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2011年 02月 27日

社会思想家としてのルドルフ・シュタイナー

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社会改革案
ルドルフ・シュタイナー著 西川隆範訳
水声社 2011年2月 本体2,500円 四六判上製256頁 ISBN978-4-89176-823-2

裏表紙説明文より:勃興する労働運動と迫り来る《世界大戦》の危機を前にして、社会問題・労働問題の根本的な解決をめざした著者が、《社会有機体三文節化》――神経-感覚系、循環系、新陳代謝系の三つの部分からなる人体に倣って、社会有機体を、経済活動、政治-国家の営為、精神生活に三分節し、その三部分が互いに独立しつつ協力し合うことによって、近代の技術と資本主義によって傷ついた《人間と人間社会を、社会有機体を癒そう》とする試み――についてヨーロッパ各地で行った四講演を収録する。《健全な社会有機体の実現か、革命ないしは社会の激変・転覆か。第三の可能性は存在しない》。

目次:
経済の根本問題
精神科学と社会問題
社会問題
 社会問題の真相
 現実に沿った社会問題の解決
 社会生活の現実的な把握
 社会の発展と現代人の生活状況
社会秩序のなかの人間――個人と共同体
訳者あとがき

★シュタイナー(Rudolf Steiner, 1861-1925)というと本屋さんではたいてい「宗教/神秘思想」や「精神世界」の棚に分類されるのかもしれませんが、尖鋭的な社会思想家でもありました。「社会有機体三分節化論」はシュタイナーの社会改革論の屋台骨であり、かのヒトラーがその論旨に醜い言いがかりを投げかけたことが知られています。シュタイナーの「社会有機体三分節化論」の詳細は、今回出版された『社会改革案』と、『社会の未来――シュタイナー1919年の講演録』(高橋巌訳、春秋社、2009年11月;イザラ書房1989年刊の改訂版)、『シュタイナー 社会問題の核心』(高橋巌訳、春秋社、2010年7月;イザラ書房1991年刊『現代と未来を生きるのに必要な社会問題の核心』の改訂版)で読むことができます。『社会問題の核心』には、広嶋準訓訳(人智学出版社、 1981年)もあります。

★本書『社会改革案』に収録されているのは四つの講演で、原書全集版では以下の通りそれぞれ別の巻に収められています。

経済の根本問題・・・1921年11月30日、オスロ大学での講演。全集79巻『高次世界の実際』所収。
精神科学と社会問題・・・1908年3月2日、ハンブルクでの講演。全集54巻『世界の謎と人智学』所収。
社会問題・・・1919年2月3日~12日、チューリヒでの全4回の講演。全集328巻。
社会秩序のなかの人間――個人と共同体・・・1922年8月29日、オックスフォード(英)での講演。全集305巻『教育技芸の精神的・心魂的な根源力』所収。

★西川先生による「訳者あとがき」によれば、「社会問題」講演をもとにして『社会問題の核心』が書かれ、以後各地で講演を続けたとのことです。また、『シュタイナー経済学講座――国民経済から世界経済へ』(西川隆範訳、筑摩書房、1998年;ちくま学芸文庫、2010年10月)と『シュタイナー 世直し問答』(西川隆範訳、風濤社、2009年6月)が、シュタイナーの社会問題講義の最後に当たると紹介されています。なお、『社会の未来』は1919年10月24日から30日までチューリヒで行われた全6回の講演の記録です。

★シュタイナーの社会改革論はたとえば、現代のムハマド・ユヌス(Muhammad Yunus, 1940-)の著書と併せて読むと面白いかもしれません。ユヌスの言う「利他の心」と、シュタイナーの言う「博愛」には相通じるものがあると感じます。ユヌスは『ソーシャル・ビジネス革命――世界の課題を解決する新たな経済システム』(千葉敏生訳、早川書房、2010年12月)で、「個人的利益を追求するビジネス」と「他者の利益に専念するビジネス」の二つを挙げ、以下のように述べています。

「〔個人的利益を追求する〕前者のビジネスの目的は、他者を犠牲にしてでも企業の所有者の利益を最大化することだ(実際、利益の最大化を追求する人々の多くは、故意に他者の生活を傷つけることさえいとわない)。一方、〔他者の利益に専念する〕後者のビジネスでは、すべてが他者の利益のために行われる。他者の役に立つという喜び以外、企業の所有者にはなんの報酬もない。このふたつ目のビジネス、つまり人間の利他心に基づくビジネスこそ、私のいう「ソーシャル・ビジネス」だ。現代の経済理論に欠けているのはまさにこの考え方だ」(19頁)。

★ユヌスの言う「ソーシャル・ビジネス」の理念は、たとえば出版業界で、CHIグループCEOの小城武彦さん(おぎ・たけひこ、1961-)が提唱されている「新しい公共」に似ている部分があります。小城さんは営利活動と社会貢献とを矛盾させない企業理念として「新しい公共」を掲げています。社会貢献を仕事にするということと、企業として社会貢献するというのは似ているようで違うのも事実です。しかし小城さんは「ボランタリー・モデルを内包した、企業の公共性に共感した人間の集合体」として、すなわち「新しい公共」の担い手として企業組織を位置づけており、その企業理念は文化産業としての出版界のアンビバレンツ(文化と産業とのあいだの不透明な深い裂け目)を調停する「論理」としては整合的に機能しうると思えます。アンビバレンツや自己矛盾がきれいさっぱりなくなることはありませんが、だからこそいっそうその解消へと努力しなければならないのだと思います。シュタイナー風に言えば、「人間が本当に人間らしくなろうとするとき、〔…〕魂は更に光へ向かわなければならない」(「積極的な人と消極的な人」高橋巌訳、『シュタイナー 魂について』所収、春秋社、2011年1月、120頁)。

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★シュタイナーの訳書は100冊を超えており、原書全集は300巻を越えてなおも完結しないのですが、出版界ではシュタイナーの本は絶対に失敗しない「鉄板」として知られています。「心と体と頭に効く」思想家として日本でも愛されています。凡百の自己啓発本よりもシュタイナーの多彩な「深み」のほうが興味深いということでしょうね。試みにシュタイナーをビジネス書売場で大いに展開する本屋さんが現れてもいいのではと思います。
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by urag | 2011-02-27 17:21 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 25日

本日発売:バリバール『スピノザと政治』水嶋一憲訳、水声社より

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スピノザと政治
エティエンヌ・バリバール(Étienne Balibar, 1942-)著 水嶋一憲(みずしま・かずのり、1960-)訳
水声社 2011年2月 本体4,000円 A5判上製288頁 ISBN978-4-89176-802-7

帯文より:いまなお謎めいた存在でありつづけている、きわめて難解な17世紀オランダの哲学者の、ついには《同時代人たちが争っていた諸種の問い――信仰と理性、絶対主義と社会契約、等々――を徹底的に転位させる》に至った、その政治=哲学を、マルクスとの《相補的な交換性》をも視野に入れながら、ネグリ以降の新たな視点で読み解く。

原書:Spinoza et la Politique, PUF, 1985.

目次:
序言
校訂版、翻訳、研究道具
第一章 スピノザの党派
 〈自由党派〉
 宗教か神学か
 予定と自由意思――宗教的イデオロギー間の抗争
 諸教会、諸宗派、諸党派――オランダ共和国の危機
第二章 『神学・政治論』――民主制のマニフェスト
 最高権力の権利と思考する自由
 「もっとも自然な」統治形態――民主制
 歴史哲学?
 神権制の名残
第三章 『政治論』――国家の科学
 一六七二年以降――新たな問題設定
 『政治論』のプラン
 権利と力能
 「政治体」
 国家の精神――決定
第四章 『エティカ』――政治的人間学
 社会性
 服従とは何か?
 『エティカ』とコミュニケーション
第五章 政治とコミュニケーション
 力能と自由
 「欲望とは人間の本質そのものである」
 共同体のアポリアと認識の問い
補論 政治的なるもの、政治――ルソーからマルクスへ、マルクスからスピノザへ
訳註
年譜
書誌
マルチチュードの力能と恐れ(水嶋一憲)
訳者あとがき

★原著1985年刊の『スピノザと政治』の日本語訳に2本の論文が追加で訳出しされています。第五章(1989年)と補論(1993年)がそれです。

★エティエンヌ・バリバール(Étienne Balibar, 1942-)単独著日本語訳一覧
『プロレタリア独裁とはなにか』加藤晴久訳、新評論、1978年2月
『史的唯物論研究』今村仁司訳、新評論、1979年3月
『ルイ・アルチュセール――終わりなき切断のために』福井和美編訳、藤原書店、1994年10月
『マルクスの哲学』杉山吉弘訳、法政大学出版局、1995年12月
『市民権の哲学――民主主義における文化と政治』松葉祥一訳、青土社、2000年10月
『ヨーロッパ、アメリカ、戦争――ヨーロッパの媒介について』大中一彌訳、平凡社、2006年12月
『ヨーロッパ市民とは誰か――境界・国家・民衆』松葉祥一+亀井大輔訳、平凡社、2007年12月
『真理の場所/真理の名前』堅田研一+澤里岳史訳、法政大学出版局、2008年10月

★バリバールのデビュー作は言うまでもなくルイ・アルチュセールとの共著『資本論を読む』(初版1965年/ちくま学芸文庫1996-1997年、改訂版1968年/合同出版1974年)ですが、初版当時、バリバールはわずか23歳で、師匠のアルチュセール(1918-1990)とはふたまわりも違う若さでした。マルクス主義哲学者の新鋭として日本でも70年代から単独著が訳されてきましたが、80年代はまったく翻訳なし。今回の著書はその時期にフランスで出版された本です。本書は、アルチュセール門下でバリバール同様に『資本論を読む』初版本の共著者であるピエール・マシュレ(Pierre Macherey, 1938-)の著書『ヘーゲルとスピノザ』(1979年/新評論1986年)や、投獄中のアントニオ・ネグリ(Antonio Negri, 1933-)の大きな成果『野生のアノマリー――スピノザにおける力能と権力』(1981年/作品社2008年)や、ジル・ドゥルーズの『スピノザ――実践の哲学』(1981年/平凡社1994年/平凡社ライブラリー2002年)と並んで、スピノザの政治哲学の革新性を分析した、フランスにおける一連のスピノザ・ルネサンスの古典的名著として知られています。

★ちょうど先月、國分功一郎さんの大著『スピノザの方法』が、みすず書房から刊行され、人文業界の話題をさらっています。スピノザの訳書もあわせて、本屋さんの書棚がにぎわうといいなと思います。

★スピノザの主著『エティカ』(中公クラシックス、2007年)の訳者、工藤喜作先生は日本でのスピノザ研究の第一人者でいらっしゃいましたが、2010年1月22日に79歳でお亡くなりになりました。弊社のような零細企業にもやさしく接してくださり、いくつかの出版企画が実現するはずでした。あらためて心からの哀悼の意を捧げる次第です。
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by urag | 2011-02-25 19:29 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 22日

「紀伊國屋じんぶん大賞2010」連動フェア

先月から開催されているブックフェア「紀伊國屋じんぶん大賞2010――読者がえらぶ人文書ベストブック」に連動して、「2010年およびゼロ年代に売れたベスト人文書」という興味深いフェアが開催されていまし。今月9日からは連動フェア第2弾として「小林浩(月曜社取締役)がえらぶ2010年必読基本書」が書棚3本で展開中です。自己宣伝は恥ずかしいのですが、会期が3日間延長になったとのことなので、お知らせします。

◎小林浩(月曜社取締役)がえらぶ2010年必読基本書

会期:2011年2月9日(水)~3月13日(日)
会場:紀伊國屋書店新宿本店 5階 A階段 横 壁棚
お問合せ:紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-5700(5階直通番号)

書棚3本の大容量とはいえ、2010年に刊行された人文書(主に哲学思想書)のごく一部をお見せできているにすぎません。昨年の新刊の傾向をざっと復習しておきたい方にお薦めします。同時開催で、向かい側の棚に「筑摩書房在庫僅少本フェア」が好評展開中なので(この機会を逸すると特にちくま文庫やちくま学芸文庫あたりは当面入手困難になりますよ)、ぜひご利用ください。一枚目の写真の右端にちらっと見ているのは「在庫僅少本棚」です。みすず書房、講談社学術文庫、平凡社ライブラリーのほか、河出書房新社さんが3月いっぱいまで行っている「謝恩価格本」もこの棚で入手できます。2010年ベストブックから在庫僅少本まで、年度末までに本を購入されたいお客様のお役に立つかもしれない品揃えとなっています。

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なお、紀伊國屋書店サイドで告知が出ている無料配布オリジナル小冊子「千葉雅也×小林浩対談」(『文藝 2010年冬号』(河出書房新社)に掲載された「ひと足早い これだけは読んでおきたいブックガイド2010」千葉雅也×小林浩の対談のつづき)は、3月中旬以降の配布となるようです。私の選書した連動フェアは13日で終了しますが、「紀伊國屋じんぶん大賞2010」フェアの本体は会期をさらに3月いっぱいまで延長すると聞いています。その会期中に「紀伊國屋じんぶん大賞2010」の小冊子(佐々木中さんによる大賞受賞コメントや、ベスト30冊に選ばれた本の一覧とそれらに寄せられた読者投票コメントなどを収録)が配布され、別途「千葉雅也×小林浩対談」の小冊子も店頭に置かれることになると思われます。
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by urag | 2011-02-22 19:57 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 20日

注目新刊:エスポジト(来日情報あり)とマクルーハン

今月10日に発売されたエスポジトの新刊と、まもなく発売される(明日21日あたりかと)『マクルーハン――生誕100年、メディア(論)の可能性を問う』をご紹介します。

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三人称の哲学――生の政治と非人称の思想
ロベルト・エスポジト著 岡田温司監訳 佐藤真理恵+長友文史+武田宙也訳
講談社選書メチエ 2011年2月 本体1,700円 四六判並製278頁 ISBN978-4-06-258492-0

原書:Terza Persona: Plitica della vita e filosofia dell'impersonale, Einaudi, 2007.
帯文より:非-政治へ、非-人称へ。現代思想の最前線にたつ著者が挑む「人格」という装置の脱構築!

目次:
序論
第1章 二重の生(人間科学機械)
第2章 ペルソナ、ヒト、モノ
第3章 三人称
    1.非-人称
    2.動物
    3.他者
    4.「彼」
    5.中性的なもの
    6.外
    7.出来事

訳者あとがき
人名索引

★写真は右が今回の新刊、真ん中は前作『近代政治の脱構築――共同体・免疫・生政治』(岡田温司訳、講談社選書メチエ、09年10月)、左は最新著『生きた思考――イタリア哲学の根源とアクチュアリティ Pensiero vivente: Origine e attualità della filosofia italiana』(エイナウディ、2010年)です。

★エスポジトは来月来日し、京都と東京で講演します。いずれも参加費無料、事前申込不要、通訳つき(講義はイタリア語)です。

◎イタリア哲学の回帰――その起源とアクチュアリティ

講師:ロベルト・エスポジト(イタリア国立人文科学研究所副所長)+フェデリコ・ルイゼッティ(ノース・キャロライナ大学准教授)

日時:2011年3月4日(金)13:30~
場所:京都大学吉田南キャンパス 吉田南総合館東棟 101・107号室

内容:つねに世俗経験の葛藤とトラウマにさらされているイタリア哲学は、主体理論、認識論、言語分析、解釈学的脱構築などとは別のものを目指している。イタリア哲学の中核には「生」というカテゴリーがあり、そこには「政治」および「歴史」というカテゴリーが緊密に――かつ問題含みの仕方で――結びついているのである。濃密で不透明なこのマテリア――生――は、表象のフォルマ的秩序には還元しえない。そのためにこそイタリアの思想は、今日のわたしたちの時代を特徴づける兆候と深く共鳴しあうのである。

◎「装置」としてのペルソナ――人格の脱構築と三人称の哲学

講師:ロベルト・エスポジト(イタリア国立人文科学研究所副所長)
ディスカッサント:岡田温司(京都大学大学院教授)+フェデリコ・ルイゼッティ(ノース・キャロライナ大学准教授)

日時:2011年3月5日(土)13:30~17:30
場所:京都大学吉田南キャンパス 人間・環境学研究科棟 地下大会議室
※国際シンポジウム「共同の生/生の共同に向けて――いかにして共に生きるか」基調講演

装置としてのペルソナ
講演者:ロベルト・エスポジト(イタリア人文科学研究所)
ディスカッサント:フェデリコ・ルイゼッティ(ノースカロライナ大学)
コメンテーター:岡田温司(京都大学)

日時:2011年3月9日(水)16:00~18:30
場所:東京大学駒場キャンパス アドミニストレーション棟3階 学際交流ホール

★一番最初の講演は演題と内容から推察して、エスポジトの最新著『生きた思考――イタリア哲学の根源とアクチュアリティ Pensiero vivente: Origine e attualità della filosofia italiana』(エイナウディ、2010年、写真左)を踏まえたものになるのでしょうね。

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マクルーハン 〔KAWADE道の手帖〕
河出書房新社 2011年2月 本体1,600円 A5判並製192頁 ISBN978-4-309-74037-9

カバーより:生誕100年、メディア(論)の可能性を問う

目次:
インタビュー
「100年目の入門――マーシャル・マクルーハンの思想」門林岳史/聞き手=編集部
「私が父の後継者です――父との共著『メディアの法則』を語る」エリック・マクルーハン/聞き手=ラウレアノ・ラロン/宮澤淳一訳
翻訳
「風景詩における美学的瞬間」マーシャル・マクルーハン/門林岳史訳
「反環境としての芸術」マーシャル・マクルーハン/門林岳史訳
「マクルーハンの影響」ジョン・ケージ/白石美雪訳
「ノーバート・ウィーナーとマーシャル・マクルーハン」ナム・ジュン・パイク/宮澤淳一訳
用語集
「マクルーハン・グロッサリー(用語集)」宮澤淳一
論考
「メディアはメッセージだ――私たちを形作るのは、メディアかコンテンツか」有馬哲夫
「トロント・コミュニケーション学派からトロントのメディア文化研究へ」粟谷佳司
「冷たく熱いマクルーハン――メディア論をメディア論してみよう!」佐藤俊樹
「前を見ること――マクルーハンの詩論」柴田崇
「マクルーハン考」津野海太郎
「ポスト・マクルーハンのメディア論へ」福嶋亮大
エッセイ
「メディアによる世界の再魔術化」池上高志
「マクルーハンのことはみんな「だいたいの感じ」で知っている。」伊藤ガビン
「マクルーハンを読んで、鳥アタマは電子書籍について考える」長野まゆみ
「うまく行っているものはもう時代遅れ If It Works, It's Obsolete――マクルーハン生誕百年に想う」服部桂
「クエンティン・フィオーレと『Aspen』」ばるぼら
著作解題
『機械の花嫁 The Mechanichal Bride』宮澤淳一
『内的風景 The Interior Landscape』門林岳史
『マクルーハン理論 Explorations in Communication: An Anthology』柴田崇
『グーテンベルクの銀河系 The Gutenberg Galaxy』柴田崇
『メディアの理解(メディア論) Understanding Media』有馬哲夫
『メディアはマッサージである The Medium is the Massage』宮澤淳一
『メディアの法則 Laws of Media』門林岳史
再録:MMはどのように受け止められたか
1966「テレビ時代の預言者<・マックルーハン――人物紹介」竹村健一
1967「マーシャル・マクルーハンの教訓」由良君美
1967「メディアはマッサージである」宮川淳
1981「たった一人の、マクルーハン追悼」日向あき子
1997「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか(第一回より)」東浩紀

★なお、抄録されている東さんの論文「サイバースペースはなぜそう呼ばれるか」ですが、もともとは『InterCommunication』誌22号(97年秋)から32号(00年春)にかけて全10回にわたって連載され、その後『情報環境論集――東浩紀コレクションS』(講談社BOX、2007年)に収録されたものです。これにおそらく加筆されたヴァージョンが、来月(3月8日)の河出文庫新刊『サイバースペースはなぜそう呼ばれるか+〔プラス〕――東浩紀アーカイブス2』(456頁)になるのだろうと思います。版元ウェブサイトの案内文にはこうあります:「これまでの情報社会論を大幅に書き換えたタイトル論文を中心に90年代に東浩紀が切り開いた情報論の核となる論考と、斎藤環、村上隆、法月綸太郎との対談を収録。ポストモダン社会の思想的可能性がここに! 」。さらに、東さんのツイートから推測するに「東浩紀アーカイブス」シリーズの第1巻は4月刊行予定の『郵便的不安たちβ』なのでしょうね。

★写真は右が今回の「道の手帖」新刊、左は先日のエントリーで復刊されたないいなあと独り言を書いた『地球村の戦争と平和』(マクルーハン+フィオール著、広瀬英彦訳、番町書房、1972年)です。「道の手帖」の著書解題に出てくる本は、43年から62年までの文学評論を集めた『内的風景』を除いてすべて日本語訳されています。下の写真は、懐かしい竹内書店版の「マクルーハン著作集」全3巻。みすず書房のA5判の重厚な版もいいですが、私は個人的にはマクルーハンの本はこの著作集のようなハンディで持ち運びに便利な46判サイズが好きです。現在は絶版。

竹内書房版「マクルーハン著作集」
第1巻『機械の花嫁――産業社会のフォークロア』井坂学訳、1968年11月
第2巻『グーテンベルグの銀河系――活字的人間の形成』高儀進訳、1968年9月
第3巻『人間拡張の原理――メディアの理解』後藤和彦+高儀進訳、1967年11月
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by urag | 2011-02-20 20:10 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 17日

ジャン・ジュネ『公然たる敵』2011年3月中旬発売

2011年3月中旬発売予定新刊【ジャンル:文学/思想】

公然たる敵
ジャン・ジュネ[著]
アルベール・ディシィ[編]
鵜飼哲・梅木達郎・根岸徹郎・岑村傑[訳]
46判(タテ188ミリ×ヨコ130ミリ)上製、664頁、本体価格5,600円
ISBN:978-4-901477-83-3

ジュネ自身が生前に刊行を熱望した政治的テクスト集。日本語初訳。パレスチナ人たちを、移民労働者たちを、アメリカの黒人革命家たちを全身で愛し、ともに闘い続けた作家ジュネが、〈68年5月〉から86年の死までに、文学と政治が交錯する地点で生みだした発言とテクストを集大成。

目次:
はじめに
「J・G求む、探し求む……」(一九七〇年)
マドレーヌ・ゴベイユとの対話(一九六四年一月)
レーニンの愛人たち(一九六八年五月)
『悪辣な羊飼いたち』(一九六九年三月)
フランス人よ、いま一息だ(一九七〇年二月二十四日)
「自分のことを話すのは慎みがないように思われる……」(一九七〇年三月十日)
アメリカの知識人たちへの手紙(一九七〇年三月十八日)
メーデー・スピーチ(一九七〇年五月一日)
ミシェル・マンソーとの対話(一九七〇年五月十日)
『ソルダッド・ブラザー』への序文(一九七〇年七月)
アンジェラとその兄弟たち(一九七〇年八月三十一日)
アンジェラ・デイヴィスはおまえたちの手中にある(一九七〇年十月十六日)
ジョージ・ジャクソンのために(一九七一年三月)
パレスチナ人たち(一九七一年五月)
赤と黒(一九七一年八月)
殺しのあとで(一九七一年八月)
アメリカは怖れている(一九七一年八月)
『ジョージ・ジャクソンの暗殺』まえがき(一九七一年十一月十日)
グワラニ人とお近づきになられたし(一九七二年六月二日)
誰もけっして語らなかった二、三の本について(一九七四年五月二日)
「最悪が必ず確実である」ときに(一九七四年五月)
ジスカール・デスタンのもとで死ぬこと(一九七四年五月十一日)
ズボンつり姿でも愚かは愚かだ(一九七四年五月二十五日)
ジャバル・フセインの女たち(一九七四年七月一日)
フーベルト・フィヒテとの対話(一九七五年十二月十九~二十一日)
アジュルーンの近くで(一九七〇年十~十一月/一九七七年)
アメリカ黒人の不屈さ(一九七七年四月十六日)
シャルトルの大聖堂《騎乗透視》(一九七七年六月三十日)
暴力と蛮行(一九七七年九月)
タハール・ベン・ジェルーンとの対話(一九七九年十一月)
『カラマーゾフの兄弟』(一九八一年)
アントワーヌ・ブルセイエとの対話(一九八一年夏)
ベルトラン・ポワロ=デルペシュとの対話(一九八二年一月二十五日)
シャティーラの四時間(一九八二年九~十月)
登録番号一一五五(一九八三年三月一日)
リュディガー・ヴィッシェンバルト、ライラ・シャヒード・バラーダとの対話(一九八三年十二月六~七日)
ナイジェル・ウイリアムズとの対話(一九八五年夏)
付録
 集まった人々(一九六八年八月)
 十万の星への挨拶(一九六八年九月)
解題・注
略年譜
訳者あとがき

ジャン・ジュネ(Jean Genet):1910年12月19日、パリに生まれる。1936年、軍隊を脱走し、ヨーロッパを放浪。その後、窃盗などで逮捕、投獄を繰り返す。獄中で『死刑囚』(42年)『花のノートルダム』(43年)『薔薇の奇蹟』(44年)を書き、ジャン・コクトーらから高い評価を得る。1944年、刑務所を出所。1948年、コクトーらの請願によって大統領特赦を得る。『葬儀』(45年)『ブレストの乱暴者』(46年)『泥棒日記』(48年)、戯曲『女中たち』(47年)『バルコン』(56年)などを執筆。1960年代後半以降、アメリカのブラックパンサーやパレスチナ解放運動の支援など、政治問題へ積極的に関与する。1986年4月15日にパリで死去。
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by urag | 2011-02-17 19:53 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 15日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

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★ジョルジョ・アガンベンさん(『アウシュヴィッツの残りのもの』『バートルビー』『涜神』『思考の潜勢力』著者)
★河村一郎さん(ポール・ヴィリリオ『民衆防衛とエコロジー闘争』共訳者)
★澤里岳史さん(ポール・ヴィリリオ『民衆防衛とエコロジー闘争』共訳者)
★河合孝昭さん(ヘント・デ・ヴリース『暴力と証し』訳者)

以下の論文集が以文社より本日2月15日に発売されました。

民主主義は、いま?――不可能な問いへの8つの思想的介入
ジョルジョ・アガンベン+アラン・バディウ+ダニエル・ベンサイード+ウェンディ・ブラウン+ジャン=リュック・ナンシー+ジャック・ランシエール+クリスティン・ロス+スラヴォイ・ジジェク:著
河村一郎+澤里岳史+河合孝昭+太田悠介+平田周:訳
以文社 2011年2月 本体価格2,500円 四六判上製カバー装232頁 ISBN978-4-7531-0287-7

帯文より:民主主義が地球規模の全面的勝利を謳うなか、いまや誰もが民主主義に疑念を抱き始めている。現代を代表する8人の思想家に投げられた民主主義をめぐる「不可能な問い」。彼らはそれにいかに応答するのか? 空転する思考に揺さぶりをかける8つの根源的考察。

原書:Démocratie, dans quel état?, La Fabrique, 2009.

目次:
緒言
民主主義概念に関する巻頭言(ジョルジョ・アガンベン/太田悠介訳)
民主主義という紋章(アラン・バディウ/河村一郎訳)
永続的スキャンダル(ダニエル・ベンサイード/平田周訳)
いまやわれわれみなが民主主義者である(ウェンディ・ブラウン/河合孝昭訳)
終わりある/終わりなき民主主義(ジャン=リュック・ナンシー/河村一郎訳)
民主主義諸国 対 民主主義(ジャック・ランシエール/河合孝昭訳)
民主主義、売出し中(クリスティン・ロス/太田悠介訳)
民主主義から神的暴力へ(スラヴォイ・ジジェク/澤里岳史訳)
訳者あとがき

河村一郎さんによる「訳者あとがき」にはこうあります。「日本の二大政党がともに「民主」を冠している現状を考えてみればよい。〔中略〕それはあらゆる形容句と無節操なまでに結合可能である。かくして、民主主義は「ゴムのような」言葉として、思考を停止させ、議論や対立関係を癒着させてしまう」(223-224頁)。だからこそ本書のように「民主主義」の内実を問う思考がこんにち必要なわけです。現代の必読書。


★西山雄二さん(『ブランショ政治論集』共訳者、デリダ『条件なき大学』訳者)
先日も告知しましたが、勁草書房からDVD付の著書『哲学への権利』が今週発売されます。明後日17日に取次搬入とのことですから、店頭に並び始めるのは18日以降ということになるかと思います。フェアやトークイベントについては版元ウェブサイトの「お知らせ(フェア・イベント)」欄でご確認ください。

哲学への権利
西山雄二(1971-)著
勁草書房 2011年2月 本体3,200円 四六判上製232頁 映画DVD付(本編84分+特典映像20分) ISBN:978-4-326-15414-2

帯文より:国内外40ヶ所以上で上映、3000人を動員している映画『哲学への権利』、ついに書籍化! 特典映像を加えた映画DVD付。人文学的なものの可能性を信じ、現場をつくり、苦悩する希望がここにある。

本文(「Essai01 出会い」)より:誰もが苦しみ悩まざるをえないときがある以上、根底的な思考と言葉は誰にとっても必要なものである。困難な状況をともに思考し、批判的に克服しようとするため、「手をつなぐ」ように言葉をつなぐ哲学の力が求められるのである。

推薦文1:「世界を変化させる作業に対するきわめて重要な貢献。(ジャン=リュック・ナンシー)
推薦文2:哲学が何らかの希望を語る場面を久しぶりに目の当たりにした。(熊野純彦)

映画に登場する哲学者たち:ミシェル・ドゥギー、フランソワ・ヌーデルマン、ブリュノ・クレマン、カトリーヌ・マラブー、フランソワ・ナイシュタット、ジゼル・ベルクマン、ボヤン・マンチェフ。

本書は映画『哲学への権利』の字幕を収録するとともに、製作エピソードや大学論/教育論をめぐる書き下ろしエッセイで構成されています。西山さん自身の生きざまから哲学、そして広汎な問題意識に至るまで、全身全霊の挑戦が凝縮された素晴らしい本です。




★柿並良佑さん(ルイ・サラ=モランス『ソドム』共訳者)
★渡名喜庸哲さん(ルイ・サラ=モランス『ソドム』共訳者)

みすず書房より以下の共訳書が刊行されました。

20世紀ユダヤ思想家――来るべきものの証人たち(1)
ピエール・ブーレッツ:著 合田正人+柿並良佑+渡名喜庸哲+藤岡俊博+三浦直希:訳
みすず書房 2011年1月 A5判上製368頁 本体6,800円 ISBN 978-4-622-07580-6

版元紹介文より:ユダヤ教と現代思想――20世紀、この両者の深淵で繰り広げられた知的格闘を、思想家ひとりひとりを光源として、詳細かつ重層的に描き出した新シリーズの第1巻。コーエン、ローゼンツヴァイク、ベンヤミン。近代において、あくまで形而上学にとどまった3人の、メシアニズムと理性との融和と対立のダイナミズムをたどる。続巻の2、3巻では、ゲルショム・ショーレム、マルティン・ブーバー、エルンスト・ブロッホ、レオ・シュトラウス、ハンス・ヨナス、エマニュエル・レヴィナスが論じられる。

全3巻の大作です。なお、渡名喜さんは昨秋、ポール・ヴェーヌ『「私たちの世界」がキリスト教になったとき――コンスタンティヌスという男』(西永良成・渡名喜庸哲訳、岩波書店、2010年9月)という共訳書も上梓されています。
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by urag | 2011-02-15 22:39 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 13日

注目新刊:『生権力論の現在』『ゼロ年代の論点』

発売になったばかりの新刊とまもなく発売の新刊、合計2点をご紹介します。1点目は先週後半に発売された、檜垣立哉編著『生権力論の現在――フーコーから現代を読む』(勁草書房)です。帯文にはこうあります:「生命の世紀である21世紀を解読する軸として、今新たな視角から求められている「生権力」概念。人類学、社会学、哲学を専門とする気鋭の論者の論考によって、フーコーの議論の原理的な潜勢力を明らかにする」。同書では檜垣さんを含め7名の方々の論考を読むことができます。中でも、第五章「生命と認識――エピステモロジーからみる「生権力」の可能性」を執筆された近藤和敬(こんどう・かずのり:1979-)さんは、同書の執筆者略歴に明記されている通り、弊社から『カヴァイエス研究』を上梓される気鋭の若手研究者です。ほどなく発売予定と聞く某誌のエピステモロジー特集号にも尽力されていると伺っています。『カヴァイエス研究』は20世紀フランスのエピステモロジーの系譜を語る上で欠かせない重要な数理哲学者ジャン・カヴァイエス(Jean Cavaillès, 1903-1944)にかんする本邦初の本格的な研究書になります。

2点目は今週水曜日16日発売となる円堂都司昭(えんどう・としあき:1963-)さんの『ゼロ年代の論点――ウェブ・郊外・カルチャー』(ソフトバンク新書)です。カバーに記載された紹介文によれば、本書の内容はこうです。「ゼロ年代に批評は何を論じてきたのか? 注目すべき多くの書籍を通して、ゼロ年代の論点を文芸・音楽評論家が浮き彫りにする。そこから見えてくる従来とは異なる表現のかたちやネットの影響力、そして街並みの変容などは、まさに現在考えるべきテーマだ。本書はブックガイドとしてはもちろんのこと、ゼロ年代に論じられた幾つものポイントをナビゲーションする役割も果たすだろう」。同書の「まえがき」では端的にこう宣言されています:「本書は、二〇〇〇~二〇一〇年の批評に関するガイドブックである」(3頁)。なお、本書で言う「批評」とは、「世界と「私」について考えること」(同頁)だと定義されています。本書の概要は目次詳細が如実に示していると思うので、以下に特記します。

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『ゼロ年代の論点――ウェブ・郊外・カルチャー』目次

まえがき
第1章 ゼロ年代批評のインパクト
 ゼロ年代の批評をリードする――東浩紀『動物かするポストモダン』
 コミュニケーションを鍵として――宇野常寛『ゼロ年代の想像力』
 ニコニコ動画は政治をも動かす――濱野智史『アーキテクチャの生態系』
 この国の批評のかたち――佐々木敦『ニッポンの思想』
 「世界視線」とアーキテクチャ
  パフォーマティヴとコンスタティヴ
  「私」からの逃亡と自分探し
  投瓶通信の否定
  不況下の批評
第2章 ネットの力は社会を揺さぶる
 アイロニーと反省からみた状況のねじれ――北田暁夫『嗤う日本の「ナショナリズム」』
 理想と現実、ウェブ2.0と2ちゃんねるのあいだ――梅田望夫『ウェブ進化論』
 宿命とセカイの外へむかって――鈴木謙介『ウェブ社会の思想』
 「祭り」のあとでクールに思考する――荻上チキ『ウェブ炎上』
 情報環境とコミュニケーション
  セキュリティと環境管理型権力
  事件の物語化の変容
  秋葉原通り魔事件と「ゲーム的」現実感覚
  「呼びかけのメディア」の可能性
第3章 言葉の居場所は紙か、電子か
 「つぶやき」が情報流通インフラになるとき――津田大介『Twitter社会論』
 小説と文藝批評の擁護者として――前田塁『紙の本が亡びるとき?』
 オープン化は「本」をも変えるか――佐々木俊尚『電子書籍の衝撃』
 「教養」の終焉と著者2.0
  「本」と「青春」の終わり
  「文学」の終焉と成熟の不可能性
  文学フリマと批評の居場所
  レヴュアーの時代
  言葉の変化と風景の変化
  ニコニコ動画からツイッターへ
第4章 データベースで踊る表現の世界
 「ぼくら語り」にレッドカード――伊藤剛『テヅカ・イズ・デッド』
 オタクの自意識と思春期をめぐって――前島賢『セカイ系とは何か』
 情報処理の方程式は何を読み解くか――福島亮大『神話が考える』
 キャラ/テクノ/スーパーフラット
  セカイ系と萌え
  新本格ミステリーと「キャラ」
  『アトムの命題』と大量死理論
  八〇年代との連続性
  「日本ゼロ年」というリセット
第5章 変容するニッポンの風景
 すべては個室になるか――森川嘉一郎『趣都の誕生』
 「過去」失い流動化する地方――三浦展『ファスト風土化する日本』
 郊外のデフレカルチャー――速水健朗『ケータイ小説的。』
 建築とアーキテクチャ
  二種類のテーマパーク
  「ホームレス」と「ストリート」
  都市デザインとしての2ちゃんねる
  物理空間と情報空間】
終章 二〇一〇年代にむけて
  アーキテクチャ批判という伝統芸
  「現実」の時代
主要参考文献
あとがき

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終章では佐々木中『切りとれ、あの祈る手を』や『思想地図β』創刊号に触れています。ご覧の通り、人文書売場の日本思想棚、とりわけ「ゼロ年代」の棚をつくるためにはもってこいの便利な参考書になっています。各章を構成する各節はそれぞれ短くて読みやすいですし、独立性もあるので順番にこわだらず拾い読みすることも可能です。参考文献に書店さん独自の肉付けをすれば、フェアにも棚にも応用できるでしょう。読書の時間がなかなか取れない方はまず本書を読んで、そこから、取り上げられているそれぞれの本の中で興味を感じた書目へと進むのが近道の一方法ではないかと思います。
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by urag | 2011-02-13 20:38 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 09日

「新書大賞2011」発表@「中央公論」2011年3月号

明日10日発売の月刊誌「中央公論」2011年3月号で、恒例の「新書大賞」が発表されます。これで4回目になりますか。私は別冊になった2回目から参加させていただいています。別冊になったのは2回目と3回目ですね。4回目は1回目と同じ、月刊誌の特集になっています。

◎決定! 新書大賞2011(20-40頁)
今年度No.1の新書を発表します〈新書通七〇人が厳選した〉年間ベスト10
新書大賞2011大賞受賞インタビュー『宇宙は何でできているのか』(村山斉)
入賞作品紹介
新書「冬の時代」それでも読むべき本はこれだ! (対談=永江朗×宮崎哲弥)

ちなみに私が推薦したのは以下の5点です。

『ポストモダンの共産主義』スラヴォイ・ジジェク著、ちくま新書
『ミドルクラスを問いなおす』渋谷望著、生活人新書(NHK出版新書)
『知性の限界』高橋昌一郎著、講談社現代新書
『現代語訳 武士道』新渡戸稲造著/山本博文訳解説、ちくま新書
『本は、これから』池澤夏樹編、岩波新書

上記5冊はベスト20にも入っておらず。5点に絞るというのがとても難しいのですが、ベスト20の中で私も推薦したかったのは、平井玄『愛と憎しみの新宿』ちくま新書、のみ。

3月号では、巻頭特集の「新書大賞」のほかに、ちばてつやさんと四方田犬彦さんの対談「『あしたのジョー』とあの時代」、佐藤優さんのエッセイ「菅首相の「新・帝国主義演説」、吉成真由美さんによるオリヴァー・サックスさんへのインタビュー「『レナードの朝』で解く脳の可能性と柔軟性」などが掲載されています。また、弊社が「表象」誌でお世話になっている松浦寿輝さんによる、連載小説「「川の光」外伝」の第2回「グレンはなぜ遅れたか」も載っています。

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by urag | 2011-02-09 17:24 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 08日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2011年2月25日(金)
PAPER WALL エキュート品川店:22坪
東京都港区高輪3-26-27 JR品川駅構内 エキュート品川 2F
帳合はN。オリオン書房の「ブックカフェ」業態、PAPER WALL(ペーパーウォール)の二店舗目です。1店舗目(PAPER WALL エキュート立川店)はエキュート立川2Fにあります。2007年10月5日開店で25坪のお店。今回の2店舗目は22坪です。だいたい同じ規模ですね。オープニングプレゼントとして、商品お買い上げのお客様は先着で「オリジナルエコバッグ」がもらえるそうですよ(数量限定)。

このエキュート品川店は、2Fのイベントスペースに先週金曜日2月4日から5坪で仮オープンしており、25日のグランドオープンまでは臨時店舗として運営されます。弊社の本では写真集や芸術書を中心にご発注をいただきました。母体がオリオンさんだけに、弊社のような硬い版元にも目配りをしてくださっていて、立川店につづき、今回もご発注いただけてとても嬉しいです。
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by urag | 2011-02-08 15:25 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2011年 02月 07日

注目新刊:主に11年1月から2月にかけて(その2)

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★『ルールズ・オブ・プレイ――ゲームデザインの基礎(上)』ケイティ・サレン+エリック・ジマーマン著、山本貴光訳、ソフトバンククリエイティブ、2011年2月
ゲームデザインの基本的文献の翻訳。全二巻で上巻にはユニット1と2、続刊予定の下巻にはユニット3と4が収録されます。トータルでは全33章。文理にわたる幅広い名著や基本文献が出てくるので、これはまさに山本さんのような方でなければ訳すのがキツいであろう仕事です。山本さんのこれまでの著書、『コンピュータのひみつ』(朝日出版社、2010年9月)、『ゲームの教科書』(馬場保仁共著、ちくまプリマー新書、2008年12月)、『心脳問題』(吉川浩満共著、朝日出版社、2004年6月)や、訳書、ジョン・サール『MiND 心の哲学』(吉川浩満共訳、朝日出版社、2006年3月)と併せてガッツリ読みたい本です。山本さんのお仕事には一貫性がありますから、「ゲーム=コンピュータ=脳=心」の諸問題をつなぐ豊かな海図がかいま見えてくるのではないかと思います。

ごく直感的な選書になりますが、写真では原田霊道訳著『現代意訳 華厳経』(書肆心水、2010年11月)と、『新版 能・狂言事典』(平凡社、2011年1月)とのあいだに挟まってもらいました。「悟達=宇宙/花=伎芸」の問題系への遊戯の機微として。


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★『新キーワード辞典――文化と社会を読み解くための語彙集』T・ベネット+L・グロスバーグ+M・モリス編、河野真太郎+秦邦生+大貫隆史訳、ミネルヴァ書房、2011年1月
帯文に曰く「レイモンド・ウィリアムズの『キーワード辞典』の精神を活かした現代の文化と社会を理解するための読む〈辞典〉」。ウィリアムズの『キーワード辞典』は原著Keywords: A Vocabulary of Culture and Societyが1976年に刊行され、この初版本では110項目のキーワードが扱われていました。これの訳書が岡崎康一訳で、晶文社から1980年に『キイワード辞典』として出版されています。続いて原著は1983年に改訂版が刊行されました。キーワードは21項目追加され、合計131項目になります。こちらの翻訳は2002年に『完訳 キーワード辞典』(椎名美智+武田ちあき・越智博美・松井優子訳、平凡社、2002年8月)として出版されます。そして今回刊行された『新キーワード辞典』の原著New Keywords: A Revised Vocabulary of Culture and Societyは2005年に出版され、142項目が扱われています。

試しにAから始まるキーワードについて、ウィリアムズ版『完訳 キーワード辞典』と、『新キーワード辞典』を比較してみましょう。前者で扱われるAから始まるキーワードは、Aesthetic(美的・美学的・審美的)、Alienation(疎外)、Anarchism(無政府主義・アナーキズム)、Anthropology(人類学・文化人類学)、Art(芸術・美術・技術)でした。後者では、Aesthetics(美学)、Alternative(オルタナティヴ)、Art(芸術)、Audience(オーディエンス)です。なるほど確かに時代の変遷を感じさせますね。後者の「序論」にはこう書かれています、「『新キーワード辞典』は、おおくの項目がさまざまな程度において理論的著作に依存するにせよ、現代の文化・社会理論の語彙集ではない」(v頁)。執筆者は61名にのぼり、その中には酒井直樹さんの名前も見えます。カルチュラル・スタディーズの諸分野で著名な学者ばかりで、実に豪華な「読む辞典」です。


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★『ゴダール的方法』平倉圭著、インスクリプト、2010年12月
著者の平倉圭さんは1977年生まれ。本書がデビュー作になります。芸術論・知覚論がご専門で、美術家としても活動されています。ヴィジュアル・スタディーズの注目の俊英です。写真右側は、ジュンク堂書店新宿店と青山BC本店にて今月いっぱい行われる刊行記念ブックフェアで無料配布されている、平倉さん選書によるブックリスト「視-聴覚的思考を更新するための50冊+α――『ゴダール的方法』のコンテクスト」です。一点ずつ興味深い選書コメントが添えられています。弊社刊『アンフォルム』も取り上げていただいています。

平倉さんによるレクチャーが今後、以下の通り予定されています。

ゴダールを解体する──『ゴダール・ソシアリスム』分析から出発して
日時:2011年2月27日(日)18:00~20:00
場所:青山BC本店・カルチャーサロン
料金:800円

◎フォルムとマテリアル――ロバート・スミッソン論(仮)
日時:2011年3月21日(月)
場所:新宿・photographers' gallery
※詳細は今月下旬に「インスクリプト通信」にて公開予定。
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by urag | 2011-02-07 05:32 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)