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2013年 05月 27日

明日開催:ヤン・ミェズコウスキー講演「近代戦争の五つのテーゼ」

弊社出版物の著者、訳者の皆様の最近のご活躍をご紹介いたします。

★宮﨑裕助さん(共訳書:ポール・ド・マン『盲目と洞察』)
ヴェルナー・ハーマッハーさん(弊社刊『他自律』)の弟子筋で、デリダ論やド・マン論をお書きになられているヤン・ミェズコウスキー教授の来日講演で、司会とコメンテーターをおつとめになります。開催はいよいよ明日です。

◎ヤン・ミェズコウスキー(リード大学教授)講演「近代戦争の五つのテーゼ

日時:2013年5月28日(火)17:00-19:00
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階コラボレーションルーム3
講演者:Prof. Jan Mieszkowski (Professor of German & Humanities, Reed College)
演題:"Five Theses on Modern War" (based on his book Watching War, Stanford University Press, 2012)
司会・コメンテーター:宮﨑裕助(新潟大学)
コメンテーター:星野太(UTCP)
主催:東京大学大学院総合文化研究科付属「共生のための国際哲学研究センター(UTCP)」上廣共生哲学寄付研究部門
使用言語:英語
※入場無料、事前登録不要

要旨:In this lecture, Prof. Mieszkowski will ask what it means to be a spectator to war today, in an era when the boundaries between witnessing and perpetrating violence have become profoundly blurred. Showing that the battlefield was a virtual phenomenon long before the invention of photography, film, or the Internet, He will propose that the unique character of modern conflicts has been a product of imaginary as much as material forces. He will also argue that spectacles of war have tended to disappoint their audiences as much as shock them, in part because there is little agreement about what we can hope to learn by viewing battles.

★近藤和敬さん(著書:『構造と生成I カヴァイエス研究』)
★江川隆男さん(訳書:エミール・ブレイエ『初期ストア哲学における非物体的なものの理論』
『現代思想』2013年6月号(特集=フェリックス・ガタリ)において、杉村昌昭さんと村澤真保呂とともに近藤和敬さんが討議「ガタリ化する世界――いくつもの逃走線を繋いで」(32-51頁)に参加されています。もう一つの討議「分裂分析的哲学――ガタリは何を解放したか」(86-105頁)は江川隆男さんと千葉雅也さんによるものです。

同誌初となるこのガタリ単独特集号では、ガタリの没後に発見され、「リベラシオン」紙2009年7月24日付に掲載された「エコロジーの倫理的争点」(村澤真保呂訳、30-31頁)のほか、ガタリとの共著『光速と禅炎――agencement '85』(週刊本35、朝日出版社、1985年5月)がある世界的ダンサーの田中泯(1945-)さんへのインタヴュー「時代と添い寝しないカラダ」(106-112頁)や、マウリツィオ・「ラッツァラートさんの「現在の「経済危機」とは何か――フェリックス・ガタリの「主観性の生産」という概念から考える」(杉村昌昭訳、65-73頁)や、村澤真保呂さんとステファン・ナドーさんの共著「生き方=倫理としてのエコゾフィー」(142-149頁)など、多彩なテクストが収録されています。目次詳細は特集名のリンク先をご覧ください。『現代思想』次号(2013年7月号)の特集は「ネグリ+ハート」で、ネグリ+ハート+デヴィッド・ハーヴェイによる「コモンウェルスをめぐる対話」などが掲載予定だそうです。

また現在、ジュンク堂書店難波店の福島聡店長による名物コーナー「店長本気の一押し!」では「生きることは、問い続けること」と題して、近藤和敬さんの『数学的経験の哲学――エピステモロジーの冒険』(青土社、2013年3月)をめぐるミニフェアが今月21日(火)から始まっています。リンク先で福島さんによる書評を読むことができます。

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さて、弊社社員二名の「出身版元」である作品社の現編集長でいらっしゃる内田眞人さんは、ネグリやハーヴェイなどの訳書やも手掛けておられる編集者さんですが、ランズマン『ショアー』や一連の『~の文化史』など、硬軟幅広い視野をお持ちであることは皆さん御承知の通りです。そんな内田さんが来月中旬にジュンク堂書店池袋本店で行われる以下のユニークな出演されますので、ご紹介します。

◎トークイベント「編集というお仕事――本はこうして生まれるのだ

日時:2013年06月13日(木)19:30 ~
場所:ジュンク堂書店 池袋本店 4F喫茶コーナー
出演:内田眞人(作品社)+関戸詳子(勁草書房)+濱崎誉史朗(社会評論社)
料金:1000円(ワンドリング付)、会場にて精算
定員:40名、お電話又はご来店にてお申し込み先着順
申込:池袋本店1Fサービスカウンター(電話:03-5956-6111)
※トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。
※ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願い致します。(電話:03-5956-6111)

内容:日本出版者協議会(出版協/旧・流対協)がお送りする「編集者が語るいトークイベント」。「あの話題の書籍はどうやって生まれたのか!?」 いつも本を読んでいても、その本がどうやって作られたのかは意外と知られていないもの。同じ編集者同士でも、人がどうやって本をつくっているかは未知の世界。10人の編集者がいれば、10通りの本づくりがあるといっても過言ではない。そう、「本づくりに定石はない!」のです。今回のトークイベントでは、3人の編集者のそれぞれの本づくりを大公開。涙あり笑いありの編集秘話を、包み隠さずお話します!
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by urag | 2013-05-27 12:27 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 26日

注目新刊:『ヘーゲル 論理の学』第二巻「本質論」、ほか

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ヘーゲル 論理の学(II)本質論
ヘーゲル著 山口祐弘訳
作品社 2013年5月 本体5,800円 A5判上製272頁 ISBN978-4-86182-409-8

帯文より:本質は止揚された存在である。存在の本質は反省にあり、存在が自己自身に還帰する生成と移行の無限運動とするヘーゲル論理学の核心。先行する本質論を転倒し、存在から本質を導くことでダイナミックな存在の形而上学体系を確立。

★発売済。『大論理学』の50年ぶりの新訳決定版となる全3巻本の第II巻です。第I巻「存在論」は昨年12月に刊行済で、第III巻「概念論」は今年10月刊行予定。第II巻大まかな章立ては以下の通りです。

第一編 客観的論理学
第二巻 本質論
第一部 それ自身のうちでの反省としての本質
 第一章 影像
 第二章 本質規定性ないし反省規定
 第三章 根拠
第二部 現象
 第一章 実存
 第二章 現象
 第三章 本質的関係
第三部 現実性
 第一章 絶対者
 第二章 現実性
 第三章 絶対的関係

★本書は「存在の真理は本質である」と始まり、存在論から本質論への橋渡しが開始されます。「本質は存在と概念の間にあり、両者の中間を成し、その運動は存在から概念への移行となる。〔・・・〕本質はまず自己自身のうちで映現する。すなわり、それは反省である。第二に、本質は現象する。第三に、本質は自己を啓示する。それは、運動する中で次の諸規定となる。I、その内部にある諸規定のうちで単純であり自体的にある本質として。II、定在へと出て行くものとして、あるいはその実存及び現象に従って。III、その現象と一体である本質、現実性として」(7頁)。ヘーゲルの『大論理学』は最難関の書ではありますが、明瞭な図式的性格を持っており、繰り返し読むうちにその体系が見えてくるように思います。


2011――危うく夢みた一年
スラヴォイ・ジジェク著 長原豊訳
航思社 2013年5月 本体2,200円 四六判並製272頁 ISBN978-4-906738-03-8

帯文より:この年に何が起きたのか? ウォール街占拠運動、アラブの春、ロンドンやギリシャの大衆蜂起、EU内でのポピュリズムの台頭、ノルウェイの連続射殺事件、そして日本での福島原発事故と首相官邸前行動……はたしてこれは、革命の前兆なのか、それとも保守反動の台頭なのか?

★発売済。航思社さんの新刊第4弾が発売されました。原書はThe Year of Dreaming Dangerously, Verso, 2012です。巻頭には長文の書き下ろしとなる日本語版序文「衆愚の街〔ゴッサム・シティ〕におけるプロレタリア独裁」(7-36頁)が置かれています。クリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト ライジング』を題材に、いつもの手際で旬の映画に仮託しつつ現代政治の状況を鮮やかに図式化したものです。「序論」によれば本書は「まず現代資本主義の主要な特徴についての簡単な描写を提示し、次いで社会的敵対性への反作用において起きた反動現象(とくにポピュリスト的な叛乱)に焦点を絞り込んで、そこでヘゲモニーを握っているイデオロギーの輪郭にラフな描写を与える〔…〕。後半では〈アラブの春〉と〈ウォール街占拠運動〉を論じ、システムの機能強化をもたらすことなくシステムと闘うにはどうしたらよいのかという難問に立ち向かう」(40-41頁)。カバーを取ると、ウォール街占拠運動のさなか、群衆の中でスピーチするジジェクの写真が表紙に印刷されています。巻末で告知されている航思社さんの刊行予定によれば、ジジェクの大著『レス・ザン・ナッシング』が上下巻で来春発売とのことです。


宗教について――宗教を侮蔑する教養人のための講話
F・シュライアマハー著 深井智朗訳
春秋社 2013年4月 本体4,000円 四六判上製352頁 ISBN978-4-393-32345-8

帯文より:宗教論の古典にして金字塔、待望の新訳! 宗教の本質は宇宙の直観と感情であると喝破し、その法悦を甘美な筆致で描写して、キリスト教の枠をも超え、宗教哲学の祖ともなった名著。その衝撃をストレートに伝えるべく、底本に1799年刊の初版を用い、時代背景とシュライアマハー個人の思想・精神状況を精査して、本書に託された真の意義を探る充実した解題を付す。

★発売済。『Ueber die Religion』(1799年)の新訳です。豊川昇訳(創元社、1948年)や佐野勝也・石井次郎訳(岩波文庫、1949年)をはじめ、1914年から1960年までのあいだに6回翻訳されており、これまではたいてい『宗教論』と訳されていました。著者名も過去はシュライエルマッヘルという表記が多かったのですがシュライアマハーと改められています。5つの講話「弁明」「宗教の本質について」「宗教への教育について」「宗教における社交、あるいは教会と聖職者について」「諸宗教について」から成り、巻末には「シュライアマハーと『宗教について』(1799年)」と題された詳細な解題が配されています。旧訳はすべて新刊では入手できない状態であり、一番新しい訳から数えても半世紀以上が経過していますから、今回の新訳がまさに時宜に適ったものでした。訳者の深井さんは金城学院大学教授で、シュライアマハーの翻訳は『神学通論 1811年/1830年』(加藤常昭共訳、教文館、2009年)に次いで二冊目です。

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ユリイカ 2013年6月号 特集:山口昌男――道化・王権・敗者
青土社 2013年5月 本体1,238円 A5判並製246頁 ISBN978-4-7917-0255-8

★発売済。今年3月10日に逝去された山口昌男の追悼特集。山口さん自身のテクストは、「道化と幻想絵画――イコンの遊戯」(85-101頁)と「ウィリアム・ウィルフォード『道化と笏杖』書評」(102-103頁)の二篇。前者は「1969年9月3日脱稿」とあり、瀧口修造『幻想画家論』改訂版(せりか書房、1972年)のために書かれたものの、実際には収録されなかったという論考で、初出は『山口昌男山脈』第4号(国書刊行会、2004年)。後者は初出が中央公論社の『海』1983年1月号。

★ともに山口さんに愛された二人、高山宏(1947-)さんと中沢新一(1950-)さんの対談「軽業としての学問――ヘルメス・トリスメギストスとトリックスター」が異色です。お二人の対談は珍しいと思うのですが、最近では学生向けの非売品『MEIDAI BOOK NAVI 2013』(明治大学出版会、2013年3月)の特集「〈3・11以降〉を生きるための3冊」の巻頭でお二人の対談「カタストロフィを突き抜ける」(4-17頁)が読めるそうです。高山さんは今回の追悼特集では「アルス・エルディータ――澁澤龍彦と山口昌男」というエッセイを寄稿されており、弊社刊『ブラジルのホモ・ルーデンス』の著者・今福龍太さんは「素描的精神の鉱脈――デシナトゥール山口昌男」という一文を寄せておられます。また、先般『ルールズ・オブ・プレイ』をついに完訳した山本貴光さんは「遊びを知り、知で遊ぶ――山口昌男、遊びの骨法」というテクストと「山口昌男主要著作目録+重要著作解題」を執筆されています。このほかにもずらりと並んだ著名人の寄稿の数々から、山口さんの偉大さというのがひしひしと伝わってきます。目次詳細は書名のリンク先をご覧ください。


植民地主義の時代を生きて
西川長夫著
平凡社 2013年5月 本体4,800円 A5判上製622頁 ISBN978-4-582-70295-8

帯文より:朝鮮に生まれ、占領下の日本に引き揚げ、戦後冷戦体制とグローバル化の時代に、国民国家と植民地主義を批判し続けた著者が、原爆/原発体制の彼方へ手わたす32篇。

★発売済。病床の著者が自ら「最後の論集」と位置づけられておられ、巻末には著者の略歴年譜と論文を含めた詳細な著作目録が巻末に配されています。凡例によれば、最初期にあたる1960年からこんにち(2013年)に至る半世紀以上の執筆活動の中から著者自身が選んだ32篇の論文、エッセイ、講演原稿を、4つの部門「国民国家論再論」「植民地主義の再発見」「多言語・多文化主義再論」「スタンダールと戦後文学」に分けてそれぞれ年代順に収録したものとのことです。情熱と静謐を兼ね備えた青白い焔のようなその姿に圧倒されます。
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by urag | 2013-05-26 23:32 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 24日

トークイベント:リピット水田堯×鵜飼哲対談「Uncovered: Atomic Light」

◎リピット水田堯×鵜飼哲対談「Uncovered: Atomic Light

日時:2013年6月7日(金)19:00~20:30
場所:紀伊國屋書店新宿本店 8Fイベントスペース
定員:50名(要予約:電話03-3354-5703および3階カウンターにて)
料金:無料

内容:リピット水田堯『原子の光(影の光学)』(月曜社、2013年6月)刊行記念トークイベント。かつてジャック・デリダのもとで哲学を学んだ二人が、リピットの主著である『原子の光(影の光学)』について縦横に語り合う。リピット水田堯は1964年生。現在、南カリフォルニア大学教授、城西国際大学客員教授。専門は映画論、比較文学、日本文化研究。『原子の光(影の光学)』が初めての訳書となる。鵜飼哲は1955年生。一橋大学教授。専門は仏文学・思想研究。近年の主著に『主権のかなたで』(岩波書店、2008年)などがある。

『原子の光(影の光学)』について:幻、X線、原爆、透明人間――映画作品や文学、そして哲学における「没視覚的なもの」を考察する、画期的な映像文化論。20世紀の放射性の光において見られうると同時に見られえないものの物質性についての地図を作成し、秘められた影のアーカイヴをめぐる思弁的読解と、内面性の視覚的構造の分析を提示する意欲作。月曜社より2013年6月4日発売。原書はAtomic Light (Shadow Optics), University of Minnesota Press, 2005である。
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by urag | 2013-05-24 10:56 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 23日

今月末まで:二宮隆洋さん追悼フェア@ジュンク堂京都店

「京都新聞」5月10日夕刊の「灯」欄に内田孝さんの署名で掲載された「ある編集者の死」で、二宮隆洋さん追悼フェア@ジュンク堂書店京都店が取り上げられました。「70年代後半から30年余りに刊行された重厚なハードカバーの数々が、書店の入り口で存在感を示す。〔・・・〕売行きは好調だという。通常はあまりない哲学書の発注に驚き、フェア会場を見学に訪れた出版社もあったとか。〔・・・〕かつて京都書院や丸善、駸々堂が個性を競い合った京都。おそらくは数々の書店が育てた異能の編集者の種が、次世代に引き継がれ再び芽を出すかもしれない」。

二宮さん追悼フェアはいよいよ今月いっぱい、5月31日(金)まで。税込6,000円以上をお買い上げのお客様に差し上げているノヴェルティのカラー冊子「親密なる秘義」は残りわずかとのことですので、どうぞお早めに。遠方のお客様も、税込6,000円以上のお買い上げで、本と一緒に冊子を着払い代金引き換えで宅配することができる(送料サービス、代引手数料300円)とのことで、すでに利用されているお客様もいらっしゃるようです。

◎二宮隆洋さん追悼フェア――彼の手掛けた本と蔵書たち

会期:2013年4月9日~5月31日
会場:ジュンク堂書店京都店 1F入口左手フェアコーナー

※カラー冊子「親密なる秘義」は税込6,000円以上お買い上げの方に差し上げます。備え付けの配布券をレジまでお持ち下さい。無くなり次第終了とさせていただきます。

内容:去年2012年4月15日に、享年60歳でお亡くなりになったフリー編集者二宮隆洋さんの追悼フェアです。二宮さんがこれまでに手掛けられた書籍(で現在まだ在庫があるもの)や、ご本人の蔵書にあった本などを集めて展開しています。二宮さんは平凡社で『西洋思想大事典』(叢書「ヒストリー・オヴ・アイデアズ」)や、「エラノス叢書」、「ヴァールブルク・コレクション」、『中世思想原典集成』などを手掛けた編集者であり、人文書業界で知らぬ者はいません。近年では中央公論新社の『哲学の歴史』の編集にも協力されました。最近、慶應義塾大学出版会より発売されたエヴァンズ『バロックの帝国』も、二宮さんの置き土産の一つで、今後も版元各社から「二宮本」が当分の間刊行され続けることでしょう。カラー冊子を作成された、二宮さんのご友人で編集者・詩人の中村鐡太郎さんから続刊予定の一端を伺ったことがありますが、ゾクゾクするようなラインナップでした。

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余談ですが、私が今まで関わったことのある「編集者追悼フェア」は二つありました。ひとつは、哲学書房の社主である中野幹隆(1943‐2007)さんの追悼フェア(「中野幹隆という未来――編集者が拓いた時代の切鋒」@ジュンク堂書店新宿店、池袋本店、京都BAL店、2007年)。もうひとつは今回の二宮隆洋(1951‐2012)さんの追悼フェア(「親密なる秘義――編集者二宮隆洋の仕事 1977-2012」@ブックファースト青葉台店、2012年;「二宮隆洋さん追悼フェア――彼の手掛けた本と蔵書たち」@ジュンク堂書店京都店、2013年)です。

中野さんと二宮さんは私がもっとも尊敬し、目標としている編集者です。その中野さんと二宮さんにも、尊敬する編集者はいらっしゃいました。かつて中野さんご本人から伺った時、中野さんは村上一郎(1920‐1975)さんのお名前を挙げられました。村上さんは周知の通り評論家であり作家でいらっしゃいましたが、「日本評論」誌や個人誌「無名鬼」の編集を手掛けられたほか、吉本隆明さんや谷川雁さんと雑誌「試行」の同人を10号までおつとめになりました。評論家としての代表作に『日本のロゴス』(南北社、1963年)、『北一輝論』(三一書房、1970年)などがあり、国文社から『村上一郎著作集』(全12巻、1977-1982年)が刊行されています。三島由紀夫さんが自害された5年後に自宅で自刃されました。

一方、二宮さんが目指しておられたのは、平凡社の先輩編集者でもある林達夫(1896‐1984)さんでした。より正確に言うと、林達夫さんが構想された「精神史」が扱う領域の未訳書をすべて出版するというのが、二宮さんの平凡社入社当時の目標だったと聞きます。これは先輩編集者で現在は東アジア出版人会議理事でいらっしゃる龍澤武(1946‐)さんが二宮さんの「偲ぶ会」で明かしておられたエピソードです。林達夫さんは『世界大百科事典』の編集責任者でいらっしゃいました。『哲学事典』にも執筆と編集に携わっておられます。その該博な知識と秀でた語学力で、学者をも凌ぐ知的活動を貫かれた方です。著書は『林達夫著作集』(全6巻、平凡社、1971-1972年;別巻「書簡集」1987年)や、『林達夫セレクション』 (全3巻、平凡社ライブラリー、2000年)などにまとめられています。

こうした偉大な先達の事績を思う時、あとを走る自分自身の小ささにあらためてただただ唖然とします。
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by urag | 2013-05-23 18:34 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 22日

hontoでも『原子の光』予約受付中です

アマゾン・ジャパンに続き、hontoでも『原子の光』の予約受付が開始になりました。なお、同書の刊行を記念するトークイベントについてもまもなく告知を開始いたします。

◎日本語で読めるリピット水田堯(アキラ・ミズタ・リピット)さんの論文と鼎談

◆論文

1)「長崎を写す――ファクトからアーティファクトへ」(25-29頁)、『Nagasaki Journey: The Photographs of Yosuke Yamahata August 10, 1945〔長崎ジャーニィー:山端庸介写真集〕』所収、Pomegranate、1995年5月、ISBN0-87654-360-3

2)「赤/白(黒)/青のTV――メディアにおける人種とジェンダーの撹乱」(369-384頁)三宅川泰子[訳]、『アメリカ研究とジェンダー』所収、渡辺和子[編]、世界思想社、1997年8月、ISBN4-7907-0660-5

3)「Violenceから「Biolence」へ――暴力、メディア、ヴィム・ヴェンダース:ヴィム・ヴェンダース《エンド・オブ・バイオレンス》」(90-91頁)、『InterCommunication No.25:テレプレゼンス――時間と空間を超えるテクノロジー』所収、NTT出版、1998年5月、ISSN09183841

4)「世界の中で――日本映画という外部」(40-49頁)篠儀直子[訳]、『インターコミュニケーション No.42:グローバリゼーションとメディア・カルチャー』所収、NTT出版、2002年10月、ISSN09183841

5)「外密性――クロノグラィーとハイパーリアリズム映画」(137-160頁)篠木涼+北野圭介[訳]、『ecce(エチェ) 映像と批評〈1〉特集:映像とアヴァンギャルディズム』所収、岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2009年7月、ISBN978-4-916087-97-3

6)「映画の三次元――複製、ミメーシス、消滅」(151-169頁)松谷容作[訳] 、『ecce(エチェ) 映像と批評〈2〉特集:目と映像』岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2010年3月、ISBN978-4-86405-008-1

7)「Therefore、デリダを視た動物」(36-52頁)大崎晴美[訳]、『JunCture(ジャンクチャー) 超域的日本文化研究〈02〉特集:情動/主体/文化』所収、名古屋大学日本近現代文化研究センター[編]、笠間書院、2011年2月、ISBN978-4-305-00292-1

8)「スペクトラル・ライフ――幽霊的生についての考察」(79-98頁)大橋完太郎[訳]、『思想 2011年4月号 no.1044:来るべき映画的思考のために』所収、岩波書店、2011年4月、ISSN0386-2755

9)「メランコリック・エコー――イ・ブルの体内化(インコーポレーションズ)」(89-94, 95-100頁)畠山宗明[訳]、『イ・ブル――私からあなたへ、私たちだけに』所収、森美術館[編]、平凡社、2012年2月、ISBN978-4-582-20667-8

10)「イメージナショナリズム――翻訳におけるイマジナリーな言語」(57-89頁)松谷容作[訳] 、『ecce(エチェ) 映像と批評〈3〉映像と言語の世界』岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2012年5月、ISBN978-4-86405-035-7

◆インタヴュー、共同討議、座談会

1) インタヴュー「その眼が赤を射止めるとき――トリン・T・ミンハに聞く(1)」(130-137頁)とちぎあきら訳、『InterCommunication No.28:We are the ROBOTS』所収、NTT出版、1999年5月、ISSN09183841

2) インタヴュー「その眼が赤を射止めるとき――トリン・T・ミンハに聞く(2)」(146-153頁)とちぎあきら訳、『InterCommunication No.29:ダンスフロンティア――身体のテクノロジー』所収、NTT出版、1999年5月、ISSN09183841

3) 共同討議「閉塞する人文科学を超えて――いま、芸術を問う」(34-68頁)岡崎乾二郎+中沢新一+リピット水田堯+ファブリアーノ・ファッブリ、田中純[司会]、『表象〈01〉特集:人文知の現在と未来――越境するヒューマニティーズ』所収、表象文化論学会[発行]、月曜社[発売]、2007年4月、ISBN978-4-901477-61-1

4) 共同討議「ポストヒューマニズムの余白に――リダンダンシー、ハビトゥス、偶発性」(53-79頁)北野圭介+坂元伝+佐藤良明+リピット水田堯+山内志朗、『表象〈02〉特集:ポストヒューマン』所収、表象文化論学会[発行]、月曜社[発売]、2008年4月、ISBN978-4-901477-62-8

5) 共同討議「膨張する映像、その可能性」(7-42頁)井土紀州+七里圭+岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯、『ecce(エチェ) 映像と批評〈1〉特集:映像とアヴァンギャルディズム』所収、岩本憲児+北野圭介+リピット水田堯[編集]、森話社、2009年7月、ISBN978-4-916087-97-3

6)座談会「映画をめぐる新しい思考のために」(6-38頁)宇野邦一×リピット水田堯×北野圭介、『思想 2011年4月号 no.1044:来るべき映画的思考のために』所収、岩波書店)、2011年4月、ISSN0386-2755
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by urag | 2013-05-22 16:32 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 21日

「オルタナティヴ棚」@紀伊國屋書店グランフロント大阪店

先月4月26日「グランフロント大阪」南館6階に開店、まもなくオープン1か月を迎え売上好調と聞く、紀伊國屋書店グランフロント大阪店さんの哲学思想棚をご紹介します。同店は1060坪で、1000坪以上の大型店としては、同rチェーンで札幌本店、新宿本店、新宿南店、梅田本店、福岡本店に続く6店目。店内には伊東屋とスターバックスが併設されています。人文書はあえて1箇所に集約せず、哲学思想棚は、文芸書や芸術書に隣接した場所に設置されています。中でも、新設された「オルタナティヴ」棚(下記写真:C20-07)は、その名の通り、オルタナティヴな政治経済思想をまとめた棚で、いわば「もうひとつの可能な世界」像を先取りし提示するものです。フェアではなく常設棚としてプレートを掲げて展開するのは全国で初めての試みかもしれません。企画者は本部MDのY課長代理。私も少しばかりお手伝いをさせていただきました。以下はYさんからいただいた棚の写真です。哲学思想系の文庫をまとめたり(下記写真:C20-02)、平積み以外の新刊を一望できる棚を作ったり(下記写真:C20-01)、70年代生まれ以降の日本人の若手をまとめる(下記写真:C19-05)など、限られた棚数の中での工夫が眼を惹きます。写真の掲載を快く承知していただいた店長のHさんにも御礼を申し上げます。

◆オルタナティヴ(C20-7)
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◆現代思想(C20-06, C20-05)
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◆哲学(C20-04, C20-03)
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◆文庫+哲学入門(C20-02)
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◆新刊+雑誌(C20-01)
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◆現代思想・日本(C19-07, C19-06, C19-05)
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なお、これらの写真は開店当時のもののため、商品がすでに入れ替わっていることと思われます。ぜひお店へお越しになり、直接ご確認いただけたら幸いです。同店の今週のトークイベントおよびサイン会の予定はこちらをご覧ください。また、twitterのアカウントは、紀伊國屋書店グランフロント大阪店@Kino_GFOsakaです。
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by urag | 2013-05-21 16:37 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 19日

注目新刊:只今来日中のラトゥーシュ『〈脱成長〉は、世界を変えられるか?』作品社、ほか

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〈脱成長〉は、世界を変えられるか?――贈与・幸福・自律の新たな社会へ
セルジュ・ラトゥーシュ(1940-)著 中野佳裕訳
作品社 2013年5月 本体2,400円 46判上製332頁 ISBN978-4-86182-438-8

帯文より:グローバル経済に抗し、“真の豊かさ”を求める社会が今、世界に広がっている。〈脱成長〉の提唱者ラトゥーシュによる“経済成長なき社会発展”の方法と実践。

★まもなく発売。現在11刷に達するというロングセラーの『経済成長なき社会発展は可能か?――〈脱成長〉と〈ポスト開発〉の経済学』(中野佳裕訳、作品社、2010年7月)に続く、単独著の翻訳第二弾。原著は、Pour Sortir de la société de consommation (Les Liens qui libèrent, 2010) 。日本語版では新たに序文「日本の経済成長なき繁栄の道とは?――失われた「知恵」の再発見」や、付録「〈脱成長〉の美学」が加えられているほか、訳者により長篇解説「〈脱成長の倫理学〉への道案内」を併録しています。付録「〈脱成長〉の美学」では、フランスの学術誌「エントロピア Entropia」で発表された二つの論文「出版の危機および/もしくは文明の危機」(2010年春季第8号)と「ウィリアム・モリス、あるいは具現化されたユートピア」(2011年春季第10号)が訳出されています。

★著者は現在来日中です。すでに同志社大での講演「脱成長の挑戦――なぜ消費社会は北側諸国だけでなく、南側諸国でも持続不可能なのか?」(5月17日、同志社大学今出川キャンパス寒梅館211教室)と、アスクネイチャー・ジャパン主催の滋賀でのシンポジウム「足るを知る日本の成長」(ラトゥーシュ講演は「脱成長とは何か?」、5月18日、滋賀県大津市・コラボしが21大会議室)を終え、今週は以下の通り火曜、金曜、土曜と東京で講演会があります。実に精力的ですね! 訳者の中野さんのブログにまとめ情報があります。

◎講演「なぜ日本でもアフリカでも消費社会の未来はないか?」2013年5月21日(火)16:45-18:15、明治学院大学戸塚校舎 9号館3F 930教室。
◎講演「消費社会からの脱出」2013年5月24日(金)18:30-20:30、日仏会館1階ホール
◎講演「〈脱成長〉は世界を変えられるか?」2013年5月25日(土)15:00-18:00、麗澤大学東京研究センター

★なお、訳書第一弾『経済成長なき社会発展は可能か?』が刊行された2010年の折にもラトゥーシュさんは来日しています。東京と京都の大学での講演論文「フクシマ原発災害で日本が変わる!?」と「〈脱成長〉の道」は、中野さんの論文「〈脱成長〉の正義論」や、アラン・カイエの2論文などと併せてアンソロジー『脱成長の道――分かち合いの社会を創る』(勝俣誠+マルク・アンベール編著、コモンズ、2011年5月)に収録されています。必読ですね。


ゲリラと森を行く
アルンダティ・ロイ(1961-)著 粟飯原文子訳
以文社 2013年5月 本体2,800円 四六判上製244頁 ISBN978-4-7531-0313-3

帯文より:グローバル資本の最大の犠牲者=抵抗者。経済発展を謳歌するインドで、掃討すべき「脅威」と名指される「毛派」とはどんな人々なのか。インドの世界的女性作家が、生きのびるために銃をとった子どもたち、女性たちと寝食、行軍をともにし、かれらが守り守られる森のなかに、グローバル資本から逃れ出る未来を構想する。

★まもなく発売。原書は、Walking with the Comrades (Penguin, 2011)です。インド共産党毛沢東主義派を取材したもので、「敬礼を受ける大統領」という序文に始まり、「チダンバラム氏の戦争」「同志たちと歩く」「トリクルダウンの革命」という3つのエッセイと多数の写真を収録しています。「訳者あとがき」によれば本書は、国家とテロリスト集団(と見なされた毛派)との間の戦争を「多国籍企業と結託した国家権力」対「持たざる者たちの戦争」、「ひいては対民主主義の戦争」として捉えたもので、「毛派を特異な「暴力主義」の理解に押しこんで一蹴することを拒絶し、非常に慎重に、留保をつけながらではあるものの、過去現在の抵抗運動のスペクトルの一部としてとらえ」(229頁)たものだと解説されています。

★訳者の粟飯原文子(あいはら・あやこ)さんは現在、神奈川大学外国語学部非常勤講師で、アフリカ文学・文化研究がご専門です。先月、ヴィジャイ・プラシャドの訳書『褐色の世界史――第三世界とはなにか』(水声社、2013年)を上梓されたばかり。ロイとプラシャドの本の刊行を記念して、以下のイベントが来月行われます。

◎21世紀に第3世界を考える――新しい世界史と日本のためのパースペクティヴ

日時:2013年6月16日(日)午前10時30分~
場所:ジュンク堂書店池袋本店 4F 喫茶コーナー
講師:池上善彦(元『現代思想』編集長)×粟飯原文子(アフリカ文学・文化史)
料金:1000円、ワンドリンク付

★なお参考までに、ロイさんが2011年11月17日にワシントンスクエア公園の人民大学(People's University)で発表した「私たちはみな占拠者だ(We are all Occupiers)」というスピーチの動画(日本語字幕付)を貼っておきます。



身近な薬用植物――あの薬はこの植物から採れる
指田豊・木原浩著
平凡社 2013年5月 本体2,400円 A5判並製304頁 ISBN978-4-582-51330-1

帯文より:あなたの近くにもある、体をいやす美しい植物。ビジュアルとエッセイで、楽しみながら知る重要な薬用植物60種。「その他の薬用植物60種」のデータも収録。

★まもなく発売。季節ごとに薬用植物60種を、それぞれ2頁に渡る美しいカラー写真と1頁2段組の簡潔な解説、そして由来する生薬の概要情報を付して1冊にまとめたものです。一部は雑誌「メディカル朝日」の連載に加筆したものとのことです。巻末には追加分として60種のデータ(写真はなし)と、「薬用植物の歴史と今」という丁寧な論考が併録されています。植物好きの読者にお薦めできるだけでなく、民俗学や歴史研究、文学研究上の必要知識を提供してくれる実用的データブックとしても役立つと思います。

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ミラーさんとピンチョンさん
レオポルト・マウラー(1969-)著 波戸岡景太訳
水声社 2013年4月 本体1,500円 A5判並製184頁 ISBN978-4-89176-964-2

帯文より:「ピンチョン、おれたちは道に迷ったのか?」 世界の崖っぷちをあざやかに描くオフビートなグラフィック・ノベル、ついに初来日!

版元紹介文より:軽妙な描線に導かれる 乾いた笑い そして憂鬱……。野暮ったい測量器具を片手に荒野をゆく2人の中年男、その名もミラーとピンチョン。くしくも現代アメリカを代表する作家と同じ姓をもつ、彼らのゆく手に待ち受けるのは、女、ワニ、奇蹟、金星、そしてオオカミ少年……? ウィーン発、新世紀型エンターテインメント!

★発売済。原書は、Miller & Pynchon (Luftschacht Verlag, 2009)です。土木技師ミラーと天文学者ピンチョンの測量旅行と、最後の旅である金星の太陽面通過の観測を描いたコミックです。訳者は水声社さんから『ピンチョンの動物園』(2011年)、『コンテンツ批評に未来はあるか』(2011年)、『動物とは「誰」か?』(2012年などを上梓されている米文学研究者の波戸岡景太(はとおか・けいた:1977-)さん。内容を一言で言うと「(男にとっては)切ない」、です。ネタバレはやめておきますが、ミラーと息子の関係や、ピンチョンと亡き母親および亡き妻との関係が、何とも言えない哀愁を帯びています。

★私の周囲では女性読者の関心が高いです。水声社さんのブログでも、女優の小橋めぐみさんがブログで取り上げていらっしゃることを伝えています。小橋さん曰く「朝から、くすくす笑いながら、読み終えました。かなり、シュールです」。確かに笑いの要素があるのですが、心が疲れている男性にはどれもこれも沁みるもので、しまいには泣けてくるかもしれません。本書は「男心」を描いたなかなか卓抜な本だと思います。

★本書の担当編集者Sさんはシリーズ「ロックの名盤!」も手掛けられており、今月はスティーヴ・マッテオ『レット・イット・ビー――ザ・ビートルズ』(石崎一樹訳)が出ています。アルバムの来歴を紙上再現するこのシリーズの面白さはすでに既刊書でも実証済みですが、「訳者あとがき」によれば今回の本は「原書自体は二〇〇四年に刊行されたものだが、本書で初めて明らかになった事実も多いせいか、本国ではすでに四版を重ねている」とのことです。シリーズの次回配本は6月末、ビル・ヤノヴィッツ『メインストリートのならず者――ローリング・ストーンズ』とのことです。また、水声社さんのプレスリリース29号によれば、6月上旬に、A・カリオラート+J-L・ナンシー『神の身振り』を発売予定とのことです。

★さて水声社さんの今月新刊に戻りますと、ちょうど一年前に中村真一郎の会編『中村真一郎手帖7』と、『中村真一郎 青春日記』が同時発売されたのに続いて、今月『手帖8』が刊行されています。前号『手帖7』の目次詳細は書目のリンク先をご覧下さい。版元紹介文によれば前号は、「人間中村真一郎をめぐる唯一の個人研究誌、第7号。今号は同時刊行される『中村真一郎 青春日記』を特集。若き日の中村真一郎が綴り続けた「日記」を、気鋭の研究者たちが読解する。中村真一郎に親炙した友人・知人による寄稿も併録」とのことでした。一年後に刊行された同8号では、巻頭に清水徹さんによる追悼文「丸谷才一さんを偲んで」がおかれ、続けて「『中村真一郎 青春日記』と旧制高校」と題したパネル・ディスカッションが収録されています。パネラーは依岡隆治さん、竹内洋さん、鈴木貞美さんで、司会は石川肇さんです。中村真一郎さんの旧制高校時代の膨大な日記の完全翻刻版である『中村真一郎 青春日記』の刊行記念として行われた鼎談で、非常に興味深いです。

★さらに水声社さんでは、今年初めに第12回配本(『リモンの子供たち』)をもってめでたく完結となった『レーモン・クノー・コレクション』の全巻予約特典である非売品『100兆の詩篇』(塩塚秀一郎・久保昭博訳、限定300部、2013年3月)がゴールデン・ウィーク前から配布開始となっています。無料とは思えない瀟洒な作りで(写真右端が現物です)、本好きにはたまらないお宝かと思います。100兆通りを楽しむためには行ごとにハサミを入れてバラバラにしなければならないのですが、私自身は怖くてまだ切っていません。
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by urag | 2013-05-19 22:55 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 16日

アマゾン・ジャパンで予約開始になりました

アマゾン・ジャパンでリピット水田堯『原子の光(影の光学)』の予約受付が開始になりました。書影はまだ装丁が決定していないのでアップしていませんが、制作途中のものを以下に掲出します。

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by urag | 2013-05-16 17:46 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 15日

ご静聴ありがとうございました

今日は東京外国語大学のリレー講義「日本の出版文化」で、「知の編集――現代の思想空間をめぐって」というお題を頂戴し、学生の皆さんにお話をさせていただきました。現代の知の領野を「天使的領域」と「諜報的領域」に分け、前者における「公的共有」(開放圏)の文化と、後者における「私的所有」(防衛圏)の諸問題についてざっくりと印象を述べさせていただきました。ご静聴まことにありがとうございました。出版社への就職に興味があると仰る方々に出会えて率直に嬉しかったです。

◆今回のテーマの図式化

現代世界>社会>知(intelligence)>思想
  |    |   |
  神    公   |― 知性/精神・・・天使的領域(における編集→知的創造/闘争)
  / 境界 /   |
  人    私   |― 情報/物質・・・諜報的領域(における編集→情報操作/戦争)

※ここで言う神とは「神の領域」という場合で表現されるような「人知を超えるもの一般」の総称。

+++

◎「日本の出版文化」参加履歴
2010年7月7日「出版社のつくりかた――月曜社の10年」
2011年6月15日「人文書出版における編集の役割(編集=革命の諸レヴェル)」
2012年6月6日「人文書出版における編集の役割(汎編集論)」
2013年5月15日「知の編集――現代の思想空間をめぐって」
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by urag | 2013-05-15 18:23 | ご挨拶 | Trackback | Comments(0)
2013年 05月 15日

『絶望論』『表象07』の書評が「Book News」に

「Book News」に『表象07』の書評「アニメ論の最先端を切り開く『表象07 アニメーションのマルチユニヴァース』」(2013年4月24日)と、『絶望論』の書評「革命の不可能性から逃げるために。」(2013年5月13日付)が掲載されました。いずれも特集内容と本の概要を的確にご紹介いただいております。また、5月8日付記事「Book Newsで売れている本の紹介」では『表象07』が第1位に輝いており、たいへん嬉しいです。ナガタさん、ありがとうございます!
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by urag | 2013-05-15 17:53 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)