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2005年 06月 30日

カトリーヌ・マラブー来日情報

小社刊『ブランショ政治論集』の共訳者である西山雄二さんが、来月初旬に次の訳書を刊行されます。ポスト・デリダ世代の実力派、カトリーヌ・マラブー女史(1959-)の博士論文『ヘーゲルの未来』(未来社)です。

ヘーゲルの未来――可塑性・時間性・弁証法』カトリーヌ・マラブー著、西山雄二訳、A5判上製384頁、本体価格4500円、未來社刊(2005年7月)、ISBN4-624-01170-8 C0010

マラブーの訳書はもう一点、春秋社から先週刊行されたばかりです。

わたしたちの脳をどうするか――ニューロサイエンスとグローバル資本主義』カトリーヌ・マラブー著、桑田光平+増田文一朗訳、46判上製224頁、本体価格2100円、春秋社刊(2005年6月)、ISBN4-393-32223-1 C0010

マラブーはまもなく初来日し、東京各地と京都で講演会が催されます。転載自由とのことなので、西山さんからご提供いただいた情報を下記に引用します。

--------------

この度、フランスの哲学者カトリーヌ・マラブー氏が来日されることになりました。マラブー氏はデリダの脱構築思想を批判的に継承しながら、ヘーゲルやハイデガーの独創的な読解をおこない、脳科学との哲学的対話を通じて、自身の「可塑性」(plasticite)概念を練り上げている、現在のフランスでもっとも注目される哲学者です。日本での講演日程は以下のようになっています。

*********

7月5日(火)18:00 日仏会館(恵比寿)
「わたしたちの脳をどうするか」
(港千尋、桑田光平、増田文一朗との討論)
http://www.mfj.gr.jp/index-j.html
http://www.mfj.gr.jp/prog/prog_0507j.html#c0705

7月7日(木)19:00 東京日仏学院(飯田橋)
「哲学の使命」
(藤本一勇との対話 司会:西山雄二)
http://www.ifjtokyo.or.jp/top_j.html
http://www.ifjtokyo.or.jp/culture/conference_j.html#0707

7月8日(金)17:00
一橋大学(国立)佐野書院(西キャンパス南側)
「世界史と喪の可塑性――ヘーゲルの未来」
(司会:鵜飼哲)
http://gensha.hit-u.ac.jp/Japanese/home.htm

7月9日(土)14:00 東京大学(駒場)18号館4Fコラボレーションルーム1
「エコノミーという隠喩の運命――マルクス・デリダ・ハイデガー」
(司会進行:増田一夫、西山達也、千葉雅也)

7月16日(土)16:00 京都大学吉田南キャンパス 吉田南総合館北31講義室
「ハイデガーにおけるメタモルフォーズ(仮)」
(司会:多賀茂)

※全講演予約不要・入場無料。9日以外はすべて通訳有。

*********

同時開催として、マラブーさんのパートナーである、映画作家・批評家エリック・ビュロ氏の作品上映+講演会「河瀬直美を讃えて」も開催されます(マラブーさん一橋大講演の前の時間帯)。ありがたいことに、河瀬直美監督自身の参加もほぼ決定しました。こちらも興味のある方は是非、足を運んでみてください。
http://www3.kcn.ne.jp/~kumie/index2.html
http://www3.kcn.ne.jp/~kumie/news/news.html
http://gensha.hit-u.ac.jp/Japanese/home.htm

---------------

西山雄二さんの初の単独訳単行本になる『ヘーゲルの未来――可塑性・時間性・弁証法』は、「東京の各会場で、著者割で2割引での販売(4500円→3600円)をさせていただきますので、どうぞこの機会にお買い求めください」とのことです。

なお、私が業界仲間と同人制で配信している「[本]のメルマガ」では、マラブー来日記念の増刊号を明日配信する予定です。西山さんをはじめとするマラブー本の訳者陣による、マラブーの知的魅力や略歴の紹介、講演の聞きどころなどの情報が掲載されます。

また、マラブー来日講演記に関しては、未來社のPR誌『未来』9月号(9/1発行)で西山さんが一筆書くことになったとのことで、講演の全貌や後日談などは、そちらで読めるようになるそうです。西山さんは先の『ブランショ政治論集』をめぐるミニ・シンポでも司会をつとめられており、続けざまのご活躍には目を瞠るばかりです。(H)
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by urag | 2005-06-30 19:47 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2005年 06月 29日

光線過敏症のハイ・シーズン

猛暑にやられまして、屋内にいても、熱中症まであと一歩か、というくらいの疲労感です。今年の夏は果たして昨年並みの炎夏なのでしょうか、あるいは一部の予想が出ているように冷夏なのでしょうか。光線過敏症の私にとってはとにかく辛いです。

女性はともかく、男性が日傘をさしているのはあまり見かけません。紫外線は曇りの日でも降り注いでいますから、日傘をささざるをえないのですが、曇りの日では女性すら日傘をさしていないので、気恥ずかしいです。なんだか自分だけ不審者のような風体なので。いえ、しかし、恥ずかしいなんて、言ってられないのです。

先だって書いた記憶がありますが、紫外線の降り注ぐ量がピークになるのは5月だそうです。しかし、陽気が暑くなってくると、血行がよくなるわけで、紫外線があたった場合に皮膚が余計に敏感に反応するような気がします。

光線過敏症(紫外線アレルギー)はまだよく解明されていないものなのですが、抗生物質などの薬剤に含まれる特定の成分によって後天的に発症するとも言いますし、肝機能にも関連しているともいいます。私は肝臓がもともと弱いので、機能低下のバロメーターが光線過敏症となって表に表れているのかもしれません。

肝臓がもともと弱いというのはまったく損な話です。飲酒していなくてもガンマGTPが高くなる。幸い酒好きというわけではないので、お酒がなくても私は生きていけます。ただ、肝臓があまり働かないせいで、お酒を飲んでも顔が赤くなりません。学生の頃は「酒に強い」などと周囲に勘違いされてきましたが、社会人になって健康診断を受けるようになってから、「酒に強い」のではなく「肝臓が弱い」だけなのだろうと気づきました。

今年の目標。健康診断に行くこと。とくに肝臓に詳しいお医者さんを見つけること。(H)
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by urag | 2005-06-29 23:25 | 雑談 | Trackback | Comments(3)
2005年 06月 27日

「毎日新聞」6月26日付読書欄に『燈火節』書評

「毎日新聞」6月26日付の読書欄で、湯川豊さんが『燈火節』の書評を書いておられます。湯川様、愛情の籠もった長文のご紹介をありがとうございました。「短い断片のような文章にいたるまで、読み進めるのが惜しいような魅力がある」と高い評価をいただきました。

『燈火節』は昨年11月に刊行以来、驚くほど長期にわたって多くの先生方からご好評を博しております。書評に取り上げられるペースがここまでゆっくりなのは、私どもも初めてのことです。最近の本しか取り上げないのではなく、こうして時間を経た本でも扱ってくださるのは非常にありがたいことです。読書というのはこれくらいじっくり時間をかけるものでもいいと思うのです。スローな読書万歳。新聞社さんもその辺を分かってくださっているのでしょうか。とても嬉しいです。(H)
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by urag | 2005-06-27 11:29 | 文芸書既刊 | Trackback | Comments(0)
2005年 06月 26日

今週の注目新刊(第10回:05年6月26日)

さて今週からTRCの「週刊新刊情報」は書籍の選択のみに利用することにしました。詳しい書誌情報は、版元各社のウェブサイトや各種オンライン書店をご参照くださいませ。

***

ニュー・インペリアリズム
デヴィッド・ハーヴェイ(1935-)著 本橋哲也訳
青木書店 本体2800円 4-250-20517-7
●ハーヴェイはどんどん訳されて欲しいですね、「希望の空間」2000年とか「資本の空間」2001年とか。おそらくどこかの版元さんがすでにお進めになっているのでしょうけれども。

グローバリゼーションの倫理学
ピーター・シンガー著 山内友三郎+樫則章監訳
昭和堂 本体2300円 4-8122-0521-2
●One World(2002年刊)の翻訳。原題をそのまま活かしたほうがよかった気もしますが。「グローバリゼーションの倫理学」というのは原著では副題です。

魂の民主主義――北米先住民・アメリカ建国・日本国憲法
星川淳(1952-)著
築地書館 本体1500円 4-8067-1309-0

一市民の反抗――良心の声に従う自由と権利
ヘンリー・デイヴィッド・ソロー(1817-1862)著 山口晃訳
文遊社 本体1500円 4-89257-045-1
●版元情報によれば、英語原文も併録とのこと。文遊社さんでは8月上旬にボリス・ヴィアンの『サン=ジェルマン=デ=プレ入門』(浜本正文訳、4-89257-046-X)も刊行予定だそうです。初版はリブロポート(廃業)から95年に刊行されていましたが、現在まではどちらかといえば値段の下がりにくい部類の古書でした。

ニュー・アメリカニズム――米文学思想史の物語学〔増補新版〕
巽孝之(1955-)著
青土社 本体2600円 4-7917-6196-0
●版元の紹介文によれば、「フーコー、デリダ、ド=マンの理論を再検討し、新歴史主義(ニュー・ヒストリシズム)以後の視野から、従来の文学史、文化史を覆した名著。「9・11以後」を踏まえた新論文を増補」。

わたしたちの脳をどうするか――ニューロサイエンスとグローバル資本主義
カトリーヌ・マラブー(1959-)著 桑田光平+増田文一朗訳
春秋社 本体2100円 4-393-32223-1
●まもなく来日(2005年7月)。未来社からは『ヘーゲルの未来』が翻訳出版されます。

世界業界地図――グローバルな産業の動きがわかる〔2005年版〕
富士グローバルネットワーク監修
新紀元社 本体1300円 4-7753-0392-9
●版元の宣伝文によれば、「全世界の産業の動きを図版、チャートによって、容易に把握が可能。世界における日本企業の実力も比較できる、ビジネスマン必携の1冊です。金融、IT・情報通信、機会、素材、エネルギー、メディア、流通等、世界の産業、約40分野が図解で体系的に理解できます!」とのこと。これは便利そうですね。ビジネス書に置かれるんでしょうが、むしろ人文書でネグリ+ハート『〈帝国〉』以文社、クライン『ブランドなんか、いらない』はまの出版などの反グロ本の隣に置かれて欲しい本ですね。

哲学者エディプス――ヨーロッパ的思考の根源
ジャン=ジョセフ・クロード・グー(1943-)著 内藤雅文訳
法政大学出版局 本体3300円 4-588-00820-X
●98年、新曜社刊『言語の金使い―文学と経済学におけるリアリズムの解体』土田知則訳、以来の翻訳になりますでしょうか。新曜社の本では著者名表記は「ジャン=ジョゼフ・グー」。フランス語のつづりでは、Jean‐Joseph Goux です。もっと翻訳されていてもふしぎではない研究者なのですが、なかなか出ません。

サルトルの世紀
ベルナール=アンリ・レヴィ(1948-)著 石崎晴己監訳 沢田直+三宅京子+黒川学訳
藤原書店 本体5500円 4-89434-458-0
●2005年はサルトル生誕百周年ということでフランス本国では盛り上がっているそうです。

世紀の恋人――ボーヴォワールとサルトル
クローディーヌ・セール=モンテーユ(1949-)著 門田真知子+南知子訳
藤原書店 本体2400円 4-89434-459-9

ピレボス
プラトン著 山田道夫訳
京都大学学術出版会 本体3200円 4-87698-160-4
●現在、岩波書店版「プラトン全集」が再刊配本中ですが、京大の「古典叢書」の新訳ももちろんマストバイです。

善の研究――実在と自己
西田幾多郎+香山リカ著
哲学書房 本体2400円 4-88679-211-1
●初版単行本は「能動知性 intellectus actu」叢書第5巻として2000年刊。今回「哲学選書 collection nous」第2巻へスイッチ。ちなみに「哲学選書」第1巻はパノフスキーの「〈象徴形式〉としての遠近法」2003年刊(初版単行本は1993年刊)。

医学と哲学の対話――生-病-死をめぐる21世紀へのコンテクスト
ディートリヒ・フォン・エンゲルハルト+ハインリッヒ・シッパーゲス著 藤森英之訳
創造出版 本体2500円 4-88158-298-4
●フォン・エンゲルハルトさんの著書ではほかに、『啓蒙主義から実証主義に至るまでの自然科学の歴史意識』(岩波哲男ほか訳、理想社、2003年、ISBN:4650105315) が訳されています。シッパーゲスさんには『中世の患者』 (山岸洋訳、人文書院、1993年、ISBN:4409510312)、『中世の医学――治療と養生の文化史』(大橋博司+浜中淑彦訳、人文書院、1998年)という名著もあります。『ビンゲンのヒルデガルト――中世女性神秘家の生涯と思想』(熊田陽一郎+戸口日出夫訳、教文館、2002年、ISBN:4764234025)では「シッペルゲス」と表記されています。 どれもこれも購入しておいて損はない研究書です。

「聖ヒエロニムス」図像研究――一聖者表現のさまざまなかたちと意味
久保尋二著
すぐ書房 本体3500円 4-88068-302-7
●99年に平凡社から刊行された『宮廷人レオナルド・ダ・ヴィンチ』以来の単行本でしょうか。この本も基本書と呼べる成果に違いありません。

噫無情――レ・ミゼラブル 前篇
ヴィクトル・ユゴー原作 黒岩涙香訳
はる書房 本体2500円 4-89984-060-8
●歴史的名作翻訳を旧漢字、総ルビで順次発掘刊行するという「世界名作名訳シリーズ」のスタート。まずは黒岩涙香訳『噫無情(ああむじょう)』前編と後編を刊行。このあとは、上田萬年訳『新譯伊蘇普(新訳イソップ)物語』(上下巻)、黒岩涙香訳『岩窟王(がんくつおう)』(前編・中編・後編)と続く予定とのこと。

河童伝承大事典
和田寛(1935-)編
岩田書院 本体9500円 4-87294-385-6
書肆アクセスに掲載されていた紹介文によれば、「全国北海道から沖縄までの河童伝承を網羅した、763頁、データは5400余りにものぼる壮大なスケール(本のボリュームも合わせて!)の大事典」とのこと。

不知火・人魂・狐火
神田左京著
中公文庫BIBLIO 本体1048円 4-12-204545-2
●初版単行本は筑摩書房から92年に発行。

奇怪動物百科
ジョン・アシュトン著 高橋宣勝訳 早川書房
ハヤカワ文庫 本体740円 4-15-050299-4
●初版単行本は博品社(廃業)から92年に発行。

生物から見た世界
ユクスキュル著 クリサート図 日高敏隆+羽田節子訳
岩波文庫 本体660円 4-00-339431-3
●ロングセラーだった思索社版1973年刊の改訂文庫化ではありますが、「意味の理論」やアドルフ・ポルトマン「新しい生物学の開拓者」、トゥーレ・フォン・ユクルキュル「環境世界の研究」は収録していません。つまり、思索社版第一部の「動物と人間の環境世界への散歩」の改訂のみです。文庫化するにあたって、Umwelt は「環境世界」から「環世界」へと改訳されています。『生命の劇場』(博品社)もどこかが文庫化しないのかなあ。愛読書なので、ウチ(月曜社)で復刊したいくらいです。いい本なんだけどなあ。

はじまりのレーニン
中沢新一著
岩波現代文庫 本体1100円 4-00-600148-7
●初版単行本は岩波書店で94年、増補されて同社の「同時代ライブラリー」から98年、そして05年に文庫化という流れ。

***

以上です。目を瞠ったのが『河童伝承大事典』。本当にすごいですね。(H)
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by urag | 2005-06-26 23:41 | 本のコンシェルジュ | Trackback | Comments(0)
2005年 06月 23日

川田喜久治写真展 『Eureka 全都市』 Multigraph

■川田喜久治写真展 『Eureka 全都市』 Multigraph
会期 :2005年6月16日(木) ~ 7月31日(日) 会期中無休
時間 :10:00~20:00
会場 :写大ギャラリー (東京工芸大学中野キャンパス内)
交通:地下鉄東京メトロ丸の内線・都営地下鉄大江戸線「中野坂上」駅下車、1番出口より山手通りを渋谷方向に進み、本町2丁目交差点を右折。

内容:1976年に「地図」「聖なる世界」を中心として『川田喜久治展』を開催しましたが、今回は写大ギャラリー・コレクションより近作の『Eureka 全都市』を開催します。

このシリーズは今までの写真的視線を一旦解体させ、都市をテーマに時間と空間とをマルチプル・イメージによって再構築しようとする試みであり、21世紀に入ってなお混沌とする世界への川田喜久治特有のイリュージョン的都市観ともいえます。これらの作品は1999年から2001年に撮影されたもので、撮影地は日本のみならず世界の都市も含まれています。

川田喜久治はデジタルで処理したこれら作品をMultigraphと名付け、顔料系インクジェット・プリントによるカラー作品31点のポートフォリオとして構成しています。

今までにない作風とイメージをぜひお楽しみください。(以上、案内文より引用)

◎ギャラリートーク:7月2日(土) 14:00~16:00
講演/川田喜久治 入場無料・先着80名様

写真家本人による講演は、一昨年の東京都写真美術館「世界劇場」展でのレクチャー・ワークショップ以来、2年ぶりのことです。この機会をお見逃しなく! (H)
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by urag | 2005-06-23 09:58 | イベント告知 | Trackback | Comments(0)
2005年 06月 22日

川田喜久治写真集『地図』販売店、追加情報

地図――川田喜久治写真集』の取り扱い書店一覧を更新いたします。新たに丸善丸の内本店4F芸術書売場さんが加わりました。

★印は、比較的に在庫を多めに持っている書店様です。品切の場合もございますので、お買い求めの際にはあらかじめお電話で在庫を確認されるのがよろしいかと存じます。

◎東京都渋谷区
シェルフ ★電話03-3405-7889
青山BC青山本店 ★電話03-5485-5511
紀伊國屋書店新宿南店6F 電話03-5361-3301
NADiff本店 ★電話03-3403-8814
NADiff modern 電話03-3477-9134(直通)

◎東京都目黒区
NADiff x10 電話03-3280-3279(直通)

◎東京都港区
青山BC六本木店 ★電話03-3479-0479
PGI ★電話03-3455-7827
※PGIさんではサイン本も販売しています。在庫の有無はお電話などでPGIさんにお尋ねください。
六本木ヒルズ・アート・アンド・デザイン・ストア ★電話03-6406-6280

◎東京都新宿区
紀伊國屋書店新宿本店6F ★電話03-3354-0131
gallery 5 電話03-5353-0449(直通)
ブックファーストルミネ新宿2店 ★電話03-5339-8451

◎東京都千代田区
三省堂書店神田本店4F ★電話03‐3233‐3312
丸善丸の内本店4F芸術書売場 電話03-5288-8881

◎茨城県水戸市
Contrepoint 電話029-227-0492(直通)

◎名古屋市中村区
ヴィレッジヴァンガードビックカメラ名古屋店 電話052-459-0280

◎名古屋市東区
NADiff 愛知 電話052-972-0985(直通)

◎京都市中京区
メディアショップ ★電話075-255-0783

◎大阪市北区
ジュンク堂書店大阪本店 電話06-4799-1090

◎大阪市西区
カロ・ブックショップ・アンド・カフェ ★電話06-6447-4777

◎大阪市中央区
心斎橋アセンス ★電話06-6253-0185

◎福岡市中央区
丸善福岡ビル店 電話092-731-8996

◎インターネットで購入可能な店舗
カロ・ブックショップ・アンド・カフェ
シェルフ
メディアショップ
紀伊國屋書店BOOKWEB ※和書の詳細検索で、ISBN「4901477161」をサーチしてみてください。新宿本店新宿南店の店頭在庫より出荷されます。
アマゾン・ジャパン※和書の詳細検索で、ISBN「4901477161」をサーチしてみてください。
セブンアンドワイ
e-hon
※上記2店舗とも、本の詳細検索で出版社=月曜社を検索してみてください。


以上です。なお、上記以外の書店様でも取寄せ注文は可能です。どうぞよろしくお願いいたします。(H)
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by urag | 2005-06-22 20:47 | 芸術書既刊 | Trackback | Comments(0)
2005年 06月 21日

TRCブックポータル、8月でサービス終了

図書館流通センター(TRC)が「ブック・ポータル」のサービスを、来る8月半ばを目処に終了すると発表しています。

ブックポータルというのは、書籍検索各種とリンク集などから成るウェブサイト。検索には、「今日の新刊」「週刊新刊案内」「新刊書籍検索」などがあり、私も「週刊新刊案内」は毎週チェックしており、さいきんでは当ブログの「今週の注目新刊」が依拠するデータベースでもありました。

「新刊書籍案内」というのは、1980年1月以降に出版された日本の新刊書籍を検索できる一大データベースで、6月17日現在、 1,106,977点ものタイトルが登録されています。書影の拡大表示では他のデータベースに比類するものがなく、書影を直接確認したい読者にとっては非常に便利なものでした。

これほどまでに便利で有用なためでしょうか、TRCはブックポータルを封印する理由を以下のように述べています。

「理由といたしまして、「ブック・ポータル」における掲載内容不正コピー利用の増加、個人情報保護法の施行に伴う個人情報の保護、また著作権者に対する権利保護といった観点がございます。あわせて、図書館・出版社等の情報保護のため、「リンク集」も終了させていただきます。」

私の意見はこうです、情報保護はたしかに重要ですが、サービスを今頃になって終了するのではなく、利用や引用などのガイドラインをきちんとユーザーに提示し、アフィリエイト・プログラムなども作るなりして、サービス利用を継続するのが賢明ではないでしょうか。

もとよりTRCが掲載している書影は版元の書籍をスキャンしたものだし、内容紹介はオビやあとがき、奥付その他から再構成されたもので、TRCのスタッフが当該書籍を読んでまったくゼロから書き起こしたというような独自なテキストではありません。

いわばTRC自体が、版元に帰属する諸情報を二次的に利用したり加工しているわけなのに、どこになんの権利を主張しているのか、いまひとつ判然としません。ようするに「データベース」全体の価値というのをTRCは自己認識しているわけなのでしょう。

アメリカのアマゾンではすでに書影だけでなく、中味も立ち読みできたり、本文を検索できたりするサービスが始まっています。販売につながるならどんなことでも利用し提供しようという貪欲さがそこにはある。それとは対照的なスタンスをTRCには感じます。

個人客は今後は「bk1」を利用せよ、とのことです。折りしも本日、業界紙「新文化」では、TRCの平成17年3月期決算が増収減益だったことを伝え、「連結対象のネット書店、ビーケーワンの株式評価損5億5500万円を計上した結果、当期純利益は6億1900万円(同33・6%減)を余儀なくされた」ことが明らかにされています。bk1の今後が不透明に見えつつある昨今、一抹の不安を感じます。

TRCの「新刊書籍検索」に相当する機能は、bk1の書籍検索でもえることができます。ただし、「今日の新刊」については、bk1では自社在庫を持っているものしか表示されません。TRCのデータ総体より必然的に限定的なものになります。

そして、TRCの「週刊新刊案内」に相当するものは、bk1にはありません。網羅的ではない「今日の新刊」を我慢して日めくりしていくしかないのです。これは痛い。ユーザーにとっては実に効率が悪い。

つまり、そこにTRCのサービスの素晴らしさがあり、裏を返せばそこにTRCの利権もあるということなのでしょうか。たしかに「週刊新刊案内」はTRCが図書館販売向けに作成しているカタログ「週刊新刊全点案内」のデータ版に当たるわけなのでしょうから。

私としては「週刊新刊案内」まで消滅して欲しくないのです。売れる売れないにかかわらず、最大限網羅的な情報が、新刊大洪水時代の読書人には必要なのです。その点をTRCさんには理解して欲しいと思います。そうでなければ、「しょせん、図書館向けの商売がメインだから」と冷ややかな目で見られるのがオチだと思います。情報提供は無料にし、本の実売で稼ぐ、というビジネスモデルはすでに破綻しているのでしょうか。(H)
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by urag | 2005-06-21 21:40 | 雑談 | Trackback | Comments(4)
2005年 06月 20日

生活水準と本の値段

マーサー・ヒューマン・リソース・コンサルティングが本日発表した「2005年世界生計費調査」の結果を見ていろいろ思うところがありました。とにかくはっきりしているのは、東京は生きていくのに世界で一番お金がかかるということ。もちろんそうはいっても、同じ東京でも都心と郊外では水準は異なるでしょうし、お金持ちでなくても東京には住めます。しかし、東京では貧乏でも、ほかの国での暮らしに比べれば総体的には断然リッチと言えるわけで。ちなみにこの調査の基準になっているのは、ニューヨークです。ようするに、ニューヨークより高いか安いか、ということですね。

★生活するのにお金がかかる都市、上位50位まで。2005年3月現在。

( )は昨年度の順位。

1 (1) 東京、日本。
2 (4) 大阪、日本。
3 (2) ロンドン、イギリス。
4 (3) モスクワ、ロシア。
5 (7) ソウル、韓国。
6 (6) ジュネーヴ、スイス。
7 (9) チューリッヒ、スイス。
8 (8) コペンハーゲン、デンマーク。
9 (5) 香港、中国。
10 (15) オスロ、ノルウェイ。
11 (13) ミラノ、イタリア。
12 (17) パリ、フランス。
13 (12) ニューヨーク、アメリカ。
13 (14) ダブリン、アイルランド。
15 (10) サンクト・ペテルブルグ(旧レニングラード)、ロシア。
16 (19) ウィーン、オーストリア。
17 (21) ローマ、イタリア。
18 (22) ストックホルム、スウェーデン。
19 (11) 北京、中国。
20 (20) シドニー、オーストラリア。
20 (23) ヘルシンキ、フィンランド。
22 (25) ドゥアラ、カメルーン。
22 (18) イスタンブール、トルコ。
24 (26) アムステルダム、オランダ。
24 (34) ブダペスト、ハンガリー。
26 (24) アビジャン、コートジボワール。
27 (76) ワルシャワ、ポーランド。
28 (49) プラハ、チェコ。
29 (31) 台北、台湾。
30 (16) 上海、中国。
31 (44) ブラチスラバ、スロバキア。
32 (40) デュッセルドルフ、ドイツ。
33 (39) ルクセンブルグ、ルクセンブルグ。
34 (46) シンガポール、シンガポール。
34 (42) フランクフルト、ドイツ。
36 (47) ダカール、セネガル。
37 (43) ミュンヘン、ドイツ。
38 (28) ベルリン、ドイツ。
39 (33) テルアビブ、イスラエル。
40 (41) グラスゴー、イギリス。
41 (50) アテネ、ギリシア。
41 (53) ブリュッセル、ベルギー。
43 (56) バルセロナ、スペイン。
44 (27) ロサンゼルス、アメリカ。
45 (52) ホワイトプレーンズ、アメリカ。
46 (61) マドリード、スペイン。
47 (51) バーミンガム、イギリス。
48 (59) ザグレブ、クロアチア。
49 (58) ハンブルグ、ドイツ。
50 (29) ハノイ、ベトナム。
50 (38) サンフランシスコ、アメリカ。

ランク外ですが、最も物価が安いのは、南米パラグアイのアスンシオンであるとのこと。ちなみに、世界の主要18都市で家賃がダントツに高いのは東京、乗車賃はダントツでロンドン、ハンバーガーやコーヒー代はダントツでアテネが高いらしい。むろんこれも相対的な話。

さて、興味深いのが新聞と音楽CD。新聞はプラハと東京がいい勝負で高い。物価が高いとされるロンドンでは東京よりかなり安い。日本の大手新聞の発行部数が他の先進国とくらべて異常に多いのは有名ですが、意地悪く言えば、独裁的企業の高価な情報を買わされているのが日本人なのですね。これはミニメディアが発達していないということでもあります。

音楽CDはブリュッセルやパリが高く、ロンドンや東京はその下、さらにそのまた下がニューヨークやシドニーです。

本はどうなんでしょうか。統計には出ていませんが、私の感覚では、日本はフランスやドイツ、イギリスと同じくらいで、アメリカはもっと安いです。あくまでも私的印象ですが、日本は学術書については欧米より平均的に安く、娯楽系は欧米より多少高いのではなでしょうか。つまり、欧米では、値段にメリハリがあって何が文化的に高価で何が安いかが日本よりはっきりしている気がします。日本では総じて廉価にしようという努力があるのではないかと思う。ただ、一般読者にはそう思われていないでしょう。

洋書をオンライン書店で取寄せる場合、当然ながら、費用がかさむのは送料です。私はかつてアマゾン・コムのヘビーユーザーだったけれども、アマゾン・ジャパンが洋書を扱い始めてからはもっぱら洋書はジャパンで買っています。送料がかからないから。

本の物価統計を取った調査がこれまでにあったかどうか知りませんが、あったら見てみたいです。おそらく上記の調査結果と似たようなものになるのでしょうけれど。(H)
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by urag | 2005-06-20 23:06 | 雑談 | Trackback | Comments(0)
2005年 06月 19日

今週の注目新刊(第9回:05年6月19日)

a0018105_5445086.jpg他社版元さんの新刊で、要チェックだなと感じた本を、毎週末、リストアップします。このほかにもたくさん素晴らしい本はありますが、自分がぜひ購読してみたいと思った書目に絞ります。

書誌情報の見方と配列は次のようになっています。

書名――副題
著者、訳者など
版元、本体価格、判型サイズ、頁数(本文, 本文とは別立ての巻末索引や巻頭口絵など)
ISBN、発行年月
■は、図書館流通センターさんや版元さんのデータを引用&活用した内容紹介。
●は、私のコメントです。

***

★今週の注目文庫

幸福について――人生論
ショーペンハウアー著 橋本文夫訳
新潮文庫(新潮社) 本体514円 タテ16cm 365p
4-10-203301-7 / 2005.06.
●かつてこんなにも清々しいカバーが、ショーペンハウアーの文庫本にあったでしょうか(冒頭の書影をご参照)? ありえません、以前はあんなにも地味だったのに。これでは中学生まで買いそうな気がします(褒めているんです)。でもショーペンハウアーって毒舌だし、ちょいと危険なところもあるのに。ま、いいのかな、若人がたまに「毒書」するのも。さて本書はご存知の通り、ショーペンハウアーの『パレルガ・ウント・パラリポメナ(余禄と補遺)』第一巻に収録された「処世術のための箴言集」を訳したものです。同名の文庫がかつて角川文庫でもありましたが、角川文庫版の『幸福について』は石井正+石井立訳。これまで岩波文庫やその他で出ていた『知性について』『自殺について』『読書について』『女について』『自然について』『藝術について』『みずから考えること』といった本はすべて『パレルガ』から抽出したもの。『幸福について』はそうした中でも一番厚い本です。ちなみに『パレルガ』の全容を知るためには、白水社版の全集を買わねばなりません。

★今週の注目単行本

エステティカ――イタリアの美学クローチェ&パレイゾン
クローチェ+パレイゾン著 山田忠彰編訳 山田忠彰+訳
ナカニシヤ出版 本体2400円 タテ20cm 224p
4-88848-922-X / 2005.05.
■イタリアの美学・哲学界を代表する思想家の美学論考の対比。20世紀イタリア美学の展開を鮮やかに描写し、美学的・芸術的思索の核心に触れる。クローチェの「美学入門」と論文、パレイゾンの2つの論文を合わせて編訳。
●これは大注目というか、思わず拍手ですね。ルイジ・パレイゾン(1918-1991)の日本語訳で読めるのは、晃洋書房の「現代哲学の根本問題」シリーズの第4巻『藝術哲学の根本問題』(1978年)に収録された一論文「美の観想と形式の算出」くらいでしょうか。これは1955年の『国際哲学雑誌』第31号にフランス語で発表された"Contemplation du beau et production de formes"の、佐々木健一氏による日本語訳です。パレイゾンはイタリア美学界の大御所で、弟子筋には、かのウンベルト・エーコやジャンニ・ヴァッティモらがいます。佐々木さんの紹介によれば、パレイゾンの主著の一つ『美学――形成の理論』(1954年刊、未訳)に対して、ヴァッティモは「イタリア美学のクローチェ以後の時代とも呼びうるものを拓き、この時代の欧米の美学思想の中で最も生き生きとした流れとの対話へと、我々の文化を導いていった」と大きく評価しているそうです。

イタリアの美学思想の現在と言えば、エーコやアガンベンが日本では有名なわけですが、その前にパレイゾンがいて、さらにその前にベネデット・クローチェ(1866-1952)がいることを忘れるわけにはいきません。いきませんが、パレイゾンは翻訳がほとんど皆無だったし、クローチェの大著『美学』も翻訳本はもう半世紀以上前の話で古書店か大きな図書館でしか手に取れません(1921年に鵜沼直訳で中央出版社から『美の哲学』、1930年に長谷川誠也+大槻憲二 訳で春秋社の「世界大思想全集」第1期第46巻として刊行、後者はゆまに書房が1998年に「世界言語学名著選集」の第1巻として復刊していますが、一般読者向けと言うよりは、図書館や研究室向けです。本体15,000円、ISBN4-89714-407-8)。
ちなみにクローチェの『美学』はいずれ新訳(しかも完訳)が出ると耳にしたことがあります。

日本とちがってイタリアの場合、美学というのは伝統ある一大分野であると言えるのではないかと思います。ある意味、個別の哲学科目よりもずっと包摂的で、大きく諸学を横断する根本的で革新的な分野として、存在し続けているように見えます。先のエーコやアガンベンだけでなく、哲学者のヴァッティモやカッチャーリ、建築学者のタフーリ(1935-1994)もやはり横断的な美学的教養を当たり前のように持っています。イタリアでは美学が「生きている」のだと思います。

さて、長いコメントになってしまいましたが、最後に肝心の本書『エステティカ』の収録論文について。版元のナカニシヤ出版による紹介ページで公開されている本書の目次は以下の通りです。

I ベネデット・クローチェ

美学入門
第一章 「芸術とは何か」
第二章 芸術に関する偏見
第三章 精神と人間社会における芸術の位置
第四章 芸術批評と芸術史

創造としての芸術と形成としての創造

II ルイージ・パレイゾン

クローチェ美学における解釈の概念
一 クローチェ美学の際だった点
二 翻訳としての演劇的上演
三 追想としての音楽的演奏
四 「演奏」を芸術全体へと広げる必然性
五 ドラマ上演の必然性の基礎としてのその完全性
六 演劇的上演における忠実さと自由さ
七 音楽的演奏の多様性と相違
八 作品の唯一性と演奏の多様性
九 演奏される作品への必然的関連というクローチェの概念
十 作品の無限な解釈可能性というクローチェの新しい概念

人格の哲学
一 人格の理論としての哲学
二 哲学の歴史性と人格性
三 解釈の認識論
四 形成性の理論

訳者解説
あとがき
事項索引
人名索引

G8――G8ってナンですか?
ノーム・チョムスキー+スーザン・ジョージほか著 氷上春奈訳
ブーマー発行 トランスワールドジャパン発売 本体1400円 タテ19cm 238p
4-925112-48-1 / 2005.07.
■G8が世界を支配していいのだろうか? ノーム・チョムスキー、スーザン・ジョージといった時代をリードする作家や学者たちが、G8のネオリベラリズムを指摘し、世界が抱える様々な問題に対するG8の姿勢を議論する。
●人文社会系の本を愛読している読者にはあまりなじみのない発行・発売元かもしれませんが、トランスワールドジャパンと言えば、雑誌版元として名が通っています。スノボやスケボ関係のものや、ストリートカルチャー雑誌「WARP」など、色々と刊行しています。最近では読み聞かせ用の絵本の分野にも進出。ユニークですよね。

チョムスキーの名前はさいきんこうした人文社会系とはいままであまり関係がなかった版元から刊行された本で見かけるようになってきました。たとえばFOILが刊行した『「映画 日本国憲法」読本』とか。FOILはリトルモアの創業社長さんが「独立」して始められた出版社です。この読本では、ジョン・ダワー、ノーム・チョムスキー、ベアテ・シロタ・ゴードン、チャルマーズ・ジョンソン、日高六郎、ハン・ホングのインタビューが読めます。リトルモアでは3年前にドキュメンタリー映画「チョムスキー 9.11」と連動した書籍『ノーム・チョムスキー』ISBN4-89815-081-0が発売されていますから、FOILでチョムスキー関連書が出るのはふしぎではないのですが。

国家とはなにか
萱野稔人(1970-)著
以文社 本体2600円 タテ20cm 283p
4-7531-0242-4 / 2005.06.
■国家が存在し、活動する固有の原理とは何か。「国家は暴力に関わる一つの運動である」。この明解な視点から現代思想の蓄積をフルに動員し、国家概念に果敢に挑む。次世代を担う国家論の展開。著者は1970年生まれ。パリ第十大学大学院哲学科博士課程修了。現在、東京大学大学院総合文化研究科21世紀COE「共生のための国際哲学交流センター」研究拠点形成特任研究員等。
●担当編集者は、「批評空間」誌第三期の編集部から、同誌の廃刊後に青土社「現代思想」誌に移られて2004年8月号「いまなぜ国家か」などを担当し、その後、以文社に移籍されたMさん。Mさんのキャリアで初めての担当単行本になるわけだろうと推察します。同じく本書『国家とはなにか』が処女単行本となる萱野さんは、上記の「いまなぜ国家か」特集号のメインである柄谷行人さんのインタビュー「資本・国家・宗教・ネーション」の聞き手を務められており、冒頭の写真に写っている、坊主頭に細い眼鏡、胸元のボタンを大胆にはだけた白いシャツ姿がまず私の目に焼きついたのでした。

今回の本は「現代思想」誌に発表された論文を全面的に大幅加筆して成ったもので、ほぼ書き下ろしといってもいいようです。書名はイカメシイですが、けっこう読みやすく、面倒な議論に聞こえがちな「国家論」の位相を何とか読者に伝えようという苦心のあとが伺えます。たとえば酒井隆史さんや渋谷望さん、道場親信さんらの著書を読んできた方なら、本書はまず購入されていることでしょう。ネグリ+ハートの『〈帝国〉』(以文社)を購入された方にもお奨めです。

萱野さんを「現代思想」誌編集長の池上善彦さんに紹介したのは酒井さんだそうで、萱野さんは「あとがき」で酒井さんの『自由論』(青土社)や『暴力の哲学』(河出書房新社)と本書『国家とはなにか』は「おおくの点で議論を共有して」いるので、併読を、と記しています。帯文に「次世代を担う国家論の展開」とありますが、まさにその第一歩が記されたのでしょう。萱野さんの今後、そして担当編集者のMさんの今後の活躍に注目です。

自然との和解への道(上)
クラウス・マイヤー=アービッヒ(1930-)著 山内広隆訳
みすず書房 本体2800円 タテ20cm 285,13p
4-622-08163-6 / 2005.06.
■環境先進国ドイツの環境哲学とは何か。人間がその駆動力である「自然的共世界」の実現へ向けて、自然科学・哲学・政治を根本から見直す記念碑的労作。実践的(=政治的)自然哲学を提唱する。著者は1936年ハンブルグ生まれ。哲学博士。現在、エッセン大学名誉教授。著書に「未来のための学問-生態学的かつ社会的責任における全体論的思惟」などがある。
●みすず書房のシリーズ「エコロジーの思想」第二弾。第一弾は昨秋刊行された『環境の思想家たち(上)古代‐近代編』ジョイ・A・パルマー編、須藤自由児訳、ISBN4-622-08161-X。一見地味なシリーズですが、中味はなかなかのもの。今後も注目したいですね。出版社による第二弾の本の紹介文は以下の通り。

「この著作の根本思想は、ひとつの命題、《人間の外にある自然は、われわれの自然的共世界(Mitwelt)である》に要約できる」(「日本語版への序文」より) 。環境先進国ドイツにおける、本格的な環境哲学を紹介するはじめての本である。著者マイヤー=アービッヒは、エッセン大学で教鞭を執ってきた哲学者であるのみならず、マックス・プランク研究所で量子力学を研究した物理学者でもあり、ドイツ連邦議会のエネルギー政策審議会の一員として、またハンブルク市の大臣として、環境政策の政治決定にもたずさわってきた。本書においてはじめて、「実践的(=政治的)自然哲学」が提唱される。適切な自然理解と環境政策を統合する人間の行為を問うのが、実践的自然哲学である。そのためにアービッヒはまず、従来の受け身的な環境政策を批判し、自然を自然自身のために配慮する新たな環境保護立法を提案する。そして、真理への問いに開かれたプラトン以来の討議的政治と、理性的行為のうちに自然の意図をみるカントの倫理を継承し、自然の秩序に適った産業経済を可能にする科学技術を模索する。 人間もまた自然的共世界の一部である自然中心主義的世界像へ向けて、自然科学・哲学・政治を根本から問いなおす記念碑的労作の完訳、上巻。シリーズ《エコロジーの思想》第二弾。

ル・コルビュジエのインド
彰国社編 北田英治写真
彰国社 本体2381円 タテ24cm 160p
4-395-24102-6 / 2005.06.
■ル・コルビュジエはインドを23回訪れた。撮り下ろし写真と現地座談会を核に、彼の残した庁舎、議事堂、住宅などの建築を紹介する、ル・コルビュジエ再発見の旅の記録。

悟りへの階梯――チベット仏教の原典『菩提道次第論』
ツォンカパ著 ツルティム・ケサン訳 藤仲孝司訳
UNIO発行 星雲社発売 本体2800円 タテ21cm 415p
4-7952-8890-9 / 2005.06.
■チベット最高の仏教者ツォンカパによる、ブッダの心髄を伝えるインド大乗仏教の集大成。チベット仏教最大の原典であり、ダライラマ法王の講話の典拠ともなった大乗の理論と実践の精髄を全訳。

猫神様の散歩道
八岩まどか(1955-)著
青弓社 本体1600円 タテ19cm 204p
4-7872-3244-4 / 2005.06.
■お産や商売繁盛の猫神信仰、身の毛がよだつ化け猫伝説、招き猫に眠り猫…。全国60カ所の神社仏閣や祠を訪ね歩き、猫の神秘の力とそれに魅入られた人々の心性を余すところなく描く。著者は『旅の手帖』などで温泉ライターとして活躍。著書に「温泉と日本人」「混浴宣言」などがある。

乗馬の歴史――起源と馬術論の変遷
エティエンヌ・ソレル著 吉川晶造+鎌田博夫訳
恒星社厚生閣 本体4300円 タテ22cm 474p
4-7699-1020-7 / 2005.06.
■人類がはじめて馬に跨った日から今日までの馬との関係史。化石、絵画、彫刻、年代、地域、種族や部族間の争い、馬術やその達人、流派、獣医学、国家、軍隊、馬術学校、スポーツなど、さまざまな視点を通して論述する。
●こういう基本図書は重要。大著ですが、ぜひ購読したいです。

花田清輝集
花田清輝(1909-1974)著
影書房 本体2200円 タテ20cm 240p
4-87714-331-9 / 2005.06.
■小説・戯曲・記録文学・評論等、幅広いジャンルで仕事をした戦後文学者13名のエッセイを選んで刊行するシリーズ「戦後文学エッセイ選」の第1巻。「花田清輝全集」を底本として、敗戦前に執筆したものまで、全25篇を収録。
●同シリーズの第8巻『木下順二集』4-87714-332-7が同時発売されています。シリーズの全容は版元である影書房のこちらのページをご覧ください。いちおう全巻構成だけ転記しておきますと、以下の通りになります。

1:花田清輝集(既刊)
2:長谷川四郎集
3:埴谷雄高集
4:竹内好集
5:武田泰淳集
6:杉浦明平集
7:富士正晴集
8:木下順二集(既刊)
9:野間宏集
10:島尾敏雄集
11:堀田善衞集
12:上野英信集
13:井上光晴集

昭和初年の『ユリシーズ』
川口喬一(1932-)著
みすず書房 本体3600円 タテ20cm 292p
4-622-07146-0 / 2005.06.
■「ユリシーズ」本邦初の翻訳、出版は一つの事件であった。伊藤整vs小林秀雄、第一書房と岩波文庫の合戦、猥褻と検閲等、文壇の域を超えた本を巡る熾烈なドラマ、文化的・社会的事件を詳細に描く。
●川口喬一先生には『「ユリシーズ」演義』 (1994年、研究社出版)という大著がすでにおありですが今回の本は、また格別に面白そうですね。読んでない内から断言してしまいますが、面白くないわけがありません。各紙の書評にもきっと取り上げられることでしょう。

タンタンとエルジェの秘密
セルジュ・ティスロン(1948-)著 青山勝+中村史子訳
人文書院 本体2800円 タテ22cm 199p
4-409-18001-0 / 2005.06.
■わたしたちの時代の夢想と熱望が凝縮された現代の神話「タンタンの冒険旅行」。謎につつまれた作品の魅力とエルジェの創作力学を、ホームズのように鮮やかに解き明かす。著者は精神科医、精神分析家。さまざまな機関で臨床に携わりつつ、パリ第7大学等で教鞭も取る。著書に「明るい部屋の謎」「恥」など。
●ティスロンと言えば、2001年に二冊の翻訳が続けて刊行され注目を浴びました。『恥―社会関係の精神分析』大谷尚文+津島孝仁訳、法政大学出版局、2001年3月、ISBN: 4588007165。そして、『明るい部屋の謎―写真と無意識』青山勝訳、人文書院、2001年8月、ISBN: 4409030647です。後者はいわずもがなのロラン・バルトの写真論『明るい部屋』(みすず書房)を論じた秀逸な本ですが、今回の新刊はなんとコミック論ですよ。ティスロンの本をまとめて置いている本屋さんは早々ないですね。これで三冊目なのですから、そろそろまとめてもいいはず。心理学書や芸術書の棚よりは、バルトのそばでディディ=ユベルマンとかと一緒にしておくのがいいような気がします。バルトのそばにはジュネットやクリステヴァやルジュンヌらの本があり、トドロフやバフチン、そしてロシアフォルマリズム系の本があるだろうと思いますが、そろそろ再整理する必要があるでしょうね。

まめおやじ――原始式教育入門
友沢ミミヨ著
パロル舎 本体1200円 18×19cm 70p
4-89419-036-2 / 2005.06.
■むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました。おばあさんがまめをあけると、なかからかわいいまめのようなあかちゃんが産まれました-。抱腹絶倒、うごめくまめ宇宙! 『TV Bros』連載。
●子持ちにとってはもう「あるある」的共感の連続。というか大車輪。笑いをこらえながら読んでいましたが、私の場合、「あにょにょ」の回で思い切り吹き出さずにはいられませんでした。巻末のインタビューも話題の飛び具合が子供らしくていい。友沢さんの育児愛と観察眼に脱帽。

***

以上、今週は全部で1247点の新刊の中から、単行本12点、文庫1点を選びました。(H)
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by urag | 2005-06-19 23:52 | 本のコンシェルジュ | Trackback(1) | Comments(0)
2005年 06月 18日

「ブランショ政治論集」装丁とガリレーの本

主として関西の大学でフランス語を教えている7人のスタッフ・ライターさんが毎日更新しているという、「フランス語とフランス文化のブログ」である「CYBER FRENCH CAFE」さんの、水曜担当の「ワインと読書の日々@PST」さんが、さる6月7日のエントリーでこんなことを指摘されました。

「『ブランショ政治論集 1958-1993』はフランスの出版社 Galilée の本作りを意識しているのではないでしょうか。穏やかなクリーム色のこの本の肌触りを楽しみながら、ブランショの思考の跡を留めたページにまなざしを注ぎながら、ブランショが時代と共に歩んだ透徹した思考を追体験したいと思わせてくれる本に仕上がっています。」

温かいお言葉をありがとうございます。成功したかどうかは別として、ご推察の通り、たしかに私は今回、デザイナーとの打ち合わせにガリレーの本(具体的に言えば、ナンシーの『キリスト教の脱構築』第一巻、帯付)を持参して、イメージを伝えたのです。「ワインと読書の日々@PST」さんの推理で、ドンピシャなわけです。(H)
 
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by urag | 2005-06-18 23:26 | 人文書既刊 | Trackback | Comments(2)