<   2009年 11月 ( 10 )   > この月の画像一覧


2009年 11月 30日

ユング『赤の書』(The Red Book)英語版がノートンより発売開始

昨晩、日本語版『赤の書』の内容見本をご紹介しましたが、本日思いがけなくも、当該書籍の英語版(ノートン社)が届きました。アマゾン・コムに予約を入れていて、発送が早まりそうだとの通知は受け取っていましたけれど、まさか11月中に届くとは。アマゾンの箱を開けると、搬送用の特製函が出てきて、その中にシュリンクされたカバー装の『The Red Book』が入っています。シュリンクのせいでカバーにいささかしわが寄っているものの、まあご愛敬の範囲。思った以上に大きくて重いです。A3よりわずかに小さいくらい。そうですね、今年入手した本の中では森山大道の『北海道』と同じくらいの重量級大型本ですね。
a0018105_12433100.jpg


英語版には、ドイツ語原文の転記はなく、すべて翻訳されていますから、写本の原文を一字一句確認したい場合は、英語版よりもドイツ語版を購入しなければならないでしょうね。写本のドイツ語をそのまま読むというのはしんどい作業です。ただただユングの写本そのものを芸術として楽しみたいという目的の方はパトモス社のドイツ語版(Das Rote Buch)よりも英語版の方がだんぜんお得です、現下のドル安のおかげで。ドイツ語原文と英訳を比較したいという方は、出費がたいへんですが、両方買わねばなりません。これ、テクストだけで将来的に売ってくれたりする可能性はないのでしょうかねえ。ありそうな気も大いにしますけど。テクストだけじゃ意味ないか。挿絵ごとサイズを縮小した廉価版希望。

中身を何枚か取ろうと思ったのですが、見開き二頁のみにしました。というのも・・・・やはりこれは現物を見て各自が受け取る印象というのが、かなり違うであろう気がしたからです。私が撮ったのは「なんだこれ?」感が一番強かった頁。左頁の顔みたいなもの、これは1919年12月4日に描かれたアトマヴィクトゥ(Atmavictu)だそうです。アトマヴィクトゥというのはDonald Kalsched著『The inner world of trauma: archetypal defenses of the personal spirit』によれば、「生の息」すなわち「精霊」を指すとのことです。写本の別の頁(117頁)では、アトマヴィクトゥは、足が無数にあるトカゲのような緑の蛇というか龍で、金色の太陽を食らおうしている姿が描かれています。編者による注を読むと、アトマヴィクトゥは太陽を食らおうとする蛇であり、ドイツ民話のコボルトという精霊でもあり、ユングにとっては老賢者フィレモンでもあるようです。以上はいくつかの注を拾い読みした断片的な理解なので、不正確かもしれません。
a0018105_12432331.jpg


とにかく『赤の書』はそれ自体が一個の大いなるファンダジーとして、内なる世界の地平と深度を探求するための「鍵」となる書であろうと思います。創元社から2010年3月に発売される日本語版がとても楽しみです。ちなみに――なんたることか!英語版はすでに版元品切になっています。まだアマゾンなどでは購入可能のようです。また、ドイツ語版もまだある模様。


[PR]

by urag | 2009-11-30 12:44 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 29日

門外不出、ユングのカラー写本『赤の書』日本語版が創元社より来春刊行

鏡リュウジさんのブログ「鏡リュウジのRyuz-café」でもすでに話題になっていたユングの『赤の書』の複写版ですが、先月(09年10月)にまずドイツ語版が刊行され、来月(09年12月)には英語版が刊行となります。『赤の書』はユングがフロイトと決別する時期(第一次世界大戦前夜)に書きとめていた夢日記を、後日自身の注釈と挿画を付して書き写したもので、色鮮やかな写本のようなその内容は、門外不出のものとして長らく伝説的な存在であり続けました。

その日本語版がついに来春、創元社から刊行されることになりました。これはすごい事件です。写真は出来上がったばかりの内容見本を撮ったものです。内容見本の中身は以下の通りです。
a0018105_21215089.jpg


左は『赤の書』についての解説、右は本文組見本(70%縮小)です。
a0018105_21181586.jpg


推薦文は、梅原猛さん、中沢新一さん、萩尾望都さん、横尾忠則さんの四名から。豪華ですねえ。
a0018105_21221798.jpg


そして内容見本の折り目を全展開すると、『赤の書』の3頁分の複写が現われます。圧巻。感動ものです。かつて創元社で出版されていたユングの『東洋的瞑想の心理学』の口絵でも、『赤の書』から二葉のカラー図版(「火神アグニの誕生」「ブラフマンの使者」)を縮小サイズで見ることができましたが、今回出版される複写版は原寸での再現ですから迫力が圧倒的に違うはずです。
a0018105_21223543.jpg


最後のページは、日本語版『赤の書』の書誌情報です。発行は2010年2月末、発売開始は3月アタマと聞いています。
a0018105_21225231.jpg


赤の書
C・G・ユング著、ソヌ・シャムダサーニ編
河合俊雄監訳、田中康裕・猪俣剛・高月玲子訳
創元社 09年2月 A3変型判、函入上製、464頁予定
特別価格税込37,800円(2010年9月まで。以後は税込42,000円)

まあこのデフレ時代に猛烈に高い本ですが、なにせフルカラーの大型複写本ですし、各国語版に比べて日本語版はいっそう愛蔵に相応しい造本となると聞いています。日本語版を手にする最初で最後の機会になるかもしれませんから、ここは覚悟を決めて予約したいところです。なお、語学堪能な方は、英語版をお薦めします。外貨事情で、本家米国アマゾン・コムで予約すると今なら同社日本サイトよりお得だと思います。

なお、創元社より刊行されているユングの訳書では今年9月の『哲学の木』が売行好調と聞いています。また、人文書院からは同じく9月に、長期品切だった『心理学と宗教』(ユング・コレクション3)も復刊されました。当ブログでは来月、『赤の書』の英語版を日本語版に先駆けてご紹介できると思います。

最後に補足になりますが、人文書院では『心理学と宗教』の前に『アイオーン』や『結合の神秘(I)』を復刊しています。ユングの著書はいったん品切になるとどうしてもすぐには重版されないですし、古書価も落ちませんから、ぜひこの機会にお求めになることを強くお薦めします。

人文書院ではユングの復刊と並行して、エリファス・レヴィの『高等魔術の教理と祭儀-教理篇』と『高等魔術の教理と祭儀-祭儀篇』を再刊していましたが、喜ばしいことに、来月(09年12月)には同じくレヴィの『魔術の歴史』も復刊する予定で、年明けの1月には『大いなる神秘の鍵』(鈴木啓司訳、A5判上製540頁、本体予価6800円)というレヴィの新刊も発売予定だそうです。

***

09年12月2日追記:創元社営業部のHさんから『赤の書』の目次予定を教えていただきましたので、アップします。

◆創元社版『赤の書』目次(予定)

序文「新たなる書:C・G・ユングによる赤の書」ソヌ・シャムダサーニ

第一の書
プロローグ 来るべきものたちの道
第1章 魂の再発見
第2章 魂と神
第3章 魂への奉仕について
第4章 荒野
荒野での体験
第5章 前途へ向けての冥界降り
第6章 精神を引き裂くこと
第7章 英雄の死
第8章 神の宿り
第9章 神秘。出会い
第10章 教え
第11章 解放

第二の書
さまよう者のイメージ
第1章 赤色
第2章 森の中の城
第3章 卑俗なる者の一人
第4章 隠者。第一日
第5章 第二日
第6章 死
第7章 初期の教会のなごり
第8章 一日目
第9章 二日目
第10章 ここに受肉がはじまる
第11章 卵を割る
第12章 冥土
第13章 生け贄の殺害
第14章 神の愚行
第15章 第二夜
第16章 第三夜
第17章 第四夜
第18章 三人の預言者
第19章 魔術の才
第20章 十字架の道
第21章 魔法使い
試練
結語

付記A:解説
付記B:1916年1月16日の箇所に関する『黒の書』からの記載
付記C:付録図

以上です。まるでファンタジー冒険小説のような章だてですよね。実際に、まさにユングにとっては内面世界への大いなる冒険なわけですが。日本語訳の出版が待ち遠しいです。
[PR]

by urag | 2009-11-29 21:23 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 25日

人文書在庫僅少本フェア第5弾:「大月書店/人文書院/未來社」@紀伊國屋書店新宿本店

紀伊國屋書店新宿本店5F人文書売場での好評の在庫僅少本フェアの最新情報です。先ごろ亡くなった文化人類学者クロード・レヴィ=ストロース(1908‐2009)の追悼フェアも併催されています。

人文書在庫僅少本フェア第5弾《大月書店・人文書院・未來社》(「今こそ!人文書宣言」第7弾)

ご案内文:僅少本を3社合同で(大月書店:137点・人文書院:77点・未來社:175点)お蔵出し頂きました。豪華ラインナップです!1点モノの書籍が多数ございますので、お早めに足をお運びくださいませ。

場所:紀伊國屋書店新宿本店5階 人文書売場
会期:09年11月23日(月)~12月25日(金)
お問合せ:紀伊國屋書店新宿本店 03-3354-0131
a0018105_11242494.jpg

***

◎「今こそ!人文書宣言第7弾 レヴィ=ストロース100歳――文化人類学の一世紀」

ご案内文:『闘うレヴィ=ストロース』(平凡社新書)著者、『神話論理』(みすず書房)全4巻の中心的訳者である渡辺公三氏の全面的な選書協力のもと、レヴィ=ストロース関連書を取り揃え展開致します。点数なんと200点以上、「人文書宣言」ならではの「レヴィ=ストロース追悼フェア」です。必見!

渡辺公三氏コメント:20世紀の人類学的思考の最高峰、レヴィ=ストロースは1908年に生まれ、100歳を超え、今年10月に他界した。革命家バブーフから精神の蜂起を学び、マルクスに革命の理論を発見し、フロイトの無意識を批判的に解読したレヴィ=ストロースは、南北アメリカ・インディアンの神話から、他の生物への謙虚さと世界との交感の作法を聞き取った。飼いならされた思考と闘うこの「野生の思考」から、私たちは何を受けとめるべきなのだろうか。多様な生命の交錯する場としての人類学を再考する試み。(渡辺公三)

【関連トークイベント】
◎レヴィ=ストロース100年――人類学的思考の一世紀

第62回紀伊國屋サザンセミナー
『闘うレヴィ=ストロース』(平凡社)刊行記念

日時:09年12月18日(金)19:00開演(18:30開場)
出演:渡辺公三 中沢新一
会場:新宿・紀伊國屋サザンシアター(紀伊國屋書店 新宿南店7階)
a0018105_11244460.jpg

[PR]

by urag | 2009-11-25 11:25 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 21日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

09年12月20日(日)
ジュンク堂書店ロフト名古屋店:1159坪
愛知県名古屋市中区栄3-18-1 ナディアパークB1F/7F
今年8月にオープンしたばかりの新規店が営業4ヶ月目にして早くも増床です。現在地下1階600坪で営業中のロフト名古屋店が7Fにも売場を広げ、ほぼ倍の大きさになってリニューアル・オープンします。一階分売場が増えるというのはちょうど一年前の梅田ヒルトンプラザ店と同じケースです。また、連続しないフロアでの多床展開というのは7月開店の難波店と同じですね。フロアが連続しないと売場移動が面倒で、販売には不利なようなイメージですが、実際のところはどうなのでしょうね。
[PR]

by urag | 2009-11-21 18:42 | 販売情報 | Trackback | Comments(2)
2009年 11月 10日

本日開催:メディア学フロンティア・芽の会 第1回公開研究会

『書棚と平台-出版流通というメディア』(弘文堂)で業界研究に一石を投じた柴野京子さん(元トーハン)が発表される公開研究会が、本日以下の通り行われます。ご興味のある方はぜひ。

◎メディア学フロンティア・芽の会 第1回公開研究会

日時:2009年11月10日(火)18:00-20:30(開場17時40分)
会場:東京大学 本郷キャンパス 工学部2号館 9階93B教室

内容:「メディア学フロンティア・芽の会」は、東京大学大学院学際情報学府の若手研究者による、メディア・スタディーズの公開研究会です。博士課程院生の研究成果を、学府内外の方々に向けて発表するアリーナとして、当面隔月の予定で開催します。主な研究分野は以下の通りです。

1)近代日本、及び東アジアにおけるメディアとコミュニケーションの社会史に関する歴史社会学的研究
2)トランスナショナルな文化消費とオーディエンス(ファン)に関するカルチュラル・スタディーズ
3)情報(インターネット)社会と文化形成ないしは知識創造の公共的基盤に関する社会学的実践研究
4)視覚表象(広告、映画、テレビ、ネット動画等)の構造と新しい知の公共的基盤に関する研究

第1回は、このほど修士論文を出版した、河津孝宏、柴野京子の2名による発表を行います。前者は人気ドラマ「Sex and the City」を素材に、P・ブルデューの文化社会学の視座を基盤として、現代日本における若い女性たちの海外ドラマ消費をとらえ、日本のテレビ・オーディエンス研究の新しい可能性を示唆しようとするものです。後者は、近代日本の本の世界の変容を、取次と書店といった出版流通の視座からとらえなおし、これまでの作家論とも読書論とも異なるメディア論の立場から論じたものです。参加は自由です。ふるってご来場ください。

主催:メディア学フロンティア・芽の会
アドバイザー:吉見俊哉教授・北田暁大准教授

プログラム: 

18:00
メディア・スタディーズの未来  吉見俊哉(情報学環教授)

18:20
発表Ⅰ『彼女たちの「Sex and the City」-海外ドラマ視聴のエスノグラフィ』(せりか書房)
河津孝宏(学際情報学府博士課程3年・北田研究室)
コメント 吉見俊哉
質疑応答

19:20
発表II『書棚と平台-出版流通というメディア』(弘文堂)
柴野京子(学際情報学府博士課程3年・吉見研究室)
コメント 北田暁大(情報学環准教授)
質疑応答

20:20
まとめ・今後に向けて

※会費は無料、事前申込も不要です。
※会の趣旨・メンバー、今後のスケジュールなど詳細は、芽の会ウェブページをご覧ください。 
※お問い合わせ:メディア学フロンティア・芽の会 menokai(at)live.jp
[PR]

by urag | 2009-11-10 11:58 | イベント告知 | Trackback | Comments(3)
2009年 11月 10日

廣瀬純氏選書フェア&トークショー@ジュンク堂書店京都BAL店

ジュンク堂書店京都BAL店で行われる廣瀬純氏選書フェア&トークショーについてご案内いたします。皆さまのご来店・ご来場をお待ちしております。

◎「創造せよ!プロにまかせるな!――新鋭の思想家・廣瀬純が選ぶ人文書フェア」

万国の「普通の人」たちよ、創造せよ! パワーポイントを駆使するプレゼン屋どもの時代は終わった。新鋭の思想家 廣瀬純が、哲学、文学、歴史、映画、音楽、料理など、さまざまな領域を横断して、生活のただなかに創造行為を取り入れる基礎体力アップのための、人文書を紹介します。廣瀬氏が選書のために書き下ろしたコメント付きのパンフレットを、フェア棚に常置。同時に、映画雑誌「nobody」のバックナンバーを、関西で初めて展示&販売いたします。さらに、「nobody」編集長の結城秀勇氏とのトークショーもあり! ご来店をお待ちしております。

廣瀬純(Hirose Jun):1971年生。龍谷大学経営学部教員。映画批評誌『VERTIGO』編集委員。著書――『美味しい料理の哲学』(2005年、河出書房新社)、『闘争の最小回路――南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(2006年、人文書院)、『闘争のアサンブレア』(コレクティボ・シトゥアシオネスとの共著、2009年、月曜社)、『シネキャピタル』(2009年、洛北出版)。訳書――パオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(2004年、月曜社)、トニ・ネグリ『芸術とマルチチュード』(2007年、共訳、月曜社)、同『未来派左翼』(2008年、NHK出版)など。

■選書フェア

期間:09年11月2日~12月末まで(営業時間:午前11時~午後8時)
場所:ジュンク堂書店京都BAL店 7F・人文書フェアコーナー

■廣瀬純×結城秀勇(「nobody」編集長)トークショー

日時:09年12月11日(金)午後6時開場、午後6時30分開演、午後7時30分終了予定
場所:モーリスカフェ(京都市中京区河原町通三条下る二丁目山崎町 京都BALビル 8F)
料金:600円(ワンドリンク付)
定員:約50名

※予約制(当日参加可)。ジュンク堂書店京都BAL店7Fカウンター&電話でも予約OK。電話075-253-6460
※できるだけ事前にご予約くださいませ。定員に達した場合、入場制限をさせていただく場合がございますので、あらかじめご了承ください。
[PR]

by urag | 2009-11-10 11:48 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 10日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

09年12月上旬
ヴィレッジヴァンガードゆめシティ:??坪
山口県下関市伊倉新町3-1-1 ゆめシティ 2F
12月3日にグランドオープン予定のショッピングセンター「ゆめシティ」内に開店。「ゆめシティ」の概要は「パート・アルバイト募集情報」で確認できます。「ゆめシティ」を運営するイズミ・グループ傘下には、「泉美術館」という財団法人があります。
[PR]

by urag | 2009-11-10 11:22 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 08日

森山写真集『にっぽん劇場』の書評が「読売新聞」に

森山大道写真集『にっぽん劇場1965-1970』『何かへの旅1971-1974』の書評が、「読売新聞」09年11月8日文化欄「よみうり堂・本」に掲載されました。「煎」氏の記名記事で、次のように評価してくださっています。「旧作の再刊が続いている〔中で〕、(中略)とりわけ意味のある2冊」。「次第にアレ・ブレ・ボケが激化する。ページをめくるごとに、えたいの知れないイメージが目を射抜く。有名な“三沢の犬”が71年、「アサヒカメラ」市場でいかに衝撃的だったかを追体験することもできよう」。「森山の軌跡とともに雑誌がはらんでいた熱気を伝える出版でもある」。「煎」さん、まことにありがとうございました。
[PR]

by urag | 2009-11-08 11:50 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 04日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

09年12月1日(火)
明屋書店MEGA大内店:500坪
山口県山口市大内御堀1168-1
関東在住の方にはなじみがやや薄いかもしれませんが、明屋(はるや、と読みます)は大分、福岡、愛媛、山口などでは有名な老舗書店チェーンです。今回はJR山口駅から車で5分の県道沿いに出店。昨今の業界では非常に多い「ショッピングセンター内への出店」ではなく(近隣には大型SC「ゆめタウン山口」あり)、郊外型の単立店舗で、文具売場20坪と、CD/DVDのレンタル&セル「HARUYA RECORDS」40坪を併設。山口県下では最大級の書店となります。山口県は、弊社書籍を定期的に扱っていただけるようなお付き合いのある書店さんがいない「ゼロ県」でしたので、今後じっくり関係を築けたらと切願しています。弊社が刊行しているような人文書や芸術書の売場が成長し、新刊や既刊を安定的に供給できるようになるためには、県下の皆さんのご愛顧が絶対的に必要です。なにとぞお引き立ていただきますよう、弊社からも伏してお願い申し上げます。
[PR]

by urag | 2009-11-04 18:15 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2009年 11月 02日

いわゆる「コルシカ騒動」

コルシカ」とは株式会社エニグモが09年10月7日にオープンさせた雑誌専門のオンラインストアで、「全ての雑誌をオンラインへ」という勇ましい標語の元に雑誌をデジタルデータ化し、個人が購入したアイテムを閲覧できたりスクラップしたりすることができるという、ユーザー目線で言えば「画期的な」サービスでした。しかし、出版社に無断でスキャンしていたため、オープン早々に業界から「版元へ事前に相談しないで何を勝手にやらかしてるわけ?」と非難され、あっという間にサービスを一部中断、一週間後には正式に全面中止を発表しました。報道によれば、エニグモ側は「購入したユーザーのスキャンを代行しているだけで、著作権法の私的利用の範囲内だ」と強弁していたそうですが、雑協(日本雑誌協会)から「エニグモは販売事業者である以上、当該複製行為が私的利用として権利制限の対象となることはありえない」とバッサリ切られました。

エニグモの共同代表である田中禎人さん(1974‐)は、氏のブログ「CO-COE BLOG」10月7日付のエントリー「コルシカ、オープン!」において次のように意気込みを書き込んでおられました。

「雑誌が「使い捨てメディア」になってしまっている。製本された雑誌という形に縛られている。そこを開放すれば雑誌の価値は今よりもっともっと高くなるはず。/自分が買った雑誌をオンラインでライブラリー化でき、それをいつでも読み返せることができたら、しかも気に入った記事をフォルダー分けしたり、昔買った雑誌の中身をキーワード検索できたら、雑誌は変わる。読者が、買った雑誌のコンテンツをもっと活用できるようにすれば雑誌の価値は確実に上がる。/そういう気持ちを込めて、本日「コルシカ」というサービスをオープンさせた。/雑誌市場、これから盛り上げます」。

製本形態からの解放という主張自体は私は共感できます(05年11月4日記事「書物の脱製本化をめぐって」)。昨今の雑誌業界の著しい凋落ぶりは誰の目にも明らかなので、こうした発想を実現したいという欲望もしくは大義には逆らえなかったのかもしれませんね。しかし雑協に指摘されるまでもなく、法律上問題があるとは気づいていなかったのでしょうか。雑誌は、記事や写真、タイアップ等々、著作権が書籍と比べてかなり入り組んでいます。雑誌がまさに「読み捨て」にされるメディアだからこそ誌面上では一時的に併存可能だったそれら諸々の権利を、単純に一括して扱えるわけがありません。無断スキャンをめぐっては、書籍業界の方でもGoogleブック検索に見られるように大いに問題化しているのが世間にもある程度知られているわけで、エニグモの法務担当なり顧問弁護士はいったい何をしていたんでしょうねえ。

あまりにも短期間に出来事が終息してしまっていたので、私はこの件をほぼ完璧にスルーしてしまっていましたが、コルシカ問題について業界でとあることが当然ながら話題になっていたことをたいへん遅まきながらつい最近知りました。つまり、エニグモはどこの取次から雑誌を仕入れていたのか、ということです。当該の某中堅取次は以前にも、某有名新古書店チェーンのオンラインストアに新刊を卸していることで、業界から冷たい視線を浴びましたが、今回も再び非難されたわけですね。「謝るくらいなら最初からやるな」「確信犯だ」という業界の失笑まじりの声があったようです。

コルシカは現在出直しを計っているようですが、立ち直れるのかどうか。弊社が発行元になっている一部の書籍にもありますが、「雑誌コードのない、ISBNのついた書籍形態の定期刊行物のうち、内容および体裁が大雑把にいえば雑誌風のもの」についても取り込んでいく考えがあるのかどうか。また、いわゆる非流通(インディ)系のミニコミはどうなのか。読者目線では素晴らしいサービスでも、法律に触れるならアウト、というケースの、近年の好例でした。ちなみにGoogleブック検索の一方的で強引な名ばかりの「和解案」は、米国では裁判所で破棄が先月確定しています(「新文化」09年10月15日付「グーグル問題、11月9日までに修正案/米地裁判事が提出命令」)。あたりまえだっちゅうの。しかしまだまだ予断は許されません。

関連記事

エニグモのプレスリリース09年10月7日付「オンライン雑誌販売/閲覧プラットフォーム『コルシカ(Corseka)』 サービスを開始致しました。
「CNET JAPAN」09年10月7日「雑誌販売サイト「コルシカ」開始――出版社からは「著作権の侵害」の声も
「新文化」09年10月8日付「雑協、エニグモ社に対しコルシカサービスの中止を要請
「新文化」09年10月9日付「エニグモの雑誌オンラインサービス、一部雑誌を販売中止
「INTERNET Watch」09年10月9日付「オンライン雑誌閲覧サイト「コルシカ」、一時サービス縮小へ――日本雑誌協会から中止要請「無許諾スキャンは違法」
「新文化」09年10月15日付「エニグモ、「コルシカ」のサービスを中止
「全国書店新聞」09年10月21日付「誌面複製は著作権侵害

***

「tx別館(本とネットの話限定)」09年10月7日付「スキャン+リアルの2つを販売するネット書店「コルシカ」に雑誌業界が「聞いてない」と大波乱
「知ったかぶり週報」09年10月8日付「Corseka(コルシカ)騒動、Kindle日本でも購入可・・・etc.
「REDPEN」09年10月9日付「エニグモの「コルシカ」は暴走?確信犯?
「ミシマ社のblog」09年10月12日付「出版社からアクションを。
「六本木で働いていた元社長のアメブロ」09年10月13日付「雑誌とネットと。エニグモのコルシカ問題に思うところ。
「ASCII.jp」09年10月20日付「津田大介が語る、「コルシカ騒動」の論点
[PR]

by urag | 2009-11-02 12:52 | 雑談 | Trackback | Comments(0)