗教、政治、産業、ファッションを軸に論じる、宙と世界を包む色ならぬ色の精神史。カラー64点を含む図版109点!《巻末寄稿》戸田ツトム

目次:
はじめに――黒はいかにして黒となるのか
第1章 最古の色
第2章 古典古代の黒
第3章 神の黒
第4章 社会における黒――アラビアとヨーロッパ
第5章 二人の黒い芸術家
第6章 メランコリー、あるいは黒い胆汁
第7章 奴隷であること、また黒人であること
第8章 啓蒙主義における黒
第9章 イギリスの黒い世紀
第10章 私たちの色は?
附記――チェス盤、死、そして白であること
《巻末寄稿》黒の断章(戸田ツトム)
原註
索引

★まもなく発売。原書は、The Story of Black(Reakition Books, 2013)です。Men in Black (Reaktion Books, 1995;『黒服』太田良子訳、研究社、1997年) 以来の「黒」をめぐる研究書で、著者の最新作になります。ジョン・ハーヴェイ(John Robert Harvey, 1942-)は英国ケンブリッジ大学エマニュエル校の名誉フェロー。複数の既訳書がある同名の小説家(John Harvey, 1938-)や、ウェールズ大学アバラストウィス校の美術史家(John Harvey, 1959-)とは別人ですが、三名とも英国人で、本書のハーヴェイは未訳ながら小説も三冊上梓している上に、年下の美術史家と研究分野が重複し、さらにこの年少の著作『心霊写真――メディアとスピリチュアル』(松田和也訳、青土社、2009年)が原書ではリアクション・ブックスから刊行されているため、非常にややこしいことになっています。『黒の文化史』(原題は『黒の物語』)はまぎれもなくユニークな研究書で、主に西洋における古代から現代に至る「黒」の表象を博捜し、瞠目すべき時間旅行を果たしています。終盤ではかの有名なスーパードライホールが取り上げられていますが、日本でのあの不名誉な呼び方はむろん問題にはなっていません。


コダクロームフィルムで見るハートマウンテン日系人強制収容所
ビル・マンボ写真 エリック・L・ミューラー編 岡村ひとみ訳
紀伊國屋書店 2014年7月 本体2,900円  A5判並製151頁 ISBN978-4-314-01119-8

帯文より:70年の時を経て発見された、有刺鉄線の向こう側の日常。1941年12月の真珠湾攻撃の半年後、日系二世の写真愛好家ビル・マンボは、カリフォルニア州の自宅からワイオミング州の強制収容所に連行された。当時きわめて珍しいカラーで残された63点のスライド全収録。

★発売済。原書は、Colors of Confinement: Rare Kodachrome Photographes of Japanese American Incarceration in World War II(The University of North California Press, 2012)です。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。背後に壮麗な山脈を望む広大な敷地の日系人収容所の全景や、そこにおける家族のポートレイトの数々、収容所で行われた盆踊りや相撲、アイススケートなどの風景などが、大変鮮明なカラー写真で収められており、歴史の一頁がありありと目前に迫ります。見るからに残酷な光景は一枚もありませんが、日系人史や写真史の研究者による考察や、元収容者のエッセイが併録されており、収容所の現実をつぶさに教えてくれます。かの大戦の一面を胸に刻むために欠かせない貴重な記録だと思います。


◎平凡社さんの新刊より

HUMAN 06 日本の魑魅魍魎』人間文化研究機構監修、平凡社、2014年7月、本体1,500円、A5判並製152頁、ISBN978-4-582-21236-5
ディアギレフ・バレエ年代記 1909-1929』セルゲイ・グリゴリエフ著、薄井憲二監訳、森瑠依子+香月圭訳、平凡社、2014年7月、本体2,800円、ISBN978-4-582-83665-3

★『HUMAN』第06号はまもなく発売で、特集が「日本の魑魅魍魎」。小松和彦さんと夢枕獏さんの対談「日本人は妖怪がお好き」に始まり、京極夏彦さんの「妖怪らしさ」、アダム・カバットさん「化物たちの暮らしぶり」、武田雅哉さん「〈魑魅魍魎〉から〈毛人水怪〉へ――中国は戦慄にことかかぬ」、東雅夫さん「死者との再会――震災と階段をめぐる覚書」、武村政春さん「ウイルスの姿に妖怪を見る」など、興味深い書き下ろし16篇を読むことができ、この季節にぴったりの内容となっています。随所に挟まれた図版も涼しいものが揃っていて楽しいです。

★『ディアギレフ・バレエ年代記 1909-1929』はまもなく発売。原書は、The Diaghilev Ballet 1909-1929(Translated and Edited by Vera Brown, Constable, 1953)です。著者は、ディアギレフ率いるバレエ・リュスの最初から最後の作品まで、舞台監督を務めた人物で、黄金期のロシア・バレエ界の貴重な証言録となっています。巻末には「ディアギレフ・バレエの作品リスト」「「バレエ・リュス」のプログラム」「ディアギレフ関連年表」などの資料が添えられています。振付師フォーキンや、稀代の踊り手ニジンスキーをはじめ、瞠目すべき群像が登場します。『ニジンスキーの手記』(市川雅訳、現代思潮社、1971年;完全版、鈴木晶訳、新書館、1998年)を併読されるといっそう感銘が深まるかと思います。


◎ナカニシヤ出版さんの新刊より

立法学のフロンティア(1)立法学の哲学的再編』井上達夫編、ナカニシヤ出版、2014年7月、本体3,800円、A5判上製328頁、ISBN978-4-7795-0869-1
立法学のフロンティア(2)立法システムの再構築』西原博史編、ナカニシヤ出版、2014年7月、本体3,800円、A5判上製298頁、ISBN978-4-7795-0871-4
立法学のフロンティア(3)立法実践の変革』井田良・松原芳博編、ナカニシヤ出版、2014年7月、本体3,800円、A5判上製298頁、ISBN978-4-7795-0872-1

★『立法学のフロンティア』全3巻はまもなく3冊同時発売。辺州代表の井上達夫さんによる巻頭言「『立法学のフロンティア』刊行にあたって」によれば、この論集は「法と政治を対象とする多様な分野の研究者(実践家も含む)が、〔・・・〕民主社会における立法システム、特に現代日本の立法システムが孕む問題点を摘出・分析し、その改善のための的確な指針を提示しうる学として立法学を再構築することを目的とした学際的な協働の企て」であるとのことです。第1巻『立法学の哲学的再編』は「原理論であり、立法学の哲学的バックボーンを強化するために、立法の法哲学的・政治哲学的・経済理論的基礎に関わる諸問題を、思想史的背景も視野に入れつつ、考察」します。第2巻『立法システムの再構築』は「立法システムを校正する統治機構とその動態たる政治過程を考察し、原理論を制度的な具体化の問題に則して再検討するとともに、立法に関わる諸制度の現実的機能を解明」します。第3巻『立法実践の変革』は「現代日本の実定法各分野で活発化している具体的な法改正実践に則して、それらが孕む共通問題と分野固有問題とを解明し、法改正実践の改善のための指針を提示」するとのことです。まさにこんにちこの国でもっとも必要とされている議論がこの三冊に集約されていると言えそうです。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。


◎水声社さんの新刊より

『チュチュ――世紀末風俗奇譚』プランセス・サッフォー著、野呂康+安井亜希子訳、水声社、2014年6月、本体3,500円、46判並製函入278頁、ISBN978-4-8010-0007-0
『アナーキストの大泥棒――アレクサンドル・ジャコブの生涯』アラン・セルジャン著、高橋治男訳、水声社、2014年6月、本体3,200円、46判上製304頁、ISBN978-4-8010-0045-2
『ホロコーストを逃れて――ウクライナのレジスタンス』ジェニー・ウィテリック著、池田年穂訳、水声社、2014年7月、本体2,500円、46判上製224頁、ISBN978-4-8010-0043-8
『レメディオス・バロ――絵画のエクリチュール・フェミニン』カトリーヌ・ガルシア著、湯原かの子訳、水声社、2014年7月、本体4,000円、A5判上製272頁、ISBN978-4-8010-0044-5

★『チュチュ――世紀末風俗奇譚』は発売済。原書は、Le Tutu: Mœurs fin de siècle(Léon Genonceaux, 1891)です。発刊後忘れ去られた本書が再びフランスで再評価されたのが1960年代半ばで、作家や出版者の素性については共訳者の野呂さんによる巻末解題「小説とそのモデル――プランセス・サッフォー『チュチュ』について」で説明されていますが、作家の方は諸説あって正体がはっきり分かっていないようです。函に記してある本書の内容はこうです。「世紀末のパリを舞台に俗悪ブルジョワの主人公モーリ・ド・ノワロフが繰り広げる、キッチュで奇矯な行動の数々。奇想天外にして荒唐無稽な想像世界が現出する。エログロ、近親姦、フリークス、腐猫の宴、糞尿譚、罵詈雑言がいたるところ鏤められた露悪趣味の極北。知られざる傑作、珍書中の珍書を本邦初紹介」。この謳い文句にたがわず、エグい内容です。なのに(だから?)目が離せません。終幕を飾る登場人物二人の「最後」もまたため息が出るほどひどいので、最悪の読後感を味わえます(むろん褒め言葉です)。

★『アナーキストの大泥棒――アレクサンドル・ジャコブの生涯』は発売済。原書は、Un Anarchiste de la belle époque: Alexandre Marius Jacob(Seuil, 1950)です。著者のアラン・セルジャン(Alain Sergent)ことアンドレ・マエ(André Mahé, 1908-1982)は作家であり、アナーキズム運動の歴史家です。訳者あとがきによれば、作家としては不遇だったけれど、本書はとても良く売れたのだとか。「稀代の大泥棒にしてフランス最後のアナーキスト」(帯文より)だったアレクサンドル・ジャコブ(1879-1954)の波乱に満ちた人生を本人への直接取材に基づいて活写しており、多くの人々の好奇心を集めたのも頷けます。第1章「人物紹介」で著者はこんなことを欠いています。「彼〔ジャコブ〕は、しばしば私にヴィドックを想起させた。〔・・・〕ヴィドックはアナーキストとしてのジャコブの不倶戴天の敵であった。しかしそれでも、どうしてもこの二人の存在の同一性を感じざるを得ないのである」(19頁)。ヴィドックとはむろんあの、犯罪者から警察官、そして探偵へと転身したあのフランソワ・ヴィドック(1775-1857)で、回想録が日本語でも読めます(『ヴィドック回想録』三宅一郎訳、作品社、1988年)。ちなみにこの比較をジャコブ自身は嫌ったようです。

★『ホロコーストを逃れて――ウクライナのレジスタンス』は発売済。原書は、My Mother's Secret: A Novel Based on a True Holocaust Story(Putnam Adult, 2013)です。著者のジェニー・ウィテリック(Jenny Witterick, 1961-)は台湾出身のカナダの大手投資顧問会社Sky Investment Counselの経営者であり、デビュー作である本書は世界的なベストセラーとなったそうです。ガリツィア地方(現ウクライナ)の小都市ソカルで15人ものユダヤ人家族と1人のドイツの脱走兵をナチスから匿ったポーランド人女性フランチシカ・ハラマヨーヴァと娘のヘレナの勇気ある行動を、史実に基づいて小説化したのが本書です。著者は2009年に制作されたドキュメンタリー映画「聖母マリア通り四番地(No.4 Street of Our Lady)」(バード+マルツ+シャーマン監督)を見てインスピレーションを受け、本書を執筆したそうです。「どんなに些細なことでもユダヤ人を助けると死刑かそれに近い刑に処せられるという理不尽な時代だ。ユダヤ人にパン一切れ、水いっぱいをやるだけでも、ポーランドでは死刑宣告だ。/それを分かっていながら、知り合いともいえないフランチシカは、僕ら一家を、彼女の家に〔・・・〕匿ってくれるというのだ」(108頁)。史実によれば、ソカルに住んでいたユダヤ人は6000人、そのうち生き延びたのはわずか30人だったそうです。その半分にあたる人数をフランチシカは1年半以上にわたって庇ったのでした。

★『レメディオス・バロ――絵画のエクリチュール・フェミニン』は発売済。原書は、Remedios Varo, peintre surréaliste ?: Création au féminin: hybridations et métamorphoses(L'Harmattan, 2007)です。著者のCatherine Garciaは本書が初めての単著で、フランスにおける初の本格的バロ研究として認知されているようです。バロ(1908-1963)の絵画作品がふんだんに引用されており、「女性の創造的自由について独自の表現を創りだし」た彼女の実践について分析しています。バロ関連書ではこれまでに、ジャネット・A・カプラン『レメディオス・バロ――予期せぬさすらい』(中野恵津子訳、リブロポート、1992年)や、レメディオス・バロ『夢魔のレシピ――眠れぬ夜のための断片集』(野中雅代訳、工作舎、1999年)があるばかりですが、いずれも品切。本書は久しぶりの新刊なので、待っておられた読者もいらっしゃることでしょう。原題は直訳すると「レメディオス・バロはシュルレアリストか?――女性による創造:異種混淆と変容」となります。
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by urag | 2014-07-20 22:09 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 18日

取次搬入日決定:7月新刊『戦争の教室』

松本彩子編『戦争の教室』の取次搬入日が確定しました。日販、トーハン、大阪屋、栗田、太洋社、すべて2014年7月23日(水)です。書店店頭に並び始めるのは7月25日以降になるかと思われます。各地域での配本店(受注店)がどこになるかはお電話やEメール、当エントリーのコメント欄よりお気軽にお尋ねください。

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by urag | 2014-07-18 14:44 | 近刊情報 | Trackback | Comments(3)
2014年 07月 17日

編集者連続講座第2回:下平尾直(共和国)×小林浩(月曜社)

本日19:00から文京シビックセンター5F会議室で行われたトークイベント「日本出版者協議会プレゼンツ:編集者連続講座第2回:編集者にとって「独立」の意味を考える」に、株式会社共和国の代表・下平尾直さんと私で登壇させていただきました。出版協の皆様、そしてご来場いただきました皆様に深く御礼申し上げます。イベント後も名刺交換や懇親会での歓談で楽しいひとときを過ごしました。話は尽きませんが、また再び皆様とお目に掛る機会もきっとあると思います。今後とも御交誼を賜りますよう、よろしくお願いいたします。
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by urag | 2014-07-17 23:55 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 16日

ウェブ連載:ルソー『化学教程』第8回

ルソー『化学教程』の翻訳第8回をまもなく弊社ウェブサイトで公開いたします。

『化学教程』第一部第一編「物体の諸要素とそれらの構成について」第一章「物質の原質について(続き)」

14 化学者の通常の五つの原質に関して言えば、少なくともそれらのうちの〔水、土、エンの〕三つは、それ自体としては混合物や化合物でしかない。「精体esprit(1)とは、精製アルコールflegmeの中に溶けている酸性のエンである。そのような溶解物が硝石の精体あるいは酢の精体である。尿中の揮発性精体とは、精製アルコールの中に溶けている揮発性アルカリでしかない。[A:11]そのような溶解物が、尿の精体であり、鹿角精esprit de corne de cerfのそれである。燃精esprit ardentとは、酒精esprit de vinまたは松精のようなエーテル性油ないし弱イオウsoufre atténué以外の何ものでもない。イオウそれ自体は、火の原質と酸から構成される。[F:19]臭いのきつい諸々の油は、精製アルコールと少しの出がらしの土terre damnéeからなるものの中で溶解した揮発性エンである。エーテル性油とは、オリーヴ油に似た粘液質でどろりとした油が、諸々のエンによって〔原質間の結合を〕緩められ、精製アルコールの中で拡散したものである。オリーヴ油と発酵している何らかの流動物質liqueurを混ぜさえすれば、その油は完全に燃精に変化するだろう。酒精2リーヴルをとって、12リーヴルの普通の水の中にその酒精を拡散させてみよう。そして、この溶液全体を空気にさらしてみよう。すると揮発性エンは〔気化して〕発散してしまう。〔この溶液の〕油性部分は、玉状に集まり、〔液体の〕表面に浮かぶ。この油性部分はあらゆる点でオリーヴ油やアーモンド油に似ている。エンに関しては、エンからは〔無味の〕水と土が得られる。〔この操作は次の通りである。〕蒸留された硝石は多量の酸精esprit acideを産み出す。だが、粉末状の酒石ないし木炭とともに硝石を燃やすと、それは〔酸精ではなく〕不発揮性あるいはアルカリ性ニトロと呼ばれるアルカリ性エンになる。[C:68]もし硝石を風化作用(2)によって液化させ、この液体を紙で濾過するならば、硝石は多くの土〔残留物〕を残す。濾過されたこの流動物質を乾燥するまで蒸留器で蒸留すると、この物質から無味の水が得られる。そのまま乾燥させられたエンはさらに少なくなる。この作業を最後まで繰り返そう。するとほとんどのエンが土に変化するだろう。〔この作業によって〕エンから消えた部分が無味の水に変わったということは確からしい」(3)。

(1)本翻訳ではespritを「精体」と訳す。espritの訳語としては他に「蒸留酒」ないし「揮発性物質」を挙げることができる。しかし、いずれの訳語にも不都合がある。後者に関して言えば、例えば本段落で使われるesprit volatilという言葉を訳すときなどに問題が生じる。また本文のespritの定義が示す通り、この語は必ずしも「酒」を指すものでもない。この点で「蒸留酒」という訳語にも問題がある。このespritという語は蒸留などの化学的操作から得られる「純化され選りすぐられた物質」を一般に意味している(例えばある作家のespritというとき、それはその作家の作品の「精選集」を意味することがある。このあたりの用法にも「純化され選りすぐられた」というespirtという語の側面が見出される)。『化学教程』においてルソーがespritという語を使うとき、多くの場合、それは蒸留を筆頭とする化学的操作によって「純化され選りすぐられた物質」を意味する。それゆえに本翻訳では単独でespritという語が使われる場合、これを「精体」と訳すことにした。

(2)セナが« si on le laisse liquéfier par lui-même »と書いている部分をルソーは化学操作の用語を用いて« si on le laisse liquéfier par défaillance »と書き換えている。

(3)ルソー原注:セナ、第1巻、9頁〔Sénac, J.-B., Nouveau cours de chimie suivant les principes de Newton et de Stahl, Paris, Vincent, 1723.なお本14段落は冒頭の一文および後続の「イオウそれ自体は、火の原質と酸から構成される」という文以外、セナの著作からの書き写しである(この書き写しの部分を引用符を用いて明示した)。右の文に関しては、ルソーはセナの著作に登場する物質名を完全に書き換えている。セナ本人によれば「イオウは水と土に分解される」〕。


・・・続きは弊社ウェブサイトで近日公開いたします。
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by urag | 2014-07-16 16:26 | ウェブ限定コンテンツ | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 13日

注目新刊:『ドゥルーズと狂気』『消去』など

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ドゥルーズと狂気
小泉義之著
河出ブックス 2014年7月 本体1,900円 B6判並製384頁 ISBN978-4-309-62473-0

帯文より:恐ろしく危ういドゥルーズを到来させて欧米と日本の「狂気の歴史」を検証する中から、分裂病をこえるサイコパスの彼方に高次の狂気を待望する最深部からの思考の激震。

カバーソデ紹介文より:ドゥルーズにとって核心的主題でありながら真正面から取り上げられてこなかった〈狂気〉――生命と病いうぃ探求しつづけてきた哲学者がついに「心」=メンタルの思想と歴史に挑むべく、ドゥルーズの主要著作における〈狂気〉を読み解きながら、欧米と日本の「狂気の歴史」――精神医療/反精神医学運動の軌跡を総括して、分裂病をこえるサイコパスの彼方に高次の正気と高次の狂気を待望する。恐ろしく危ういドゥルーズを到来させつつ、現在を根底から震撼させる絶後の名著。

推薦文(千葉雅也氏):「やりたいようにやる」ことを、これほど明確に、激烈に考える本がほかにあるだろうか?

目次:
序文
I 新しい人間と倒錯
 第一章 狂える自然――『マゾッホとサド』
 第二章 新しい男になる――『マゾッホとサド』
 第三章 「神経症を確かに経由し精神病をかすめる冒険」――『意味の論理学』
II 反復の病、差異の病、高次の狂気
 第一章 反復の病、反復の治癒――『意味の論理学』
 第二章 高次の病理、高次の反復――『差異と反復』
III 「分裂病の政治」――『アンチ・オイディプス』
 第一章 思想史の中の『アンチ・オイディプス』
 第二章 『アンチ・オイディプス』の分裂病論
 第三章 Psy-系(精神・心理系)に対する批判
 第四章 資本主義「と」分裂病
IV スキゾイドの系譜
 第一章 「狂気」と「犯罪」
 第二章 獣のような人間、あるいは、生来性犯罪者
 第三章 「驚喜、愚劣、悪意」の「凄まじき三位一体」――『差異と反復』「思考のイマージュ」
V 地下潜行者の共同体
 第一章 『アンチ・オイディプス』から『千のプラトー』へ
 第二章 バートルビー論
結語


★発売済。『ドゥルーズの哲学――生命・自然・未来のために』(講談社現代新書、2000年)に続く小泉義之さんのドゥルーズ論第二弾です。本書はドゥルーズの読解を通じて「高次の健康にして高次の狂気を生きる人間」(359頁)、「スキゾイド・サイコパスの系譜にある新しい人間」(327頁)、「高次の狂人、新しい人間」(323頁)を展望する破格の哲学書です。ドゥルーズが言う「健康とも病気とも見分けのつかない〔・・・〕異例なもの(Anomal)」(『ディアローグ』河出文庫、2011年、71頁)をめぐる思考というのは、『生殖の哲学』(河出書房新社、2003年)や『「負け組」の哲学』(人文書院、2006年)などをはじめとするこれまでの著書でも存分に展開されてきた、いわば小泉哲学の核心ではないかと思います。新しい時代や新しい人間が「狂気」によって生み出されると信じられていた過去(7頁参照)と、その忘却の果てに現在の社会状況が辿りついた交点に思いを寄せつつ、本書は書かれています。

★「われわれはすべて、多少なりとも人生ゲームに苦しんでいます。われわれ全員が、多少なりとも神経病者であり精神病者なのです(ちなみに、年をとると、リアルに実感されてきます。老人の知恵の一つです)」(96頁)。「大なり小なり神経症者であり、大なり小なり倒錯者であり、また、大なり小なり分裂病者である」(173頁)。「われわれ人間は、全員が、運命的に、例えばスキゾイドでありサイコパスなのです」(323頁)と小泉さんは書きます。ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』を読み解きつつ、「狂える人は欲望の人である」(246頁)と要約し、「欲望とは、端的に、やりたいことです。やりたいようにやる、ということです。それが、それだけが既成秩序を紊乱し、社会全体を吹き飛ばすのです。正常人には困難極まりないことです」(244頁)と論じておられます。本書は哲学への挑戦であるだけでなく、精神医学への、政治へ仮借なき挑戦です。日本におけるドゥルーズ受容史は、本書と江川隆男さんの『アンチ・モラリア』の二冊の登場によってさらなる深度を得たと言って良いと思われます。

★推薦文を寄せておられる千葉雅也さんはまもなく河出書房新社さんから『別のしかたで――ツイッター哲学』(ISBN978-4-309-24664-2)を刊行されます。『文藝』2014年秋季号には佐々木敦さんによる同書の書評が載っています。同号の特集「十年後のこと」は書き下ろしの掌篇作品を集めたもので、東浩紀さんの「時よ止まれ」、円城塔さんの「お返事が頂けなくなってから」をはじめ、総勢23名による近未来小説を読むことができます。また、ドゥルーズ関連では来月末に、モニク・ダヴィド=メナール『ドゥルーズと精神分析』(財津理訳、ISBN978-4-309-24672-7) の発売が予定されています。『普遍の構築――カント、サド、そしてラカン』(川崎惣一訳、せりか書房、2001年)以来、待望の二冊目の訳書となります。


消去――虐殺を逃れた映画作家が語るクメール・ルージュの記憶と真実
リティ・パニュ+クリストフ・バタイユ著 中村富美子訳 舟越美夏解説
現代企画室 2014年7月 本体1,850円 4-6判並製312頁 ISBN978-4-7738-1416-3

帯文より:リティ・パニュ監督『消えた画』原作。ポル・ポト体制のカンボジアを奇跡的に生き延び、クメール・ルージュの体験を映像化する仕事で世界的な名声を得た映像作家が、初めて自らの少年時代の記憶を語る。1万数千人を殺害した政治犯収容所元所長の言葉に触発されて甦る、家族や生活のすべてを失った苦難の記憶。人間の消去に立ち向かい、歴史はいかにして「真実」を紡ぐのか。2013年度『ELLE』読者賞、2012年度フランス・テレビジョン・エッセイ賞ほか受賞。

★発売済。7月5日より渋谷・ユーロスペースにてロードショーが始まり、全国順次公開予定のリティ・パニュ監督による映画「消えた画 クメール・ルージュの真実」(2013年)の原作です。映画の方は第66回カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門グランプリを受賞し、2013年度アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされました。今回日本語訳された原作は、L'Élimination(Grasset, 2012)です。フランスでも活躍するカンボジアの映画監督リティ・パニュ(Rithy Panh,1964-)の実体験が綴られた、とても重い本です。その重さのためか、聞き書きを担当した作家のクリストフ・バタイユ(Christophe Bataille,1971-)とのあいだでせめぎ合いがあったようです。監督は自身の体験談を削り、彼がインタヴューしたクメール・ルージュの拷問処刑施設「S21」元所長「ドッチ」ことカン・ケ・イウの語りのみを残そうとしたところ、バタイユが抵抗したそうです。本書をひもとくとき、結果的にバタイユの抵抗は正しかったと思わざるをえません。

★本書の冒頭にはドッチの言葉が書きつけられています。「クメール・ルージュとは消去です。人間には何の権利もありません」。底なしの絶望に囲繞された世界でパニュ少年はこうつぶやきます、「ただ、死だけが確かなものに思えた」(181頁)と。地獄を奇蹟的に生き延びたのちもパニュは苦しみ続けることになります。ドッチへのインタヴューとその映画化は地獄の続きでした。「ここまで書いてきたことを読み返す。私は子ども時代を消してしまいたい。跡形もなく。言葉も、書かれた頁も、震えながらそれを持つ手も消してしまいたい。〔・・・〕ドッチと私しか残らないように。それは一つの闘いの物語だ。私は彼の忘却と嘘を映画に撮った」(203-204頁)。「加害者は黙らない。加害者は話す。休みなく話す。付け加え、消し、修正する。こうして一つの物語、すでに伝説となった物語、もう一つの現実を作り上げる。加害者は話の中に立てこもる」(257頁)。「私はクメール・ルージュの犯罪には普遍性があると思っている。クメール・ルージュが彼らのユートピアの普遍性を信じたのと同様に。ドッチの言葉を引用しよう。「古い世界を破壊し、そこから新たな世界を建設する。世界の新たな概念を作りたい」(260頁)。おぞましい革命家たち。ここにももう一人のアイヒマンがいます。解説を寄せておられる舟越美夏さんは昨年『人はなぜ人を殺したのか――ポル・ポト派、語る』(毎日新聞社、2013年)という新刊を上梓されています。


◎平凡社さんの新刊より

ベンヤミンの言語哲学――翻訳としての言語、想起からの歴史』柿木伸之著、平凡社、2014年7月、本体3,900円、4-6判上製443頁、ISBN978-4-582-70328-3
世説新語5』劉義慶撰、井波律子訳注、東洋文庫、平凡社、2014年7月、全書判300頁、ISBN978-4-582-80851-3

★『ベンヤミンの言語哲学』は柿木伸之さん(かきぎ・のぶゆき:1970-)が上智大学に昨年提出した博士論文に加筆訂正を施したものです。帯文には「翻訳と想起から言語の可能性を切り開くベンヤミンの思想の核心に迫る」とあります。「ベンヤミンの言語哲学の射程」「翻訳としての言語へ」「「母語」を越えて翻訳する」「破壊による再生」「歴史を語る言葉を求めて」の全五章から成る本書は、「ベンヤミンの言語哲学を彼の初期から晩年まで貫かれるものと捉え、そこにある言語そのものへの問いを掘り下げるかたちで検討する」(54頁)ユニークなもので、「デリダの言語論や彼の脱構築の理論と関連づけながら考察し、その議論の現代性を測った研究」(同)でもあります。巻末の参考文献一覧は書店員の皆さんにとっても興味深いリストなのではないかと思います。ちょうどちくま学芸文庫の今月新刊で『ベンヤミン・コレクション(7)〈私〉記から超〈私〉記へ』が出たばかりですから、文庫/単行本の売場枠を越えて併売してくださると読者には便利ですね。

★『世説新語5』は全5巻の完結編です。帯文はこうです。「はるか昔、千数百年前の中国に大量出現した奇人たちが時空を超えて現前する。彼らの言行を記した稀有の書。最終巻は好ましくない言動が盛り沢山! 小伝を含む人名索引を付す」。軽詆第二十六から尤悔第三十三を収録。訳者によって付されたそれぞれの副題を列記すると「排調よりも露骨に他人を非難した言動」「他人を欺く狡知に長けた言動」「官位を貶されたり免職された話」「過度に吝嗇な行為」「過度に豪奢で浪費的な行為」「短期で癇性な人びとの言動」「術策を弄し告げ口をする腹黒い言動」「自らを責め悔やみ、嘆いた人びとの言動」です。排調というのは、第4巻の末尾に収録された「排調第二十五――他人をやりこめ嘲笑した言動」のこと。最終巻は帯文にある通り、ヒリヒリしたやりとりが満載の一冊です。東洋文庫の次回配本(第852巻)は8月、雨森芳洲『交隣提醒』です。


◎作品社さんの新刊より

ウィーン――栄光・黄昏・亡命』ポール・ホフマン著、持田鋼一郎訳、作品社、2014年7月、本体3,600円、46判上製464頁、ISBN978-4-86182-467-8
ワインの真実――本当に美味しいワインとは?』ジョナサン・ノシター著、加藤雅郁訳、作品社、2014年6月、本体3,800円、46判上製540頁、ISBN978-4-86182-486-9

★『ウィーン――栄光・黄昏・亡命』はまもなく発売。原書は、The Viennese: Splendor, Twilight, and Exile(Doubleday, 1988)です。著者のポール・ホフマン(Paul Hofmann, 1912–2008)はウィーンに生まれ、ナチスに抗してペンを取ったジャーナリストで、「ニューヨーク・タイムズ」紙ローマ支局長を務めた人物です。カタカナ表記では同名の著者が複数います。サイエンスライター、ビジネスライター、小説家、ルソー研究家などがいますがすべて別人で、ジャーナリストの彼の著作が訳されるのは初めてのようです。訳者あとがきによれば本書は「ハプスブルク帝国のトルコ軍による包囲の時代から始め、マリア・テレジア皇女によるハプスブルク帝国全盛時代、フランツ・ヨーゼフ統治下の衰退の時代、第一次世界大戦の敗北による帝政の崩壊と社会民主党政権の成立による「赤いウィーン」の時代、社会主義者と保守主義者の内戦を経てドイツに併合されたナチの時代、そして戦後の米英仏ソによる占領時代を経て独立、クライスキー連邦首相からワルトハイム大統領の時代までの約五百年間」を描いたものとのこと。ウィーンをテーマにした手頃な本は多いですが、本書のような本格派は少ないと思います。

★『ワインの真実――本当に美味しいワインとは?』は発売済。原書は、Le goût et le pouvoir(Grasset, 2007)です。『嗜好と権力』とでも訳せばいいでしょうか。版元さんの紹介文によれば本書は「映画『モンドヴィーノ』によって、世界のワイン業界の内幕を暴き大論争を巻き起こした著者が、“本当に美味しいワインとは何か?”をめぐって、さらなる取材をつづけ、再び大論争を巻き起こしている話題の書」とのことです。映画監督でありソムリエでもある著者は「ブルゴーニュの名醸造家たち(クリストフ・ルーミエ、ドミニク・ラフォン、ジャン=マルク・ルーロ…)と本音で語らい、アラン・デュカス・グループを仕切る凄腕ソムリエと対決し、スペイン・ワイン革命の象徴的人物と論争し、アラン・サンドランに突撃取材し、ワイン業界人たちと目隠し試飲会を開」いたのだとか。ニューヨーク・タイムズ紙やフィガロ紙などで絶賛を浴びたそうです。帯文には「世界の“絶品ワイン148”“醸造家171”を紹介」とあります。巻頭には日本語版序文「日本の愛好家の皆さんを、ワインの味わいが変わるたびに招待いたします」を収録。日本でも広く読まれそうですね。
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by urag | 2014-07-13 23:46 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 11日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2014年7月11日(金)プレオープン、7月18日グランドオープン
ハイパーブックス水口店:350坪(うち図書300坪)
滋賀県甲賀市水口町名坂915-1
トーハン帳合。弊社へのご発注は音楽書数点です。滋賀県内に複合店を展開するチェーン、サンミュージックの書店部門。同チェーンでレンタルセルDVD・CD、ゲーム・トレカを扱う部門の夢工場水口店が道を挟んだ反対側で以前から営業しています。このたび開店するハイパーブックスは年中無休で午前10時から午後11時まで営業。「コミックから専門書まで幅広く取り揃えた書籍、話題のアイテムでいっぱいの文具・雑貨を取り扱う」とのことです。

滋賀県下で弊社の本を継続的に扱っていただいている書店さんには、草津市の喜久屋書店草津店さんや、大津市の大垣書店大津一里山店さんなどがあります。ハイパーブックスの各支店や彦根市の天晨堂ビバシティBCさんなどでも扱っていただく時があります。より豊富な点数の弊社書籍を店頭でご覧いただく場合は、京都市まで出向いていただく必要があります。
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by urag | 2014-07-11 16:07 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2014年 07月 09日

リレー講義「日本の出版文化」@東京外国語大学

今日は、東京外国語大学府中キャンパスへお邪魔し、リレー講義「日本の出版文化」の第13回の授業で発表させていただきました。今年で5回目の参加になりますが、今回はテーマは「独立系出版社の信念と実践」と題し、私自身の就活や転職、独立の話、また、編集・営業・広告の実務について自身の経験から得たことをお話ししました。熱心にご静聴いただきありがとうございました。また、質疑応答の際に質問して下さった方、ご列席いただいた先生方、運営スタッフの皆様、担当教官の岩崎稔先生に深謝申し上げます。受講された皆さんのレスポンスシートは今回も全員分読ませていただきました。また皆さんとどこかで再会できることを楽しみにしています。
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by urag | 2014-07-09 21:50 | Trackback | Comments(0)