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2011年 03月 30日

GOAL!

東北地方太平洋沖地震・復興支援チャリティーマッチ「がんばろうニッポン!」SAMURAI BLUE(日本代表)×JリーグTEAM AS ONE(Jリーグ選抜)、2011年3月29日@大阪長居スタジアム、後半36分。MF俊輔→GK川口→DF闘莉王→FWカズ。



何度見ても涙が出ます。ありがとうKAZU、やっぱりあなたは本物のKINGだ。
日経新聞、2011年3月25日記事「生きるための明るさを 三浦知良・サッカー人として


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by urag | 2011-03-30 13:12 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 17日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2011年4月27日(水)
ふたばプラス京都マルイ店:80坪(書籍70坪、雑貨10坪)
京都府京都市下京区四条通河原町東入真町68番地 マルイ京都店 6F
帳合はN。四条河原町の旧阪急百貨店跡地に初出店するマルイに出店。取次からの出品依頼書によれば「8階建て店舗の6階がメインで雑貨売場(アンジェ)を併設、また1階から5階部分にもBOOKスペースを設け、各フロアのコンセプトに合った品揃え」を展開するとのことです。ふたば書房は京都を本拠地に大阪・滋賀・兵庫の4県で現在14店舗を営業。そのうち、大阪心斎橋の大丸北館12Fに出店している書籍・雑貨・音楽の複合店が「FUTABA+」という名前ですから、今回の京都マルイ店はそれに続く2番目ということになるのだろうと思います。ただし、ほかの階にも書籍販売スペースがあるということで、そこが新しい試みですね。弊社にご発注いただいたのは、芸術書を少々。

2011年4月29日(火)
スタンダード茶屋町店:100坪(書籍40坪)
大阪府大阪市北区茶屋町7-8 CAHAYAMACHI Project II 2F
帳合はOスタンダードブックストアはロコブックスや鉢の木とならび株式会社鉢の木が展開するブックチェーンのひとつ。書籍だけでなく雑貨も販売し、喫茶コーナーもあります。今回の茶屋町店でも店舗面積100坪のうち書籍が40坪とのことですから、あとの60坪は雑貨売場や喫茶コーナーと理解すればいいのだろうと思います。実際、スタンダードブックストアの採用ページでは「ミナミの本屋ですが、キタにお邪魔します。4/29 NU茶屋町プラスにスタンダードブックストアがオープンします」と宣伝されていますし、オープニングスタッフ募集欄には雑貨・書籍・コーヒーショップの職種が記載されています。さらには前口上として「実は本屋をやろうとは思ってません。ただし本を扱う店は続けていきたいと思ってます。本と一緒にあったらエエのにな、と考えた文房具や雑貨やコーヒーショップを楽しんでいただきたい。気軽にふらっと立ち寄って思いがけない商品(時には人との)出会いを楽しんでいただきたい。そう思ってこの店をやってます。 要するに好き勝手にやってるのですが、『考える』ということが大事なのです。『考える』方募集中です」とのこと。弊社にご発注いただいたのは、写真系・音楽系・思想系を含む芸術書の主力商品。
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by urag | 2011-03-17 14:18 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 16日

『アンフォルム』書評が「美術手帖」「書評空間」などに

東北地方太平洋沖地震の被災地・被災者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。月曜社は社員、家族ともに無事です。業務の正常化にはしばらく時間がかかりそうです。弊社が契約している倉庫会社や取引先の取次などでは、計画停電、道路混雑、ガソリンの不足などで、流通に大きな困難を生じています。可能な限りの努力をしておりますが、安定供給への道のりはまだまだ長く感じます。しばらく御迷惑をおかけしますこと、ご海容を請う次第です。

+++

ボワ+クラウス『アンフォルム』の書評が、月刊誌「美術手帖」2011年4月号に掲載されました。星野太さんによる書評「モダニズムを巡る理論書――フォーマリズムを問い直す、近現代美術史に打ち立てられた新たな視座」(213頁)です。「グリーンバーグ的なフォーマリズムから距離をとりつつ、しかしあくまでもそれに寄り添った仕方で、従来の近現代美術史そのものを問い直そうとする野心的な試み」と評していただきました。

また、同書については紀伊國屋書店「書評空間」においても、福嶋亮大さんから長文の書評をお寄せいただいています。2011年3月16日付エントリー「絵画の水平性とその先」です。「著者たちの提起する「アンフォルム」の戦略は、たんに汚いものや醜悪なものを持ち出すだけではなく、むしろ旧来の西洋絵画を支えていた観念や前提そのものを揺るがすような操作全般を指していた。〔…〕文脈を拡張する意味でいささか唐突な連想を許してもらうならば、ここでジェームズ・キャメロン監督の『アバター』を想起しておくのが面白いかもしれない。〔…〕私たちは、そうした「アンフォルム」の欲望の次のステージで何が起きつつあるのかを考えていくべきだろう。〔…〕今や最先端の3D映画においては新たな垂直性/新たなフォルム(=象徴的なキャラクター)のイメージが立ち上げられる――とすれば、アンフォルムとフォルム、水平性と垂直性のあいだの文化的関係は、今ちょうど結び直されている最中なのかもしれない。本書の知見は、新しい視覚文化の到来の意味を考える上でも、有益な示唆に富んでいる」と評していただきました。

さらに、「週刊読書人」2011年2月25日号では、湯山光俊さんによる書評「バタイユの言説を発想の源泉に――抽象表現美術の可能性に目を向ける宣言書」が掲載されました。「折りあるごとに美術と思想の舞台では、その過激な帰結は拒絶されたこともあり、論理のゆらぎを批判されもしてきたが、邦訳は存在しないままであった。このたび訳者諸氏の尽力によって批判対象となってきたその始まりの本が登場したことは喜ばしい」と評していただきました。

また、南青山のブッククラブ回が発行する冊子「ニュースレター」81号(2011年春)では、「思想・科学・芸術」欄のデザインコーナーで『アンフォルム』を紹介していただいています。「作品をより豊かに解釈するヒントを与えてくれる」と評していただきました。

なお、前述の「美術手帖」4月号では「新着のアート&カルチャー本から」欄で、粟田大輔さんによる選書とコメントで、『曽根裕|Perfect Moment』と、中平卓馬写真集『都市 風景 図鑑』を御紹介いただいています(214頁)。つまり、4月号では弊社の1月新刊のすべてが取り上げられており、めったにない情況に驚いています。
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by urag | 2011-03-16 17:15 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 08日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2011年3月24日(木)
アンジェビュロー・エキュート上野店:30坪(書籍7坪)
東京都台東区上野7-1-1 JR東日本上野駅構内 3F
帳合はN。上野駅構内のエキュート上野の改装グランドオープンと同時に開店。アンジェは京都に拠点を置くふたば書房の雑貨販売店舗。母体が本屋さんということで、雑貨とともに書籍も販売されています。河原町本店、伊丹店のほか、アンジェラヴィサントという姉妹店に、梅田店と新宿店があります。今回はさらに姉妹が増えて「アンジェビュロー」が誕生。ふたば書房ではこのほか「クロッシェ」の名前で名古屋店とイオン大日店があります。こちらも雑貨と本の併売店。「ノイシュタット」という名前の店舗も箕面市西宿にありますが、こちらの扱いは雑貨がほとんど。イメージとしては、アンジェ系やクロッシェは「ヴィレッジヴァンガードを思い切りおしゃれにしたお店」といったところです。上野店さんから弊社へのご発注は芸術書やエッセイが少々。

2011年4月1日(金)
宮脇書店秋田本店:750坪
秋田県秋田市中通2-8-1 フォンテAKITA 5F
帳合はN。秋田駅前に所在し、連絡通路でつながっている複合施設フォンテAKITAに直営店として出店。同じく駅前のフォーラス秋田の6Fと7Fで営業しているジュンク堂書店秋田店(2007年11月オープン:帳合はT)が650坪なので、宮脇の新規店は県下最大級の店舗になります。ジュンク堂の場合、メインはフォーラス6Fで、7Fはコミック売場。7Fのフロアの大半は他社(手芸用品店のマブチファブリックス)が展開しています。ジュンク堂VS宮脇の、駅前の頂上決戦ということになります(N対Tのガチンコ勝負でもあります)。リアルなことを書いておくと、宮脇さんからは弊社の人文書についてほんの少し発注があっただけなので、小零細版元の専門書については依然としてジュンク堂の方が品揃えが多様かもしれません。Nサイドの挨拶状には「本なら何でもそろう宮脇書店」との意気込みが書いてあるのですが、小零細版元への発注がまばらなままでジュンク堂のお株を奪えるんでしょうか。やや心配ではあります。

2011年4月22日(金)
丸善書店多摩センター店:1140坪(書籍雑誌900坪、文具240坪)
東京都多摩市落合1-46-1 多摩センター三越 5F
帳合はO。経営を担うジュンク堂書店サイドの挨拶状では「丸善書店」となっていますが、Oからの出品依頼書や業界紙の報道では「丸善」となっています。どちらなんでしょうね。規模や、文具の併売から考えると「丸善」パターンですね。弊社の本は、いつものジュンク堂さんの新規店と同様で、ほぼ全点の発注。少し違うのは選書のご担当者。ジュンク堂池袋店と新宿店で占められるのではなく、社会書と人文書が丸善丸の内本店のご担当者の選書です。多摩センター駅(小田急線と京王線)は京王系の啓文堂書店チェーンの本拠地であり、駅直下の京王多摩センターSCの2Fに多摩センター店があります。さらに駅周辺には、くまざわ書店カリヨン店もありますし、三越にたどり着くまでにもう一軒、くまざわ書店丘の上プラザ店もあります。とはいえ、売場の規模からすると、今回の丸善は規模の大きさで言えばまぎれもなく地域一番店であり、品揃えの量と種類において既存店を圧倒する可能性があります。
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by urag | 2011-03-08 19:13 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 07日

書影公開:近日発売、ジュネ『公然たる敵』

近日発売のジャン・ジュネ『公然たる敵』の書影を公開します。内容についてはこちらをご覧ください。取次搬入は来週月曜日14日の予定ですが、確定ではありません。一両日中にはっきりすると思いますので、追ってお知らせします。書店様へ――店頭販売分の事前予約は本日18時で締切になります。Eメール、電話、FAXなどで承ります。

【2011年3月8日追記:取次搬入日が確定しました。日販、トーハン、太洋社が11日金曜日、大阪屋と栗田が14日月曜日です。】

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by urag | 2011-03-07 13:30 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 07日

ローゼンツヴァイク新刊、あわせて昨年のドイツ系人文書の収穫

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健康な悟性と病的な悟性
フランツ・ローゼンツヴァイク(Franz Rosenzweig, 1886-1929)著 村岡晋一(むらおか・しんいち:1952-)訳
作品社 2011年2月 本体2,000円 46判上製178頁 ISBN978-4-86182-315-2

原書:Das Büchlein vom gesunden und kranken Menshcenverstand, 1964(1921/1992).

帯文より:生は死に向かってみずからを生きる。ギリシャ以降の抽象に淫した西欧哲学を「病的な悟性」と見立て、世界・人間・神を機軸とする「健康な悟性=常識」と「対話」による哲学の回復を目指す『救済の星』の闡明。

本文より(117頁):人間だけが存在するのでもなければ、世界だけが存在するのでもない。両者いずれもけっして「存在する」のではない。両者の一方が「存在する」なら、それだけしか存在しないことになる。流れは流れることをやめてしまう。両者のあいだの〈と〉、昼と夜、覚醒と睡眠のあいだの〈と〉によってはじめて、人間と世界のいずれもが一つの〈なにか〉になるのである。

訳者解題より(177-178頁):健康な悟性への帰還がわれわれの「生」に教えることはなにか。それはきわめて平凡だが、〈生きることができるということ〉は〈死ななければならないということ〉だということを学ぶことである。……人間はもはや死に向かって生きる以外の生き方をしようとすることは許されない。というのも「神」と「世界」と「人間」がそれぞれ自分の外部をもつことによってはじめて〈なにか〉でありえたように、人間の生もその外部である死をもつことによってのみ〈なにか〉でありうるからである。

目次:
識者に向けて
読者に向けて
第1章 発作
第2章 往診
第3章 診断
第4章 治療法
第5章 同僚間の往復書簡
第6章 治療――第一週
第7章 治療――第二週
第8章 治療――第三週
第9章 後療法
第10章 職場への復帰
読者に向けて
識者に向けて
編者による注
編者序文
訳者解題

★ローゼンツヴァイクの主著『救済の星』を著者自身が解説した本です。『救済の星』を出版した1921年に執筆されましたが、公刊されたのは死後30年以上経った1964年でした。同様の自著解説には『新しい思考――『救済の星』に対するいくつかの補足的な覚書』(1925年;合田正人+佐藤貴史訳、『思想』2008年10月号/1014号〔特集「レオ・シュトラウスの思想〕所収、175-203頁)があります。長大な『救済の星』とは異なり、一般読者向けに書かれています。原題は『健康な悟性と病的な悟性にかんする小著』で、「健康な悟性」というのは「常識」を指しています。「常識から出発するなんて学問ではない」と学者に非難されるのを承知で、彼はそうした「学問」を拒否して、人間と世界と神について語り直そうとします。その態度は反観念論とでも言うべきものです。目次を見ていただくとそのユニークさがご想像いただけると思いますが、ローゼンツヴァイクはドイツ観念論の呪縛とその病的側面から「思考」そのものを新しく生まれ変わらせるべく腐心したわけです。彼は43歳で死にました。死によってこそ生の輝きがあることを彼は知っていました。「われわれはなにを学んだのか。われわれはもはや迷わされない、もはや手を休めない、もはや立ち止まらない、もはや離れたとことに立たないということだけである。われわれはこのことを見失わないようにすべきである」(121頁)。なお、ローゼンツヴァイクについてより突っ込んで勉強されたい方は、本格的な研究書が昨年刊行されていますので、ぜひお手にとって見てください。佐藤貴史『フランツ・ローゼンツヴァイク――〈新しい思考〉の誕生』(知泉書館、2010年2月)。

★『救済の星』の書誌情報も参考までに以下に掲出しておきます。

救済の星
フランツ・ローゼンツヴァイク著 村岡晋一(むらおか・しんいち:1952-)+細見和之(ほそみ・かずゆき:1962-)+小須田健(こすだ・けん:1964-)
みすず書房 2009年4月 本体9,500円 A5判上製695+15頁 ISBN 978-4-622-07459-5

帯文より:「〈すべて〉についての認識はすべて死から、死の恐怖から始まる」。第一次大戦後、西欧近代への絶望とその根底的批判から「常識の思考」へと立ち戻り、対話的実存のあり方を考察した世紀の書。

本文より(265-266頁):〈私〉は、〈君〉をみずからの外部にあるなにかとして承認することによってはじめて、つまりモノローグからほんとうの対話(ダイアローグ)へと移行することによってはじめて〔…〕〈私〉となるのである。〔…〕本来的な〔…〕〈私〉は、〈君〉の発見においてはじめて声として聞きとれるようになるのである。

訳者あとがきより(677頁):第一次世界大戦が勃発し、〔…〕彼〔ローゼンツヴァイク〕はみずから志願して対空砲火部隊に参加し、バルカン戦線に送られる。〔…〕敗戦の気配が濃厚なバルカン戦線の塹壕のなかで、1918年8月22日、彼は突然、のちに『救済の星』として結実するまったく新しい哲学の霊感を得た。〔…〕彼は、戦線が壊滅状態になり、軍隊が撤退している最中に、あたかも恍惚状態になったかのように、みずからの着想を軍隊の郵便葉書や便箋になぐり書きして、母親と友人にそのつど郵送した。そして1918年12月に軍務を解かれるや、カッセルとベルリンで著書の執筆を続けた。

目次:
第1巻 要素、あるいは永続的な前世界
 序論〈すべて〉を認識する可能性について
 第1章 神とその存在、あるいはメタ自然学
 第2章 世界とその意味、あるいはメタ論理学
 第3章 人間とその〈自己〉、あるいはメタ倫理学
 移行
第2巻 軌道、あるいはつねに更新される世界
 序論 奇跡を体験する可能性について
 第1章 創造、あるいは事物の永続的な根拠
 第2章 啓示、あるいはつねに更新される魂の誕生
 第3章 救済、あるいは御国の永遠の未来
 敷居
第3巻 形態、あるいは永遠の超世界
 序論 御国を祈りによって手に入れる可能性について
 第1章 火、あるいは永遠の生
 第2章 光線、あるいは永遠の道
 第3章 星、あるいは永遠の真理
 門
訳者あとがき
事項索引
人名索引

+++

★『健康な悟性と病的な悟性』の担当編集者である高木有さんは、昨年発売されたハイデガーの『現象学の根本問題』や、アドルノの『ベートーヴェン 音楽の哲学〔改訂版〕』も担当されています。長谷川宏さんによる一連の新訳ヘーゲルも高木さんの手になるもので、近年の「古典新訳ブーム」の先駆けをつくった方です。

★ご参考までに、昨年刊行された新刊のうち、ドイツ系(正確に言えばドイツ語圏)のもので印象深かったものを以下に列記しておきます。

現象学の根本問題 ハイデガー/木田元監訳・解説 作品社 8月
ハイデッガー全集(58)現象学の根本問題 創文社 1月 ※第24巻「現象学の根本諸問題」01年2月
ハイデッガー全集(49)ドイツ観念論の形而上学 創文社 10月
渡邊二郎著作集(1)ハイデッガー(1) 筑摩書房 10月 ※第2巻「ハイデッガー(2)」11年1月刊
イデーン(3)現象学と、諸学問の基礎 エトムント・フッサール/渡辺二郎ほか訳 みすず書房 11月

純粋理性批判(1)カント/中山元訳 光文社古典新訳文庫 1月 ※第2巻5月、第3巻9月、第4巻11年1月
ゲーテ地質学論集〔鉱物篇/気象篇〕 木村直司編訳 ちくま学芸文庫 2010年6月/7月
シュライエルマッハーのクリスマス フリードリッヒ・シュライエルマッハー/松井睦訳 YOBEL新書 10月
G・W・F・ヘーゲル論理学講義――ベルリン大学1831年 カール・ヘーゲル筆記/ウド・ラーマイル編/牧野広義+上田浩+伊藤信也訳 文理閣 11月

経済学・哲学草稿 マルクス/長谷川宏訳 光文社古典新訳文庫 6月
新訳 共産党宣言 初版ブルクハルト版(1848年) カール・マルクス/的場昭弘訳 作品社 7月
ツァラトゥストラ(上) ニーチェ/丘沢静也訳 光文社古典新訳文庫 11月 ※下巻11年1月
プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 マックス・ウェーバー/中山元訳 日経BP社 1月
聖なるもの オットー/久松英二訳 岩波文庫 2月
意識の本質について ルートヴィッヒ・クラーゲス/平澤伸一+吉増克實訳 うぶすな書院 3月
認識問題――近代の哲学と科学における(1) エルンスト・カッシーラー/須田朗+宮武昭+村岡晋一訳 みすず書房 5月
透明な沈黙――哲学者ウィトゲンシュタインの言葉×新世界『透明標本』 鬼界彰夫訳/冨田伊織作 青志社 8月
ルートヴィヒ・ヴィトゲンシュタイン著『論理哲学論考』対訳・注解書 木村洋平訳著 社会評論社 10月
ベンヤミン・コレクション(5)思考のスペクトル ヴァルター・ベンヤミン/浅井健二郎編訳 ちくま学芸文庫 12月

ハンス・ヨナス「回想記」 盛永審一郎ほか訳 東信堂 10月
ベートーヴェン 音楽の哲学〔改訂版〕 テオドール・W・アドルノ/大久保健治訳 作品社 9月
迷宮としての世界――マニエリスム美術(上) グスタフ・ルネ・ホッケ/種村季弘+矢川澄子訳 12月 ※下巻1月
インゲボルク・バッハマン全詩集 中村朝子訳 青土社 12月
吐き気――ある強烈な感覚の理論と歴史 ヴィンフリート・メニングハウス/竹峰義和ほか訳 法政大学出版局 8月
芸術の至高性――アドルノとデリダによる美的経験 クリストフ・メンケ/柿木伸之ほか訳 御茶の水書房 4月
パウロの政治神学 ヤーコプ・タウベス/高橋哲哉+清水一浩訳 岩波書店 8月
レオ・シュトラウスと神学-政治問題 ハインリッヒ・マイアー/石崎嘉彦ほか訳 晃洋書房 10月
ああ、ヨーロッパ ユルゲン・ハーバーマス/三島憲一ほか訳 岩波書店 12月
ダーウィンの珊瑚――進化論のダイアグラムと博物学 ホルスト・ブレーデカンプ/濱中春訳 法政大学出版局 12月
モナドの窓――ライプニッツの「自然と人工の劇場」 ホルスト・ブレーデカンプ/原研二訳 産業図書 6月

フロイト全集(16)1916-19年 岩波書店 2月
フロイト全集(13)1913-14年 岩波書店 3月
フロイト全集(19)1925-28年 岩波書店 6月
フロイト全集(14)1914-15年 岩波書店 9月
シュレーバー症例論 フロイト/金関猛訳 中公クラシックス 9月
人生の意味の心理学(上下) アルフレッド・アドラー/岸見一郎訳 アルテ 5月/7月
赤の書 ユング 創元社 7月
パトゾフィー ヴィクトーア・フォン・ヴァイツゼカー/木村敏訳 みすず書房 1月

★いずれも特筆に値する本ばかりですが、しいて個人的にいくつかのトピックに絞って言及するならば、以下のようになります。

もっとも豪華な本・・・ユング『赤の書』
もっとも美しい本・・・ウィトゲンシュタイン『透明な沈黙』
もっとも親しみやすかった新訳・・・丘沢静也訳ニーチェ
もっとも続刊を期待する新訳・・・長谷川宏訳マルクス
もっとも刊行を待望した本・・・タウベス『パウロの政治神学』
もっとも内容に惹きつけられた本・・・ヨナス『回想記』

★もっとも売れた本、というのは『超訳ニーチェの言葉』で間違いありませんが、上記では言及していませんでした。専門書売場ではなく、一般書売場で活躍した本だけに、たてわけて特筆する必要があります。一般書売場で昨年目に留まった本には以下のものがありました。

超訳ニーチェの言葉 フリードリヒ・ニーチェ/白取春彦編訳 ディスカヴァー・トゥエンティワン 1月
アンチクリスト(まんがで読破) ニーチェ原作 イースト・プレス 11月
精神分析入門・夢判断(まんがで読破) フロイト イースト・プレス 5月 ※ユング『分析心理学・自我と無意識』11年3月
ショーペンハウアー大切な教え――智恵の贈り物 アルトゥル・ショーペンハウアー/友田葉子訳 イースト・プレス 10月
心の病を癒す生活術 カール・ヒルティ/金森誠也訳 PHP研究所 3月

★最後にどうしても書いておくとすれば、昨年末刊行された『インゲボルク・バッハマン全詩集』について一言。中村朝子さんはこれまでトラークルやツェランの個人全訳という快挙を成し遂げられてきましたが、いままたここにもうひとつ、文学界に大きな貢献を果たされました。バッハマンの作品はこれまで小説が訳されてきましたけれど、まとまったかたちで詩が読めるのは本書が日本初になります。収録作品が分かる目次詳細はこちらでご覧になれます。

インゲボルク・バッハマン全詩集
インゲボルク・バッハマン著 中村朝子訳
青土社 2010年12月 本体3,800円 四六判上製444頁 ISBN978-4-7917-6579-9

帯文より:明かされる全貌、日本初の全詩集。20世紀最大の詩人パウル・ツェランとの波瀾に満ちた悲恋があまりにも有名な、オーストリア生まれの才媛バッハマン。新時代の到来を感性豊かに捉え、不条理の世界と真摯に向きあう――。ツェランとの 「往復書簡」 刊行を契機に、世界的注目を集める詩人の、全詩作を日本初公開。

★インゲボルク・バッハマン(Ingeborg Bachmann,1926-73)単独著訳書一覧

『三十歳』生野幸吉訳、白水社、1965年
『マリーナ』神品芳夫+神品友子訳、晶文社、1973年
『ジムルターン』大羅志保子訳、鳥影社・ロゴス企画部、2004年
『インゲボルク・バッハマン全詩集』中村朝子訳、青土社、2010年

★バッハマンの詩の中から、前述のローゼンツヴァイクとはまた違った、死への内在化された視線を感じ取ることのできる一節を引用したいと思います。「壁のうしろで」という、1948年から53年のあいだに書かれたもので、78年に刊行された全詩集に初めて収録された未発表の作品です。43頁からの引用。

わたしは 大きな世界不安の子だ、
それは平和と喜びのなかへぶら下がる
昼の歩みのなかにぶら下がる鐘の音のように
そして熟した畑のなかにぶら下がる大鎌のように。

わたしは 絶えず・死ぬことを・考えること だ。

★青土社さんでは今月、同じく中村さん訳による『バッハマン/ツェラン往復書簡――心の時』を刊行する予定と聞いています。ツェランを愛している私としてはこれは絶対に見逃せません。

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by urag | 2011-03-07 01:50 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 06日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

★郷原佳以さん(『ブランショ政治論集』共訳者)

文学のミニマル・イメージ――モーリス・ブランショ論
郷原佳以(ごうはら・かい:1975-)著
左右社 2011年2月 本体3,800円 A5判上製313+56頁 ISBN978-4-903500-49-2

版元案内文より:20世紀、文学という芸術の本質について、最も徹底的な思索を重ねたモーリス・ブランショ。その最深部にはいかなる逆説が潜んでいるのか? デリダ、ディディ=ユベルマンらのイメージをめぐる哲学を視野に、詳細にブランショの文学概念をたどり、現代文学研究の到達点を示す。フランス文学研究の新たな才能・郷原佳以の誕生を告げる1冊!

湯浅博雄氏推薦文:現代において文学・芸術に賭けられているものの逆説的な意味を、ブランショほど深く、徹底して、本質的に考え抜いた文学者はいない。本書を繙く読者は、たとえばイメージの「始原的な二重化」、「イメージの〈イリヤ〉」、「言語によってしか現れないが、けっして言語によって名づけられないもの」、「逆説的なオブジェ」、等々、奥行きの深い言い回しをたどりつつ、ブランショの驚嘆すべき文学論・言語論の深部に「魅惑」としてのイメージ論が潜んでいることに思い至る。ブランショの試行を照らす、この比類ない光が、読むことの快感さえもたらすだろう。

◆詳細目次は上記リンク先でご覧になれます。パリ第七大学に提出されたフランス語の博士論文を翻訳しさらに改訂した、郷原さんのデビュー作です。指導教官はブランショ研究の第一人者クリストフ・ビダン(Christophe Bident, 1962-)。彼のもとでブランショの全テクストを発表順に隅から隅まで精読した成果が本書です。緻密かつ濃密な素晴らしい本です。弊社刊『ブランショ政治論集』に収録されている郷原さんの論文「証言――記憶しえないものを忘れないこと」と併せて読まれることをお薦めします。

◆本書は左右社さんの「流動する人文学」シリーズの1冊で、瀟洒な装幀は清岡秀哉さんによるもの。本文の組版もたいへん美しく、内容・造本ともに昨今の人文書の中でもっとも洗練されたお手本となる一書であることは間違いありません。


★大橋完太郎さん(『表象』編集委員)

ディドロの唯物論――群れと変容の哲学
大橋完太郎(おおはし・かんたろう:1973-)著
法政大学出版局 2011年02月 本体6,500円 A5判上製460頁 ISBN978-4-588-15063-0

帯文より:神もなく、弁証法的統一もない物質世界のうちに、不定形で「怪物的な」自然の秩序を発見したディドロ。百科全書的体系知の根底にうごめく「奇形」への眼差し、同時代の化学や生理学にもとづくラディカルな自然史的認識はいかに形成されたのか。その著作群への鋭利で精密な分析を通じて、唯物論的一元論者としてのディドロのアクチュアリティを示し、従来の哲学者像を大きく書き換える力作。

◆詳細目次は上記リンク先でご覧になれます。東大に提出された博士論文に「最低限の修正を加え」(「あとがき」)た、大橋さんのデビュー作になります。主査は小林康夫さん。大橋さんのご専門は「思想史・表象文化論」です。フランス哲学は古典から現代思想まで広く研究されており、アンソロジー『ディスポジション――配置としての世界』(柳澤田実編、現代企画室、2008年6月)に、論文「心身の再配置のために――デカルト哲学に見る意志の発生と権能」を寄稿されています。『ラモーの甥』や『ダランベールの夢』をはじめとするディドロの著作群に深く分け入り、その哲学的可能性を再発見されています。ちなみに『ディドロ著作集』の版元も法政大学出版局ですね。

◆今回の単独著の装丁は、『ディスポジション』と同じく、東京ピストルの加藤賢策さんによるもの。加藤さんは弊社発売の『表象』誌の造本を手がけるデザイナーでもあります。最近ではマクルーハン+フィオーレ『メディアはマッサージである』(河出書房新社、2010年12月)の新装版も加藤さんによるもの。大橋さんの『ディドロの唯物論』では深いブルーのカバーに銀箔の文字、カバーの大半を覆う幅広の、銀色の水玉模様の帯など、今までの法政大学出版局さんではお目にかからなかったタイプのデザインで、書店員さんの評判も上々と聞いています。

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by urag | 2011-03-06 00:35 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 05日

備忘録:2011年1月28日、エルサレム、岩のドーム

先月世界的に話題になりましたね。エルサレム「岩のドーム」(アブラハムが息子を生贄として神に捧げようとした岩場とされ、ムハンマドが天使ジブリールの導きで天馬に乗って天上を旅したその出立地ともされている聖なる岩を取り囲んで造られたイスラム教の聖堂)の直上に現われたという光る飛行体の動画4種と、同期させた検証動画。いかにもフェイクな感じですが、それにしてはずいぶんと手間および動員を掛けていますねえ。複数の目撃談を演出したお祭り的な珍例なのでメモ。











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我も我もと続々参戦・・・追いきれませんね。




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by urag | 2011-03-05 12:09 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2011年 03月 01日

パネルディスカッション『書籍出版の未来』@関東学院大学

事後報告で恐縮ですが昨日、関東学院大学のパネルディスカッションに登壇いたしました。学内向けのクローズドの会合であると受け止めていましたが、学外からも参加自由だったようです。皆さんにご案内できていたらよかったなあ……。

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関東学院大学文学部人文科学研究所主催・パネルディスカッション
テーマ:『書籍出版の未来』

日時:2011年2月28日(月) 16:30
場所:関東学院大学 金沢文庫キャンパス K-211教室
講師:小林浩氏(月曜社)、堀口祐介氏(日本経済新聞社シニアエディター)
コメンテーター:新井克弥(関東学院大学文学部教授)
司会:吉瀬雄一(関東学院大学文学部教授)

一般の方の参加可・無料
(問合せ先:人文科学研究所・文学部庶務課 045-786-7179)

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2/28(月)人文科学研究所主催・パネルディスカッション『書籍出版の未来』 開催のお知らせ
投稿日時: 2011-2-22 17:13:32

人文研究所主催
パネル・ディスカッションのご案内

人文科学研究所ではこの2月28日(月)(16:30~)に「書籍出版の未来」と題しましてパネル・ディスカッションを開催いたします。昨年の5月のi-Pad日本発売開始をひとつの頂点に電子書籍の端末も各社出揃い、市場での電子書籍流通も今後さらに加速化の度合いを進めていくことが予想されます。講談社によって、村上龍の『くじらの歌』上下巻が紙版に先立って電子出版された事例は、この流れの中のひとつの分岐点として後世に記憶されるかもしれません。また、個人による紙書籍の電子化も普及し、装丁をばらすことへの抵抗は今や空間と時間を超越した利便性の前に膝を屈し、「蔵書」とその利用を取り巻く環境も革命的な変化の兆しを見せています。書籍の脱物神化は、ここに極まった観があります。そのような状況中で、「知」の受容と供給の枠組み、いやそれどころか、そもそも思考の在り様はどのような変化にさらされて行くのでしょうか。わたしたちも「知」の実践と伝承の一方の当事者として、状況の推移を傍観して済ませるわけには行きません。そこで、年度末と年度始めの端境期という「象徴的空所」に、渦中にあるもう一方の当事者の方々をお呼びして、この問題に取り組むための必須の情報と思索の機会を提供して戴くことに致しました。お呼びするのは、以下の方々です。

■小林浩氏:月曜社取締役。1968年生まれ。92年早稲田大学第一文学部卒。未来社営業部、哲学書房編集部、作品社営業部を経て、2000年12月7日、有限会社月曜社の創業に参画。営業と編集の両面から人文書の普及に取り組む。

■堀口祐介氏:日本経済新聞出版社シニアエディター。1965年生まれ。88年東京都立大学経済学部卒、同年日本経済新聞社に入社、出版局に配属。現在、日本経済新聞出版社シニアエディターとして書籍編集に携わる。主な担当書籍として『現代の金融政策』『ゼミナール経営学入門』『日経文庫・キャッシュフロー経済学入門』『スウェーデン・パラドックス』などがある。

みなさまの活発なご参加を期待しております。

人文科学研究所
所長 佐藤茂樹

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★私(小林)は以下のテーマで発表しました。

テーマ「学術書少部数出版の未来」

電子化の波に対応する準備を整えつつ、当面は紙の本をつくりつづけるだろう人文系零細出版社の実情と展望についてお話しします。出版社との付き合い方の参考になれば幸いです。

ひとくちに「未来」と言いましても、多様な可能性に開かれております。また、現状からまったく断絶したかたちで未来があるわけではありません。そこでまずはここ10年の人文系小規模出版社の動向と現実について、私自身が体験した「月曜社の10年」としてお話しいたします。

■ゼロ年代の出版界
◎ゼロ年代の人文系小規模出版社
◎ゼロ年代の大学出版
◎インターネット時代の出版社
◎業界再編時代の書籍販売

出版社というのは実に多様で、出版物の内容傾向によって会社の様相も相当異なるため、十把一絡げにできません。私が、出版界の代表として何か言うというのはそもそも不可能ですが、零細自営業者の偶感として「これからの10年」への移行について、続けてお話しします。

■10年代の出版界
◎電子書籍元年(2010年)以降の「著者」と「出版社」の関係性
・分岐点は「モノを売りたい」のか、「知識を伝達・共有したい」のか
・「モノを売る」産業としての出版社が「コンテンツを売る」業態に転換できるか
◎「これから」のための原点確認

★私の話は零細企業のゴチャゴチャととっちらかった内容でしたけれど、日本経済新聞出版社の堀口さんのお話は論旨が非常に明晰かつ端的で現状分析も鋭く、説得力に満ちていました。もっとお話が聞きたかったです。当日はみぞれまじりの冷たい雨が降りしきっていましたが、教育現場に携わる先生方と様々な熱い意見交換ができたのはたいへん嬉しく、非常に勉強になりました。私は出版を「学校の外で行う教育」と考えています。読むことのプロ(大学)と、編むことのプロ(出版社)が手を携えて、「読むこと・編むこと・創造すること」についての啓蒙活動を大学の内外でソーシャル・ビジネスとして展開することができたら、それは「文系の産学協同」になるのではないか、という予感を持ちました。産学協同はたいていは理系の世界の話で、将来的な実業的利益をもたらすものとして構想されていると思います。しかし実業的利益の尺度では測りきれない文化的貢献の価値というのも一方ではあり、それらはこんにち政治的には等閑視されているがゆえに、よりいっそう重要な、無形の知的財産として再発見されなければなりません。大学の伝統的な「精読の文化」と、出版社の「編集技術」を結合させ、「書物のメタモルフォーゼ」(新井克弥先生)としての新しい知的空間を創出できたら――と想像しました。

★ところでかつて当ブログでも「ゼロ年代の人文系小規模出版社」については公開したことがありますが、今回は全面的に調査し直し、改訂増補しました。今回のレジュメについてはいずれ公開できる機会があればアップします。昨日のパネルディスカッションのテーマ「書籍出版の未来」を考える上でもっとも手軽にたくさんの業界人の意見を読める文献として、岩波新書の『本は、これから』を、当日ご参集いただいた先生方、学生の皆さんに、お薦めしました。もう一度ここに書誌情報をアップしておきます。

本は、これから
池澤夏樹編
岩波新書 2010年11月 本体820円 新書判並製244頁 ISBN978-4-00-431280-2

カバーソデ案内文より:グーテンベルグ革命から5世紀。電子の端末が膨大なコンテンツから美しい「ページ」を開くこの時代、あなたにとって「本」とはいったい何か。それはいかに変貌するのか。書店・古書店・図書館・取次・装丁・編集、そして練達の書き手・読み手の位置から、鋭いアンテナの持ち主が応える――本の過去と未来を俯瞰する37のエッセイ。

★当たり前かもしれませんが立ち位置によって意見が異なり、まとまらない業界の「現在」を象徴するかのようです。共感できる意見もあれば、疑問に思うものもありました。目次はこちらで見ることができますが、寄稿者のプロフィールが明記されていないので、ここで全員の略歴をピックアップしておきます。

『本は、これから』寄稿者一覧:
池澤夏樹(いけざわ・なつき:1945-)作家
吉野朔実(よしの・さくみ:1959-)漫画家
池内了(いけうち・さとる:1944-)総合研究大学院大学教授。宇宙物理学、科学・技術・社会論。
池上彰(いけがみ・あきら:1950-)ジャーナリスト
石川直樹(いしかわ・なおき:1977-)写真家。多摩美術大学芸術人類学研究所特別研究員。
今福龍太(いまふく・りゅうた:1955-)文化人類学者・批評家
岩楯幸雄(いわだて・ゆきお:1949-)幸福書房社長
上野千鶴子(うえの・ちづこ:1948-)社会学者
内田樹(うちだ・たつる:1950-)神戸女学院大学文学部教授。フランス現代思想。
岡﨑乾二郎(おかざき・けんじろう:1955-)造形作家、近畿大学国際人文科学研究所教授。
長田弘(おさだ・ひろし:1939-)詩人
桂川潤(かつらがわ・じゅん:1958-)装丁家
菊地成孔(きくち・なるよし:1963-)音楽家
紀田順一郎(きだ・じゅんいちろう:1935-)評論家・作家
五味太郎(ごみ・だろう:1945-)絵本作家
最相葉月(さいしょう・はづき:1963-)ノンフィクションライター
四釜裕子(しかま・ひろこ)編集者、製本講師
柴野京子(しばの・きょうこ:1962-)相模女子大学非常勤講師。元出版取次会社勤務。
鈴木敏夫(すずき・としお:1948-)スタジオジブリ代表取締役プロデューサー
外岡秀俊(そとおか・ひでとし:1953-)ジャーナリスト
田口久美子(たぐち・くみこ)書店勤務
土屋俊(つちや・しゅん:1952-)千葉大学文学部教授。哲学。
出久根達郎(でくね・たつろう:1944-)作家・古書店主
常世田良(とこよだ・りょう:1950-)日本図書館協会理事
永井伸和(ながい・のぶかず:1942-)今井書店グループ代表取締役会長
長尾真(ながお・まこと:1936-)国立国会図書館館長。情報科学。
中野三敏(なかの・みつとし:1935-)九州大学名誉教授。近世文学。
成毛眞(なるけ・まこと)株式会社インスパイア取締役
南陀楼綾繁(なんだろう・あやしげ:1967-)ライター、編集者。
西垣通(にしがき・とおる:1948-)東京大学情報学環教授。情報学、メディア論。
萩野正昭(はぎの・まさあき:1946-)株式会社ボイジャー代表取締役
長谷川一(はせがわ・はじめ:1968-)明治学院大学文学部芸術学科准教授。メディア論。
幅允孝(はば・よしたか)BACH代表。ブックディレクター。
原研哉(はら・けんや:1958-)グラフィック・デザイナー。日本デザインセンター代表、武蔵野美術大学教授。
福原義春(ふくしま・よしはる:1931-)資生堂名誉会長、文字・活字文化推進機構会長。
松岡正剛(まつおか・せいごう:1944-)編集工学研究所所長
宮下志朗(みやした・しろう:1947-)放送大学教授。フランス文学。

★さらにつっこんだ実際のデータやレポートにもとづいた、出版社の具体的研究を読んでみたい方は、先月発売された以下の本をご覧ください。詳細目次と「まえがき」はリンク先をご覧ください。

本を生みだす力――学術出版の組織アイデンティティ
佐藤郁哉+芳賀学+山田真茂留著
新曜社 2011年2月 本体4,800円 A5判上製568頁 ISBN978-4-7885-1221-4

帯文より:知の門衛〔ゲートキーパー〕たちが直面している「危機」とは? 学術的知をめぐる物語を生みだし、またそれを育てていく苗床としての“本”は、どのようにしてつくられ、世に送り出されていくのか? 出版社4社を対象とする丹念なケーススタディを通して、学術書の刊行に関わる組織的決定の背景と編集プロセスの諸相を浮きぼりにしていく。

目次:
まえがき
序章 学術コミュニケーションの危機
第I部 キーコンセプト――ゲートキーパー・複合ポートフォリオ戦略・組織アイデンティティ
 第1章 知のゲートキーパーとしての出版社
第II部 事例研究〔ケーススタディ〕――三つのキーコンセプトを通して見る四社の事例
 第2章 ハーベスト社――新たなるポートフォリオ戦略へ
 第3章 新曜社――「一編集者一事業部」
 第4章 有斐閣――組織アイデンティティの変容過程
 第5章 東京大学出版会――自分探しの旅から「第三タイプの大学出版部」へ
第III部 概念構築――四社の事例を通して見る三つのキーコンセプト
 第6章 ゲートキーパーとしての編集者
 第7章 複合ポートフォリオ戦略の創発性
 第8章 組織アイデンティティのダイナミクス
第IV部 制度分析――文化生産のエコロジーとその変貌
 第9章 ファスト新書の時代――学術出版をめぐる文化生産のエコロジー
 第10章 学術界の集合的アイデンティティと複合ポートフォリオ戦略
あとがき
付録1 事例研究の方法
付録2 全米大学出版部協会(AAUP)加盟出版部のプロフィール

文献
事項索引
人名索引

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by urag | 2011-03-01 23:48 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)