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2013年 01月 27日

注目の新刊と近刊:デュピュイ『経済の未来』以文社、ほか

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経済の未来――世界をその幻惑から解くために
ジャン=ピエール・デュピュイ著 森元庸介訳
以文社 2013年1月 本体3,000円 四六判上製280頁 ISBN978-4-7531-0309-6

帯文より:今日の金融危機に象徴される資本主義の全般的危機の真相が、〈市場〉万能主義という神話に基づいたパラドキシカルな帰結であることを論証し、かつ現代のグローバル化社会では、市場経済が政治の位置を簒奪していることに警鐘を鳴らす、本格的な現代文明批評。

版元紹介文より:2000年代以降、「破局主義」の概念をめぐる諸著作(『ツナミの小形而上学』、『チェルノブイリ』他)によって注目を集めた、ジャン=ピエール・デュピュイの金融危機=経済を中心にした最新作。本書は、2008年以来の金融危機を対象として、それが、市場万能主義という神話に基づいたパラドキシカルなメカニズムであり、その結果、現代のグローバル化世界では政治(社会保障、外交などあらゆる政策)が経済の関数に成り下がっていることに警鐘を鳴らす。

原書:L'avenir de l'économie: Sortir de l'économystification, Flammarion, 2012.

目次:
序 政治を手玉に取る経済
第一章 経済と悪という問題
第二章 自己超越
第三章 終わりの経済学と経済の終わり
第四章 経済理性批判
結び 運命論を脱けて
補遺 時間、パラドクス
訳者あとがき

★発売済。昨年2月に刊行された話題書が1年足らずで翻訳されました。「この本は、政治が経済に、また権力が経理になぶりものとされるのを目の当たりにしての恥辱から、やむにやまれず書いたものである」(3頁)。これが本書の書き出しです。かつて宗教が政治の上に立っていたように、今は経済が政治を「みずからの卑屈な手先」(8頁)としており、結果、「わたしたちの社会は動きが取れなくなっている」(9頁)とデュピュイは指摘します。「脱け出すべきは資本主義というよりむしろ経済が政治を幻惑している現下の状況であり、そこから抜け出した先で新しい経済理性そのものを創り出すべきなのだ」(9-10頁)。「わたしたちが現に知っている経済にはおそらく未来がない」(11頁)ものの、「あたかも破局の到来がわたしたちの運命であるかのように、しかしわたしたちにそれを拒む自由のある運命であるかのように考えること」(239頁)、これがデュピュイの言う「賢明な破局主義」です。「資本主義の延命は今日、グローバリゼーションの成否と分かちがたく結びついている。〔…〕グローバリゼーションの失敗は反グローバリゼーションの勝利ではない。それは必ずや何かしらの大きな破局、付随的(コラテラル)ダメージとして資本主義の終わりをともなう破局であるはずだ」(166頁)。人間の経済活動がもつ根本的な問題点を抉りつつ、破局ではない別の運命を選ぼうとする本書は、まさにビジネスマンや政治家にとって必読の痛烈な皮肉で読者の日常的まどろみを覚ましてくれます。

★デュピュイはかつてイヴァン・イリイチと共同研究を行った実績もあり、人間の幸福ために生み出されたはずのものがかえって人間に牙をむくというパラドックスと長年向き合ってきました。3.11以後に日本語訳された『ありえないことが現実になるとき』『ツナミの小形而上学』『チェルノブイリ』はそれぞれ原書が2004年、2005年、2006年に出版されたもので、デュピュイはまさに「政治の予言的次元を回復すること」(240頁)を実践したがゆえに、大災害の前にそれらの著書を上梓しえたのでした。デュピュイは今や日本でもっとも注目されているフランスの思想家の一人ですから、ますます訳書も今後増えるだろうと思われます。なお、以文社さんではデュピュイの『聖なるものの徴』(2009年;増補版2010年)の訳書を刊行する予定であることが「訳者あとがき」で明かされています。

◎ジャン=ピエール・デュピュイ(Jean-Pierre Dupuy, 1941-)単独著既訳書
1987年02月『秩序と無秩序――新しいパラダイムの探求』古田幸男訳、法政大学出版局
2003年10月『犠牲と羨望――自由主義社会における正義の問題』米山親能+泉谷安規訳、法政大学出版局
2011年07月『ツナミの小形而上学』嶋崎正樹訳、岩波書店
2012年03月『チェルノブイリ ある科学哲学者の怒り――現代の「悪」とカタストロフィー』永倉千夏子訳、明石書店
2012年05月『ありえないことが現実になるとき――賢明な破局論にむけて』桑田光平+本田貴久訳、筑摩書房
2013年01月『経済の未来――世界をその幻惑から解くために』森元庸介訳、以文社

★なお、訳者の森元庸介さんは今後、ディディ=ユベルマン『ニンファ・モデルナ』(平凡社)や、レーベンシュテイン『猫の音楽』(勁草書房)などの訳書を上梓されるそうで、大注目です。また、以文社さんでは来月(2013年2月)22日発売予定で以下の新刊を刊行されます。

他処からやって来た声――デ・フォレ、シャール、ツェラン、フーコー
モーリス・ブランショ著 守中高明訳
以文社 2013年2月 本体2,800円 四六判上製216頁 ISBN978-4-7531-0310-2

目次:
アナクルシス――ルイ= ルネ・デ・フォレの詩について
ラスコーの獣――ルネ・シャール 
最後に語る人――パウル・ツェラン 
ミシェル・フーコー――わが想像のうちの

★これはUne Voix venue d'ailleurs, Gallimard, 2002の翻訳かと思います。収録された4つのテクストはかつてそれぞれ別々に訳されていたものですが、今回すべて新訳されることになるわけです。

★さて、以下では1月から3月までの注目新刊を列記します。

◆2013年1月
発売済『ガリレオの生涯』ブレヒト著、谷川道子訳、光文社古典新訳文庫、1,100円
発売済『アナキストサッカーマニュアル――スタジアムに歓声を、革命にサッカーを』ガブリエル・クーン著、甘糟智子訳、現代企画室、2,200円
発売済『神の文化史事典』松村一男+平藤喜久子+山田仁史編、白水社、3,990円
発売済『ジャン=リュック・ナンシー――分有のためのエチュード』澤田直著、白水社、2,940円
発売済『希望の原理 3』エルンスト・ブロッホ著、山下肇ほか訳、白水iクラシックス、4,410円
01月31日『根源悪の系譜――カントからアーレントまで』リチャード・J・バーンスタイン著、阿部ふく子ほか訳、法政大学出版局、4,500円

★『ガリレオの生涯』は『母アンナの子連れ従軍記』(2009年)に続く、谷川道子訳ブレヒトです。『アナキストサッカーマニュアル』は、マティルド・セレル『コンバ――オルタナティヴ・ライフスタイル・マニュアル』と併せてチェックしたい楽しい本。『神の文化史事典』は900項目もの神様事典。『ジャン=リュック・ナンシー』はシリーズ「哲学の現代を読む」の第10弾。『希望の原理 3』は第四部「よりよい世界の見取図」の前半を収録。『根源悪の系譜』のバーンスタインは単独著の翻訳が『科学・解釈学・実践――客観主義と相対主義を超えて』(全2巻、丸山高司ほか訳、岩波書店、1990年)、『手すりなき思考――現代思想の倫理-政治的地平』(谷徹+谷優訳、産業図書、1997年)とまだ少なく、今回の新刊も約16年ぶり。

◆2013年2月
02月06日『クォンタム・ファミリーズ』東浩紀著、河出文庫、798円
02月06日『澁澤龍彦訳 幻想怪奇短篇集』河出文庫、998円
02月06日『原典訳 ウパニシャッド』岩本裕編訳、ちくま学芸文庫、1470円
02月06日『反・仏教学――仏教vs.倫理』末木文美士著、ちくま学芸文庫、1155円
02月06日『美術で読み解く聖人伝説』秦剛平著、ちくま学芸文庫、1575円
02月07日『生権力の思想――事件から読み解くその転換』大澤真幸著、ちくま新書、840円
02月08日『ケルト神話ファンタジー――炎の戦士クーフリン/黄金の騎士フィン・マックール』R・サトクリフ著、灰島かりほか訳、ちくま文庫、924円(全2巻予定)
02月08日『現代語訳 文明論之概略』福澤諭吉著、齋藤孝訳、ちくま文庫、903円
02月08日『ルーマニアの変容』シオラン著、金井裕訳、法政大学出版局、3,800円
02月10日『ルネサンスの聖史劇』杉山博昭著、中央公論新社、4,410円
02月12日『悪魔の話』池内紀著、講談社学術文庫、882円
02月13日『口語訳 遠野物語』柳田國男著、後藤総一郎監修、佐藤誠輔訳、河出書房新社、1,890円
02月13日『超人の倫理――〈哲学すること〉入門』江川隆男著、河出ブックス、1,575円
02月13日『東大の大罪』和田秀樹著、朝日新書、798円
02月15日『おどろきの中国』橋爪大三郎+大澤真幸+宮台真司著、講談社現代新書、未定
02月15日『「知」の挑戦――本と新聞の大学』全2巻、姜尚中+一色清+依光隆明+杉田敦+加藤千洋+池内了著、集英社新書、777円/798円
02月15日『ウンベルト・エーコ 小説の森散策』ウンベルト・エーコ著、和田忠彦訳、岩波文庫、882円
02月20日『散種』ジャック・デリダ著、藤本一勇+立花史+郷原佳以訳、法政大学出版局、5,800円
02月22日『水の迷宮――クラッシャージョウ11』高千穂遙著、ハヤカワ文庫、798円
02月22日『バウンダリー叢書版 内なる異性――アニムスとアニマ』エンマ・ユング著、海鳴社、1,200円
02月25日『ラインズ――線の文化史』ティム・インゴルド(1948-)著、左右社、2,800円
02月25日『昨日までの世界』上下巻、ジャレド・ダイアモンド著、日本経済新聞出版社、各2,100円
02月25日『集合知とは何か――ネット時代の「知」のゆくえ』西垣通著、中公新書、987円
02月25日『科学史人物事典――150のエピソードが語る天才たち』小山慶太著、中公新書、987円
02月25日『聖書考古学――遺跡が語る史実』長谷川修一著、中公新書、840円
02月25日『お伊勢参り――江戸庶民の旅と信心』鎌田道隆著、中公新書、840円
02月27日『中身化する社会(仮)』菅付雅信著、星海社新書、861円
02月27日『フッサール心理学宣言――他者の自明性がひび割れる時代に』渡辺恒夫著、講談社、1,890円
02月中旬『国民アイデンティティの創造――十八~十九世紀のヨーロッパ』アンヌ=マリ・ティエス著、斎藤かぐみ訳、工藤庸子監修、勁草書房、4,200円
02月下旬『リアリズムの法解釈理論――ミシェル・トロペール論文撰』南野森編訳、勁草書房、4,200円
02月中旬『レニングラード封鎖――飢餓と非情の都市1941-44』マイケル・ジョーンズ著、松本幸重訳、白水社、3,990円
02月下旬『ビザンツ帝国の最期』ジョナサン・ハリス著、井上浩一訳、白水社、3,990円
02月不詳『エセー 5』ミシェル・ド・モンテーニュ著、宮下志朗訳、白水社、2,520円
02月不詳『創造的進化――新訳ベルクソン全集4』アンリ・ベルクソン著、竹内信夫訳、4,200円
02月不詳『希望の原理 4』エルンスト・ブロッホ著、山下肇ほか訳、白水iクラシックス、4,200円
発売延期?『不測のいまをいき抜くために――終わりなき液状化世界からの44通の手紙』ジグムント・バウマン著、ちくま学芸文庫、1050円

★2月新刊でもっとも楽しみなのはデリダ『散種』。数十年もの昔からウニベルシタスで予告が出ていましたが、訳者も世代交代して、ついに完成を見ることになります。弊社の『ブランショ政治論集』の共訳者、郷原佳以さんが訳者の一人として参加されています。訳者を代表される御立場と拝察する藤本一勇さんは3月に単著(下記参照)を刊行されます。バウマンの文庫は、取次の近刊情報(e-hon)には出ていましたが、版元サイトからは漏れているので、発売が3月以降になったものと推測しています。

◆2013年3月
03月01日『魔法使いハウルと火の悪魔――ハウルの動く城1』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ著、西村醇子訳、徳間文庫、690円
03月08日『情報のマテリアリズム』藤本一勇著、NTT出版、2,730円
03月09日『マス・イメージ論』吉本隆明著、講談社文芸文庫、未定
03月12日『カント「視霊者の夢」』金森誠也編訳、講談社学術文庫、未定
03月26日『僕らは「労働」について何も知らずに死ぬほど働いている(仮) 』今野晴貴著、星海社新書、未定
03月中旬『ラカン』ポール=ローラン・アスン著、西尾彰泰訳、文庫クセジュ、1,260円
03月中旬『希望の原理 5』エルンスト・ブロッホ著、山下肇ほか訳、白水iクラシックス、4,515円
03月下旬『コント・コレクション ソシオロジーの起源へ』オーギュスト・コント著、杉本隆司訳、白水iクラシックス、2,100円

★3月新刊で楽しみなのは白水iクラシックスでスタートする「コント・コレクション」です。コントの訳書はほとんどが戦前のもので、新訳は『世界の名著(36)コント/スペンサー』(中央公論社、1970年)を最後に途絶したはずです。半世紀近い快挙となるのがこの「コント・コレクション」なわけで、これは本当にすごいことです。
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by urag | 2013-01-27 21:32 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 23日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2013年3月15日(金)オープン
ブックファースト・ボーノ相模大野店:図書338坪
神奈川県相模原市南区相模大野3-2-1 bono相模大野 4F
トーハン帳合。弊社へのご発注は人文書および芸術書の主力商品。小田急線相模大野駅の駅前デッキ直結の大型ショッピングセンター「bono(ボーノ)相模大野」の4Fに入店。周知の通りブックファーストは昨年(2012年)12月21日にトーハンの子会社となりました(「新文化」2012年12月21日記事「トーハン、ブックファーストを子会社化」)。4月に阪急リテールズから独立して、まだ一年も経っていませんでした。ブックファーストより2年遅れてオープンしたCD/DVD小売店のサウンドファースト(1998-2011)はすでに一昨年夏に撤退。その後の独立だっただけに、困難な船出であることが予想できましたが、ここにきてトーハン=日販の帳合戦争の大きな布石としてトーハンの子会社となったことは、業界人にとって大きなニュースでした。ブックファーストは大阪屋のほかに日販ともトーハンとも取引があります。帳合がトーハンに一本化されると売上に響くのは何と言っても大阪屋です。ジュンク堂とブックファーストが売上の両輪であったはずだからです。弊社のような専門書系版元にとってJ(及びCHIグループ)とBの新刊受注比率は平均して7~8:3~2の幅がありました。これは場合によっては弊社にとっても最大で3割減となる可能性があるということで、業界の2トップである日販とトーハンと、第3位の大阪屋の差がさらに開くことになります。騒いでも仕方ありませんけれども、今までの均衡(と言ってもアンバランスなバランスですが)はいよいよ崩れた、と言うべき次元に突入したのかもしれません。かつて10年前にはリブロが日販傘下になりました。チェーン書店をこれ以上、取次が抱えることは可能なのでしょうか。


2013年3月21日(木)オープン
マルノウチリーディングスタイル:150坪(書籍40坪)
東京都千代田区丸の内2-7-2 KITTE 4F
大阪屋帳合。弊社へのご発注は芸術書主力商品。東京駅丸の内南口前のJPタワー低層棟にオープンする「KITTE」の4Fに入店。「KITTE」は日本郵便が初めてつくる商業施設。4Fは「古(いにしえ)と新しい感性の融合」をテーマに雑貨や書籍を扱う11店舗で構成。日本郵便のプレスリリースによれば、マルノウチリーディングスタイルは東京初出店となるブックカフェで、本・文具・雑貨・カフェの複合店と紹介されています。同フロアには書斎をテーマにしたステーショナリーショップ「アンジェ・ビュロー」も入店。弊社ではかつて「アンジェ・ビュロー・エキュート上野店」(日販帳合)の開店時に出品した実績がありますけれども、今回は特にご発注は届いていないようです。「リーディングスタイル」というと、hon.jpの旧社名を想い出しますが、まったく別会社で、こちらは大阪屋さんの子会社「リーディングスタイル」とのこと。この子会社さんの全国初出店が丸の内に、ということだそうです。大阪屋さんもなかなか粋な挑戦をされますね。ちなみにtwitterでは関係者のダンチ部長@d0nd0nd0nd0nd0nさんが大阪からの単身赴任と明かしておられます。御参考までに大阪にあるブックカフェ情報のまとめはこちら


2013年4月26日(金)オープン
紀伊國屋書店グランフロント大阪店:図書940坪
大阪府大阪市北区大深町 グランフロント大阪 南館6F
既存店の梅田本店と同様にトーハン帳合。弊社へのご発注は現時点では人文書全点および文芸書少々。JR大阪駅直結(北側)の商業施設「グランフロント大阪」の南館6Fに入店。同階はショップおよびレストランのフロア。書籍、雑誌のほか洋書の扱いもあるようです。これら図書とCD・DVDの売場を併せて940.7坪。文具売場が76.2坪、カフェが43.5坪。トータルで1060坪強の売場面積になります。営業時間は10時から21時までで年中無休とのことです。仄聞するところでは従来の分野縦割りの売場構成とは少し異なるコンセプトをお持ちのようです。グランフロント大阪のショップ紹介でも「ジャンルミックスをキーワードに贅沢な知識の場を提供。老舗文房具店やカフェとのコラボレーションにも注目」と記載されています。

+++

一方、閉店情報です。もはや誰もが知っている通り、ジュンク堂京都BAL店が、入居するビルの建て替えにより、今月いっぱいで閉店します。京都のみならず関西圏でNo.1の販売力を持っていた店舗だけに出版人はすべからくショックを受けました。しかしなんと、2月20日に京都朝日会館(河原町三条上る)3F4Fへ移転営業することになったとの告知が出ました。売場は約250坪まで縮小されますが、理工・人文・看護・社会科学書など専門書を中心の店舗として存続するようです。かつて新宿店が撤退する際にも移転存続を求める声は大きかったのですけれども、継続はかないませんでした。今回はどんな幸運があったのか、珍しいケースだとの声が業界から上がっています。

また、入居する「大宮ロフト」が2013年中に老朽化により閉店することになっている(「東京新聞」2013年1月13日付「大宮ロフトが閉店へ 建物老朽化などで今年中」)、ジュンク堂書店大宮ロフト店に移転存続があるのか、気になるところです。
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by urag | 2013-01-23 18:37 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 21日

取次搬入日確定&書影公開:『間章著作集I』

『間章著作集I 時代の未明から来たるべきものへ』の取次搬入日が決まりましたのでご報告します。大阪屋と栗田が今週木曜日24日、日販と太洋社が金曜日25日、トーハンが来週月曜日28日になります。早いお店では今週末から、その他の書店さんは来週中盤以降から店頭に並び始めるものと思います。

書影も公開させていただきます。デザインは佐々木暁さんによるもの。照明のせいで白っぽく見えますが、実際はマットな黒いカバーです。高柳昌行『汎音楽論集』(弊社2006年刊)を思い出していただけるといいかと思います。ただし今回はインクがオペーク(白)ではなくて、発色の綺麗な銀です。また、三方をスミで塗っていて、黒いカタマリに見えます。

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by urag | 2013-01-21 17:16 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 20日

注目新刊と近刊:イルミナティ創始者の原典抄訳!

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秘密結社イルミナティ入会講座〈初級篇〉
アダム・ヴァイスハウプト(Adam Weishaupt, 1748-1830)著 副島隆彦解説 芳賀和敏訳
KKベストセラーズ 2013年1月 本体1,500円 四六並製218頁 ISBN978-4-584-13468-9

帯文より:理性を神と崇め、ローマ・カトリックの教権を否定し、人類社会の改良を目指した偉大なる秘密結社の創設者A・ヴァイスハウプトの語られざる原典、ついに本邦初訳!

原書:Das verbesserte System der Illuminaten mit allen seinen Graden und Einrichtungen, 1787.

目次:
副島隆彦による本書の解説
本書について
第1章 初級者のための秘密結社入会講座
第2章 なぜ秘密結社が必要なのか
第3章 初級者を受け入れる秘密結社の側の覚悟と使命
第4章 神秘主義に傾倒するすべての成員に告ぐ
 前提1 流出説(Emanationssystem)
 前提2 古典古代ギリシアのピタゴラス‐プラトン体系
付録 秘密結社の組織論
教団規約に関する一般教説
長官と長官会議
総監
総監会議と総監

抄訳箇所について
訳者あとがき

★発売済。18世紀の啓蒙思想の一幕を知る上で興味深い人物の一人、南独の教会法教授アダム・ヴァイスハウプトの著書『イルミナティの新システム――全位階と装置の詳説』(1787年)の、まさかまさかの初抄訳です。ドイツではカントやゲーテが、フランスではルソーや百科全書派が、スウェーデンではスウェーデンボリが活躍した偉大なる18世紀については、国書刊行会の「十八世紀叢書」や、法政大学出版局の「啓蒙の地下文書」(既刊2点)、あるいは岩波書店の「ユートピア旅行記叢書」など、近年様々な原典が訳されてきましたが、ここにまたひとつ、秘密結社イルミナティの創設者の著作が加わったことは大いに喜ばしいことです。

★言うまでもありませんが、ヴァイスハウプトの秘密結社と、フリーメーソンの上位組織として都市伝説化している近年のその亡霊とは別して考えるべきで、本書では正当にもそのことに注意を促しています。18世紀のイルミナティが禁じられたのは、教会と王侯が絶大な権力を掌握していた時代に神や国家の絶対性から解き放たれ、理性のもとでの人々の連帯を推進したためで、既成権力からすれば自らの転覆に繋がりかねない危険極まりない運動体だったからでした。今回の抄訳ではその運動体の思想と組織構成についてのヴァイスハウプトの考えを覗くことができます。

★イルミナティの重要人物には創始者である「スパルタクス」すなわちヴァイスハウプトのほかに、フリーメーソンの会員を流入させて組織拡大の大きな力となった「フィロ」ことアドルフ・F・フォン・クニッゲ男爵(1752-1796)がいます。彼は巧みな人心掌握術の持ち主で、大著『人間交際術』は本書『イルミナティの新システム』の翌年に公刊され、当時のベストセラーとなりました。『人間交際術』は幾度となく日本でも訳され、講談社学術文庫(1993年)になったこともありますし、昨春にも新訳がイーストプレスから刊行されています。ただし流行作家としてのクニッゲがフリーメーソンやイルミナティに関わっていたことはさほど重要視されていないかもしれません。

★クニッゲによるメーソン流儀式の導入を良しとしなかったヴァイスハウプトの徹底した理性主義の興味深さの片鱗は、本書からも窺えることろですが、より詳しくは〈初級篇〉と銘打ったこの訳書『入会講座』の続篇にも期待したいとことです。カント哲学について二冊の著書をものしたヴァイスハウプト自身の、哲学者でもなく教会人でもないペリフェリックな特異性は、思想史上のマイナーな次元に落としこめておけるほどつまらないものではありません。芳賀和敏さんをはじめとする翻訳チームによる、より読みやすい日本語のための努力に率直な敬意を表したいです。念のために言っておきますが、本書を読まずにトンデモ本に分類しようとする人がいるとしたら、それは大きな誤解です。

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ニコラ・テスラ 秘密の告白――世界システム=私の履歴書 フリーエネルギー=真空中の宇宙
ニコラ・テスラ(Nikola Tesla, 1856-1943)著 宮本寿代訳
成甲書房 2013年1月 本体1,700円 46判上製240頁 ISBN978-4-88086-297-2

帯文より:日本語訳初公刊! 天才か?狂気か? 悲運の発明家、その頭の中のすべて。
帯文(裏)より:いまこそ耳を傾けるべき超天才発明家の未来予測!「人類は恐るべき問題に直面している。その問題は、物質的にいくら豊かになっても解決しない。原子のエネルギーを解放したとしても恩恵などない。人類にとってはむしろ不幸になりかねない。不和や混乱が必ずやもたらされ、その結果として最後に行きつくのは、権力による憎むべき支配体制なのだ」。

カバーソデ紹介文より:フリーエネルギー、スカラー電磁波、人工地震、歴史の闇に葬られた異才、回顧録に隠された、超天才の頭の中。

原書(第I部):My Inventions: The Autobiography of Nikola Tesla, Experimenter Publishing Company, 1919.
原書(第II部):The Problem of Inscreasing Human Energy, Century Magazine, 1900.

目次:
ニコラ・テスラについて
第I部 世界システム=私の履歴書
 第1章 天才発明家はこんな少年だった
 第2章 私が体験した奇妙な現象
 第3章 回転磁界という大発見
 第4章 テスラコイル=ラジオやテレビの基本原理
 第5章 史上初の世界システム
 第6章 この世界を地獄にしないための発明
第II部 フリーエネルギー=真空中の宇宙
 第1章 人類が絶対的エネルギーを手に入れるための三つの方法
 第2章 いかにして人類エネルギーを増大させるか
 第3章 いかにして人類エネルギーの増加を阻害する力を弱体化させるか
 第4章 いかにして人類エネルギーの増加を促進する力を増大させるか
解説

★発売済。テスラの『わが発明』と『人類エネルギー増加の問題』の二冊の翻訳を日本で初めて一冊にまとめたものです。前者『わが発明』は日本におけるテスラ研究の第一人者である新戸雅章(しんど・まさあき:1948-)さんによって2003年に『テスラ自伝――わが発明と生涯』として出版され、その後2009年に新装改訳版(限定300部、テスラ研究所)が出版されています。後者『人類エネルギー増加の問題』についても新戸さんは『人類とエネルギー問題』(テスラ研究所、近刊)として予告を出されています。

★今回初訳となる『人類エネルギー増加の問題』――訳書では「フリーエネルギー=真空中の宇宙」は、ネット各所で無料で閲覧できる英語原文と比べる限りでは、数式やダイアグラムが出てくる箇所を簡略化しているようですが、息の長い文章を細かく分けるなど、基本的に読みやすさに配慮したものになっています。2013年はテスラの没後70年になります。昨今ますますエネルギー問題は難局を迎えていますが、すでに百年以上前にこの問題をとことん考えようとしていたテスラの先見の明に驚かされます。

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シャマニズム――アルタイ系諸民族の世界像(1)
ウノ・ハルヴァ=著 田中克彦=訳
東洋文庫(平凡社) 2013年1月 本体3,100円 全書判上製函入364頁 ISBN978-4-582-80830-8

帯文より:北方ユーラシアの諸民族の世界(宇宙)像を巡り、19世紀から1930年代までのシャマニズムに関する調査研究の蓄積をもれなく集約した、シベリアの『金枝篇』。図版110点収載。(全2巻)

目次:
序説
第一章 世界像
第二章 大地の起源
第三章 人間の創造
第四章 世界の終末
第五章 天神
第六章 天神の《息子》と《助手》
第七章 出産と出産霊
第八章 星々
第九章 雷
第十章 風
第十一章 火
第十二章 神格としての大地
第十三章 霊魂崇拝
第十四章 死と物忌みと服喪
第十五章 死者の身支度
雑誌類略称
原注

★まもなく発売。1971年と1989年(第二版)に三省堂より刊行された全一巻を二分冊で復刊するものです。第1巻を見る限りでは今回の復刊で改訳されているかどうかは確認できませんが、詳細は第2巻に掲載される「東洋文庫版あとがき」で明らかになると思われます。フィンランドの宗教民俗学者ウノ・ハルヴァ(Uno Nils Oskar Harva, 1882-1949)が1938年にヘルシンキで出版したDie religiösen Vorstellungen der altaischen Völkerが原書です。アルタイ系というと、日本語の起源とも言われることがありますが、原初の人間たちの堕落の物語はまるで聖書のアダムとイヴの原罪のようですし、世界の終末はあたかも北欧神話のラグナロクのようです。アジアだけでなく東ヨーロッパにもかかる広大な地域に拡散したアルタイ系の興味深い民俗文化を学べます。東洋文庫の次回配本は『共同研究 転向』第5巻と第6巻同時刊行で全6巻完結です。


感應の霊峰 七面山 
鹿野貴司(しかの・たかし:1974-)著
http://www.tokyo-03.jp/
平凡社 2013年1月 本体2,800円 B5変型判並製74頁 ISBN978-4-582-27796-8

帯文より:深山の霊気あふれる七面山〔しちめんざん〕。富士の頂から昇る御来光に額ずくとき、神秘的な彩の変化が空を覆いつくし、霊験あらたかな気が身を包みこむ。霊気と光明に満ちた祈りの道の写真集。

帯文(裏)より:房総一宮・玉前神社から富士山を抜け、出雲大社を結ぶ東西の直線。その線上に古来、修験の山として切り拓かれた七面山がある。鎌倉時代には鎮守神として七面大明神が祀られ、法華経信仰の聖地に。そして今、悩み迷える人々の心に光明がさすパワースポットとして、多くの信者たちが険しい山道を駆け登り、祈りを捧げる。その姿を3年間にわたって撮り込んだ貴重な写真集。

版元紹介文より:富士山の真西に位置し、古来、修験の山として知られる霊峰・七面山。今も多くの信者たちが険しい山道を登り、祈りを捧げる。その美しい四季を写し込んだ、類まれな写真集。

★まもなく発売。ページから清らかな冷気=霊気(俗っぽく言えばマイナスイオン)が噴き出してくるような美しい写真集です。じっくり眺めていると、実にすがすがしい気分になります。どの景色も人物像も素晴らしいですが、やはり朝夕の薄闇に映える富士山は格別ですね。写真家の鹿野さんは平凡社さんから『甦る五重塔――身延山久遠寺』を2010年に上梓されています。鹿野さんのおじい様も身延山や七面山へ写真撮影にしばしば出かけられたそうです。鹿野さんにとって身延山や七面山の撮影はライフワークだとのこと。「七面山に登るたびに、私は人智を超えた神秘に畏敬の念を深める」とあとがきにはあります。


5000人の白熱教室[DVDブック]
マイケル・サンデル著 NHK「ハーバード白熱教室」制作チーム訳
早川書房 2012年12月 本体3,333円 A5変形判上製110頁 ISBN978-4-15-209340-0

カバーソデ紹介文より:2012年5月、日本屈指の大ホール・東京国際フォーラムは熱気に包まれた。ハーバード大学のマイケル・サンデル教授が来日、5000人もの聴衆が参加する「白熱教室」が行われたのだ。すべてをお金に換算する「市場主義」の是非を論じる前篇。原発の再稼働、電気料金の値上げなど、震災後の日本が進むべき道を議論する後篇。簡単には答えの出ない難問を議論する史上最大規模の特別講義の模様を、日英対訳テキストと2カ国語音声DVDで完全収録。

目次:
前篇 すべてをお金で買えるのか
後篇 これからの日本の話をしよう

★発売済。クレジット記載頁にある特記を借りると「本書は、2012年5月28日に東京国際フォーラム(東京・有楽町)で行われた第16回ハヤカワ国際フォーラム「ここから、はじまる。民主主義の逆襲」をもとにNHKが制作・放送した番組「マイケル・サンデル 5千人の白熱教室」(前篇「すべてをお金で買えるのか」、後篇「これからの日本の話をしよう」)を再編集・DVDブック化したもの」とのこと。日本オリジナル版の書籍ですが、英語題はDemocracy Strikes Backと付けられていて、これはフォーラムのタイトルを活かしたのでしょう。

★サンデル教授は今回もすばり現代社会の難問に切り込み、対話を促すとともに議論を見事に整理していきます。それにしても、この国で5000人もの聴衆を集めえた哲学者というのは戦前戦後を通じても稀有ではないでしょうか。ハーヴァード大学が東京校をつくって名物講師の講義が有料無料織り交ぜて聴講できるようになったら、けっこう人が集まるような気がします。サンデル教授の授業が共感を呼んでいるのは、彼のコミュニタリアン的思考(共同体主義)が日本人にとってリバタリアニズム(自由至上主義)よりは性に合っているから、と見ることもできますが、教授は安易に議論をたったひとつの答えへ統合しようとしたりはしないわけで、対話の持続と忍耐と共生の美徳への強い意志が、閉塞感と困難の中に生きる現代人の心を打つのでしょう。その意味で、サンデル・ブームは一過性のものと見なせば済むような次元にあるのでは「まったくない」ことは確かです。
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by urag | 2013-01-20 23:03 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 18日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

★柿並良佑さん(訳書:ルイ・サラ-モランス『ソドム』)
岩波書店の月刊誌「思想」2013年1月号に掲載された、フィリップ・ラクー=ラバルトとジャン=リュック・ナンシーの共著「政治的パニック」を翻訳されています。また、同号にその解説論文となる「恐怖〔パニック〕への誕生――同一化・退引・政治的なもの」を寄稿されています。なお、柿並さんはかつて、ラクー・ラバルトとナンシーの共著書『文学的絶対』の読解論文「「断片」の理論」を、哲学若手研究者フォーラムが刊行する論文集『哲学の探求』第37号(2010年6月)に寄稿されています。ラクー=ラバルトとナンシーの70年代の共作は翻訳がほとんどないためなかなか一般読者には浸透していませんが、柿並さんの意欲的な掘り起こしで再評価への道が開かれゆく予感がします。


★近藤和敬さん(著書:『カヴァイエス研究』)
★岡本源太さん(著書:『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』)
月刊誌「現代思想」の最新号で近藤さんが討議に参加され、岡本さんが論文を寄稿されています。

現代思想 2013年1月号 特集:現代思想の総展望2013
編集人=栗原一樹
青土社 2012年12月 本体1,238円 A5判並製246頁 ISBN978-4-7917-1256-4

目次:
【連載】
 依存症をめぐる臨床 第6回 自助グループロマン主義(信田さよ子)
 家族・性・市場 第85回 素朴唯物論を支持する(立岩真也)
 痛みの哲学 第3回 予測不可能性を飼いならす(鷲田清一+熊谷晋一郎)
【研究手帖】文学の奇蹟(中村隆之)

特集=現代思想の総展望2013
【討議Ⅰ】現代思想40年の軌跡と展望(大澤真幸+成田龍一) 
【討議Ⅱ】「破局」の「全体性」の只中で思考しつづけるために――「現代思想」の交錯点と多元的展開(近藤和敬+篠原雅武+村澤真保呂)
【討議Ⅲ】思弁的転回とポスト思考の哲学(小泉義之+千葉雅也) 

【それぞれの展望Ⅰ】
 日本女性の40年――フェミニズム、回顧と継承の時代に(上野千鶴子)
 人類学ゆえに(春日直樹)
 専門化する哲学の行方――分析哲学の現状と展望(飯田隆)
 親愛なる……へ――現象学の方法についての書簡(村上靖彦)
 イタリア現代思想の展開(岡田温司)
 ポスト複雑系――因果律と準因果作用子の邂逅(郡司ペギオ幸夫)
【それぞれの展望Ⅱ】
 当事者研究について(熊谷晋一郎)
 奇妙な身体/奇妙な読み――クィア・スタディーズの現在(清水晶子)
 うちゅうじんるいがく(大野更紗)
 公共宗教論の陥穽――『宗教概念あるいは宗教学の死』の後で(磯前順一) 
 島と海の想像力――地政学を超える系譜学へ(石原俊)

【エコロジー】エコゾフィーに向かって(F・ガタリ/杉村昌昭訳)
【人類学】内在と恐怖(E・ヴィヴェイロス・デ・カストロ/丹羽充訳) 
【思弁的転回】減算と縮約――ドゥルーズ、内在、『物質と記憶』(Q・メイヤスー/岡嶋隆佑訳)
【エピステモロジー】思考の行方――現実に根付くこと(森元斎)
【美学】囚われの身の想像力と解放されたアナクロニズム――イメージ論の問題圏(岡本源太)
【生物学】輪郭線という背理(梶智就)
【当事者研究】当事者研究で言葉をつくる――回帰する個人能力主義に抗して(綾屋紗月) 

※「現代思想の総展望」という特集名は、「現代思想」誌の創刊号の特集でもあり、その後、79年、83年にも同名の特集が組まれています。前回から数えて30年ぶり、そしてなにより創刊40周年にあたるこの佳節に「総展望」と銘打ったことは、原点回帰でもあり心機一転でもあると言えるでしょうか。参考までに、創刊号(1973年1月号)、1979年12月号、1983年1月号のそれぞれの目次内容を列記しておきます。


現代思想 1973年1月号(vol.1-1)創刊号特集=現代思想の総展望
編集人=中野幹隆
青土社 1973年1月 本体470円 A5判並製318頁 雑誌3629-1 

目次:
【連載】
 ブランメル神話――ダンディズムと文学(生田耕作)
 螺旋の彷徨 第1回 エクリチュール主義(白井健三郎)
 スピノザ研究序説 第1回 デカルトとスピノザ(竹内良知)
 哲学の誕生――存在の根底にひそむ原理を求めて(中村元)

【シンポジウム】
 徹底討議 現代思想の渦の中で(生松敬三+木村尚三郎+城塚昇+中村雄二郎+長谷川宏)

【科学すること、そして哲学】
 カタストロフィの理論――新しい科学の思考法(野口広)
 分析的思考のアポリア――物理帝国主義の行方(村上陽一郎)
 現代生物学の思想――遺伝的決定と合目的性(渡辺格)
 テイヤールについての独白――自然と人間(八杉龍一)
 ある生物学者について(澁澤龍彦)
【現象学の領野】
 〈現象学運動〉の展開――知のラディカリズム(金田晋)
 哲学的断章(I)アンチ・フィロゾフィ(中村雄二郎)
【精神分析の道】
 フロイトからラカンへ――切り拓かれる精神分析の〈荒蕪地〉(ジャン=ミシェル・パルミエ/伊藤晃訳)
 現象学と精神分析――通底する危機の意識(荻野恒一)
 空間と空間的思考――精神病理学の立場から(宮本忠雄)
【神と革命】
 神の死(堀光男)
 神学の苦悩(高尾利数)
【構造主義から構造主義以降へ】
 ソシュールと構造主義(ルイ・ミレ+マドレーヌ・ヴァラン・ダンヴェル/田島節夫+加藤茂+矢島忠夫訳)
 レヴィ=ストロースの方法(ピエール・クルサン/田島節夫+矢島忠夫訳)
 堅坑とピラミッド(ジャック・デリダ/高橋允昭訳)
【言語学】
 言語学と哲学(ノーアム・チョムスキー/川本茂雄訳)
 反抗的想像力――想像・欲望・言語・世界(ミケル・デュフレンヌ/広田昌義訳)
 石の言語――興味本位の哲学へ(種村季弘)
【マルクス主義の今日】
 ブロッホの世界(ハンス・ハインツ・ホルツ/岩永達郎訳)
 実在と潜勢力(花崎皋平)
 存在の哲学と物象化的錯視――ハイデガー批判への一視軸(廣松渉)


現代思想 1979年12月号(vol.7-15)特集=現代思想の総展望
編集人=三浦雅士
青土社 1979年12月 本体780円 A5判並製246頁 雑誌63629-22

目次:
【連載】
 エジプト学夜話 第24回 古代エジプトと私(酒井傳六)
 スペクタクルと都市 第12回 象と鯨のページェント(海野弘)
 マクシム・デュ・カンまたは凡庸な芸術家の肖像 第10回 仮装と失望(蓮実重彦)
 生命の探求 第4回 機械論的理解(中村元)
【歩行と思索】
 「当り」「外れ」の問題(入沢康夫)
 旅(三枝充悳)
 變成男子御受用(堀越孝一)
【往復書簡】連続と非連続(ハインリッヒ・ロンバッハ+土方昭)
【論文】旧約と新約――ブレイクの《キリスト》II
【温故知新】サンカのルール(長尾龍一)
【研究手帖】ヴァレリーと夢(有田忠郎)

特集=現代思想の総展望
【特別インタビュー】思想の現在(ポール・リクール+久米博)
【シンポジウム】現代思想と文芸批評(ロジェ・ファイヨル+蓮実重彦+加藤晴久)
【対話】マルクス主義と精神分析(いいだもも+岸田秀)

【27人の今日の思想家】
 ロマン・ヤコブソン(磯谷孝)
 ケネス・バーク(富山太佳夫)
 ゲルショム・ショーレム(秋山さと子)
 ジョルジュ・デュメジル(吉田敦彦)
 ヘルベルト・マルクーゼ(清水多吉)
 フランセス・イエイツ(藤田実)
 エーリッヒ・フロム(安田一郎)
 エミール・バンヴェニスト(磯谷孝)
 コンラート・ローレンツ(日高敏隆)
 エーリッヒ・ノイマン(松代洋一)
 クロード・レヴィ=ストロース(青木保)
 エルンスト・ゴンブリッチ(鈴木杜幾子)
 エドマンド・リーチ(梶原景昭)
 ポール・リクール(久米博)
 ロラン・バルト(佐藤信夫)
 ルイ・アルチュセール(今村仁司)
 エドガール・モラン(杉山光信)
 アーヴィング・ゴッフマン(石黒毅)
 トーマス・クーン(中山茂)
 ジル・ドゥルーズ(宇波彰)
 ミシェル・フーコー(田村俶)
 ジャン・ボードリヤール(宇波彰)
 ユルゲン・ハーバーマス(清水多吉)
 ピーター・バーガー(安江孝司)
 ジャック・デリダ(高橋允昭)
 ジュリア・クリステヴァ(小松英輔)
 ロートマン&タルトゥ・グループ(北岡誠司)


現代思想 1983年1月号(vol.11-1)特集=現代思想の総展望'83
編集・発行人=清水康雄
青土社 1983年1月 本体780円 A5判並製246頁 雑誌63629-74

【連載】
 占いのコスモロジー 第1回 インド占星術入門(矢野道雄)
 睡眠のエコロジー 第1回 夢の生物学(鳥居鎮夫)
 映画のつくり方 第1回 台本の論理 一(佐藤純彌)
 二〇・五世紀の音楽 第1回 先駆者たち(松平頼暁)
 火の話 第1回 火の科学の誕生 一(疋田強)
 シャンカラの神秘主義 第30回 個人存在の基底 三(中村元)
 思考の生理学 第35回 暗示の不思議(千葉康則)
 マクシム・デュ=カンまたは凡庸な芸術家の肖像 第2部第16回 犠牲者の言説(蓮実重彦)
【歩行と思索】
「三四郎」と「青年」(伊東俊太郎)
ふたつのユニテ(樺山紘一)
【論文】文化主体の役柄的基礎構造(砂川裕一)
【ハイデガーの思想】ハイデガーと形而上学(茅野良男)
【舞踏】静中、動あり(吉沢伝三郎)
【研究手帖】科学の解釈学(野家啓一)

特集=現代思想の総展望'83
【対話】変貌する〈知〉のトポス(中村雄二郎+村上陽一郎)

【経済学】マルクス経済学から『資本論』へ(山崎カヲル)
【政治学】国家論の新たな様相(矢野暢)
【社会学】アメリカ社会学における理性の諸問題(矢澤修次郎)
【歴史学】「新しい歴史学」を考える(福井憲彦)
【人類学】認識人類学の地平線(吉岡政徳)
【生物学】進化論の新しい展開(八杉龍一)
【精神医学】過渡期の「精神医学」(森山公夫)
【物理学】素粒子論の未来(寺澤英純)
【数学】数学基礎論からみた現代数学(倉田令二郎)
【建築学】「近代建築」批判のアポリア(布野修司)
【記号学】人間記号学と動物記号学(川本茂雄)
【映画】映像の縫合(四方田犬彦)
【文学】デコンストラクション(富山太佳夫)
【音楽】過去からの展望(庄野進)
【宗教学】新たなる宗教思想研究をめざして(佐々木陽太郎)
【神話学】現代神話学の流れ(久米博)

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※なお、同誌の創刊40周年を記念して、今月末、以下のトークセッションが行われます。昨年8月にリブロ池袋本店で行われ、1月号に掲載された対談の第2弾とのことです。

◎「現代思想40年の軌跡と展望」大澤真幸(社会学者)×成田龍一(歴史学者)

日時:2013年1月29日(火)19時30分 ~
会場:ジュンク堂書店池袋本店 4階カフェにて
定員:40名(お電話又はご来店にてお申し込み先着順)
料金:1000円 (ドリンク付)
受付:お電話又はご来店(1Fサービスカウンター)にて先着順に受付。トークは特には整理券、ご予約のお控え等をお渡ししておりません。ご予約をキャンセルされる場合、ご連絡をお願いいたします。
お問い合わせ・ご予約:ジュンク堂書店池袋本店 TEL 03-5956-6111

内容:雑誌『現代思想』(青土社)の創刊40周年特集号「現代思想の総展望2013」(2013年1月号)の刊行を記念して、大澤真幸さん、成田龍一さんをお招きして、トークイベントを開催します。 本特集内では、創刊号からおよそ95年まで、ご自身が寄稿された論考や特集についてお話いただくとともに、当時の思想の潮流や『現代思想』の試みの軌跡を、時々の社会状況との関わりのなかで議論していただきました。今回のお話では、お二人が劇的な「出会い」を果たされた95年以降から、「3・11」という未曾有の出来事を踏まえ、これからの社会や思想のあるべきかたちについてお話いただきます。
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by urag | 2013-01-18 18:05 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 17日

弊社出版物の著者の最近の御活躍:ド・マンとブランショ

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★ポール・ド・マンさん(著書:『盲目と洞察』)
かつてT先生訳でK社から予告が出ていた『読むことのアレゴリー』が仕切り直しでついに岩波書店から刊行されました。また、同時発売で訳者の土田先生がド・マン論を上梓されています。

読むことのアレゴリー――ルソー、ニーチェ、リルケ、プルーストにおける比喩的言語
ポール・ド・マン著 土田知則訳
岩波書店 2012年12月 本体4,700円 A5判上製428頁 ISBN978-4-00-025463-2

帯文より:「脱構築批評」と呼ばれる独自のテクスト読解を実践し、文学研究ばかりか哲学・思想の領域に深い影響を与えたポール・ド・マン。決定的な重要性をもつその主著が、原著刊行より30年以上の時を経て、ついに日本の読者の前で全貌を明らかにする。不滅の主著、ついに完訳。

カバーソデ紹介文より:批評界に大きな衝撃を与え、ハロルド・ブルーム、ジェフリー・H・ハートマン、J・ヒリス・ミラーの名で知られる「イェール学派」の領袖ポール・ド・マン(1919-83年)。文学批評ばかりか哲学・思想の領域にまで深い影響を与えたド・マンの「脱構築批評」は、本書『読むことのアレゴリー』(1979年)によって、その全貌を知らしめ、世界を震撼させた。ド・マンの主著にして現代批評理論・現代思想の領域に聳え立つ一大金字塔である本書は、長らく邦訳が待ち望まれていた一冊である。原著刊行から30年以上の時を経て、ついに完訳なる。

原書Allegories of Reading: Figural Language in Rousseau, Nietzsche, Rilke, and Proust, Yale University Press, 1979.

目次:
序文
第一部 修辞(学)
 第一章 記号学と修辞学
 第二章 文彩(リルケ)
 第三章 読むこと(プルースト)
 第四章 生成と系譜(ニーチェ)
 第五章 文彩のレトリック(ニーチェ)
 第六章 説得のレトリック(ニーチェ)
第二部 ルソー
 第七章 隠喩(『第二論文』)
 第八章 自己(『ピュグマリオン』)
 第九章 アレゴリー(『ジュリ』)
 第一〇章 読むことのアレゴリー(『サヴォワの助任司祭の信仰告白』)
 第一一章 約束(『社会契約論』)
 第一二章 言い訳(『告白』))
訳者あとがき
人名・作品名索引


ポール・ド・マン――言語の不可能性、倫理の可能性
土田知則(1956-)著
岩波書店 2012年12月 本体2,500円 四六判上製212頁 ISBN978-4-00-024782-5

帯文より:「読むこと」はできない。ゆえに「読むこと」は倫理的である。「比喩性」、「機械性」、「物質性」、「アレゴリー」を手がかりに、ポール・ド・マン(1919-93年)の理論を「言語」という視点で読み解く。第一人者が書き下ろした初の本格的論考にして、ド・マンを主題にした日本人による初めての書物。

カバーソデ紹介文より:「脱構築批評」を打ち立て、 文学批評・哲学・思想の領域に深い影響を与えたポール・ド・マン(1919-83年)。本書は、主著『読むことのアレゴリー』(1979年)を中心に、「比喩性」、「機械性」、「物質性」、そして「アレゴリー」という概念を読み解く試みである。「アレゴリー」――それは、「読むことはできない」、という言語の逃れようのない本質を示している。この視点に立つとき、難解で知られるド・マンの理論は一貫性をもつものとして現れ、そこに「読むこと」の倫理が浮かび上がる。第一人者が書き下ろした本書は、ド・マンを主題にした日本人による初めての書物である。

目次:
はじめに
第I章 比喩としての言語
第II章 言語の指示性と機械性
第III章 アレゴリーの諸相
第IV章 歴史(学)という陥穽
第V章 文字の物質性
第VI章 読むことの倫理に向けて
文献一覧
あとがき
人名索引

※なお、上記2冊『読むことのアレゴリー』『ポール・ド・マン』の出版を記念して、東京堂書店神田神保町店では来月、以下のトークイベントが行われます。これは必聴ですね!

土田知則さん&巽孝之さんトーク・セッション「ポール・ド・マン・ルネサンスのために」

内容:イェール学派を率い、文学研究にとどまらず哲学・思想にも深い影響を与えたポール・ド・マン(1919-83年)。今年は彼の没後30年にあたります。主著である『読むことのアレゴリー』の翻訳、そして研究書『ポール・ド・マン』(ともに岩波書店)を、ド・マンの命日である昨年12月21日に、同時に世に問われた土田知則さん(千葉大学教授。専門:文学理論)、そして、著書『ニュー・アメリカニズム』(青土社)等でド・マンに一貫して言及してこられた 巽孝之さん(慶應義塾大学教授。専門:アメリカ文学)をお招きし、ド・マン・ルネサンスへ向けて存分に語って頂きます。日本では柄谷行人氏、水村美苗氏らに深く影響を与えた人物として知られていながら、いまだ読み解かれざる思想家ド・マンが、いま、甦ろうとしています。実り豊かな対談にご期待ください。

開催日時:2013年2月6日(水)18:30-20:30(開場18:00)
開催場所:神田神保町店6階東京堂ホール
参加方法:参加費800円(要予約 ドリンク付き) 店頭または電話・メール(shoten@tokyodo-web.co.jp)にて、件名「土田さん巽さんイベント参加希望」とお申し出いただき、お名前・電話番号・参加人数をお知らせ下さい。イベント当日と前日は、お電話にてお問い合わせください。電話03-3291-5181
当日16:30より1階総合カウンターにて受付を行います。参加費800円(ドリンク付き)をお支払い頂いた上で、店内カフェにて指定のドリンクとお引換えください。尚ドリンクの引換えは当日のみ有効となります。(終演後は引き換え頂けません)


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★モーリス・ブランショさん(著書:『問われる知識人』『ブランショ政治論集』『書物の不在』)
粟津則雄訳『来るべき書物』(現代思潮社、1968年;筑摩書房、再版1976年、改訳版1989年)がついに文庫化されました。ブランショの文庫化は『明かしえぬ共同体』(西谷修訳、ちくま学芸文庫、1997年)に続く、ようやくの二冊目。文庫化にあたって、改訳されたり新規のあとがきや解説を追加したりといったことは今回はないようです。また、昨年11月にはガリマールからブランショとピエール・マドールとのあいだで交わされた『往復書簡 1953-2002年』が刊行されています。

来るべき書物
モーリス・ブランショ著 粟津則雄訳
ちくま学芸文庫 2013年1月 本体2,000円 文庫判576頁 ISBN:978-4-480-09506-0 

帯文より:文芸批評の金字塔、待望の文庫化。
カバー裏紹介文より:20世紀フランス最大の文芸批評家モーリス・ブランショの代表作。「作品とは、作品に対する期待である。この期待のなかにのみ、言語という本来的空間を手段とし場所とする非人称的な注意が集中するのだ。『骰子一擲』は、来るべき書物である」。そしてブランショは、作品の奥行、あるいは作品群が構成する世界のみならず、作品を作り上げる作者の精神そのものと直接対峙する。取り上げるのは、マラルメ、プルースト、アルトー、ルソー、クローデル、ボルヘス、ムージル、ブロッホ、ジューベールなど。燦然たる輝きのもと、作品や作者のイメージを一新させる、鮮烈で深い、全26章の批評集。

目次:
I セイレーンの歌
 1 想像的なものとの出会い
 2 プルーストの経験
  i 書かれたもの〔エクリチュール〕の秘密
  ii おどろくべき忍耐
II 文学的な問い
 1 「幸福に世を終えられそうもない」
 2 アルトー
 3 ルソー
 4 ジューベールと空間
  i 書物なき著者、著作なき作家
  ii 最初のマラルメ的場合〔ヴェルシヨン〕
 5 クローデルと無限
 6 予言の言葉
 7 ゴーレムの秘密
 8 文学的無限、アレフ
 9 デーモンの挫折、天職
III 未来なき芸術について
 1 極限において
 2 ブロッホ
  i 『夢遊の人々』・論理的めまい
  ii 『ウェルギリウスの死』・統一性の探究
 3 ねじの廻転
 4 ムージル
  i 無関心の情熱
  ii 「別な生の状態」の経験
 5 対話の苦痛
 6 ロマネスクな明るみ
 7 H・H
  i 自己自身の探究
  ii 演戯の演戯
 8 日記と物語
 9 物語とスキャンダル
IV 文学はどこへ行くか?
 1 文学の消滅
 2 ゼロ地点の探究
 3 「今どこに? 今だれが?」
 4 最後の作家の死
 5 来るべき書物
  i コノ書物ヲ見ヨ
  ii 文学空間の新たなる理解
 6 権力と栄光
あとがき
原註
訳註
訳者あとがき
改訳新版のためのあとがき


Correspondance (1953-2002), Édition établie, présentée et annotée par Pierre Madaule.
Maurice Blanchot(1907-2003), Pierre Madaule(1927-)
Gallimard(Collection Blanche), Parution 16-11-2012, 25euros, 140x205mm, 176 pages, ISBN978-2-07-013844-9

※往復書簡123通をはさむかたちでマドールさんによる二つのテクストが併載されています。巻頭には「L'effet Blanchot」と題した8頁にわたるテクスト。巻末には「La preuve par l'effet (ou le lecture «imaginaire»)」と題した3頁のあとがきPostfaceが置かれています。
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by urag | 2013-01-17 16:00 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 16日

弊社出版物の著者の最近の御活躍:アントニオ・ネグリさん

★アントニオ・ネグリさん(著書:『芸術とマルチチュード』)
マイケル・ハートさんとの共著が以下の通り発売されました。ついに三部作完結です。

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コモンウェルス――〈帝国〉を超える革命論(上下)
アントニオ・ネグリ+マイケル・ハート著 水嶋一憲監訳 幾島幸子+古賀祥子訳
NHK出版 2012年12月 本体各1,400円 B6判並製352頁/344頁 ISBN978-4-14-091199-0/978-4-14-091200-3

上巻帯文より:〈帝国〉論三部作、ついに完結。資本が〈共〉〔コモン〕を私有化するとき、マルチチュードが蜂起する!
下巻帯文より:「コモン」が世界をくつがえす! 資本主義の行き詰まりを乗り越える、新たな富の形とは?

上巻カバーソデ紹介文より:資本の専横に反逆する! 「コモンウェルス」とは何か?――ますます進行するグローバリゼーションのなかで、国境を越えて私たちに働きかけてくる〈帝国〉という権力と、それに対抗する多数多様な人びとの集合体=マルチチュード。〈帝国〉が方にのっとって収奪を試みるのも、マルチチュードが精算し、かつ〈帝国〉と闘うための武器とするのも、〈共〉という富=コモンウェルスである。それはいかにしてつくられ、どのような可能性を秘めるのか。絶対的民主主義を追究する、〈帝国〉論の完結篇。
下巻カバーソデ紹介文より:革命への道筋をひらく! 中心のないネットワーク状の権力=〈帝国〉の興隆に対抗し、秩序形成をめざして単独行動に走ったアメリカの試みは、イラク戦争の失敗と金融危機という挫折に終わった。残されたのはEUの超国家主義でも中国の覇権主義でもなく、〈共〉という富〔コモンウェルス〕にもとづいた、マルチチュードによる民主主義のプロジェクトだった。私的所有という制度とそれを支える法体制を根本から批判し、万人にアクセス可能な資源=〈共〉〔コモン〕の豊かな可能性を予見する。〈共〉をめぐる生産はいかにして資本を蝕み、崩壊させるのか? ポスト工業化にこそ読まれるべき「革命」の書。

版元紹介文より:『〈帝国〉』『マルチチュード』に続く、待望の第3弾! グローバル企業やIMFなどの〈帝国〉が世界秩序をつくりあげ、その権力のもとで私たちは搾取され続けている。この状況を打開する可能性を秘めた「共有の富」とは何か? それはいかにして資本主義の行き詰まりを乗り越え、ついには革命の実現へと至るのか? ゼロ年代を席巻した三部作の完結篇、いよいよ登場!

上巻目次:
序 マルチチュードが君主になる
第一部 共和制(と貧者のマルチチュード)
 1-1 所有財産の共和制
 1-2 生産的な身体
 1-3 貧者のマルチチュード
 物体論1――生政治的な出来事とは何か
第二部 近代性(と別の近代性の風景)
 2-1 抵抗する反近代性
 2-2 近代性のアンビバレンス
 2-3 別の近代性
 人間論1――生政治的理性
第三部 資本(と〈共〉的な富をめぐる闘い)
 3-1 資本構成の変貌
 3-2 階級闘争
 3-3 マルチチュードの好機
 特異性論1――愛にとり憑かれて
間奏曲――悪と闘う力
訳註
原註

下巻目次:
第四部 〈帝国〉の帰還
 4-1 失敗したクーデタの短い歴史
 4-2 アメリカのヘゲモニー以後
 4-3 反逆の系譜学
 物体論2――大都市
第五部 資本を超えて?
 5-1 経済的移行の管理運営
 5-2 資本主義に残されたもの
 5-3 断層線沿いの予震――破滅に向かう資本
 人間論2――閾を超えろ!
第六部 革命
 6-1 革命的並行論とは何か
 6-2 蜂起の拡大と交差
 6-3 革命を統治する
 特異性論2――幸福を制度化する
謝辞
解説(水嶋一憲)
訳註
原註
索引

★発売済。三部作すなわち『〈帝国〉――グローバル化の世界秩序とマルチチュードの可能性』(以文社、水嶋一憲・酒井隆史・浜邦彦・吉田俊実訳、2003年)、『マルチチュード――〈帝国〉時代の戦争と民主主義』(上下巻、幾島幸子訳、NHK出版、2005年)、『コモンウェルス――〈帝国〉を超える革命論』(上下巻、幾島幸子+古賀祥子訳、NHK出版、2012年)、ついに完結です。第一作では国境を越えて世界を席巻しつつある〈帝国〉的権力を詳細に分析し、第二作では〈帝国〉時代における地球規模の新しい民衆運動の主体であるマルチチュードの可能性を解き明かし、今回刊行された第三作では〈帝国〉の席巻を打ち砕き新世界を創造するためにマルチチュードが依拠すべき共有の富すなわちコモンウェルスとは何かを解説しています。

★この第三作こそ、「資本主義でも社会主義でもないものに向けて、新たな政治的空間を切り拓く」、「〈共〉の制度化のための政治的プロジェクト」(16-17頁)を雄弁に語る、三部作最大の希望の書です。「本書の前半では、〈共〉の発展を妨害し、腐敗させる三つの枠組み――共和制、近代性、資本――に順次焦点をあて、哲学的・歴史的に検証していく。その一方で私たちはこの三つの領域のそれぞれについて、貧者のマルチチュードと別の近代性の領域から立ち現れるオルタナティブを見出しもする。本書の後半では、現代世界における〈共〉の領域について政治的・経済的な分析を行う。マルチチュードの置かれた現状とその潜勢力を見きわめるために、〈帝国〉のグローバル・ガバナン構造や資本主義的な指令装置について探っていく。そして最後に現代における革命の可能性とそれに必要な制度的プロセスについて考察する」(22-23頁)。

★ネグリ+ハートの共作には三部作に先だって『ディオニュソスの労働――国家形態批判』(長原豊+崎山政毅+酒井隆史訳、人文書院、2008年)という本があり、さらに共著最新作としては昨年5月に発売された『Declaration』(Argo-Navis, 2012)があります(Kindle版はなんと87円という安さ!)。この本は『宣言』というタイトルでNHK出版から刊行予定であることが『コモンウェルス』の解説「〈共〉の革命論」で明かされています。この『宣言』では、「本書〔『コモンウェルス』〕で展開された〈共〉の革命論をベースに、生きること・自由・平等・幸福の追求・〈共〉への自由なアクセスといった不可侵の権利が自明の真理として提示されるとともに、それらの権利を侵害する統治形態は廃絶され、新たな政府が創設されるべきであるといった原理が宣言されている」(305頁)とのことです。

★NHKブックスには『マルチチュード』『コモンウェルス』のほか、ネグリさんのインタビュー本『未来派左翼――グローバル民主主義の可能性をさぐる』(上下巻、廣瀬純訳、NHK出版、2008年)という既刊書もあります。イタリアでは昨年10月、ネグリさんの70年代の主著『国家形態――政体の政治経済批判のために La forma Stato: Per la critica dell'economia politica della Costituzione』(1977年)が再刊されました。写真は右がBaldini Castoldi Dalai editoreの再刊版で、左がFeltrinelliの初版本です。再刊にあたって特に新しい序文などは加わっていません。なにぶん大著なので、日本語訳が出版される可能性があるかどうか、なかなかたいへんかもしれません。
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★このほか、イタリアでは同じ時期に『宣言』のイタリア語版『Queto non è un manifesto』(Feltrinelli, 2012)や、『スピノザと私たち』のイタリア語版『Spinoza e noi』(Mimesis Edizioni, 2012)が出ていますが、前者は英語版からのStefano Valentiによるイタリア語訳で、後者はフランス語版『Spinoza et nous』(Galilée, 2010)からのVittorio Morfinoによるイタリア語訳です。少し奇妙なのはそもそもフランス語版は、イタリア語からのJudith Revelさんによるフランス語訳だったので、わざわざフランス語訳から再度イタリア語訳する必要はないはずなのです。この辺の事情については追って調べておこうと思います。なお、フランス語版からの日本語訳が『スピノザとわたしたち』(信友建志訳、水声社、2011年)です。
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by urag | 2013-01-16 22:36 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 15日

注目近刊や大型企画:キルヒャー『普遍音楽』工作舎、など

★年始に賀状などで公表されていた今年の新刊情報の中から、気になる書目をいくつかご紹介します。

工作舎さん
杉浦康平『デザインの言葉 文字の霊力』
アタナシウス・キルヒャー『普遍音楽』
ヨハネス・ケプラー『新天文学』

※ケプラー『新天文学』は一年前も告知がありましたが、なにぶん古典ものですからゆっくり待つのが一番です。何より驚いたのがキルヒャーです。工作舎さんではかつてジョスリン・ゴドウィン『キルヒャーの世界図鑑』(川島昭夫=訳、1986年)を刊行されていましたからまさにそぐわしいラインナップなのですが、まさか原典が翻訳されるとは。しかも『普遍音楽 Musurgia universalis』が、です。書斎にあるOlms Verlagの2巻本を前にしばしば絶句しました。なんとうらやましい……。
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インスクリプトさん
中上健次集』全10巻
『ジュール・ヴェルヌ〈驚異の旅〉コレクション』全5巻

※『中上健次集』は第一回配本となる第七巻『千年の愉楽、奇蹟』が12月28日に発売になったばかりで、現在も全巻予約受付中とのことです。ヴェルヌの方はまず最初に、5月にガン・クラブ三部作を一冊にまとめた本が刊行されるそうです。このほか、ランシエール、グリッサン、ロス、などの単行本新刊の予告がありました。

羽鳥書店さん
小林康夫『こころのアポリア』
松浦寿輝『波打ち際に生きる』
蓮実重彦『〈美〉について』

※いずれも今春よりの発売とのことです。小林さんの近刊は版元ウェブサイトの「近刊情報」コーナーで主要目次が公開されています。蓮実先生にはたくさんの御著書がありますが、書名に「美」の文字が入るのは以外にも今回が初めてなのですね。お父様の蓮実重康さんには『ほほえみの美学』(東海大学出版会、1972年)という御著書があったのを思い出します。
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★また、今月、来月の新刊で気になる書目2点を以下にご紹介します。

コンバ――オルタナティヴ・ライフスタイル・マニュアル
マティルド・セレル(Mathilde Serrell)=著、鈴木孝弥=訳・解説
うから 2013年1月 本体1,800円 B6判並製336頁 ISBN978-4-904668-01-6

帯文より:選挙にさえ行けば、世の中良くなるって、まさかホントに思ってる? パリのクールなFM局《Radio nova 》。そこで最新モードの“ミニ革命”を紹介する朝10時の人気コーナーを採録した1冊に、解説を附記。今、これから、踊らされないで自分で踊るための――複眼的に世界を眺め、行動し、楽しむための――88篇。

版元紹介文より:世界中で今日も、政治家は語気荒げて持論をがなり、学者はしかつめらしく分析を開陳する。でもそのとき、選挙がすべてだなんてハナから思っていない21世紀のポジティヴな市民は何を考え、何をたくらみ、どんな行動に出ているのか? 彼(女)らがインターネットやテクノロジーを最大限に利用しながら試みる、過去になかったタイプの祝祭的で愉快なアクションの数々を紹介しながら、世界の新しい眺め方、新しい行動と生き方を提案する“目から鱗”の一般ピープル向けマニュアル・ブック!

「はじめに」より:“オキュパイ”する人たち、憤慨する人たち、アノニマスたち、騒動を起こすプッシーたち……その他、世界のあらゆる場所で障害物=独裁者/独裁的権力を取り除こうと闘う人たち。この『コンバ』をフランスで刊行して以降、リングはいよいよ世界をまたにかけて設置されるようになりました。“99%”が奮ってグローヴをつけ、そしてもう誰もガードを下げることはないのです! このマニュアルには、あらゆるレヴェルのコンバの実例を紹介してありますから、ご自分の興味のあるところから参考にして下さいね。

目次(抜粋):
バイコットしよう
生命や要求事項を振り付けにしよう
この世からきれいに消えよう
グリーンなナンパをしよう
クリスマスに、無防備な子供を守ろう
ニセ新聞を発行しよう
心理地理学の基礎を学ぼう
直属の上司をののしろう
あなたの乳房を見せよう
PARK(ing) Dayをオーガナイズしよう
地球のことを思っておしっこしよう
週一菜食主義を実践しよう
球根テロを企てよう
サイクロヌーディスタ(自転車裸族)に加わろう
社長を監禁しよう
静寂をストックしよう
素っ裸で旅しよう

★今週中頃より書店店頭開始と聞く社会科学書の新刊です。2010年6月に設立された出版社で、杉並区善福寺に所在する「株式会社うから」さんは本書に先立ち2011年12月にブリュノ・コストゥマル『だけど、誰がディジーのトランペットをひん曲げたんだ?――ジャズ・エピソード傑作選』(鈴木孝弥=訳)を刊行されていて、菊地成孔さんから「絶好調リラキシン&クール&エスプリ」と絶賛されています。

★流通(取次)は東京官書普及と八木書店(店売)をご利用のようですが、一般読者は直販のほか、各種ネット書店やリアル書店店頭で購入できるようです。代表取締役の村上佳儀(むらかみ・よしのり:1968-)さんは早稲田大学出身。誕生日が私とわずか一カ月違いの同い年でいらっしゃるので、ひょっとすると早大のキャンパスですれ違うこともあったかもしれないと想像します。今回の新刊『コンバ』を私は書店員の知人から教えてもらったのですが、目次からも推測できる通り、かなり面白そうな内容で、凡百の自己啓発書や「儲かる」本よりよっぽど頓知がきいています。楽しげな装丁といい、求めやすい値段といい、売れそうな気がしています。発売が楽しみです。


共同論議の本質(仮)
安倍晋三+B・ゲイツ+G・ソロス+M・サンデルほか=著、野中邦子=訳
土曜社 2012年2月 予価3,000円 四六判上製192頁 ISBN978-4-9905587-7-2

版元宣伝文より:ポイント1〈協調〉――世界の指導的知性が、向こう一年を洞察する。日本からは安倍晋三首相が東アジアの安全保障をめぐる「セキュリティダイヤモンド構想」を論じ、アジア開発銀行の黒田東彦総裁が「新興アジアの諸問題」を執筆。これが2013年の世界協調シナリオといえる論文集。ポイント2〈緊急〉――1月4日に英文で発表された論文集を、2月上旬に緊急出版。ポイント3〈定評〉――R・ヘンライ『アート・スピリット』や、A・ボーデイン『キッチン・コンフィデンシャル』など人気の野中邦子訳で、世界最高峰の論文が読める。

★2月上旬取次搬入予定の経済書新刊です。合同会社土曜社さんの「プロジェクトシンジケート叢書」第2弾。今日プレスリリースがPDFで発信されたばかり。詳しくは版元さんのウェブサイトをご覧ください。
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by urag | 2013-01-15 19:52 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 14日

注目の近刊、新刊:『社会的なもののために』ナカニシヤ出版、ほか

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社会的なもののために
市野川容孝(いちのかわ・やすたか:1964-)+宇城輝人(うしろ・てるひと:1967-)編
ナカニシヤ出版 2013年1月 本体2,800円 A5判並製392頁 ISBN978-4-7795-0724-3

帯文より:ソーシャルの再生にむけて。平等・連帯・自律を志向する理念としての〈社会的なもの〔ソーシャル〕〉。暗闇の時代に、その潜勢力を来るべき政治にむけて徹底的に討議する。

「はじめに」より(xiv-xvi頁):本書が一貫して問題にするものの一つは、政治的な理念としての社会的なものである。しかし、本書は政治的なマニフェストではない。社会的なものが何であったか、何でありうるかを正負両面で批判的に問いなおすことが、本書の目的である。その意味で私たちは、社会的なものを学問的に問いなおしたつもりである。本書は政治的マニフェストのはるか手前、あるいはその後ろに位置するものでしかない。[…]各章は、基調報告とそれをふまえた討論からなる。各章の討論を通じて、私たちは見解の一致を見るよりは、その相違や対立に数多く直面することになった。このようなせめぎ合いは、社会的なものがこれからしばらく経験しなければならない闇夜の深さを告知している。しかし、このようなせめぎ合いなしには、その再生も決してありえないだろう。少なくとも私はそう考えている。

目次:
はじめに(市野川容孝)
第一章 ネオリベラリズムと社会的な国家
 基調報告(市野川容孝)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・北垣徹・酒井隆史・中野耕太郎・前川真行)
  一、連帯の可能性を問う
  二、何をどのように社会化するか?
  三、社会的な統治の拠点をつくるには
第二章 労働はまだ社会的なものの基盤たりうるか
 基調報告(宇城輝人)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・酒井隆史・前川真行・道場親信・山森亮)
  一、「賃労働社会」の再検討
  二、労働社会のディストピア
  三、労働の排他性と必要に応じた分配
  四、ディストピアをどう回避するか
第三章 社会的なものと/の境界
 基調報告(宇野重規)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・北垣徹・酒井隆史・中野耕太郎・前川真行・山森亮)
  一、市民宗教――社会的なものの臨界?
  二、都市――社会的なものの場所?
  三、移動と移民――社会的なものの試金石?
第四章 社会的なものの認識の歩みとデモクラシーの未来
 基調報告(小田川大典)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・北垣徹・斎藤光・前川真行)
  一、生命の発見と社会的なもの
  二、アレントをどうとらえるか
  三、議会制民主主義と社会的なものへの意志
第五章 日本における社会的なものをめぐる抗争
 基調報告(酒井隆史)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・川越修・斎藤光・酒井隆史・前川真行・道場親信)
  一、社会的なものと植民地の問題
  二、都市という問題
  三、二重構造と日本における社会的なもの
第六章 〈3・11以後〉と社会的なもの
 基調報告(前川真行)
 討議(市野川容孝・宇城輝人・宇野重規・小田川大典・前川真行)
  一、撤退する国家
  二、中間集団と公共性
  三、地方を収奪する中央
  四、原発と社会的所有
おわりに(宇城輝人)

★18日取次搬入予定。本書の二人の編者を代表とする共同研究「社会的なものの思想史」より派生した座談集で、遠からず論文集も刊行されるとのこと。今回の座談集では研究者たちによる熱のこもった討論が読者を惹きつけます。「まえがき」によれば、本書の各章の焦点は以下の通りです。

「第一章「ネオリベラリズムと社会的な国家」では、ネオリベラリズムがそもそも何であるかを問う。社会的なものの理念はどのような意味でネオリベラリズムに対抗しうるのか。両者はいかなる点で異なるのか。
 第二章「労働はまだ社会的なものの基盤たりうるか」では、労働を基盤としたこれまでの社会的なものをふりかえりつつ、これが失効するのであれば、何がその基盤となりうるのかを問う。ベーシック・インカムその他の構想は、いかなる可能性を秘めているのか。
 第三章「社会的なものと/の境界」では、これまでの社会的なものが、国民国家をはじめとしたさまざまな境界を同時に設定してきたことを問いなおす。社会的なものはそれらの境界を超えられるのか。社会的なものは、そもそも境界なしに成立しうるのか。
 第四章「社会的なものの認識の歩みとデモクラシーの未来」では、ハンナ・アレントに代表される社会的なものと政治的なもの(とりわけデモクラシー)という弁別を差し当たっての出発点としながら、両者がどのような関係にあったのか、また、どのような関係をとり結べるのかを考える。
 第五章「日本における社会的なものをめぐる抗争」では、近現代の日本に焦点をあて、そこで社会的なものがどのように生成したのか、またいかなる可能性がそこで塞がれたのかを考察する。
 第六章「〈三・一一以後〉と社会的なもの」では、東日本大震災の後で、社会的なものを構想するとは、いかなることなのかを問う。この未曾有の災害と破局を前にして、社会的なものを語り続けることは可能なのか」(xv頁)。

★かつて90年代後半から00年代前半にかけては「公共」をめぐる議論がさかんでしたが、10年代の思想的政治的課題においては、本書が焦点化しているような「社会(的なもの)」への注目がますます高まると思われます。その意味で、この座談集はこれからの人文社会書の潮目になるものではないかと感じます。なお、本書の参加者は以下の通り。

市野川容孝(いちのかわ・やすたか:1964-。社会学。東京大学大学院総合文化研究科教授)
宇城輝人(うしろ・てるひと:1967-。社会学・社会思想史。福井県立大学学術教養センター准教授)
宇野重規(うの・しげき:1967-。政治思想史・政治哲学。東京大学社会科学研究所教授)
小田川大典(おだがわ・だいすけ:1967-。政治思想史・政治哲学。岡山大学大学院社会文化科学研究科教授)
川越修(かわごえ・おさむ:1947-。社会経済史。同志社大学経済学部教授)
北垣徹(きたがき・とおる:1967-。社会学・社会思想史。西南学院大学文学部教授)
斎藤光(さいとう・ひかる:1956-。科学史。京都精華大学人文学部教授)
酒井隆史(さかい・たかし:1965-。社会思想史。大阪府立大学人間社会学部准教授)
中野耕太郎(なかの・こうたろう:1967-。アメリカ現代史。大阪大学大学院文学研究科准教授)
前川真行(まえがわ・まさゆき:1967-。思想史。大阪府立大学地域連携研究機構生涯教育センター准教授)
道場親信(みちば・ちかのぶ:1967-。社会運動史。和光大学現代人間学部准教授)
山森亮(やまもり・とおる:1970-。社会政策。同志社大学経済学部教授)


ポスト3・11の科学と政治
中村征樹(なかむら・まさき:1974-)編
ナカニシヤ出版 2013年1月 本体2,600円 四六判上製308頁 ISBN978-4-7795-0722-9

版元紹介文より:科学をめぐるポリティクスのありようを問う。東日本大震災は、科学をめぐる政治(ポリティクス)のありようをさまざまな局面で浮かびあがらせた。放射能汚染や低線量被爆、被害者の抱える苦悩、専門家のあり方、震災被害の経済的社会的背景、現代科学技術のあり方など、震災によって浮き彫りになったいくつかのトピック・テーマに注目し、「科学技術社会論(STS)」の立場から問題の構図を明らかにしようとする試み。

目次:
はじめに(中村征樹)
第1章 食品における放射能のリスク(神里達博)
【キーワード】欠如モデル(伊勢田哲治)
第2章 奪われるリアリティ――低線量被曝をめぐる科学/「科学」の使われ方(調麻佐志)
【キーワード】利益相反(中村征樹)
第3章 科学的根拠をめぐる苦悩――被害当事者の語りから(八木絵香)
【キーワード】科学技術への市民参加について(渡部麻衣子)
第4章 科学技術をめぐるコミュニケーションの位相と議論(田中幹人)
【キーワード】ポスト・ノーマル・サイエンス(有賀暢迪)
第5章 複合的災害、その背景にある社会(標葉隆馬)
【キーワード】現場知(立石裕二)
第6章 原子力事故の「途方もなさ」をいかに理解するか――ハンナ・アーレントの近代批判を導きとして(平川秀幸)
【キーワード】研究の「社会実装」――サイエンス・メディア・センターという試み(田中幹人・難波美帆)
おわりに(中村征樹)
索引

★18日取次搬入予定。同時刊行の『社会的なもののために』に負けず劣らずこんにちもっともアクチュアルな問題圏のひとつと言える「科学技術社会論(Science, Technology and Society; Science and Technology Studies)」を、東日本大震災の事例によって掘り下げていく意欲的な論文集です。「はじめに」によれば本書の内容構成は次の通り。

「一章では、食品の放射能汚染問題をとりあげる。食品放射能に対する市民の不安、またそれに対する行政対応のあり方などに注目することで、放射能の「リスク」をめぐる政治性について考える。
 二章では、さまざまな議論のある低線量被ばく問題を取り上げる。一〇〇ミリシーベルト未満の低線量の被ばくが健康に与える影響について、人々の受け止める不安の背後にどのような問題があるかを検討する。
 三章では、「被害者」の抱える苦悩に注目する。JR福知山線事故の被害者の言葉に耳を傾けることを通して、科学では見えてこない被害当事者の苦悩のありかたを見ていく。
 四章では、震災で浮き彫りになった専門家と社会とのコミュニケーションの課題について検討する。そして、震災後の科学技術をめぐるコミュニケーションのあり方について問題提起を行う。
 五章では、東日本大震災における被害のありようを検討する。被害の規模・性格の地域による違いを分析していくと、震災被害をめぐる構造的問題が浮き彫りになってくる。
 六章では、よりマクロな視点から、今回の深刻な被害をもたらした現代科学技術のあり方について考える。哲学者ハンナ・アーレントの議論をてがかりに、私たちが科学技術とどのように向かい合っていくべきかが検討される」(viii-ix頁)。

★本書の分類コードはC0036で「社会」ですが、内容的には科学(理工書)にも政治にもかかわりがあります。書店さんにとって本書は社会学、政治、科学を横断させるための格好の素材になると思われます。リアルな社会問題の究明を書棚で表現しようとする時、文系理系の縦割り分類はかえって邪魔になります。ブルーノ・ラトゥールやポール・ヴィリリオ、ジャン=ピエール・デュピュイなどもそうですが(あるいはスティーヴン・トゥールミンやエドガール・モランらも併せていいかもしれません)、越境的な研究者や京急書をピックアップし、科学哲学棚をもっと効果的に盛り上げていくといいような気がします。

★本書の執筆者は以下の通りです。

中村征樹(なかむら・まさき:1974-。大阪大学全学教育推進機構准教授。科学技術社会論・科学技術史)
神里達博(かみさと・たつひろ:1967-。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任准教授。科学史・科学技術社会論)
調麻佐志(しらべ・まさし:1965-。東京工業大学大学院理工学研究科准教授。科学計量学)
八木絵香(やぎ・えこう:1972-。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授)
田中幹人(たなか・みきひと:1972-。早稲田大学大学院政治学研究科ジャーナリズムコース准教授。科学/ジャーナリズム/インターネットの境界領域研究)
標葉隆馬(しねは・りゅうま:1982-。総合研究大学院大学先導科学研究科助教。科学技術社会論)
平川秀幸(ひらかわ・ひでゆき:1964-。大阪大学コミュニケーションデザイン・センター准教授。科学技術社会論)
伊勢田哲治(いせだ・てつじ:1968-。京都大学大学院文学研究科准教授。科学哲学・倫理学)
渡部麻衣子(わたなべ・まいこ:1979-。日本学術振興会特別研究員、東京大学大学院情報学環所属。科学技術社会論)
有賀暢迪(ありが・のぶみち:1982-。立教大学兼任講師・電気通信大学非常勤講師。科学史)
立石裕二(たていし・ゆうじ:1979-。関西学院大学社会学部准教授。科学技術社会学)
難波美帆(なんば・みほ:1971-。早稲田大学大学院政治学研究科准教授)

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彼女は何を視ているのか――映像表象と欲望の深層
竹村和子(たけむら・かずこ:1954-2011)著
作品社 2012年1月 本体2,600円 A5判上製304頁 ISBN978-4-86182-418-0

帯文より:私たちの性意識や欲望は、映像・映画によっていかに創られているのか? 惜しくも急逝した、日本を代表する批評理論家・竹村和子が、その理論・思想を映像分析に応用した、挑戦的ジェンダー映画論。トリン・ミンハとの対話、レイ・チョウ、ローラ・マルヴィとの対論も収録。

目次:
プロローグ ハリウッドと同性愛表象
フィルム・レヴューcolumn 異性愛を洗脳するハリウッド
第I部 レズビアン表象/ホモソーシャルの陰影
 第1章 「欲望」の「夢」の出来事を生きれば――『マルホランド・ドライブ』をとおって
 第2章 「噂」の俳優――グレタ・ガルボをクィアに見る
 第3章 カミングアウトして、どこへ――ジュディス・バトラーとレズビアン映像表象
フィルム・レヴューcolumn 『ナイトレイト・キス』バーバラ・ハマー、一九九二年
第II部 女同士の絆/[ヘテロ]セクシズムの攪乱
 第4章 イヴからマドンナ、ラスベガス・ダンサーへ――対象化と同一化の終わりなき物語
 第5章 〈悪魔のような女〉の政治学――女の「ホモソーシャルな欲望」のまなざし
 第6章 忘却/取り込みの戦略――バイセクシュアリティ序説
フィルム・レヴューcolumn 『夜の子供たち』アンドレ・テシネ、一九九六年、フランス
第III部 暴力と美学/動員されるエロス
 第7章 死の領有――戦争映画と純愛物語が交差するところ
フィルム・レヴューcolumn 笑いと麻痺の戦争証言――『陸に上がった軍艦』二〇〇七年
 第8章 マゾヒスティック・エイジェンシーの(不)可能性――アブグレイブ写真・『ソドムの市』・『ドッグヴィル』におけるプンクトゥムと暴力
フィルム・レヴューcolumn 「アメリカ」のロリータ、あるいは空間の記憶喪失――『ロリータ』一九六二年・一九九七年
第IV部 メタ映像論/偶発性と歴史性
 第9章 責任あるエイジェンシー――ポストモダニズム、ポストコロニアリズム、フェミニズム
 第10章 〈現実界〉は非歴史的に性化されているか?――フェミニズムとジジェク
第V部 応答による批評実践
 第11章 レイ・チョウへの応答
  日本におけるアメリカ研究、アメリカ研究における日本――異言語的な聞き手への語りかけの構えの挑戦 (レイ・チョウ/山口菜穂子・内堀奈保子訳)
  異質性と友情――アメリカ研究とジェンダー研究 (竹村和子/内堀奈保子訳)
 第12章 ローラ・マルヴィへの応答
  ニュー・テクノロジーから観る (ローラ・マルヴィ/水野祥子訳)
  穿視〔せんし〕する観客/行為者――デジタル・テクノロジー時代の〈死〉に漸近する観客の快楽 (竹村和子)
第VI部 トリン・T・ミンハとの対話
 第13章 〈愛のお話〉と表象の可能性――覗き見るもの/見られるもの (トリン・T・ミンハ/竹村和子)
 第14章 ポストコロニアルなスタンス――トリン・T・ミンハを読む
フィルム・レヴューcolumn 間隙を生きる/語る――トリン・T・ミンハ「境界線上の映画」一九九九年

解説 穿視する女〔ひと〕 (新田啓子)
あとがきにかえて (河野喜代美)
ビブリオグラフィー
フィルモグラフィ/インデックス

★発売済。2011年12月13日に惜しくもガンで亡くなられた著者による未完の書が、残された友人たちの手によって再構成され一冊となりました。附録小冊子として「竹村和子さんと〈チームK(和子)〉」(大島美樹子・河野貴代美・篠塚英子)、全16頁が付属しています。編集を担当されたUさんからいただいたプレスリリースによれば、本書は「批評理論を映像・映画に応用し、いかに私たちの性意識や欲望がハリウッド映画などの「異性愛の洗脳装置」によって構築されてきたのか」、また「現在、いかに映画がジェンダーをめぐる攪乱の場となっているのか」を論じた、刺激的な映画論となっているとのことです。私が初めて竹村さんの謦咳に接したのは、トリン・T・ミンハさんの来日時でした。終始にこやかで友愛に満ちた竹村さんの振る舞いを思い出します。


虚実亭日乗
森達也(もり・たつや:1956-)著
紀伊國屋書店 2013年1月 本体1,700円 46判並製376頁 ISBN978-4-314-01100-6

帯文より:森達也、悶える! 異文化の境界で、憎悪の連鎖する世界で、生死の淵で、異国の女子トイレで…逡巡し、葛藤し、煩悶する日々を私小説風に描き、フェイクドキュメンタリーを活字で試みる意欲作。

目次:
虚実皮膜に悶える南京
禁煙に悶える南京
善悪の狭間で悶える南京
異文化の境界で悶える南京
業界の片隅で悶える南京
罪と罰の狭間で悶える南京
ホンオフェに悶える南京
生死の淵で悶える南京
主観と客観の隙間で悶える南京
夢と現実の境界で悶える南京
異国の女子トイレで悶える南京
厳罰と寛容の狭間で悶える南京
憎悪の連鎖する世界で悶える南京
アフマディネジャドの謎に悶える南京
正義と悪のパラドックスに悶える南京
連載打ち切りに悶える南京
ハブとイラブーとアフリカマイマイに悶える南京

★発売済。担当編集者のAさんからいただいたプレスリリースによれば、本書は「歯切れよく断言する人がカリスマとしてもてはやされる今の日本で、物事を単純化せず、違う角度から眺めてみること、考え込んで煩悶すること」で「日本社会のタブーに切り込」んでいった一冊、とのことです。目次を一瞥すると「異国の女子トイレで悶える」というくだりがつい気になりますが、これはノルウェーでのむしろ「良い話」に属するエピソードです。個人的には主人公の緑川南京(ナンキョウ、と読むそうです)が交通事故で入院した際に枕元に積んでいた本の数々の「取り合わせ」が実に興味深く、著者の森さんの書斎をほんの少しだけ覗き見できた気分になりました。

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テーマ別 世界神話イメージ大百科
クリストファー・デル著 前田耕作日本版監修 花田知恵訳
東洋書林 2013年1月 本体9,500円 B5変形判上製352頁 ISBN978-4-88721-810-9

帯文より:名画の集う〈原型〉の万神殿! 詩精〔ムーサ〕よ、〈観念〉〔イデア〕よりまず〈形象〉〔イメージ〕を与え給え! 82のモティーフに分類された東西の伝承譚〔ミュトス〕を概説し、照応する著名絵画、秘画、部族芸術400余点を集載。智慧の実を食べた者どもの心裡に兆した、世界意思とも言える創造の躍動〔ダイナミズム〕を直感的に俯瞰する視覚全書!

カバーソデ紹介文より:汲めども尽きぬイメージの源泉……神話はあらゆる表象の母であり、今もそうあり続けている。時空の際〔きわ〕で語られた多義的なこの物語群は、人類の営為の深いあわいを暗示し、であるからこそ幾多の創作家たちを触発してやまない。人間世界を照らす鏡である神話の数々を地域ではなく共有する主題によって横断し、選り抜かれた図版の交響によって鬱蒼たる〈記憶の森〉の冒険行へと誘う。

原書:Mythology: The complete Guide to Our Imagined World, Thames & Hudson, 2012.

目次:
序章
第1章 超自然の領域
第2章 地上
第3章 人間
第4章 神々からの贈りもの
第5章 動物の世界
第6章 象徴的〔シンボリック〕な物たち
第7章 英雄
第8章 探究、長い旅、そして叙事詩
世界神話・概要
日本版あとがき
参考文献
図版出典
索引

★発売済。神話世界を表現した芸術作品全般が好きな私にとって非常に楽しい一冊です。オールカラーの図版の数々を一瞥するだけでもゆうに一時間以上はかかります。ことしの干支である「蛇」についても、エジプト「死者の書」のサタ神や、インドの水神ナーガ、千の頭をもつ大蛇シェーシャなどを見ることができます。むろん、イヴをそそのかした古き蛇も。神話別ではなく、モチーフ別に神話を横断してまとめられているというのがミソです。時代を超え、場所を越えてそこかしこに繰り返し現れるイメージ群をめぐる探求の旅には終わりがないようです。


ビジュアル版 アメリカ大統領の歴史大百科
ジョン・ロウパー著 越智道雄訳
東洋書林 2012年12月 本体9,500円 A4変形判上製264頁 ISBN978-4-88721-811-6

帯文より:誰よりも激しく「世界」を夢見た44人の国父の肖像! 独立戦争の前夜から人種分断に風穴をあけた元首の再選まで、各政権間の里程標〔マイルストーン〕を交えながら、辛苦〔たしな〕みつつ荒れ野を降る主導者のゆくたてをつぶさに語り、超大国の250年を総括する全128項! ファーストレディ小伝、各州の連邦加盟データなどのコラム170本、フルカラー図版460点付。

カバーソデ紹介文より:大統領制は米国政の主柱であるとともに、世界随一の発言力を個人に付託する強大な権威である。21世紀において、ワシントン、ジェファスン、リンカーン、ウィルスン、そして2人のローズヴェルトに比較しうる「英雄」、キャプテン・アメリカは果たして現れるのか?――米大統領44代の光と影を順行し、次代の人物像を見晴るかすビジュアル歴史全書。

原書:The Complete Illustrated Guide to the Presidents of America, Anness Publishing, 2008.

目次:
序文
歴代大統領一覧
第Ⅰ部 18・19世紀の大統領 1754-1901
 第1章 ジョージ・ワシントン、ジョン・アダムズとアメリカ合衆国の建国(1754-1801)
 第2章 トマス・ジェファスンからジェイムズ・モンローまで(1801-1825)
 第3章 ジョン・クインシー・アダムズからジェイムズ・ポークまで(1824-1848)
 第4章 ザカリー・テイラーからアンドルー・ジョンスンまで(1849-1869)
 第5章 ユリシーズ・S・グラントからウィリアム・マッキンリーまで(1869-1901)
第Ⅱ部 20世紀以降の大統領 1901-
 第6章 セオドア・ローズヴェルトからウドロウ・ウィルスンまで(1901-1921)
 第7章 ウォーレン・ハーディングからフランクリン・D・ローズヴェルトまで(1921-1945)
 第8章 ハリー・トルーマンからジョン・F・ケネディまで(1945-1963)
 第9章 リンドン・B・ジョンスンからジミー・カーターまで(1963-1981)
 第10章 ロナルド・レーガン以降(1981-)
補遺――オバマ再選までの道程
訳者あとがき
索引

★発売済。全世界にとっての「公人」として明々白々たる可視性のもとにある存在でありながら、時としてその周囲が深い闇に包まれ、けっして解き明かされることのない謎をまとってもいるアイコン、米国大統領。新聞や歴史書に書かれた姿だけでなく、都市伝説や奇妙な歴史的符合をも影として飲み込むその存在感は、私たち日本人にとっても無視できないものです。そんな歴代大統領を、豊富な図版と史実で一望させてくれる便利な本が出ました。建国時や戦後の人物は比較的に思い出しやすいですが、それ以外の人々は名前すら知らない場合が多いのが普通です。日本の歴代首相についての本(たとえば御厨貴編『歴代首相物語』新書館、2003年)などと一緒にひもとくといっそう興味深いものがあると思います。
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by urag | 2013-01-14 23:30 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2013年 01月 08日

2013年、本年もよろしくお願いいたします

2013年の営業を昨日より開始いたしました。本年もどうぞよろしくお願いいたします。

◎2012年に刊行した書目

2012年01月『いまだない世界を求めて』ロドルフ・ガシェ=著/吉国浩哉=訳、本体3,000円
「叢書エクリチュールの冒険」第2回配本。ハイデッガー、レーヴィット、デリダを読み解く現象学的思考の最前線。日本版オリジナル論集。

2012年02月『ヘーゲル弁証法とイタリア哲学――スパヴェンタ、クローチェ、ジェンティーレ』上村忠男=編訳、本体3,800円
「古典転生」第6回配本(本巻第6巻)。19~20世紀イタリアでのヘーゲル受容の百年におけるもっとも重要な一幕を再現するアンソロジー。

2012年03月『ジョルダーノ・ブルーノの哲学』岡本源太=著、本体3,800円
「古典転生」第7回配本(本巻第7巻)。16世紀イタリアの哲学者ブルーノを現代に活きいきと蘇らせる若き学究のデビュー作。

2012年04月『昆虫の記憶による網膜貯蔵シェルター、及びアンテナ』清水アリカ=著、本体1,800円
虫、音楽、競馬、F1、バロウズなどをめぐる批評的エッセイを集成した遺稿集。

2012年04月『カラー』森山大道=写真、本体4,600円
2008年から2012年までコンパクトデジタルカメラで東京を撮りおろしたフルカラー作品集。

2012年06月『権力の心的な生――主体化=服従化に関する諸理論』ジュディス・バトラー=著/佐藤嘉幸・清水知子=訳、本体2,800円
「暴力論叢書」第六回配本。主体化=服従化(subjection)を徹底的に考察し、内なる権力への抵抗の契機を模索する。

2012年07月『棒・数字・文字』レーモン・クノー=著/宮川明子=訳、本体2,800円
数学と文学が出会うウリポ(潜在文学工房)に至る足跡を示したエッセイ集。

2012年08月『到来する共同体』ジョルジョ・アガンベン=著/上村忠男=訳、本体1,800円
「叢書エクリチュールの冒険」第3回配本。共同体の問いを再定礎するアガンベンの政治哲学の鍵となる代表作。

2012年09月『盲目と洞察――現代批評の修辞学における試論』ポール・ド・マン=著/宮﨑裕助・木内久美子=訳、本体3,400円
「叢書エクリチュールの冒険」第4回配本。イェール学派の領袖の主著。1971年初版本よりの完訳。

2012年10月『モノクローム』森山大道=写真、本体4,600円
円熟という境地から遠く離れた、ストレートにして自在なフレーミングによる「東京」写真集。

2012年11月『エコ資本主義批判――持続可能社会と体制選択』ショラル・ショルカル=著/森川剛光=訳、本体3,200円
環境保護運動と資本主義の危険な癒着を徹底批判し、新しい時代のためのエコソーシャリズムを展望する。

以上、11点【人文社会書7点、文芸書2点、芸術書2点】の書籍を刊行いたしました。また、4月には『表象06:ペルソナの詩学』(表象文化論学会発行/月曜社発売、本体1,800円)を発売しております。
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by urag | 2013-01-08 18:21 | ご挨拶 | Trackback | Comments(0)