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2009年 10月 31日

本日開催:でるべんの会10周年記念イベント

出版業界では有名な、若手陣による勉強会「でるべんの会」が10周年記念イベントを本日行うそうです。 私も以前、第23回勉強会(2008/1/18)「渋谷パルコブックセンター 90年代の現場から」という会に、梶村陽一さん(元A/Zブック&カフェ/元パルコ)、矢部潤子さん(リブロ池袋本店/元パルコブックセンター)とともに呼んでいただいたことがあります。興味のある方はどうぞ。

出版関係勉強会 でるべんの会 10周年記念イベントのご案内

1999年に開催された『第5回「本の学校」大山緑陰シンポジウム』で集まった若手出版人が「東京でも勉強会を開催しよう」と立ち上げた「出版関係勉強会 でるべんの会」は、不定期ながら30回以上の勉強会を開催し、今年の7月に晴れて創立10周年を迎えることができました。ここまで続けることができたのも、講師としてご登壇くださった皆様、並びに参加してくださった皆様のご支援の賜物と、幹事一同深く感謝を申し上げます。つきましては、今までの「でるべんの会」で取り上げてきた勉強会テーマを振り返るとともに、私どもを支えていただきました皆様への御礼を申し上げたく思い、僭越ながら「記念イベント」の開催をさせていただきたく思っております。本会では、今まで講師としてご登壇いただきました皆様を一人でも多くご招待させていただきますとともに、勉強会参加者の皆様とも少しでも多くの交流のお時間を持たせていただき、次なる活動への参考とさせていただきたく思います。当日は「神保町ブックフェスティバル」が開催されており、“本の街”がまさに活況を呈している日です。ぜひ皆様合わせて足をお運びいただければ幸いと存じます。

◆日時:2009年10月31日(土) 15:00~19:00
◆場所:神保町:日本教育会館 喜山倶楽部
   
◆タイムテーブル
  15:00~ 対談1「本の学校」が目指すもの(仮)
        永井伸和(今井書店代表取締役会長)
        星野渉(文化通信社取締役)
  16:00~ 対談2「でるべんの会」10年の歩みを振り返る(仮)
        松尾陽一郎(「でるべんの会」初代会長)
        梶原治樹(「でるべんの会」現会長)
  16:45~ 懇親会  

◆会費(予定) 
  対談のみ   1,500円
  対談+懇親会 6,000円
 
◆お申し込みに関して:応募フォームよりお申し込みください。上記のフォームが開けない方、あるいはその他のお問い合わせが有る方は、以下のメールにて承ります。deruben@excite.co.jp
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by urag | 2009-10-31 12:14 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 28日

廣瀬純レクチャー「マルチチュードとアート」@代官山AIT

◎廣瀬純(龍谷大学教員)レクチャー「マルチチュードとアート - 芸術のみが社会を変える

私たちの社会と芸術の関係について、革命と反革命の歴史を辿りながら考えます。かつて「日曜画家」という言葉がありました。月から土までは工場やオフィスで労働に専念し、日曜日にだけ好きな絵を描く。日曜画家たちの生活はふたつの「カンバス」からなっていたわけです。労働/搾取の場としての「工場」というカンバス、芸術/自由の場としての字義通りのカンバス。しかしいまでは、社会全体あるいは生活全体が「工場」となってしまっているために、日曜画家などもう存在し得ないといってもいいでしょう。私たち(マルチチュード)は、いっさい外部のない巨大な「工場」のなかで生きているとしたら、それでもなお私たちは芸術を生み出すことができるのでしょうか。アルフレッド・ヒッチコックや小津安二郎の映画作品をとおして、普通の人たちが今の社会を変えること、そして私たちが芸術を生み出すことを重ね合わせ、それらが可能になる時を探ります。

レクチャー1:万国の普通の鳥たちが団結するとはいかなることか。 
10月30日(金)19:00 -21:00
アルフレッド・ヒッチコック『鳥』を例に、万国の普通の鳥たちが団結することで「非凡な鳥」になるのはいかにしてかを考えます。「万国」すなわち世界中の鳥たちが一羽の例外もなく団結すること、そして、その鳥たちは、もとはどれもが「普通の」鳥たちであること、ヒッチコック作品が提起するのはこうした問題です。ふだんはおとなしい個が、連帯することで、はるかに力強いものへ立ち向かえるメカニズムを考えます。

レクチャー2:生産の組織化、革命の組織化、そして芸術。 
10月31日(土)13:00 - 14:30
「万国のプロレタリアよ、団結せよ」という呼びかけがマルクス+エンゲルスによって行なわれた1848年から、1917年のロシア革命、1968年の五月革命などを経て、今日に至るまでの革命と反革命の歴史を通観します。さらにまた、革命とそれに対する反革命という繰り返しのなかで、それぞれの時代にどのような芸術形態が対応しているのかを考えます。そしてそこから、ヒッチコックの『鳥』が、なぜ現代のインスタレーション・アートと厳密な意味で同時代の映画作品であり得るのかを考えます。

レクチャー3:凡庸であることが革命的なのはなぜか。 
10月31日(土)15:00 - 16:30
今日において、私たちが「何をなすべきか」を考えます。ここでは「答え」を出すことよりも「問い」を立てることが中心となるはずです。そのヒントとして、小津安二郎の『お早よう』を考えます。『お早よう』という作品は、万国の普通の人々が団結することで「凡庸な人」になる作品だと言えるかもしれません。そこでは、ヒッチコックの『鳥』に見る抵抗の形とは別様の抵抗のあり方が描き出されているといってもいいでしょう。50年前に製作された映画の、今日における革命的意義を考えます。

【廣瀬純プロフィール】1971年生まれ。1999年、パリ第3大学映画視聴覚研究科DEA課程修了。現在、龍谷大学経営学部専任講師、仏・映画批評誌「Vertigo」編集委員。著書に『美味しい料理の哲学』(河出書房新社、2005年)、『闘争のアサンブレア』(コレクティボ・シトゥアシオネスとの共著、月曜社)、『シネキャピタル』(洛北出版)がある。

日程:2009年10月30日[金]、31日[土] 2日間
時間:10月30日[金]19:00-21:00/10月31日[土]13:00-14:30/同15:00-16:30
場所:AITルーム(代官山)
定員:20名
費用:12,600円(税込)
受講資格: 特に無し

現代アートの学校MAD(Making Art Different=アートを変えよう、アートを違った角度で見てみよう)の集中講座は、表現の可能性を、現代アートや哲学・思想、歴史などを横断しながら、短期集中的に追求するものです。2009年度開講の全7回のうち、第4回目は、『闘争のアサンブレア』や『シネキャピタル』などの著作、またトニ・ネグリ(哲学者/政治活動家)著作の訳書で知られる若手の研究者、廣瀬純氏を招きます。この二日間では、アルフレッド・ヒッチコックや小津安二郎などの映画作品を参照に、「ふつうの人」が表現者となり、社会を変える可能性について芸術と革命の歴史をとおして考えます。通常、「ふつうの人」は、力をもった国や企業、人に支配されていますが、実はその力関係を覆す潜在力ももっています。「ふつうの人」の表現行為や活動が影響しあい、いきいきとした社会を取り戻すのはどのような時なのでしょうか。講師と自由に意見交換しながら、現代社会と芸術表現の関係性について考えを巡らせてみたい方は、是非ご参加ください!

***

AIT(エイト)について

AITは、東京を中心とした様々な場所に、現代の視覚芸術にアクセスするための「プラットフォーム」を創出していきます。「プラットフォーム」とは、AITが企画、実現していく様々なプログラムで、アートに興味のあるすべての人が立ち寄れる場です。

20世紀は、社会の急激な変化とともに、芸術表現が実に大きな変化を遂げた時代でした。人々の創造的な活動は、それまでのジャンルの壁を崩し、従来の制度を支えてきた美術館やギャラリーだけでは、けっして捉えきれない多様性を帯びてきていると言えます。

国境や高度資本主義の限界が明らかになった今日、芸術はけっして「混乱」や「終焉」を迎えているのではなく、情報テクノロジーや移動手段が発達した時代に対応していく新しいシステムを必要としています。そこで、私たちは、軽やかにフレキシブルに、個人や企業、財団、文化機関などと連携しながら、活動することを目指します。

【特定非営利活動法人 アーツイニシアティヴ トウキョウ [AIT / エイト] 】
住所:〒150-0033 東京都渋谷区猿楽町30-3 ツインビル代官山 A-502
※東急東横線 代官山駅より徒歩3分、JR/営団日比谷線 恵比寿駅西口より徒歩8分
電話:03-5489-7277
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by urag | 2009-10-28 21:11 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 27日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

09年10月27日(火)
BLIND BOOKS:6坪
東京都杉並区高円寺北2-7-13 高円寺銀座ビル2F左
某洋書店にお勤めだった方が始められたブックカフェです。アート系を重点的に取りそろえていらっしゃいます。今月9日にオープンされていましたが、厨房の改装工事を経て本日再度オープン。開店時間は15:00-24:00、年中ほぼ無休とのこと。弊社の絶版写真集が入荷する場合があるかもしれません。店外や店内風景などが紹介されている店長日記はこちらa0018105_14312675.jpg


09年11月20日(金)
ヴィレッジヴァンガード三軒茶屋:??坪
東京都世田谷区三軒茶屋1丁目34-12 1・2F
弊社本では主に森山大道さんの写真集などを扱っていただいています。弊社が今までお世話になってきたVV支店は以下の通りです。今後もっとお付き合いが増えるといいなと思います。

吉祥寺(武蔵野市)
オンザコーナー(武蔵野市、吉祥寺パルコ6F)
お茶の水(千代田区、ILUSAビルB1)
下北沢(世田谷区、マルシェ下北沢)
自由が丘(目黒区、自由が丘ミキオビルB1F)
高田馬場(新宿区、コーア諏訪ビルB1F)

エムズ(千葉市美浜区、幕張パティオス1番街)

PAPA(名古屋市名東区)
ビックカメラ(名古屋市中村区、ビックカメラ6F)

梅田ロフト(大阪市北区、梅田ロフト7F)
アメリカ村(大阪市中央区、レンタルマンション心斎橋M1F)
神戸ハーバーランド(神戸市中央区、神戸ハーバーランド情報文化ビルエコールマリン3F)

福岡大名(福岡市中央区、キララパーク1F)
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by urag | 2009-10-27 14:32 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 24日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

09年10月23日(金)
松丸本舗:65坪
東京都千代田区丸の内1-6-4 丸の内オアゾ 丸善丸の内本店 4F

昨日グランドオープンした松丸本舗は、松岡正剛氏選書による、丸善丸の内本店内のいわば「ショップ・イン・ショップ」。つくり込まれた本屋さんに出合うのはたいへん楽しいものです。什器も陳列方法も個性的で面白いと思います。私自身、松岡さんがプロデュースする本屋があったらいいなあと常々思っていたので、それが実現して、飛び上るほどうれしいです。

22日に開かれた記者会見で丸善社長の小城武彦さんが次のように発言されたと報道されています。「ネット時代にリアルの書店が何をすべきか、その1つの答えが松丸本舗。〔中略〕書店は本との邂逅の場。これまでの書店はその機能が大変弱かった。どこに行っても同じ本が同じように積んである。その理由をただ規模に求めていた。規模を否定するつもりはないが、我々ならではのお客さまに訴える価値が必要だった。本と驚きの出合いがある場をつくっていきたい。そういう特徴をもった書店にしたいというのが今回の取組みの狙い」(「新文化」09年10月23日付記事「丸善&松岡正剛氏のコラボショップ、グランドオープン」より)。

これを読むとところどころに共感と疑念が入り混じるのですが、丸善のブログで紹介されている記者会見記事では上記のようなニュアンスとはいささか意味内容が違う気がするんですよね。「松丸本舗というこれまでにない書店をショップ・イン・ショップの形で丸の内本店の4階にオープンする運びとなりました。/丸善は明治2年に創業し今年創業140周年を迎えます。明治2年から本にこだわってきた会社です。「日本に知をいかに鐙(とも)していくか」、こういったミッションを持った会社でした。太平洋戦争中は戦火の中、潜水艦に乗ってヨーロッパに洋書を買いに行っていた、そんな会社です。/ご承知の通り、本はインターネットを通じて買える時代が来ました。では、これからの時代に「リアルな場」としての書店はどうあるべきなのか、これをずっと考えてきました。その一つの答えが「松丸本舗」であります。我々の挑戦であります。世に問うものであります。/書店はこれまで、すこしさぼってきました。書店の本の陳列の方法は永く変わってきませんでした。本の形態であったり、出版社名であったり。外形表示にしたがって並べることをずっとやってきました。進化を怠ってきました。/今、出版業界は不振であると言われています。その一つの原因は書店にあると思っています。丸善は反省しています。なんとかしなければならない。ではどうやったらいいのかずっと考えてきました。/子どもの頃に本屋に行ったときのことを思い出します。その時に感じていたわくわくするような、どきどきするような、本はすばらしいなと思うような場所ができないだろうかとずっと考えてきて、松岡さんに出会い、丸善は140周年を機に日本のあるべき書店の姿を考えてみたい、力を貸して欲しいと松岡さんにお願いしました。/やっと今日今まで見たことのないような、「やっぱり本屋ってこういうもんじゃないか」というような新しい書店ができました。/本屋の原点を示しているつもりです。日本人がこれでもっと本を読み、本に触り、本と生きる国になればいいなと思っております。そういった想いを込めまして「松丸本舗」はチャレンジを始めていきます(以下略)」(「丸善インフォメーション」09年10月23日付「丸善×松岡正剛=松丸本舗 松岡正剛氏プロデュースの丸の内本店の中の書店、「松丸本舗」が丸の内本店4階にオープン!」より)。

私は記者会見を実際に聞いてはいませんから、何とも判断しかねるのですが、「新文化」紙の「要約」だけを読むと小城さんのコメントが若干薄っぺらいものに感じられてしまうので、あえて丸善サイドの情報も長々と併記する必要性を感じた次第です。

釈迦に説法になりますが、品揃えだけで集客できるわけではないというのが業界のこれまでの経験的法則ですから、松丸本舗は今後、売場に様々な付加価値をどんどんつけていってほしいと思います。現時点では、「杉浦康平氏が手掛けたエディトリアルデザインの数々を貴重本も含めて特別展示する」という「造本」コーナーや、松岡さん自身がピックアップした最新情報の掲示板「本相」コーナー、オリジナルグッズ販売の「本具」コーナーなどがありますが、さらにトークショーを含む様々な読者との交流イベントやら、店舗からの情報発信(メルマガとかフリーペーパーとか)やら、色んなノベルティやらも期待したいです。松岡さんサイドにはたくさんのアイデアとキーコンセプトがあるはずですが、どこまで丸善が許容して実行できるか。そこがポイントだと思います。当面は「本店で3年間継続」とのことですが、丸善の経営陣にはぜひ腹をくくってもらって、続けてほしいです。

ちなみに先日松岡さんは「千夜千冊 遊蕩篇」の1324夜でジョルジョ・アガンベンの『スタンツェ』を取り上げられ、弊社の『瀆神』もあわせて論じてくださっています。


09年11月中旬
ふたば書房大丸心斎橋店:280坪
大阪府大阪市中央区心斎橋筋1-8-3 大丸心斎橋店 北館12F
心斎橋界隈で弊社がお世話になってきたのは、アセンスさんやスタンダードブックストアさんといったアート系に強い本屋さんですが、ふたば書房さんでは人文書にも力を入れていただけるようなので、とてもありがたいです。
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by urag | 2009-10-24 18:42 | 販売情報 | Trackback | Comments(2)
2009年 10月 22日

廣瀬純レクチャー「革命の慎みについて」@ GRL Kyoto Base

弊社より共著『闘争のアサンブレア』や共訳『芸術とマルチチュード』を刊行している廣瀬純さんのトークイベントが以下の通り開催されます。皆様のご来場をお待ちしております。

***
アーティストユニットGraffiti Research Labを招き、12日間に渡ってGraffiti Research Lab Kyotoと題した一連のイベント(レクチャー、ワークショップ、公共空間でのパフォーマンス)が、GRL Kyoto Baseにて開催されます。メディアアート、アクティビズム、アーバニズム、フリーテクノロジーをまたいだ彼らの活動を紹介することで、都市空間における公共空間のあり方を問い、そこに住む人が主体的に都市を遊び、生きた空間/自分たちの空間として捉え直すことを目的としています。イベントの詳細はこちら

そのイベントの一環で、廣瀬純さんを講師に招き「革命の慎みについて」というレクチャーを実施します。山中貞雄とGRLの活動を結びつけたスリリングな内容になる予定ですので、多くの方にお越しいただけたら幸いです。

•[レクチャー] 革命の慎みについて by 廣瀬 純

1937年に28才の若さで戦病死した映画作家・山中貞雄が、今年、生誕100周年を迎える。22才からの6年間、全26本の監督作品において、山中は何をしたのか。映画に“慎ましさ”というその本性を取り戻させようとしたのだ。少しでも油断すればすぐにでも“厚かましさ”のほうへと引き寄せられてしまいがちな映画を、あくまでもその偉大なる“慎ましさ”のもとに引き止まらせ続けようとしたのだ。そして山中は次のことを直観していた。すなわち、革命は慎み深き振舞いであり、慎みはつねに革命的である、と。GRLの試みもまた、レーザーやLEDの仄光を“慎ましさ”というその本性に従わせること、そして“厚かましさ”の執拗な回帰からさらりと身をかわす術を体得することに存しているのではないか。

創造行為を始動させる問いは、いかにして厚かましく目立つかということにはない。我々はつねにすでに厚かましく、破廉恥な存在なのだ。創造とは、たんなる “普通のもの”たちの慎ましき囁きのなかに、おのれの声をそれとしては同定不可能となるに至るまでまぎれ込ませることにある。山中が映画を撮った1930年代も、GRLが光のグラフィティやタグを展開する今日も、世界が“厚かましさ”に覆い尽くされているという点において何ら変わりはない。どちらも“近代”という同じ時代に生きているのだ。だからこそおそらく両者は、70年の隔たりにもかかわらず、どちらも光という素材に固有の圧倒的な軽やかさのうちに慎み深き革命の条件を見出すことになるのだろう。

[日時] 09年11月11日 (水) 20:00~22:00
[場所] GRL Kyoto Base
[料金] 1,000円
※事前に予約のメールをいただければ、来場者数がわかるので助かります。
[問い合わせ] info(at)grlkyoto.net

〈プロフィール:廣瀬 純〉1971年、東京生まれ。1999年、パリ第3大学映画視聴覚研究科博士課程中退。現在、龍谷大学経営学部専任講師、仏・映画批評誌「Vertigo」編集委員。 著書に『美味しい料理の哲学』(河出書房新社、2005年)、『闘争の最小回路―南米の政治空間に学ぶ変革のレッスン』(人文書院、2006年)、『闘争のアサンブレア』(Colectivo Situacionesとの共著、月曜社、2009年)、『シネキャピタル』(洛北出版、2009年)など。訳書にパオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』(月曜社、2004年)、トニ・ネグリ『芸術とマルチチュード』(月曜社、2007年、共訳)など。

このレクチャーは、11月5日~11月16日まで「Graffiti Research Lab(グラフィティ・リサーチ・ラボ)」のEvan Roth(エヴァン・ロス)とJames Powderlyを招いて実施する、GRL Kyotoの関連イベントです。このワークショップの他にも、GRLが京都滞在中には、本家2人が開発したソフトウェアと、GRL Kyotoがカスタマイズした道具を動員した公共空間でのパフォーマンス、表現と公共空間、アクティビズムとアートの関係性を考えるレクチャー、喫茶や会話や議論や勉強や図書館や野菜販売でガヤガヤするBase(基地)の開放などなどなど…、盛りだくさんな12日間になるので、是非遊びにきてください。

GRL Kyoto 事務局
京都市中京区河原町三条恵比須町531-13 3F(RAD オフィス内)
TEL:075-241-9126 URL: www.grlkyoto.net
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by urag | 2009-10-22 23:15 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 19日

新規開店情報:月曜社の本を置いてくださる予定の本屋さん

これから開店する本屋さんで、弊社の本を扱ってくださる予定のお店を順次ご紹介しております。お近くにお越しの際はどうぞお立ち寄りください。

09年11月19日(木)
流水書房名古屋みなと店:図書263坪(レンタル+セル+その他=1188坪)
愛知県名古屋市港区一州町1‐3 カインズモール名古屋みなと 2F
大型複合店「BOOKOFF SUPER BAZAAR」(以下、BSBと略記)の核店舗として開店予定。1Fはカインズホーム。BSBは、新刊書店「流水書房」のほか、本とCDのリユース店舗「BOOKOFF」、親子向け室内遊戯施設「KID-O-KID」や、6つの専門店(衣料品・服飾雑貨/子供服・育児雑貨/スポーツ用品/プラモデル・トレーディングカード/貴金属/腕時計)から構成されるそうです。流水書房は現在、首都圏を中心に7店舗を展開、今回の名古屋みなと店は東海地区初出店。既存店:港区:青山店/広尾店/フジテレビ店、千代田区:パレスサイド店、川崎市:KSP店、市川市:妙典店、成田市:成田空港店。

***

当ブログではあまり取り上げていませんが、閉店するお店も当然ながら毎月あります。閉店を知るのは、たいてい電話やFAXが「現在使われておりません」となっているのに気づいてからが多いです。最近の例ですと、有隣堂たまプラーザ店(09年9月23日閉店)ですとか、ブックファースト吉祥寺店(09年9月30日閉店)ですとか、リブロ大森店(09年10月4日閉店)ですとか。いずれも立派な中堅店です。

ただ、有隣堂は新しい駅ビル「たまプラーザテラス」内に10月22日、「有隣堂たまプラーザテラス店」を開店する予定。売場面積は旧店舗は約3倍で、営業時間も延長するそうです。また、ブックファーストも、駅ビルが改築され次第、リニューアルオープンする(来春)と聞いています。
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by urag | 2009-10-19 21:58 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 18日

人文書在庫僅少本フェア第4弾:「朝日出版社」@紀伊國屋書店新宿本店

紀伊國屋書店新宿本店でこれまで連続して開催されてきた人文書在庫僅少本フェアの最新弾は「朝日出版社」在庫僅少本フェアです。これは連続イベント「今こそ! 人文書宣言」の一環として行われ、同時期には工作舎全点フェア(伝説の『全宇宙誌』を抽選販売!)と、紀伊國屋書店の名シリーズ「戦後日本スタディーズ」完結記念フェアも以下の通り並行して行われています。

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◆人文書在庫僅少本フェア第4弾:朝日出版社在庫僅少本フェア(「今こそ! 人文書宣言」第6弾)
日時:09年10月11日(日)~11月15日(日)
場所:紀伊國屋書店新宿本店5F人文書売場

2007年夏に開催して好評を博した朝日出版社在庫僅少本フェア。今回、人文書宣言企画に合わせ、計154冊の僅少本をお蔵だし頂きました。今度こそ「ラストチャンス」ですので、この機会、ぜひお見逃しなく!! ※好評につき、法政大学出版局在庫僅少本(第5弾)も引き続き取り扱い中です。
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■これまでの人文書宣言フェア

第5弾 人文書在庫僅少本フェア第3弾〈法政大学出版局〉
第5弾 晶文社創業50周年フェア
第4弾 人文書在庫僅少本フェア第2弾〈平凡社単行本/平凡社ライブラリー/中公新書/中公文庫ビブリオ/中公文庫限定復刻〉
第4弾 アーキテクチャ――来るべき“新しい”秩序とは?
第3弾 人文書在庫僅少本フェア第1弾〈岩波書店単行本/岩波文庫/講談社学術文庫/平凡社ライブラリー/中公文庫ビブリオ/中公文庫限定復刻〉
第2弾 思潮社現代詩手帖50周年記念フェア
第1弾 2009年みすず書房フェア(在庫僅少本を含む。現在も継続展開中)

***

工作舎全点フェア(「今こそ! 人文書宣言」第6弾)

日時:09年10月16日(金)~11月22日(日)
場所:紀伊國屋書店新宿本店5F人文書売場

1971年刊行の『遊 創刊号』から、今年度の日本翻訳出版文化賞を受賞したケプラー『宇宙の調和』まで、約350点を揃えた工作舎全点フェアを開催いたします。 中でも、松岡正剛×杉浦康平造本の幻の『全宇宙誌』、レオーニ『平行植物』、カラザース『記憶術と書物』など在庫僅少本100点は、保管在庫から出した文字通りの「蔵だし」! この規模では二度とできないフェアですので、ぜひお立ち寄りくださ い。

[抽選特別販売]フェアを記念して、今回特別に下記の商品をお蔵だしいただきました。抽選制につき、当選された方にご購入いただけます!! 抽選対象本は以下の通りです。

・全宇宙誌
・遊創刊号・2号・3号セット 2セット
・遊 野尻抱影&稲垣足穂追悼号
・遊1001 相似律

応募方法:
●紀伊國屋書店新宿本店フェアの他の書籍をお買上げいただき、フェア用帯の背の部分(僅少本/工作舎の本)を切り取って、ハガキに貼り、工作舎あてにご郵送ください。その際、ご希望の書籍/雑誌名を明記ください。何口でも応募可能。
●11月半ばのフェア終了後に工作舎にて厳正な抽選を行います。
●結果は当選者へお知らせのうえ、工作舎より代引き宅急便(送料200円)にて発送、もしくは紀伊國屋書店新宿本店5Fレジにてお買上げいただきます。
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***

◆「日本はどこへ向かうのか――いま、“戦後日本”を問い直す」(「今こそ! 人文書宣言」第6弾)

日時:09年10月16日(金)~11月15日(日)
場所:紀伊國屋書店新宿本店5階人文書売場A階段前フェア台

『戦後日本スタディーズ』完結を記念し、戦後日本の思想空間を問い直すための書籍総勢250点を取り揃えました。

関連イベント:岩崎稔×上野千鶴子×北田暁大×小森陽一×成田龍一「あったかもしれない日本――歴史の〈後知恵〉はどこまで有効か」(『戦後日本スタディーズ』(全3巻)完結記念トークセッション/第60回紀伊國屋サザンセミナー) 、09年11月7日(土)19:00開演(18:30開場)、新宿・紀伊國屋サザンシアター(紀伊國屋書店新宿南店7階)、 料金1,000円(全席指定、税込)。

関連サイト:「戦後日本」を問い直すための必読書リスト。『戦後日本スタディーズ』の編者、岩崎稔氏の選書およびコメント付。近日アップ。
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by urag | 2009-10-18 12:55 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 16日

トークセッション:大友良英「ENSEMBLES 08→09」@ジュンク堂新宿店

◎大友良英「ENSEMBLES 08→09」JUNKUトークセッション:大友良英「ENSEMBLES」 (月曜社)刊行記念

日時:2009年11月12日(木)18:30開演(18:00開場)
場所:ジュンク堂書店新宿店8階喫茶コーナー
料金:1,000円(1ドリンクつき)
定員:40名
受付:7Fカウンターにて。電話予約承ります。ジュンク堂書店新宿店 TEL03-5363-1300

内容:2008年、山口県のYCAMで行われた「ENSEMBLES」展。2009年、東京を中心に全国各地で開かれた「ENSEMBLES 09」展。音楽への新しいアプローチを追求し続けるミュージシャン、大友良英がアーティストたちとのコラボレーションから生み出そうとしているのはいったい何なのか。展覧会の発想から撤収までをまとめた新刊『ENSEMBLES』 (月曜社)刊行と4ヶ月に渡って繰り広げられた「ENSEMBLES 09」展終了を機に、著者が人と人のつながりから生まれる表現の展開と到達点について大いに語る!

講師紹介
大友良英/Otomo Yoshihide
1959年生まれ。音楽家/作曲家/プロデューサー。ONJO、Invisible Songs、幽閉者など、常に複数のバンドを率いて活動するかたわら、Filament、Joy Heightsなど多くのバンドに参加、カヒミ・カリィや浜田真理子などのプロデューサーも務める。また、田壮壮、相米慎二、安藤尋、足立正生といった国内外の映画監督の作品や、テレビドラマ、CFなど数多くの映像作品に音楽を提供している。近年は美術家とのコラボレーションも多く、2008年の山口情報芸術センター(YCAM)での大規模展示『ENSEMBLES』を成功させた翌09年には、東京を中心に展覧会とコンサートの複合企画「ENSEMBLES 2009」をゲリラ的に展開する。岩井主税監督によるドキュメンタリー『KIKOE』は、国外の映画祭で熱狂的に迎えられた。著書に『MUSICS』(岩波書店)、『大友良英のJAMJAM日記』(河出書房新社)。

http://d.hatena.ne.jp/otomojamjam/
http://www.japanimprov.com/yotomo/yotomoj/
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by urag | 2009-10-16 21:02 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 15日

森山大道トークショー@青山BC本店、09年11月1日

弊社新刊の森山大道写真集『にっぽん劇場 1965-1970』『何かへの旅 1971-1974』の刊行を記念して、青山ブックセンター本店にて以下の通り森山大道のトークショーが開催されます。トークショー終了後にサイン会も行います。サイン会対象書籍は『にっぽん劇場 1965-1970』/『何かへの旅 1971-1974』(月曜社)となります。皆様のご来場をお待ちしております。

森山大道トークショー(ゲスト:大竹昭子)

日時:2009年11月1日(日)13:00~15:00(開場12:30~)
会場:青山ブックセンター本店内・カルチャーサロン青山

定員:120名様
入場料:700円(税込)
参加方法:
 [1] ABCオンラインストアにてWEBチケット販売いたします。
 [2] 本店店頭にてチケット引換券を販売。
 (入場チケットは、イベント当日受付にてお渡しします。当日の入場は、先着順・自由席となります。)
 ※電話予約は行っておりません。

お問い合わせ電話:青山ブックセンター本店 03-5485-5511 (受付時間: 10:00~22:00)
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by urag | 2009-10-15 11:37 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2009年 10月 13日

注目新刊:09年9月~10月発売分・人文書

技術への問い
M・ハイデッガー(1889-1976):著 関口浩:訳
平凡社 09年9月 本体2,800円 ISBN978-4-582-70228-6
■帯文より:現代技術の本質は集-立〔ゲシュテル〕にある!! 人間を閉じ込めるこの命運からの脱却は可能か?
●『芸術作品の根源』(平凡社、02年5月/平凡社ライブラリー、08年7月)に続く関口訳ハイデガー第二弾です。目次はbk1に詳細あり。本書は、技術論をテーマに5論考を収めていますが、54年にドイツで刊行された『講演と論文』から3作(53年「技術への問い」、53年「科学と省察」、36-46年「形而上学の超克」)を収め、さらに62年口述/89年刊行の「伝承された言語と技術的な言語」と、67年口述/83年刊行の「芸術の由来と思索の使命」を併録しています。
●「技術への問い」は、理想社版『ハイデッガー選集(18)技術論』(小島威彦ほか訳、65年9月)にも既訳があります。理想社版『技術論』は、62年に刊行された講演集『技術と転向』の全訳で、「技術への問い」と「転向」の2編とそれに先立つ「まえがき」を収録。さらに「日本の友に」と題された序文も添えられています。
●「集-立〔Gestell〕」という概念については、1949年の連続講演「有るといえるものへの観入」第2部(『ハイデッガー全集(79)ブレーメン講演とフライブルク講演』森一郎ほか訳、創文社、03年2月)もご参照ください。この訳書では「総かり立て体制」と訳されています。

精神分析講義――精神分析と人文諸科学について
ルイ・アルチュセール(1918-1990):著 オリヴィエ・コルペ+フランソワ・マトゥロン:編 信友建志+伊吹浩一:訳
作品社 09年9月 本体2,600円 ISBN978-4-86182-201-8
■帯文より:すべてはラカンとの出会いから始まった。当時学生だったフーコー、ブルデュー、デリダ、ドゥルーズを聞き手とし、精神分析を哲学の「問題」として問い、“思想”にまで昇華した記念碑的業績。「現代思想」誕生の息吹を伝える幻の講義録(1963-64年)本邦初訳!
●原書は96年刊。「人文諸科学における精神分析の場」と「精神分析と心理学」の2回の講義から成ります。信友さんによる訳者解説「欲望の空虚と痕跡――立ち止まるアルチュセール」のほか、宇波彰さんによる長編解説「アルチュセールのために」も併録されています。
●アルチュセール自身の関連論文をまとめた『フロイトとラカン――精神分析論集』(石田靖夫ほか訳、人文書院、01年5月)との併読をお薦めします。

ホワッチャドゥーイン、マーシャル・マクルーハン?――感性論的メディア論
門林岳史(1974-):著
NTT出版 09年9月 3,200円 ISBN978-4-7571-0265-1
■帯文より:メディア論・現代思想を更新する衝撃のデビュー作! 決定的なマクルーハンの真実が今、明かされる。
●博士論文に加筆。田中純さんから「マクルーハンを徹底解剖する精緻きわまりない読解がメディア論の「根源」を照射する」と絶賛され、水越伸さんからも「ついに亡霊マクルーハンの召還に成功! 数々のプローブをめぐる魔術的探求の成果」との賛辞を送られています。目次はbk1に詳細あり。

万物の歴史〔新装版〕ケン・ウィルバー(1949-):著 大野純一:訳
春秋社 09年9月 本体4,000円 ISBN978-4-393-36054-5
■帯文より:〈個人/集団〉の〈内面/外面〉という四象限の区別を用いて、人類を含む万物の歩みをたどり、これから人類が進むべき道筋を示すウィルバーの名著、待望の復刊!
●原書は96年刊、日本語訳初版刊行は96年12月です。ウィルバーの主著と言っていいであろう『進化の構造』(全2巻、松永太郎訳、春秋社、98年5-6月)の要約版で、対話形式で書かれています。春秋社さんから刊行されているウィルバーの既訳書には、先述の『進化の構造』のほか、『意識のスペクトル』(全2巻、吉福伸逸ほか訳、85年)、『アートマン・プロジェクト――精神発達のトランスパーソナル理論』(吉福伸逸ほか訳、86年/新装版97年)、『グレース&グリット――愛と魂の軌跡』(全2巻、伊東宏太郎訳、99年)、『科学と宗教の統合』(吉田豊訳、00年)、『統合心理学への道――「知」の眼から「観想」の眼へ』(松永太郎訳、04年)、『存在することのシンプルな感覚』(松永太郎訳、05年)、『インテグラル・スピリチュアリティ』(松永太郎訳、08年)がありますが、最後の2点を除いてすべて品切。順次復刊されていくといいですね。
●ウィルバー初心者の方に個人的にお薦めしたいのは、『無境界――自己成長のセラピー論』(吉福伸逸訳、平河出版社、86年6月)です。日本は当時「ニューエイジ・サイエンス」ブームのただなか(それは「ニューアカ」ブームと同時代なのです)にあって、C+Fコミュニケーションズ編著『パラダイム・ブック――新しい世界観、新時代のコンセプトを求めて』(日本実業出版社、86年3月)や、里深文彦編著『ニューサイエンス入門――現代科学のキーワード』(洋泉社、86年6月)といった非「理系人間」にも親切なガイドブックが売れていました。文系における「ニューアカデミズム」ブームと同様に、既成の学問体系を解体して大胆に軽やかに乗り越える、という時代の知のニーズに適っていたのではないかと思います。もはやそういう時代は去った、と言い捨てるのは簡単ですが、ウィルバーのように時代の変化の荒波に適応しつつも抗いつつ今なお活動を続けている人物だっているわけで、単純な回顧話に終わるものではないと思うのです。不況であればあるほど活性化する、亜流のスクラップ&ビルドであふれかえった遠浅のビジネス系自己啓発本ブームに比べるなら、私は80年代の「ニューサイエンス」本のほうが見るべき議論は多いし、当時刊行され、今なお重版され続けている書目を再読するほうがマシだと思っています。などと書いていたら、野村総合研究所の此本臣吾さんという方が5年前に「ニューサイエンスが意味するもの」というコラムの末尾に「20年前にニューサイエンスで議論されていたことは、今なお新鮮さを失ってはいない」とあるのを発見して、共感を覚えたのでした。ちなみに90年代以降(特にゼロ年代の十年間)に「ニューエイジ」を自称する部類の商売本については、どちらかと言えば警戒心をもって接したほうがいいと思っています。

精神の自由ということ――神なき時代の哲学
アンドレ・コント=スポンヴィル(1952-):著 小須田健+C・カンタン:訳
紀伊國屋書店 09年10月 本体2,000円 ISBN978-4-314-01058-0
■帯文より:「文明の衝突」と「宗教の回帰」の時代に、なにを信じて、生きればいいのか。人びとが人生の意味を求めてさまざまに彷徨する現代。〈宗教〉に倚ることなく、いかにして誠実に、そして自由に生きることが可能か――自ら無神論者であることを選んだフランス哲学の旗手が問いかける。
●原著『無神論の精神――神なき精神性へ向けて』は06年刊。まず最初に気をつけなければいけないのは、本書で言う「宗教」や「神」というのは一般的な日本人がぼんやりと思い浮かべる際の日本特有のイメージのものとは違うということです。本書で言うそれらは第一義的にはキリスト教のそれです。コント=スポンヴィルの言う「無神論」は日本人の言う「無宗教」とは違います。そんなわけで、本書は無宗教の日本人が「宗教なんてインチキだ」と溜飲を下げるための本ではないし、信仰を持っている日本人が「無神論とはけしからん」と怒りながら素通りすればいい本でもないです。ではどんな本なのか。その答えは本書のキーワード「精神性〔スピリチュアリテ〕」にあります。
●「訳者あとがき」にはこう書かれています。「私たちは、宗教および信仰というものとのつきあいかたをじっくり考えなおさなければならない時代に突入しているということだ。自分は無宗教だからという口実をもちだして、思考停止に陥ることはもはや許されない。スピリチュアリティとは、だから信仰の脇に置かれた口直しの添え物などではない。それは、二一世紀における私たちの宗教とのかかわりかたを根本から考えなおすためのまたとない視角なのだ」(288頁)。「ぜひみなさんには本書を手にとってゆっくり味読してもらいたい。抹香臭い宗教臭などとは無縁な、すがすがしい一陣の風が部屋のなかを駆け抜けてゆくのが感じられることだろう」(291頁)。
●スピリチュアリティというカタカナ語はこんにちではずいぶんと手あかにまみれた言葉になってしまいましたが、現代人が黙過すべきではないその「深さ」について、本書は肩ひじ張らず素朴に語っています。精神性でも霊性でもタマシイでも何とでも言い換えていいのです。「スピリチュアリティ」という言葉のうんざりするほどの通俗性にもかかわらず、私はそこから大事な何ものかを今なお聞き取っています。

近代政治の脱構築――共同体・免疫・生政治
ロベルト・エスポジト(1950-):著 岡田温司:訳
講談社選書メチエ 09年10月 本体1,800円 ISBN978-4-06-258451-7
■帯文より:政治哲学の可能性をきりひらく! イタリア現代思想の旗手・エスポジトの思考とは。
●先日書いた通り、本書は昨年刊行されたTermini della politica. Comunità, immunità, biopoliticaの翻訳であることを確認しました。冒頭には訳者の岡田さんによる懇切丁寧な序文「ナポリ発、全人類へ――ロベルト・エスポジトの思想圏」が併載されており、原著にあったティモシー・キャンベルの序論は省かれています。「訳者あとがき」によれば、講談社選書メチエでは、エスポジトの『三人称――生の政治と非人称の哲学』(エイナウディ、07年)も刊行する予定だそうで、うれしい限りです。

Commonwealth
Michael Hardt & Antonio Negri, Belknap Press, 2009, ISBN978-0-674-03511-9
●ついに先月、ハート&ネグリの「帝国」三部作の第三部が刊行されました。第一部『帝国』(00年/日本語訳03年)と同じ、ハーヴァード大学出版(正確にはその一部門のベルクナップ出版)からの上梓です。第二部『マルチチュード』(04年/日本語訳05年)がペンギンから出された時には、今後はどんどん大手出版社に持って行かれちゃうのかなと危惧しましたが、元のさやに戻って少しほっとしています(ハーヴァードだって実際はずいぶんと権威的な版元ですけれども)。
●Commonwealthはどう訳すのが適当でしょうか。共和国、連邦、連合体、民主国家……。日本語の来歴に因る印象を考慮すると、後半の訳語のほうが「クニ」臭くなくていいような気もしますが。common wealthという風に分割して書かれている個所もあるので、「共有財産としての民主的連合共同体」といったところが私のイメージです。
●目次についてはハーヴァード大学出版のウェブサイトに詳細が載っています。本文は冒頭16頁まで同大学出版のサイトで読めますし、Googleブックスではさらに色んな頁を読むことができます。
●カバーにはナオミ・クラインとフレドリック・ジェイムソンの推薦文が寄せられています。はっきり言って、かなりの絶賛調に響きます。こんな感じ。

Everyone seems to agree that our economic system is broken, yet the debate about alternatives remains oppressively narrow. Hardt and Negri explode this claustrophobic debate, taking readers to the deepest roots of our current crises and proposing radical, and deeply human, solutions. There has never been a better time
for this book. — Naomi Klein

Commonwealth, last and richest of the Empire trilogy, is a powerful and ambitious reappropriation of the whole tradition of political theory for the Left. Clarifying Foucault's ambiguous notion of biopower, deepening the authors' own proposal for the notion of multitude, it offers an exhilarating summa of the forms and possibilities of resistance today. It is a politically as well as an intellectually invigorating achievement. — Fredric Jameson

●きっと日本語でも数年以内に読めるようになるでしょうが、本書の末尾(Instituting Happiness)は特に感動的だと思います。そこには長く続く不幸の時代、不正との終わりのない戦いの中にも絶えることのなかった笑いと歓びの力が描かれています。それは絶望をことごとく破壊する希望の力であり、あきらめない力です。彼らは冷笑家ではありません。彼らの笑顔はどこまでも快活で軽やかで力強く、人々を勇気づけようとします。引用したいところですが、今は時間が足りません。
●本書の「謝辞」に名前が出ている人々の中には、上記のクラインやジェイムソンのほか、日本で知られている人物では、クリスチャン・マラッツィ(『現代経済の大転換』青土社、09年3月)の名前が挙がっていました。ネグリの伴侶ジュディット・ルヴェルや、ハートの伴侶キャシー・ウィークスの名前も見えます。そして、唯一の日本人では、デューク大学の依田富子さんの名前がありました。『テクストへの性愛術』(高木信+安藤徹編、森話社、00年4月)に「性差・文字・国家」という論考を寄せておられる方がご当人だと思います。

***

最後に、人文書に分類するかどうかはわからないのですが、東洋書林の『世界の中の日本がわかるグローバル統計地図』(ドーリング+ニューマン+バーフォード著、猪口孝監修、09年10月)について特筆しておきたいと思います。これは、各種統計データを実際の土地の大きさに見立てて、世界地図を変形したもので、データの種類は実に366項目に上ります。冒頭の「陸地国土面積」データに基づく地図は、ふだん見ている通りの世界地図ですが、次の「総人口」を基にした世界地図ではいきなり日本が大きくなります。統計データごとに世界地図はみるみるいびつになり、輸入や輸出の統計データに基づく世界地図では時として日本はバカデカイ国になります。世界の不均衡がだれの目にも明らかになる、素晴らしく啓発的な本です。

インターネット全盛時代のこんにちでも、こうした統計資料本はどんなにかさばっても紙媒体のほうが私には扱いやすいです。たとえば今年刊行された書目の中では平凡社の『新訂版 昭和・平成史年表』や、『百貨便覧 五訂版』などは、視覚的にも工夫されており、パソコンのディスプレイで見るよりまだまだ閲覧しやすいです。こうした貴重な統計本が紙媒体から電子媒体にスイッチされたら、検索性においては多少便利かもしれませんが、頭と一緒に手を使いたい私にはやりきれません。

そんな素晴らしい本を出している東洋書林と平凡社の新刊で、くつろぎのひと時を与えてくれるのは、『パリ 地下都市の歴史』(リアー+ファイ著、古川まり訳、東洋書林、09年9月)と、『子不語(2)』(袁枚著、手代木公助訳、東洋文庫:平凡社、09年10月)です。前者は大都市足下の900年史(採石場、カタコンブ、下水道、地下鉄など)、後者は18世紀の怪談集で、どちらも「怖い」本なのですが、疲れた脳みその縮こまった想像力をほぐしてくれます。
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by urag | 2009-10-13 01:35 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(2)