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2008年 02月 27日

注目新刊:パオロ・ヴィルノ(人文書院)、大谷能生(以文社)

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ポスト・フォーディズムの資本主義――社会科学と「ヒューマン・ネイチャー」
パオロ・ヴィルノ(1952-):著 柱本元彦(1961-):訳
人文書院 08年2月 2,625円 46判並製カバー装250頁 ISBN978-4-409-03075-2

帯文より:現代の労働において、人間はフレキシブルな奴隷に過ぎないのか? 人間的能力のすべてを労働へと動員し、その生物としての存在を剥き出しにするポストフォーディズム。フーコーとチョムスキーの討論を手がかりに、根底から変化する社会と人間の関係から現代資本主義の本質を分析する、『マルチチュードの文法』に続く講義形式の入門書。本書刊行後に書かれた論文2本を付す。

原書:"Scienze sociali e 'natura umana'",Rubbettino, 2002.

ヴィルノ待望の日本語訳第二弾です。今週末くらいから書店店頭発売と聞いています。弊社刊行の『マルチチュードの文法』はいま、ネグリ来日記念フェアであちこちの大型書店さんの店頭に並んでいるはずですが、この本もお奨めします。ヴィルノは世代的には、ネグリ(1933-)がパドヴァ大学で教鞭を執っていたころはまだ若い学生でしたが、ネグリと共に活動し、投獄されたこともありました。思想的ポジションは、パリで活躍するマウリツィオ・ラッツァラート(ラザラート)とともに、ポスト・ネグリ世代の政治哲学を代表する一人と言えるでしょうか。ネグリと同様、アガンベン(1942-)には批判的な立場をとっています。

ちなみに追加された二つのテクストとは、2004年の「鏡ニューロン、言語的否定、相互認知」と、2005年の「いわゆる「悪」と国家批判」です。「訳者あとがき」では、本編と2本の論考について次のように整理されています。

「これら三つの論はいずれも『マルチチュードの文法』の射程内にあり、ひとつの思想がいわば「外」と「内」に向かっていくような、ある意味で補完的な関係にあると言えなくもない。すなわち、『マルチチュードの文法』が実践に向けて放たれた言葉であるのに対して、『ポストフォーディズムの資本主義』は、より理論的な基盤を確認するところに重点をおく。そして「鏡ニューロン、言語否定、相互認知」がマルチチュードの根底=人間的自然の理論をさらに掘り下げる一方、「いわゆる「悪」と国家批判」は、マルチチュードの実践論につながっているのである」。

ネグリと異なるヴィルノ特有の思考を測るには、本書の参考文献を一瞥してみると一番いいかもしれません。「言語」をめぐる様々な本が参照されていることに気づかれることと思います。

***

大谷能生のフランス革命
大谷能生(1972-)+門松宏明(1975-):著
以文社 2,310円 B5変形判並製カバー装296頁 ISBN978-4-7531-0258-7

菊地成孔氏推薦――「まだ読んでないけど、凄いに決まってる。」

3月7日ごろから店頭発売開始と聞いています。内容は、05年7月から06年7月まで渋谷のUPLINK FACTORYにて合計11組の先端的表現者たちをゲストに行ったマンスリー・イベントの全編を、豊富なテキストとヴィジュアルで徹底的に再構築したもの、そうです。門松さんによるドキュメント日誌が併録されています。

ゲストは以下の通り(略敬称):冨永昌敬、ばるぼら、岡田利規、岸野雄一、志人、宇波拓、RIOW ARAI、西島大介、小川てつオ+狩生健志+(音がバンド名)、杉田俊介、堀江敏幸。イベント終了後に、「後書き的対談」として行われた、佐々木敦さんとのダイアローグが収録されています。

デザイン的にもすぐれた本で、門松さんのテクストの組み方は、細かい文字で一行がやたらと長い、読み手を挑発するレイアウトになっています。かっこいいですね。各対談は、写真や注釈が多数ついていて、イベントに擬似的に参加しているような気分を味わえます。弊社から刊行した大谷さんの第一評論集『貧しい音楽』は売行好調ですが、この新刊もきっと好評を得るに違いありません。大谷さんと菊地さんの共著が遠からず某社から刊行されるとも耳にしています。

ところで何で、何が「フランス革命」なんでしょうか。不思議に思っていましたが、「由来」は序文に書いてありました。なんてこった、そういうことだったのか! 引用したいところですが、それではネタバレになってしまうので、どうぞ皆さんご自身でお確かめになってください。

***
InterCommunication no.64 音楽/メディア――ポストCD時代のMAKING MUSIC
NTT出版 08年2月(発行は4月づけ) 1,400円

【対談】:渋谷慶一郎+佐々木敦「ゼロ年代の「音響」と「音楽」をめぐって」、高橋悠治+渡辺裕「世界音楽と反システム音楽」
【テクノロジーへの視点】:高橋健太郎「検索」「制作ソフトウェア」、津田大介「携帯オーディオ」「SNS」、小野島大「音楽再生」
【テキスト】:佐々木敦「MAXIMAL MUSIC(承前)」、津田大介「未来の音楽ビジネス」、鈴木謙介「同期するメッセージ、空虚への呼びかけ」、増田聡「「作曲の時代」と初音ミク」、久保田晃弘「生成技術時代の音楽作品――プログラミング言語から計算する宇宙へ」、清水穣「セリー、フォルメル、メディア――シュトックハウゼンの《ヘルコプター弦楽四重奏曲》」、ペーター・サンディ+廣瀬純「ハイウェイ・ディアフォニック――ペーター・サンディは何を聴くのか?」
【アーカイヴ】:薮崎今日子「エレクトロニック・ミュージック・レーベル・ガイド――「音響」はどこに存在しているか」、ばるぼら「年表・21世紀の音楽/メディア史――1995-2008」

上記大谷本でも登場した佐々木さんやばるぼらさん、また、ヴィルノ『マルチチュードの文法』の訳者である廣瀬純さんが寄稿されています。廣瀬さんとのメールのやりとりが今回公開されたペーター・サンディ(1967-)はフランスの音楽学者。著書に『ムジカ・プラクティカ――アレンジとフォノグラフィ、モンテヴェルディからジェームズ・ブラウンへ』(1997年)、『聴取――ぼくたちの耳の歴史』(ジャン=リュック・ナンシー序文、2001年)、『ワンダーランド――音楽、表裏』(ジョルジュ・アペルギスとの共著、2004年)、『リヴァイアサン=テクストの預言――メルヴィルにそって読むこと』(ジョルジュ・アペルギス序文、2004年)などがあり、『聴取』は廣瀬さんの訳でインスクリプトより刊行予定だそうです。待ち遠しいですね。なお、アペルギス(1945-)はギリシア出身のフランスの作曲家で、日本でも知られています。
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by urag | 2008-02-27 23:02 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(0)
2008年 02月 26日

ブックフェア「わたしたちの社会に正義はあるのか?」@紀伊國屋書店新宿本店

a0018105_16311861.jpg紀伊國屋書店新宿本店5Fの階段脇催事棚で今月初旬から展開されているブックフェア「わたしたちの社会に正義はあるのか?」(写真)をご覧になりましたか。いよいよ今週金曜日29日までです。現在もっとも注目されているテーマ「正義論」をめぐり、欧米の重要思想家たちを総覧できるフェアになっています。弊社の本も数々扱っていただいています。出品されている書籍の一部はブックリストからご購入になれます。このフェアが成功裏に終われば、やがて哲学思想コーナーで常設化されるかもしれません。多くのお客様にぜひご高覧いただけたらと思います。

■人文書売場スタッフによる企画趣旨紹介:

この社会には果たして「妥当な仕組み」など存在し得るのだろうか?

税と再分配、最低限所得の保証、小さな政府と大きな政府、機会の平等と結果の平等、法について、民主主義について、国家について等々、数多くの議論がなされてきましたが、いまだどの制度が最善なのか決着はついていません。

グローバル化の進展とともに見え始めてきた近代システムのほつれに対し、人文・社会科学の諸分野から、正義あるいは公正さを問い直す議論が高まって来ています。

通常は各分野の書棚に分散しているこれらの著作を、古典から最新の議論まで、各棚担当が持寄り、全260タイトルを一堂に展示しております。
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by urag | 2008-02-26 16:34 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 25日

『幼なじみのバッキー』好評です

幼なじみのバッキー』が好評です。2月24日付「東奥日報」で紹介記事が掲載され、「千葉日報」にも紹介記事が掲載される(あるいはもう「された」?)と聞いています。また、近々、「週刊朝日」や「週刊女性」に書評が掲載されるとも聞いています。

紀伊國屋書店新宿本店さんで販売していただいていたサイン本は完売したため、追加発注が入っています。新人にしては異例の売れ行きだそうで、嬉しい限りです。

原画展が、4月14日(月)~19日(土)、15:00~20:00に、ギャラリー銀座芸術研究所で開催予定です。

出版記念パーティは一週間後の月曜日と迫りました。以下、ご案内文です。

謹啓

 時下益々ご清祥のこととお慶び申し上げます。
 このたび、月曜社から2007年の岡本太郎現代芸術賞入選作「幼なじみのバッキー」を出版することとなり、それに伴い出版記念パーティーを開催するはこびとなりました。
 パーティー会場は、出版界では話題のバー「猫目」。
 会場には、幼なじみのバッキー原画を飾っております。
是非お友達をお誘い合わせの上、ご参加いただけますようによろしくお願いいたします。

敬具

2008年2月            

【出版パーティ呼び掛け人の方々(50音順 敬称略)】

大杉浩司(学芸員 川崎市民ミュージアム) 
神楽坂恵(女優 トウキョウ・守護天使など) 
黄金咲ちひろ (開運系マルチタレント)
辛酸なめ子 (漫画家・コラムニスト)
南部虎弾 (電撃ネットワーク)
早野透 (朝日新聞編集委員)
村田真 (美術ジャーナリスト)
山下裕二 (美術評論家 明治学院大学)
山中崇 (俳優 松ヶ根乱射事件、電車男など)

以上

有限会社 月曜社         
増山麗奈              
澤田サンダー           


日時/2008年3月3日(月曜日)
場所/猫目
新宿区新宿5-12-1 氷業ビル B1F TEL03-3350-4304
JR新宿駅から徒歩7分 丸ノ内線新宿三丁目駅から徒歩2分
開催時間/午後7時から11時まで
会費/本代込み 4000円 パーティー代のみ(飲み放題+軽食) 3000円
(お持ち込み大歓迎です!)
以上
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by urag | 2008-02-25 12:16 | 広告・書評 | Trackback | Comments(3)
2008年 02月 24日

CAMP TALK: ぼくたちと本とが変わるときの話

MOT(Musium Of Travel)という、現代美術関連のイベントを中心に企画してきた非営利の団体が企画する「CAMP」というトークショーのシリーズ(10日間×3会期)で、本の未来に関する連続トークショーが、ブックコーディネーターの内沼晋太郎さんをホストにして行われます。その第一回のゲストに私めをご指名いただきました。CAMPに参加される皆さんはなんか若いんですよ、とても。ひょっとするとゲストの中で私が最年長です。びっくりです。ご都合がよろしければぜひご来場下さい。

****
【CAMP TALK: 0305】
ぼくたちと本とが変わるときの話 第1回

内沼晋太郎(ブック・コーディネイター、クリエイティヴ・ディレクター/numabooks 代表/book pick orchestra 発起人)
第1回ゲスト:小林浩(月曜社取締役)

■本は、いつか本当になくなってしまうのか?
■ぼくは、決してなくなりはしないけれど、既に変わりはじめているし、きっともっと変わっていくと思っています。
■「ぼくたちと本とが変わるときの話」は、本を中心に、広くメディアとコンテンツが変わっていく様について、毎回ジャンルの異なるゲストを招いて話をするシリーズです。
■今回は月曜社取締役の小林浩さんをゲストに迎え、本の未来について、あれこれ話したいと思っています。

日時:2008年3月5日(水)20:00~22:00
定員:30人(予約制) 参加費:1,000円(1ドリンク付)
場所:Otto Mainzheim Gallery(中央区八丁堀)

予約方法:メールのタイトルを「キャンプ予約」とし、イベント名/氏名/メールアドレス/参加人数を明記したメールを下記のアドレスまでお送りください。24時間以内にこちらから予約確認のメールをお送りいたします。予約をキャンセルされる場合は事前にご連絡をいただると助かります。
museumoftravel(at)gmail.com ※「(at)」を「@」に変更してください。

【 例 】
●3月1日のイベントを予約する場合
<メールのタイトル>
キャンプ予約
<メールの本文>
イベント名:TALK: 0301
氏名:◯◯◯◯
メールアドレス:◯◯◯◯@◯◯.◯◯
参加人数:◯名

イベント「CAMP」について:今、私たちがいる東京には多様な人がいる。さまざまな分野の新しい表現や試みも少なくないはずだ。しかし、そのことについて(分野を越えて)議論する場はあまり多くない(もっとあってもいいと思う)。私たちは、話し合い(議論の衝突や話が通じないことも含めて)ながら、考えることをやめないことは重要だと考える。新しい表現や試みについて話し合う場をつくり、私たちがいる東京をもっと面白くしたい。

【 イベント概要 】
名称|CAMP
日程|2008年02月28日(木)~03月08日(土)10日間
   2008年03月27日(木)~04月05日(土)10日間
   2008年04月24日(木)~05月03日(土)10日間
   以降、現在未定
時間|12:00~23:00
   ※02/28、03/27、04/24は17:00~23:00
   ※03/08、04/05、05/03は12:00~29:00
会場|Otto Mainzheim Gallery(東京都中央区八丁堀3-11-9-B1)
主催|MUSEUM OF TRAVEL

●「CAMP」はトークイベントが中心のイベントです。●さまざまな分野(アート、建築、音楽、マンガ、アニメ、写真、映画、デザイン、ファッション、食など)のトークイベントを開催する予定です。●トークイベントの多くは予約制です。●トークイベントで議論された内容は「コピーフリーペーパー」として発行(1部)し、会場に置いておきます。●「コピーフリーペーパー」は会場近くのコンビニなどで自由にコピーできます。●トークイベント以外にも展示(2/28から3/8までは「Cleaner's high #1」展を開催します)やパーティ(3/8の19時から朝の5時までやっています)やバー(3/1から3/7はトークイベントに参加した方のみですが、2/29はどなたでも参加できます)などがあります。●お昼は基本的には出入り自由です。●打ち合わせでの使用も歓迎です。●本や雑誌を読んでいてもかまいません。●弁当やお菓子を食べても問題ありません。ご近所のみなさま、お昼休みにいかがですか。●飲み物の持ち込みもOKです。●イベントや展覧会などのチラシを置きたい方はご自由にどうぞ。●タバコを吸っても大丈夫です。●生ビールが300円で飲めます! ●面白そうなトークイベントのゲストやテーマなどを紹介してください。●ご意見、ご感想、面白いアイデアなどは大歓迎です(会場で直接でも、メールでも)。●ご協力いただける方を広く募集しています! ●お会いできることを楽しみにしています。

【 お問い合わせ先 】
museumoftravel(at)gmail.com
※「(at)」を「@」に変更してください。

【 企画・運営スタッフ 】
●井上文雄(MOT)●岡田潤子(MOT)●長内綾子(Survivart)
●鈴木佑也(MOT/TAB)●中村由佳(MOT)●中山博美(MOT/CINRA)
●藤本愛 ●吉﨑和彦
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by urag | 2008-02-24 16:15 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 22日

08年3月下旬刊行:ジャック・デリダ『条件なき大学』

2008年3月21日取次搬入予定
ジャンル:人文・教育・現代思想

条件なき大学 附:西山雄二「ジャック・デリダと教育」
ジャック・デリダ:著 西山雄二:訳
A5判並製カバー装176頁 本体2,400円 ISBN978-4-901477-40-6

人間の未来、知の未来、教育の未来をかけて、いまこそ危機に挑む! あらゆる規範と前提を問い直し、権力の数々の横暴に対して抵抗を試みる《新たな人文学》と、公共空間の再創造を構想する、著者最晩年の渾身の講演録。「時間をかけてください、しかし、急いでそうしてください。何があなた方を待ち受けているのか、あなた方は知らないのですから」(デリダ)。

「私が「新たな」〈人文学〉という表現によって何を言おうとしているのか、これから明確にしてみましょう。これらの議論が批判的なものであろうと、脱構築的なものであろうと、それは人間、人間本性、人権、人道に反する罪、等々に関係する真理の問いと歴史に関わるのですが、それらすべては原則的に、大学のなかに、また大学のなかでもとりわけ〈人文学〉のなかに、無条件的で前提を欠いたその議論の場を、何かを検討し再考するための正当な空間を、見い出さなければなりません。それはこの種の議論を大学や〈人文学〉のなかに閉じ込めるためではなく、逆に、コミュニケーションや情報、アーカイヴ化、知の生産をめぐる新しい技術によって変容する新たな公共空間へと接近するための最良の方法を見い出すためです」(本書より)。

原書:”L’Université sans condition”, par Jacques Derrida, Paris: Galilée, 2001.

ジャック・デリダ(Jacques Derrida):フランスの哲学者。1930年7月15日エル・ビアール(アルジェリア)に生まれ、2004年10月8日パリに没す。最近の日本語訳に以下のものがある。『哲学の余白』(上下巻、高橋允昭ほか訳、法政大学出版局、2007年/2008年)、『精神分析の抵抗』(鵜飼哲ほか訳、青土社、2007年)、『絵葉書』(全2巻、若森栄樹ほか訳、水声社、2007年/第II巻未刊)、『マルクスの亡霊たち』(増田一夫訳、藤原書店、2007年)、『フッサール哲学における発生の問題』(合田正人ほか訳、みすず書房、2007年)。

西山雄二(にしやま・ゆうじ):1971年愛媛県生まれ。2002 年、パリ第10 大学(ナンテール)にてDEA(哲学)取得。2006年、一橋大学言語社会研究科博士課程修了。現在、東京大学特任講師およびグローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」プログラム・マネージャー。著書に、『異議申し立てとしての文学――モーリス・ブランショにおける孤独、友愛、共同性』(御茶の水書房、2007年)。訳書に、モーリス・ブランショ『ブランショ政治論集』(共訳、月曜社、2005年)、カトリーヌ・マラブー『ヘーゲルの未来――可塑性・時間性・弁証法』(未来社、2005年)、ジャック・デリダ『名を救う』(共訳、未来社、2005年)などがある。

***
★イベント情報

シンポジウム「哲学と大学―人文科学の未来
2008年2月23日(土) 13:00~18:00
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム1
主催:グローバルCOE「共生のための国際哲学教育研究センター(UTCP)」
※入場無料、事前予約不要

本シンポジウムは、UTCPの公開共同研究「哲学と大学」の一環として開催されるものである。公開共同研究「哲学と大学」の目的は、各哲学者の大学論を批判的に考察することで、哲学と大学の制度や理念との関係を問い直すことである。これまでビル・レディングス『廃墟の中の大学』、カント『学部の争い』、フンボルトの大学論を取り上げ、近代の大学の確立と哲学の学問的立場の関係をめぐって議論を積み重ねてきた。

本シンポジウムでは、まず前半でへーゲルとデリダの大学論を取り上げる。近代的大学のモデルとなったベルリン大学で教鞭をとったヘーゲルと、伝統的な大学制度の外部に国際哲学コレージュを創設したデリダがいかなる大学論・教育論を著わしたのかについて論じる。後半では、哲学のみならず、人文学へと議論の射程を広げ、今日の大学制度と人文学の関係を問う。とりわけ、欧州連合の構築ともに進展するヨーロッパの高等教育の再編が、人文科学にいかなる影響を与えているのかが検討される。最後の全体討論では、参加者全員で日本の現状を踏まえつつ、人文科学の来るべきあり方を聴衆の方々と共に討議したい。

〈プログラム〉
司会:西山雄二、宮崎裕助

13:00-14:00
「ヘーゲルにおける大学と哲学」
発表者:大河内泰樹(埼玉大学他非常勤講師) コメント:岩崎稔(東京外国語大学)
14:00-15:00
「哲学、教育、大学をめぐるジャック・デリダの理論と実践」
発表者:西山雄二(東京大学) コメント:鵜飼哲(一橋大学)
15:00-15:30 休憩
15:30-16:30
「ヨーロッパの高等教育再編と人文科学への影響」
発表者:大場淳(広島大学) コメント:藤田尚志(学術振興会特別研究員)
16:30-18:00
全体討議「日本の大学の現状と人文科学の未来」
岩崎稔、鵜飼哲、大場淳、小林康夫(東京大学)

【関連イベント】
UTCPワークショップ「高学歴ワーキングプア―人文系大学院の未来」
2008年3月17日(月) 17:00~19:00
場所:東京大学駒場キャンパス18号館4階 コラボレーションルーム3
講演者:水月昭道 (浄土真宗本願寺派僧侶〔教師〕 釋昭道、立命館大学衣笠総合研究機構人間科学研究所研究員)
司会:西山雄二
入場無料、事前登録不要
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by urag | 2008-02-22 16:10 | 近刊情報 | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 22日

「舞台芸術」11号以降は角川グループパブリッシングさんより発売です

弊社で01号から10号までの「第一期」を販売させていただいている京都造形芸術大学舞台芸術研究センター発行の「舞台芸術」は、以前よりお知らせしている通り、第二期11号以降は角川学芸出版さんの発行で、角川グループパブリッシングさんから発売されています。13号は来月末発売予定とのことです。内容は大まかに以下の通りと伺っています。

舞台芸術13 (A5判並製288頁 発行予定日:2008年3月31日)

[特集:太田省吾の仕事(仮)]
「シンポジウム:演劇に未来はあるか2005」 太田省吾×宇野邦一×西堂行人×佐伯順子×八角聡仁
「(未発表論考)」 太田省吾
「せりふ劇の系譜」 森山直人
「全戯曲集書評」 内野儀
「最後の京都訪問」 坂部恵
「沖縄三部作をめぐって」 倉石信乃
「実存形態としての演劇」 ミヒャエル・ヘルター
「引用・映像・身体――ヤジルシを中心に」 建畠哲
「(エッセイ)」 岡田利規、三浦基、藤田康城、斎藤学
「交叉Ⅱ」 遠藤利克
「芸術監督の仕事」 花光潤子
「劇評集・年譜・フォトギャラリー」
「『小町風伝』photo+text(日本語・英語)+海外公演用作品解説」

「『黒んぼたち』のための未発表の序文」 ジャン・ジュネ 訳:根岸徹郎
「吉増剛造インタヴュー」 聞き手:八角聡仁、森山直人
「木ノ下歌舞伎」 木ノ下裕一

[海外翻訳論考]
「自然状態におけるダンスの探究——ブラジルの経験」 クリスティン・グレイナー 訳:小田透 解題:内野儀

[連載・時評]
渡邊守章、小澤英実、稲倉達
「カイロ演劇際報告」 北野圭介
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by urag | 2008-02-22 15:58 | 舞台芸術 | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 21日

ついに日本語訳単行本化:ハイデガー『アリストテレスの現象学的解釈』、平凡社より

a0018105_23423181.jpgアリストテレスの現象学的解釈――『存在と時間』への道

マルティン・ハイデガー:著 高田珠樹:訳
平凡社 08年2月 定価2,940円 46判上製カバー装232頁 ISBN978-4-582-70277-4

帯文より:『存在と時間』の原型となった若きハイデガーの幻の草稿「ナトルプ報告」、初の邦訳単行本化。「若きマルティン・ハイデガーの草稿、それも本人の偉大な活動の始まりを示す原稿が出てきたというのは、まことにひとつの事件というほかない。……このアリストテレス理解は真にひとつの革命を引き起こすことになった。アリストテレスが、われわれのいる場に立ち現われ、われわれに向かって本当に語り始めたのである」(ハンス=ゲオルク・ガダマー:本書より)。

底本:"Phänomenologische Interpretationen zu Aristoteles (Natorp-Brecht)", hrg. von Günther Neumann, Reclam, 2003.

目次:
アリストテレスの現象学的解釈
 序にかえて
 解釈学的状況の提示
  『ニコマコス倫理学』第六巻
  『形而上学』第一巻の第一章と第二章
  『自然学』第一巻から第五巻
  〔第二部について、『形而上学』第七巻、第八巻、第九巻の解釈〕

ハイデガーの初期「神学」論文 (ハンス=ゲオルク・ガダマー)
編者あとがき (ギュンター・ノイマン)
付録『ナトルプ報告』の成立とその位置 (高田珠樹)
訳者あとがき

***
発売は来週月曜日、2月25日ごろのようです。「編者あとがき」や「付録」「訳者あとがき」を参照すると、本書の成立はおおよそ次のようになるかと思います。

新カント派の代表的哲学者の一人であるパウル・ナトルプの求めに応じて、マールブルク大学への就職のため自らの目下の研究内容を端的にまとめた「アリストテレス序論」、それが本書「ナトルプ報告」の名前の由来です。本稿は結局序論にとどまり、本編は執筆されませんでしたが、彼が試みた思索はやがて代表的著作『存在と時間』に結実します。その前哨地として長らく幻の草稿とされてきた「ナトルプ報告」が初めて公刊されたのは、ハイデガーの生誕百周年となる1989年でした。

高田珠樹さんによる初の日本語訳が発表されたのは、岩波書店の月刊誌「思想」813号(92年3月)でした。底本は89年に『ディルタイ年鑑』第6号に掲載されたいわゆる「ミッシュ・タイプ稿」です。「序論」はマールブルク大学に送付されると同時に、ゲッティンゲン大学のゲオルク・ミッシュのもとにも送られていたのでした。

「ナトルプ報告」には、ハイデガーの手元に残されていた、手書きの修正や加筆を含む「ハイデガー・タイプ稿」もあり、これが03年にレクラム文庫の元になっていて、ミッシュ稿との異同が注記されています。今回の単行本化においては、このレクラム文庫版を底本として改訳したとのことです。

本書に収録されたガダマーの論文の中で、彼は「ナトルプ報告」のインパクトをこう回想しています。「当時の読者にとって、このテクストの一文一文がどれほど新奇なものであったか、今日ではほとんど書きつくせそうにない。ハイデガー自身の面識を得て、彼から次第に何かを学ぶようになった後も、私は、その頃を思い出しては、ナトルプが、この大胆な思索の徒の語り口や文章に見られる伝統に逆らった一種独特の流儀にもかかわらず、その若き後学の天分を認めたのにはやはり敬服するほかないと密かに考えたものである」(111頁)。

かなり難解な著作であり、翻訳の苦労はつぶさに「訳者あとがき」に綴られています。「ナトルプ報告」は03年のレクラム版のあとに、05年にドイツ語版『ハイデガー全集』第62巻「存在論と論理学に関するアリストテレスの精選論文の現象学的解釈」に付録として収録されました。いずれは、創文社版『ハイデッガー全集』でも別訳が刊行されることになるのだろうと思います。創文社版では第62巻は、講義部門の初期フライブルク講義1919-1923のうち、1922年夏学期にあたり、邦訳題は「オントロギーと論理学に関するアリストテレスの精選諸論文の現象学的研究」と予告されています。
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by urag | 2008-02-21 22:33 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(3)
2008年 02月 21日

増補版到来:大竹伸朗+ヤマタカEYE『ドンケデリコ』、河出書房新社より

a0018105_17424499.jpgついに、大竹伸朗+ヤマタカEYE『ドンケデリコ』の増補版が河出書房新社さんより来週月曜日、2月25日に発売開始です。奥付にはこうあります、「本書は1996年9月、作品社から刊行されたものに、ピンク・マーケット、ブルース・インターアクションズから刊行された『クッキーシーン』1997年4月~2001年1月号の連載「新のドンケデリコ」と書き下ろし原稿を加えたものです」と。

初版のパートはかなり混沌とした内容ですが、後半の「新のドンケデリコ」は4コマ漫画中心で、また違った味わいがあります。4コマと言っても、オチはほとんどありません。独特の世界観です。「書き下ろし原稿」というのは、巻末にある「新の新のドンケデリコ」のことだと思います。頁数は少ないですが、アーティスティックです。

装丁は帯文の若干の変更を除いて、初版本と変わりません。懐かしいです。初版本刊行の折は、私は作品社で営業をやっていましたから。しばらく見かけませんでしたが、昨秋「高遠 本の家」に寄った時に座敷の奥に鎮座ましました初版本を発見。思わず感嘆の声が出たものでした。ちなみに「高遠 本の家」は3月1日から名前を変えてリニューアルオープンするそうです。また、高遠駅前商店街には新生「高遠 本の家」が4月初旬にオープンするとのこと。

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ドンケデリコ
大竹伸朗・ヤマタカEYE:著
河出書房新社 08年2月 定価1,995円 B5判210頁 ISBN:978-4-309-26996-2

版元紹介文より:『全景』の鬼才画家=大竹伸朗と、ボアダムスのカルト・ミュージシャン=ヤマタカEYEによる伝説の「FAX交換漫画集」、奇跡の大増補で復活!!!!
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by urag | 2008-02-21 17:08 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 19日

ブックフェア情報:アントニオ・ネグリ来日記念フェア

イタリアの思想家アントニオ・ネグリの初来日が来月に近づいていますが、各地の書店さんで来日記念ブックフェアが催されます。おおよそ、どの本屋さんでも来月(08年3月)一ヶ月間開催されるようです。

ジュンク堂書店池袋店4F人文書売場
紀伊國屋書店新宿本店5F人文書売場
ブックファースト渋谷文化村通り店B2F人文書売場
紀伊國屋書店札幌本店
ACADEMIAくまざわ書店桜ヶ丘店 人文書売場 [2月29日追加情報]
ジュンク堂書店京都店3F人文書売場 3月中旬~4月末[3月4日追加情報]
ブックファースト自由が丘店 [3月4日追加情報]

弊社出版物で主にご発注いただいているのは、トニ・ネグリ『芸術とマルチチュード』やパオロ・ヴィルノ『マルチチュードの文法』です。「イタリア現代思想」つながりで、アガンベンの本をご発注いただいた書店さんもいらっしゃいます。

ネグリフェアを開催する、という書店様は、拙ブログで宣伝しますので、ぜひご連絡下さい。
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by urag | 2008-02-19 14:58 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2008年 02月 19日

書評情報:『他自律』『ハワイ』『新編燈火節』

毎年大いに読書計画の参考にさせていただいている月刊誌『みすず』の読書アンケート特集(08年1・2月合併号)に、弊社刊行書籍が2点紹介されていました。

十川幸司さんはハーマッハーの『他自律』を取り上げてくださり、「この著作はハーマッハーという思想家を理解するうえでの格好の入門書となっている。彼のアフォーマティヴという概念は、長年停滞している言語行為論をさらに先に進めるアイデアとなりうる」と評してくださいました。

また、大竹昭子さんは、森山大道の『ハワイ』を取り上げてくださり、「ここ数年の彼の写真集でまちがいなくベスト」と評してくださいました。十川さん、大竹さん、ありがとうございました。

いっぽう、『婦人之友』08年3月号の書評欄「わたしの本棚」では、作家の松山巌さんが「食の愉しみをどう描くのか」という記事の中で、片山廣子の『新編 燈火節』を取り上げてくださいました。

「食を愉しむには貧しいほうがよい。そんな逆説を、最近復刊された片山廣子の『燈火節』で教えられた。(・・・)どの文章にも深い教養に支えられた独特の香りとユーモアがある。愉しいのはじつに多くの食材と料理が描かれることだ。戦時中と戦後の貧しい時代の記憶だから、大半の食材も料理もグルメには程遠い。にもかかわらず、美味しそうだと思い、読んでいて愉しい」。

松山さん、ありがとうございました。
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by urag | 2008-02-19 11:49 | 広告・書評 | Trackback | Comments(0)