<   2010年 06月 ( 10 )   > この月の画像一覧


2010年 06月 25日

大竹昭子連載「森山大道のOn the Road」第十四回公開

大竹昭子さんのウェブ連載「森山大道のOn the Road」の第十四回を公開開始いたしました。
[PR]

by urag | 2010-06-25 15:54 | ウェブ限定コンテンツ | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 23日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍の一端をお知らせします。

★西山雄二さん(『ブランショ政治論集』共訳者、デリダ『条件なき大学』訳者)
国際哲学コレージュのプログラム・ディレクター(2010-2016年度)に就任されることが決まったとのことです。「哲学の(非)理性的建築物としての大学」という研究テーマで活動されると伺っています。また、好評のドキュメンタリー映画「哲学への権利――国際哲学コレージュの軌跡」の上映予定はこちらをご覧ください。

◎公開セミナー「ジャック・デリダ『条件なき大学』(月曜社)を読む」

日時:2010年6月30日(水)16:30-18:30
場所:首都大学東京 南大沢キャンパス 5号館1階123教室
料金:入場無料・事前予約不要

主催:西山雄二担当・専門教育科目「フランス語圏文化論A」
共催:大学情報研究会

発表:大宮理紗子(首都大学生)
コメント:守屋亮一(早稲田大学生)、伊藤拓也(東京都立大学生)
司会・応答:西山雄二(首都大准教授)


★サミュエル・ウェーバーさん(『破壊と拡散』著者)
月刊誌「みすず」583号(2010年6月)にエッセイ「ならず者民主主義」が掲載されました。河野年宏さんと宮崎裕助さんの共訳で、二回に分けて掲載されます。なお、同号では、弊社『ブラジルのホモ・ルーデンス』の著者・今福龍太さんが「レヴィ=ストロース 夜と音楽」という連載を開始されました。第一回目は「かわゆらしいもの、あるいはリオの亡霊」と題されています。


★野内聡さん(ウェーバー『破壊と拡散』訳者)
御茶の水書房さんより以下の共訳書を刊行されました。同書の詳細目次が、共訳者の田中均さんのブログで紹介されています。

芸術の至高性――アドルノとデリダによる美的経験
クリストフ・メンケ(Christoph Menke:1958-):著
柿木伸之・胡屋武志・田中均・野内聡・安井正寛:訳
御茶の水書房 10年4月 本体7,000円 菊判上製カバー装341+18頁 ISBN978-4-275-00869-5

帯文より:美的経験の《否定性》とは何か。芸術の自律性と至高性の二律背反は解消できるか。フランクフルト学派の新世代がアドルノ美学の核心を記号論・解釈学・分析哲学を駆使して明快に読み解き、デリダの脱構築論と対決させた先駆的研究。
[PR]

by urag | 2010-06-23 18:40 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 22日

ついにユング『赤の書』日本語版が今週末より発売開始【現物写真あり】

創元社さんからユング『赤の書』日本語版がいよいよ発売になります。取次搬入が今週金曜日25日とのことですので、都心部の超大型店では最速で26日土曜日から店頭発売開始となる可能性があるものの、おおかたの書店さんでは来週の28日以降に順次販売開始となるだろうと思われます。本屋さんに注文を出されたお客様は来週以降入手できるでしょうし、創元社さんに直接注文されたお客様は26日以降に本が届き始めることでしょう。

なお、創元社さんがウェブサイト上で公開されているお知らせ「『赤の書』のご予約と出荷予定につきまして」(2010年6月15日付PDF)によれば、6月14日以降に書店さん、オンライン書店さん、版元さんへ予約されたお客様へのお届けは、「第2回製本出来次第(7月初旬頃)の出荷」となるとのことです。詳細は創元社さんにお尋ねいただくのがいいかもしれません。

創元社の東京営業部さんから『赤の書』の現物写真をいただきましたので、業界最速(?)で公開いたします。2010年12月末までは特別価格37,800円。来年からは42,000円になりますからぜひお早めにご注文を。英語版やドイツ語版にあった、ユングの手書き写本の読み間違いが日本語版では訂正されているとのことで、訳者先生や編集者の方々のご苦労が偲ばれます。大部数を刷っている本ではないですし、造本の豪華さからして容易に重版はできないと推察できますから、今回買っておかないとあとで悔やむことになりそうです。本の詳細については創元社の特設ページをご覧ください。同ページから注文することもできます。

搬送用函(斜めから)
a0018105_14322242.jpg

搬送用函(正面から)
a0018105_14324949.jpg

化粧函の背
a0018105_14331858.jpg

書籍本体の背のプレート
a0018105_14335190.jpg


a0018105_14341955.jpg

奥付と目次
a0018105_14344065.jpg


関連エントリー
門外不出、ユングのカラー写本『赤の書』日本語版が創元社より来春刊行」09年11月29日
ユング『赤の書』(The Red Book)英語版がノートンより発売開始」09年11月30日
[PR]

by urag | 2010-06-22 14:34 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 22日

高祖岩三郎さん三冊目のニューヨーク論、河出道の手帖でニーチェ入門、ダメット晩年の講義

本日発売の注目新刊3点をご紹介します。

死にゆく都市、回帰する巷――ニューヨークとその彼方
高祖岩三郎:著
以文社 2010年6月 本体1,900円 四六判並製カバー装208頁 ISBN978-4-7531-0279-2

◆帯文より:00年代末、激動のアメリカで「世界民衆」の鼓動を聴いた。都市のモデルたる役目を終えたニューヨークから、来るべき「巷としての都市」への夢想を開始し、世界民衆たちの希望を未来へと解き放つ、著者初のエッセイ集。

◆帯裏より:今まさに世界は大変動期に入った。だが制度の設立の前にその土台として必要なのは、人々の心の中の「諸価値の価値転換」である。それはすでに始まっている。一部の「英雄的な」若者は、ニーチェが哲学的になしたことを巷で実践しはじめた。(本書より)

★2006年2月から2009年7月にかけてニューヨークで執筆された42編のエッセイ(朝日新聞出版PR誌「一冊の本」連載)に、書き下ろしの小論2編(巻頭に「はじめに――ニューヨークとその彼方」、巻末に「おわりに――批判的範疇としての都市」)を追加したもの。随所にアゲマツ・ユウジの写真作品「ポートレート・シリーズ:街の低いところから」の抜粋が使用されています。著者にとっては、『ニューヨーク列伝――闘う民衆の都市空間』(2006年、青土社)、『流体都市を構築せよ!――世界民衆都市ニューヨークの形成』(2007年、青土社)に続く3冊目のニューヨーク論であり、単著としては前述2著に『新しいアナキズムの系譜学』(2009年、河出書房新社)を足した3作に続く、4冊目になります。

a0018105_0585312.jpg

***
ニーチェ入門――悦ばしき哲学 (KAWADE道の手帖)
河出書房新社 10年6月 本体1,500円 A5判並製カバー装208頁 ISBN 978-4-309-74034-8

◆目次より
LECTURE 1「ニーチェをとおして生を見つめる」西研
LECTURE 2「ハイデガーとアーレントの間――ニーチェ私観」森一郎
LECTURE 3「世界はニーチェをどう読んできたのか」三島憲一
LECTURE 4「偏屈者たちのニーチェ」田島正樹
LECTURE 5「ニーチェをいかに自分に取り込むか」貫成人
LECTURE 6「ニーチェと生活法」江川隆男
LECTURE 7「ニーチェと正義」合田正人
LECTURE 8「ニーチェと格闘した近代日本の知性たち」杉田弘子
LECTURE 9「ニーチェと日本人」安藤礼二
インタビュー「小説『いたこニーチェ』を書くまでに」適菜収
論考「憑依としての哲学――ニーチェの場合」須藤訓任
論考「ニーチェのスタイル――表層の哲学をめぐって」村井則夫
論考「風に向かって唾を吐くな!」長原豊
論考「ニーチェと遠隔妊娠――のちに生まれる者へ」松本潤一郎
アフォリズム「真理もまた欺く」榎並重行

★「道の手帖」シリーズでここ数年刊行されたドイツ思想系のものには、『ベンヤミン――救済とアクチュアリティ』(06年6月)、『ハイデガー――生誕120年、危機の時代の思索者』(09年3月)、『マルクス『資本論』入門――危機の資本主義を超えるために』(09年4月)、『ヘーゲル入門――最も偉大な哲学に学ぶ』(10年1月)などがあります。ニーチェは周知の通り、『超訳 ニーチェの言葉』(白取春彦著、ディスカヴァー21、2010年1月)が売れに売れたおかげで、再読の機運が高まっています。入手しやすい訳書はちくま学芸文庫の『ニーチェ全集』(本巻15冊、別巻4冊)だろうと思います。もとは理想社で刊行されていたものの文庫化で、今や定番商品となっています。学術的にもっと突っ込んで読みたい方には、白水社版『ニーチェ全集』(第1期全12巻第2期全12巻)をお薦めします。特に遺稿集である『遺された断想』をひもとくには、白水社版全集に頼るほかはありません。しかし全巻を揃えると相当な出費になります。このところ白水社さんでは既刊の古典的思想書からuブックスにスイッチする例が増えてきたように見えますし、ぜひとも『ニーチェ全集』は遺稿も含めて新書化に着手していただきたいですね。ちなみに全集から352編の言葉をピックアップしたuブックスの『ニーチェからの贈りもの――ストレスに悩むあなたに』は在庫僅少とのこと。

a0018105_0591598.jpg

また、先週の新刊ですが、河出さんからは次の新刊も出ており、注目です。

路上の全共闘1968
三橋俊明:著
河出ブックス 10年6月 本体1,300円 B6判並製カバー装248頁 ISBN978-4-309-62418-1

◆カバー紹介文より:バリケードは新しい世界への入口でありアジールだった。日大全共闘の当事者がその体験をあえて私的に想起しつつ「直接自治運動」としての全共闘を検証する、かつてない1968論。
◆帯文より:全共闘は学生運動ではなかった。もうひとつの1968論。

★ここ五年以上、1968年を論じた本がコンスタントに刊行されてきました。たとえばここ約一年間に限っても、以下の書目が目につきます。

毎日新聞社編『1968年グラフィティ〔新装版〕』(毎日新聞社、10年1月)
加藤登紀子『登紀子1968を語る』(情況新書、09年12月)
アラン・バディウほか『1968年の世界史』(藤原書店、09年10月)
小熊英二『1968』(上下巻、新曜社、09年7月)
毎日新聞社編『1968年に日本と世界で起こったこと』(09年6月)
鹿島茂『吉本隆明1968』(平凡社新書、09年5月)
芹沢一也監修『革命待望! 1968年がくれる未来』(ポプラ社、09年4月)

これ以外にも実際さまざまな本が出ていますが、今後もまだまだ語りつくせそうにありませんね。今回の新刊の著者三橋さんは本の末尾でこう書かれています。「私たちにとって現在とは、いまだ達成されざる1968なのだ」(244頁)。1968年に青年期を過ごした世代にとって、実感のこもった名言だと思います。政治が混迷を極める現代日本において、若い世代にとっても1968年について学ぶのは有益であることでしょう。

***
思想と実在
マイケル・ダメット:著
金子洋之:訳 春秋社 2010年6月 本体2,700円 四六判上製カバー装218頁 ISBN978-4-393-32320-5

◆帯文より:1990年代後半、それまで旗印としていた反実在論を捨てたダメットに、いったい何があったのか。事実と世界、意味論と形而上学、真理理論といった話題で20世紀分析哲学を総括しつつ、反実在論から正当化主義へと転回する思索を解説、さらに唯一の世界を捉える心の要請から、神の存在に話が及ぶなど、つねに議論を巻き起こす重鎮ダメットの哲学講義。

◆原書:Thought and Reality, Oxford University Press, 2006.

◆目次:
序文
第1章 事実と命題
第2章 意味論と形而上学
第3章 真理と意味
第4章 真理条件的意味論
第5章 正当化主義的な意味の理論
第6章 時制と時間
第7章 それ自体で在るものとしての実在
第8章 神と世界
原註
訳註
訳者解説
索引

★ダメットはオックスフォード大学論理学名誉教授。本書は1996年にセント・アンドリューズ大学で行われたギフォード記念講義に加筆したもので、原書は2006年に公刊されています。その間、ダメットは2002年にコロンビア大学でデューイ記念講義を行っており、それは2004年公刊され、同年に日本語訳(『真理と過去』)が刊行されています。『思想と実在』の「序文」によれば、ダメットは本書の刊行にいささかためらいがあったことが読み取れます。オックスフォードを1992年に退官して以来、彼は実に多忙で、自分の思索の深化に従って書き直す時間がなかなかなかったようです。しかし、公刊が遅れたのはそれだけではなくて、本書が彼自身にとっては確定できない、時間をめぐる未完の問いを含んでいるからのようです。本書は『真理と過去』と併読するのが良いでしょう。

★ダメットは処女作『フレーゲ』(1973年)に代表されるような哲学的著書のほかに、『タロット・ゲーム』(1980年)、『選挙制度改革の諸原理』(1997年)、『移民と難民について』(2001年)といった数々の著書がありますが、残念ながらすべて未訳です。日本では研究者を除くと、彼がタロット研究者であったり、選挙制度改革や移民難民問題に一石を投じた多才な人物であることは、一般読者にはほとんど知られていないかもしれません。じつにもったいないですね。

★以下に掲げた写真は右が今回の新刊『思想と実在』で、左が『移民と難民について』の原書です。『移民と難民について』はラウトレッジ社の名シリーズ"Thinking in Action"から刊行された一冊です。同シリーズからはドレイファス『インターネットについて』(産業図書、02年3月)とジジェク『信じるということ』(産業図書、03年3月)が刊行されましたが、その後が続きませんでした。社長のEさんがお亡くなりになったからかもしれません。

a0018105_20361999.jpg

★マイケル・ダメット(Michael Dummet:1925-)既訳書

真理という謎』藤田晋吾訳、勁草書房、1986年12月
分析哲学の起源――言語への転回』野本和幸ほか訳、勁草書房、1998年12月
真理と過去』藤田晋吾・中村正利訳、勁草書房、2004年12月
[PR]

by urag | 2010-06-22 00:55 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 17日

「FORZA GIAPPONE」サッカーフェア@丸善名古屋栄店

◎「FORZA GIAPPONE」サッカーフェア

日時:2010年6月9日~7月11日
場所:丸善名古屋栄店 2階人文書売場 哲学・思想書棚

ワールドカップの開催にあわせてサッカーフェアが丸善名古屋栄店で開催されています。弊社より刊行している今福龍太『ブラジルのホモ・ルーデンス』も置かれています。ユニークなのは、哲学思想書コーナーで展開しているということです。企画者は目利きで有名なKさん。売場の写真もKさんからいただきました。

a0018105_1895350.jpg

a0018105_1810201.jpg

また、同売場では、河出書房新社のISED本の発売を受けて、6月20日以降から8月上旬にかけて、エンド台にて「アーキテクチャ――動物化する社会における新秩序の設計・技術・リアリティ、あるいはその統治性の問題をめぐって」が開催されるとのことです。弊社の本も3点(『民衆防衛とエコロジー闘争』『芸術とマルチチュード』『表象02』)入れていただいたようです。

ちなみに丸善さんと言えば、福岡ビル店が今週末19日で惜しくも閉店。かわりに、来春800坪で博多店がオープンすると報道されています。また、新静岡店が7月30日に閉店とも報道されています。戸田書店静岡本店のオープンの影響でしょうか。一方、その戸田書店は秋田店が今月末で閉店。立地的に離れているとはいえ、市下ではジュンク堂書店秋田店が専門書販売の覇権を掌握しつつあるということでしょうか。

***

また、紀伊國屋書店新宿本店さんでは今月いっぱいまで「未知谷」の創業20周年記念フェアを好評開催中です。私事で恐縮ですが、大学生の折に岩波書店や平凡社の試験を受けてみたものの見事に落ちて、卒業後に就職浪人した時、2か月ほどバイトでお世話になったのがほかならぬ未知谷でした。92年当時未知谷はまだ創業から間もない頃で、サドとヘーゲルの新訳を同時期に刊行するなど、極めて個性的な船出を成し遂げていました。社長兼編集長のIさんに営業兼経理担当のOさんの二人で運営されており(Oさんは現在は別の版元に移られています)、事務所は今と違って湯島(中山書房仏書林さんの近所)にありました。月曜社を立ち上げる時、IさんとOさんは私に様々なアドバイスをして下さり、今なおその教えは私の胸に刻まれています。

◎「未知谷創業20周年記念フェア

創業20周年を迎える個性的な出版社、未知谷さんの全点フェアを全国どこよりも早く開催します。当売場の「人文書宣言」ならではの僅少本、サイン本なども多数ご出品いただきます。※ソクーロフなど、サイン本がとてもよく売れています。品切必至のため、お早めにご来店ください。

会期:2010年5月31日~6月30日
場所:紀伊國屋書店新宿本店 5階人文書売場 A階段横壁棚
お問合せ:紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-0131

a0018105_1811447.jpg

※併催中の催事→「脳にいい本だけを読みなさい!」フェア(7月12日まで)。さらに6月29日19時より、紀伊國屋書店新宿南店サザンシアターにて、林成之×香山リカ×河野哲也×森健トークイベント「脳にいい本、悪い本~「脳の本」数千冊の結論」(全席指定1000円)。

***

最後に、千駄ヶ谷のブックカフェ「ビブリオテック」で先月開催され好評だった上島春彦さんの『血の玉座――黒澤明と三船敏郎の映画世界』(作品社)刊行記念トークイベントが、来月ジュンク堂書店新宿店でも開催とのことなのでご紹介します。

◎上島春彦×関口良一×大久保清朗「黒澤、マキノ、成瀬――出会う人、すれ違う人 『蜘蛛巣城』を起点に

日時:2010年7月2日(金)開演19:00(開場18:30)
会場:ジュンク堂書店新宿店8階喫茶
料金:1,000円(1ドリンクつき)
定員:50名
受付:7階カウンターにて。電話予約も承ります。ジュンク堂書店新宿店 03-5363-1300

内容:黒澤明、マキノ雅弘、成瀬巳喜男。彼らは一時期の東宝撮影所を拠点に、多くの作品を残した。このたび『蜘蛛巣城』までの黒澤の初期作品を三船との関わりを中心に分析した著作『血の玉座――黒澤明と三船敏郎の映画世界』(作品社)を上梓した映画評論家・上島春彦を中心に、この三人の監督の人脈を振り返り、撮影、脚本、製作企画などに現れるそれぞれの見どころを探る。

上島春彦(かみじま・はるひこ)1959年生。映画評論家。著書に『血の玉座 黒澤明と三船敏郎の映画世界』、『レッドパージ・ハリウッド 赤狩り体制に挑んだブラックリスト映画人列伝』(以上、作品社)など。
関口良一(せきぐち・りょういち)1948年生。伝説の映画雑誌「シネティック」の元編集長。現在はアテネ・フランセ文化センターの映画講座「アナクロニズムの会」世話人を映画評論家・吉田広明と共に務める。
大久保清朗(おおくぼ・きよあき)1978年生。東京大学大学院総合文化研究科超域文化科学専攻表象文化論博士課程在学中。映画研究者。共著書に『成瀬巳喜男の世界へ』(筑摩書房)。現在、『浮雲』論執筆中。
[PR]

by urag | 2010-06-17 18:11 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 12日

本のスキャン代行(いわゆる自炊代行)について

「讀賣新聞」10年6月12日配信の社会欄記事「iPad向け、本の「格安」電子化業者が出現」にはこう書かれています。

「東京のある業者は4月、本を裁断して1ページごとにスキャナーで読み取り、PDFと呼ばれる電子文書形式に変換するサービスを始めた。本の送料は自己負担だが、1冊分のデータを100円でホームページからダウンロードできるサービスが評判を呼び、注文が殺到。スキャナーの台数などを増やしたが、注文から納品まで3か月待ちという。(中略)都内の別の業者も5月末に営業を始め、2日間で200人以上の申し込みがあったという」。

また、「J-CASTニュース」10年6月9日付の経済欄記事「100円で書籍まるごとスキャン 申し込み殺到し数か月待ち」では、大和印刷の「ブックスキャン(BOOKSCAN)」について紹介しています。

BOOKSCAN(合同会社大和印刷、三軒茶屋)のウェブサイトを見てみると、「サービス案内」欄に「書籍を裁断しスキャナーで読み取り、PDF化するサービスです。『本が好きだけど、本棚はいっぱいだし、本をたくさん買いたいのに 場所的に置く場所がなくて困ってる』という方のためのサービスです」と書いてあります。

BOOKSCANについては、「ASCII.jp」でも10年5月7日にすでに次のような取材記事が出ていました。「業界関係者から歓迎の声も――スキャン代行は「悪」なのか」(文=まつもとあつし)という記事で、代表の岩松慎弥さんにインタビューされています。記事によれば岩松さんは26歳まで居酒屋の料理長をつとめ、その後は冷凍した真空パックの惣菜を楽天市場で売る商売をされていたそうです。利益が少ないため、iPad発売のタイミングに合わせ、現在のスキャン代行業を開始されたとのこと。

現行の著作権法に照らすと違法では、との記者の質問には、「現状では、ブックスキャンに依頼された本は著作者の同意を得ているものとしてスキャンしています。将来的にはそれも撤廃し、私的複製の範囲内でサービスを提供したいと考えています。もし仮に裁判になった場合は「それは私的複製である」と主張します」と答えています。確かにBOOKSCANのサイトでも「著作権に関して」といういささか目立たない欄で、「BOOKSCANのPDF書籍変換システムへご依頼頂いたものは、著作権法に基づき、著作権保有者の許可があるものとして判断させて頂きます。許可がないものは、ご遠慮頂くか、ご自身でスキャンしてください」と特記してあります。

「著作権保有者の許可があるものとして判断させて頂きます」というのが残念ながら実に危ういですね。これでは客に悪用されるリスクを避けきれないし、そもそもそう判断してしまっていることで、業者に他意はなくとも結局のところ著作権法に違反するリスクを黙認するかたちにならざるをえません。

「J-CASTニュース」ではさらに「1冊90円のスキャン代行サービス「スキャポン」も登場」と紹介しています。「スキャポン」について調べてみると、これは品川区戸越に所在する有限会社ドライバレッジジャパン(運営統括責任者・長屋好則さん)が提供しているサービスで、公式ウェブサイトでは「ご自宅の本棚に貯まった書籍をお客様に代わってスキャンをしPDF化するサービスです。スキャンの機器を揃える費用を節約したい方や、ご自身でスキャンをする時間や労力を節約したい方に、スキャポンが代わって書籍を 1ページずつスキャンしPDF化のお手伝いをします」と謳っています。サービスにはふたつの柱があり、「本棚の書籍のスキャンを代行しPDF化(電子書籍化)」と「アマゾンや楽天で購入した書籍をスキャンPDF化してお届け」となっています。後者が目を惹きますね。

同サイトの「著作権について」欄ではこう書かれています。「書籍は、音楽CDや映像DVDと同様に、著作権によって保護されています。/1.お客様からお送り頂いた書籍は、著作者の許可を得ていると判断し処理をします。許可が得られない場合はご自身でスキャンしていただくか、スキャンをご遠慮下さい。/2.スキャンによってPDF化された書籍データは、私的利用でのみご利用下さい。他者への譲渡や販売行為はおこなわないで下さい。ネット上への公開や不特定多数の方に閲覧される状態にしないで下さい」。ここでも「著作者の許可を得ていると判断する」と書いてあって、BOOKSCANと同様のリスクを回避できていない感じです。

そうしたリスクにきっちり対応すべく、著作権問題について見解を述べている業者さんもいます。例えば長野県大町市のスキャナーレンタルおよび本の裁断作業代行サービス「スキャンブックス」を展開している株式会社実践では、トップページに「お客様に著作権が帰属しない文献のスキャニング(複写)作業代行は、著作権法により禁じられているため一切お受けすることができません。また、スキャンした文献データを無断で配布すると罰せられます」と明記しています。さらには10年4月16日にアップされた文書「【ご注意ください】スキャン代行サービスについて」で代表取締役鎌倉正茂さんが、「弊社では、スキャニング代行は一切行っておりません」とはっきり宣言しています。

鎌倉さんの主張はこうです。「書籍における私的利用のための複製においては、個人的にまたは家庭内その他これに準ずる限られた範囲において使用することを目的とし使用する本人が複製しなければなりません。/よって複製したものを他の人に送信・譲渡・配布してはいけませんし、複製行為自体も本人が行わなければなりません。この複製行為を他人にお願いしたり、業者に対価を払ってお願いすることは違法行為であり、またそれを業とすることも違法行為となります。/これまでにも、著作物の複製行為を使用者以外の第三者が行う代行業などが生まれたこともありましたが、私的利用のための複製という範疇を超えるものとして、違法性を指摘され、社会から消えていったという歴史がございます。/「スキャン代行サービス」も、第三者が行う著作物の複製行為の代行業と全く同じ構造であるため、私的利用のための複製という範疇を超えるものと考えられます。〔中略〕お客様に著作権が帰属する或いは許諾があるとされる書籍につきましても、弊社においてはその著作権の帰属、許諾の確認が困難であることから、これらについても一切スキャン代行を行っておりません」。適切なご判断だと思います。

あらためて「讀賣新聞」記事を見てみると、そこで取り上げられている匿名業者は「個人が複製するのは合法。個人の依頼を受けて代行しているだけで、著作権法違反ではない」と主張しているそうです。これは昨年のいわゆる「コルシカ問題」もしくは「コルシカ騒動」(雑誌スキャン)の際に言われていたこととそっくりで、出版業界としては「またかよ」という既視感が強いものと思います。

アルファブロガーの小飼弾さんはいち早く10年4月16日の時点でブログ「404 Blog Not Found」において「ブックスキャン代行サービスは合法だよね?」というエントリーを公開されています。そこで「複製というのは原本がそのまま無傷で残るからこそ複製なのであって、裁断された紙の束を「元どおりの本である」ということにこそ無理がある。Googleがやっているように非破壊的な手段でスキャンする方法であればとにかく、裁断を必要とするブックスキャン代行サービスは複製とは呼べない」と書かれています。この論理でスキャン代行を擁護することには若干飛躍があるというのが私の意見ですが、ほぼ同じ時期に講談社「G2」誌に掲載された秀逸なインタビュー記事「蔵書2万5000冊の男が断言 小飼弾「紙の本は90パーセント消えます」」にこんなくだりがあるのを読めば、小飼さんの言わんとすることは理解できるのではないかと思います。

「―小飼さんは、幼少期から大変な読書家だったそうですね。紙の本に対する親しみは人一倍あろうかと思います。

小飼 確かに僕は印刷された本が大好きです。しかし、誰もが自宅にこういう本棚を持てますか?(そう言って、約2万5000冊!が収容可能だという巨大な本棚を指さす)
この本棚の存在こそが紙の欠点なのです。本を置いておくにはスペースが必要なんです。数冊しか本を所有していない人は気にならないでしょうが、数百冊になったら収納する本棚が必要になります。さらに、数千冊、数万冊になったら、うちにあるような大きな本棚を買わなければいけません。この本棚は特注したもので、引っ越す時に奮発して、約200万円かけて作りました。この時、本棚の代金だけを考えてはいけません。この本棚を設置できる条件として、マンションの不動産コストも考えなければいけないのです。では、数十万冊の蔵書がある図書館となったらどうでしょうか。不動産コストのほかに、インデックスしたりラベリングする人件費もかかってくる。僕の試算するところ、大きな図書館では、ただ本を一冊置いておくというコストだけで年間2000円以上の維持費がかかるのです。本代よりも高い。

―電子化すればこんな大層な本棚は必要なくなりますね。

小飼 そうです。活字よりもデータ量が多いマンガでさえ、スキャンしてデジタル化したら、一冊100メガバイトくらいです。1テラバイトのハードディスクであれば、1万冊のマンガが収納可能。今、1テラバイトのハードディスクは1万円あれば購入できるので、たった数万円でこの巨大な本棚が無用の長物となります〔後略〕」。

ちなみに「J-CASTニュース」の先の記事ではスキャン代行サービスの利用者について次のようにまとめています。「依頼主は個人がほとんどで、1回あたりの申し込み数は1冊、2冊が多い。中には1000冊以上という人もいる。書棚の本を整理したい人や、海外出張の予定がある人、視覚障害者の需要もある。テキスト読み上げツールを使うと、点字化されていない書籍も、読書を楽しむことができるからだ(ただしOCR処理が必須)。個人以外では、大学や出版社からの依頼も多い」。ははあ、なるほどね……ん? 大学や出版社?

まあ実際のところ驚くようなことでもないかもしれません。大学というのが、個々人の先生なのか図書館なのかがよく分かりませんが、少なくとも自分の研究室の蔵書を電子化したい先生方はいるでしょうし、出版社でも1点100円という低コストであれば自社本のスキャンをお願いしたくもなるでしょう。

「ASCII.jp」の記事によれば、記事が出た時点ではBOOKSCANに「出版業界から直接のクレームは寄せられていない」とのこと。代表の岩松さんはこう発言しています。「業界関係者、特に雑誌制作者からは、むしろ歓迎のメールが届いたりしています。また、視覚障害者の方からも感謝のメールをいただきました。これは想定外でした。OCRにかけることで、完璧ではないものの、本の内容がテキスト化されるので、「まだ点字になっていない本も楽しめる」と非常に喜んでいらっしゃるようです。ただ、本のスキャンをしている同業他社からは嫌がらせのようなメールが届いているのも事実です」。

いっぽう、「讀賣新聞」では日本文芸家協会副理事長の三田誠広さんが「営利目的の業者が利益を得るのは、たとえ私的複製でも複製権の侵害」と発言しているのを紹介していますし、福井健策弁護士の「私的複製は個人が自ら行うのが原則。代行は基本的に認められず、私的複製と言うのは難しい」というコメントも記事に添えられています。

本の複製代行サービスというのは実際のところ昔からアンダーグラウンドなかたちでは存在していました。たとえば、入手しにくい洋書や絶版本を図書館で借りるなりして業者に持ち込み、業者はそれをコピーして製本する、という研究者向けのサービスがあります。電子書籍と違って製本されたコピー本は個人利用のためであり、転売するなど悪用が難しいため、あまり世間では知られていません。しかしPDFとなると、さらなる複製や転売もしくは無料配布は紙媒体に比べて容易になるわけで、電子書籍について日夜研究を重ねている出版業界にとっては、黙過できないことだろうと思います。

2ちゃんねるなどでは三田さんや出版界への罵倒が溢れかえっていますが、まったくひどいものです。スキャン代行会社はこの先も続々と誕生するでしょうけれど、彼らが現状のままビジネスを続けていられるかどうか。「読売新聞」によれば、日本文芸家協会は業者に「複製権の侵害」について抗議を検討しているそうです。まだまだ書くべきことはあるものの、長くなるのでいったんここでやめておきます。

・・・ひとつだけはっきりしているのは、小飼さんが先のインタビューで語っておられる「電子ブックが当たり前の時代に、紙の本は贅沢品として残っていくでしょう。我が家の本棚はノスタルジアになりますよ」という言葉が、実際のところ長い目で見れば真実だろうということです。大量生産される以前の、遠い遠い昔、本は希少品でした。領地と引き換えにでも「ケルズの書」を欲しがった貴族がかつていませんでしたか? 写本が行方不明になった時、飼い葉桶に入れてその霊験に頼った農夫がいませんでしたか? いつの日か、モノとしての本が贅沢品に還っていくのは、避けられない趨勢であるように思います。
[PR]

by urag | 2010-06-12 15:21 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 11日

大竹昭子連載「森山大道のOn the Road」第十三回公開

大竹昭子さんのウェブ連載「森山大道のOn the Road」の第十三回を公開開始いたしました。
[PR]

by urag | 2010-06-11 12:51 | ウェブ限定コンテンツ | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 09日

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍

弊社出版物の著者や訳者の方々の最近の御活躍の一端をお知らせします。

★森山大道さん(写真集『新宿+』『大阪+』『ハワイ』『にっぽん劇場』『何かへの旅』)
今週金曜日より札幌宮の森美術館にて写真展「北海道‐第二章/展開」が開催されます。

◎森山大道写真展「北海道-第2章/展開

会期 : 2010年6月11日(金) - 2010年9月20日(月)
1期 : 2010年6月11日(金) - 2010年8月2日(月)
2期 : 2010年8月5日(木) - 2010年9月20日(月)
会場 : 札幌宮の森美術館
開館時間 : 11:00-19:00 
休館日 : 火曜日(8月4日(水)一部展示入れ替えのため休館)
観覧料 : 一般500(400)円 高大生400(300)円 中学生以下無料 

※ 観覧料()内はリピーター割引、10名様以上の団体割引あり。
※ 展覧会タイトル、内容は予告無く変更となる場合があります。
※ お問い合わせ 森山大道写真展「北海道」事務局 TEL011-612-3562

30年以上の時を経てついに公開された森山大道の北海道。大部の写真集に加え、道内各地を会場ごとに異なる構成で巡る本展は大きな反響を呼んでいます。序章に続き、札幌宮の森美術館で開催される第2章では、デジタル・カメラによる最新のカラー作品もまじえ、約220点を展示いたします。

また、同写真展は会場ごとに異なる構成で道内各地を巡回します。

2010年7月31日(土)- 2010年8月22日(日): 小樽運河プラザ
2010年8月3日(火)- 2010年8月29日(日): 市立小樽文学館
8月下旬-9月中旬予定: 札幌パルコ本館

◆同美術館で並行して開催される催事

◎「NORTHERN2」発売記念・森山大道氏サイン会

日時 : 6月20日(日)15:00-
会場 : 札幌宮の森美術館
※サイン会のご参加は、当日ミュージアムショップにて書籍をご購入いただいた方に限ります。
※森山大道『NORTHERN 2/北方写真師たちへの追想』図書新聞、6月11日刊行予定、税込3,150円。

◎展覧会ディレクター長澤章生氏によるフロアーレクチャー

日時 : 8月1日(日)11:30、15:00
※本展覧会の半券(当日有効)をお持ち下さい。

◎森山大道 映像上映会

上映スケジュール
6月11日(金)~18日(金)『森山大道 in PARIS』
6月19日(土)~25日(金)『森山大道 北海道 旭川・東川町』
6月26日(土)~7月2日(金)『森山大道 北海道』
7月3日(土)~9日(金)『光と影』

◆今週末まで開催中の写真展

◎森山大道新作写真展「NAGISA」

会期:2010年4月16日(金)~6月13日(日)11:00~19:00会期中無休
会場:BLD GALLERY(東京都中央区銀座2-4-9SPP銀座ビル8F)TEL-03-5524-3903

※展覧会に併せ、森山大道写真集『NAGISA』がAkio Nagasawa Pubulishingより4月に刊行されました。税込6,300円。


★ジェイムズ・クリフォードさん(『ルーツ』著者)
今月下旬来日され、東京と大阪で講演を行います。

◎「複数の伝統的未来:グローバル化時代における先住民運動の新たな展開と歴史叙述をめぐる問い」Traditional Futures: New Indigenous Politics and the Question of Global History

日時:2010年6月23日(水)19:00 ~20:30
場所:国際文化会館 岩崎小彌太記念ホール
会費:1,000円(学生:500円、国際文化会館会員:無料)
【定員に達したため、お申し込みを締め切りました。ご理解のほどお願い申し上げます】
用語:英語/日本語(同時通訳付き)

お問い合わせ: 財団法人国際文化会館企画部(東京都港区六本木5-11-16)Tel: 03-3470-3211

クリフォード教授は、現代世界における“先住民”の新たな台頭に関する比較研究に現在携わっています。本講演は、トランス・ナショナルな勢力とローカルな文化的政治の弁証法を探求し、先住民たちの残存と変貌が、いかにわたしたちに対してグローバルな歴史の定説化されてきた考え方を再考するように迫るかという考察を行います。わたしたちはみな、一緒にそして個別に、この21世紀において、どこへ向かっているのでしょうか。この疑問は、新たな喫緊性と、そして不確実性をともない、わたしたちの前に立ち現われています。牛場記念フェローシップ公開講演、第13回アイハウス・アカデミー。司会:太田好信(九州大学大学院比較社会文化研究院教授)。


◎「文化遺産の返還とその再生――アラスカ州コディアク島の仮面をめぐって」Repatriation and the Second Life of Heritage: Return of the Masks in Kodiak, Alaska

日時:2010年6月26日(土)14:00~16:15
場所:国立民族学博物館講堂(大阪府吹田市千里万博公園10-1)
定員:450名(申し込み先着順)
参加費:無料
使用言語:英語/日本語(同時通訳付き)

参加申込方法:お名前、ご所属、連絡先(E-mail/Tel/Fax)を明記し、電子メール、電話、FAXのいずれかの方法でお申し込みください。
E-mail:clifford.min@idc.minpaku.ac.jp
TEL:06-6878-8235 (国際協力係、International Cooperation Unit)
FAX:06-6878-8479

この講演はアラスカ州コディアク島のアルティーク博物館・考古学資料館で最近おこなった調査にもとづくものである。同博物館は先住民が運営する文化センターであり、文化遺産の再活用をめざしたさまざまなプログラムを実践している。2008年、コディアク地域の儀礼用仮面のコレクション―このコレクションは1870年に若いフランスの言語学者が取得し、それ以来、フランスのある地方博物館に収蔵されていたものである―がアルティーク博物館に貸し出しのかたちで返還された。このきわめて稀少な仮面コレクションは、ロシアやアメリカによる植民地化のために荒廃させられた文化にとって、計り知れない象徴的価値をもつものであり、「文化遺産」の再生のうえで新たな役割を果たすものである。

今回の講演では、スライドも交えながら、仮面の返還について語り、いまや主役となった返還資料のその後について追究する。そこでは文化遺産をめぐるポリティクスと先住民文化の再生についての一般的な諸問題について検討することになろう。たとえば真正性と歴史性についての観点のちがい、植民地の遺産と先住民の未来、資本主義とポスト・モダンなアイデンティティ形成との関係などである。今日における仮面の意味、仮面が体現する断絶と持続は、曖昧であると同時に生産的でもあり、けして尽きることのないものであることを論じたい。

プログラム
14:00~14:10 挨拶:須藤健一(国立民族学博物館長)、講師紹介
14:10~15:10 講演:ジェイムズ・クリフォード
15:10~15:20 休憩(質問用紙の回収)
15:20~16:15 パネル・ディススカッション

講演者:ジェイムズ・クリフォード(カリフォルニア大学サンタ・クルーズ校特別功労教授)
司会:吉田憲司(国立民族学博物館文化資源センター教授)
パネリスト:岸上伸啓(国立民族学博物館先端人類科学研究部教授)
パネリスト:太田好信(九州大学大学院比較社会文化研究院教授)
[PR]

by urag | 2010-06-09 18:43 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 07日

「週刊読書人」にヴァール『具体的なものへ』の書評が掲載

書評週刊紙「週刊読書人」10年6月4日号に、弊社刊ジャン・ヴァール『具体的なものへ』の書評が掲載されました。書評してくださったのは立命館大学教授の加國尚志先生です。

「1932年に公刊された本書は、「直接的な所与」の具体的経験に哲学の出発点を求めることが20世紀前半の哲学潮流であることを宣言し、独特の直接的経験論への思想的転回を準備した。サルトルやメルロ=ポンティらに大きな影響を与え、ジェイムズやホワイトヘッドを紹介してその後のフランス哲学の道を切り開いた歴史的名著である。/著者ジャン・ヴァールは、ベルクソンに教えを受け、戦後コレージュ・フィロゾフィックを設立し、多くの哲学者を世に出したフィクサー的人物である。〔中略〕ジェイムズをサルトルとドゥルーズに、ホワイトヘッドを後期メルロ=ポンティ、シモンドン、ドゥルーズに、マルセルをメルロ=ポンティ、レヴィナス、アンリに連結する視点を持つなら、本書が20世紀フランス哲学を予言していたかのような錯覚すら覚えるが、むしろ後代の哲学の問題構制が本書の歴史的価値を遡及的に高めていったと言うべきである。〔後略〕」と評していただきました。加國先生、まことにありがとうございました。
[PR]

by urag | 2010-06-07 14:45 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2010年 06月 04日

注目の経済学者マラッツィ『資本と言語』、人文書院から来週発売

a0018105_0355182.jpg

資本と言語――ニューエコノミーのサイクルと危機
クリスティアン・マラッツィ(Christian Marazzi:1951-)著 柱本元彦訳 水嶋一憲監修
人文書院 10年6月 本体2,500円 四六判上製カバー装208頁 ISBN978-4-409-03077-6

◆原書:Capitale & Linguaggio: Ciclo e crisi della new economy, Rubbettino, 2001.

◆帯文より:金融経済とポストフォーディズムの労働、現代世界において支配的となった価値生産の新たな形態を言語行為論から析出する、革新的な経済社会理論。ネグリ、ヴィルノらとともに、ポストフォーディズム論を担う、注目の経済学者代表作。経済と社会を結ぶハードコア。序文=マイケル・ハート/解説=水嶋一憲

◆「英語版まえがき」より:「金融市場や経済政策の複雑さを一般の人々に語りうるエコノミストは、すでに稀少な存在と言えるが、マラッツィの稀少さはそれに留まるものではない。というのも彼は、現代の政治理論と社会理論のレンズをとおして経済発展を読み解きながら、経済的な土壌にしっかりと足をつけてそれらの理論に反省を加えることのできるエコノミストであるとともに、そのような仕方で政治・社会理論のもっとも刺激的な流れに関わり、それを前進させることのできるエコノミストでもあるからだ」(マイケル・ハート)。

◆目次:
英語版まえがき「労働する言語」(マイケル・ハート)

第一章 ポストフォーディズムからニューエコノミーへ
 序
 歴史的起源
 世論の至上権
 言語分析の道筋
 ポストフォーディズムの顕著な特徴
 労働時間についての批判的考察
 貨幣の言語的次元について
 ニューエコノミーとアテンションエコノミー

第二章 新しい景気循環
 危機のクロニクル
 中核=周辺モデルについて
 マンデルによる景気循環

第三章 剰余価値の回帰
 経済循環と剰余価値の貨幣化
 循環形態の合理性
 退蔵とマルチチュード
 退蔵とパニック
 〈一般的知性〉のスクラップ化

第四章 戦争と景気循環

解説「追伸――〈金融〉と〈生〉について」(水嶋一憲)
訳者あとがき
参考文献
人名索引

★『現代経済の大転換――コミュニケーションが仕事になるとき』(多賀健太郎訳、酒井隆史解説、青土社、09年3月)に続く、日本語訳第二弾です。来週後半から店頭発売開始だそうです。本書はカラブリア大学での講義がもとになっていますが、弊社より刊行しているパオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(廣瀬純訳、月曜社、04年2月)やマウリツィオ・ラッツァラート『出来事のポリティクス――知-政治と新たな協働』(村澤真保呂+中倉智徳訳、洛北出版、08年6月)もカラブリア大学での講義がもとになっています。『資本と言語』は2001年に初版がルッベッティーノから刊行されたのち、翌2002年に第四章が追加された新版がデリーヴェアップローディから出版されました。日本語訳の副題は初版に準じています。第二版の副題は「ニューエコノミーから戦争経済学へ」です。マイケル・ハートの序文は2008年にセミオテクストから刊行された英訳版に掲載されていたもの。

★近年日本において注目を集め続けているイタリア現代思想ですが、手ごろな入門書には岡田温司(1954-)さんの『イタリア現代思想への招待』(講談社選書メチエ、08年6月)があります。代表格は70年代までがアントニオ・グラムシ(Antonio Gramsci:1891-1937)、80年代までがウンベルト・エーコ、90年代以降はアントニオ・ネグリということになるだろうと思います。以下ではエーコやネグリらの世代以降のキーパーソンを人名、生年、初訳単独著単行本/最新刊の順に挙げておきます。未訳で挙げている人物は将来的に翻訳されるような気がする人々です。

マリオ・トロンティ(Mario Tronti:1931-)単独著未訳
ウンベルト・エーコ(Umberto Eco:1932-)『記号論』全2巻、岩波書店、80年4-6月/『醜の歴史』東洋書林、09年10月。
アントニオ・ネグリ(Antonio Negri:1933-)『構成的権力』松籟社、99年6月/『野生のアノマリー』作品社、08年10月。
マンフレッド・タフーリ(Manfredo Tafuri:1935-1994)『建築神話の崩壊』彰国社、81年2月/『球と迷宮』PARCO出版、92年7月。
ジャンニ・ヴァッティモ(Gianni Vattimo:1936-)単独著未訳
アウグスト・イルミナーティ(Augusto Illuminati:1937-)単独著未訳
カルロ・ギンズブルグ(Carlo Ginzburg:1939-)『チーズとうじ虫』みすず書房、84年12月/『糸と痕跡』みすず書房、08年11月。
マリオ・ペルニオーラ(Mario Perniola:1941-)『エニグマ』ありな書房、99年5月。
ジョルジョ・アガンベン(Giorgio Agamben:1942-)『スタンツェ』ありな書房、98年10月/『イタリア的カテゴリー』みすず書房、10年4月。
ウンベルト・ガリンベルティ(Umberto Galimberti:1942-)『七つの大罪と新しい悪徳』青土社、04年2月。
ピエル・アルド・ロヴァッティ(Pier Aldo Rovatti:1942-) 単独著未訳
マリアローザ・ダラ・コスタ(Mariarosa Dalla Costa:1943-)『家事労働に賃金を』インパクト出版会、86年10月/『医学の暴力にさらされる女たち』インパクト出版会、02年11月。
マッシモ・カッチャーリ(Massimo Cacciari:1944-)『必要なる天使』人文書院、02年4月。
アドリアーナ・カヴァレロ(Adriana Cavarero:1947-)単独著未訳
フランコ・ベラルディ(Franco Berardi:1949-)『プレカリアートの詩』河出書房新社、09年12月。
ロベルト・エスポジト(Roberto Esposito:1950-)『政治の理論と歴史の理論』芸立出版、86年4月/『近代政治の脱構築』講談社選書メチエ、09年10月。
クリスティアン・マラッツィ(Christian Marazzi:1951-)『現代経済の大転換』青土社、09年3月/『資本と言語』人文書院、10年6月。
パオロ・ヴィルノ(Paolo Virno:1952-)『マルチチュードの文法』月曜社、04年2月/『ポストフォーディズムの資本主義』人文書院、08年2月。
マウリツィオ・ラッツァラート(Maurizio Lazzarato:1955-)『出来事のポリティクス』洛北出版、08年6月。
マウリツィオ・フェラーリス(Maurizio Ferraris:1956-)単独著未訳
フェデリコ・フェラーリ(Federico Ferrari:1969-)単独著未訳

★上記のほかにもまだ様々な思想家がいます。イタリア出身で、海外で活躍した思想家というのもいます(マラッツィの場合は逆に、スイス出身でイタリアにて教鞭を執っています)。たとえば、古い世代ではドイツで活躍していたエルネスト・グラッシ(Ernesto Grassi:1902-1991/『芸術と神話』法政大学出版局、73年7月)ですとか、30年代生まれ以降ではアメリカで活躍していたジョヴァンニ・アリギ(Giovanni Arrighi:1937-2009)などです。グラッシは91年12月22日にミュンヘンで亡くなりました。ちなみにその数ヶ月前の9月18日には、エーコやヴァッティモの師である美学者ルイジ・パレイゾン(Luigi Pareyson:1918–1991)がミラノで亡くなっています(パレイゾンはイタリアにとどまりましたが、国外でも著名でした)。アリギはちょうど一年前の今頃(09年6月19日)、惜しくも逝去しました。その数ヶ月前についに単独著の日本語訳が出たばかりでした(『長い20世紀』作品社、09年2月)。このほか、英語圏で活躍しているイタリア出身の思想家には、「VOL ZINE」で論文が翻訳されている政治経済学者マッシモ・デ・アンジェリス(Massimo De Angelis:1960-)がいます。彼はリヴォルノ出身で、現在英国で教鞭を執っています。

★最近約半年間に出版されたイタリア現代思想の訳書では、アガンベンが3点(09年12月『思考の潜勢力』月曜社、10年3月『王国と栄光』青土社、10年4月『イタリア的カテゴリー』みすず書房)と続きました。フランコ・ベラルディ(通り名ビフォ)の本は初訳で、『プレカリアートの詩――記号資本主義の精神病理学』(櫻田和也訳、河出書房新社、09年12月)が出ました。ビフォはまだほかにも翻訳されるはずです。また、古い世代にはなりますが、以下の古典も新訳されたのが印象的です。政治思想家アントニオ・ラブリオーラ(Antonio Labriola:1843-1904)『思想は空から降ってはこない――新訳・唯物史観概説』(小原耕一+渡部實訳、同時代社、10年2月)。また、今回ご紹介したマラッツィの新刊『資本と言語』の翻訳者である柱本元彦さんはつい先日、歴史家エンツォ・トラヴェルソ(Enzo Traverso:1957-)の『全体主義』(平凡社新書、10年5月)も上梓されたばかりです。トラヴェルソはイタリア出身ですが85年以降、フランスで活躍しています。ラッツァラートもフランスで活動しているのですが、彼の場合ネグリとの関係を考えてあえて上記に挙げておきました。言うまでもありませんが、ネグリは長い間フランスに亡命していました。今はイタリアとフランスを行ったり来たりしているようです。

a0018105_035222.jpg


★また、今週発売の新刊ですが、法学者で現在は政治家のジュリオ・トレモンティ(Giulio Tremonti:1947-)の『恐れと希望――グローバル化の克服とヨーロッパ』(石橋典子訳、一藝社、10年5月)が発売されたことも付記しておきます。
[PR]

by urag | 2010-06-04 00:26 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)