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2011年 07月 31日

7月の発売済み注目新刊

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ユング伝記のフィクションと真相
ソヌ・シャムダサーニ(Sonu Shamdasani: 1962-)著 河合俊雄監訳 田中康裕・竹中菜苗・小木曽由佳訳
創元社 2011年7月 本体3,000円 A5判上製238頁 ISBN978-4-422-11509-2

帯文より:いま真実が明らかに! 『ユング自伝』をはじめ、さまざまな『伝記』を取り上げ、その一つひとつを批判的に検証した衝撃的な一冊。

★原題は「彼の伝記作者たちによって裸にされたユング、さえも」(Jung Stripped Bare by His Biographers, Even)。マルセル・デュシャンの有名な作品「彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも」(Mariée mise à nu par ses célibataires, même)にあやかったものでしょう。著者のシャムダサーニさんはユング『赤の書』(創元社、2010年)の出版に尽力した学者で、『ユングと現代心理学の形成――科学という夢』(Jung and the Making of Modern Psychology: The Dream of a Science)という大著を2003年に上梓しています。この大著は「ユング心理学の創成に関する新しい解釈を示した」もので、「現代心理学と心理療法の始まりの持つ諸側面についての新しい解釈」でもあり、「「ユング伝説」とも呼ぶべきものに対する挑戦」であると自己紹介されています(『ユング伝記のフィクションと真相』序章、17頁)。2005年に原著が刊行された『ユング伝記のフィクションと真相』はこの大著の姉妹編とでも呼ぶべき論考です。

★『ユングと現代心理学の形成』は「一次資料の研究に基づいて、ユング心理学の構成を心理学、心理療法、人間科学の成立という文脈で探求しようと努め〔…〕生前のユングの著作の受容という側面を再構築した」(『ユング伝記のフィクションと真相』謝辞、5頁)もので、一方、『ユング伝記のフィクションと真相』は「〔ユングの〕死後登場したあまりに多くの二次文献について」の考察であり、「ユングの伝記と彼の仕事の編集の歴史を再現することを通じて」(同頁)、二次文献を批判的に検証したものとなっています。シャムダサーニさんの言う伝説化されたユング像への挑戦というのは、次の問題意識に立脚しています。「われわれは今日において、深刻な状況に直面している。目下のところ、ユングに関する多数の文献に多く含まれている神話、虚構、誤謬のために、広い領域の人々がユングについての虚構の話と歴史的な人物像との間の区別ができていないのである。驚嘆すべきことに、専門のユング派たちもこのことからの影響から免れているわけではない。ユングに関する歴史的、伝記的情報が不足していること、多くの草稿、セミナー、書簡がいまだに未刊のままになっているというあまり十分に認識されていない事実とが、この状況に輪をかけている」(16頁)。

★本書は容赦なく数々のユング伝の問題点を列記し、聞き書きによる回想録(アニエラ・ヤッフェ編『ユング自伝――想い出・夢・思想』全2巻、みすず書房、72-73年)に留保をつきつけ、未完の『全集』の様々な障害を明かしています。ユングの著作の翻訳出版をめぐる関係者たちの密かな争いや改竄の歴史にはなかなかすさまじいものがあり、一出版人として耳が痛くなる教訓が随所にありました。ユング心理学はいまだに全貌が明らかになっていないのだ、という厳然たる事実を本書は教えてくれており、行く手の遙かさにはいささか唖然とします。唖然としつつも、ユングの遺産はいよいよこれから明らかになるのだという期待感も高まります。

★本書で言及されている主な伝記には以下のものがあります。日本で翻訳されているものについてはおおむね一定評価を与えられており、特にベネットやハナーについては好評ですが、読みたい方は現在は古書店か図書館で探さねばなりません。一方、未訳のベアの本についてはかなり痛烈に問題点が指摘されています。

ベンネット(ベネット)『ユングの世界――こころの分析とその生涯』川島書店、1973年
ベネット『ユングが本当に言ったこと』思索社、1985年
ハナー『評伝ユング――その生涯と業績』全2巻、人文書院、1987年
スターン『C・G・ユング――憑依された預言者』未訳、1976年
ブローム『ユング――人と神話』未訳、1978年
ナムチェ/レイン『ユングと人々――天才と狂気の研究』未刊(1983年)
ヴェーア『ユング伝』創元社、1994年
マクリン『カール・グスタフ・ユング――伝記』未訳、1996年
ハイマン『ユングの生涯』未訳、1999年
ベア『ユング――伝記』未訳、2003年 

★シャムダサーニさんはちなみに、『ラカンの思想』が日本でも訳されているミケル・ボルク=ヤコブセン(Mikkel Borch-Jacobsen: 1951-)との共著であるフロイト論『フロイト・ファイル――心理学史についての調査』を2006年に上梓しています。先述の『ユングと現代心理学の形成』は『彼の伝記作者たちによって裸にされたユング、さえも』が出た以上、いずれ翻訳される気がしますが、フロイト論にも興味が沸くところではありますね。


カラダという書物
笠井叡(かさい・あきら:1943-)著
書肆山田 2011年6月 本体2,800円 四六変判上製295頁 ISBN978-4-87995-821-1

帯文より:ダンサーにとって〈カラダ〉とは何か。笠井叡、宇宙の感覚器官としての人間身体を問う。たとえばミミズやバラの花や魚の、大地や海との一体的ありよう。これは人間には不可能である。自然としての身体を持ちながら。なぜだろう…人間身体と生命のありようを徹底考察する。

★叢書「りぶるどるしおる」の最新刊。伝説的な舞踏家として高名な笠井さんの久しぶりの書き下ろしです。長きにわたる実践と研鑽に裏付けされた卓抜な身体論となっています。本屋さんではたいてい芸術書のダンスの棚に置かれるのでしょうけれど、御承知のように笠井さんはシュタイナーとオイリュトミーに深く学んでこられた方なので、人文書のシュタイナー棚に置かれてもいいはずです。私が笠井さんに初めてお目にかかったのは95年の「我が黙示録」の公演の折です。私は当時、哲学書房に勤めていました。その頃のエピソードを盛り込んだ懐かしい拙文「天使を思い出すこと」に久しぶりにネット上で再会したので、赤面しつつリンクを張っておきます。笠井さんの既刊書には以下のものがあり、いずれも素晴らしい本なのですが、ほとんどが絶版。中には入手しにくいものもあり、たいへん残念でなりません。いつの日か、再刊の名乗りをあげたいものです。

『天使論』現代思潮社、1972年
『聖霊舞踏』現代思潮社、1977年
『神々の黄昏』現代思潮社、1979年
『人智学とオイリュトミー』全2巻、ダンスワーク舎、1984年
『未来の舞踊』ダンスワーク舎、2004年4月
銀河革命』現代思潮新社、2004年7月

★なお、巻末の「りぶるどるしおる」続刊予定に、ロジェ・ラポルト/神尾太介『死ぬことで』がエントリーされていました。楽しみですね。

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パリ五月革命 私論――転換点としての68年
西川長夫(にしかわ・ながお:1934-)著
平凡社新書 2011年7月 本体960円 新書判480頁 ISBN978-4-582-85595-1

帯文より:「もうたくさんだ、街に出よう」――世界を変える、私が変わる。祝祭的な反乱の日々の、濃密なドキュメント。

カバーソデ紹介文より:植民地闘争からヴェトナム戦争へ、プラハの春から全共闘へ、そして「郊外暴動」へ。六八年五月、パリで起こった「革命」は、二〇世紀後半の世界史的転換点だったのではないか。それはまた「私」の変革への希望でもあった。政府給費留学生として現場に居合わせた著者による、迫真のドキュメント、革新的思想の再起動。

★新書とはいえ分厚い本で、読み応えがあります。43年後の総括と銘打って、ご自身の体験を織り交ぜながら、様々な文献をひもときつつ当時の運動と思潮とを「再読」しておられます。「パリ五月革命」の実見記としては、鈴木道彦さんの『異郷の季節』(みすず書房、1986年)という美しい本がありますね。弊社で刊行している『ブランショ政治論集』でも、五月革命の息吹の一端を知ることができます。数多くの若者たちの熱気に溢れた五月革命の顛末は、今なお胸に迫る迫力があります。こんにち、見るも無残な私たちの国の政治状況を前にして、この一書は単なる思い出話以上の光彩を放つでしょう。つまり、時として国民は街頭に出て是が非でもはっきりと訴えねばならない、という確信の……。

★平凡社さんの8月新刊ではライブラリーの2点、 西野嘉章『新版 装釘考』、鈴木大拙『禅の第一義』に注目です。前者は2000年に玄風舎から刊行されたあの美しい本文二色刷り活版印刷本が親本かと思いますが、くだんの造本から考えてまさかライブラリーになるとは思いませんでした。


本の世界に生きて50年
能勢仁(のせ・まさし:1958-)著
論創社 2011年7月 本体1,600円 46判並製206頁 ISBN978-4-8460-1073-7

帯文より:千葉の書店「多田屋」に勤めた著者は、「平安堂」でフランチャイズビジネス、創業期の「アスキー」で出版社、「太洋社」で取次と、出版業界を横断的に体験する! リアル書店の危機とその克服策。本の関わり続けるのもひとつの生き方である。

★シリーズ「出版人に聞く」の第5弾です。書店から出版社へ、あるいは出版社から書店へ転職するケースはそれなりに耳にしますが、さらに取次へ、という出版業界の枢軸たる三者で経験を積んだ方というのはそう多くはいないはずです。能勢さんはそうした意味で業界ではたいへん有名な方で、本書ではそのプロフィールについて詳しく知ることができます。巻末に収録された「《付論》消えた書店――あの書店はもうない」が、何とも言えない寂寥感に溢れた回顧録になっています。この付論は昨年「新文化」に連載されたのをまとめたもの。淡々とした記述でけっして感傷的ではありません。だからこそ、今はもうないという不在の重みを感じます。忘却に抗って、「その店はそこにあった、確かにあった」と証言しなければならないのです。
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by urag | 2011-07-31 23:51 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 23日

ジョン・ホロウェイ選「革命―資本主義に亀裂をいれる」@じんぶんや第72講

紀伊國屋書店新宿本店人文書売場の連続フェア【じんぶんや】の第72講として、ジョン・ホロウェイによる選書フェア「革命――資本主義に亀裂をいれる」が以下の通り開催されています。河出書房新社さんから4月に刊行された同名の著書『革命――資本主義に亀裂をいれる』をきっかけにして企画されたものです。

◎【じんぶんや第72講】ジョン・ホロウェイ選『革命──資本主義に亀裂を入れる』
場所:紀伊國屋書店新宿本店 5Fカウンター前
会期:2011年7月11日(月)~8月上旬
お問合せ:紀伊國屋書店新宿本店 電話03-3354-0131

同書の共訳者の高祖岩三郎さんによるエッセイ「ジョン・ホロウェイの亀裂について――3/11以降の東京の女の子のために」がこちらで読めます。店頭の様子は以下の写真をご覧ください。コメント付き選書小冊子が店頭で無料で配布されています。

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by urag | 2011-07-23 21:43 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 20日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2011年8月27日(土)
蔦屋書店前橋みなみモール店:図書900坪
群馬県前橋市新堀18 パワーモール前橋みなみ
取次はN。弊社へのご発注は写真集がメインでした。前橋南インターチェンジに隣接する大型商業施設「パワーモール前橋みなみ」(2010年12月に第一期オープン)内に新規出店。プレオープンが27日、グランドオープンが28日です。コストコと同様にモールの第二期オープンに位置づけられるもののようです。取次の出品依頼書によれば、売場総面積は1650坪の内、図書(書籍・雑誌)が900坪、レンタル180坪、セル80坪、その他490坪。新潟や長野を主要拠点に複合書店の蔦屋書店を展開する株式会社トップカルチャーにおいて最大規模の店舗になります。その他490坪というのはトップカルチャーの実績から推察すれば、ゲームや文具、喫茶コーナーなどが妥当のようです。ベイシアが開設したこの巨大モールの主要テナントはベイシア、ベイシア電器、カインズホーム、コストコ(8月オープン)など。ベイシアはこの巨大モールを「群馬県内最大級・日本初の本格的パワーセンター」と位置づけています。

小学館の「日本大百科全書」によれば「パワーセンター」とは「郊外立地のショッピング・センター(SC)で、ふつうのSCが大型百貨店やスーパーを核店舗に、その周辺に規模の小さな専門店、外食店群を配置するのに対し、専門店型安売り店(カテゴリーキラー)数社が集まってSCを形成する。売り場面積は3万平方メートル以上、中核となるカテゴリーキラーは5店以上が原則」だそうです。「パワーモール前橋みなみ」は今秋ないし今冬の第三期オープンをもって営業面積が約7万平方メートルになります。



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by urag | 2011-07-20 12:27 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 19日

「毎日新聞」にユンガー『パリ日記』の書評

「毎日新聞」2011年7月17日(日)付読書欄に弊社6月刊エルンスト・ユンガー『パリ日記』の書評が掲載されました。鹿島茂さんの書評「占領下に交錯する作家の幸福と危惧」です。「本書は占領下のパリの詳細を知りたいと思う者にとって長らく翻訳が待たれていた第一級の資料である。〔・・・〕日記の眼目はレストランやカフェで出会ったドイツ人やフランス人の文学者や芸術家の印象を記すことにある。私のようなフランス屋にとってはこうした部分がまことにありがたい」と評していただきました。鹿島先生、ありがとうございました。

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by urag | 2011-07-19 18:24 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 18日

今週発売の注目新刊(2011年7月第4週)

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ニューヨーク 地下都市の歴史
ジュリア・ソリス(1964-)著 綿倉実香訳
東洋書林 2011年7月 本体3800円 A5判上製242頁 ISBN978-4-88721-792-8

原書:Der Untergrund von New York: Anatomie Einer Stadt, Links Verlag, 2002.

帯文より:巨大な魔都の闇の中、脈動するもうひとつの開拓地〔フロンティア〕! 未来へと邁進する都市の奥底、幾重にも積層した歴史の最新部には、衆愚の街〔ゴッサム・シティ〕とあだ名されるゆえんとなる遺構が残されていた。権力争いや違法行為の残痕、映画を誇る建築物からなる「世界の首都」を築き上げた人々の営みの踏査へと向かう扉が今開かれる! 解説=海野弘

目次:
第1章 もうひとつのニューヨークの魅力
第2章 マンハッタンの生命線
第3章 地下鉄システム
第4章 地下の巨大建築物
第5章 秘密に満ちたトンネル
第6章 逃げ道と配管シャフト
第7章 迷宮と丸天井
第8章 地下世界の魅力
解説
索引
参考文献

★21日(木)取次搬入と聞いています。書店店頭に並び始めるのは翌日22日以降ということになるかと推察します。一昨年同社より刊行されたリアー+ファイ『パリ 地下都市の歴史』(古川まり訳、奥本大三郎解説、東洋書林、2009年9月、本体3800円、ISBN978-4-88721-773-7)に続く、「地下都市の歴史」第二弾です。「開拓者たちの遺跡、水道管や地下鉄をめぐる烈しい利権争いの名残、禁酒法時代のもぐり酒場(スピークイージー)、怪し気な実験が行われたコロンビア大学の地下ホール、廃坑をねぐらとする「モグラびと」たちの生活の痕跡、そして9.11同時多発テロによる新たな都市の埋葬……実は地中にこそ、新旧とりまぜた生々しい歴史の証言が残されているのだ」(カバーソデ紹介文より)。図版約200点。いわゆるお堅い歴史書ではなく、著者が一人称で自身の地下探索の体験を語る体裁がベースになっているので、読みやすいです。地下施設というのはどうしてこうも魅惑的なのでしょうか。日本でも、東京の地下世界をめぐる秋庭俊さんの数々の本は人気ですよね。東洋書林さんでは第三弾『ベルリン 地下都市の歴史』も続刊予定だそうです。

★「モグラびと Mole People」については、参考文献に挙げられているジェニファー・トス『モグラびと――ニューヨーク地下生活者たち』(渡辺葉訳、集英社、1997年)が詳しいルポになっています。また、彼らの生活を写した写真を添えたインタビュー集として、マーガレット・モートン(Margaret Morton)の『トンネル――ニューヨーク市の地下ホームレス』(The Tunnel: The Underground Homeless of New York City, Yale University Press, 1995)という古典があります。モートンはこのほかにも『壊れやすい住居――ニューヨーク市のホームレス・コミュニティ』(Fragile Dwelling: Homeless Communities of New York City, Aperture, 2000)や『ガラスの家』(Glass House, Pennsylvania State University Press, 2004)といった関連書を出版しています。日本で言えば坂口恭平さんの仕事に近いでしょうか。



ガセネタの荒野
大里俊晴著
46判(タテ188ミリ×ヨコ118ミリ)並製、192頁、税込定価1,470円(本体価格1,400円) ISBN:978-4-901477-86-4

内容紹介:19年ぶり、待望の復刊! 山崎春美、浜野純、大里俊晴による伝説のバンド「ガセネタ」の結成から解散までの破天荒な活動(1977~1979年)を赤裸々に描写。「吉祥寺マイナー」などのライブハウスやイヴェント現場の内情、ロックとマイナー音楽を取り巻く混沌とした状況、当時の先鋭的なバンドをめぐる精神的傾倒を回想する、アンダーグラウンド音楽シーンの歴史的重要書! 最後の、しかし終わらない伝説。

★20日(水)取次搬入の弊社新刊です。「ガセネタ」のことはまったく知らない、という読者の方でも、「青春小説」としても抜群に面白く読んでいただけると思います。書影はこちらでご覧ください。先日のエントリーでもご報告しましたが、都内の超大型店には早ければ21日より書店店頭に並び始めます。全国的には翌週25日以降の店頭発売になると思われます。本書はもともと洋泉社さんから1992年に発行されたもので、今回の新装復刊にあたり、表記を著者の最終原稿にもとづいて校訂しました。洋泉社版に掲載されていた見出しや参考資料、写真は再録していません。ガセネタの10枚組CDボックス『ちらかしっぱなし――ガセネタ in the BOX』が同時期にディスクユニオンにて発売されます。

大里俊晴(おおさと・としはる):1958年2月5日新潟生まれ。70、80年代に「ガセネタ」「タコ」などのバンドで活動。早稲田大学文学部を卒業後、87~93年、パリ第8大学にてダニエル・シャルルのもとで音楽美学を学ぶ。97年から横浜国立大学にて現代音楽論、マンガ論、映像論などの講義を担当。著書に『マイナー音楽のために』(月曜社、2010年)。音楽批評家・間章に関するドキュメンタリー映画『AA』(監督:青山真治)では全編にわたりインタビュアーを担当。2009年11月17日死去。享年51。

写真は右が92年の洋泉社版、左が今回発売となる月曜社版です。
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★今月(2011年7月)下旬は、岩波書店の新刊に興味深い書目が続きます。

28日発売:ジャン-ピエール・デュピュイ『ツナミの小形而上学』嶋崎正樹訳、本体1,900円
28日発売:ウルリッヒ・ベック+鈴木宗徳+伊藤美登里編『リスク化する日本社会――ウルリッヒ・ベックとの対話』本体1,900円
28日発売:ウルリッヒ・ベック『〈私〉だけの神――平和と暴力のはざまにある宗教』鈴木直訳、本体3,300円
28日発売:宇京賴三『異形の精神――アンドレ・スュアレス評伝』本体2,800円
28日発売:山内志朗『存在の一義性を求めて――ドゥンス・スコトゥスと13世紀の〈知〉の革命』本体6,700円

★このほか岩波書店では、キャサリン・マッキノン『女の生、男の法』(全2巻、森田成也+中里見博+武田万里子訳、本体4,200円)や、ナオミ・クライン『ショック・ドクトリン』(全2巻)が近刊予定と聞いています。先週(7月第3週)発売の同社最新刊についてもフォローしておきますと、12日にテリー・イーグルトン『詩をどう読むか』(川本皓嗣訳)という単行本を、そして15日発売の岩波文庫では、J・S・ミル『大学教育について』(竹内一誠訳)、中村健之介編訳『ニコライの日記――ロシア人宣教師が生きた明治日本(上)』(全三巻予定)、川合康三訳注『白楽天詩選(上)』(全二巻予定)などが刊行されました。

★先週は「まもなく発売の注目新刊」について書けずじまいでしたから、以下の発売済み新刊について特記しておきたいと思います。


言語と精神
ノーム・チョムスキー著 町田健訳
河出書房新社 2011年7月 本体3,300円 46判上製360頁 ISBN978-4-309-24556-0

原書:Language and Mind, 3rd edition, Cambridge University Press, 2006.

帯文より:人間はなぜ〈言語〉を習得できるのか。言語学に革命をもたらした生成文法とその最重要概念〈普遍文法〉について、チョムスキーが一般向けに解説した名著、待望の新訳!

目次:
第三版への序言
第二版への序言
初版への序言
第一章 精神の研究に対して言語はどんな貢献をするのか──これまでになされたこと
第二章 精神の問題に対する言語学の貢献──現在行なわれていること
第三章 精神の研究に対する言語学の貢献──未来になされるべきこと
第四章 自然言語の形式と意味
第五章 言語の形式的性質
第六章 言語学と哲学
第七章 生物言語学と人間の能力
訳者あとがき

★河出書房新社さんではこれまで同書の第二版が川本茂雄訳で長らく版を重ねていましたが、原著で第七章が追加された第三版が近年刊行されたのをきっかけに、このたび新訳されました。9.11以後、チョムスキーの訳書の新刊はほとんど政治的発言のもので、言語学系が少なかったのですが、それでも『生成文法の企て』(福井直樹+辻子美保子訳、岩波書店、2003年11月)、『言語と認知――心的実在としての言語』(加藤泰彦+加藤ナツ子訳、秀英書房、2004年1月)、『自然と言語』(アドリアナ・ベレッティ+ルイジ・リッツィ編、大石正幸+豊島孝之訳、研究社、2008年8月)と啓蒙的な本が続き、今月『言語と精神』の新訳が出たわけで、チョムスキーの言語観と人間観についてこれらの本できっちり勉強しておきたいところです。なお、『生成文法の企て』は来月(2011年8月)に岩波現代文庫になるようです。

★新訳版『言語と精神』は、河出書房新社さんの創業125周年を記念する名著復活事業「KAWADEルネサンス宣言」の一環として刊行されています。宣言に曰く「刊行時、評価の高かったもの、あるいは再評価の気運のあるもの、そしていまあらためて光をあてるべきものなどを、復刊、また時に新訳などで甦らせ、本を愛する方々のお手元に届けようというものである。/電子書籍時代の到来が喧伝され、読書環境の変化が世を騒がせているが、そうした時代であるからこそ、真の名著はかつてなく望まれているのもたしかである。小社は戦前から今日まで多くのジャンルにわたって多くの書籍を刊行してきた。これらの中にはいまだに読み継がれているものもあれば、また他のかたちで読者の手にわたっているものも少なくない。しかし読み継がれるべきでありながらあらためて光を浴びることなく埋もれてしまった書も多い。そしてそれを再び世に問うことは出版にかかわる者の責務であると同時に大きな喜びである。/われわれはこの事業を「KAWADEルネサンス」と名付ける。ここには失われた名著、良書の復刊・復活だけではなく、これによる新たな文藝復興=ルネサンスへの期待をもこめられている。本を愛してやまない多くの人々があるかぎり、この事業は継続されるだろう」。

★4か月ごとに2~3冊の刊行ペースで進むようですが、来月はクライスト『チリの地震――クライスト短篇集』(種村季弘訳、河出文庫)が復刊されるとのことです。8日発売。版元サイトの内容紹介には「17世紀、チリの大地震が引き裂かれたまま死にゆこうとしていた若い男女の運命を変えた。息をつかせぬ衝撃的な名作集。カフカが愛しドゥルーズが影響をうけた夭折の作家、復活。佐々木中氏、推薦」とありますから、佐々木中さんによる書き下ろし解説などが新たに付されていることを期待したいですね。同じく河出文庫の来月の新刊には、田山花袋『東京震災記』、大澤真幸『文明の内なる衝突――9.11、そして3.11へ』、菊地成孔+大谷能生『M/D――マイルス・デューイ・デイヴィスⅢ世研究(上)』などがエントリーされています。

★このほかの新刊で、笠井叡『カラダという書物』書肆山田、ソヌ・シャムダサーニ『ユング伝記のフィクションと真相』創元社、という素晴らしい2点を取り上げたかったのですが、記事が長くなるため他日を期したいと思います。
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by urag | 2011-07-18 23:58 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 14日

来週後半発売:大里俊晴『ガセネタの荒野』書影公開

7月20日(水)取次搬入の弊社新刊、大里俊晴『ガセネタの荒野』の書影を公開します。一枚目はカバーと帯つき。右が表1、左が表2(裏表紙)。カバーの書名は山崎春美さんが書いたもの。著者名は、著者本人による最終原稿の署名から取ったものです。二枚目はカバーを取った表紙の写真。イラストは1979年「アマルガム」3号掲載のものです。ブックデザインは宮一紀さん。20日に取次搬入のため、都内の超大型店には早ければ21日より書店店頭に並び始めます。全国的には翌週25日以降の店頭発売になると思われます。本書はもともと洋泉社さんから1992年に発行されたもので、今回の新装復刊にあたり、表記を著者の最終原稿にもとづいて校訂しました。洋泉社版に掲載されていた見出しや参考資料、写真は再録していません。

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by urag | 2011-07-14 15:48 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 13日

本日発売「週刊新潮」に福田和也さんのユンガー『パリ日記』評

本日13日発売の「週刊新潮」2011年7月21日号に掲載された、福田和也さんの連載「世間の値打ち」第454回は「興味尽きないE・ユンガー『パリ日記』」と題され、弊社の『パリ日記』を全面的に取り上げていただいています。「戦争は最大の交通だ、と看破したのはドイツの政治学者カール・シュミットでした。戦車が、飛行機が、輸送機が動くだけではなく、諸国民が、その思想が、経済が、生活が、強烈な圧力の下で交錯し、混合する。/シュミットの友人だった作家エルンスト・ユンガーの『パリ日記』(山本尤訳、月曜社)は、「交通」の最上の記録として挙げられるべきでしょう」と評していただきました。『パリ日記』での、コクトーやセリーヌ、レオン・ブロワ、ピカソとの交流のエピソードを丁寧に取り上げていただいています。「脳梗塞の重い後遺症の中、この大著を訳した山本尤氏の奮闘には脱帽の95点、ドイツ占領下のパリの様相、人間像は興味津々の90点、ユンガーの省察と夢の輻輳は85点」と評価していただきました。福田さんにはかつて、同じくユンガーの『追悼の政治――忘れえぬ人々/総動員/平和』も取り上げていただいたことがあります。たいへん光栄です。

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by urag | 2011-07-13 23:19 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 11日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

★廣瀬純さん(『闘争のアサンブレア』共著者、ヴィルノ『マルチチュードの文法』訳者、ネグリ『芸術とマルチチュード』共訳者)

来週木曜日21日の夜に以下のトークイベントが京都で行われます。

◎廣瀬純「BIGGER THAN LIFE----原発から蜂起へ

講師:廣瀬純
日程:2011年7月21日(木)19:30~21:30
場所:Social Kitchen(京都市上京区相国寺北門前町699 Social Kitchen/地下鉄「鞍馬口」徒歩5分)
料金:1,500円(定員:30名)
参加方法:お申し込みを希望される方は、info@hanareproject.netまで、氏名、連絡先を記載してメールをお送りください。メール受信後確認メールをお送りいたします。
問い合わせ:info@hanareproject.net/075-201-1430

企画:須川咲子(hanare)

内容:原発事故は「起きた」のではない、いまもなお「起きている」。原発事故と地震や津波との違いはここにある。いつまで「起きている」ことになるのか。半減期云々を考えても、ほとんど永久に「起きている」ことになるだろう。それではいつから「起きている」のか。3月11日から?そうではない。少なくとも原発が始動してからずっと「起きている」。原発とは事故の制御に存する発電なのだ。この「制御」という語が原発とその時代を考えるための鍵となる。「制御」はまず「解決」から区別されなければならない。原発もその事故も問題を解決することでは微塵もないのだから。原発とその時代において賭け金となるのはつねに未解決にとどまる問題を制御するということだ。人間が自分自身を動力源としてその力を最大限に発揮するという時代は終わりつつある。人間に先立って存在し、人間よりも大きな力、bigger than lifeな力を制御する時代が到来している。サーフィンと原発とが完全に同時期に普及したのは偶然ではない。我々が生きるのはもはや革命の時代ではない。問題を解決するのではなくそれとして生きる時代、蜂起の時代を生きているのだ。

※本レクチャー関連書『思想としての3・11』(河出書房新社)が発売中です。


★今福龍太さん(『ブラジルのホモ・ルーデンス』著者)

みすず書房さんの月刊誌『みすず』での連載が以下の本にまとまりました。7月8日取次搬入。

レヴィ=ストロース 夜と音楽
今福龍太(1955-)著
みすず書房 2011年7月 本体2,800円 四六判上製256頁 ISBN978-4-622-07599-8

裏表紙紹介文より:レヴィ=ストロースとは何者か。その思想の核心は何か。20世紀の知を牽引し、100年を生き抜いた碩学が遺した思惟の森は途方もなく深い。そしてその仕事は、来るべき思考として、私たちの前にそっと差し出された贈り物だ。/著者は音楽的書物といわれる『神話論理』のスタイルに倣い、鬱蒼とした森から響く音に耳を澄ませて、核心に遭遇しようと旅に出る。/最初で最後のフィールドであるブラジルの森の記憶、土器のかけらの感触、民族学が本質的にもつ苦さ、目眩めく日没の光景、ナンビクワラの猿、森と鳥の秩序、神話の時間、大地と人間…。『悲しき熱帯』『神話論理』を導きの糸に、レヴィ=ストロースの思考の種子が生き生きと芽吹き、自在に展開していく。さらに同時代人シモーヌ・ヴェイユやシュルレアリストとの関わりなど、生きた時代の背景が明らかにされる。

目次:
リトルネッロ――羽撃く夜の鳥たち
第一章 ジェネレーション遠望
第二章 サウダージの回帰線
第三章 かわゆらしいもの、あるいはリオの亡霊
第四章 夜と音楽
第五章 ドン・キホーテとアンチゴネー
第六章 野生の調教師
第七章 ヴァニタスの光芒
第八章 人間の大地
カデンツァ――蟻塚の教え
書誌
図版出典
あとがき


★渡名喜庸哲さん(サラ-モランス『ソドム』共訳者)

ブーレッツの大著『20世紀ユダヤ思想家』の共訳を第1巻に続き第2巻でも手がけられています。7月8日取次搬入。

20世紀ユダヤ思想家――来るべきものの証人たち(2)
ピエール・ブーレッツ(1958-)著 合田正人・渡名喜庸哲・藤岡俊博訳 
みすず書房 2011年7月 本体6,800円 A5判上製376頁 ISBN978-4-622-07581-3

裏表紙紹介文より:ユダヤ教と現代思想――20世紀、この両者の深淵で繰り広げられた知的格闘を、思想家ひとりひとりを光源として、詳細かつ重層的に描き出したシリーズの第2巻。/「ショーレムの作品の力は、壮大な構造を描くとともに、それらを細密画で満たし、垣間見られたことのない諸起源を暴くとともに、十分に感知されていない出口を捉え、さらには歴史に一つの論理を課すことなく弁証法を実践するすべを心得ている点に、起因している」/「ブーバーは、自分の同時代人たちのなかで、世界史およびユダヤ人世界を区切る三つの大きな時期を成人として、そして特権的な証人として体験したただ一人の者である」/「ブロッホの書いたものを読むと「たとえマルクス主義の庭で掠めとられてしまうにせよ、智慧の木から疑いなく生まれた」果実をいくつも発見する」/ショーレム、ブーバー、ブロッホにおける、信仰と理性の融和と対立のダイナミズムを丹念にたどった精神史。/1巻では、ヘルマン・コーエン、フランツ・ローゼンツヴァイク、ヴァルター・ベンヤミン。3巻では、レオ・シュトラウス、ハンス・ヨナス、エマニュエル・レヴィナスが論じられる。

目次:
第4章 ゲルショム・ショーレム――認識と修復とのあいだの〈伝統〉
 ベルリンからエルサレムへ
 霧の壁を突破すること
 ユダヤ的魂の隠れた住処
 メシアニズムの弁証法 ユダヤの歴史の書き方
 カバラーとその諸年代
 〈創造〉の追放
 猶予期間の生
第5章 マルティン・ブーバー――神の死の時代におけるヒューマニズム
 ツェーレンドルフの義人
 マルティン・ブーバーのユダヤ教 亡命の下に架かる橋
 〈聖典〉を翻訳すること
 自分がいる所――ハシディズムの道
 出会いの〈汝〉あるいは対話における生
 この時代遅れのシオニズム
 神の栄光と宗教の精神
第6章 エルンスト・ブロッホ――期待の解釈学
 ヴァルター・ベンヤミンの生き残りの兄弟?
 マルクスとともに、マルクスに抗して 弁証法を人間的なものにすること
 ヘーゲルによる世界との時期尚早の和解
 カントとともに――構築不可能な問いの形式
 音楽と超感性的世界の力
 シェーンベルク、モーセ、そして表現しえぬものの輪郭
 驚きと待機 いかなる目も見たことがない世界


◆なお、みすず書房さんの近刊には以下の注目書もあります。『ランボー全集』がすごいですね。全集はこれまでに人文書院や雪華社、青土社などで刊行され、さらに「全詩集」がちくま文庫や河出文庫で手に入りますが、いまなおランボーは愛好者を惹きつけて止まないのですね。

8月10日発行予定:『ランボー全集』アルチュール・ランボー著、鈴村和成訳、A5判584頁、本体6,000円、ISBN978-4-622-07612-4
8月23日発行予定:『古代ローマ生活事典』カール=ヴィルヘルム・ヴェーバー著、小竹澄栄訳、A5判592頁、本体20,000円、ISBN978-4-622-07611-7
9月21日発行予定:『ゴシックの本質』ジョン・ラスキン著、川端康雄訳、四六判176頁、本体2,400円、ISBN978-4-622-07635-3
9月21日発行予定:『フェミニズム政治思想』岡野八代著、四六判304頁、本体3,000円、ISBN978-4-622-07639-1

◆また、同社では、ユングの没後50年を記念して、先月以下の2点を復刊されました。みすず書房さん、人文書院さん、創元社さん、誠信書房さんの四社共同で先月には「カール・グスタフ・ユング没後50年&ユング心理学の第一人者・河合隼雄」ブックフェアが全国で開催されていましたね。一部書店さんではまだフェアを展開中の店舗もあるようです。開催店舗一覧はこちら

タイプ論』カール・グスタフ・ユング著、林道義訳、A5判656頁、本体8,400円、ISBN4-622-02197-8、1987年5月7日初版発行。
転移の心理学【新装版】』カール・グスタフ・ユング著、林道義・磯上恵子訳、四六判320頁、本体2,800円、ISBN4-622-04987-2、2000年10月10日初版発行。

◆『タイプ論』(Psychologische Typen)は、人文書院さんの「ユング・コレクション」からも『心理学的類型』2巻本として翻訳が出ていますが、残念ながら品切。抄訳では、中公の『世界の名著』のユング/フロムの巻(函入は続14巻、中公バックスでは76巻)に吉村博次訳『心理学的類型』(1974/1979年)、日本教文社版『ユング著作集』第1巻の高橋義孝訳『人間のタイプ』(1970年)などがありました。ご参考までに、人文書院版「ユング・コレクション」の既刊書および未刊書について以下に列記します。

(1)『心理学的類型 I 』佐藤正樹訳、1986年6月
(2)『心理学的類型 II 』高橋義孝ほか訳、1987年7月
(3)『心理学と宗教』 村本詔司訳、1989年4月
(4)『アイオーン』マリー=ルイーズ・フォン・フランツ著共著、野田倬訳、1990年11月
(5)『結合の神秘 I 』池田紘一訳、1995年8月
(6)『結合の神秘 II 』池田紘一訳、2000年5月
(7)『診断学的連想研究』高尾浩幸訳、1993年1月
(8)『子どもの夢 I 』氏原寛ほか訳、1992年3月
(9)『子どもの夢 II 』氏原寛ほか訳、1992年7月
(10)『ツァラトゥストラ I 』、未刊
(11)『ツァラトゥストラ II 』、未刊
(12)『ツァラトゥストラ III 』、未刊
(13)『夢分析 I 』入江良平訳、2001年6月
(14)『夢分析 II 』入江良平・細井直子訳、2002年6月
(15)『分析心理学』、未刊

『夢分析 I 』では、帯に15巻までの一覧がだいたい記載されていましたが、最新刊の『夢分析 II 』以降は一覧は載っていません。続刊予定が中絶したのかと気をもみたくなるところかもしれません。未刊はニーチェ『ツァラトゥストラ』についての講義録と、『分析心理学』です。刊行が待ち遠しいですね。前者の関連書には、ユング研究家の林道義さんの著書『ツァラトゥストラの深層』(朝日出版社、1979年)がありました※。後者は、いわゆるタヴィストック・レクチャー『分析心理学の基礎について』(Über Grundlagen der analytischen Psychologie: Die Tavistock Lectures 1935)のことだとしたら、既訳に『分析心理学』(小川捷之訳、みすず書房、1976年)があります※※。ヴァルター版ユング全集には第7巻『分析心理学についての二論文』(Zwei Schriften über analytische Psychologie)というのがあり、Über die Psychologie des UnbewusstenとDie Beziehungen zwischen dem Ich und dem Unbewußtenの二篇が収録されていますが、前者は『無意識の心理』(高橋義孝訳、人文書院、1977年;新潮社、1956年〔『人生の午後三時』〕)として、後者は『自我と無意識』(松代洋一・渡辺学訳、レグルス文庫〔第三文明社〕、1995年;思索社、1984年)もしくは『自我と無意識の関係』(野田倬訳、人文書院、1982年)として訳されています。

※本書はユング「ツァラトゥツトラ講義」の読解本ではなく、ユング心理学を援用した林さんの「ツァラトゥストラ読解」です。
※※より正確に言えば、みすず版は68年刊の英語版『分析心理学――その理論と実践』(Analytical Psychology: its theory and Practice. The Tavistock Lectures)の翻訳であり、翌69年に出版されたドイツ語版(『分析心理学の基礎について』)を、「〔英語版が〕意味不明のところのみ・・・参考にした」(訳者あとがき、291頁)となっています。
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by urag | 2011-07-11 13:46 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 10日

人文書宣言×ピクウィック・クラブ 「小説と思考の繋留――〝気づき〟の先を想像する」フェア

私もしばしばお世話になってきた紀伊國屋書店新宿本店の連続フェア「今こそ!人文書宣言」の最新弾が以下の通り今月いっぱいまで好評開催中です。以下は紀伊國屋書店さんからいただいたニュースリリースより。

◎人文書宣言×ピクウィック・クラブ 「小説と思考の繋留――〝気づき〟の先を想像する」《今こそ!人文書宣言 第23弾》

会期:2011年6月1日~7月31日
場所:紀伊國屋書店新宿本店5階人文書売場エレベータ横壁棚

内容:紀伊國屋書店新宿本店5階の常設ブックフェア「今こそ!人文書宣言」。第23弾となる今回は、同じく新宿本店の有志による文学フェア集団「ピクウィック・クラブ」との合同企画です。「人文書宣言」の〝ジン〟に、「ピクウィック・クラブ」の〝ピク〟で『ジンピク』。

〇代表的な作家12人を選出〇
今回取り上げている作家は以下の12人です。各担当者が掘り下げて読んでいきたい、またそれだけの価値があると考える作家を厳選しました。アントン・チェーホフ/フランツ・カフカ/J.G.バラード/多和田葉子/宮沢賢治/J.M.クッツェー/村上春樹/オスカー・ワイルド/イタロ・カルヴィーノ/J.L.ボルヘス/倉橋由美子/阿部和重

〇作品の世界観からキーワードを抽出〇
例えばカフカからは「越境する寓話」、ボルヘスから「最小の物語へ」、ワイルドから「ダンディズム」など、ひとりの作家からいくつかのキーワードを取り出し、表示しています。

〇キーワードと関連づけられる書籍を展開〇
カルヴィーノのキーワード「解釈と価値」には『フィクションの哲学』『影響の不安』を持ってきたりと、キーワードにそって関連づけられる書籍を合わせて展開しています。もちろん関連づける書籍は人文書だけに留まりません。宮沢賢治のキーワード「東北における民俗学」で『吉里吉里人』のような小説を。バラードのキーワード「現実の中の「未来」」には『ポストパンク・ジェネレーション』といった芸術書まで。

読書から得られるふとした〝気づき″を深めるために読み継ぎたい、書物の流れを是非お楽しみください。皆様のご来場を心よりお待ちしております。

※これまでの「今こそ!人文書宣言

〇ピクウィック・クラブとは?〇
紀伊國屋書店新宿本店の文学愛好サークルです。文学フェア企画・開催を中心に活動しています。これまでに、2009年「対決!共鳴し合う作家たち」、2010年「ワールド文学カップ」を開催。2011年は「ピクベス!2010」と、5月末まで2階催事場にて「文学博覧会'11」を実施しご好評頂きました。ブログはこちら。 twitterはこちら

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by urag | 2011-07-10 18:38 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2011年 07月 06日

「復刊ドットコム」で『ガセネタの荒野』予約受付開始

弊社今月下旬新刊の、大里俊晴『ガセネタの荒野』が、「復刊ドットコム」さんで予約受付開始になりました。こちらからご予約いただけます。どうぞご利用ください。
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by urag | 2011-07-06 09:12 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)