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2010年 11月 29日

ブックファースト新宿店開店2周年記念フェア「名著百選」

ブックファースト新宿店開店2周年記念フェア「名著百選」
期間:2010年11月22日(月)~2011年1月16日(日)
場所:ブックファースト新宿店 B1F Aゾーン21

内容:「名著百選」は、作家、アーティスト、ディレクター、学者、評論家、芸能人など、各界の方々が選出した「名著」約200点を、選出理由などのエピソードとともにご紹介するフェアです。一人でも多くの方に、1冊でも多くの本に出会っていただきたい、という思いで各界の方々に選書いただきました。フェア商品お買上の方には、先着で特製冊子もプレゼント中! 

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★写真はフェア商品の購入特典の「名著百選」特製冊子(特製リーフレット)です。フェアでは展示されていない品切絶版本を含めたすべての書目のカタログになっています。けっこう版元営業マンや編集者が多数参加していますね。私もその中の一人です。新宿店人文書担当のTさんからアンケート依頼のFAXを頂いた9月23日に即日回答してからもう2か月近く経つので、恥ずかしながらアンケートに参加していたことをすっかり忘れていました。Tさんから特製冊子をお送りいただいて、「へえ、こんな立派な冊子を作ってすごいなあ」と他人事のように感心していたら、巻末の人名索引に自分がいてびっくり。自分の選書とコメントを読んでようやく思い出した次第です。現場の皆さんのぬくもりが伝わってくる、手作り感に親しみを覚える素敵な冊子です。200名以上からアンケートの回答があったということにもびっくり。

★ブログ「店長の新刊日記」11月19日付エントリーによれば、フェア商品のお会計(AゾーンとDゾーン)の際に特製冊子をご希望の方、先着726名様にお渡しするとのことです。なぜ726名なのかはエントリーに書かれています。また、店頭での様子は11月22日付エントリーに添えられた3枚の写真で見ることができます。2枚目のコンセプトボードは特製冊子の1頁目と同じ内容です。選書した人も選ばれた本も多種多彩。なかなか楽しいフェアです。ぜひたくさんの方に見ていただきたいと思います。
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by urag | 2010-11-29 21:35 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 28日

ハイデガー『現象学の根本問題』、作品社版は一味違う

現象学の根本問題
マルティン・ハイデガー(Martin Heidegger, 1889-1976)著 木田元監訳解説 平田裕之+迫田健一訳
作品社 2010年11月 本体4,800円 A5判上製590頁 ISBN978-4-86182-068-7

◆帯文より:哲学は存在についての学である。未完の主著『存在と時間』の欠落を補う最重要の講義録。アリストテレス、カント、ヘーゲルと主要存在論を検証しつつ、時間性に基づく現存在の根源的存在構造を解き明かす。存在論の基礎理論、待望の木田元訳。

★11月26日(金)取次搬入の新刊です。書店店頭での発売が30日以降と聞いていますが、一部の大型書店やオンライン書店では発売開始しています。シンプルで美しい装丁は菊地信義さんによるもの。

★『現象学の根本問題 Die Grundprobleme der Phaenomenologie』はハイデガーの主著である『存在と時間』の刊行直後にマールブルク大学で行われた1927年の夏学期の講義です。未完かつ未刊である『存在と時間』の続き、すなわち第一部第三篇「時間と存在」の仕上げとして位置づけられています。既訳には、創文社版『ハイデッガー全集(24)現象学の根本諸問題』(溝口兢一+松本長彦+セヴェリン・ミラー訳、創文社、2001年)がありますが、今回の作品社版は底本が違います。創文社版はクロスターマン社版全集の記念すべき第1回配本(1975年)である第24巻が底本。一方、作品社版は、講義の速記録(未公刊、私家版のみ存在)が底本です。この速記録は講義を聴講していた日本人留学生がドイツ人学生に速記とタイプ刷りを依頼したものだそうです。加筆訂正された全集版とは異なっており、さらに省略されている講義冒頭の「前回のおさらい」や最後の「次回予告」が残されています。

★木田元さんは著書『ハイデガー『存在と時間』の構築』(岩波現代文庫、2000年)で『存在と時間』と『現象学の根本問題』の関係性について考察なさっています。『現象学の根本問題』の翻訳は木田さんにとって特別なものであり、闘病のさなかも作業を続けられたと聞きます。ともに未完に終わった『存在と時間』と『現象学の根本問題』は、哲学を完成させることの不可能性を示していると言えるのかもしれません。不可能性の深淵へと降り続けていくという途方もない超人的挑戦。限りなく「接近」(ヘラクレイトス断片122)しつつ、それでもなお到達せず、出会いを予感しつつ待機し続け、問い続けるしかない挑戦。それが哲学の本質だとしたら、いったい誰が耐えきれるのでしょうか。それは絶望であると同時にしかし希望でもあるはずです。

★創文社版『ハイデッガー全集』では、第24巻『現象学の根本諸問題』のほかに、今年1月に刊行された第58巻『現象学の根本問題』(虫明茂+池田喬+ゲオルク・シュテンガー訳、創文社、2010年)があります。「諸」がないだけで作品社版と同じ書名ですが、こちらはフライブルク大学で行われた1919/20年冬学期の講義を収めたもので、内容は異なります。ハイデガーにとっては繰り返し掲げざるを得ない、回避することのできないテーマだったと言えるのかもしれません。

★1927年の講義に戻りますと、ハイデガーは講義の最後に「これぞまさに現象学、などといったものはない」と述べつつ、カントの小論『哲学において最近あらわれた尊大な語調について』※を長めに引用します。哲学によって人間が表せるのは夜明けの光だけであり、太陽そのものは予感しうるに過ぎない。本当は太陽を予感すらできないかもしれない。この星ではいつも空が曇っていて、一度も太陽を目にしたことがない、ということもありえるから。それでも哲学者は太陽の存在を推測できるだろう。太陽を直視することは失明を意味するけれど、せめてその反射を見ることはできるのではないか。――こうした途方もない挑戦を、幻惑されずに遂行することは困難であるとハイデガーは警告しているように見えます。

※「哲学における最近の尊大な語調」門脇卓爾訳、理想社版『カント全集(12)批判期論集』所収、1966年;「哲学における最近の高慢な口調」福谷茂訳、岩波書店版『カント全集(13)批判期論集』所収、2002年。

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★作品社のドイツ哲学関連書では近刊予告に以下の書目が掲げられています。フランツ・ローゼンツヴァイク『健康な悟性と病的な悟性』村岡晋一訳、アルブレヒト・ヴェルマー『モダンとポストモダンの弁証法』、アドルノ『ヴァーグナー試論』高橋順一訳。このほか、書名は出ていませんが、たいへんな力作や労作があとに控えていますよ。
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by urag | 2010-11-28 23:41 | 本のコンシェルジュ | Trackback(2) | Comments(0)
2010年 11月 26日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

★上村忠男さん(アガンベン『アウシュヴィッツの残りのもの』『涜神』、スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』共訳者)
今月(2010年11月)の平凡社ライブラリーの新刊として『カルロ・レーヴィ『キリストはエボリで止まってしまった』を読む――ファシズム期イタリア南部農村の生活』を上梓されました。レーヴィ自身の本は岩波書店から『キリストはエボリに止りぬ』(清水三郎治訳、1953年)として刊行されましたが現在は品切。また、先月には岩波書店から上村さんの著書『知の棘――歴史が書きかえられる時』が刊行されました。岩波書店からゼロ年代前半に刊行されていたシリーズ「歴史を問う」全6巻の中の、第5巻『歴史が書きかえられる時』(2001年)と第6巻『歴史の解体と再生』(2003年)に寄稿された論考が柱となっている本です。

★堤康徳さん(アガンベン『涜神』共訳者)
今月、岩波書店から刊行されたウンベルト・エーコの小説『バウドリーノ』全2巻を翻訳されました。同書は売行良好で現在重版中と聞いています。

★本橋哲也さん(スピヴァク『ポストコロニアル理性批判』共訳者)
今月、平凡社新書の新刊として対談本『格闘する思想』を上梓されました。『週刊金曜日』に連載された若手研究者との対談をまとめたもので、対談相手は、萱野稔人、海妻径子、廣瀬純、本田由紀、白石嘉治、岡真理、西山雄二、の各氏です。

廣瀬さんと西山さんは弊社刊行図書の著訳者でもあります。廣瀬純さんは共著に『闘争のアサンブレア』、訳書にヴィルノ『マルチチュードの文法』、ネグリ『芸術とマルチチュード』(共訳)があります。西山雄二さんは訳書にブランショ『ブランショ政治論集』(共訳)、デリダ『条件なき大学』があります。

★渡邊美帆さん(大里俊晴『マイナー音楽のために』企画者)
今月、講談社から刊行された『RATIO』のSpecial Issue「思想としての音楽」(片山杜秀責任編集)に、「カット=アップの快楽――大里俊晴音楽論にかえて」を寄稿されました。このテクストはいわば「引用の織物」で、大里さんの数々のテクストが、様々な書き手のテクストと折り合わされています。オマージュの試みでもあると言えるでしょうか(渡邊さんは「『ガセネタの荒野』を音楽批評のようにして読めるということに気付いた」とつぶやかれています)。組版は『RATIO』史上初の試みではないでしょうか、多方向に自在に傾いており、これまでの『RATIO』のイメージを変えるもので、驚きました。
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by urag | 2010-11-26 11:28 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 26日

「信濃毎日新聞」に『不完全なレンズで』の書評

「信濃毎日新聞」2010年11月21日(日)付「読書」欄に、ドアノー『不完全なレンズで』の書評「鋭い観察 文体に独特の味わい」が掲載されました。評者は美術評論家の暮沢剛巳さんです。「原著のとっつきにくい雰囲気を尊重しつつ、可能な限り読みやすい日本語へと移植した堀江敏幸氏の翻訳は、ドアノーへの深い理解と共感に支えられた素晴らしい仕事である」と評していただきました。

なお、『不完全なレンズで』の訳者・堀江敏幸さんが再来週、青山BC六本木店でトークイベントに出演されます。

堀江敏幸先生の文学柔夜話(ぶんがく・やわやわ)VOL・6
日時:2010月12月7日(火)19:00~
会場:青山ブックセンター六本木店
参加方法:青山ブックセンター六本木店の店頭もしくはお電話にて受付いたします。
お問い合わせ電話:青山ブックセンター六本木店 03-3479-0479

いっぽう、「読売新聞」2010年11月25日付27面PR欄に掲載された記事「活字文化公開講座 学習院で三島由紀夫を語る」では、弊社のユンガー『追悼の政治』が、作家の平野啓一郎さんの推薦する書籍5点のうちの1冊として記されています。この記事は、さる10月9日に学習院大学で行われた三島由紀夫没後40年を記念する「活字文化公開講座」での平野啓一郎さんの基調講演「ニヒリズムと否定性」と、それに続く平野さんと仏文学者の中条省平教授との対談の模様をまとめたもの。その末尾に平野さんと中条さんがそれぞれに推薦する書籍5点ずつが挙げられています。

平野啓一郎さんが推薦する5点は以下の通りでした。
ジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』草思社
E・H・カントーロヴィチ『王の二つの身体』ちくま学芸文庫
エルンスト・ユンガー『追悼の政治』月曜社
レジス・ドブレ『メディオロジー宣言』NTT出版
『ナボコフ短編集』研究社
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by urag | 2010-11-26 10:02 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 21日

平凡社2010年11月新刊より

まもなく発売となる平凡社さんの新刊3点『絵画をいかに味わうか』『訓民正音』『[新版]アフリカを知る事典』と、先月発売の既刊1点『盤上遊戯の世界史』をご紹介します。

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絵画をいかに味わうか 
ヴィクトル・I・ストイキツァ(Victor I. Stoichita, 1949-)著 岡田温司監訳 喜多村明里+大橋完太郎+松原知生訳
平凡社 2010年11月 本体2,800円 四六判上製342頁 ISBN978-4-582-20637-1

◆帯文より:「絵を見ればよいのだ!」 好奇心と感性を刺激する豊かな絵解きのレッスン。「知的自伝」収録の日本オリジナル版。

◆「序にかえて」より:本書は、忘れることのできない日本滞在中に京都と福岡と東京でおこなわれた講演を元にして構成されています。それらが出版されることで、わたしが個人的に大きな恩恵をこうむってきた対話がひとつの実を結ぶことになるでしょう。それもひとえに、わたしの講演に心から耳を傾けてくださったみなさんのおかげなのです。ここに集められているのは、さまざまなテーマに関するものですが、それもただひとつの前提から出発しています。それは、「美術史」と呼ばれる学問のアクチュアルな本質としての、解釈への挑戦にかかわるものです。(6頁)

◆「訳者あとがき」より:この本は日本語のみでしか存在しない。ここに訳出された各章は、科学研究費(基盤研究B、代表者岡田温司)による二度の招聘(2005年12月、2009年2月)の折に、京都、東京、福岡でおこなわれた講演、さらには大学院のわたし〔岡田温司〕のゼミでの発表の原稿が元になっている。(中略)編集の松井純さんとわたしのたっての願いを〔著者は〕快く引き受けてくれて、「紆余曲折――知的自伝の試み」という感動的な文章によって本書に見事な花を添えてくれた。(337-338頁)

◆目次:
序にかえて
1 紆余曲折――知的自伝の試み
2 偶像とその破壊――旧東欧諸国における政治的図像と「像にたいする懲罰〔エクセクティオ・エフィギエ〕」をめぐる考察
3 絵画をいかに味わうか
4 過剰なるものの表象――十六世紀絵画における炎上する都市をめぐって
5 スイスの「白痴」――ドストエフスキーによるエクフラシス
6 カラヴァッジョの天使たち――ヴィム・ヴェンダースに捧ぐ
7 美術館と廃墟/廃墟としての美術館
8 蒸発そして/あるいは集中――マネとドガの肖像(自画像)をめぐって

訳者あとがき

◎ヴィクトル・I・ストイキツァ(Victor I. Stoichita, 1949-)既訳書
2001年07月『絵画の自意識――初期近代におけるタブローの誕生』岡田温司+松原知生訳 ありな書房
2006年06月『ピュグマリオン効果――シミュラークルの歴史人類学』松原知生訳 ありな書房
2003年02月『ゴヤ――最後のカーニヴァル』アンナ・マリア・コデルク共著 森雅彦+松井美智子訳 白水社
2008年08月『影の歴史』岡田温司+西田兼訳 平凡社
2009年02月『幻視絵画の詩学――スペイン黄金時代の絵画表象と幻視体験』松井美智子訳 三元社
2010年11月『絵画をいかに味わうか』岡田温司監訳 平凡社

★ストイキツァ(もしくは、ストイキッツァ)の単独著の翻訳としては5弾目になりますが、著者による上記の「序にかえて」や監訳者による「訳者あとがき」に書かれているように、本書は来日時の講演と発表、そして書き下ろしの自伝から成るオリジナル論集です。特に興味深いのは巻頭におかれた自伝です。この自伝において大きな敬意とともに言及されている人物のうち、チェーザレ・ブランディ(Cesare Brandi, 1906-1988)とコンスタンティン・ノイカ(Constantin Noica, 1909-1987)の二人はストイキツァにとって特別な存在のようです。前者はイタリアの美術史家で、邦訳された著書に『修復の理論』(三元社、2005年)があります。ストイキツァに大きな影響を及ぼした指導教官です。後者はルーマニアの哲学者で、ストイキツァは彼のもとで5年間にわたって哲学の古典をみっちり学んだと明かしています。この自伝的エッセイを読めば、著者の存在がより親しみやすく感じるのではないかと思います。


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訓民正音(東洋文庫 800)
趙義成(チョ・ウイソン:1964-)訳注
平凡社 2010年11月 本体2,800円 全書判上製292頁 ISBN978-4-582-80800-1

◆帯文より:朝鮮王朝第四代国王世宗〔セジョン〕が1446年にハングル創製を宣布した「訓民正音」とその「解例」、さたに「反対上疏文」、「東国正韻序」を加え、ハングル創製の原理・思想・背景の全てを明らかにする。

★本巻が東洋文庫の通算800巻目になるとのことで、「アジアの古典名著の一大集成」である同シリーズの道のりの遙かさに頭が下がる思いです。創刊は1963年10月。第1巻『楼蘭――流砂に埋もれた王都』(A・ヘルマン著、松田寿男訳)、第2巻『唐代伝奇集(1)』(前野直彬編訳)、第3巻『鸚鵡七十話――インド風流譚』(田中於莵弥訳)、第4巻『日本史――キリシタン伝来のころ(1)』(ルイス・フロイス著、柳谷武夫訳)、第5巻『アラビアのロレンス』(R・グレーヴズ著、小野忍訳)が刊行されました。以来半世紀近く、様々な本を世に送り出してこられました。もっとも巻数が多いのは松浦静山『甲子夜話』(かっしやわ:正篇全6巻、続篇全8巻、三篇全6巻)や、寺島良安『和漢三才図会』(全18巻)でしょうか。もっとも頁数が多いのは、526頁の『近世畸人伝・続近世畸人伝』かと思います。700巻までの総目録『東洋文庫ガイドブック』が2002年4月刊、750巻までの総目録『東洋文庫ガイドブック2』が2006年5月刊ですから、800巻に到達した今、そろそろガイドブック第3弾を待ってもいい頃合いかもしれませんね。

★先だって当ブログでもご紹介しましたが、現在、東京駅前の八重洲BC本店人文書フロアでは、800巻突破記念で、過去最大規模の東洋文庫「在庫僅少本」フェアが行われています。平凡社ライブラリーの僅少本も並んでいますよ。12月7日まで。


[新版]アフリカを知る事典 
小田英郎+川田順造+伊谷純一郎+田中二郎+米山俊直監修
平凡社 2010年11月 本体7,600円 A5判上製776頁 ISBN978-4-582-12640-2

◆帯文より:激動する大陸の幽遠な歴史と多彩な文化。54の国家・地域の自然、民族、歴史と現状、日本との関係などを詳述。アフリカ全体を概観する〈総論〉、ホットなテーマの〈コラム〉群、〈各国便覧〉〈年表〉〈文献案内〉〈在日外国公館/在外日本公館〉〈関連サイト案内〉〈世界遺産〉〈索引〉付き。項目数634項、図版140点、執筆者156名。

◎平凡社「エリア事典」シリーズ既刊書:
『[新訂増補]ラテン・アメリカを知る事典』1999年12月
『[新訂増補]アメリカを知る事典』2000年1月
『[新訂増補]朝鮮を知る事典』2000年11月
『[新訂増補]東欧を知る事典』2001年3月
『[新訂増補]スペイン・ポルトガルを知る事典』2001年10月
『新イスラム事典』2002年3月
『[新版]ロシアを知る事典』2004年1月
『中央ユーラシアを知る事典』2005年4月
『[新訂増補]南アジアを知る事典』2008年6月
『[新版]東南アジアを知る事典』2008年6月
『[新版]オセアニアを知る事典』2010年5月

※さらに関連する事典に以下があります。
『[新訂増補]世界民族問題事典』2002年11月
『[新版]対日関係を知る事典』2007年11月

※改版の進み方はおおよそ、初版→新訂増補→新版、です。『新イスラム事典』(2002年)の場合、旧版は『イスラム事典』(1982年)です。

★『世界大百科事典』や『西洋思想大事典』などと並んで、「エリア事典」シリーズは平凡社の定評あるお家芸です。昨今のご時世では調べたい事柄があるとき、インターネットで検索して記事を読んだりコピペしたりプリントアウトすれば大方の用事が済んでしまいますが、紙媒体の事典を手に頁をめくって探し、必要な箇所はノートに抜き書きする、という肉体的作業の方が人間の頭脳の鍛錬にとってはよろしいものではないかと私は経験的に思うのですね。


盤上遊戯の世界史――シルクロード 遊びの伝播
増川宏一(ますかわ・こういち:1930-)著
平凡社 2010年10月 本体2,800円 四六判上製324頁 ISBN978-4-582-46813-7

◆帯文より:囲碁、将棋、チェス、麻雀……。遊びの来歴をたどる旅。陸と海のシルクロードを伝って、盤上遊戯は人から人へと渡っていった。やがて奈良にいたる伝播の経路を検証し、人類の「遊び心」の壮大な歴史を描く。

◆目次:
はじめに
第一章 オアシスの路
 一 盤上遊戯の曙――レバント地方
 二 古代の盤上遊戯――肥沃な三日月地帯
 三 五八孔の遊戯盤など――アッシリアの路
 四 イランからの遊戯盤――ペルシアの交通路
 五 ナルド――ローマから東方へ
 六 チェス――中央アジアでの発見
 七 チャトランガ――北インドから東西へ
第二章 草原の路
 一 アストラガルス――自然物の利用
 二 長方体や立方体――人工のさいころ
 三 ポロ――馬上の路
 四 配列ゲームと戦争ゲーム――古代エジプトからの発信①
 五 マンカラ――古代エジプトからの発信②
 六 カード・ゲーム――紙の路
第三章 海のシルクロード
 一 古代の遊戯盤(一)――海上の道
 二 古代の遊戯盤(二)――地中海
 三 競争ゲームとマンカラなど――紅海とアラビア海
 四 戦争ゲームなど――ベンガル湾
 五 狩猟ゲームなど――南シナ海とジャワ海
 六 配列ゲームなど――陸路と海路の繋がり
 七 トランプなど――「大航海時代」
第四章 日本への伝来
 一 中国の盤上遊戯――絲綢の路
 二 日本への路――東シナ海
 三 渡来の遊戯具――正倉院
 四 将棋など――遊戯の定着
 五 トランプなど――新たな伝来
 六 象棋など――未定着の遊び
 七 麻雀など――近世から近現代へ
おわりに――新たな問題提起
あとがき
参考文献
索引

★個人的に日本の「盤双六」が好きなものですから、こういう本にはまるでタイムマシンに乗ってめくるめき世界旅行に出かけるような楽しみを感じます。「遊び」の世界は実に奥深い。増川先生は法政大学出版局の「ものと人間の文化史」シリーズで数多くの遊戯史研究を上梓されています。ホイジンガ『ホモ・ルーデンス』(中公文庫)、カイヨワ『遊びと人間』(講談社学術文庫)、フィンク『遊び―世界の象徴として』(せりか書房)などと一緒に味わいたいものです。
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by urag | 2010-11-21 00:28 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 17日

ロールズ『正義論 改訂版』いよいよ発売

公式情報では明日(2010年11月18日)、いよいよジョン・ロールズの主著『正義論 改訂版』が紀伊國屋書店より発売されます。原著はハーヴァード大学出版から1971年に初版が刊行され、これの日本語訳が1979年、矢島鈞次監訳で紀伊國屋書店から出版されました。同書はおそらく1994年11月の8刷を最後にして、数年後に品切となりました。いっぽう原著は1999年に改訂版が初版と同じくハーヴァードから出版されます。ロールズ自身は2002年に逝去。そして原著改訂版刊行から約10年、ついに日本語版の刊行です。美麗な装丁は間村俊一さんによるもの。写真で比べてみると、1979年の初版と、2010年の今回の改訂版とではずいぶん印象が違いますね。訳文もよりいっそうの読みやすさを追求しておられます。目次詳細はこちらをご覧ください。巻末の「対照表」というのは、原著初版と原著改訂版、そして今回の改訂版日本語訳の三者間で、各節の頁割がどう対応しているかを示した一覧表です。ズッシリと重い大著ではありますけれど、マイケル・サンデルをお読みになっておられる読者はぜひこの年末年始に挑戦してみてはいかがでしょうか。

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◎ジョン・ロールズ(John Rawls, 1921-2002)単独著既訳
『公正としての正義』田中成明編訳、木鐸社、1979年3月
『正義論』矢島鈞次監訳、紀伊國屋書店、1979年8月
『公正としての正義 再説』エリン・ケリー編、田中成明ほか訳、岩波書店、2004年8月
『ロールズ哲学史講義』上下巻、バーバラ・ハーマン編、坂部恵監訳、みすず書房、2005年2-3月
『万民の法』中山竜一訳、岩波書店、2006年7月
『正義論 改訂版』川本隆史ほか訳、紀伊國屋書店、2010年11月

【2010年11月22日追記:紀伊國屋書店サザンシアターで本日行われた『正義論改訂版』刊行記念トークイベントで配布された岩波書店のチラシによれば、来春、岩波書店からロールズの『政治哲学史講義』(全二巻、サミュエル・フリーマン編、齋藤純一ほか訳)が刊行されるとのことです。】
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by urag | 2010-11-17 18:57 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 16日

大里俊晴『マイナー音楽のために』書影公開

今月末書店店頭発売予定の『マイナー音楽のために――大里俊晴著作集』の書影を公開します。明日11月17日は著者の一周忌です。上映+トーク+ミニライヴで構成される一周忌イベント「マイナー音楽のために」(出演:佐々木敦、中原昌也/司会:須川善行/企画:渡邊未帆)が明晩、渋谷のFACTORYで行われます。

追記【2010年11月17日】:書店様へ。取次搬入日は以下の通りです。22日=ト、阪、也、洋。24日=ニ。

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by urag | 2010-11-16 21:20 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 15日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2010年12月10日(金)
あゆみBOOKS仙台一番町店:図書170坪
宮城県仙台市青葉区一番町4-5-13 サンシャインビル1F

帳合はN。あゆみBOOKSは仙台市では、仙台店(青葉区本町2-3-10仙台本町ビル1F)、仙台青葉通り店(青葉区一番町2-4-1仙台興和ビル1F)に続く3店舗目。既存2店舗より大きなお店になります。場所は一番町商店街の三越百貨店の並び。弊社本は芸術書を中心にご発注いただきました。売場構成は、書籍140坪、雑誌30坪のほか、30坪のスペースがありますが、こちらはカフェおよびギャラリーとして使用される模様。

言うまでもありませんが、仙台駅周辺エリアはチェーン店の超激戦区。ジュンク堂書店仙台店および仙台ロフト店、丸善仙台アエル店、金港堂本店など、新旧入り乱れての戦いです。そのなかでも中堅としてあゆみBOOKSが3店舗目を開店しようというのはなかなかの決断ではないでしょうか。
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by urag | 2010-11-15 13:54 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 12日

東洋文庫・平凡社ライブラリー在庫僅少本フェア@八重洲BC本店

東京駅前の八重洲BC本店4F人文書売場で、東洋文庫平凡社ライブラリーの僅少本フェアが一昨日よりスタートしています。ご担当者のMさんによれば、「過去最大規模!(平凡社営業部談。)貴重な僅少在庫ばかり、しかもほとんどのタイトルはかなり美本です。(一部、多少箱に日焼けや傷みのあるものもございます。)初日から好調に動いておりますので、期間中在庫がもつか心配」とのこと。

ご承知の通り2003年秋から、東洋文庫の品切書目が復刊の要望の高い順から、ワイド版東洋文庫にスイッチされています。東洋文庫は新書より左右の幅が少し広いコンパクトな判型でハードカバーの上製本で、一方、ワイド版東洋文庫はA5判並製で版面が125%拡大され、読みやすくなっています。東洋文庫よりやや高価になりますが、一冊から注文でき、文字が大きく読みやすいのは素晴らしいことです。ただし、東洋文庫を集めてきたファンにとっては、判型が一致しないものを書斎に隣同士で並べるのはひょっとすると違和感が多少あるかもしれません。となれば、あとは書店店頭や古書店で欲しい本を探すしかありません。そう考えると今回の僅少本フェアは貴重なチャンス。ご担当者さんが言うように、初日から良く売れているようですから、早めに訪問せずにはいられませんね!

◎平凡社 東洋文庫・平凡社ライブラリー 在庫僅少本フェア

期間:2010年11月10日(水)~12月7日(火)
場所:八重洲ブックセンター本店4階
規模:東洋文庫僅少本358冊、平凡社ライブラリー僅少本298冊
期間中定休日:無
営業時間:平日午前10時~午後9時、土日祝日午前10時~午後8時
お問い合わせ先:八重洲ブックセンター本店4階 電話03-3281-8204

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写真は手前の平台に積んである赤い帯の本の山が東洋文庫、奥の書棚は、上段の深緑の帯の本が今月発売された「800巻突破記念復刊」の東洋文庫、下段が平凡社ライブラリーです。別角度からの写真は平凡社さんのブログ「今日の平凡社」の本日の記事「八重洲ブックセンター本店さんで、東洋文庫&平凡社ライブラリー僅少本フェア」をご覧ください。
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by urag | 2010-11-12 10:33 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2010年 11月 10日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

2010年12月1日(水)
丸善書店札幌北一条店:210坪
北海道札幌市中央区北一条西3丁目2 井門ビル 1F

帳合はONTをメインにしてきた「丸善」でしたが、「丸善書店」になってジュンク堂書店のメイン帳合であるOと本格的な関係を結び始めたということでしょうか。札幌における丸善は、札幌南一条店が2005年10月に閉店、札幌ピヴォ店が2010年1月に閉店。現在は札幌アリオ店ら・がぁーる新札幌Duo店が営業中です。今回で3店舗目が開店、と言いたいところですが、出品依頼書に付された挨拶状によれば、屋号は丸善書店でも、経営はジュンク堂書店が行うと明記されています。注文内容はごく少量の人文書と文芸書。弊社の刊行図書のほぼ全点を発注するジュンク堂とは傾向が違います。区別としては、文具など書籍や雑誌以外のものも併売しているのが、従来からある「丸善」と新しい「MARUZEN&ジュンク堂書店」、書籍と雑誌のみを売る中規模店が「丸善書店」、大規模店が「ジュンク堂書店」ということなのでしょうか。そう単純な話でもなく、名前の違いのポイントはCHIグループによる再編の前か後か、ということになるのだろうと思います。

もう少し整理します。CHIグループ下では「丸善書店」は店舗での小売に特化した会社で、これとは別会社で、小売以外の従来の業務を「丸善」が担っています。現在展開している本屋の「丸善」は「丸善書店」の一部分であり、「丸善書店」に移行してからの新店舗が「丸善」ではなく「丸善書店」という名前になるわけですね(ややこしい)。つまり、札幌で3店舗目という言い方をしても完全な間違いではないのですが、ジュンク堂書店による運営下ではもはや「丸善であって丸善ではない」とも言えなくもない気がします。

「丸善書店」は事業内容が「内外図書・雑誌、文具事務用品、洋品・衣料品・雑貨その他百貨の販売業」とされており、本以外も本来的には扱えます(2010年6月29日付CHIグループ・プレスリリース「CHIグループ株式会社と株式会社ジュンク堂書店の株式交換による経営統合及び連結子会社である丸善株式会社における会社分割による店舗事業の分社化に関するお知らせ」参照)。ジュンク堂書店は来年2月にCHIグループの完全子会社になります。同じく2月には洋書輸入販売会社である雄松堂書店がCHIグループの傘下に正式に入ります(現時点は業務提携)。「新文化」2010年10月20日付記事「CHIグループ、来年2月に雄松堂書店と経営統合」によれば、「将来的には取次・小売業の機能をもつ日本最大の洋書取扱いグループの構築を目指す」のだとか。

一方、丸善内で「松丸本舗」をプロデュースしている松岡正剛さんの編集工学研究所は昨年末(2009年12月)、丸善に経営権を譲渡し、子会社となっています。編集工学研究所が期待されているのは書棚編集という以上に知財流通における貢献で、丸善書店ではなくあくまでも丸善の傘下として数えられています。

ジュンク堂書店や雄松堂書店による、和書販売や洋書販売への強力なバックアップは、それに携わっていた旧「丸善」の人々の〈立場〉をどう変えつつあるのでしょうか。そして、「丸善」「MARUZEN&ジュンク堂書店」「丸善書店」「ジュンク堂書店」はどう住み分けていくのでしょうか。
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by urag | 2010-11-10 14:43 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)