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2007年 09月 27日

アガンベン『例外状態』が未来社より近日発売開始

a0018105_201575.jpgジョルジョ・アガンベンの主著である「ホモ・サケル」シリーズの第二巻第一分冊『例外状態』の日本語版が未来社より近日発売開始となります。来週以降店頭に並び始めるようです。ブックデザインは戸田ツトムさん。

例外状態
ジョルジョ・アガンベン:著 上村忠男+中村勝己:訳
四六判上製194頁 本体:2,000円 ISBN:978-4-624-01175-8

内容(帯文より):法秩序と生とのあいだの閾に降り立ったところからの、政治への問いかけ──。「世界的内戦」下の現代にあって統治のパラダイムと化した「例外状態」。そのミニチュア・モデルを古代ローマにおけるユースティティウム=「法の停止」に求めつつ、法の空白をめぐるシュミット=ベンヤミンの戦いの意味を批判的に検討する。「ホモ・サケル」シリーズ第3弾!

本書を中心に据えたブックフェア「法・政治・生:「例外状態」という統治のパラダイム――アガンベン「例外状態」を読む」が、ジュンク堂書店新宿店で行われています。また、本書をめぐるミニ・フェアやコーナーが、芳林堂高田馬場店、東京大学生協駒場書籍部、早稲田大学生協コーププラザ店などで開設されている(あるいはされる予定)と聞いています。

a0018105_2025222.gif未来社さんでは、この新刊の刊行にあわせ、書店さん向けに、ブックリスト(A4用紙3枚)、カラーポスター(A3およびA4サイズ、全3種類)、POPを準備しているとのことです。ご入用の方は未来社さんまでお電話でどうぞ。電話03-3814-5521です。未来社さんからいただいたPOPの画像(実物はこれより大きいはずです)をご参考までにかかげておきます。

ブックリストについて、未来社さんから以下のようなご説明があったので、転記しておきます。「各書店人文書担当のみなさまに向けて、フェア展開・棚揃えのご参考のために、アガンベンの既訳書全点ふくめた、計60点のブックリストをご用意しています。『例外状態』の関連書を中心に、《法・政治・生:「例外状態」という統治のパラダイム》というタイトルのもと、セレクトいたしました」とのことです。
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by urag | 2007-09-27 20:03 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(2)
2007年 09月 26日

「中野幹隆という未来」@ジュンク堂書店池袋店人文書売場

a0018105_23535741.jpgブックフェア「中野幹隆という未来」はジュンク堂書店新宿店に続き、現在ジュンク堂書店池袋店4F人文書売場で開催されています。10月9日までの予定と聞いています。写真は同店のフェアの様子です。10月下旬からはジュンク堂書店京都BAL店に移動してフェアが継続されるそうです。哲学書房や朝日出版社のレアな本に出会える最後の機会になるかもしれません。どうぞご覧ください。
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by urag | 2007-09-26 23:54 | イベント告知 | Trackback | Comments(3)
2007年 09月 25日

月曜社品切・僅少品目一覧(07年9月25日現在)

2007年9月25日現在の月曜社品切僅少品目一覧です。

◎品切重版未定

ブランショ『書物の不在』→発売したばかりですのに申し訳ございません。返品待ちです。店頭にまだ在庫がある本屋さんがありますので、チェックしてみてください。たとえば、紀伊國屋書店さん、ジュンク堂書店池袋店さんなど。オンライン書店では、bk1さんなど。

高柳昌行『汎音楽論集』→返品待ちです。店頭にまだ在庫がある本屋さんがありますので、チェックしてみてください。たとえば、紀伊國屋書店さんなど。

毛利嘉孝『文化=政治』→美本でなくてもよろしいようでしたら、弊社までお問い合わせください。直販のみ承ります。書店様からはご注文できません。

◎在庫僅少〔通常商品〕

片山廣子『燈火節

◎在庫僅少〔サイン本〕 ※弊社公式ウェブサイトの特設サイトやEメールにてご注文を承ります。書店様からはご注文できません。

森山大道『新宿』サイン本 ※通常版は品切重版未定。
森山大道×滝沢直己『NOVEMBRE(ノヴァンブル)』森山サイン本 ※通常版は完売。
やなぎみわ『White Casket』海外版サイン本(ナズラエリ・プレス) ※日本版は完売。
川田喜久治『地図』サイン本 ※通常版は在庫僅少。

◎在庫あり〔サイン本〕 ※弊社特設サイトをご覧ください。書店様からはご注文できません。

森山大道『ハワイ』サイン本
森山大道『新宿+』サイン本
森山大道『大阪+』サイン本

以上です。
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by urag | 2007-09-25 15:38 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)
2007年 09月 24日

ゼロ磁場@分杭峠

a0018105_2464380.jpg移動する途中で分杭峠に寄ってみました。有名なスポットなんですね。

写真に写したここから2分ほど下ったらくだんの気場へ着きます。
急斜面が怖くてとても長時間は座っていられませんでした。
というより、ほんの一瞬しか座れませんでした。
谷底へ吸い込まれそうで気持ち悪くて。
斜面に至る細い道の直前に設置された板に腰掛けているのがせいいっぱい。

ここを訪れた数時間後のこと。
別の場所についてから、幾度か水道で静電気に見舞われました。
蛇口をひねって、手を洗おうと思ったら、指先がビリッとくるのです。

こういう体験は初めてですが、ゼロ磁場の影響だと考えることもなく。
なぜそうなるのかは見当もつきませんが。

私自身は静電気をためやすい体質のようです。
冬場などはドアノブなどでしばしば痛い思いをします。
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by urag | 2007-09-24 02:36 | 雑談 | Trackback | Comments(4)
2007年 09月 22日

07年9月22日:モーリス・ブランショ生誕百周年

a0018105_11545.jpg本日07年9月22日は、フランスの批評家モーリス・ブランショの生誕百周年にあたります。日本では、7月に岩波書店の月刊誌『思想』07年7月号がブランショの特集(「死」と政治――モーリス・ブランショ生誕100年)を組み、9月には西山雄二さんによる渾身のブランショ論『異議申し立てとしての文学――モーリス・ブランショにおける孤独、友愛、共同性』(写真左)が御茶の水書房より刊行されました。また、弊社でもブランショの難解なエッセイ『書物の不在』を翻訳出版いたしました。発売からまだ日にちが浅いのですが、望外のご好評をいただき、版元在庫が僅少になってしまいました。書店さんの店頭にはまだまだあると思いますので、皆様のお目に留まれば幸いです。

海外でも様々な本が出ていますが、私がもっとも注目したのは、今月バーゼルのウルス・エンゲラー出版社から刊行された、ドイツの比較文学者ハンス=ヨスト・フライ(Hans-Jost Frey 1933-)によるブランショ論"Maurice Blanchot: Das Ende der Sprache schreiben"(ISBN978-3-938767-33-7 写真右)です。フライはまだ日本では訳書がありませんが、カール=ハインツ・ボーラー(1935-)やヴェルナー・ハーマッハー(1948-)、ヴィンフリート・メニングハウス(1952-)らと同様に、20世紀後半以後のドイツにおける比較文学研究に大きな貢献をなした研究者であると私は考えています。彼のすぐれたブランショ論がそのうち日本語で読めるようになればと思っています。独仏語に堪能で、ドイツ観念論やフランス現代思想に詳しい方のご協力を、心ひそかにお待ちしております。
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by urag | 2007-09-22 01:15 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(4)
2007年 09月 21日

サミュエル・ウェーバー「フロイトの『人間/男モーセ』を始末する」@月刊誌「みすず」

a0018105_14281114.jpg弊社より論文集『破壊と拡散』を刊行させていただいている著者、サミュエル・ウェーバーさんの論文「フロイトの『人間/男モーセ』を始末する」が、みすず書房さんの月刊誌「みすず」07年9月号から全4回に分けて連載されます。訳者は前田悠希さん。同論考は、ウェーバーさんの論文集Targets of Opportunity: On the Militarization of Thinking(Fordham University Press, 2005)の第4章、"Doing Away with Freud's Man Moses"の日本語訳です。なお、同書第三章の"Wartime:Freud's Tmely Thoughts on War and Death"の日本語訳「戦時」は弊社刊の『破壊と拡散』に収録されています。

月刊誌「みすず」は版元からの直接購読で入手することができます。店頭に置いてある本屋さんは、神保町の岩波ブックセンター信山社、リブロ池袋店3F人文書レジ前、などです。
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by urag | 2007-09-21 14:31 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2007年 09月 20日

ブランショ『書物の不在』(発売中)と、大谷能生『貧しい音楽』(近日発売)

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書物の不在 【写真左、発売中】
モーリス・ブランショ=著 中山元=訳
46判上製カバー装88頁 本体価格2,500円 ISBN978-4-901477-36-9

本書の内容について:生誕百周年(07年9月22日)記念出版。晩期ブランショにおける評論活動の頂点となる最重要論考を初出誌版(1969年)より初邦訳。書くこと、書物、作品、法をめぐる未聞の思考が開示される。著者最大の評論集『終わりなき対話』の末尾におかれた同論考の単行本版との異同を付す。対話なき暴力が充満する現代に、ことばの力と可能性を鋭く問いかける新しいシリーズ、「叢書・エクリチュールの冒険」の第一回配本! 初版限定800部。
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本書の装丁について:鮮やかな朱色の紙に濃い墨色で本文を刷り、肌触りがなめらかな漆黒の布クロスで製本しました。漆黒の布クロスには銀色の箔押しで原題が刻印されています。カバーには本文と同じ朱色の紙を使用し、最小限の文字情報のみのシンプルな装丁になっています。見た目の簡潔な美しさを重視しているため、オビは付しません。

モーリス・ブランショ(Maurice Blanchot)……1907年9月22日ソーヌ・エ・ロワール県のカンに生まれ、2003年2月20日イヴリーヌ県に没す。フランスの作家、批評家。主な著書に以下のものがある。『文学空間』(粟津則雄・出口裕弘訳、現代思潮社〔現代思潮新社〕、1962年)、『最後の人/期待 忘却』(豊崎光一訳、白水社、1971年)、『来るべき書物』(粟津則雄訳、筑摩書房、1989年)、『明かしえぬ共同体』(西谷修訳、ちくま学芸文庫、1997年)、『望みのときに』(谷口博史訳、未来社、1998年)、『友愛のために』(清水徹訳、《リキエスタ》の会、2001年)、『問われる知識人』(安原伸一朗訳、月曜社、2002年)、『ブランショ政治論集』(安原伸一朗・西山雄二・郷原佳以訳、月曜社、2005年)、『私についてこなかった男』(谷口博史訳、書肆心水、2005年)、『ブランショ小説選』(菅野昭正・三輪秀彦訳、書肆心水、2005年)、『謎の男トマ(1941年初版本)』(月曜社、近刊)。

叢書「エクリチュールの冒険」について:「ことば」への関心を私たち現代人はもはや失ってしまったのだろうか。「ことば」は書き方や話し方における技術の問題に過ぎないのだろうか。賢さや愚かさは「ことば」の技術の問題なのだろうか。「ことば」は嘘に過ぎないのだろうか。

20世紀文化の知的位相を形成した諸潮流においてはむしろ、文学における言語実験、哲学における言語論的展開、言語への記号学的な接近、そして勇気ある証言と告発の政治が、国境を越えて観察できる。「ことば」への関心に深く根ざす運動は、「ことば」を圧殺し簒奪する怪物的事件の傍らにおいてすら、実践され続けてきたのではなかったか。

〈9・11〉に象徴される、「ことば」なき暴力のヴァンダリズムに曝されつつある21世紀は、世界大戦や絶えざる内線と紛争に彩られた前世紀の延長上にある。数々の問答無用な攻撃と苦悩の沈黙は、「ことば」の信頼を常に裏切り続けてきた。対話の円卓に就いてもなお、バベルの混乱は続いたのだ。混乱期における「ことば」の可塑性と可能性を再び問うこと、それは20世紀的人間を再審することであるとともに、21世紀のバベルを解体する試金石でもある。

***

貧しい音楽 【写真右、9月28日より順次発売開始】
大谷能生:著
46判変型(タテ184ミリ×ヨコ118.5ミリ) 並製カバー装340頁 本体価格2,500円 ISBN:978-4-901477-35-2

本書の内容について:菊地成孔氏の「東大講義」のブレーン、気鋭の音楽批評家/ミュージシャン・大谷能生による第一批評集! ジャズ、テクノ、現代音楽、ポップスなど、ジャンルを横断的に走査し、新たな音楽地図を描き出す。

主な目次:二重化された死の空間について/録音機器の前の、二つの椅子/引用の終わり、音のそのもの 大友良英インタヴュー/『複製技術時代における芸術作品』へのノート/歌詞講義 「町田町蔵、イスラエル」/パッケージングの前、デジタル化の後/ジョン・ケージは関係ない/ホロコーストを録音するために

本書の装丁について:森大志郎による造本、八品幸史郎によるカバーイラスト。本文は銀暗色で刷られており、カバーとオビも同色でまとめられています。カバーの天地が書籍本体より短くなっており、中の白いペーパーバックが剥き出しになっています。

大谷能生(おおたに・よしお)……1972年生まれ。横浜国立大学中退。1996~2002年まで音楽批評誌『Espresso』編集に携わる。日本の音楽におけるインディペンデントシーンを中心に執筆活動を続ける他、サックス、エレクトロニクス奏者として、mas,feep,simなどのバンドに参加。2004年に、菊地成孔との共著「憂鬱と官能を教えた学校によって俯瞰される20世紀商業音楽史」(河出書房新社刊)を上梓。同氏とは以降も東京大学教養学部での講義を担当(「東京大学のアルバート・アイラー」として2005年に刊行)。

お知らせ:本書は本日07年9月20日より、青山BC本店で先行販売されています。
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by urag | 2007-09-20 19:58 | 販売情報 | Trackback | Comments(4)
2007年 09月 17日

今週の注目新刊(第115回その2:07年9月17日)

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模倣の法則 ガブリエル・タルド:著 池田祥英+村澤真保呂:訳 河出書房新社 07年9月 6,090円 46判560頁 ISBN:978-4-309-24424-2 ●9月21日発売。待望の全訳です。初訳は実に1924年のこと。抄訳でした。フランスでは以前からタルドの再評価がなされていますが、本書の帯文にある通り、日本ではまさに本書から「タルド・ルネサンスはじまる」と言っても過言ではないと思います。前田晃伸さんによる装丁もいつもどおりびしっときまっていて最高です。タルドの訳書で現在入手可能なのは、未来社から刊行されている『世論と群集』のみ。本書の版元宣伝文に曰く、「社会を発明と模倣からとらえる差異と反復の社会学」とあります。1920年代から40年代にかけて幾度か翻訳された『社会法則』もそうですが、タルドの社会論はあたかも宇宙論のように非常にダイナミックなもので、こんにち読み返してもなお新鮮な輝きを失っていません。

コズモグラフィー--シナジェティクス原論 バックミンスター・フラー:著 梶川泰司:訳 白揚社 07年9月 6,090円 A5判457頁 ISBN:978-4-8269-0135-2 ●帯文にフラーの名言が刻まれています。曰く、「複数の原理を相互に調整し秩序づける行為を私はデザインと呼ぶ」。この根源的なデザイン哲学。上記のタルドの主著は社会書ないし人文書売場に、このフラーの遺著は理工書売場に置かれるのでしょうが、この二冊は実に隣り合って販売されてもおかしくありません。フラーにせよタルドにせよ、これらの本からまさに再読解・再評価が始まる予感がします。

数が世界をつくった--数と統計の楽しい教室
I・バーナード・コーエン:著 寺嶋英志:訳 青土社 07年10月 2,310円 46判249頁 ISBN:978-4-7917-6361-0
せん塔--中国の陶芸建築 柴辻政彦(1935-):著 鹿島出版会 07年9月 3,360円 菊判192頁 ISBN:978-4-306-04487-6

森の都市--EGEC 奥野翔(1940-):編著 彰国社 07年9月 2,100円 B5変型判120頁 ISBN:978-4-395-00811-7 ●版元紹介文に曰く、「森を中心におき、森の恩恵を都市に利用する21世紀にふさわしい都市計画の提案。すでに中国ではこの案による都市計画が進行中」とのこと。

夕暮れ東京 鷹野晃(1960-):写真 淡交社 1,470円 A5判128頁 ISBN:978-4-473-03434-2 ●東京都下の「黄昏時に綺麗な風景」を写真で紹介。この写真家さんはこの道十年とのこと。魅力にとりつかれるのも分かる気がします。

巨大建築という欲望--権力者と建築家の20世紀 ディヤン・スジック:著 五十嵐太郎:監修 東郷えりか:訳 紀伊國屋書店 07年9月 3,990円 46判520頁 ISBN:978-4-314-01031-3 ●監修者の五十嵐さんは先月、『「結婚式教会」の誕生』というユニークな論考を春秋社から刊行したばかり。

ギリシア彫刻の見方 L・クルツィウス:著 小竹澄栄:訳 みすず書房 07年9月 4,200円 A5変型判176頁 ISBN:978-4-622-07322-2 ●こちらのクルツィウスは、かのローベルトではなく、ルートヴィヒ。ナチスにより考古学研究所所長の職を追われた人。解題は中村るい氏。

歴史(2) ポリュビオス(205-123BC):著 城江良和:訳 西洋古典叢書:京都大学学術出版会 07年9月 4,095円 46判477頁 ISBN:978-4-87698-169-4 ●全4巻。第2巻は、原典全40巻のうち第4巻から第8巻までを収録。本邦初訳。竹島俊之訳編による龍渓書舎版は『世界史』として現在刊行中。ギリシア語原題は『ヒストリア』。

フランク史--一〇巻の歴史 トゥールのグレゴリウス(538-594):著 杉本正俊:訳 新評論 07年9月 6,825円 A5判632頁 ISBN:978-4-7948-0745-8
発行年月 : 2007.9

チュルゴーの失脚-1776年5月12日のドラマ(上下) エドガール・フォール(1908-1988):著 渡辺恭彦:訳 法政大学出版局 07年9月 6,825円/5,775円 46判総頁数1038頁 ISBN:978-4-588-00870-2/978-4-588-00871-9

歴史哲学についての異端的論考 ヤン・パトチカ(1907-1977):著 石川達夫:訳 みすず書房 07年9月 4,830円 46判288頁 ISBN:978-4-622-07326-0 ●待望の、まさに待望の、チェコ語原典からの記念碑的初訳。おおかたの場合、私たちはこれまで仏訳版か英訳版からしかパトチカに近づけなかったのではないかと思います。仏訳版ではポール・リクールが序文を、ローマン・ヤーコブソンがあとがきを書いていますが、今回の訳書にはこれらは含まれていません。その代わり、訳者による懇切なイントロダクション「ヤン・パトチカ――受難を超える哲学者」が付されています。月刊誌「みすず」02年12月号に掲載された合田正人さんの訳によるリクールの論文「ヤン・パトチカ――レジスタンスとしての哲学者」が、かの序文でしょうか。不覚にも私はまだ合田さんの訳を読んでいません。月刊誌『現代思想』93年5月号(特集=民族問題の根源へ)に掲載されたパトチカの論考「歴史に意味はあるか」は、今回チェコ語原典から全訳された『異端的論考』の第三章にあたります。菊池恵介さんと若森栄樹さんによって仏訳版から重訳されたものです。さすがに微妙にニュアンスが異なっており、読み比べるとたいへん面白いです。このほか、日本語で読めるパトチカの論考には、新田義弘・村田純一編『現象学の展望』(国文社、1986年)に収録されている、「フッサール現象学の主観主義と「非主観的」現象学の可能性」があります。ドイツ語版から小熊正久さんが訳したものです。ここではパトチュカと表記されています。今道友信さんの忘れがたい半生記『知の光を求めて』(中央公論新社、2000年)の143-146頁には、パトチュカとの出会いの思い出が綴られています。ルドルフ・ベルリンガーとオンゲン・フィンク、今道さんとパトチュカの四人で晩餐をともにした時の話です。その席上でのパトチュカの発言の重みは、この本を読んでからずいぶん経つ今もなお私にのしかかっています。「オイゲン、自由とは時間の制限がないもののはずだ。私の場合、この一週間、ウィーンに滞在許可のある時間だけ、自由なのです。あさってからは、またきびしい、不条理な統制の中です。言いたいこと、言わねばならないと自由な精神が考えること、それは黙っていなくては、牢獄と死です」。パトチュカはハヴェルらとともにチェコの民主化を目指して戦う言論人でした。彼は尋問の名のもとにたびたび当局より拷問され、かの晩餐から十年を待たぬうちに、そうした「尋問」がもとで死去しました。

隠されたジェンダー ケイト・ボーンスタイン(1948-):著 筒井真樹子:訳 新水社 07年9月 2,940円 A5判275頁 ISBN:978-4-88385-101-0
善意の仮面--聴能主義とろう文化の闘い ハーラン・レイン:著 長瀬修:訳 現代書館 07年9月 3,780円 46判462頁 ISBN:978-4-7684-3469-7
僕らは、ワーキング・プー アントニオ・インコルバイア(1974-)+アレッサンドロ・リマッサ(1975-):著 アンフィニジャパン・プロジェクト:訳 世界文化社 07年10月 1,575円 46判255頁 ISBN:978-4-418-07513-3
イスラエル・ロビーとアメリカの外交政策(1) ジョン・J・ミアシャイマー(1947-)+スティーヴン・M・ウォルト(1955-):著 副島隆彦:訳 講談社 07年9月 1,890円 46判366頁 ISBN:978-4-06-214009-6
告発・電磁波公害 松本健造(1948-):著 緑風出版 07年9月 1,995円 46判294頁 ISBN:978-4-8461-0714-7
出版と社会 小尾俊人(1922-):著 幻戯書房 07年9月 9,975円 A5判654頁 ISBN:978-4-901998-28-4
本を売る現場でなにが起こっているのか!? 編集の学校・文章の学校:監修 雷鳥社 07年9月 1,575円 A5判189頁 ISBN:978-4-8441-3494-7
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by urag | 2007-09-17 03:24 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(0)
2007年 09月 16日

今週の注目新刊(第115回その1:07年9月16日)

遅まきながら、9月2日の「今週の注目新刊第113回」を先日公開しました。第115回は、文庫について長いコメントを書いてしまったので、二回に分載します。前半は文庫、新書、選書、ブックレットを取り上げ、後日公開の後半では単行本を取り上げます。

◎注目の文庫、新書、選書、ブックレット

光文社古典新訳文庫は創刊一周年で、今月は怒涛の5点刊行。ロンドン『野生の呼び声』深町眞理子訳、スタンダール『赤と黒(上)』野崎歓訳、スティーヴンスン『新アラビア夜話』南條竹則+坂本あおい訳、そして下記に掲げる2点。良いラインナップですね。創刊一周年記念に、非売品の別冊文庫『古典新訳をより楽しむ副読本』(仮)を抽選で1000名にプレゼント、とのこと。特別対談、エッセイ、評論、近刊予告などを読めるそうで。1000名って少なくないですか?当たらない気がしてなりませんが、申し込みはしようかと。応募締切は07年10月31日で当日消印有効。書店店頭では、フリーペーパー「光文社古典新訳文庫NEWS」を配布してますよね。広げるとA3サイズの壁新聞みたいなやつ。続刊予告にはO・ヘンリー『賢者の贈り物 他22編』芹澤恵訳、ソル・フアナ『ある修道女の手紙』旦敬介訳、ブルトン『狂気の愛』海老坂武訳、とあります。

一方、講談社文芸文庫は、来年の創刊20周年を記念するキャンペーンとして、「アンコール復刊アンケート」を実施中。総刊行点数840点のうち、文庫新刊にはさまれている投げ込みアンケート用紙には、63点がピックアップされています。ウェブでは未公開のようです。リクエストの多かった書目20点を来年二月から順次復刊するとのこと。自分がリクエストした書目が復刊されれば、菊地信義さんデザインの復刊特装版のプレゼントに当たるかも、とのこと。1点あたり20名限定。猛烈な競争率!けれど、案外この手のアンケートはものすごい数の回答が届けられるわけでもないのが通例なので、当選の倍率はさほど高くないかも。悩むなあ、どの書目にするか。すでに持っている本でも、特装版が当たったら嬉しいし。

さらに、今年で15周年を迎えるちくま学芸文庫ではついに「復刊投票2007」を敢行。学芸文庫では確かはじめての復刊事業ですよね。大歓迎です。今後必ず毎年やって欲しいものです。ウェブ投票なので、告知次第で数はそれなりに集まるのでは。投票締切日は07年10月26日、復刊文庫発表が07年11月下旬とのこと。皆さんでガンガン投票しましょう!・・・書目一覧を見ててふと気づいたんですが、品切書目のすべてが列記されているのではないようです。えええそんな殺生な! たとえば、文庫オリジナルのプラトン『テアイテトス』がないです。オリジナルなのに・・・

【07年9月19日追記:筑摩書房編集部さんのご説明によれば、『テアイテトス』のように品切になってから日にちが浅いもの(具体的には06年以降の品切書目)は今回の復刊候補からはずしてあるそうです。なるほど! つまり、復刊ではなく重版で対応ということもあるわけでなのでしょうね。】

***

・幻想の未来/文化への不満 フロイト:著 中山元:訳 光文社古典新訳文庫 07年9月 760円 439頁 ISBN:978-4-334-75140-1 ●『幻想の未来』(1927年)全訳、『文化への不満』(1930年)全訳、『人間モーセと一神教』(1939年)抄訳、の三篇を収録。「フロイト文明論集」第一巻と銘打たれています。続刊予定の第二巻は、『人はなぜ戦争をするのか』と題して、フロイトの戦争論をまとめるようです。期待大ですね。

・変身/掟の前で 他2編 カフカ:著 丘沢静也:訳 光文社古典新訳文庫 07年9月 440円 180頁 ISBN:978-4-334-75136-4 ●『判決』、『変身』、『アカデミーで報告する』、『掟の前で』の四篇を収録。底本は「史的批判版カフカ全集」。堂々たる既訳書が居並ぶ中で再度新訳の労を取っているのは、カフカの原文のリズムに、より忠実に、そして現代語訳に、より磨きをかけるため。実際、これまでにないリズム感が生まれ、若者にとって違和感がないだろう言葉で紡がれています。既訳に親しんできた自分としては最初は「やりすぎじゃないかな」といぶかしんだものでしたが、読んでいくうちに味が分かってくるというか。正直に告白すれば、池内訳より好きです。ユーモア感が伝わります。自分が若いとは思いませんが、若い読者向きに違いないです。これでこそ「新訳」。この感じで「審判」や「城」などの長編も丘沢訳で読んでみたくなりました。

・ザ・ダルマ・バムズ ジャック・ケルアック:著 中井義幸:訳 講談社文芸文庫 07年9月 1,995円 498頁 ISBN:978-4-06-198489-9 ●『ジェフィ・ライダー物語--青春のビートニク』(講談社文庫、82年)を底本として使用し、訳者による加筆訂正を行った、とのこと。本作は本邦初訳の小原広忠訳では『禅ヒッピー』というタイトルだったんですよね。今回、原題をカタカナ表記したものになったわけですが、『禅ヒッピー』のほうがさすがにインパクトは強かったですね。このタイトルはロバート・パーシグの『禅とオートバイ修理技術』(めるくまーる、90年)をも連想させるのですが、パーシグの本は現在品切。文庫化されるという噂。それはともかく、今回の本の訳者の中井さんによる「解説」の末尾には、「若い読者の皆さんにはぜひ、秋に出るという「オン・ザ・ロード」の新訳とともに読むことをお勧めする」とあります。11月10日に河出書房新社から発売される青山南訳『オン・ザ・ロード』のことですね。池澤夏樹個人編集『世界文学全集』全24巻の第1回配本。既訳では「路上」(福田稔訳、河出文庫)として親しまれてきたものです。

・暴力論(上) ソレル:著 今村仁司+塚原史:訳 岩波文庫 07年9月 798円 322頁 ISBN:978-4-00-341381-4 ●全二巻。木下半治訳(1933年/1965-66年改版、上下巻、岩波文庫)以来の新訳です。改版されてから、93年にリクエスト復刊されています。改版前の訳は伏字はあるわ、使用している記号類がややこしいわで、幻惑を誘うほどの本だったのですが、改版後は解消されました。それでも読みやすいかといえば、若い読者には敷居が高い本でした。今回の新訳はより平明さを心がけている労作です。比較して読むとたいへん勉強になります。ソレルが主張している、「国家の強制力(フォルス)に対抗し、個人の自由と権利を擁護するための、下からの暴力(ヴィオランス)」(文庫カバー紹介文より)というのは、具体的にはジェネラル・ストライク(ゼネスト=全労働者の一斉ストライキ)を指しています。こんにちではストや春闘自体がすっかり「時代遅れ」にされてしまっている感がありますが、本当は、今こそ、大規模なストライキが政治的には有効なのかもしれません。資本主義経済という「けっして止まらない、止まれない機械」をサスペンド=宙吊りにすること。そんなバカなことができるか、と人は言うでしょうが、私たちには本当はその力がある。荒々しいそのサボタージュの力、ヴィオランスを考える上で、ソレルの新訳は様々な示唆を与えてくれそうです。ちなみに、講談社学術文庫の10月新刊には、今村さんの『アルチュセール全哲学』がエントリーされています。

・けものたち・死者の時 ピエール・ガスカール:著 渡辺一夫+佐藤朔+二宮敬:訳 岩波文庫 07年9月 903円 402頁 ISBN:978-4-00-375071-1 ●親本は岩波書店、1955年刊。特に新しいあとがき等はナシ。半世紀後に文庫化。すごいですよね。

論理的原子論の哲学 バートランド・ラッセル:著 高村夏輝:訳 ちくま学芸文庫 07年9月 1,155円 294頁 ISBN:978-4-480-09096-6 ●文庫版オリジナル。1918年の連続講義録が、ついに本邦初訳。

ヘレニズムの思想家 岩崎允胤:著 講談社学術文庫 07年9月 1,260円 406頁 ISBN:978-4-06-159836-2
〔新訂版〕 桃太郎の母--ある文化史的研究 石田英一郎:著 講談社学術文庫 07年9月 1,313円 378頁 ISBN:978-4-06-159838-6
竈神と厠神--異界と此の世の境 飯島吉晴:著 講談社学術文庫 07年9月 1,103円 329頁 ISBN:978-4-06-159837-9 ●親本は人文書院、1986年刊。
・怪魚ウモッカ格闘記--インドへの道 高野秀行:著 集英社文庫 07年9月 600円 331頁 ISBN:978-4-08-746215-9

愉悦の蒐集--ヴンダーカンマーの謎 小宮正安(1969-):著 集英社新書ヴィジュアル版 07年9月 1,050円 222頁 ISBN:978-4-08-720409-4 ●たまらんです(もちろん素敵だ、という意味で)。驚異の部屋(ヴンダーカンマー)へ至る隠し扉とか、グロテスクな肖像画とか、精巧なミニチュアとか、動物の結石コレクションだとか、巨大な天球儀とか、天井から釣り下がっているワニやシュモクザメの剥製とか、数々の神獣の人造ミイラとか、ガラスに封じ込められた悪魔とか、色々な写真が楽しめます。ヴィジュアル新書は本書で5点目。既刊は以下の通りです。『フェルメール全点踏破の旅』(朽木ゆり子:著、06年9月)、 『謎解き広重「江戸百」』(原信田実:著、07年4月)、『ダーウィンの足跡を訪ねて』(長谷川眞理子:著、06年8月)、『江戸を歩く』(田中優子:著、05年11月)。

・「粉もん」庶民の食文化 熊谷真菜(1961-):著 朝日新書 07年9月 777円 278頁 ISBN:978-4-02-273165-4
・江戸の歌舞伎スキャンダル 赤坂治績(1944-):著 朝日新書 07年9月 798円 289頁 ISBN:978-4-02-273167-8
・〈負け組〉の戦国史 鈴木眞哉:著 平凡社新書 07年9月 798円 243頁 ISBN:978-4-582-85391-9
・世界の小国--ミニ国家の生き残り戦略 田中義晧(1943-):著 講談社選書メチエ 07年9月 1,575円 230頁 ISBN:978-4-06-258397-8
・近代日本の右翼思想 片山杜秀(1963-):著 講談社選書メチエ 07年9月 1,575円 246頁 ISBN:978-4-06-258396-1
・日本幻想文学史 須永朝彦:著 平凡社ライブラリー 07年9月 1,470円 354頁 ISBN:978-4-582-76620-2 ●親本は93年、白水社より。
・愛国心を考える テッサ・モーリス‐スズキ(1951-):著 伊藤茂:訳 岩波ブックレット 07年9月 504円 71頁 ISBN:978-4-00-009408-5
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by urag | 2007-09-16 02:33 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(0)
2007年 09月 15日

月曜社品切・僅少品目一覧(07年9月15日現在)

2007年9月15日現在の月曜社品切僅少品目一覧です。

◎品切重版未定

高柳昌行『汎音楽論集』→返品待ちです。店頭にまだ在庫がある本屋さんがありますので、チェックしてみてください。たとえば、紀伊國屋書店さんなど。
毛利嘉孝『文化=政治』→美本でなくてもよろしいようでしたら、弊社までお問い合わせください。直販のみ承ります。

◎在庫僅少〔通常商品〕

片山廣子『燈火節』

◎在庫僅少〔サイン本〕 ※弊社公式ウェブサイトの特設サイトやEメールにてご注文を承ります。

川田喜久治『地図』サイン本
森山大道『新宿』サイン本
森山大道×滝沢直己『NOVEMBRE(ノヴァンブル)』森山サイン本
やなぎみわ『White Casket』海外版サイン本(ナズラエリ・プレス)

◎在庫あり〔サイン本〕 ※弊社特設サイトをご覧ください。

森山大道『ハワイ』サイン本
森山大道『新宿+』サイン本
森山大道『大阪+』サイン本

以上です。
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by urag | 2007-09-15 18:30 | 販売情報 | Trackback | Comments(0)